SOLUTION - 三菱UFJフィナンシャル・グループ...SOLUTION キャッシュレス時代を牽引、 新たなペイメントスタイルの提案。ソリューション事業
三菱ホウ酸電力ヒューズ - 三菱電機 Mitsubishi...
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三菱ホウ酸電力ヒューズ
特長 ―――――――――――――――――――――――
屋内用BAL-PT形ヒューズ
Ú.三菱ホウ酸電力ヒューズの一般特長
∏ ホウ酸を使用した乾式のヒューズである。
π 遮断性能は確実……最小溶断電流まで遮断するので,
過負荷保護ができる。
∫ 過電圧が低い。
ª エレメントが自然劣化せず,寿命が長い。
º 正確な時間-電流特性の保証
(バラツキは±10%以内)。
Ω フック棒操作で,ヒューズ筒の取外しができる。
Û.BA形電力ヒューズの特長
∏ 中身取替式で経済的。
π 過電圧をださない。
∫ 二重電圧に共用できる。
ª 冷却器(コンデンサ)を付けると,密閉ヒューズとし
て箱内に収納できる。
º 定格電流に関係なく,遮断容量が大きい。
Ù.BAL-PT形 電力ヒューズの特長
∏ 限流形ヒューズとホウ酸ヒューズとを組み合わせた
2要素ヒューズである。
π 冷却器を内蔵した密閉ヒューズである。
∫ 小電流遮断性能が優秀である。
ª 小形で遮断容量が大きい。
º 動作表示付である。
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 1
三菱ホウ酸電力ヒューズ
2
定格と種類 ――――――――――――――――――――表1.BA形電力ヒューズの定格と種類(変圧器回路保護用ヒューズ)
使用場所
形 名 定 格 電 流 A 定 格 遮 断
電 流 kA
(3φMVA)ヒューズ
ホ ル ダ
屋 内 用
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA-200CB
BA-400CB
BA-200CB
BA-400CB
ヒューズ
ホ ル ダ
200
400
200
400
200
400
10/8(65/115MVA)
20/16(115/190MVA)
6.3(125MVA)
12.5(250MVA)
5(200MVA)
10(440MVA)
可 溶 子
5,10,15,20,30,40,50,75,100,150,200
5,10,15,20,30,40,50,75,100,150,200,300,400
5,10,15,20,30,40,50,75,100,150,200
5,10,15,20,30,40,50,75,100,150,200,300,400
5,10,15,20,30,40,50,75,100,150,200
5,10,15,20,30,40,50,75,100,150,200,300
ヒューズ
リ ン ク
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA-200C
BA-400C
BA-200C
BA-400C
可 溶 子
BA(形番200)
BA(形番400)
BA-200
BA-400
BA-200
BA-400
定格電圧
kV
定格雷インパルス耐電圧kV
3.6/7.2
12
24
60
75
125
表2.BAL-PT形 電力ヒューズの定格と種類(VT回路保護用ヒューズ)
使用場所
形 名 定 格 電 流 A 定 格 遮 断
電 流 kA
(3φMVA)ヒューズホルダ
屋 内 用 BAL-PTE
ヒューズ
ホ ル ダ
2
40(250MVA)
40(500MVA)
80(1500MVA)
40(1500MVA)
ヒューズリンク
1,2
ヒューズリンク
BAL-PT
定格電圧
kV
定格雷インパルス耐電圧kV
3.6
7.2
12
24
60
75
125
(注)コンデンサ形(遮断時のガス密閉)
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 2
3
定格選定表 ――――――――――――――――――――第3.単相変圧器回路保護用ヒューズ選定表(形名はヒューズリンクの形名を表示しています)
使用場所 屋 内 用
3.3
形 名定格電流A
回路電圧kV
相
数
単 相
5
10
20
30
50
75
100
150
200
300
500
750
1000
1500
2000
3000
5
10
15
20
30
50
75
100
150
200
300
-
-
-
-
-
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA(形番400C)
-
変圧器定格
容量 kVA
6.6
形 名定格電流A-
5
10
10
15
30
30
50
75
100
150
300
300
-
-
-
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA(形番400C)
-
11
形 名定格電流A-
-
5
10
10
15
20
30
40
75
100
150
200
300
400
-
BA-200C
BA-400C
BA-400C
-
22
形 名定格電流A-
-
-
5
5
10
10
15
20
30
50
75
100
150
200
300
BA-200C
BA-400C
BA-400C
表4.三相変圧器回路保護用ヒューズ選定表(形名はヒューズリンクの形名を表示しています)
使用場所 屋 内 用
3.3
形 名定格電流A
回路電圧kV
相
数
三 相
5
10
20
30
50
75
100
150
200
300
500
750
1000
1500
2000
3000
4000
4500
6000
-
5
10
15
20
30
40
75
75
150
200
300
400
-
-
-
-
-
