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EU 首脳会議・ユーロ圏首脳会議(10 月23 日 2011 年10 月 · 2011. 11. 1. ·...
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EU首脳会議・ユーロ圏首脳会議(10月 23日) 2011年 10月
山 本 利 久
欧州連合(EU)は 10月 23日 EU首脳会議とユーロ圏首脳会議を開催、焦点となっているギリ
シャ向け融資や銀行の資本増強など欧州債務危機対応に向け包括戦略を纏める予定。これ
までにも関係各国が相互に個別会談や会議を設けてきたが、最終段階に入り首脳会議を開
き一挙に全体の最終的な戦略を明らかにする方向で折衝が続いている。
既にギリシャ、イタリアなどの国債に大量投資した結果、経営破綻に陥ったフランス・ベ
ルギー系大手銀行デクシア(Dexia、欧州第 10 位)を解体し、不良資産を切り離すなど総額
10兆円規模の救済策がフランス・ベルギー・ルクセンブルグの政府間で 10日決まった。
出所:日経夕(2011/10/11) 出所:日経(2011/10/12)
ユーロ圏 17カ国財務相会合(10月 3日)の要旨
*EFSF の実質的規模拡大:政府保保証枠を拡大せずに数兆ユーロ規模の資金を活用できる
体制を目指す。例えば、保証枠の 1000億ユーロを使い域内の国債を購入する投資家の損
失の 5分の 1を保証し、民間投資家らに保証分の 5倍に当たる 5000億ユーロの国債購入
を促す。イタリアやスペインの国債を購入する投資家の一部損失を EFSFが負担する案な
ど。
*今月中旬をメドとしていたギリシャ向けつなぎ融資(+)の決定は先送りし、ギリシャ政
府に 2013~14年の追加的財政赤字削減策を要請。融資は今月下旬に承認される見通し。
出所:日経(2011/10/4) 同左
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*(+):第 6段融資(80億ユーロ)、ギリシャ政府が 10月末までの資金繰りのメドガついた
ため。
*フィンランドがギリシャ支援の見返りとして要求していた担保を認めることを決定。
コメント:
EFSF の機能拡充についての各国議会の承認がスロバキアを最後に波乱含みの末承認された
ばかりであり、10月 23日の首脳会談で上記の財務相会合の結論に対し何処まで承認が行わ
れるのか注目される。只議長のユンケル・ルクセンブルグ首相は「効率的な EFSF の活用法
については次回(11月)会合で決めると、報じられている。ドイツなどの出方も関心を呼ぶ。
9 月 28日欧州議会における欧州連合(EU)バローゾ欧州委員長の政策演説要旨
○欧州はその歴史上で最大の危機に直面している。国別に経済・財政政策がバラバラなの
に、共通通貨ユーロと単一市場を持てると考えるのは幻想、とユーロ圏の統合加速が不
可欠。
○株式、債券、為替などの売買に課税する金融取引課税(トービン税)を 2014年までに導入
○厳しい条件付きでの安定債(共同債)発行の必要性。
○EFSFの資金を最も効率的に活用すべきだ
注目点:
*金融取引課税;2008 年のリーマンショック以降、過去 3 年間で加盟国は金融機関に 4 兆
6000 億ユーロの支援や保証を提供してきた。これまで米英日や中国が導入に反対してき
た。今回は EU乃至はユーロ圏だけでも実施の構え。
*安定債;EU の基本条約「リスボン条約」は、加盟国が他の加盟国の債務を引受けるのを禁
じた「非救済条項」がある。欧州委員会は①条約改正が必要な案②不要な案を提示する。
現在ドイツ、フランス、オランダ、フィンランドなどはその導入に反対している。
出所:日経(2011/9/29) 出所:同左
安定・成長協定(財政協定)の改定案、欧州議会で可決
9月 28日、欧州議会の本会議は欧州連合加盟国の財政ルールである安定・成長協定(財政協
定)の改正案を賛成多数で可決した。財政規律強化で、ギリシャ危機の再発防止を防ぐ。
2012年 1月から施行。
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ポイント;
*財政赤字の GDP比率が 3%を越える加盟国をほぼ自動的に制裁する。
*財政赤字の GDP比率が 3%に接近したり、債務残高の同比率が 60%超の場合の「予防手
続き」を新設。
