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平成 31 年4月 横浜市 CITY OF YOKOHAMA

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平成 31年4月

横浜市

CITY OF YOKOHAMA

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第4期「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の策定について

はじめに

ホームレスの自立の支援等に関する施策の総合的な推進は、平成 14 年8月に「ホームレスの自立

の支援等に関する特別措置法」(平成 14年法律第 105 号。以下「法」という。)により開始されまし

た。開始当時は 10 年間の時限法でしたが、24 年8月に5年間、29 年8月に 10 年間法の期限が延長

されました。

また、国は、生活保護受給に至る前段階での自立支援策の強化を図るため、「生活困窮者自立支援

法」(平成 25 年法律第 105 号。)を成立させ、生活困窮者の自立と尊厳の確保及び生活困窮者支援

を通じた地域づくりを制度の目標に、生活困窮者の自立支援を推進してきました。

法では、ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標を明示するとともに、国又は地方公共団体

の責務として、こうした目標に関する総合的又は地方の実情に応じた施策の策定及び実施を位置付け

ています。こうした中、国は 15年 1月に「ホームレスの実態に関する全国調査」(以下「全国調査」

という。)を行い、この結果を踏まえて、同年7月に「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」

(以下「基本方針」という。)を策定し、20年7月、25年7月及び 30年7月に基本方針を改定しま

した。

一方、地方公共団体においては、必要に応じて、この基本方針等に即し、ホームレスに関する問題

の実情に応じた施策を実施するための計画を策定しなければならないとされており、横浜市では、国

の基本方針及び神奈川県の「神奈川県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」を踏まえ、16年

10月、21年4月及び 26年4月に「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」(以下「実

施計画」という。)を策定しました。

この実施計画に基づき、横浜市のホームレスの自立の支援に関わる関係区局が、30年度までの5カ

年間に取り組むことと定めた9つの取組方針に沿って、ホームレスの自立の支援等を推進してきまし

た。

基本方針では、策定後5年を目途に方針の見直しを行うこととされています。見直しにあたっては、

ホームレスの実態についての調査を実施することとされているため、28 年 10 月に全国調査を行いま

した。

調査結果では、ホームレスの数は大幅に減少しているものの、依然として多数のホームレスがいる

ことが確認されたほか、ホームレスの高齢化や路上(野宿)生活期間の長期化が一層進んでいる傾向

にあることが確認されました。

また、このような路上等のホームレスの背後には、定まった住居を喪失し簡易宿泊所や終夜営業の

店舗等で寝泊まりする等の不安定な居住環境にあり、路上と屋根のある場所とを行き来している層が

存在することが指摘されています。

国はこうした結果を踏まえ、基本方針の見直しを 30年7月に行いました。

横浜市においても、新たな国の基本方針や神奈川県が策定する実施計画に即して、31 年度から 35

年度までの5カ年間、本市におけるホームレスの実態に応じた施策を計画的かつ効果的に実施すると

ともに、ホームレス自立支援施策の更なる推進を目的として、新たに実施計画を策定することにより

基本的な施策の方向性を明示します。

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目 次

第1 ホームレスに関する現状

1 ホームレスの実態に関する全国調査から ···························································· 1

(1) 概数調査の結果について ········································································· 1

(2) 生活実態調査の結果について ···································································· 3

2 ホームレス自立支援施策の現状 ····································································· 16

(1) 横浜市及び国における取組の経過 ······························································· 16

(2) 横浜市の主なホームレス自立支援施策 ·························································· 20

(3) 第3期「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の内容 ··························· 26

(4) 第3期「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の施策評価 ······················ 27

第2 ホームレス自立支援の推進方策

1 基本的な考え方 ····················································································· 40

2 各課題に対する取組方針 ············································································ 42

(1) 就労自立の支援 ·················································································· 42

(2) 安定した居住場所確保の支援 ··································································· 43

(3) 保健・医療の確保の支援 ········································································· 43

(4) 個々の状況に応じたきめ細かな支援 ····························································· 44

(5) 再び路上生活となることを防止する支援 ·························································· 45

(6) ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人への支援 ··································· 45

(7) 人権擁護 ························································································· 46

(8) 地域の生活環境の改善及び安全・安心の確保 ··················································· 47

(9) 市民や民間団体との連携 ········································································ 47

第3 ホームレス自立支援施策の推進体制

1 庁内推進体制 ······················································································· 48

2 庁外の関係機関との連携 ············································································ 48

(1) 国、神奈川県等関係機関との連携 ······························································· 48

(2) 民間団体との連携 ················································································ 48

3 実施計画の計画期間等 ············································································· 48

(1) 計画期間 ························································································· 48

(2) 実施計画の評価と次期計画の策定 ······························································ 48

参考資料

参考資料1 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法 ·········································· 49

参考資料2 ホームレスの自立の支援等に関する基本方針 ············································· 53

参考資料3 生活困窮者自立支援法 ··································································· 70

参考資料4 横浜市生活自立支援施設条例 ···························································· 79

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1 ホームレスの実態に関する全国調査から

国は、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(平成 14 年法律第 105 号)及び「ホー

ムレスの自立の支援等に関する基本方針」(平成 20年7月厚生労働省・国土交通省告示第 1号)の

見直しの検討や施策効果を継続的に把握することを目的に、「ホームレスの実態に関する全国調査」

を実施しています。この全国調査は、目視による「概数調査」と個別面接による「生活実態調査」

から構成されています。

【概数調査】

ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法第2条に規定する「都市公園、河川、道路、駅舎

その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」の人数を目視により調査を行い

ます。

統一した調査方法により同時期に全国すべての市区町村において調査が実施されたのは平成 15

年1~2月が初めてで、平成 19年以降は毎年1月に実施されています。

【生活実態調査】

概数調査で確認されたホームレスを対象に個別面接を実施し、「年齢」、「性別」、「健康状態」、「生

活歴」等、国の定める調査事項に基づき聞き取りによる調査を行います。

生活実態調査はこれまでに計4回(平成 15 年1~2月、平成 19 年1月、平成 24 年1月、平成

28 年 10月)実施され、平成 28年調査においては、概数調査(平成 28年1月)で 30人以上のホー

ムレスが確認された自治体により、約 1,300人の聞き取りを目標に行われました。横浜市では、161

人を対象に聞き取り調査を行いました。

(1) 概数調査の結果について

ア 自治体別の人数の推移について

全国のホームレス数については、統計を開始した平成 15年概数調査(25,296人)より、大幅に

減少しています。

平成 30 年1月の概数調査では、全国で 4,977人(29年1月調査:5,534人)、横浜市では 477人

(29年1月調査:531人)のホームレスが確認されました。

東京都 23区及び政令指定都市の状況については、合計が 3,764人であり、全国のホームレス数

の約4分の3を占めています。また、都道府県別では東京都(1,242人)、大阪府(1,110人)、神

奈川県(934 人)となっており、3都府県(合計 3,286 人)で全国の約3分の2を占め、大都市圏

へ集中する傾向がみられます。

第1 ホームレスに関する現状

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【表 1】 主な自治体別ホームレス数推移

イ 本市のホームレスの状況

本市における区別のホームレス状況は表2のとおりで、全体の約半数が中区・西区に集中して

います。

居住形態としては、決まった構造物を持たず駅舎や公共施設の軒下等で寝泊まりをする「移動

型」のホームレスが全体の8割以上を占めています。一方で、河川敷や公園等に小屋やテントを作

り、一定の場所で寝泊りをする「定住型」のホームレスが約6人に1人存在します。定住型のホー

ムレスはその多くが河川流域を起居場所としており、流域区での定住者割合が高くなっています。

起居場所の分布でみると、「都市公園」が 32.5%で最も多く、次いで、「その他施設」30.2%、

「道路」15.7%、「河川」14.7%、「駅舎」6.9%の順となっています。全国の起居別割合と比較す

ると、市内では「都市公園」や「その他施設」が占める割合が多く、「河川」が占める割合が少な

いことが分かります。これは、移動型のホームレスが8割以上を占めることや、市内における都市

公園数が多いことが起因していると考えられます。

【表 2】 ホームレスの市内分布(平成 30 年概数調査結果)

平成15年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年25,296 人 7,508 人 6,541 人 6,235 人 5,534 人 4,977 人

東京都23区・指定都市合計 18,165 人 5,624 人 4,953 人 4,761 人 4,223 人 3,764 人横浜市 470 人 580 人 548 人 536 人 531 人 477 人東京都23区 5,927 人 1,581 人 1,336 人 1,319 人 1,246 人 1,126 人大阪市 6,603 人 1,725 人 1,527 人 1,497 人 1,208 人 1,023 人川崎市 829 人 490 人 439 人 383 人 341 人 300 人その他政令市 4,336 人 1,248 人 1,103 人 1,026 人 897 人 838 人

7,131 人 1,884 人 1,588 人 1,474 人 1,311 人 1,213 人

全国合計

その他

小屋 テント その他 小計鶴見 42人 40人 2人 13人 1人 7人 21人 21人 50.0% 50.0% 15人 17人 6人 0人 4人

神奈川 27人 26人 1人 6人 0人 0人 6人 21人 22.2% 77.8% 19人 0人 4人 0人 4人西 79人 75人 4人 1人 2人 1人 4人 75人 5.1% 94.9% 8人 3人 9人 3人 56人中 166人 164人 2人 0人 0人 5人 5人 161人 3.0% 97.0% 61人 10人 46人 26人 23人南 10人 10人 0人 0人 0人 0人 0人 10人 0.0% 100.0% 8人 0人 0人 0人 2人

港南 11人 10人 1人 0人 0人 1人 1人 10人 9.1% 90.9% 0人 1人 1人 0人 9人保土ヶ谷 17人 17人 0人 0人 0人 2人 2人 15人 11.8% 88.2% 14人 0人 0人 0人 3人

旭 8人 8人 0人 0人 0人 0人 0人 8人 0.0% 100.0% 3人 1人 0人 0人 4人磯子 12人 11人 1人 2人 1人 1人 4人 8人 33.3% 66.7% 2人 3人 1人 1人 5人金沢 10人 10人 0人 0人 1人 4人 5人 5人 50.0% 50.0% 6人 0人 3人 0人 1人港北 30人 30人 0人 8人 5人 2人 15人 15人 50.0% 50.0% 9人 16人 0人 0人 5人緑 7人 7人 0人 0人 0人 2人 2人 5人 28.6% 71.4% 2人 1人 0人 0人 4人

青葉 13人 13人 0人 0人 0人 4人 4人 9人 30.8% 69.2% 3人 5人 0人 1人 4人都筑 13人 13人 0人 3人 2人 2人 7人 6人 53.8% 46.2% 3人 6人 1人 0人 3人戸塚 8人 8人 0人 0人 0人 1人 1人 7人 12.5% 87.5% 0人 3人 0人 0人 5人栄 11人 11人 0人 0人 0人 1人 1人 10人 9.1% 90.9% 0人 3人 2人 1人 5人泉 8人 8人 0人 0人 1人 0人 1人 7人 12.5% 87.5% 1人 1人 2人 1人 3人