-
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA(形番400C)
-
変圧器定格
容量 kVA
6.6
形 名定格電流A-
-
5
10
10
15
20
30
40
75
100
150
200
300
400
-
-
-
-
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA(形番400C)
-
11
形 名定格電流A-
-
-
5
10
10
15
20
30
40
75
100
150
200
200
300
400
-
-
BA-200C
BA-400C
BA-400C
-
22
形 名定格電流A-
-
-
-
5
5
10
10
15
20
30
50
75
100
150
200
200
300
300
BA-200C
BA-400C
BA-400C
表5.VT回路保護用ヒューズ選定表(形名はヒューズリンクの形名を表示しています)
使用場所 屋 内 用
3.3
形 名定格電流A
回路電圧kV
用 途
VT回路保護用
1
又は
2
BAL-PT
6.6
形 名定格電流A
1
又は
2
BAL-PT
11
形 名定格電流A
1
又は
2
BAL-PT
22
形 名定格電流A
1
又は
2
BAL-PT
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 3
60
φ76
φ90
50
40
192
238
320
30°
152
127
330
500(開のときのヒューズリンクの頭までの高さ)
240
20
510
480
R385
1515 95
145
25
20
4-φ12取付穴
25
7565
F-F, B-Fの ときのみあり
F-F, F-Bの ときのみあり
B-B, B-Fのとき のみあり
B-B, F-Bのとき のみあり
2-φ12端子穴
φ12端子穴
φ32 フック穴
47
3
4
4
1025
25
4
外形寸法 ―――――――――――――――――――――
図1 BA形(形番200C)電力ヒューズ外形寸法(3.6/7.2kV 5~200A)
屋内用 断路形 垂直・水平下向取付 コンデンサ形
図2 BA-200CB形 電力ヒューズ外形寸法(12~24kV 5~200A)
屋内用 断路形 垂直取付 コンデンサ形
品番
質 量(Ë)接続
ヒューズリンク ヒューズホルダ
4.3
内可溶子
0.28Ë
1
2
3
4
5
6
7
8
接続
F-F
F-B
B-F
B-B
F-F
F-B
B-F
B-B
定格電圧kV
外 形 寸 法 mm
A
695
695
695
695
830
830
830
830
12
24
形 名
BA-200CB
14
16
16
18
F-F
F-B
B-F
B-B
⎞⎠⎞⎠
φ76
φP
C
K
RF
H M
E
N
DG
21081 40
20
B A
B/2
25 25
L(開のときのヒューズリンクの頭までの高さ)
48 39
2-M12ねじ F-F, B-Fの ときのみあり
F-F, F-Bの ときのみあり
B-B, B-Fの ときのみあり
B-B, F-Bの ときのみあり
1515
2040
125
6 9
7
M16×1ねじ
2-φ14穴
4-φ16穴
2-φ16穴 (24kVのみ)
50°
B
665
665
665
665
800
800
800
800
C
155
155
155
155
180
180
180
180
D
105
105
105
105
130
130
130
130
E
435
435
435
435
545
545
545
545
F
560
560
560
560
670
670
670
670
G
238
238
-
-
318
318
-
-
H
275
275
275
275
355
355
355
355
K
380
380
380
380
460
460
460
460
L
750
750
750
750
915
915
915
915
M
-
201
201
201
-
271
271
271
N
-
165
165
165
-
235
235
235
P
-
100
100
100
-
130
130
130
22
25
25
28
30
38
38
45
質 量(Ë)
ヒューズリンク
4.6
内可溶子
0.33Ë
5.0
内可溶子
0.4Ë
ヒューズホルダ
⎞⎠⎞⎠
⎞⎠⎞⎠
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 4
5
図3 BA形(形番400C)・BA-400CB形 電力ヒューズ外形寸法
屋内用 断路形 垂直取付 コンデンサ形
3.6~24kV 5~400A
b24kVは300Aまで
図4 BAL-PTE形 電力ヒューズ外形寸法(3.6~24kV 1,2A)
屋内用 断路形 垂直取付
C
RF H
ME
N
D J
305
66L° 12
B A
B/2
25 25G
(開のときのヒューズリンクの頭までの高さ)
40
7090
40
404020
20
20150
F-F, B-Fの ときのみあり
F-F, F-Bの ときのみあり
B-B, B-Fの ときのみあり
B-B, F-Bの ときのみあり
1515
108
9
M20×1ねじ
2-M12ねじ
4-φ16穴
2-φ14穴
φP
2-φ16穴 (24kVのみ)
K
K
A
QB
Q
L
A E
J
F
H60°
G C
4860
8080
6 32
32
F
15
4.5
20
15 6
開 充電部 最大幅
2-φ12端子穴
2-φR取付穴
品番 接続
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
F-F
F-B
B-F
B-B
F-F
F-B
B-F
B-B
F-F
F-B
B-F
B-B
A
625
625
625
625
715
