公式アカウントにおける危険 - Fujitsu · Facebookページとファンの関係...

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公式アカウントにおける危険

この章では、企業がSNSを利用するにあたって起こしえるトラブルについて、架空のストーリーで紹介しています。この章でも、すべて実際にあった事件を基にしたもので、大きな誇張はしていません。企業でSNSを利用するに当たって、ユーザーとのコミュニケーションの取り方は最も気を使うところだと思います。一歩間違えると炎上騒ぎを起こしてしまいます。炎上を起こさない、もしくは起きてもその騒ぎを最小限に抑える方法について紹介していきます。

第4章

4-1 誤った情報を投稿したら …………………………… 944-2 不都合なコメントを削除したら …………………… 984-3 不用意な投稿をしたら ………………………………1024-4 なりすましによる投稿を見つけたら ………………1074-5 アカウントが乗っ取られたら ………………………1144-6 今すぐ確認! チェックリスト …………………………119

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第4章 

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4-1 誤った情報を投稿したら

事 例 1

Aさんはある企業のWeb企画部でSNS担当です。この部署は自社サイトのプランニングやアクセス解析、効果測定などを行うかなり忙しい部署で、SNSでの投稿やコメントへの返信はAさんが実質一人でこなしています。彼の部署の上司は、SNSでの投稿内容やユーザーからのコメント内容はチェックしていますが、それらは事後のチェックです。投稿前に内容にチェックが入ることはありません。さてそんな中、Aさんが自社のキャンペーン情報をSNSに投稿したのですが、返ってきたコメントから、どうやら彼はキャンペーン価格に0をひとつ入れ忘れるという大きな誤りをしてしまったようです。慌てて彼は、先の内容を訂正し表記ミスをお詫びをする投稿をしました。これで事が収まるかと思ったのですが、先の誤った情報がすでに拡散しており、一部のユーザー

事 例

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から誤った価格(0が一つ抜けていればそれは安いですよね)で販売しろとのコメントが集中し、SNSが炎上しました。すぐさまAさんは上司に報告し、部署をあげてこれらの炎上の初期消火対応をしていきます。やがては全社を巻き込んでの炎上対策となってしまいました。数日後、どうにか炎上は鎮静化してきたのですが、Aさんは怖くて以前の業務をこなすことができずに部署異動を願い出ました。

解  説

誤った情報はすぐに拡散する人間のやることですので、100%完全ということはありません。ミスは必ず起こるでしょう。メールやWebサイトのページに、誤った情報と気づかずに送信や公開してしまった経験がある人も少なくないと思います。もちろん、これらのミスはできるだけなくしたいのですが、起こってしまった場合、SNSはメールやWebサイトと違い、すさまじい情報拡散力であっという間に誤った情報が収束不可能なほどに拡散していきます。メールの誤送信は、送信した人と受信した人の調整で事が収まるケースが多いでしょう。慌てて訂正したメールを再送し、お詫びをすればそれ以上の追及をすることはまずないと考えられます。しかしSNSでの誤送信の場合、あっという間に多くの人の目に触れてしまうため、取り返しがつかなくなります。SNSでの投稿をメールの延長線上と考えていて、SNSでの発信の範囲は、ファンやフォロワーだけと勘違いしてはなりません。

簡単な投稿=ミスしやすいSNSのサービスは、ごく簡単な操作で投稿が可能です。しかし、投稿しやすい=ミスしやすいという図式が成り立ちます。特に、LINEのスタンプ送信はスタンプを選択するだけの簡単な操作で、確

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認する間もなく投稿されてしまいます。誤ったスタンプ送信などのミスを起こしやすいものですから注意が必要です。

対  策

複数人によるチェックシステムを確立人的なエラーを防ぐためには、やはり複数の目によるチェックが不可欠です。今回のケースで、誤って投稿した担当者一人を責めるのは間違っているでしょう。部署やチーム単位でそれぞれの誤操作をチェックする業務フローを確立していくことが必要です。しかし、SNSでの投稿はリアルタイム性も求められます。何人もの上司にハンコをもらってから投稿するようなフローでは、SNSのよさを活かしきれません。正確さとスピードの両方を兼ね備えたチェックシステムを確立するのはたやすいことではありませんが、社内のヒューマンリソースや投稿の頻度などを考慮して、自社の業務形態に合ったシステムを検討してください。

ヒューマンエラーを防ぐシステムつくりのために○チェックリストを作成し、いつでも確認できるようにしておく

当たり前のことでいいので、投稿時に確認できるチェックリストを作っておきましょう。

○KISS(Keep It Simple Stupid)を心がける業務フローはなるべくシンプルにしましょう。

○ミスをした人は責めず、違反を犯した人を責めるシステムを作ったら、それに従い例外を許さないことです。

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○過去のエラー経験を資産として活用するエラーを犯した経験をうまく活かすことこそエラー防止の最善策です。エラー実例を職場内で共有しましょう。

