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Ⅲ 直接原価計算・意思決定会計 編 CONTENTS みんなの本宣言/Ⅲ サポート MAP /Ⅳ 本書の特徴・使い方/Ⅵ 日商1級の攻略方法/Ⅶ 得点計画/Ⅸ ネットスクール WEB 講座のご案内/Ⅹ 日商1級のプロフィール/X Chapter 5 事業部の業績評 価、営業費計算 Section 1 セグメント 別損益計算 5-3 Section 2 営業費計算 5-17 5-1 Chapter 2 CVP 関係の 分析 Section 0 1級合格のため の2級の知識 2-3 Section 1 CVP 関係の 分析 2-5 Section 2 直接原価計 算とCVP分析 2-12 2-1 Section 3 原価の 固変分解 2-32 Chapter 3 最適セールス ミックスの決定 Section 1 最適セール スミックス の決定 3-3 3-1 Chapter 4 企業予算の編成 利益計画と 利益統制 4-1 Section 1 企業予算の 編成 4-3 Section 2 利益統制と 予算実績 差異分析 4-12 Chapter 6 意思決定会計 ①~業務執行 的意思決定~ Section 2 意思決定に おける原価 6-5 Section 3 業務執行的 意思決定 6-10 Section 1 意思決定会 計の基礎知 6-3 6-1 Section 4 経済的 発注量 6-25 Chapter 1 直接原価計算 Section 1 直接実際 原価計算 1-4 1-1 Section 0 1級合格のため の2級の知識 1-3 Section 2 直接標準 原価計算 1-30 Chapter 7 意思決定会計 ②~設備投資 意思決定~ Section 2 貨幣の 時間価値 7-7 Section 3 キャッシュ・フロー 予測とタックス・ シールド 7-13 Section 1 設備投資意 思決定の概 7-4 7-1 Section 4 資本コスト 7-20 Section 5 投資案の 評価方法 7-24 Section 6 設備投資意思 決定の解き方 と例題 7-39

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Ⅲ 直接原価計算・意思決定会計 編

CONT EN T S

みんなの本宣言/ⅢサポートMAP/Ⅳ本書の特徴・使い方/Ⅵ日商1級の攻略方法/Ⅶ

得点計画/ⅨネットスクールWEB講座のご案内/Ⅹ日商1級のプロフィール/XIV

Chapter 5事業部の業績評価、営業費計算

Section 1セグメント別損益計算

5-3

Section 2営業費計算

5-175-1

Chapter 2CVP関係の分析

Section 01級合格のための2級の知識

2-3

Section 1CVP関係の分析

2-5

Section 2直接原価計算とCVP分析

2-122-1

Section 3原価の固変分解

2-32

Chapter 3最適セールスミックスの決定

Section 1最適セールスミックスの決定

3-33-1

Chapter 4企業予算の編成─ 利益計画と利益統制

4-1

Section 1企業予算の編成

4-3

Section 2利益統制と予算実績差異分析

4-12

Chapter 6意思決定会計①~業務執行的意思決定~

Section 2意思決定における原価

6-5

Section 3業務執行的意思決定

6-10

Section 1意思決定会計の基礎知識

6-36-1

Section 4経済的発注量

6-25

Chapter 1直接原価計算

Section 1直接実際原価計算

1-41-1

Section 01級合格のための2級の知識

1-3

Section 2直接標準原価計算

1-30

Chapter 7意思決定会計②~設備投資意思決定~

Section 2貨幣の時間価値

7-7

Section 3キャッシュ・フロー予測とタックス・シールド

7-13

Section 1設備投資意思決定の概要

7-47-1

Section 4資本コスト

7-20

Section 5投資案の評価方法

7-24

Section 6設備投資意思決定の解き方と例題

7-39

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とおるテキスト(Ⅲ)