715
715
715
835
835
835
835
定格電圧kV
外 形 寸 法 mm
3.6/7.2
12
24
形 名
BA
(形番400C)
BA-400CB
形 名
BAL-PTE
定格電圧
kV
外 形 寸 法 mm
3.6/7.2
12
24
A
260
345
480
B
595
595
595
595
685
685
685
685
805
805
805
805
C
175
175
175
175
175
175
175
175
185
185
185
185
D
125
125
125
125
125
125
125
125
135
135
135
135
E
340
340
340
340
435
435
435
435
545
545
545
545
F
542
542
542
542
631
631
631
631
745
745
745
745
G
445
445
445
445
485
485
485
485
560
560
560
560
H
302
302
302
302
342
342
342
342
417
417
417
417
J
243
243
-
-
283
283
-
-
358
358
-
-
K
0770
0770
0770
0770
0875
0875
0875
0875
1040
1040
1040
1040
L
50
50
50
50
50
50
50
50
50
50
50
50
M
-
186
186
186
-
216
216
216
-
286
286
286
N
-
143
143
143
-
173
173
173
-
243
243
243
P
-
110
110
110
-
110
110
110
-
130
130
130
26
30
30
34
29
33
33
37
38
44
44
51
質 量(Ë)
ヒューズリンク ヒューズホルダ
10.4
内可溶子
0.9Ë⎞⎠⎞⎠
11.5
内可溶子
1.0Ë⎞⎠⎞⎠
13.0
内可溶子
1.1Ë⎞⎠⎞⎠
⎞⎠
⎞⎠
品番
1
2
3
B
080
150
250
C
45
45
65
E
205
290
410
F
27.5
27.5
35.5
G
401
506
709
H
159
189
289
J
120
150
250
K
246
276
376
L
118
148
248
Q
90
97.5
115
R
12
12
14
0.5
0.7
0.8
4.3
4.8
7.0
質 量(Ë)
ヒューズリンク ヒューズホルダ
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 5
6
ホウ酸の消弧原理―――――――――――――――――
動作特性 ―――――――――――――――――――――
三菱ホウ酸電力ヒューズの消弧原理は,ホウ酸の加熱脱水
現象を利用して,アークを,ホウ酸から出る高圧水蒸気中
に閉じ込め遮断するものです。下の構造式で示すように,
オルトホウ酸(H3BO3)を加熱すると100で水を放出しメ
タホウ酸(HBO2)となり,なお加熱すると140~160で再
び結晶水を放出して4ホウ酸(H2B4O7)となり,300付近に
おいて3度目の水を出して無水ホウ酸(2B2O3)となります。
構造式
分子量
その発生ガス量は,表6に示すように1gのホウ酸が500
に熱せられると約0.44gの水を放出し,この水が500
の水蒸気となれば標準気圧では約1.55Î,すなわち3,500
他の機器との協調を図り,その保護を完全にするためには,
ヒューズの時間-電流特性として次の三つが必要でありま
す。三菱電力ヒューズは多数回試験を行ってその時間-電
流特性を確かめ,特性曲線図に示しております。
∏ 許容時間-電流特性
ヒューズの不劣化特性で,この曲線から左ではヒューズの
劣化の危険はありません。ヒューズを劣化,溶断させたく
ない場合のチェックは,この曲線で行ってください。
π 最小あるいは平均溶断時間-電流特性
ヒューズの溶断までの,最小あるいは平均の時間-電流を
示す特性であります。
なお,この曲線は,保護協調をチェックするときには使
用しないでください。
∫ 動作時間-電流特性
事故発生から遮断完了までの特性を示すもので,最大溶断
時間にアーク時間を加えたもので,ヒューズを先に動作さ
せる等の保護協調をチェックする場合はこの曲線を使用し
てください。
電力ヒューズの時間-電流特性の説明
倍の容積となり,もし,この蒸気を0.6ccのホウ酸穴中に
閉じ込めた場合,吹出量を考えなければ約2,600Ë/⁄2,
吹出量を考えても50Ë/⁄2以上の強大な圧力となります。
しかも,1gのホウ酸を500に熱するのに要する全熱量
は1,670Wsと実にわずかなもので,要するに,わずかなア
ークエネルギーで短時間に著大な圧力の水蒸気を発生する
ものであります。また,このような高圧水蒸気は,ホウ酸
中の細穴に発生するもので,質量としては極めてわずかな
もの(上記の例では0.5g)でありますから,筒外に放出さ
れる水蒸気の量も極めてわずかで,噴出距離も短く,絶縁
に及ぼす影響はほとんどありません。
もう一つホウ酸の優れた点は,その放出ガスが水蒸気で
あるため,冷却すると簡単にもとの水に還元することで,
屋内用などガス放出をきらうところでは小形の冷却器を吹
出口に付けるだけで,外部へガスを放出しない密閉ヒュー
ズとなります。
表6 ホウ酸1Á当りの水蒸気発生量及び発生圧力
温度
脱 水 量 水 蒸 気
質量比
%
常 温
100
150
300
500
1000
2000
ホウ酸穴0.6ccの場合の圧力(吹出しを考慮せず)
Ë/⁄2
840
1200
1900
2600
4300
7600
0
29
36
44
質量
Á
0
0.29
0.36
0.44
容積cc(A)
0
0.29
0.36
0.44
容積Î
(B)
0
0.5
0.7
1.15
1.55
