第4章 IS/LMモデル

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4IS/LMモデル

Transcript of 第4章 IS/LMモデル

Page 1: 第4章 IS/LMモデル

第4章 IS/LMモデル

Page 2: 第4章 IS/LMモデル

貨幣市場の均衡ーーLM曲線

貨幣市場の均衡2種類の資産(貨幣、債券)を仮定貨幣の需給バランス

M=L(Y,i,W) (1)マネーサプライ

LM曲線貨幣市場を均衡させる利子率とGDPの組合せ

Mr

H=++

αα

1 (2)

Page 3: 第4章 IS/LMモデル

• 右上がりのLM曲線LM曲線上の(i0,Y0)Y0より大きなY1をとる

Y0の下での貨幣の取引需要L10よりY1の下での貨

幣の取引需要L11の方が大きい

貨幣の資産需要については,L20 > L2

1

貨幣の資産需要は利子率の減少関数だから,L21

に対応する利子率i1はL20に対応する利子率i0より

大きい

したがって,LM曲線は右上がり

Page 4: 第4章 IS/LMモデル

L1 (a) (b)L1

M/P L1

L11

L11

L10

L10

0Y00 L2

1 L20 M/P Y1 YL2

iLM

i1i1

i0i0

L2

Y0 Y00 Y1L21 L2

0

(c) (d)

Page 5: 第4章 IS/LMモデル

L1 (a) (b)L1

M/P L1

L11

L11

L2

L2’

L10資

産需要の変化

L10

0Y00 L2

1 L20 M/P Y1 YL2

LM’i

LM

i1i1

i0i0

Y0 Y00 Y1L21 L2

0

(c) (d)

Page 6: 第4章 IS/LMモデル

L2

LM’

(a)L1 (b)L1

M/P L1

L11

L11

L10

L2L2

0 M/PL210

i

i1

i0

0 L21 L2

0

(c)

LM

Y0 Y1 Y

YY0 Y1(d)

L10

i1

i0

0

0

マネーサプライの変化

Page 7: 第4章 IS/LMモデル

貨幣市場における不均衡の調整

LM曲線の左上の領域(A点)• L<M(超過供給)• iが下落LM曲線の右下の領域(B点)• L>M(超過需要)• iが上昇

iL<M

A

BL>M

LM曲線

Y

Page 8: 第4章 IS/LMモデル

投資理論

投資C円→n年間にわたって収益R1, R2, ... , Rnの期待収益

収益の割引現在価値V

VとCの比較(a) V>Cならば,この投資は利潤を生む(b) V=Cならば,利潤ゼロ(c) V<Cならば,損失をもたらす

V Ri

Ri

Rin

n=+

++

+ ++

1 221 1 1( ) ( )L

Page 9: 第4章 IS/LMモデル

投資の限界効率ρ

同値関係(a)' V>C ⇔ρ> i(b)' V=C ⇔ρ= i(c)' V<C ⇔ρ< i

投資が実行されるか否かは,投資の限界効率と利子率の大小関係に依存する

Page 10: 第4章 IS/LMモデル

ρ,i

投資の限界効率表

i 0

i 1

II0 I10

Page 11: 第4章 IS/LMモデル

財市場の均衡ーーIS曲線

投資関数 I=I(i, re)財市場の均衡式

Y=C0+c(Y-T)+I(i, re)+G+X-M0-mYIS曲線• 財市場が均衡する利子率とGDPの組合せ• 投資関数は利子率の減少関数

Page 12: 第4章 IS/LMモデル

• 右下がりのIS曲線• IS曲線上の(i0,Y0)• Y0より大きなY1をとる

• Y0の下での貯蓄S0よりY1の下での貯蓄S1の方が大

きい

• 投資I0,I1についても,I0<I1• 投資は利子率の減少関数

• I1に対応する利子率i1はI0に対応する利子率i0より小さい

• したがって,IS曲線は右下がり

Page 13: 第4章 IS/LMモデル

I(c)

I0 I1

(a) (b)45°S S

IS

曲線の導出

S1

Y

S

Y0 Y10

0I

i

0

i

0 Y

IS

i 0 i0

i1

S0

-C0

i 1

I

(d)Y0 Y1

Page 14: 第4章 IS/LMモデル

(a) (b)45°S S

00

Y

SS’

S”

貯蓄意欲の高まり

I

i

0I

i

0

IS

-C0

IS’IS”

I

Y(c) (d)

Page 15: 第4章 IS/LMモデル

Y

i

IS

S

IS’

(a) (b)45°S S

投資意欲の高まり

00

I-C0

i

II’