瀬谷 5人 5人 0人 0人 0人 0人 0人 5人 0.0% 100.0% 1人 0人 0人 0人 4人合計 477人 466人 11人 33人 13人 33人 79人 398人 155人 70人 75人 33人 144人割合 97.7% 2.3% 83.4% 32.5% 14.7% 15.7% 6.9% 30.2%16.6%

区 名 総 数

項 目 別 内 訳性別 形態 場所

男性 河川 道路 駅舎 その他女性定住型

移動型 定住割合 移動割合 公園

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【表 3】 全国の場所別ホームレス数

(2) 生活実態調査の結果について

平成 28 年1月の概数調査で 30 名以上のホームレスが確認された自治体において、同年 10 月に

生活実態調査が行われました。全国の回答者数は 1,435人に上り、本市においては 161人より調査

協力を得ることができました。市内における聴き取り調査の結果は次のとおりです。

※以下、調査結果については、調査対象者のうち有効回答数により統計を行っています。

(表中の「N」は有効回答数、「全国」は平成 28年の全国調査を示しています。)

ア 年齢状況

年齢分布は表4のとおりで、最も多かった年齢層は「65~69歳」の 24.8%でした。「70歳以上」

は 21.8%に達していました。65歳以上の高齢者が占める割合は 46.6%に上り、前回調査の 29.9%

を大きく上回る結果となりました。ホームレスの平均年齢は 61.7歳で、前回調査より 1.9歳上昇

しています。本市においても、ホームレスの高齢化が一層進んでいる状況が確認されました。

また、「~39歳」の年齢層については、前回調査と比較し 2.2%増加しており、今回調査でも若

年層(45 歳未満の者をいう。以下同じ)のホームレスが一定程度存在していることが確認されま

した。

【表 4】 年齢分布(横浜市)

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【表 5】 平成 28 年全国調査 本市と全国の年齢分布比較

年 齢 層 全 国 〔N=1,435〕 横 浜 市 〔N=161〕

割 合 増 減 割 合 増 減

~39 歳 3.4% (▲0.3) 3.1% (+2.2)

40~49 歳 8.9% (▲2.9) 8.0% (▲2.3)

50~54 歳 9.0% (▲1.9) 11.8% (▲1.3)

55~59 歳 13.0% (▲5.3) 11.2% (▲8.4)

60~64 歳 22.9% (▲2.8) 19.3% (▲6.9)

65~69 歳 23.1% (+6.5) 24.8% (+7.0)

70 歳以上 19.7% (+6.8) 21.8% (+9.7)

平均年齢 61.5 歳(+2.2 歳) 61.7 歳(+1.9 歳)

※( )内数値については前回調査(平成 24 年調査)からの増減

イ 路上生活期間の状況

路上での生活期間は表6のとおりで、最も多かった期間は「1年未満」の 29.6%、次いで「10

年以上」の 25.2%でした。5年以上の長期間路上生活にある人は 42.8%に上り、前回調査の 36.9%

を上回る結果となりました。路上生活期間が5年以上の人について、全国値と比較をすると市内

値の割合は低いものの、市内でも路上生活期間の長期化が進んでいることが確認されました。

一方で、市内において「1年未満」の路上生活者は全体の約3割を占め、比較的路上生活期間が

短い者が多くいることが確認されました。

表8は、年齢と路上生活期間の相関関係を示したものです。

「65 歳以上」の路上生活者のうち、半数以上が「5年以上」路上生活を継続していることが確

認されました。また、年齢が「65 歳以上」の人のうち、路上生活期間が「1年未満」である人は

18.6%であり、年齢層が高い方が路上生活期間は長期化する傾向がみられました。

一方で、「50歳未満」の路上生活者の路上生活期間をみると、半数以上が「1年未満」であるこ

とが確認されました。年齢が「50歳未満」の人のうち、「5年以上」路上生活期間を継続している

人は3%に満たず、年齢層が低い人ほど路上生活期間は短い傾向がみられました。

【表 6】 路上生活期間(横浜市)

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【表 7】 平成 28 年全国調査 本市と全国の路上生活期間比較

路上での生活期間 全 国 〔N=1435〕 横 浜 市 〔N=161〕

割 合 増 減 割 合 増 減

1年未満 22.2% (+2.0) 29.6% (+8.9)

1年以上3年未満 12.2% (▲5.5) 17.6% (▲11.2)

3年以上5年未満 10.5% (▲5.3) 10.1% (▲3.4)

5年以上 10 年未満 20.5% (+0.3) 17.6% (+2.3)

10 年以上 34.6% (+8.6) 25.2% (+3.6)

※( )内数値については前回調査(平成 24 年調査)からの増減

【表 8】 年齢と路上生活期間(横浜市)

ウ 収入状況

仕事の有無に関する調査において、「仕事をしている」と回答した人は 56人(34.8%)でした。

仕事内容は「廃品回収」が 50.9%で最も高く、「建設日雇」21.1%、「運輸日雇」7.0%、「他雑業」

1.8%、「その他」19.3%となっています。就労による収入額は表9のとおりで、月収は「40,000 円

~59,999円」の層が最も多く 30.4%となりました。

就労外収入の有無に関する調査においては、「仕事以外に収入がある」と回答した人は 38 人

(23.6%)でした。収入内容としては「年金収入」が 44.7%、「家族、友人・知人等からの支援」

が 31.6%となっています。就労外の収入額は表 10のとおりで、月収は「100,000円以上」の人が

15.8%、「月 20,000~39,999円」の人が 13.2%となりました。

年齢や路上生活期間と仕事の有無の相関関係については表 11、12のとおりです。年齢層別にみ

る仕事をしている割合は「50~54歳」が最も多く 52.6%となりました。「40~64歳」でみると 44.4%

が仕事をしており、65歳以上及び 30歳代以下の年齢層を除くと概ね2人に1人が就労をしている

ことが確認されました。

路上生活期間別にみると仕事をしている割合は「5年以上 10 年未満」が最も多く 42.9%とな

り、路上生活期間が長い人ほど仕事をしている割合が高くなる傾向がみられました。

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【表 9】 就労による収入額(横浜市)

【表 10】 就労外による収入額(横浜市)

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【表 11】 年齢別にみる就労状況(横浜市)

【表 12】 路上生活期間別にみる就労状況(横浜市)

【表 13】 前回調査及び全国との比較(就労収入関係)

24年調査(N=111) 28年調査(N=161) 全国(N=1,429)40.5% 34.8% 55.6%

廃品回収(アルミ缶・ダンボール・粗大ゴミ・本集め) 75.6% 50.9% 70.8%建設日雇 6.7% 21.1% 12.0%運輸日雇(運搬作業・引越し等) 11.1% 7.0% 1.8%他雑業(看板持ち・チケットならび・雑誌の販売など) 4.4% 1.8% 4.0%その他 11.1% 19.3% 23.6%10,000円未満 13.3% 8.9% 9.6%10,000~19,999円 17.8% 12.5%20,000~39,999円 40.0% 28.6%40,000円~59,999円 20.0% 30.4%60,000円~99,999円 6.7% 8.9%100,000円以上 2.2% 1.7% 7.4%

59.5% 65.2% 44.4%※「仕事内容」は複数回答、有効回答数は次のとおり。平成24年:N=49,平成28年:N=57,全国:N=791※「月収」の対象者数は次のとおり。平成24年:N=45,平成28年:N=56,全国:N=771

82.8%

仕事をしている

仕事内容

月 収

仕事をしていない

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エ 路上生活までのいきさつ

路上生活直前の雇用形態は表 14 のとおりで、「常勤職員・従業員」が 39.9%を占めており、次

いで「日雇い」が 31.0%となっています。前回調査と比較をすると、「日雇い」が 13.9 ポイント

上昇しており、景気変動の影響を受けやすい不安定就労より路上生活に至るケースが多いことが

判明しました。

路上生活に至った理由は表 18 のとおりで、「倒産や失業」が 44.7%を占めており、次いで「仕

事が減った」が 30.4%、「病気・けがや高齢で仕事ができなくなった」が 16.1%となっています。

仕事関係に起因するものが最も多く、その他にも、住宅関係、家庭内不和、飲酒・ギャンブル等、

様々な理由で路上生活に至っていることが分かります。

路上生活直前の住居は表 19 のとおりで、「民間賃貸住宅」が 45.3%を占めており、次いで「飯

場・作業員宿舎」が 16.8%、「社宅・寮」が 15.5%となっています。持家、民間賃貸住宅、公営住

宅等の安定した居住地で生活を送っていた人が半数以上を占める一方で、知人宅やビジネスホテ

ル、終夜営業店舗等の不安定な住環境から路上生活に至るケースも一定程度存在することが確認

されました。

【表 14】 路上生活直前の雇用形態(横浜市)

【表 15】 前回調査及び全国との比較(路上生活直前の雇用形態)

24 年調査(N=107) 28 年調査(N=158) 全国(N=1,376)

経営者・会社役員 1.8% 1.9% 2.1%

自営・家族従事者 5.4% 3.8% 4.7%

常勤職員・従業員(正社員) 43.2% 39.9% 40.4%

臨時・パート・アルバイト 26.1% 21.5% 24.1%

日 雇 17.1% 31.0% 26.7%

そ の 他 2.7% 1.9% 2.0%

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【表 16】 最も長く従事した仕事での立場(雇用形態)

【表 17】 前回調査及び全国との比較(最も長く従事した仕事での立場(雇用形態))

24 年調査(N=109) 28 年調査(N=159) 全国(N=1,402)

経営者・会社役員 1.8% 1.9% 1.6%

自営・家族従事者 4.6% 5.0% 5.4%

常勤職員・従業員(正社員) 62.4% 46.5% 54.9%

臨時・パート・アルバイト 15.6% 17.0% 18.7%

日 雇 13.8% 27.7% 17.5%

そ の 他 1.8% 1.9% 1.8%

【表 18】 路上生活に至った理由(横浜市)

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【表 19】 路上生活直前の住居(横浜市)

【表 20】 前回調査及び全国との比較(路上生活に至った理由(複数回答)及び路上生活直前の住居)