2.55
4.55
膨張比
(B/A)
0
1720
1940
2620
3500
5800
10000
2B2O3・6H2O (4×オルトホウ酸)
2B2O3・2H2O (4×メタホウ酸)
4H2O
100
2B2O3・H2O (4ホウ酸)
H2O
140
2B2O3 (無水ホウ酸)
H2O
300
2×70+6×18 2×70+2×18 4×18
2×70+18 18
2×70 18
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 6
5A 10A15A20A30A40A50A
75A100A
150A
200A
300A
400A
5A 10A15A20A
30A40A50A75A100A
150A
200A
300A
400A
5A 10A15A20A
30A40A50A75A100A
150A
200A
300A
400A
0.10.080.060.04
0.02
10.80.60.4
0.2
10864
2
100806040
20
1000800600400
200
0.01
10000
8000
6000
4000
2000
1000800600400
200
10080604020108643
電流(実効値 A )
時間( s )
0.10.080.060.04
0.02
10.80.60.4
0.2
10864
2
100806040
20
1000800600400
200
0.01
10000
8000
6000
4000
2000
1000800600400
200
10080604020108643
電流(実効値 A )
時間( s )
0.10.080.060.04
0.02
10.80.60.4
0.2
10864
2
100806040
20
1000800600400
200
0.01
10000
8000
6000
4000
2000
1000800600400
200
10080604020105
電流(実効値 A )
時間( s )
7
図5 BA形 電力ヒューズ 時間-電流特性曲線
_ 許容時間-電流特性
a 動作時間-電流特性
` 最小溶断時間-電流特性
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 7
1000800600
400
200
1008060
40
20
1086
4
2
10.80.6
0.4
0.2
0.10.080.06
0.04
0.02
0.01
1000800600
400
200
100806040201086421
電流(実効値 A )
時間( s )
1000800600
400
200
1008060
40
20
1086
4
2
10.80.6
0.4
0.2
0.10.080.06
0.04
0.02
0.01
1000800600
400
200
100806040201086421
電流(実効値 A )
時間( s )
許容特性
溶断特性
動作特性
許容特性
溶断特性
動作特性
1000800600
400
200
1008060
40
20
1086
4
2
10.80.6
0.4
0.2
0.10.080.06
0.04
0.02
0.01
1008060402010864210.80.60.4
0.2
0.10.08
0.06
0.04
0.02
0.01
遮断電流(実効値 kA )
限流値( 波高値 kA)
2 A
1 A
8
_ 時間-電流特性 3.6kV~24kV 1A
a 限流特性 3.6kV~24kV 1,2A
` 時間-電流特性 3.6kV~24kV 2A
図6 BAL-PT形 電力ヒューズ 時間-電流特性曲線
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 8
9
構造・操作・すえ付け―――――――――――――――1.BA形電力ヒューズ(変圧器回路用)
ヒューズリンクの構造
このヒューズの構造上の特長は,ホウ酸に大小二つの穴を
設け,大電流・小電流とも確実に遮断できるようにしてあ
ることです。
図7の動作説明図に示すように,ヒューズリンク内に
可溶子と引きばねとが入っていて,可溶子内のホウ酸の中
心穴の中にロッドが通り,その端にヒューズエレメントが
張られ,他の一端は引きばねで引っ張られています。
この中心穴のみでは小電流の場合,十分なガスが発生し
ないで消弧が困難となるので,中心穴の外にそれと並列に
もう一つホウ酸の中に小穴が設けられていて,その中に補
助ヒューズエレメントが両端から1本ずつそう入され,中
で重なって接触しています。上側からの補助ヒューズは,
可溶子を出たところでロッドに結び付けられていますが,
下側からの補助ヒューズは,その根元に絶縁ギャップがあ
り,金具とは絶縁されているため,この補助ヒューズエレ
メントには常時電流は流れません。
いま,ヒューズエレメントが溶断すると,ロッドが引き
ばねで引かれることによって,発生したアークはホウ酸穴
中に引き込まれ,このとき補助ヒューズのギャップも同時
にせん絡して,補助ヒューズのほうにも並列に電流が流れ
ます。
大電流の場合は,小穴の補助ヒューズは直ちに溶けて消
滅し,アークは大きいほうの穴の中にのみ残り,大穴周囲
のホウ酸を熱分解して消弧します。
小電流の場合は,大小穴ともに電流が流れたままで引き
ばねが引っ張られ,最初の電流零点がきたとき,小穴内は
補助ヒューズがまだ重なって接触しているので,大穴内の
電流は,シャントされ小穴内の電流のみ残り,更に引っ張
られることにより小穴内で発弧して適当なガス圧を発生し
て遮断されます。
このように,大小二つの穴の作用で大電流・小電流とも
確実に遮断しますが,アークを徐々に引き延ばし交流零値
になったとき遮断しますので、遮断時に限流形のようなサ
ージ電圧を出すことはありません。
図7は冷却器を付けた場合の遮断状態を示し,放出