○コミュニケーションをとりやすい職場の雰囲気を作るお互いに不明な点を確認したり、業務の忙しさや体調についてチェックし合える環境づくりが求められます。

○1日の投稿数やコメント数の上限を決める業務量に大きな変動があると、チェックシステムがうまく働かなくなります。投稿数はあらかじめ決めておきましょう。

○クリティカルな情報は投稿しない価格、日時、連絡先など誤りやすくかつ重要な情報は投稿内容に含めず、Webサイトへ誘導させるようにしましょう。

POINT 誤った情報を投稿しないために○SNSでの誤った情報発信はすぐさま拡散し、後から訂正できないことがあります

○会社や部署を上げて、ヒューマンエラーを防止するチェックシステムを構築しましょう

○エラーを起こした人を責めるのではなく、業務プロセスを徹底的に見直しましょう

○情報の誤発信によって起こった炎上なら、すばやく訂正と謝罪の対応をとり、沈静化するまでとにかく謝罪します

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事 例 2

Aさんが勤務する会社は自社の公式ページをFacebook上で活用しており、Aさんはその公式ページの運用を任されています。その公式ページでは店舗誘導を目的としたキャンペーン情報を告知して、ファンからのコメントによってキャンペーンの効果を測定しています。さて、ある日いつものように公式ページでファンからのコメントをチェックしていると、根拠のない批判や嫌がらせに近いコメントが見つかりました。ふだんはこれらのコメントにはいちいち反応しないのですが、少し数が多いことと同じアカウントからたびたびコメントが寄せられています。他のユーザーがこのコメントを見ると、告知キャンペーンへの期待感や興味が薄れる恐れがあります。Facebookでは寄せられたコメントを削除できる機能があるので、コメン

4-2 不都合なコメントを削除したら 事 例

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ト内容と他のファンへの影響も考えて、Aさんはこのコメントを削除しました。しばらくすると、コメントを削除した件を批判するコメントが集中的に寄せられ、そのページは炎上状態となりました。どうやら、批判的なコメントを寄せていたファンの一人が、自分のコメントが予告なく削除されていることに気づき、他のSNSでこの件を騒ぎ立てたようです。そして、それに釣られた他のユーザーが集中的に批判コメントを浴びせたようです。会社はこの炎上騒ぎに気付き、コメントを削除した相手への個別メッセージによる謝罪と、公式ページ上での謝罪をし、鎮静化へと努めました。

解  説

Facebookページとファンの関係Facebookの公式ページでは、企業がページ管理者となってイベントやキャンペーン情報などを投稿し、企業のプロモーション活動ができます。また、そこを訪れて「いいね!」してくれたユーザーをファンと呼び、彼らとのコミュニケーションスペースとして利用できます。SNSを利用している企業の約8割がFacebookページを利用しているという調査結果もあります

(参照13ページ)。しかし、公式ページを訪れる人は必ずしも、その企業にとって好意的な意見を持っているとは限りません。自社のキャンペーン内容やブランドコンセプトあるいは管理人の対応に批判的なコメントが寄せられることもあるでしょう。それらは純粋に消費者のニーズを表現したものもあるでしょうし、単なる面白半分の嫌がらせのものもあるでしょう。前者を削除してしまうのは言語道断ですが、後者も削除するには慎重な判断が必要です。特に対応をしないでコメントの削除だけをしてもそれは責任放棄となります。そうなると、今度は自社でコントロールできない他のSNS上で、その批判コメントが一人歩きしはじめることもあります。

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対  策

批判的なコメントも削除しないコメントを削除された側からすると、コメントの内容にかかわらず、削除されたことで気分を害して、炎上のきっかけとなる行動を取る恐れがあります。「この企業は隠ぺい体質だ」「消費者の意見など聞く気がないページだ」と触れまわりそれに釣られたユーザーが炎上に加担します。公式ページを企業のPR活動の場と勘違いしてしまうと、自社に不都合な情報を削除してしまい、結果ファンからの信用を失います。公式ページをファンとの交流の場と考えれば、いい意見も悪い意見も残し、どちらにも真摯に対応していく姿勢が大切です。ただし、ページ上のファン同士が対立したことで、お互いを誹謗中傷するようなコメントがなされたら、これは放置しておいてはいけません。ページ運営側が仲裁者となって、対立しているファン同士をいさめます。きちんと双方の意見に耳を傾け、対立意見の着地点を見出していきます。

Facebookページでコメントを削除操作

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担当者が一人で判断しない公式ページ上での交流は、ファンからすれば企業の代表者とやり取りをしていると感じています。それが実際には一担当者とのやり取りであっても、顧客に対する企業姿勢やSRを判断します。したがって、批判的なコメントに返信したり、ファン同士の諍いを仲裁したりするときは、担当者一人で判断せず、こうした場合に誰と誰に相談・確認をするか、あらかじめ社内で専用のチームを作っておく必要があります。

Word

「SR(social responsibility)」企業においては顧客、株主、従業員、取引先、地域社会などのさまざまな利害関係者を重視しながら果たす社会的責任のこと。例えば、顧客からの説明要求に対し、その説明責任を果たすための十分な情報を提供していくことなどが挙げられる。

POINT ユーザーとコミュニケーションをとるために○SNSは顧客とのコミュニケーションの場であり、顧客からの投稿やコメントを尊重する姿勢が大切です

○公式SNS上でのコミュニケーションが円滑にできるように管理することが運営側のつとめです

○SNS上での公式な投稿やコメントへの返信は、担当者一人に任せずに、チームとして適切な対応を検討しながら行いましょう

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