1級

巻末/索引・トラブルシューティング・Q&A

★  学習のスケジューリングに便利な「攻略チャート」は本書のカバー裏にありますので、ご活用

ください。

 ●校正スタッフ/ 山田 裕基 中村 雄行 神﨑 里佐 富久田文昭 早川 美代 井出 卓也 栗山 正豊 平野 文顕 内山 雄貴 梅津 大輔 住野 正敏

●カバーイラスト/平松 尚樹●カバーデザイン/久積 昌弘(B-rain)●本文イラスト/サワダサワコ

Chapter 8戦略的原価計算

Section 2活動基準原価計算

8-12

Section 3品質原価計算

8-16

Section 1目標原価計算

8-38-1

Section 4ライフサイクル・コスティング

8-19

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XIV

1.過去の合格率

※121回、124回、127回(2月)、130回(2月)は2・3級のみで、1級は実施されていません。

 最新の合格率はネットスクールのホームページ (http://www.net-school.co.jp/licence/nis_1q.html)にも掲載しております。そちらもあわせてご覧ください。

2.受験資格 年齢、性別、学歴、国籍など、一切制限はありません。2級を持っていなくても受験できます。

3.試験日 年間2回(6月、11月)実施されます。 ※このほかの級の日商簿記検定試験は2月にも実施されますが、1級は実施されません。

4.試験会場 全国の商工会議所、もしくは商工会議所の指定する会場。 詳しくは最寄の商工会議所へお問合わせください。

5.1級の試験内容

 ※1級の場合、1科目でも得点が 40%(10点)に達しない場合、不合格になります。

日商1級のプロフィール

回  数

受験者数

合格者数

合 格 率

平均合格率

平成20年

119 120 121 13,043 15,889 1,105 1,479

8.5% 9.3%

8.9%

平成21年

122 123 124 14,339 16,568 1,464 1,518

10.2% 9.2%

9.6%

平成22年

125 126 127 15,367 17,027 1,338 2,258

8.7% 13.3%

11.1%

平成23年

128 129 130 13,160 14,731 1,365 1,919

10.4% 13.0%

11.77%

平成24年

131 132 133 11,960 ― 1,455 ―

12.2% ―

級 別 科 目 制限時間 程 度 商業簿記 1 級

会 計 学 3時間

工業簿記 原価計算

税理士、公認会計士などの国家試験の登竜門。大学程度の商業簿記、工業簿記、原価計算並びに会計学を修得し、財務諸表規則や企業会計に関する法規を理解し、経営管理や経営分析ができる。

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-1

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Chapter 3

最適セールスミックスの決定

最適セールスミックスの決定の全体像

例 題 重要度

Section 1 最適セールス ……… 3-3ページ ミックスの決定

1 最適セールスミックスとは ★☆☆☆☆

2 制約条件が1つの場合の 例1-1~例1-2 ★★★★★ 最適セールスミックスの決定

3 制約条件が複数の場合の 例1-3~例1-4 ★★★★★ 最適セールスミックスの決定

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3-2

Chapter 3

最適セールスミックスの決定金子部長: 「ここでは最適セールスミックスの決定について見ていくことになる。『最適』

とは利益を最大にするという意味で、『セールスミックス』は販売量の組合せのことだ。つまり複数の製品が存在する場合に、利益を最大にする各製品の販売数量を決定しようということだ」

岩田さん: 「前のChapterでは、複数製品を前提にしたCVP分析を学習し、各製品の販売割合が一定であるとして分析を行ったのですが、今度はこの比率を決めようという話ですか」

金子部長: 「そのような場合も含まれるが、複数製品のCVP分析を行い、決定した目標にもとづき予想利益を計算したら、経営者の希望する利益を下回っていたので、予想利益を改善する場合に用いることも多い。当社でも予想利益が希望利益を下回っていてねぇ。社長に命ぜられて私も取り組んでいるところだよ…」