00 YI(c) (d)

Page 16: 第4章 IS/LMモデル

財市場における不均衡の調整

r

IS曲線の右上の領域(A点)• I<S(超過供給)• Yが減少IS曲線の左下の領域(B点)• I>S(超過需要)• Yが増大

AI<S

BI>S IS曲線

Y

Page 17: 第4章 IS/LMモデル

財政政策の効果

財市場の需給バランスI+G=S+T投資関数はI+Gを表す貯蓄関数はS+Tを表す

政府支出増ΔG>0IS曲線の右方シフト

増税ΔT>0IS曲線の左方シフト

Page 18: 第4章 IS/LMモデル

(a) (b)45°S S

00

Y

IS

S+T

IS’

IS”

S+T+ΔT

I

i

0I

i

0

-C0

I+GI+G+ΔG

Y(c) (d)

Page 19: 第4章 IS/LMモデル

財市場と貨幣市場の同時均衡

i

IS曲線とLM曲線の交点=均衡財市場と貨幣市場を同時に均衡させる利子率とGDPの組み合わせ

均衡利子率

均衡GDP

LM

IS

i*

Y* Y

Page 20: 第4章 IS/LMモデル

不均衡の調整

i

領域の分類と調整点A:財市場,貨幣市場ともに超過供給

点B:財市場は超過需要,貨幣市場は超過供給

点C:財市場,貨幣市場ともに超過需要

点D:財市場は超過供給,貨幣市場は超過需要

LM

IS

A

D

C

Bi*

Y* Y

Page 21: 第4章 IS/LMモデル

財政・金融政策の効果

i

均衡GDPと完全雇用GDPの不一致金融政策

マネー・サプライ増加

LM曲線の右方シフトIS曲線とLM’曲線の交点でYF実現

利子率の低下

LM

IS

LM’i*

i’

Y* YF Y

Page 22: 第4章 IS/LMモデル

財政政策

減税

政府支出(国債の市中消化による)増加

IS曲線の右方シフトIS’曲線とLM曲線の交点でYF実現

利子率の上昇

クラウディングアウト

ヒックス・メカニズム

i *

i’

i

LM

IS

IS’

Y* YF Y

Page 23: 第4章 IS/LMモデル

財政政策

政府支出(国債の日銀引受による)増加

IS曲線の右方シフトLM曲線の右方シフト

IS’曲線とLM’曲線の交点でYF実現

i

LM

ISIS’

LM’

i*

Y* YF Y

Page 24: 第4章 IS/LMモデル

金融政策が無効になるケース

i

流動性のワナ

すべての人が債券価格は最高値に達しており,近い将来に下落すると予想している状態

金融政策無効

財政政策有効

LM

IS’

LM’

IS

i0

Y0 Y

Page 25: 第4章 IS/LMモデル

i

非弾力的投資

投資が利子率に対して非弾力的である場合

金融政策無効

財政政策有効

LMIS IS’

LM’

i0

Y0 Y

Page 26: 第4章 IS/LMモデル

財政赤字の経済学

財政赤字G>T → 国債(公債)=国・地方の借金証書国債価格と利子率の関係

国債残高B(ストック)とG、T(フロー)の関係B-B-1=G-T (8)

利払い=i B-1 → 2001年度20.8%Gを利払い以外の政府支出と定義しなおすと

B-B-1= i B-1+G-T (9)

Page 27: 第4章 IS/LMモデル

財政赤字: i B-1+G-T >0国債残高増大

国債残高2001年度末380兆円公債残高666兆円 c.f. GDP約500兆円

プライマリー・バランス:G-T財政赤字・国債はなぜ問題か

貸し手も借り手も同じ日本人

国債=将来の税金 → 借金のツケではない

Page 28: 第4章 IS/LMモデル

国債の負担IS曲線の右方シフト → 利子率上昇

→ 民間投資抑制(クラウディングアウト)→ 将来世代の資本ストック減少

→ 将来の生産水準下落

世代間分配、同一世代内分配

リカードの等価定理(中立命題)

Page 29: 第4章 IS/LMモデル

財政破綻国債残高の対GDP比率

2つの要因によって決まる①利子率iと経済成長率gのいずれが大きいか②プライマリー・バランスが黒字か赤字か

BY

BY

i g By

G TY

− = − +−−

1

1

1

1

( ) (10)

Page 30: 第4章 IS/LMモデル

リカードの等価定理(中立命題)

家計が政府の異時点間の予算制約を考慮

現在の減税=将来の増税ΔB=-T

将来の元利合計 (1+i)ΔB → 増税

T’= (1+i)ΔB将来の増税の現在価値

Ti

i Bi

B' ( )1

11+

=++

=∆