*欧州委の勧告から 1 カ月以内に加盟国が議決しない場合、その後の裁決で反対多数で
ない限り有利子の預託金を超数出来る「逆多数決」を導入。また 3%を越えた場合の「是正
手続き」でも逆多数決を導入、制裁を発動しやすくした。
出所:日経(2011/9/29)
欧州の銀行ストレステスト(資産査定)
デクシアの破綻に象徴されるようにギリシャ国債等を抱える欧州の銀行に信用不安が付き
纏う。欧州の金融危機は今や銀行危機の様相も呈している。その為関係当局を中心に様々
な対応策が検討されている。
出所:日経(2011/10/19)
課題:
*金融機関が保有するイタリア、スペインなどの国債の値下がりをどう反映させるか。欧
州銀行界には強制増資への反発も。
*資産査定による資本不足の額は不透明。一部報道によると、全体で 1000億~2000億ユー
ロ(約 10.5億円強~21兆円)に上ると言われる。EUは 23日の首脳会議で銀行資本増強に
向けた資産査定の概況を示す。資本不足を指摘された銀行は半年程度以内に資本増強を
強いられる見通し。
*ギリシャ国債については、7 月に決めた支援策で民間銀行が自発的に保有債権の 21%を
減らすことになっているが、これを更に拡大する話も浮上している。
*銀行が満期まで持つ予定の国債は保有全体の 80%を占める模様。この間価格が下がれば、
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評価損の計上となる。
*バーゼル 3(狭義の中核的資本比率)の摘要を巡る問題:主要国が 2013 年から順次導入す
ることが既に決まっているが、今回の査定でそれを早めるべきか、その際の率をどう設
定するかを巡り関係国間で利害がぶつかる。ドイツのショイブレ財務相は報道によると
「9%に高めることで一致する」と語り、予想された 7~9%の範囲内でも厳しい基準が採用
されそうだ(日経<2011/10/19>)。
○フランスの最大手銀行 BNPパリバのボルドゥーヴ CFOへの日経記者による取材から:
パリバは「公的資金は不要」。
この間 S&P 社は 10 月 14 日同行の格付けを「AA」から「AA-」に引
き下げた。一方ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル
など他の仏銀 4行について、政府支援の可能性を勘案して「A+」
に据え置いた。
出所:日経(2011/10/13)
10月 12日バローゾ欧州委員長の発表したユーロ安定に向けた包括戦略
○工程表の骨子(出所:<日経 2011/10/13>);5本柱
○EUの財政・銀行危機対策の纏め(出所:<日経 2011/10/13>
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EU首脳会議の議長総括
23日開催予定の EU首脳会議の議長総括の骨子が明らかになったとして、日経(2011/10/15)
は次の表を掲載した。
EU財務相理事会(10月 22日開催)
前日開催のユーロ圏財務相会合で、ギリシャ支援の民間負担拡大を確認したが、この理事
会は 23日行われる EU首脳会議・ユーロ圏 17カ国首脳会議の準備会議。ここで危機克服に
向け 3つの対応策で合意、首脳会議を待つことになった。
出所:日経(2011/10/23)
経緯と結末
未曾有の事態に直面した EU は、関係者の連日連夜の折衝にも拘わらず当初予定された 10
月 23日の EU首脳会議までに包括的対応策をまとめ切れずに、結局 26日を最終目標に継続
討議を続くることになった。
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非公開の会合・会議も多く、日本のメディアの伝えない部分もあるので、ドイチェ・ヴェ
レのウエッブ・サイトなどから実情把握に努めてみた。
ユーロ圏財務相会議はほぼ四六時中債務危機対応へ向けた EU首脳会議の準備に折衝を重ね
た。独メルケル首相によると、突破口が 19日(水)の 2回目の会合で初めて見えてきた。し
かし 23 日(日)の EU 首脳会議の前夜、つまりメルケル首相がフランスのサルコジ大統領と
会議場で会った際、財務相会議はなお何も決められない状態にあった。
ここに至って尚、ギリシャに対する債務放棄の限度額をどの程度にすべきか決まっていな
い。更に破綻したユーロ圏諸国への救済活動で銀行、その他民間債権者はどの様に参画す