はじめに

用語集 ・最適セールスミックス … 一定の制約条件のもとで企業の利益を最大にする各製品の販売数量の組合せ。

・線型計画法(リニアープログラミング、LP)           … 制約条件が複数存在する場合に、最適セール

スミックスを決定する方法。

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-3

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重要度 ★★★★★

最適セールスミックスの決定はじめに金子部長: 「当社の『カンヌ』と『ミラノ』だが、改めて調べてみると単位当たり貢献利

益は『カンヌ』@1,200円、『ミラノ』@1,000円だとわかった。また両製品はほぼ均等に売れているということだ」

岩田さん:「ということは、セールスミックスが1:1ということですね」金子部長: 「そのとおりだ。ということは、『カンヌ』をより多く販売した方が会社全

体の貢献利益が増え、したがって営業利益も増加することを意味している。そこで最適セールスミックスを計算してみよう」

Section

1

1 最適セールスミックスとは 最適セールスミックスとは、一定の制約条件のもとで企業の利益を最大にする販売量の組合せです。 最適セールスミックスが問題となるのは、経営管理者が短期利益計画の段階において予想利益を計算した結果が、経営者の希望する利益を下回った場合に予想利益の改善を図る場合などです。 例えば当社では2種類の製品Aと製品Bの製造販売に従事し、直接原価計算を採用しており、次の情報(予算原案)を入手したとします。

 この予算原案では予想営業利益が120万円となっており、希望利益を下回ったものとします。そのため、経営管理者はセールスミックスの変更によって、営業利益を改善することを検討しています。 予算原案では、セールスミックスは1:1(製品A:製品B=1,000個:1,000個)ですが、各製品の単位当たり貢献利益率を見ると、製品Aは60%、製品Bは50%ですから、収益力は製品Aが勝っています。そこで、企業全体で2,000個の製品を製造販売するのであれば、製品Aにもてる力を注ぎ、製品Aを2,000個製造販売し、製品Bの製造販売を中止した方が、営業利益が20万円増加することがわかります。

損益計算書(予算原案)                      製品A(1,000個) 製品B(1,000個) 合 計売 上 高 @2,000円 200万円 @2,000円 200万円 400万円変 動 費 @800円 80万円 @1,000円 100万円 180万円貢 献 利 益 @1,200円 120万円 @1,000円 100万円 220万円固 定 費 100万円営 業 利 益 120万円貢献利益率 60% 50%

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3-4

 しかしながら、企業内外に制約条件が存在するために、話はこのように簡単にはいきません。ここでは、最適セールスミックスの決定について、制約条件が1つの場合と、複数の場合とに分けて考えていきます。

2 制約条件が1つの場合の最適セールスミックスの決定 各製品に共通の制約条件が1つの場合、制約条件1単位当たり貢献利益額を算定し、収益力を比較します。そして収益力が勝っている製品を、その製品の個別的制約条件ぎりぎりまで製造販売し、残りの資源をその他の製品に振り向ける、と考えて最適セールスミックスを決定します。

損益計算書(修正原案)                       製品A(2,000個) 製品B(0個) 合 計売上高 @2,000円 400万円 @2,000円 -万円 400万円変動費 @800円 160万円 @1,000円 -万円 160万円貢献利益 @1,200円 240万円 @1,000円 -万円 240万円固定費 100万円営業利益 140万円

 次の資料にもとづき、⑴最適セールスミックス、および⑵そのときの営業利益を求めなさい。両製品ともに組立部で作業を行い完成する。

製品A  製品B 販 売 単 価 @2,000円 @2,000円単位当たり変動費 @800円 @1,000円単位当たり作業時間 2時間 4時間実現可能最大需要量 2,200個 1,800個年 間 作 業 能 力 8,000時間なお、各製品に共通的に発生する固定費(共通固定費)が100万円である。

例1-1 制約条件が1つの場合の最適セールスミックス1

⑴最適セールスミックス  製品A 2,200個  製品B 900個⑵そのときの営業利益   254万円

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-5

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1.各製品の収益力の比較 両製品は組立部での作業の結果、完成します。そのため、組立部の年間作業能力が両製品に共通の制約条件となります。

 ⑴各製品の単位当たり貢献利益額 製品A  製品B 販 売 単 価 @2,000円 @2,000円単位当たり変動費 @800円 @1,000円単位当たり貢献利益 @1,200円 @1,000円

⑵組立部年間作業能力1時間当たりの貢献利益 製品A:@1,200円÷2時間=@600円/時間 製品B:@1,000円÷4時間=@250円/時間

2.製品Aの製造販売量 実現可能最大需要量の2,200個まで製造販売することになります。 またそのときに年間作業能力8,000時間のうち4,400時間(=2,200個×2時間)が、製品Aの製造に振り向けられる時間となります。