※1 24年調査 28年調査 全 国 ※2 24年調査 28年調査 全 国

倒産や失業 27.9% 44.7% 26.1% 持家 7.2% 6.8% 9.0%仕事が減った 31.5% 30.4% 26.8% 民間賃貸住宅 51.4% 45.3% 39.5%病気・けがや高齢で仕事ができなくなった 21.6% 16.1% 16.9% 公営住宅 0.9% 0.6% 1.8%労働環境が劣悪なため、仕事を辞めた 6.3% 1.9% 5.0% 公共賃貸住宅(公営住宅以外) 1.8% 0.0% 1.0%人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた 22.5% 6.8% 17.1% 社宅、寮 10.8% 15.5% 17.3%上記以外の理由で収入が減った 0.9% 0.0% 1.8% 親族・知人宅 5.4% 5.6% 4.8%借金取立により家を出た 1.8% 0.0% 3.3% 住込み先 2.7% 2.5% 3.0%アパート等の家賃が払えなくなった 18.9% 5.0% 11.0% 飯場・作業員宿舎 9.0% 16.8% 12.5%契約期間満了で宿舎を出た 1.8% 2.5% 1.8% 簡易宿泊所 7.2% 3.1% 6.6%ホテル代、宿代が払えなくなった 2.7% 1.2% 4.2% ビジネスホテル・サウナ等 1.8% 3.1% 2.3%差し押さえによって立ち退きさせられた 0.0% 0.0% 0.4% 病院 0.0% 0.0% 0.1%病院や施設などから出た後行き先がなかった 3.6% 1.2% 1.7% 更生施設等の福祉施設 0.0% 0.0% 0.4%家庭内のいざこざ 7.2% 6.8% 7.4% 自立支援センター・シェルター 0.0% 0.0% 0.0%飲酒、ギャンブル 6.3% 4.3% 8.9% その他 1.8% 0.6% 1.7%その他 18.9% 11.8% 16.7%※1 平成24年:N=111,平成28年:N=161,全国:N=1,416   ※2 平成24年:N=111,平成28年:N=161,全国:N=1,418

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オ 健康状態

健康状態については表 21のとおりで、「不調を訴えている人」は 33名(20.5%)でした。この

うち、対処方法について質問を行った結果については表 22のとおりで、「何もしていない(治療を

受けていない)」人は 31名(93.9%)に及び、不調を感じながらも経済的な理由や保険の未加入等

により、医療機関での治療を受けられずにいる人が大半を占めていることが分かりました。また、

自覚症状としては「腰痛」や「歯痛」を訴える人が多くいました。表 23は健康状態を「悪い」と

答えた人の年齢層を示したもので、「65歳以上」の高齢者が占める割合は 60.6%となりました。

表 24 は健康状態と路上生活期間の相関関係を示したものです。路上生活期間が「1年未満」で

健康状態が悪い人は 12.8%、「1年以上」では約 1.8 倍の 23.6%となりました。路上生活期間1

年を境に健康状態が悪化する傾向がみられました。

【表 21】 前回調査及び全国との比較(健康状態)

24 年調査(N=110) 28 年調査(N=161) 全 国 (N=1,426)

良 い 29.1% 26.1% 26.9%

悪 い 34.5% 20.5% 27.1%

普 通 34.5% 47.8% 42.0%

分からない 1.8% 5.6% 4.0%

【表 22】 前回調査及び全国との比較(健康状態を「悪い」と答えた人の対処方法)

24 年調査(N=37) 28 年調査(N=33) 全 国 (N=376)

通 院 8.1% 6.1% 25.8%

市 販 薬 13.5% 0.0% 13.3%

何もしていない 78.4% 93.9% 60.9%

【表 23】健康状態を「悪い」と答えた人の年齢層(横浜市)

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【表 24】 健康状態と路上生活期間

カ 福祉制度の利用状況

巡回相談員との相談状況については表 25のとおりで、相談の有無に関わらず 91.9%が巡回相談

員に会ったことがあることが分かりました。

自立支援施設の利用経験については表 26のとおりで、約4人に1人は過去に同施設を利用して

いることが確認されました。また、「施設を知っているが、利用したことはない」人のうち、77.5%

が施設を利用したいと思わないという結果が得られました。利用したくない主な理由としては、集

団生活や施設の利用規則等が挙げられました。

生活保護制度の利用状況については表 27 のとおりで、「ある」と回答した人が 27.3%、「ない」

と回答した人が 68.9%となりました。また、「ない」と答えた人のうち、57.7%が「制度を利用し

たくない」と回答しています。

【表 25】 前回調査及び全国との比較(巡回相談員との相談状況)

24 年調査(N=111) 28 年調査(N=161) 全 国 (N=1,414)

会ったことがあり、相談した 44.1% 68.3% 46.9% 会ったことはあるが、相談したことはない 38.7% 23.6% 42.9% 会ったことはない 17.1% 8.1% 10.3%

【表 26】 前回調査及び全国との比較(自立支援施設の利用経験)

24 年調査(N=110) 28 年調査(N=161) 全 国 (N=1,382)

知っており、利用したことがある 30.9% 26.1% 15.1% 知っているが、利用したことはない 55.5% 63.4% 58.1%

※ 今後自立支援施設を利用したいと思う 5.0% 22.5% 14.5% 今後自立支援施設を利用したいと思わない 95.0% 77.5% 85.5%

知 ら な い 13.6% 10.6% 26.8%

※平成 24 年:N=60,平成 28 年:N=102,全国:N=794

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【表 27】 前回調査及び全国との比較(生活保護制度の利用状況)

キ 今後の生活

今後どのような生活を望んでいるかについては表 28 のとおりで、「今のままでいい(路上(野

宿)生活)」が 37.3%で最も多く、次いで「アパートに住み、就職して自活したい」が 17.4%、「分

からない」が 11.2%となりました。

表 29 及び表 30は、今回調査で統計の多かった「今のままでいい(路上(野宿)生活)」、「アパ

ートに住み、就職して自活したい」、「就職することはできないので何らかの福祉を利用して生活し

たい」、「アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい」の4項目とそれ以外(「そ

の他」)を加えた計5項目について、年齢別・路上生活期間別にみた相関図です。

路上生活期間が「1年未満」の場合、現状生活(路上生活)からの脱却を希望する人が 87.2%

となりました。一方で、路上期間が1年以上経過してしまうと、現状の生活継続を希望する人が多

くなる傾向がみられました。

年齢別では、40~50歳代ほど現状生活からの脱却を希望している人が多くみられ、30歳代以下

や 60 歳以上の年齢層ほど現状の生活継続を希望する人が多くなる傾向がみられました。

【表 28】 前回調査及び全国との比較(今後の生活希望について)

病院に入院して生活保護を受けた

保護施設等の福祉施設に入所して生活保護を受けた

宿泊所や簡易宿所等で生活保護を受けた

アパート等で単身で生活保護を受けた

アパート等で家族と一緒に生活保護を受けた

その他

生活保護制度を知らない

制度は知っているが、自分は利用できないと思っている

制度を利用したくない

その他

※1(複数回答)平成24年:N=35,平成28年:N=44,全国:N=466  ※2 平成24年:N=71,平成28年:N=111,全国:N=881

24年調査(N=108) 28年調査(N=161) 全国(N=1,421)あ る

※1

相談には行ったが利用したことはない相談には行ったが断られた

27.3%38.6%18.2%61.4%6.8%0.0%2.3%1.9%1.9%

32.9%31.5%

な い

※2

32.4%31.4%2.9%57.1%8.6%2.9%8.6%0.0%1.9%65.7%5.6%5.6%54.9%33.8%

68.9%0.9%17.1%57.7%24.3%

20.0%24.7%30.7%2.4%9.0%

52.6%28.3%

1.9%2.1%63.1%3.3%15.9%

24年調査(N=111) 28年調査(N=161) 全 国 (N=1,429)アパートに住み、就職して自活したい 15.3% 17.4% 21.7%寮付の仕事で自活したい 1.8% 6.8% 2.9%就職することはできないので何らかの福祉を利用して生活したい 9.0% 9.3% 10.1%アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい 14.4% 8.1% 12.8%入院したい 0.9% 0.6% 0.3%家族のもとに戻りたい 0.9% 2.5% 1.7%今のままでいい(路上(野宿)生活) 33.3% 37.3% 35.3%分からない 13.5% 11.2% 7.0%その他 10.8% 6.8% 8.3%

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【表 29】 路上生活期間別にみる今後の希望(横浜市)

【表 30】 年齢別にみる今後の希望(横浜市)

ク 家族関係

結婚歴(内縁を含む)については表 31 のとおりで、「結婚している」が 3.8%、「離婚・死別」

が 28.7%、「未婚」が 67.5%となっています。

家族・親族状況については表 32のとおりで、「いる」と回答した人のうち、この1年間で家族・

親族と連絡が途絶えている人は 74.0%でした。

【表 31】 前回調査及び全国との比較(婚姻歴)

24 年調査(N=110) 28 年調査(N=157) 全 国 (N=1,408)

結婚している 4.5% 3.8% 4.7%

離婚・死別 42.7% 28.7% 29.8%

未 婚 52.7% 67.5% 65.5%

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【表 32】 前回調査及び全国との比較(親や兄弟などの家族・親族状況について)

24 年調査(N=111) 28 年調査(N=159) 全 国 (N=1,418)

い る 82.0% 60.4% 73.0%

※ この一年間で家族・親族との連絡がある 23.1% 26.0% 21.5%

この一年間で家族・親族との連絡がない 76.9% 74.0% 78.5%

い な い 10.8% 27.7% 13.5%

分からない 7.2% 11.9% 13.5%

※平成 24 年:N=91,平成 28 年:N=96,全国:N=1,033

ケ 行政や民間団体への要望・意見

行政等への要望・意見については表 33 のとおりで、「その他」が最も多く 63.2%、次いで「住

居関係」が 26.3%、「仕事関連」「食事関連」が 21.1%となっています。

「その他」の意見・要望としては、「路上生活者に対する差別や偏見等に苦慮している」や「あま

り関わらないでほしい」といった内容がみられました。

【表 33】 前回調査及び全国との比較(行政や民間団体への要望・意見)