火災および水蒸気は冷却器(コンデンサ)に吸収冷却され
外部へは火災も音響も出しません。
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 9
10
キャップ金具
キャップ
引きばね
引張棒
外筒
補助ヒューズ
ヒューズ エレメント
可溶子
小穴
ホウ酸
冷却器 (コンデンサ)
図7 BA形ヒューズリンク構造動作説明図
図8 フック棒によるヒューズリンク取外し作業
ホルダの構造
クリップ側にはヒューズリンク自然開路防止用のラッチが
付いております。
この支持台の特長は図8に示しますように,ヒューズ
リンクをフック棒操作で取外しできるよう,フック金具・
ヒンジ機構が特殊形状となっていることで,ヒューズ動作
時電源を切らず,遠方からフック棒操作でヒューズリンク
の取替えができます。
〈BA(形番200C)3.6/7.2kV定格品は除く〉
_ フック棒でラッチを外す ` ヒューズ開路 a フック棒でヒューズリンク支持
_ベント形大電流遮断
`ベント形小電流遮断
aコンデンサ形大電流遮断
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 10
11
図10 可溶子取替方法
可溶子のそう入及び取替え
BA形ヒューズは中身取替式ヒューズで,ヒューズリンク
は強力で,動作後,可溶子のみ新しく取り替えれば定格遮
断電流を5回遮断するまでは反復して使用できます。ただ
し,コンデンサ形の冷却器は,遮断電流の積算が定格遮断
電流値以上になりましたら,新しい冷却器と取替え願いま
す。
可溶子のそう入及び取替えは,可溶子は付属のねじ付板
を使い,図10_~gの順で簡便にできます。
冷却器付ヒューズの場合は,図11に示しますようにプ
ラグチューブの代わりに冷却器を付けてください。多数の
ヒューズをご使用の場合は,図12_~bのように専用の
取替スパナを使いますと,他に工具なしで迅速に取替えが
でき便利であります。ご入用の際は別個にご要求ください。
なおこの際,図13の①②③は電気的接触部ですから,
表7のねじ込み回数を参考にして最後まで締め込んでくだ
さい。特に①③は図示の部分にスキマがなくなるまできつ
く締め込んでください。
図9 BA-400形 可溶子(取替中身)
_ キャップを外す。
c 引きばね可溶子組合せ品をリンク内に入れる。
d プラグチューブを堅くねじ込む。
(Á)ねじ付板をリンク内にさし,引込ばねを引き上げる。
f 引きばね先端をリンク上部金具に止める。
g キャップをしっかりと締め付ける。
` 引きばね先端をリンク内に落とす。
a プラグチューブを外し,中身を取り出す。
b 動作可溶子を捨て,新可溶子を引きばねに十分ねじ込み組み合わせる(引きばねはもとのものを使用する)。
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 11
12
図11 コンデンサ形ヒューズの冷却器の取外し 図12 専用の取替スパナ使用による可溶子取替方法
表7 可溶子取替時の各ねじ部分ねじ込み回数
_ ` a b
形 名(形番)
ねじ込み回数(参考値)
①キャップ
200C
400C
約5回
約5回
③ プ ラ グ
約7.5回
約9.5回
②ば ねクランプ
約12回
約12回
図13 ヒューズリンクの可溶子取替説明図
(注)可溶子そう入の際,各ねじ部分は十分ねじ込みのうえ締付け願います。もしねじ込み不十分ですと動作不良を起こし,締付不良ですと接触不良を起こすおそれがありますのでご留意願います。
①キャップ
②ばねクランプ
③プラグ (コンデンサ)
スキマのないよう にすること
スキマのないよう にすること
ヒューズリンク
可溶子
すえ付け
BA(形番200C)3.6/7.2kVは,垂直・水平下向のどちらで
も取付けられますが,BA(形番400C)3.6/7.2kV,BA-
200CB,BA-400CB 12/24kVは垂直取付けのフック棒操作
断路形となっておりますので,フック金具側を上にして垂
直にすえ付けてください。
BA形電力ヒューズの最小すえ付寸法を表8に示します。
表8 BA形電力ヒューズ最小すえ付寸法(mm)
_ 屋内用
形 名絶 縁 バ リ ヤ 付 の 場 合
定格電圧(kV)
BA(形番200C)
BA(形番400C)
BA-200CB
BA-400CB
3.6
7.2
3.6
7.2
12
24
12
24
A
290
310
380
400
360
405
450
495
B
185
195
205
215
220
275
240
295
C
140
170
160
190
195
250
215
270
D
255
280
255
280
330
355
330
355
E
440
470
520
550
540
680
610
750
絶 縁 バ リ ヤ な し の 場 合
定格電圧(kV)
3.6
7.2
3.6
7.2
12
24
12
24
A
-
-
-
-
-
-
-
-
B
235
260
260
285
300
350
325
375
C
-
-
-
-
-
-
-
-
D
255
280
255
280
330
355
330
355
E
-
-
-
-
-
-
-
-
C CB B E
AD
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 12
13
2.BAL-PT形 電力ヒューズ(VT回路用)
大電流遮断性能の優れた限流要素と小電流遮断性能の優れ
たエクスパルジョン(放出)要素という消弧原理の異なる
二つの要素を内蔵しておりますので,限流要素だけのヒュ
ーズの弱点である小電流遮断不能領域が全くなく,定格遮
断電流以下の全域が遮断できます。一般にVT用ヒューズ
は極めて細線のヒューズエレメントを使用しているために
自然切れを起こす場合があり,その時には遮断不能となり