3.製品Bの製造販売量 年間作業能力8,000時間のうち残りの3,600時間(=8,000時間-4,400時間)が、製品Bの製造に振り向けられる時間となります。したがって、製品Bの製造販売量は900個(=3,600時間÷4時間)となります。

4.最適セールスミックスにおける営業利益

 または、  営業利益:@1,200円×2,200個+@1,000円×900個-100万円=254万円

収益力は、製品A⇒製品Bの順

損益計算書                    製品A(2,200個) 製品B(900個) 合 計売 上 高 @2,000円 440万円 @2,000円 180万円 620万円変 動 費 @800円 176万円 @1,000円 90万円 266万円貢 献 利 益 @1,200円 264万円 @1,000円 90万円 354万円固 定 費 100万円営 業 利 益 254万円

とおるゼミCh3問題1-問1、問題3、問題5へ

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3-6

 NS工場では、2種類の製品、甲品と乙品を製造している。下記の資料にもとづき、最適プロダクトミックスの甲品、乙品の年間生産販売量およびそのときの年間貢献利益を求めなさい。■資 料■1 .当工場では能率の異なる2種類の設備を使用しており、各製品はいずれの設備を用いても生産可能である。1個当たりの機械作業時間および設備の年間稼働可能時間は次のとおりである。

  甲品     乙品   年間稼働可能時間設備1 25分/個 10分/個 144,000分設備2 30分/個 20分/個 144,000分

2.製品1個当たりの貢献利益は甲品が1,500円、乙品が400円である。3.甲品、乙品それぞれ需要の上限は年間7,200個である。

例1-2 制約条件が1つの場合(設備の最適利用を考慮した分析)2

甲品 7,200個乙品 7,200個年間貢献利益 13,680,000円

1.優先順位の判断 本問では、各製品に共通した制約条件(年間稼働可能時間)当たり貢献利益を比較して、優先すべき製品を決定しますが、さらに、どちらの設備を利用しても生産可能のため、いずれの設備を優先して使用するのかも考慮します。

甲品 乙品 差額利益

設備1 1,500円25分 =60円/分 400円

10分 =40円/分 20円/分

設備2 1,500円30分 =50円/分 400円

20分 =20円/分 30円/分

 いずれの設備でも甲品の方が1分当たり貢献利益が大きく有利です。このため、乙品の1分当たり貢献利益は甲品の選択にともなう逸失利益(機会原価)と考えられるため、これを控除して差額利益を算出します。この結果、設備2を優先して甲品を生産する方が10円/分だけ有利となります。

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-7

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3 制約条件が複数の場合の最適セールスミックスの決定 各製品に共通の制約条件が複数存在し、制約条件ごとの1単位当たり貢献利益額を算定し、収益力を比較した結果、共通する制約条件によって収益力の勝る製品が異なる場合に、最適セールスミックスを決定する方法として、線型計画法(リニアープログラミング、LP)があります。

 次の資料にもとづき、⑴最適セールスミックス、および⑵そのときの営業利益を求めなさい。なお、各製品に共通的に発生する固定費(共通固定費)は100万円である。また、両製品ともに組立部で作業を行った後、機械部の作業を行い完成する。

例1-3 リニアープログラミング①

販 売 単 価単位当たり変動費単位当たり貢献利益単位当たり作業時間単位当たり機械時間実現可能最大需要量年 間 作 業 能 力年間機械稼働能力

製品A2,000円 800円 1,200円 2時間4時間 2,200個

製品B2,000円 1,000円 1,000円4時間2時間 1,800個

8,000時間  10,000時間 

⑴最適セールスミックス  製品A 2,000個  製品B 1,000個⑵そのときの営業利益   240万円

2.最適セールスミックスの検討 仮に、設備1を優先した場合、解答に比べて乙品を需要限度の7,200個まで生産できず、貢献利益が864,000円(=13,680,000円-12,816,000円)少なくなり、最適プロダクトミックスとはならないことがわかります。設備2を優先して甲品から生産する場合:(解答) 設備1を優先して甲品から生産する場合:

設備2→甲品 144,000分30分 =4,800個 設備1→甲品 144,000分

25分 =5,760個

設備1→甲品 7,200個-4,800個=2,400個 設備2→甲品 7,200個-5,760個=1,440個

設備1→乙品144,000分-2,400個×25分

10分=8,400個(ただし需要の上限は7,200個)

設備2→乙品144,000分-1,440個×30分

20分=5,040個

以上より、 甲品 7,200個乙品 7,200個貢献利益 13,680,000円

以上より、 甲品 7,200個乙品 5,040個貢献利益 12,816,000円

とおるゼミCh3 問題6へ

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3-8

1.各製品の収益力の比較

 両製品は組立部での作業を行い、次いで機械部で作業を行い、完成します。そのため、組立部の年間作業能力および機械部の年間機械稼動能力の2つが、両製品に共通の制約条件となります。

 ⑴各製品の単位当たり貢献利益額(例1-1と同じ) 製品A  製品B 販 売 単 価 @2,000円 @2,000円単位当たり変動費 @800円 @1,000円単位当たり貢献利益 @1,200円 @1,000円

 ⑵組立部年間作業能力1時間当たりの貢献利益  製品A:@1,200円÷2時間=@600円/時間  製品B:@1,000円÷4時間=@250円/時間

 ⑶年間機械稼働能力1時間当たりの貢献利益  製品A:@1,200円÷4時間=@300円/時間  製品B:@1,000円÷2時間=@500円/時間 ⑵、⑶の結果から、共通の制約条件が異なると、優先して製造販売すべき製品が異なることがわかります。そのため、線型計画法により最適セールスミックスを求めます。

2.問題の定式化 ⑴目的関数の設定   目的関数とは、各製品の販売量とそのときの貢献利益との関係を表します。   貢献利益をZ、製品Aの生産販売量をa、製品Bの生産販売量をbとすると、目的関数は  MaxZ=Max(1,200a+1,000b)01)として示すことができます。  MaxZはZが最大になるaとbの組合せを意味しています。

 ⑵制約条件式   制約条件式とは、各製品に共通にかかる制約条件を数式で表したものです。  作業時間から  2a+4b≦8,000 02) …①  機械時間から  4a+2b≦10,000 …②  市場の需要から a≦2,200 …③  b≦1,800 …④

 ⑶非負条件  製品生産量にマイナスはないことを表しています。   a≧0 b≧0 03)

01) 貢献利益 @ 1,200 円の製品 Aを a個、貢献利益 @ 1,000 円の製品 Bをb個売ったときの貢献利益は Z円であることを表しています。

02) 製 品 A と製品 B の年間作業時間があわせて 8,000 時間以内であることを表します。

03)生産量が 0(生産しない方がよい)の場合もあるので≧になります。

収益力は、製品A⇒製品Bの順

収益力は、製品B⇒製品Aの順

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-9

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3

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04)②の線の引き方 4a + 2b = 10,000 これに a = 0 を代入すると

  b= 5,000  b = 0 を代入すると a= 2,500

  この 2点を直線で結ぶ

05)可能領域の中でのセールスミックスはすべての制約条件を満たします。

3.最適セールスミックスの決定 ⑴グラフ上で探す方法   グラフ上にMaxZの直線(傾きのみ考慮した線)を書き、原点から遠ざかるように平行移動させます。そして可能領域の中で最後に接触した点が最適セールスミックスとなります06)。

 ⑵計算式で探す方法   制約条件式の交点の座標(組合せ)を求め、それをMaxZの式にあてはめて貢献利益が最大になる組合せを探します。   例えば、点Wはグラフ上の直線①と④の交点なので、①と④で連立方程式を立ててa、bを求めます。   2a+4b=8,000 …①   b=1,800 …④