仕事関連住居関連健康関連食事関連その他の生活関連その他

※平成24年:N=57,平成28年:N=19,全国:N=513

21.1%26.3%5.3%

24年調査(N=111) 28年調査(N=161) 全国(N=1,435)回答あり 11.8%

無回答・なし

51.4%40.4%35.1%36.8%33.3%26.3%87.7%48.6%

35.7%28.3%33.7%15.2%17.5%

39.4%64.3%

21.1%10.5%63.2%88.2%

22.2%

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2 ホームレス自立支援施策の現状

(1) 横浜市及び国における取組の経過

本市には、かつて日雇い労働者の多くが居住していた「寿地区」と呼ばれている簡易宿泊所の密

集地域があります。寿地区は終戦からおよそ 10 年後に米軍による接収が解除され、横浜港で職を

求める港湾日雇労働者の居住地として、約 250メートル四方に簡易宿泊所が次々と建てられました。

高度成長期に入った昭和 40年(1965年)には、約 80軒の簡易宿泊所ができ、現在の寿地区が形成

されました。最盛期には、8,000人以上の労働者が住んだといわれる寿地区は、昭和 40年代にはじ

まった港湾労働の機械化や昭和 48 年のオイルショックを経て、労働市場としての機能を失い始め

ました。

寿地区の抱える課題は、単に労働問題に留まらず、福祉、衛生、医療など多岐にわたっていたこ

とから、本市では昭和 58年に関係機関、関係区局で構成した「寿地区対策協議会」を設置し、様々

な課題について協議してきました。「寿地区対策協議会」における「福祉対策部会」では、景気の変

動を受けやすい不安定な雇用形態の就労者が多く集まるこの地区を中心にホームレス生活を余儀

なくされた人が多数見受けられたことから、ホームレスに関する自立支援施策についても協議を行

ってきました。

こうした中、本市では平成3年に「緊急一時保護事業(通年)」を開始し、神奈川県匡済会が運営

する「横浜市南浩生館」に事業委託し、路上生活者に対する一定期間の宿泊援助を実施してきまし

た。また、平成5年には急増する路上生活者への支援強化のため、従前(昭和 54年)より実施して

きた「屋外生活者援護対策事業(街頭相談)」を拡大するとともに、「緊急一時保護事業」の入所定

員を増床しました。

さらに、平成6年には、現自立支援施設の前身となる「まつかげ一時宿泊所(平成 12年「まつか

げ宿泊所」へ名称変更)」)を松影公園に開設し、就労支援をはじめとした生活支援を行う「緊急一

時宿泊所運営事業」を開始しました。

一方、これまでホームレス支援に関する全国的な施策はなく、バブル経済の崩壊からその後の平

成不況の中、全国的にホームレスが急増したことから大きな社会問題として捉えられるようになり

ました。こうした経過を受け、ホームレスに関する問題は地方自治体の取り組みだけでは、人的、

財政的にも限界を超えた状況に達しているとの認識から、国において、平成 11 年2月に関係省庁

と関係都市で構成する「ホームレス問題連絡会議」が設置されました。

さらに、同年5月には、「ホームレス問題に対する当面の対応策について」が取りまとめられ、国

と地方公共団体が一体となりホームレスに関する諸問題に取り組むこととなりました。

平成 14 年8月には、国におけるホームレスの自立の支援等に関する施策を総合的に推進するた

め、10 年間の時限法として「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が施行されました。

これにより、施策の目標、国及び地方公共団体の責務、基本方針及び実施計画の策定等について法

律に明記されることとなりました。(なお、この法律は、法の期限が平成 24年8月に5年間、平成

29 年8月に 10年間延長され、現在は平成 39年8月までの時限となっています。)

本市においても、ホームレスに関する問題が寿地区に特化したものではなく、全市的な問題とな

っていたことから、平成 14年 10月に新たに全庁的な協議の場である「ホームレス対策関係局区連

絡会議(現「ホームレス自立支援等に関する関係区局連絡会議」)」を設置しました。

この連絡会議を通じて、「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」を策定し、計画に

基づいた全庁的なホームレスの自立支援施策を推進しています。

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【表 34】 横浜市のホームレス対策経過

昭和 49 年 4 月 「要生活援護者緊急救護費の支給(法外援護)」の実施(後の寿地区緊急援護対策事業)

現物給付による宿泊と食事の提供(宿泊券・パン券の支給)

昭和 49 年 12 月 年末年始対策事業の開始

休庁期間中に援護が必要な者に対し、食住の提供等による緊急一時的な援護を実施

昭和 54 年 11 月 「屋外生活者援護対策事業」の実施

12 月~3 月の冬季期間、関内駅周辺を中心に夜間街頭相談を実施。

平成 3 年 6 月 横浜市南浩生館1階会議室を改修し、「緊急一時保護事業」を開始

定員7名、入所期間 14 日以内、通年実施で福祉事務所窓口からのみ入所

食事・入浴等の生活援助、就労援助、物品支給等の実施

平成 4 年 4 月 「緊急一時保護事業」の拡大

定員を 7 名より 10 人名へ変更

平成 5 年 9 月 「屋外生活者援護対策事業」・「緊急一時保護事業」の拡大

冬季に実施していた屋外生活者援護対策事業(街頭相談)を通年で実施。

横浜市南浩生館を改修し、定員を 10 名より 15 名へ変更

平成 6 年 11 月 「緊急一時宿泊所運営事業」を開始

「屋外生活者援護対策事業」と「緊急一時保護事業」を合併し、事業規模を拡大した「緊急一時

宿泊所運営事業」を開始。

緊急一時宿泊所の名称を「まつかげ一時宿泊所」とし、松影公園内に暫定 5 年のプレハブ宿舎を

設置。利用定員 70 名

平成 11 年 「まつかげ一時宿泊所」の暫定設置期間の延長

「自立支援センター」設置に係る予算編成。「自立支援センター」開設までの暫定的な施設として

期間延長が認められる

平成 12 年 「緊急一時宿泊所運営事業」の拡大

4 月…女性ホームレスの受入を開始(定員枠:4 名)

5 月…男性定員を 70 名より 100 名へ変更

8 月…新たに 70 床を増床し、合計定員数が 174 名となる。

「まつかげ一時宿泊所」より「まつかげ宿泊所」へ名称変更

平成 13 年 3 月 「横浜市南浩生館」の閉鎖

「横浜市南更生館」の 30 床分を「まつかげ宿泊所」に統合。総定員数 204 名

平成 14 年 8 月 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の施行(10 年の時限法)

平成 15 年 6 月 「ホームレス自立支援センター」の開所

「まつかげ宿泊所」を移転(閉鎖)し、全国初の恒久的な「ホームレス自立支援センター」を寿地区

内に設置。名称を「横浜市ホームレス自立支援センターはまかぜ」に改名。総定員数 226 名(うち

女性枠 20 名)

平成 16 年 4 月 「ホームレス総合相談推進事業」の開始

(特定区域だけでなく)市内全域を対象とした巡回相談支援の開始

平成 16 年 7 月 「ホームレス保健サービス支援事業」の開始

医療専門職による巡回相談等の実施により、路上生活者等の健康状態等を把握し、適切な保健

サービスへ繋げる

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平成 16 年 10 月 第 1 期 横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(H16.10~H21.3)を策定

平成 16 年 11 月 「横浜市ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)」の開始

「まつかげ宿泊所」のプレハブの一部を利用し、シェルター機能を備える時限付施設として「中村川

寮」を設置。主に市内の公園や道路等に小屋掛けしている定住型のホームレスを対象とし、路上

生活からの脱却を支援する施設として運営。定員 30 名

平成 18 年 7 月 指定管理者制度の導入

従前の委託契約から指定管理者制度における指定による施設運営

平成 20 年 9 月 「地域日常生活自立支援事業」の開始

生活不安定層に対する生活・就労支援等をモデル事業として実施し、路上生活の未然防止等に

一定の効果がみられる

平成 21 年 4 月 第 2 期 横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(H21.4~H26.3)を策定

平成 21 年 4 月 「地域日常生活自立支援事業」の全区展開

1 区⇒18 区へ事業展開

平成 23 年 3 月 「横浜市ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)」の廃止

プレハブの時限期間の延長が困難なこと等により「中村川寮」を閉鎖

平成 23 年 10 月 「ホームレス自立支援センターはまかぜ」の増床

「中村川寮」の閉鎖を受け、「はまかぜ」内に半個室を 24 床増床し個室支援を開始。

併せて最大利用期間を半年より 1 年間に延長。総定員数:250 名

平成 23 年 11 月 「ワンナイト入所事業」の開始

「はまかぜ」に緊急入所用の部屋を確保し、緊急的に居所を喪失してしまった者等に対し、1

日を原則とした居住場所の提供。モデル事業として実施

平成 24 年 3 月 「寿地区緊急援護対策事業」(法外援護)の廃止

地区内の高齢化に伴う日雇い労働者の減少等により事業を廃止。

現物給付券の交付を平成 24 年 3 月末で終了。経過措置として交付終了より 1 年間、食券・宿泊

券の利用可能期間を設けた。

平成 24 年 4 月 「借上型シェルター事業」の開始

傷病等により集団生活が困難な者等を対象に、借り上げた簡易宿泊所にて自立支援を実施。

モデル事業として開始し、同年 7 月より全区展開

新機構の設置

「はまかぜ」利用者の再路上化防止を含む施設の機能強化、運営水準の向上を目的とし、新機構

「支援調整担当」を設置

平成 24 年 7 月 「ワンナイト入所事業」の全区展開

3 区⇒18 区へ事業展開

平成 24 年 8 月 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の改正(5 年を時限とする期間延長)

平成 25 年 3 月 「アフターフォロー事業」の開始

「はまかぜ」を退所した者を対象に、再路上化の防止を目的とし、借り上げた民間物件を提供し、

地域生活への定着を支援。

平成 26 年 4 月 第 3 期 横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(H26.4~H31.3)を策定

平成 27 年 3 月 各事業の廃止・統合

生活困窮者自立支援法の施行により、以下の事業を廃止、新法に基づく事業に機能を統合

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・「ホームレス総合相談推進事業」

・「ホームレス保健サービス支援事業」

・「地域日常生活自立支援事業」

・「借上型シェルター事業」

・「アフターフォロー事業」

平成 27 年 4 月 「生活困窮者自立支援法」の施行

平成 27 年 4 月 新法施行による位置づけ

「生活困窮者自立支援法」の施行により、従前のホームレス対策に係る各事業については、同法

に規定される「自立相談支援事業」と「一時生活支援事業」に移行。

「自立支援センター」の名称変更

法の理念を踏まえ、従来のホームレスのみを対象とせず、広く生活に困窮している者を対象に支

援を実施することから、「横浜市ホームレス自立支援センターはまかぜ」より「横浜市生活自立支

援施設はまかぜ」へ改名。

平成 28 年 10 月 「横浜市自立生活安定化支援事業」を開始

簡易宿泊所に居住する被保護者のうち、緊急連絡先の確保など様々な理由により転居が困難な

者を対象に、民間賃貸住宅等への転居促進及び地域定着の支援を実施。(再路上化防止に一

定の効果がみられる)

平成 29 年 4 月 機構変更

「支援調整担当」を解消し、業務と人員を「援護対策担当」へ集約

平成 29 年 8 月 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の改正(10 年を時限とする期間延長)

平成 30 年 10 月 「生活困窮者自立支援法」の一部改正

平成 31 年 4 月 「生活困窮者自立支援法」の一部改正

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(2) 横浜市の主なホームレス自立支援施策

これまで、本市のホームレス対策については、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」

の趣旨を踏まえた予算事業として、「ホームレス総合相談推進事業(巡回相談指導等事業)」、「ホー

ムレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)」、「ホームレス自立支援事業(ホームレス自立支援セン