ますがこのヒューズは万一,断線を起こしても遮断するこ
とができます。
ヒューズリンクの構造は図14に示しますように,消弧剤
にけい砂を使用した限流要素と,ほう酸を使用したエクス
パルジョン(放出)要素とが一つの絶縁管に内蔵されてお
ります。
限流要素はヒューズエレメントが絶縁棒にらせん状に巻か
れ,その周囲にけい砂が充填された構造になっております。
エクスパルジョン要素は,ヒューズエレメントがほう酸ブ
ロックの中央孔に張られて一端は引ばねに,他端は表示装
置の押ばねによって引張られた構造になっております。
両者の動作は,大電流においては限流要素が速く動作し,
また,小電流においてはエクスパルジョン要素が速く動作
するように図15に示しますように動作協調をとってあり
ます。そのため,大電流においては,けい砂の働きによっ
て限流遮断され,小電流においては,ほう酸がアークにさ
らされることによって発生する消弧ガスおよび引ばねと表
示装置の押ばねによって溶断点が開極されることによって
遮断されます。いずれの場合でも,ヒューズが動作します
_ 屋内用 24kV 1A 断路形 ` 屋内用 12kV 1A 断路形
ヒューズエレメント
ヒューズエレメント 絶縁筒
絶縁棒 けい砂
上キャップ 下キャップ
引ばね
動作表示装置 (表示ぶた)
押ばね
ほう酸ブロック
エクスパルジョン(放出)要素 限流要素
図14 BAL-PT形ヒューズリンク構造図
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 13
14
と,下キャップにとりつけた表示装置が動作し,表示ぶた
が突出して,ヒューズが動作したことを表示します。ヒュ
ーズホルダには,小形・軽量とするためにすべてエポキシ
支持がいしを使用しており,また,すべて断路形構造にな
っております。
このヒューズは金具流用のヒューズリンク取替式で,ヒ
ューズが動作しますと,両端の金具はそのまま使用し,ヒ
ューズリンクのみ新しいリンクと取り替えてください。
なお,取付けの際は必ず表示装置のある側を下方にして
ください。
図15 BAL-PT形ヒューズ動作協調図
表9 BAL-PTE形 電力ヒューズ最小すえ付寸法(mm)
図16 ヒューズリンク動作表示部分
エクスパルジョン(放出)要素 責務範囲 限流要素責務範囲
エクスパルジョン(放出) 要素の動作特性
限流要素動作特性
動作分界電流
時間(s)
電流(A)
ヒューズ動作時 未動作時
すえ付け結線
断路形は,フック棒でリンクの取外しができ,垂直取付け
のフック棒操作式となっておりますので,フック金具のあ
るほうを上にして垂直にすえ付けてください。
表9に示します対地距離あるいは相間距離をとり,断路
形は下側端子を負荷側に,上部端子は電源側に接続してく
ださい。BAL-PT形は密閉形で外部へガスを出しませんの
で,もし,必要なときは下側端子に電源側を接続しても差
し支えありません。
形 名絶縁バリヤ付の場合
定格電圧(kV)
BAL-PTE
3.6
7.2
12
24
A
230
255
295
420
B
135
150
170
215
C
095
105
125
185
D
318
348
413
578
E
205
205
290
410
F
0665
0715
0880
1250
絶縁バリヤなしの場合
定格電圧(kV)
3.6
7.2
12
24
A
-
-
-
-
B
160
180
205
285
C
120
150
185
285
D
-
-
-
-
E
205
205
290
410
F
-
-
-
-
C CB
EA
A
F
D
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 14
15
使用上のご注意――――――――――――――――――
Ú.遮断容量
普通の遮断器で故障電流を遮断する場合には,保護継電
器の動作時間と,遮断器の開極時間との合計された時間
だけ,故障発生より遅れて遮断されるので,過渡直流電
流はほとんど減衰され,その遮断容量は対称値でよいが,
電力ヒューズは大電流遮断の場合,1/4~1/2サイクル以内
に遮断を始めるので,遮断電流は過渡直流分を含み,対
称短絡電流より大きくなりますから,ヒューズの遮断容
量は回路の短絡力率に対応した非対称短絡電流実効値以
上に選ぶ必要があります。
参考として,図17に短絡力率と非対称比率との関係を示
します。
Û.時間-電流特性
三菱ホウ酸電力ヒューズの動作特性は,定格電流の1.3
倍では溶断せず,2倍では大体5分から10分で溶断するも
のを製作しており,各形名・定格の時間-電流特性は,
対数-対数曲線でそれぞれ示しております。
ヒューズ動作には必ずバラツキがあり,また,定格電
流選定資料として必要なものは溶断特性でなく,図18
に一例として示す①の許容時間-電流特性,及び,③の
動作時間-電流特性でありますので,ヒューズの時間-
電流特性曲線は,普通許容時間-電流曲線・溶断時間-
電流曲線及び動作時間-電流曲線の3本で表します。
許容時間-電流曲線とは,横軸にとった電流が縦軸の
時間流れても,可溶要素が溶けるとか変質するとかしな
いで使用しうる限界を示すものであります。溶断時間-
電流曲線とは,横軸の電流が流れた場合,可溶要素が溶
ける時間を縦軸に示すもので,動作時間-電流曲線とは,
溶断時間に可溶要素が溶けてから,消弧に要する時間を
加えたものの最大値を示す曲線で,したがって使用電圧
が高いほど延びます。
Ù.電流定格の選定
定格電流が全負荷電流にあまり接近しすぎていると,変
圧器の励磁突入電流や,線路あるいはコンデンサバンク
の充電電流や,雷サージその他外部的じょう乱による過
渡的な過電流によって不必要に動作しますから一般には
全負荷電流の約2倍の定格電流を使用します。しかし,
ほかに特別に考慮すべき事項については下記します。
∏ 小容量保護のヒューズ