 ①式と④式の交点の座標の求め方(点W) ・④式を①式に代入する

2a+4×1,800=8,0004×1,800を右辺に移項して… 2a=8,000-7,200両辺を2で割って…     a=400

  よって、a=400、b=1,800となります。

 ①式と②式の交点の座標の求め方(点X) 2a+4b=8,000 …① 4a+2b=10,000 …②

06) ただし、本試験では定規が使えないので、この方法は正確な数値ではなくおおよその値を求めるときに使うようにしましょう。

 ⑷グラフの作成  目的関数、制約条件式をグラフに表します。

  ①~④の制約条件式に囲まれた内側を可能領域05)といいます。  最適セールスミックスは制約条件式の交わる点のいずれかになります。

5,000

2,0001,800

0 2,200 2,500 4,000

①可能領域

Max Z

製品B(個)

製品A(個)

V W

XYZ

04)

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3-10

4.最適セールスミックスにおける営業利益

 または、  営業利益:@1,200円×2,000個+@1,000円×1,000個-100万円=240万円

損益計算書                    製品A(2,000個) 製品B(1,000個) 合 計売 上 高 @2,000円 400万円 @2,000円 200万円 600万円変 動 費 @800円 160万円 @1,000円 100万円 260万円貢 献 利 益 @1,200円 240万円 @1,000円 100万円 340万円固 定 費 100万円営 業 利 益 240万円

リニアープログラミングを解答するコツ 最適セールスミックスをグラフ上で探した場合、正確な数字はわかりません。また計算式で探した場合、計算違いを発見することができません。実際には、両者を併用することでお互いの欠点を補います。したがってグラフはできるだけ正確に書くことを心がけましょう(本試験では計算過程の代わりにグラフを書かせることもあります)。

サ プ リ

  ①式の両辺に2を掛ける ①式×2 … 4a+8b=16,000 …①́  

  ①́ 式-②式 4a+8b = 16,000

-) 4a+2b = 10,000 6b = 6,000b = 1,000

 ・①式にb=1,000を代入する 2a+4×1,000=8,000 2a=4,000  a=2,000

  よって、a=2,000、b=1,000となります。   点V、Y、Z についても同様に、交点における製品A、Bの数量を求めると以下のようになります。

VWXYZ

製品A0個400個2,000個 2,200個 2,200個

貢献利益1,800,000円2,280,000円3,400,000円3,240,000円2,640,000円

製品B1,800個 1,800個 1,000個 600個0個

最適セールスミックス

④①と④の交点①と②の交点②と③の交点③

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-11

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 例1-3における製品Bについては、将来さらに競争が激化し、値下げを行う可能性がある。そこで他の条件に変化がないものとして、製品Bの1個当たりの貢献利益が、いくらより少なくなれば、例1-3で求めた最適セールスミックスが変化するであろうか。

例1-4 リニアープログラミング②

600円よりも少なくなれば、最適セールスミックスが変化する

製品Xおよび製品Yを量産するM社では直接標準原価計算を採用している。

⑴  両製品とも、材料を機械加工部で加工し、次いで組立部で組み立てて完成する。これらの製造部門における各製品1個当たりの標準作業時間と月間の生産能力は、次のとおりである。

⑵  M社の市場占拠率の関係から、Xに対する需要限度量は 2,500個、Yに対する需要限度量は 3,000個であり、それを超えて生産・販売することはできない。⑶ 両製品に関する財務データは、次のとおりである。