ター)」等を実施してきました。

これらの事業については、生活困窮者自立支援法の施行に伴い、同法に規定される必須事業の「自

立相談支援事業」と任意事業の「一時生活支援事業」に枠組みが移行し、平成 27年4月からは新法

に基づく事業として実施をすることとなりました。

また、従前は特別措置法に規定されるホームレスを対象としてきましたが、生活困窮者自立支援

法の施行により、広く住居に不安を抱えた生活困窮者層が対象となりました。

新法施行に伴い、本市では、従前よりホームレス支援の中核を担ってきた自立支援センターの名

称を「横浜市ホームレス自立支援センターはまかぜ」より「横浜市生活自立支援施設はまかぜ」に

改め、一時生活支援事業と自立相談支援事業を一体的に実施する施設型の自立相談支援機関として、

ホームレスを含む生活困窮者支援を推進しています。

【表 35】 従前の事業フロー(参考:厚生労働省「一時生活支援事業の手引き」)

安定した居住場所の確保・公営住宅の単身入居等・民間の保証会社等を利用したアパート入居あっせん等・低廉な家賃の住宅の情報提供 ・住宅手当等の活用

就業機会の確保(ハローワークとの連携)・職業相談 ・技能講習・一定期間の試行雇用 等

都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場とし、日常生活を営んでいる者

特別措置法に定義されるホームレス

総合相談推進事業【事 業 内 容】巡回相談による相談活動の実施【実施者】横浜市生活自立支援施設指定管理者

緊急一時宿泊事業(シェルター)(施設型)

ホームレス自立支援事業(ホームレス自立支援センター)

就労による

【事業内容】〇緊急一時的な宿泊場所の提供〇健康診断等の実施〇就労に関する情報を提供〇適切な支援が受けられるよう助言・指導

【事業内容】〇宿所、食事、入浴、衣類下着類の提供〇基本的な生活相談、指導〇就労相談、指導〇健康相談、必要時には生活保護による治療〇住民登録も可能〇利用者に配慮した居住環境を確保

福祉保健センター(生活保護等)

【福祉的対応による自立】

緊急一時宿泊事業(シェルター)(借上げ型)

集団生活が難しい者等を対象とし、借り上げた簡易宿泊所にて緊急一時宿泊事業を実施

(指定管理業務の一部)

横浜市生活自立支援施設はまかぜ(指定管理)

自 立

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【表 36】 新法施行後の事業フロー(参考:厚生労働省「一時生活支援事業の手引き」)

ア 「横浜市生活自立支援施設はまかぜ」の運営

一定の住居を持たない生活困窮者に対して、宿泊や食事の提供、健康診断を実施するほか、日常

生活を営むのに必要な日用品等を支給する「一時生活支援事業」を実施しています。

また、この一時生活支援事業利用者の自立に向けて、施設型の「自立相談支援事業」を実施して

います。この事業では、利用者個々に支援プランを作成し、自立に向けた就労等の支援や福祉サー

ビスの利用調整等の相談支援を行っています。施設退所後も福祉サービスの利用が必要な場合は、

支援の引き継ぎも行います。

なお、現に路上などで生活しているホームレス等への支援として、市内を巡回し、相談支援を実

施しています。この巡回活動は、「自立相談支援事業」のアウトリーチ活動として実施しており、

生活困窮者の把握に努めています。また、自立支援施設への入所の働きかけや関係機関への同行

等、路上生活からの脱却に向けた支援を実施しています。

(ア) 一時生活支援事業(施設型)

寝食及び衣類、日用品等の提供や健康診断を実施しています。入所期間は原則3月以内、最大6

月です。最大定員は 250名です。

〇生活保護相談窓口〇生活困窮者支援相談窓口(自立相談支援機関)

公園、河川敷 等ネットカフェ、サウナ 等

行き来

屋根のある場所 路上

巡回相談 〇宿泊場所の供与〇食事の提供〇衣類その他の日常生活を営むのに必要

となる物資の貸与・提供

横浜市生活自立支援施設はまかぜ(指定管理)

住居に不安を抱えた生活困窮者層

一時生活支援事業

〇アウトリーチ〇相談支援〇プランの作成〇個別のニーズに沿った自立支援

自立相談支援事業

福祉保健センター(18区)

連携

〇施設入所依頼〇退所時引継ぎ 等

シェルター機能を備えた施設型の自立相談支援機関(一時生活支援事業と自立相談支援事業を一体的に実施)

一般就労等による自立

生活保護等による自立

一時生活支援事業(借上げ型)集団生活が難しい者等を対象とし、借り上げた簡易宿泊所にて一時生活支援事業を実施

(指定管理業務の一部)

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(イ) 一時生活支援事業(借上げ型)

集団生活での支援が困難な人等を対象とし、借上げた簡易宿泊所を利用して施設利用の適応性

等を見極めます。集団生活が困難と判断された場合で、簡易宿泊所の利用期間(原則7日以内、最

大 14 日)が満了した場合においても、その後の支援が継続するよう関係機関と連携を図り自立を

促進します。

(ウ) 施設型自立相談支援事業

利用者個々に支援プランを作成し、自立に向けた就労等の支援や福祉サービスの利用調整等の

相談支援を行います。また、施設退所後も福祉サービスの利用が必要な場合は、関係機関へ支援の

引き継ぎを行います。(自立相談支援事業の流れについては表 38のとおり)

(エ) アウトリーチ活動(巡回相談)

市内全域における巡回活動を実施し、現に路上などで生活しているホームレス等を対象に相談

支援を行います。また、週に2回程度看護師が同行し、健康相談を実施しています。

(オ) 退所後支援

アパート等を確保して自立支援施設を退所した者が地域での生活を安定的に継続していけるよ

う、定期的な訪問等を通じ相談支援を行います。

【表 37】 横浜市生活自立支援施設はまかぜの業務・役割

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【表 38】 横浜市生活自立支援施設はまかぜ入所後の支援の流れ

【表 39】 横浜市生活自立支援施設はまかぜの入所者数実績

イ 生活困窮者自立支援制度に基づく事業実施

生活困窮者自立支援制度は生活困窮者自立支援法を根拠とし、生活困窮者に対する包括的な相

談・支援を実施するもので、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」と「生活困窮者支援を通じた地域

づくり」を目標としています。

本市においても、同法の必須事業である「自立相談支援事業」と「住居確保給付金」を各福祉保

健センターの相談窓口にて実施する他、任意事業である「就労準備支援事業」、「就労訓練事業」、

「家計改善支援事業」、「子どもの学習支援事業」等を合わせて実施しています。

(ア) 自立相談支援事業(福祉保健センター)

生活困窮者からの多様で複合的な相談に応じ、必要な情報提供及び助言を行うとともに、様々

な支援を一体的かつ計画的に行うことにより、生活困窮者の自立の促進を図ります。また、関係機

関とのネットワークづくりや地域の社会資源を活用した支援等を通じて、地域づくりを推進しま

す。

平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度977(40) 847(37) 669(34) 740(29)

~29歳 79(3) 73(4) 43(4) 59(0)30~39歳 143(2) 132(5) 98(5) 114(8)40~49歳 207(10) 181(11) 149(6) 178(2)50~59歳 238(15) 184(6) 166(11) 167(7)60~64歳 137(3) 102(2) 82(2) 79(5)65歳以上 173(7) 175(9) 131(6) 143(7)

※【単位:人】、( )内は女性数の再掲

自立支援施設入所者数

(内 訳

)

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(イ) 住居確保給付金(福祉保健センター)

離職等により経済的に困窮し、住居を喪失している又は住居を喪失するおそれのある人を対象

とし、家賃相当分の給付金を有期で支給するとともに、就労支援等を実施し、安定した住居及び就

労機会の確保に向けた支援を行います。(※給付金の受給には一定の要件があります)

(ウ) 就労準備支援事業(委託)

心身の状況等により就労経験が乏しい、長期の無業状態にあるなど、直ちに求職活動を始める

ことが困難な人を対象に、就労意欲の喚起や一般就労に向けた基礎能力の形成について計画的か

つ一貫して支援を行います。

(エ) 就労訓練事業(受け入れ先事業者による自主事業)

長期無業や定着できない等、就労に課題があり一般就労に結び付きにくい人を対象に、職場経

験の機会を提供するとともに、生活面や健康面での支援を行います。

(オ) 家計改善支援事業(委託)

多重債務を抱えている、家計収支の均衡が取れない等、家計に課題を抱える人を対象に、家計再

建のための計画策定や家計改善に向けた助言等の支援を行います。

(カ) 子どもの学習支援事業(委託)

生活保護世帯を中心とした生活困窮世帯等の子どもを対象に、将来の自立に向けた高等学校等

への進学支援や、基本的な生活スキルの習得に向けた支援を行います。

(キ) その他

無料低額診療事業の利用促進や公租公課部門(税、健康保険、年金等の担当課)との連携による

生活困窮者の早期把握等の取組みを実践しています。

ウ 年末年始対策事業

市内に居住する人のうち、年末年始の休庁期間中に給食及び宿泊の援護が必要な人に対して、臨

時宿泊所の設置等により緊急一時的な援護を行います。また、本事業は本市健康福祉局健康安全課

が実施する結核健診と共同で実施しています。

エ 寿地区対策事業

(ア) 寿生活館運営事業

寿地区内のホームレスや簡易宿泊所宿泊者などの福利厚生の向上を図ることを目的として、シ

ャワー室、洗濯室、娯楽室等を設置しています。

平成 18 年7月には指定管理者制度が導入され、横浜市からの指定を受けた指定管理者が施設の

管理運営を行っています。

(イ) 寿福祉プラザ生活相談事業

ホームレスや簡易宿泊所宿泊者などに対する生活相談や健康相談等を実施し、必要に応じて関

係機関と連絡・調整を行っています。

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オ 無料低額宿泊事業

ホームレス等を対象とした無料低額宿泊所については、ホームレス自立支援施策のひとつと位

置づけられることから、『横浜市無料低額宿泊事業のガイドライン』を定め、事業者に対して適切

な設備と運営を求めています。

カ 保健医療対策

(ア) 保健医療対策

寿地区居住者やホームレスから福祉保健センターや寿福祉プラザなどに相談があった場合、面

接相談を実施し、医療機関への受診が必要な場合には、医療機関へつなげるなどの対応を行って

います。

(イ) 結核対策

結核罹患率の高い、寿地区居住者等を対象に、寿地区及び横浜市中心部で、福祉保健センターが

結核健診を定期的に実施しています。

また、健康福祉局では、寿地区の結核患者の治療を確実に行うため、神奈川県立循環器呼吸器病

センターなどの結核医療機関や中福祉保健センターと連携し、寿地区の(公財)寿町勤労者福祉協

会診療所において横浜市DOTS事業(結核の直接服薬確認療法)を平成 11年度から実施してい

ます。

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(3) 第3期「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の内容

平成 25 年7月の国の基本方針の改定に伴い、平成 26 年度から平成 30 年度までの5カ年におけ

る第3期「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」を策定しました。実施計画はホー

ムレスの自立の支援に向けた関係区局の取組方針を定めたもので、3つの基本的な考え方に基づき

9つの取組方針を定め、ホームレスの自立の支援を推進してきました。

【基本的な考え方(3つの視点)】

1 個別支援(ホームレス状態にある人)