全負荷電流から考えると,小さい電流のヒューズでよく
ても,配電系統に現れる雷電流などによる不必要な溶断
を防ぐため,もっと大きい定格のヒューズを用いるほう
が望ましい場合があります。例えば,6,600V系統で11/2
kVAの変圧器を保護するには,負荷電流から考えれば1/2
Aのヒューズで十分でありますが,不必要な停電をなく
する意味で5Aのヒューズを用います。
0
20
0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 0.601.0
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
1.7
15 12 109 8 7 6 5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.32
90 85 80 60 5375 70 65 55
K(非対称実効値/対称実効値) 故障発生から
1/4サイクルの点の実効値比率
故障電流力率 Cosθ
位相角 θ(deÁ)
故障電流 X/R
注:この図は次の条件を基として 作図しました (1)交流分の減衰は0 (2)故障は電圧0にて発生 (3)非対称実効値 =
(交流分実効値)2+(直流分)2
図17 故障電流の非対称実効値対対称値の比率Kと故障力率及びX/Rとの関係曲線
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 15
16
0.010.02
0.050.10.2
0.51.02
51020
50100200
500
1000
5 10 20 50 100 200 50010002000
500010000
時間(s)
電流(A)
①許容時間-電流曲線 ②溶断時間-電流曲線 ③動作時間-電流曲線
③
①
②
24kV以下
図18 電力ヒューズ時間-電流特性曲線図例
π 他の保護装置と協調させる場合
保護継電器と組み合わされた遮断器と,動作時間を協調
させる場合には,時間-電流曲線を考慮して決定する必
要があります。図19_のように,変圧器一次側ヒュー
ズと,二次側遮断器との協調を考えると,二次側遮断器
に誘導形過電流継電器が使用される場合は,まず遮断器
の遮断時間対電流曲線は,一次側に換算して図20に示
しますように,遮断時間-電流曲線をプロットします。
この場合,二次側の故障電流が遮断器で除去される間
に,一次側ヒューズの可溶要素が溶け出したり変質して
はいけませんから,図20の上へ使用するヒューズの許
容時間-電流曲線をプロットします。いまB1なる遮断器
及び継電器組合せ特性曲線と,F1なる許容時間-電流曲
線のヒューズで,二次側最大短絡電流がI1であると,二
次側の事故は遮断器によって先に遮断されますが,I2の
ように大電流であるとヒューズが先に動作します。
また,たとえ最大短絡電流がI1であっても,B2曲線の
ように継電器の時限が長くしてあると,やはりヒューズ
が遮断します。したがって,このような場合は二次側遮
断器の先での事故は,必ず遮断器で除去し,一次側ヒュ
ーズが働かないようにするためにはF2のような大きな定
格のヒューズを用いるか,あるいは保護上好ましくない
場合は,瞬時要素付継電器を用いて,B3曲線に示すよう
にある電流以上は直ちに遮断器が引き外されるよう調節
する必要があります。また,負荷の増大に伴う系統の連
係などにより,既設遮断器の遮断容量が不足の場合には
図19`のように,ヒューズを直列にして使用する場合
がありますが,上述のような場合と同様に動作協調を考
慮して,遮断容量以内の過電流では遮断器を働かし,そ
の限度以上のものはヒューズでもって遮断するように選
定します。
すなわち,地絡電流及びある程度までの過負荷電流は
遮断器及び継電器組合せで遮断させ,過電流継電器の時
限調節で協調が困難な場合は,ある電流以上では遮断器
の引外しをロックするような継電器を用いればよいわけ
です。
図19aに示されるように,十分な遮断容量の遮断器
を通じて,各ブランチの小変圧器回路にヒューズを入れ
る場合には,図20のF1,F2曲線は動作時間-電流曲線を
プロットして検討します。
0.110 100 1000 10000
1
10
100
時間(s)
電流(A)
22kV 66kV
6.6kV
220V
3.3kV
ヒューズ
ヒューズ
ヒューズ
変圧器
変圧器
変圧器
遮断器
遮断器
遮断器
断路器
遮断器
(a) (b) (c)
二次全負荷電流
F1
F1, F2:ヒューズの許容 時間-電流曲線 B1, B2:継電器を用いた 遮断器の特性 B3: 継電器を用いた 遮断機の特性 I1, I2: 二次側短絡電流 を一次側に換算 した値
B2
B3I1 I2
B1
F2
図19 ヒューズ結線図 図20 ヒューズと遮断器の協調
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 16
17
ı.欠相問題
電力ヒューズの動作時間は,溶断時間に1サイクル前後
の消弧時間を加えたものでありますが,溶断時間は図18
の例に示すように溶断電流が大きければ短くなりますが,
定格電流の10倍以下では0.1秒以上を要します。したがっ
て,同一の電流が流れても可溶要素の不均一性が,消
弧時間に比較して,それぞれの溶断時間に及ぼす影響は
定格電流と遮断電流の比が小さいほど大であります。三
相回路で相間短絡をしても,系統のインピーダンスが大
きく,短絡電流が小さい場合には,ヒューズは1本しか
動作せず,欠相運転をすることがあります。また,過負
荷電流が流れたときも,三相同時遮断は本質的に困難で
す。しかし,故障電流が大きくなると,不均一時間が動
作時間より小さくなって,必ず同時遮断をしますから,
ヒューズは大電流短絡故障保護を主目的として使用しな
くてはなりません。
溶断特性の均一化は,電力ヒューズの基本的な重要問
