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THE HARRIS SCIENCE REVIEW OF DOSHISHA UNIVERSITY, VOL. 56, No. 2 July 2015 ( 45 ) Verification of a Seat Occupancy/Vacancy Detection Method Using High-Resolution Infrared Sensors Daichi TERAI ** , Mitsunori MIKI * , Katsuya ITO ** , Ryohei JONAN ** , Hiroto AIDA * (Received April 17, 2015) We have conducted research on the Intelligent Lighting System that realizes illuminance demanded by a worker at minimum power. In a real office, the system realized improving in office workers comfort and reducing the power consumption. In the system, workers are necessary to change the occupancy/ vacancy status. However, some workers didn’t change it appropriately. There were lights that provided brightness more than required even though there were no workers. Thus, we propose a method for automatically controlling changes in the occupied/ unoccupied status of a worker’s seat. This study uses high-resolution infrared sensors that can detect temperature. The method detects the occupied/ unoccupied status of a worker’s seat by using temperature values output by high-resolution infrared sensors and their differences. We confirmed that the system incorporating the proposed method detects the occupied/ unoccupied status. Key words : intelligent lighting systemofficeinfrared sensor キーワード : 知的照明システム,オフィス,赤外線センサ マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法の検討 寺井大地, 三木光範, 伊藤克也, 上南遼平, 間博人 1. 序論 近年,オフィス環境における執務者の知的生産性お よび創造性の向上が求められている.また,オフィス 環境を改善することによって,執務者の知的生産性が 向上すると報告されている 1) .特に,オフィスにおけ る光環境が執務者の快適性に及ぼす影響に関する研究 は広く行われており,執務に最適な明るさを個人ごと に提供することが快適性の向上に繋がることが明らか になっている 2) このような背景から,我々は執務者の要求する任意 の照度を最小の電力で実現する知的照明システムの 研究を行っている 3) .知的照明システムでは,机上に 照度センサを設置することによって,照明の電源配線 に依存することなく,個々の執務者の目標照度を実現 する.目標照度は個々の執務者が要求する明るさを指 し,個々の執務者が机上のパソコンあるいは照度セン サに取り付けた目標照度変更ボタンから設定する.こ * Department of Science and Engineering, Doshisha University, Kyoto Telephone:+81-774-65-6930, Fax:+81-774-65-6716, E-mail:[email protected] ** Graduate School of Science and Engineering, Doshisha University, Kyoto Telephone:+81-774-65-6930, Fax:+81-774-65-6716, E-mail:[email protected]

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THE HARRIS SCIENCE REVIEW OF DOSHISHA UNIVERSITY, VOL. 56, No. 2 July 2015

( 45 )

Verification of a Seat Occupancy/Vacancy Detection Method

Using High-Resolution Infrared Sensors

Daichi TERAI** , Mitsunori MIKI* , Katsuya ITO** , Ryohei JONAN** , Hiroto AIDA*

(Received April 17, 2015)

We have conducted research on the Intelligent Lighting System that realizes illuminance demanded by a worker

at minimum power. In a real office, the system realized improving in office workers comfort and reducing the power

consumption. In the system, workers are necessary to change the occupancy/ vacancy status. However, some workers

didn’t change it appropriately. There were lights that provided brightness more than required even though there were

no workers. Thus, we propose a method for automatically controlling changes in the occupied/ unoccupied status of a

worker’s seat. This study uses high-resolution infrared sensors that can detect temperature. The method detects the

occupied/ unoccupied status of a worker’s seat by using temperature values output by high-resolution infrared sensors

and their differences. We confirmed that the system incorporating the proposed method detects the occupied/ unoccupied

status.

Key words : intelligent lighting system,office,infrared sensor

キーワード : 知的照明システム,オフィス,赤外線センサ

マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法の検討

寺 井 大 地, 三 木 光 範, 伊 藤 克 也, 上 南 遼 平, 間 博 人

1. 序論

近年,オフィス環境における執務者の知的生産性お

よび創造性の向上が求められている.また,オフィス

環境を改善することによって,執務者の知的生産性が

向上すると報告されている1).特に,オフィスにおけ

る光環境が執務者の快適性に及ぼす影響に関する研究

は広く行われており,執務に最適な明るさを個人ごと

に提供することが快適性の向上に繋がることが明らか

になっている2).