ホームレスとなった要因には、仕事に起因する要因のほか、個人的要因等様々なものがあり、

こうした個別具体的な要因を的確に把握し、個別性を重視したきめ細かな自立支援に取り組み

ます。

2 未然防止(ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人)

非正規雇用などの不安定な就労層を、ホームレスにさせないための支援等を行います。

3 民間団体等との連携

新たな課題にも対応できるように民間団体等と緊密に連携し支援を推進します。

【取り組み方針】

(1) 就労自立の支援

自立支援施設において、利用者一人ひとりの自立に向け個別支援計画を立て、年齢や就業経

験等様々な個別性を重視したきめ細かな就労支援を行うとともに、関係団体と連携しながら支

援します。

(2) 居住場所確保の支援

従前の取組に加え、公営住宅等の活用など支援メニュー拡充に取り組みながら支援します。

(3) 保健・医療の確保の支援

引き続き、巡回相談による医療への受診勧奨や入院等の適切な医療の確保、結核への対応に

取り組みます。

(4) 個々の状況に応じたきめ細かな支援

特に、社会経験が乏しい若年層のホームレスが増加傾向にあるため、中間的就労の場の提供

等の支援を行います。年齢層や性別、障害の有無など個別性を重視して支援します。

(5) 再び路上生活となることを防止する支援

自立支援施設退所後のアフターフォロー事業の活用や関係機関との連携強化により支援し

ます。

(6) ホームレスとなるおそれのある人への支援

福祉保健センター等の相談窓口で、求職者支援制度や住宅支援給付等の活用できる支援施

策を紹介し、ホームレス状態となることを防止します。また、巡回相談など既存事業の活用に

より、未然防止に努めます。

(7) 人権擁護

引き続き「広報よこはま」や人権研修等により、人権啓発や人権擁護に取り組みます。

(8) 地域の生活環境の改善及び安全・安心の確保

引き続き、ホームレスの人権に配慮しながら、公共施設等の適正な利用の確保に努めるとと

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もに、ホームレス状態からの脱却を支援します。

(9) 市民や民間団体との連携

学識経験者や支援団体代表者、地域住民等で構成するホームレス総合相談推進懇談会での

意見等を参考にしながら施策を推進します。また、若年層の増加傾向など新たな課題に対応で

きるよう関係団体等との連携をさらに深め、ホームレスの自立支援に取り組みます。

(4) 第3期「横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の施策評価

全庁的な協議の場である「ホームレス自立支援等に関する関係区局連絡会議」を開催し、第3期

実施計画における9つの取組方針に対する施策評価を実施しました。各取組方針に関する評価・実

績は以下のとおりです。(※表中の平成 30年度実績は平成 30年 12月末時点の実績です。)

【自立支援施設における就労支援】

≪自立支援施設就労自立退所者数≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

157人 132人 150人 151人 105人993人 795人 699人 758人 541人15.8% 16.6% 21.5% 19.9% 19.4%

【横浜市雇用対策協定】

≪職業相談員による職業紹介状況≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

112人 118人 113人 117人 71人467人 307人 452人 413人 273人48人 92人 80人 91人 51人

 本市の実態調査において、「アパートに住み、就職して自活したい」と回答した人は約15%程度に過ぎませんが、就労可能なホームレスの自立を支援する上で、就労支援は必要不可欠であると考えます。国においても、就業の機会が確保されることが最も重要であるとしています。そこで、就労の意思があり、就労可能な状態にあるホームレスに対しては、個々のニーズや置かれた状況等に応じ、就業機会を確保できるようきめ細かな支援が必要です。

1 就労自立の支援に取り組みます

  〇自立支援施設では、入所者の今後の自立生活に向け、生活支援員が入所者一人ひとりの事情や状況に応じた個別支援計 画を立て支援します。その結果、就労自立を目指す人に対しては、公共職業安定所の職業相談員による職業相談等を通じ て、安定した就職を実現するための支援を行います。  〇直ちに就労への支援が困難な入所者に対しては、関係機関と連携しながら求職活動を進める上で必要な助言や支援を行 います。

 ア 自立支援施設で取り組む就労支援・就労準備支援

就労自立退所者数総 退 所 者 数

割   合

評価・今後の方向性  自立支援施設における就労支援により、生活困窮者の就職・就業の実現に対して一定の効果をあげています。また、施設内の職業相談室を利用した就職・就業の実現についても、一定の成果がみられ効果的に機能していることから、引き続き実施していきます。

 横浜市における雇用対策の推進を目的とし、本市と神奈川県労働局の間で、「横浜市雇用対策協定」を締結し、生活保護受給者や生活困窮者等の雇用に関する施策を実施しています。 生活自立支援施設では、施設内に職業相談室を設け、職業相談員(ハローワーク)による職業相談等を実施しています。

事業概要及び実績

新規求職申込件数職 業 紹 介 件 数

採 用 者 数

 平成27年4月の生活困窮者自立支援法の施行に伴い、本市では、これまでの「ホームレス自立支援施設」を「生活自立支援施設」へと名称を改め、困窮法に基づく「一時生活支援事業」と「自立相談支援事業」を一体的に運営することで、従前施設が担う機能や役割を補完してきました。 自立支援施設では、個々人の状態にあった計画を作成し、就労支援など自立に向けた支援を実施しています。

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【ホームレス就業支援事業】

≪横浜相談室における就業機会確保支援事業実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

142人 158人 151人 207人 139人862 人 979 人 862 人 1,183 人 732人91人 108人 97人 117人 71人9人 5人 12人 13人 18人

≪自立支援施設を対象とした就労支援セミナー事業≫

平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度12回 12回 12回 12回 9回46人 64人 44人 57人 76人

≪神奈川県ホームレス就業支援協議会による就業機会の確保≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度1,152 事業所 1,360 事業所 1,329 事業所 1,139 事業所 828 事業所

725 件 630 件 509 件 426 件 281 件2,826 人 2,643 人 2,327 人 2,211 人 1,591 人

(※)は協議会、就業開拓推進員が電話、リーフレット等の配付により接触した事業所数

事業概要及び実績

参加人数(延)

接触した事業者数(※)確保した求人件数確保した求人数

評価・今後の方向性 神奈川県ホームレス就業支援協議会により、確保された求人や就業機会は、ホームレスの就職・就業の拡大に寄与しています。また、就労支援セミナーの開催による就職活動に役立つ知識等の習得、職場体験講習による就業に対する不安の解消、就業意欲の向上等により、就業に向けた準備が着実に進められていることから、今後も引き続き実施していきます。

 イ 国や神奈川県と連携した支援  〇国の行うホームレス就業支援事業では、保証人がいない、これまでのキャリアを活かしたいなど、ホームレスの個々の 事情に適した求人開拓を進めています。自立支援施設等においては、この就業支援事業と連携し、就業機会を確保できるよ うに支援します。  〇国や神奈川県など関係機関と連携し、自立支援施設の入所者を対象とした技能講習やトライアル雇用事業等を活用しな がら、職業訓練の機会等を提供し、就業のためのスキルアップを支援します。

 就業意欲がありながら野宿生活を余儀なくされているホームレスに対して、就業機会の確保を図るとともに、就業による自立を促進するための支援策を講じるため、本市、神奈川県、川崎市、労働福祉協会と5民間団体により構成する「神奈川県ホームレス就業支援協議会」を設置し、就業支援、就業機会確保支援、職場体験講習及び就労支援セミナー等の支援を実施しています。 本市では、自立支援施設利用者が当該事業を円滑に活用できるよう、施設に併設する横浜市寿福祉プラザの一部に「横浜相談室」を設置し運営を行っています。

登 録 者 数支 援 相 談 件 数就 業 者 数

体験講習実施者数

開 催 回 数

 キャリアカウンセラー等の専門講師による、就職活動の心構え、面接のマナー及び履歴書の作成方法についての指導・助言等を行う

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【自立支援施設における住宅相談事業】

【横浜市民間住宅あんしん入居事業】

≪民間住宅入居実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

16人 22人 37人 28人 28人3人 22人 18人 13人 9人3人 15人 19人 26人 18人

※1生活保護利用による住居設定  ※2年金・他法収入等によるものが多くを占める≪全日本不動産協会横浜支部を通じた住宅相談による民間住宅入居実績(再掲)≫

平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度8 件 19 件 2 件 0 件 0 件8 件 13 件 2 件 0 件 0 件

≪あんしん入居制度利用者数(再掲)≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

0 人 1 人 0 人 0 人 1 人

2 居住場所確保の支援に取り組みます 自立支援施設における支援の結果、地域社会で自立した生活を営むことが可能となったにもかかわらず、保証人を確保できないことなどから、民間賃貸住宅などへの入居が困難な状況が多く見られるため、その支援を行う体制の確保が必要です。また、公営住宅の活用など支援メニューの拡充等に取り組みます。 自立支援施設で取り組む、退所後の円滑な住所設定に向けた支援

事業概要及び実績  自立支援施設利用者が退所後の安定した居住場所の確保を行えるよう、全日本不動産協会横浜支部を通じて派遣された相談員による相談支援を実施してきました。近年では、複合的な課題を抱える施設利用者が増加し、当該相談による居住場所の確保が困難となってきたことから、施設から直接物件管理を行っている不動産取扱業者等に協力を求め、民間住宅への入居の支援を進めてきました。

 家賃等の支払能力があるものの連帯保証人がいないことを理由に民間賃貸住宅への入居を断られてしまう高齢者などの方に、「入居支援」と「居住支援」を行なうことで、民間賃貸住宅への入居をしやすくし、安心して自立した生活ができるようにすることを目的とした事業です。

常 勤 就 労 賃 貸生 保 賃 貸(※1)自 費 賃 貸(※2)

相談件数決定件数

  〇自立支援施設において、入所者が退所後に安定した居住場所を確保できるように、利用者個々のニーズにあった民間住 宅の情報提供に努めます。保証人が確保できない場合も、全日本不動産協会横浜支部から派遣された住宅相談員による保証 人の必要ない賃貸物件の相談等を行い、住宅確保の支援に努めます。  〇保証人が確保できないことを理由に、民間賃貸住宅への入居に困窮している自立支援施設退所予定者等に対して、横浜 市、民間保証会社、宅建団体等が連携し、物件の斡旋や家賃債務保証及び居住支援を行う民間住宅あんしん入居事業を実施 し、入居の機会の確保及び安定した居住の継続を図ります。

評価・今後の方向性 自立支援施設利用者の中には、緊急時の連絡先確保が困難な方や常勤就労が難しい方も多く、近年では「横浜市民間住宅あんしん入居事業」の利用実績が低迷しています。 多様化する雇用形態やニーズの変化に合わせた支援メニューの更なる拡充や工夫が必要です。また、新たな住宅セーフティネット制度の活用等により、民間住宅等への入居の機会の確保及び安定した居住の継続に努めていきます。