題でありますが,ある程度の差異は本質的に避けられま
せんから,三相ヒューズの1本だけが切れることにより
単相運転となって電動機負荷に故障を起こす問題は,電
力ヒューズ応用に最も関心を払わなくてはなりません。
しかし,当社製ヒューズの試験では,定格電流の10倍ぐ
らいでは必ず同時に2本とも遮断することを確かめてあ
りますから,故障電流を定格電流の10倍以上になるよう
に電流定格を選定しておくか,小故障電流は電源側に入
れてある遮断器又は開閉器を働かして遮断するか,ある
いは重要な回路では欠相継電器を入れて逆電源の遮断器
を引外しさせるか,負荷側遮断器を全部引外しするよう
にすればよいのであります。
ˆ.地絡故障
系統の中性点が非接地あるいは高インピーダンスで接地
されていて地絡電流が少ないと,VT用の1Aヒューズ
のように定格電流が地絡電流に比較して小さいとき以外
は,電力ヒューズは一般に地絡故障では溶断しにくく,
また,たとえ溶断しても遮断時間が長く単相運転になる
危険性があります。この地絡故障保護が完全でないのが
電力ヒューズと継電器遮継器組合せ方式の本質的に違う
一つの特性で,地絡は電源側遮断器に地絡継電器を付け
て検出除去すべきであります。
˜.定格電圧
最近,絶縁レベルを一段上げて要求される場合が多くな
っておりますが,限流ヒューズのようなものは,使用電
圧より一段上のものを使うと,消弧能力が強すぎて直流
遮断のようになり,過電圧を発生する危険があります。
したがって,絶縁電圧を上げるために支持がいしは変更
されても,ヒューズそのものは変更してはならないから,
必ず使用電圧を,購入に際して明記する必要があります。
しかし,非接地2系統を結ぶ3本ヒューズのうち,2本
が故障のため動作して切れて1本が残り,その2系統が
同期していないときは,切れたヒューズリンクに系統電
圧の2倍かかります。また,上記のような系統の場合,
異相がヒューズをはさんで地絡故障した場合も地絡しな
い相の電力ヒューズは2倍の系統電圧を遮断しなければ
なりません。
このようなことが起こる危険のある場所に使用する場
合は,特別の考慮が必要で,前者のような場合はヒュー
ズリンクの絶縁を上げておけばよく,後者は定格使用電
圧を上げておかなければなりませんが,このようにすれ
ば限流ヒューズのようなものでは,普通の故障遮断に過
電圧を発生する懸念がありますので,ホウ酸電力ヒュー
ズの使用をご推奨いたします。
¯.すえ付け
取扱説明書記載の最小すえ付寸法及び注意事項を厳守し
てください。
当社電力ヒューズは,垂直取付けを標準としておりま
すので,もし水平あるいは傾斜取付けする場合にはその
旨購入の際お申し出ください。
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18
電力ヒューズの性能上最も問題となる点―――――――
効果的・経済的な電力ヒューズの使い方―――――――
∏ 遮断容量が回路の短絡容量以上であること。
もし,以下であれば,ヒューズは爆発し,機器または
人畜に危害を加える危険があります。
π 遮断時サージ電圧を発生しないこと。
もし異状なサージ電圧が発生すると,たとえ事故は遮
断しても,発電機・変圧器その他の機器に損傷を与え
避雷器を動作爆発させる危険があります。
∫ 小電流(常時負荷電流)遮断性能を有すること。
ヒューズが何らかの原因で自然劣化して溶断動作した
場合,たとえ大電流が遮断できるものでも小電流(常
時負荷電流)が遮断できないと,アークが続いて焼損
事故となります。
ª ヒューズエレメントはコロナやせしないこと。
コロナやせがあると,エレメントはついに溶解し不必
要なヒューズ動作となります。
∏ 設備容量の増加から遮断容量が不足したとき,遮断器
に直列にヒューズを入れてback upとして使用します。
π 短絡容量の大きい回路で,設備機器の容量が少なく遮
断器が経済的に設置できない場合,もし,そのような
場合で負荷電流の開閉が要求されるときは,負荷開閉
器とヒューズを組み合わせれば使用できます。
∫ 2kA程度の遮断容量を持つスイッチあるいはコンタク
タなどとヒューズを組み合わせれば,完全に遮断器代
わりとして使用できます。
非常に負荷電流の開閉ひん度が高く,過負荷の発生
確率も高い場合でも,実用的に遮断器と何らそんしょ
くない保護装置が得られます。
これはコンビネーションスイッチとして広く一般に
応用されています。
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19
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FAX
TEL
0795-82-5308
0795-82-2038
三菱FAX.技術サービス〈お問合わせ元〉
〈ご質問内容〉 〈ご要求期限〉
件名
別添資料(有り、無し)/計( ページ)∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
添付別紙参照( 枚)
月 日
平成 年 月 日
会社名
所属名
住所
氏名
FAX.番号
お取引代理店及び担当者
(市外局番 )-
様
(TEL. )担当:
三菱電機株式会社 成松分室配電器技術課
機種:ヒューズ,LBS,断路器,PAS
〈回 答〉
(コピーしてご使用ください)
盤用08B_三菱ホウ酸電力ヒューズ 05.7.6 0:57 PM ページ 19
東洋電機株式会社 氷上工場技術課
2011年1月作成この印刷物は2011年1月の発行です。なお、お断りなしに仕様を変更することがありますのでご了承ください。 K-K06-5-C1033-C 他〈MDOC〉
三菱ホウ酸電力ヒューズ
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安全に関するご注意製造者:東洋電機株式会社