このような背景から,我々は執務者の要求する任意

の照度を最小の電力で実現する知的照明システムの

研究を行っている3).知的照明システムでは,机上に

照度センサを設置することによって,照明の電源配線

に依存することなく,個々の執務者の目標照度を実現

する.目標照度は個々の執務者が要求する明るさを指

し,個々の執務者が机上のパソコンあるいは照度セン

サに取り付けた目標照度変更ボタンから設定する.こ

* Department of Science and Engineering, Doshisha University, Kyoto

Telephone:+81-774-65-6930, Fax:+81-774-65-6716, E-mail:[email protected]

** Graduate School of Science and Engineering, Doshisha University, Kyoto

Telephone:+81-774-65-6930, Fax:+81-774-65-6716, E-mail:[email protected]

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寺 井 大 地 ・ 三 木 光 範 ・ 伊 藤 克 也 ・ 上 南 遼 平 ・ 間   博 人114

れまで知的照明システムはその有効性が検証されてき

た4).その有効性が認められ,東京都内および福岡県

内の実オフィスにおいて実証実験が行われている5,6).

知的照明システムは,執務者が離席しているスペー

スに対しては照度を提供する必要がないと判断する.

このとき,他の執務者の執務スペースに影響を与えな

いように,周辺に位置する照明を減光あるいは消灯す

ることで,さらに高い省エネルギー性を実現できる.

しかし,実オフィスにおける実証実験の結果から,執務

者による在席・離席状態の変更が適切に行われていな

いことがわかった.これにより,実際は執務者が不在

であるにもかかわらず必要以上の明るさで点灯する照

明が存在することを確認した.そこで,執務者の在席・

離席状態の変更を自動的に管理する手法を提案する.

本研究では汎用的なセンサである赤外線センサを設

置し,執務者の在席・離席状態を検知する手法を提案

する.従来の赤外線センサを用いた手法では赤外線セ

ンサの検知範囲に人が存在するか否かの 2 値を基に

照明の制御を行う.しかし,知的照明システムでは検

知範囲に複数の執務者がいるため,執務者の詳細な在

席状態の把握が必要になる.そこで,256分割した画

素に対して温度測定できるマルチエリア型人感センサ

を用いて在席・離席検知手法の提案およびその検証を

行う.

2. マルチエリア型人感センサ

2.1 マルチエリア型人感センサの概要

マルチエリア型人感センサは広い視野範囲と高精度

なエリア温度検知を実現した非接触型の温度センサで

ある.今回使用するマルチエリア型人感センサを Fig.

1に示す.マルチエリア型人感センサの仕様を Table

1に示す.

既存の人感センサとマルチエリア型人感センサとの

相違点は,センサの検知範囲にいる人数をおおまかに

特定できる点である.既存の人感センサでは検知範囲

に人が存在するか否かの 2値の検知を行うため,人の

数および位置を特定することができない.一方で,マ

Fig. 1. High-resolution infrared sensor.

Table 1. Specification of the high-resolution infrared

sensor.Measurement MEMS Thermal IR Sensor

Element Type 16 × 16 pixels

Detection Range 3.6 m× 3.6 m

(3 m detection length)

View Angle 90 ◦

Temperature Range 5 - 50 ◦C

Temperature Resolution 0.15 × 10−2 ◦C

ルチエリア型人感センサでは検出可能範囲全体の温度

がわかるため,人の数および位置を把握することが可

能である.なお,マルチエリア型人感センサは検出可

能範囲を 256分割し,それぞれの画素に関してその画

素内の平均温度を出力する.