あんしん入居制度利用者数

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【ホームレス保健サービス支援事業】

≪看護師同行による巡回相談件数≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

124 件 134 件 130 件 94 件 193 件8 人 3 人 2 人 4 人 1 人

【自立支援施設における健康診断及び健康管理】

≪アルコール依存症≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

69人 70人 69人 58人 33人48人 39人 37人 25人 12人28人 31人 18人 16人 3人

※アルコールに課題がある場合であっても、治療拒否や退所により治療開始に至らない場合もあります。≪精神科受診状況(アルコール依存症を除く)≫

平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度105人 89人 93人 69人 47人

統合失調症(※) 10人 12人 9人 10人 2人ギャンブル依存症(※) 28人 17人 20人 11人 7人うつ病(※) 16人 20人 7人 12人 10人その他(※) 78人 61人 71人 49人 39人

(※)は主な精神疾患(再掲)。複数の診断を受ける場合もある為、受診者数と疾病の総数は異なります。≪施設内服薬管理者数≫

平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度49人 45人 45人 49人 43人

3 保健・医療の確保の支援に取り組みます 実態調査の結果、身体の不調を訴える人が約1/3 程度いました。そのうちの7 割以上の方が、医療機関に受診していませんでした。このような医療が必要な状態にあるにも関わらず、医療機関を受診することができない人に対する支援が必要です。 ア 巡回相談と連携した保健・医療の確保に向けた支援  〇巡回相談室の相談員に、看護師等が同行し、健康状態の把握及び健康相談を行う、ホームレス保健サービス支援事業を 推進し、必要に応じて福祉保健センターと連携して支援を行います。福祉保健センターは医療機関への受診勧奨等に努める とともに、必要に応じて生活保護法の医療扶助を適用します。

事業概要及び実績  横浜市内の公園・道路等に起居するホームレス又はホームレスとなるおそれのある者に対し、看護師による巡回相談等を実施することにより、健康状態等を把握し、適切な保健サービスが受けられるようにするとともに、関係機関と連携し、その自立を支援しています。 当該事業は、生活困窮者自立支援法の施行に伴い、自立相談支援事業におけるアウトリーチ業務として、自立支援施設と一体的に運用を行っています。

看護師による巡回相談自立支援施設入所(再掲)

評価・今後の方向性  看護師同行による巡回相談の実施により、医療機関への受診勧奨や関係機関への引継ぎ等、ホームレスの健康維持・改善に一定の効果がみられました。高齢化・長期化するホームレスの現状を踏まえ、医療専門職によるきめ細やかな巡回相談を一層推進していきます。

 イ 適切な保健・医療の確保に向けた支援

事業概要及び実績

精神科受診者数

服薬管理者数(月平均)

  〇自立支援施設では、入所者を対象に医療機関での健康診断を実施します。また、施設に配置されている看護師が、日常 の健康相談や服薬支援を実施し、入所者の健康管理に努めます。また、必要に応じて医療機関への受診勧奨を行い、適切な 保健・医療確保に向けた支援を行います。  〇無料低額診療事業(社会福祉法第2条第3項第9号に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事 業をいう。以下同じ。)を行う施設の活用を図ります。  〇入院医療等が必要な状態と判断された場合には、医療機関への入院措置を行い適切な保護を実施します。

 自立支援施設では、入所時に健康診断を実施し、診断結果を踏まえたアセスメント・支援プランの作成を行い、利用者個々のニーズに沿った個別的な支援を実施しています。健康診断の結果や生活歴、既往歴等をもとに、医療が必要と判断された入所者に対しては、専門的な治療を促し、医療機関等への受診勧奨を行います。 また、施設内に配置する看護師による健康相談や服薬支援等の健康管理を実施しています。

アルコールに課題(疑い)のあるケース

専門病院受診者(再掲)断酒治療開始者(再掲)

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【寿地区DOTS事業】

≪(公財)寿町勤労者福祉協会によるDOTS事業実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

6,288 人 6,220 人 6,201 人 6,028 人 5,838 人結核(※) 2,315 人 573 人 571 人 1,193 人 1,411 人内科服薬(※) 2,383 人 2,156 人 1,269 人 1,101 人精神科服薬(※) 3,264 人 3,474 人 3,566 人 3,326 人

(※)はDOTS受診者の疾患内訳(再掲)【結核健診の取組み】

≪寿地区内の定期健診実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

432人 293人 251人 138人 156人3回 3回 3回 2回 2回

≪結核罹患率≫(※年単位集計(1月~12月))平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年

278.7 210.4 231.7 258.443.4 43.1 30.2 37.515.6 15.2 14.4 13.615.4 14.4 13.9 13.3

 DOTS(Directly Observed Treatment Short course)とは、患者が薬を飲むのを医療従事者が目の前で確認し服薬を支援する療法で、結核治療等に有効であるとされています。 市内でもとりわけ結核罹患率の高い寿地区では、平成12年より「(公財)寿町勤労者福祉協会」に事業委託し、結核患者に対するDOTSによる支援を実施してきました。 平成21年度からは同法人の自主事業として事業を継続し、患者自身が服薬の必要性を理解し、服薬し続ける意志をもてるよう支援を継続しています。

DOTS受診者数

評価・今後の方向性 DOTS事業や結核対策の取組みにより、本市全体の結核患者罹患率は着実に減少しています。中区及び寿地区における結核罹患率については、全国値や本市全体値と比較すると依然として高い状態で推移しています。 今後も引き続き「横浜市結核予防計画」に基づく各施策を推進することにより、結核患者罹患率の減少に向けた結核対策を実現していきます。

事業概要及び実績

寿地区中区

横浜市全国

 本市では、平成25年9月に「横浜市結核予防計画」を策定し、結核対策を総合的に推進しています。発病の予防及びまん延の防止のため、定期的な健康診断を実施しており、結核の発病リスクが高い高齢者やホームレス等に対し、福祉保健センターにて胸部エックス線検査等を実施しています。 また、罹患率の高い寿地区においては、より迅速で適切な診断を行えるようデジタル検診車を導入し、定期的な結核集団健診を実施しています。

利用者数実施回数

結核罹患率(人口10万対)

3,973 人

 ウ 結核への対応  〇健康福祉局と各福祉保健センターが連携して、ホームレスを対象とする結核健診を実施し、結核の早期発見に努め、適 正な医療を受けられるように支援します。  〇結核患者について、治療を中断することがないよう医療機関とも連携を図り、入院中から退院後の治療終了まで服薬確 認を行い、結核の適切な治療を支援します。

評価・今後の方向性  自立支援施設における健康相談等により、適切な関係機関への引継ぎが行われており、施設利用者の健康維持・改善、その後の自立に大きく寄与しています。無料低額診療事業実施機関との連携強化等により、更なる健康支援を推進していきます。

平成31年秋頃を目途に公表予定

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【借上型シェルター事業】

≪借上げシェルター利用実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

130 人 117 人 109 人 91 人 95 人127 人 119 人 108 人 93 人 96 人

自立支援施設本入所 18 人 20 人 26 人 13 人 22 人生活保護 67 人 72 人 60 人 58 人 46 人

他施設入所 2 人 0 人 2 人 1 人 0 人その他(※2) 40 人 27 人 20 人 21 人 28 人

(※1)は退所理由の内訳(再掲) (※2)は自主退所や規則違反退所等が大部分を占める※入退所期間により年度を跨ぐ場合がある為、入所者数と退所者数は一致しません。【他施設入所への取組み】

≪自立支援施設退所後の他施設入所状況≫(単位:人)平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

更生施設 40(98) 38(122) 35(101) 32(107) 22(52)救護施設 7(17) 7(14) 4(10) 4(5) 7(11)

3(7) 1(3) 3(10) 3(3) 0(0)0(2) 1(4) 1(6) 0(1) 0(0)1(1) 2(2) 0(3) 2(4) 2(2)1(0) 0(0) 0(0) 0(0) 6(18)

52(125) 49(145) 43(130) 41(120) 37(83)※( )内は施設見学者延べ人数。その他は女性保護施設等

4 個々の状況に応じたきめ細かな支援に取り組みます ホームレスが自らの意思により、安定した生活を営み、ホームレス状態から脱却し自立するためには、就労による自立の支援が最も重要です。しかし、高齢化や疾病、負債の問題など、ホームレスとなる要因も個々の事情により様々です。就労を前提とした自立支援だけではなく、個々の状況に着目した支援が必要です。自立支援施設においても、就労自立への支援だけではなく、社会生活の自立への支援にも取り組む必要があります。 ア 個々の事情に対応した総合的な自立の支援  〇巡回相談室は、関係機関等と協力しながら、ホームレスが起居する場所を巡回し、相談・支援を行い、福祉保健セン ターにつなげる等、自立に向けて必要な支援・サービスが受けられるよう支援します。また、自立支援施設や福祉サービス 等の利用を拒否する人等に対しては、巡回相談室、福祉保健センター及び関係機関等が連携して粘り強く働きかけます。  〇ホームレスの個々のニーズや状況(年齢層〈若年、高齢〉、障害の有無など)等を把握した上で、関係機関と連携して 必要な支援を検討します。  〇傷病等の理由により、自立支援施設への入所可否が判断できない場合や、緊急的、一時的に対応しなければならない場 合においても、一時的に居所を設定し、ホームレス状態とならないよう関係機関と連携し支援します。  〇女性ホームレスに対しては、性別に配慮しきめ細かく支援するため、女性福祉相談員や婦人保護施設等の関係者や関係 機関とも連携し対応します。  〇ホームレスに至った個々の事情や状況に応じて自立支援施設や無料低額宿泊所への入所等を検討し、必要に応じて生活 保護を適用するなど、自立に向けた支援を行います。  〇福祉保健センターにおいては、より安定した生活の場の確保に向け、施設や簡易宿泊所等からアパートなどの居宅生活 への移行について、多面的に検討し支援します。

事業概要及び実績  自立支援施設への入所を希望するものの、傷病等により集団生活が難しい人もしくはその判断ができない人等に対し、簡易宿泊所を借り上げたシェルターにて衣食住を提供するとともに、健康状態の維持改善や自立の支援を行う「借上型シェルター事業」を平成24年より開始しました。 生活困窮者自立支援法の施行に伴い、当該事業は同法における一時生活支援事業に機能を統合し運用を行っています。

入所者数退所者数

(※1)

 近年では、社会情勢の変化に伴う福祉ニーズの高度化・複雑化が進む中、施設退所後の居宅生活が困難な対象者も少なくありません。利用者の支援プラン策定にあたり、画一的なプラン策定ではなく、個々の置かれている様々な状況や課題を整理し、関係機関と連携を図り、退所後の切れ目ない段階的・継続的な自立に向けた支援を行っています。