べきかも明らかでない。このため最終成果は来週水曜日(26 日)の首脳会議第 2 部まで待た
なければならなくなった。
土曜日(22日)深夜現在、独仏が救済基金 EFSFの拡充に向け共同歩調を取ることで合意が出
来ているのか不明。EFSF の 2 兆ユーロまでの”拡充”に当たり、当初フランスは独立した
欧州中銀を巻き込むことを考えた。しかしドイツ代表団と欧州中銀はこの方法を却下した。
巨大なこのファンドはイタリアとスペインの国債発行の支出として管理されるべきもの。
その上に、メルケル首相とサルコジ大統領が土曜の夜と日曜の朝食会でもう一度折衝を測
るのか不明。いずれにせよ会談は非公開の下行われる。これにはユーロ圏議長ユンカー、
欧州中銀トリシェ総裁(10月末退任)それに IMFの代表者が参加する。
EU財務相会議は土曜日(10月 22日)、銀行に対して自己資本比率を引上げ、9%に規定する
ことで表向き合意した。
○トロイカ方式並びに EFSF
最大の危機に見舞われた EUは、アンカーとして EU・ECB・IMFの連携体制で臨んでいる。
従って IMF 加盟国も、欧州危機を他人事として傍観することは出来ない。現在の方向は
具体的対応として EFSFの拡充を図ることだ。
現行の枠組み(4400億ユーロ)を巡る、意見対立が目立つ。現行の 4400億ユーロを変更せ
ず、それを基盤にして「梃子」の仕組みを使い与信枠を拡大し、融資先を選択しようとす
るもの。はたして上手く行くのか。ドイツなどは枠組み自体を拡大することに反対。更
に仮りに政府の合意が出来たとしてもリスボン条約との関係が問われる恐れもあり、簡
単には行かない。
また既にイタリアに対し現行枠の約半分が使われるとも言われ、残りの多くがギリシャ
などへコミットされている模様。従って何としても EUとしては実質的な枠の拡大が求め
られている。
○日本との関係
欧州危機に直接関係していないようだが、IMF経由の支援に加えて日本は有力な投資家と
して EFSF債を既に購入している。
その状況を見たのが下記の図表だ。
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出所:EFSFの HP
○微妙に変化する独仏関係
欧州危機、中でもユーロ圏・ユーロ危機で水面下に見えてきたのが独仏関係の微妙な変化
だ。これまでフランスに引っ張られる形で事態の収束に協調してきたドイツが、主体的役
割を果たそうとしている。その背景にはフランス自身の財政・金融・経済問題がある。い
ずれも事態の推移と共にその脆弱性が顕在化してきたのだ。市場の注視は高まるばかり。
またサルコジ大統領も来年の大統領選挙を控え、成果を挙げておきたい立場にあるのだが。
○ドイツ
現地の報道を視聴しているとドイツに政策対応で変化の兆しが見える。これまでどちら
かと言えば追加的支援に二の足を踏みがちであったが、ここにきて欧州の危機に真正面
から取り組み始める動きも一部に出てきた。
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10月 23日に予定された EU首脳会議の成果が 26日に順延されたことに関連して、メルケ
ル首相はこれで全て終了するわけではない、今後も継続して開催されると語り、その次
は 12月に、ともメディアに話している。
ドイツのメディアが伝えるところによると、一部にリスボン条約の改正にまで踏み込ん
だ長期的対応を検討する動きもあるようだ。ただ政治と国民(社会)の間には大きなパー
セプション・ギャップがあるのも確かだ。今後の動きに注目したい。
○英国
元々EU に懐疑的な色彩の強い国だが、ここにきての欧州危機に直面し、その線に沿った
様々な言動が見える。金融取引税導入案など具体的な提案への反対に止まらず、より根
本的な制度・理念等に関して再考すべきとの発言も飛び出す。ユーロ圏の分裂、更には
EUがこのままでは分裂するのでは、と言った見方も出ている。そうした中英国下院は 10
月 24日、欧州連合に残留すべきか脱退すべきかを問う国民投票の実施を求める動議につ
いて、111 対 483 の反対多数で否決した。報道によるとキャメロン首相は「今は国民投票
を行うべき時ではなく、欧州の財政問題に取り組むべきだ」と反対し、最も強い党議拘束
を掛けていた。国内にも多くの問題を抱える英国の今後の動向が注目される。
参考資料 出所:いずれも日経(2011/10/15)↓ 出所:日経(2011/10/23)
(了)