2.2 人および PCに生じる温度の検証

マルチエリア型人感センサは 256画素に対して温度

測定を行う.よって,マルチエリア型人感センサを人

の検知に使用する場合,人と周囲環境との温度差が重

要となる.また,マルチエリア型人感センサの使用を

想定している環境はオフィス環境であるため,執務者

の PC作業が想定され,人と PCの温度差が重要とな

る.したがって,人と PCおよびその周囲環境との温

度差を明確にする必要がある.

そこで,人および PC周辺の温度を比較する.マル

チエリア型人感センサが検知できる範囲に 2人の執務

者と 4台の PCが存在する場合の環境を Fig. 2に示

す.Fig. 3はマルチエリア型人感センサが出力する温

度分布を各画素について 2値化した図である.Fig. 3

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マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法の検討

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Fig. 2. Environment with human and PC in detec-

tion area.

Fig. 3. Temperature distribution of the high-

resolution infrared sensor ( binary ).

における灰色の画素は閾値を超えた温度を示した画素

である.なお,256画素全体の平均温度+1.0 ◦Cを閾

値として 2値化を行った.

人およびPCの周辺をFig. 3に示す黒実線枠内の計

32画素,PCの周辺を Fig. 3に示す黒破線枠内の計 8

画素とする.机や床といった熱源ではない画素では温

度分布の差がなかったため,各黒枠に属さない 216画

素を机および床などの熱源ではない画素とする.最高

温度,最低温度および平均温度を計測し,人およびPC

周辺温度を比較する.なお,室温は 24 ◦C,湿度は 47

%の環境において空調を切った状態で計測を行った.

このときの計測結果を Table 2に示す.Table 2か

ら,マルチエリア型人感センサが出力する温度は人と

机・床の平均値を比較すると 0.73 ◦Cの差がある.ま

た,PCと机・床における温度の平均値を比較すると

1.10 ◦Cの差がある.このことから,熱源を検知する

Table 2. Comparision of the temperature near hu-

man and PC.Measuring Range Highest [◦C] Lowest [◦C] Average [◦C]

Whole (no heat) 25.46 21.88 23.07

Human / PC 25.46 22.81 23.68

PC 25.36 23.28 24.05

Desk / Floor 25.17 21.88 22.95

Fig. 4. History of temperature difference on desk and

floor.

ために温度の閾値を設けることは有効である.

しかし,Table 2の人とPCの温度を比較すると,大

きな差がみられない.よって,閾値を基準とし各画素

の温度から熱源である人と PCを判別することは困難

であり,Fig. 3に示すように PCを人と誤検知する原

因となる.そこで,マルチエリア型人感センサが出力

する 256画素における過去の温度と現在の温度の差分

(温度差分)を用いて,執務者の在席および離席を検

知する手法を検討する.

2.3 人および PCに生じる温度差分の検証

マルチエリア型人感センサが出力する人と PCの温

度における過去の温度と現在の温度の温度差分につい

て検証する.本節では,マルチエリア型人感センサの

検出範囲内に熱源を設置しない場合における温度差分,

机上面の PCにおける PC周辺の温度差分,着離席前

後における人周辺の執務スペースにおける温度差分に

ついて比較する.なお,温度差分は 5秒前と現在の温

度の差分を用いた.また,室温は 24 ◦C,湿度は 48

%の環境において空調を切った状態で計測を行った.

PCは Lenovo社製の ThinkPad E420を用いた.

机および床に生じる温度差分の遷移を Fig. 4,PC

に生じる温度差分の遷移を Fig. 5,人に生じる温度差

分の遷移を Fig. 6に示す.Fig. 4から机および床に

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Fig. 5. History of temperature difference on PC.

Fig. 6. History of temperature difference on human.

熱源が存在しない場合,大きな温度差分が生じない.

同様に,Fig. 5から PCを机に設置した場合,大きな

温度差分が生じない.しかし,Fig. 6 から着席時お

よび離席時において人が在席している執務スペースに

生じる温度差分は大きく変化することがわかる.さら

に,人が着席している場合,温度差分は大きく変化し

ないため,人の在席・離席状態を検知するために温度

差分を計測することは有効であると考えられる.

3. マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法

3.1 在席・離席検知アルゴリズム

マルチエリア型人感センサが出力する温度とその温

度差分を用いることで,執務者の在席・離席状態を検

知する手法を提案する.在席・離席検知手法における

処理の流れを以下に示す.熱源を判別するための温度

の閾値を T,人の着席および離席を判定するための温

度差分の閾値を∆T,在席検知に必要な画素の隣接数

をN と定義する.

1. 全画素は初期状態を離席区画とする

2. t秒前の温度と現在の温度の温度差分を取得

Fig. 7. Histogram of temperature after sitting down.

Fig. 8. Histogram of temperature difference after sit-

ting down.

3. 温度差分が∆T th ◦C以上かつ温度が T th ◦C以

上の画素を在席区画

4. 温度差分が−∆T th ◦C以下または温度が T th ◦C

以下の画素を離席区画

5. 在席区画の隣接数が Nth以上の画素を在席とし

て検知

6. 在席区画の隣接数が Nth未満の画素を離席とし

て検知

(2)から (6)までの処理を毎秒繰り返すことで,執

務者の在席・離席を検知する.上記のように温度差分

が正の方向に大きく生じた画素を在席区画,負の方向

に大きく生じた画素を離席区画とする.各画素は在席

区画または離席区画のいずれかに属する.なお,温度

差分を用いる性質から初期状態は離席区画とする.ま

た,温度差分∆T が−∆Tth < ∆T < ∆Tthとなる場

合,温度が温度閾値 T thを下回った画素でなければ,

前回の在席・離席状態を継続する.

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マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法の検討

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3.2 在席・離席検知アルゴリズムで用いる閾値の検討

在席・離席検知アルゴリズムで用いる閾値について

検討する.執務者の在席直後における 1秒間の温度の

ヒストグラム例を Fig. 7,温度差分のヒストグラム例

を Fig. 8に示す.Fig. 7および Fig. 8はマルチエリ

ア型人感センサの検知範囲内に熱源を設置せず,被験

者 1人が在席を行ったときの結果である.なお,Fig.

7およびFig. 8において横軸の間隔は 0.01 ◦Cとした.

Fig. 7から,人の温度は周辺環境と比較して高く,

被験者 1 人に対して 5 画素が対応している.人の温

度と周辺環境の温度の間に差があるため,度数が 0と

なる区間が存在する.よって,度数が 0となる区間を

探索することで,温度閾値 T thを決定することがで

きる.提案手法では,256画素全体に対する温度の平

均値から探索を行い,度数が 0となる温度を温度閾値

T thとして設定する.また,Fig. 8から,人が着席時

の温度差分は周辺環境と比較して高く,被験者 1人に

対して 6画素が対応している.同様に,人の着席時の

温度差分と周辺環境の温度差分の間に差があるため,

度数が 0となる温度差分が存在する.提案手法では,

256画素全体に対する温度差分の平均値から探索を行

い,度数が 0となる温度差分を温度閾値∆T thとして

設定する.なお,温度閾値 T thは 256画素全体の温度

の平均値から高い方向へ 1点,温度差分閾値∆T thは

256画素全体の温度差分の平均値から高い方向と低い

方向の 2点設定する.

しかし,Fig. 7は 256画素に対する温度のヒストグ

ラムであるため,0.01 ◦C間隔の度数では低い閾値を

決定し,比較的温度の高い温度の画素を熱源として誤

検知する可能性がある.したがって,連続して度数が

0となった温度を温度閾値 T thとして決定する.本研

究では,5回以上連続して度数が 0となった温度を温

度閾値として用いた.マルチエリア型人感センサの検

知範囲に熱源を除いた状態で 10分間出力した温度か

ら度数が 0となった連続回数の最大値が 4回であった

ことから,4回の場合は熱源が存在しない画素を熱源

として誤検知する.よって,この閾値を採用した.ま

た,温度差分閾値∆T thについても同様に,5回以上

High-resolution Infrared Sensor

Fig. 9. Experiment environment of the seat occu-

pancy detection verification.