  上記の条件にもとづき、次の問に答えなさい。

[問 ]製品Xおよび製品Yを月間何個ずつ生産・販売すれば、最大の営業利益が得られるか、すなわち月間の最適セールスミックスとそのときの営業利益を求めなさい。

Try it 例題

2時間 1時間

7,000時間

組 立 部機械加工部2時間 3時間

12,000時間

X1個当たりの標準作業時間Y1個当たりの標準作業時間月間生産能力

製 品 X 4,000円 2,500円

製 品 Y4,500円 2,700円

販 売 単 価製品単位当たりの標準変動費なお、両製品の月間共通固定費予算は 330万円である。

 製品Bの値下げにより、製品Aよりも収益性が悪化すると、最大の営業利益を獲得する端点はXから、製品Bの製造販売量が少なく、製品Aの製造販売量のより多くなる端点Yに変化します。 そのため、変化後の製品Bの単位当たり貢献利益をα(円)とおくと、  点Xの貢献利益:@1,200円×2,000個+@α円×1,000個          =2,400,000+1,000α  点Yの貢献利益:@1,200円×2,200個+@α円×600個          =2,640,000+600α また、点Xの貢献利益<点Yの貢献利益となるαを求めたいため、  2,400,000+1,000α < 2,640,000+600α          α < 600(円) したがって、値下げによって製品Bの1単位当たり貢献利益が600円よりも少なくなれば、最適セールスミックスが変化します。

とおるゼミCh3 問題1-問2、問題2、問題4へ

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3-12

解説1.収益性の判断 ⑴機械加工部1時間当たりの貢献利益

製品X: @1,500円2時間 =@ 750円

製品Y: @1,800円1時間 =@1,800円

 ⑵組立部1時間当たりの貢献利益

製品X: @1,500円2時間 =@750円

製品Y: @1,800円3時間 =@600円

        ↓優先すべき製品が異なるため、最適セールスミックスはリニアープログラミングによって求めます。2.目的関数、制約条件式の設定  製品X、製品Yの生産販売数量をそれぞれx、y、貢献利益をZとすると、 Z = 1,500x + 1,800y と示されます。

目 的 関 数:MaxZ=Max(1,500x+1,800y)制約条件式:機械加工時間から 2x+y≦7,000…①      組立時間から 2x+3y≦12,000…②      市場の需要から x≦2,500…③ y≦3,000…④非 負 条 件:x≧0、y≧0

製品Yを優先すべき

製品Xを優先すべき

月間の最適セールスミックス  X 2,250 個              Y 2,500 個月間営業利益 4,575,000 円

解答

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Chapter 3 最適セールスミックスの決定 3-13

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3.グラフの作成 目的関数、制約条件式をグラフに表します。

4.最適セールスミックスの決定 貢献利益の直線と可能領域との交点で、原点から最も遠ざかるところが最適セールスミックスとなります。本問では点Cとなります。 点Cは直線①・②の交点なので、①・②について連立方程式を立てます。   2x+y=7,000……①   2x+3y=12,000…② これを解くと、x=2,250 y=2,500となります。 したがって、最適セールスミックスおよび営業利益は次のとおりです。

   製品X 2,250個   製品Y 2,500個

 営業利益:(@1,500円×2,250個+@1,800円×2,500個)-3,300,000円=4,575,000円  共通固定費

5.計算式で探す方法 各交点の座標を求め、貢献利益を計算します。

 貢献利益が最大になる点Cが最適セールスミックスとなります。 営業利益: 7,875,000円-3,300,000円=4,575,000円

製 品 X0個

1,500個2,250個2,500個2,500個

④②と④の交点①と②の交点①と③の交点③

製品 Y3,000個3,000個2,500個2,000個0個

貢 献 利 益5,400,000円7,650,000円7,875,000円7,350,000円3,750,000円

ABCDE

とおるゼミCh3 問題1、問題2、問題4へ

7,000

4,000

3,000

0 2,500 3,500 6,000

V

可能領域

A B

C

D

E

MaxZ

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3-14

今現在“生きている”ことの意味

 「死ぬ気になったら何でもできるのに…」とは、他人が自殺したというニュースを聴いたときの母の口癖である。「もう、生きるの辞めよう」と思って旅に出たことのある息子としては、それは生きる側の論理で、死ぬ側は「何もする気がなくなったから死ぬ」のだと思う。

 結果として、今生きている私は「人にはそれぞれその役目があり、それを終えたときに死ぬものだ」と思っている。逆に人が、今現在“生きている”ということは、それ自体必ずまだ“果たすべき役目がある”ということだと信じている。絶対にそうだ。

 よく志半ばで、という話を聴くが、それはきっとその志を他の人に引き継ぐ役目だったのではないかと思う。そして生を全うするということは、自らの役目を最高の形で演じ切ることであり、長命とは、自らに次々に役目を課すことではないだろうか、と私は思っている。