連続して度数が 0となった温度差分を閾値とする.な

お,マルチエリア型人感センサを用いて温度検出する

たびに温度が変わるため,この閾値は毎秒更新する.

4. マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法の検証実験

4.1 検証概要

マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席を検

知するシステムの有効性を検証する.実験環境を Fig.

9に示す.マルチエリア型人感センサは Fig. 9に示

す中央の机の中心から真上に設置した.本実験では,

Fig. 9に示す 4座席について,PC作業を想定した場

合に対して 20分間在席および離席を行った.在席・

離席検知は 1秒ごとに行い,在席の場合は 1を出力し,

離席の場合は 0を出力する.その精度について,カメ

ラ画像によるログデータから確認し,検証を行った.

4.2 執務者が PC作業を行う環境における検証結果

本節では,PC作業を行う環境における提案手法お

よび目視による在席・離席の検知率および在席・離席

検知に要する時間の検証を行う.被験者が着席する机

上には PCを設置し 20分間在席および離席を行った.

被験者 Aと Bの提案手法および目視による在席・

離席の遷移を Fig. 10に示す.Fig. 10から在席およ

び離席の検知は良好であることがわかる.また,在席

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(a) SubjectA

(b) SubjectB

Time[sec]

Time[sec]

Occupancy

Vacancy

Occupancy

Vacancy

Fig. 10. The history of occupancy (with PC).

the Seat Vacancy

Elapsed time [sec]

the Seat Occupancy

Fig. 11. Relation between duration and detection

rate ( with PC ).

の検知と比較して,離席の検知に時間を要する場合が

あった.

次に,在席・離席に要する検知時間について検証す

る.在席および離席を検知するまでに要した時間と検

知率との関係を Fig. 11に示す.Fig. 11から,被験

者の在席 5秒後に在席時の検知率は 100 %に達し.離

席 20秒後に離席時の検知率が 100 %に達する.

4.3 検証結果のまとめ

検証実験の結果から,提案手法を用いることでマル

チエリア型人感センサを用いた人の在席・離席を検知

することが可能であると確認できた.また,被験者の

離席後に被験者の体温が机や座椅子に残るため,在席

検知と比較して離席検知に時間を要することがわかっ

た.在席では 5秒後,離席では 21秒後に検知率が 100

%に達することが確認できた.

知的照明システムにおいて在席・離席処理が 1分遅

延した場合,照明の点灯光度が最大値から消灯に推移

したとすると,1分間に生じる消費電力量の差は数Wh

になる.したがって,1分の処理遅延が知的照明シス

テムの消費電力に与える影響は小さく,21秒の遅延は

許容範囲といえる.

5. 結論

知的照明システムの実用化に向けたオフィスでの検

証実験の結果,執務者が正しく在席・離席状態を変更し

ていないことがわかった.そのため,実際は執務者が

不在であるにもかかわらず,不必要な照明が点灯して

いるため,知的照明システムの省エネルギー性が低下

していた.そこで,マルチエリア型人感センサを用い

て在席・離席状態を自動的に変更する手法を提案した.

提案手法の有効性について検証実験を行い,完全に

在席・離席を正確に検知可能であることを確認した.

本研究の一部は,同志社大学理工学研究所研究助成

金の助成を受けて行われた.

参考文献

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5) 小野景子,三木光範,吉見真聡,西本龍生,近江哲也,足立宏,秋田雅俊,笠原佳浩, “LED照明を用いた知的照

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マルチエリア型人感センサを用いた在席・離席検知手法の検討

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明システムの実オフィスへの導入”, 電気学会論文誌 A,

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6) 鈴木真理子,三木光範,田中慎吾,吉見真聡,中川明彦,齋藤敦子,福田麻衣子, “オフィス内フレームを用いた知的照明システムの構築”, 電気情報通信学会論文誌 D,

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