有 料 老 人 ホ ー ム

合   計

障害グループホームそ の 他

保護施設

特 別 養 護 老 人 施 設

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【自立支援施設における個室支援】

≪個室支援利用者数≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

886 人 1,689 人 2,659 人 2,704 人 2,485 人※は365日(年間)の居室利用延べ件数となります。【自立支援施設における個別のニーズに沿った支援】

評価・今後の方向性  借上げシェルターや個室支援等、個々の状況に応じた環境の中で支援を提供することで、自立後の生活を見据えたステップアップが図られています。既存の支援メニューを活用し、引き続き生活困窮者の自立支援を推進していきます。

評価・今後の方向性  個々の状況に応じた支援メニューの提供により、自立支援施設退所後の安定した生活が確保されています。今後も包括的な支援を実現させていくために、福祉分野のみならず、保健・雇用・教育・金融・住宅・産業・農林漁業など、様々な分野との連携強化を推進していきます。

 イ 自立支援施設における社会生活の自立支援  〇自立支援施設において、宿所、食事等の日常生活上必要なサービス等を提供し、入所者の自立に向けた環境を整えま す。また、入所者に対するアセスメント方法の工夫等により、個々のニーズを的確に把握し、個別支援計画を立てて支援し ます。アルコール依存や負債の問題など、自立を阻害する要因を抱えた人に対しては、その解決を図るため、断酒活動への 参加や法律相談の利用など、きめ細かな相談・支援を行います。  〇若年層のホームレスについて、直ちに一般就労が困難な場合には、技能講習や職業訓練等の情報収集・情報提供を行う とともに、関係機関と連携した相談・支援を行い、必要に応じて中間的就労の場の確保・提供など、自立に向けた相談・支 援を行います。  〇自立支援施設において常勤就労を開始した人に対しては施設内の個室を利用して、退所後の日常生活に備えた相談・支 援を行い、利用者の円滑な社会生活への移行を目指します。

事業概要及び実績  平成23年10月より、自立支援施設内に半個室を24床新設し、個室支援を開始しました。一人暮らしの生活習慣を模擬的に経験することを目的とし、より地域での生活に近い環境下での生活を通じ、退所後の円滑な地域生活移行を支援しています。また、大部屋では見えにくかった課題の発見や解決に向けた支援を行っています。

個室支援利用者数(※)

 本施設は生活困窮者自立支援法の施行に伴い、従前のホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)より新制度(一時生活支援事業)へ移行することとなり、これまで以上に多種多様な課題を抱えた人たちが施設利用の対象となりました。傷病者・若年層・障害者・女性・依存症者・認知症者等の様々な事情を抱えた利用者に対し、個別のニーズに合ったきめ細かな支援を実施しています。

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【自立支援施設と福祉保健センターとの連携】

≪退所時の生活保護利用者数≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

456 人 317 人 270 人 317 人 216 人993 人 795 人 699 人 758 人 541 人

(※)は生活保護における扶助の一部もしくは全部給付の適用を受け退所した者。半就労や半他法収入等により、生活費等の不足分を生活保護により給付される場合も含みます。【アフターフォロー事業、退所後支援】

≪アフターフォロー実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

9人 6人103回 77回

≪退所後支援実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

19人 34人 30人12人 41人 24人36回 95回 62回

※支援終了の見極めは、「関係機関への引継ぎ」や「地域生活への定着」等によるものです。

支援開始者(実数)

評価・今後の方向性 自立支援施設退所後の生活保護の適用や退所後支援の実施により、再びホームレスになることの抑止に一定の効果をあげており、今後も引き続き実施していきます。

5 再び路上生活となることを防止する支援に取り組みます 本市実態調査の結果、自立支援施設等の利用により路上生活を脱却したにもかかわらず、安定した生活が継続されず、再度路上生活となってしまうホームレスの存在が確認されています。安定した生活を継続して営み、再び路上生活とならないようにするための支援が必要です。 再び路上生活となることを防止するための自立支援  〇自立支援施設では、利用者の就労自立に向けた個別支援を行いますが、その時の雇用情勢や本人の年齢、就労意欲など の就労実現のための諸条件が合わず、入所期間が満了となり退所してしまう人も少なくありません。こうした就労困難かつ 就労の見込みが立たない人に対しては、入所者の意思を尊重しつつ、福祉保健センターと自立支援施設が連携して、再び路 上生活とならないための支援に努めます。  〇ホームレス状態から、自立支援施設における相談・支援等を通じ、就労自立をした方々が多くいますが、一方で、様々 な自立阻害要因により再び路上生活に陥る人も存在します。就労や年金収入等を理由に自立を達成して施設を退所した人を 対象として、地域生活を円滑に送ることができるようアフターフォロー事業を実施し、再度路上生活に陥らない支援を推進 します。

事業概要及び実績  自立相談支援事業における相談支援プロセスの概要である、インテーク(初回面接・相談)、アセスメント(情報収集、分析評価、課題解決の結果予測)、支援プランの立案、支援調整会議での支援プランの決定、支援の実施、支援調整会議での評価、再プラン、終結といった一連の流れの中で、適宜、利用者・施設・福祉保健センターの3者にて、自立に向けた課題の共有や支援の進捗状況について確認を行っています。 常勤就労による自立が困難な場合であっても、インフォーマルなサービスを含む福祉制度の活用等について、関係機関と連携を行い調整を行います。

退所時の生活保護利用者数(※)総 退 所 者 数

支援終了者(実数)訪問回数(実数)

 平成24年度より、自立支援施設を退所した者を対象に、民間不動産物件等による借上げ住居を提供し、地域生活への着実なステップアップを支援するための「アフターフォロー事業」を開始しました。 本事業は、一定の効果がみられる一方で、本人住居でないために、事業の利用中止が再路上化に直結するリスクがありました。そのため、平成28年度より、施設における退所時の居宅確保を推進し、本人が確保した居宅を訪問することで地域生活の安定化を支援する「退所後支援」へと事業の機能を移行しました。(アフターフォロー事業は平成27年度末に事業終了) 疾病や失職等により居所を喪失するリスクが生じた場合は、居住区の自立相談支援機関等の支援に繋げることで、再度ホームレスとなることを未然に防止します。

利用者数(実数)訪問回数(実数)

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【寿福祉プラザ相談室における相談支援業務】

≪寿福祉プラザ相談室相談実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

3,036 人 3,162 人 4,569 人 5,641 人 4,534 人12.5 人 13.1 人 18.8 人 23.2 人 24.4 人

6 ホームレスとなるおそれのある人への支援に取り組みます 本市の実態調査から、路上生活に至った理由として、倒産・失業や、疾病等何らかの理由により仕事を失ったことを挙げる人が多くを占めています。仕事を失うリスクの高いものとして、従来からの課題である日雇い労働者に加え、住居喪失不安定就労者などのホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある方に対しても、巡回相談など既存事業の活用により、効果的な支援を行うことが必要です。 ア 寿地区における支援  〇横浜市が発注する公共工事を受注した業者に対して、寿地区の日雇労働者の雇用を推奨します。また、寿地区内に居住 する方を対象とした相談窓口である寿福祉プラザ相談室において、自立支援施設や各福祉保健センター、民間団体等と協力 しながら、生活の安定と向上を図るため、様々な相談への対応や情報提供を行います。さらに、寿地区に居住する人の内、 援護を必要とする人が、ホームレスとならないよう関係団体等と連携しながら個々の事情に対応した支援に努めます。

事業概要及び実績  寿福祉プラザ相談室は、寿地区内に存在する唯一の横浜市の行政機関として、住居のない方及び簡易宿泊所宿泊者等の生活各般の相談に応じ、関係機関等との調整・連携により相談者の課題解決を図っています。特に近年加速する住民の高齢化に伴う、身体機能の急激な低下や認知症等による対人トラブル、金銭管理の問題など、対応に不可欠となる連携強化やネットワーク形成に取り組み、地域全体の相談対応力の向上に資する役割を担っています。

相談者数開所日数あたりの1日平均相談者数

評価・今後の方向性 寿福祉プラザ相談室における相談者数については、近年増加傾向にあり、福祉保健センターをはじめとする関係区局との組織的な連携や関係機関との調整により、地域住民個別の課題解決に寄与しています。また、地域との協働による地域の課題解決に向けた取り組みについても一定の効果がみられており、今後も引き続き地域の変化に伴う新たな課題に積極的に対応していきます。

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【ワンナイト事業】

≪ワンナイト実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

64人 61人 157人 111人 59人【福祉保健センターにおける生活困窮者支援】

≪生活困窮者自立支援制度に関する支援状況(各福祉保健センター)≫平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

4,238 件 4,436 件 4,793 件 4,482 件1,112 件 1,541 件 1,781 件 1,501 件138 件 102 件 74 件 77 件362 件 521 件 604 件 478 件15 件 19 件 20 件 29 件6 件 35 件 52 件 36 件

829 件 1,068 件 1,081 件 912 件606 件 879 件 975 件 883 件413 人 603 人 650 人 411 人45 人 80 人 105 人 130 人

 イ ホームレスとなるおそれのある人や不安定な生活状況下にある人への支援  〇雇用情勢は緩やかではありますが回復傾向にあります。しかしながら、産業構造の変化などにより、非正規雇用など不 安定な雇用形態で就労する人が増加しつつあり、ホームレスとなることを余儀なくされる場合も想定されます。このため、 ホームレスとなるおそれのある人から、各福祉保健センターに就労や住居の相談、生活保護等の相談があった場合には、求 職者支援制度や住宅支援給付制度等の支援施策の紹介を行うほか、場合によっては本人の意向を尊重した上で、国や県、関 係機関との連携を図り、関連した施策の活用によりホームレスとならないよう未然防止に努めます。

事業概要及び実績  平成23年より、自立支援施設内に緊急入所用の部屋を確保し、緊急的に居所を喪失してしまった者等に対し、1日を原則とした居住場所の提供を行なう「ワンナイト事業」を一部の区においてモデル事業として開始し、翌年度より全区展開し事業を実施しています。

利用者数

 本市では、生活困窮者自立支援法の施行に伴い、平成27年度より各福祉保健センターにおいて自立相談支援機関(相談窓口)を設置し、生活困窮者(現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある人)に対する包括的な相談支援を実施しています。 生活困窮者からの多様で複合的な相談に応じ、必要な情報提供及び助言を行うとともに、様々な支援を一体的かつ計画的に行うことにより、生活困窮者の自立の促進を図ります。

新 規 相 談 件 数プ ラ ン 作 成 件 数

評価・今後の方向性 生活困窮者自立支援法の施行により、既存の福祉的支援の対象とならない、いわゆる制度の狭間に置かれている生活困窮者層に対する包括的な支援体系が創設され、法に基づく各種事業の取組みが生活困窮者の自立に寄与しています。引き続き、本市の実情に応じた施策を推進し、効果的な事業運営を行っていきます。

一 般 就 労 者 数増 収 者 数

生活保護受給者等就労自立促進事業

住居確保給付金家計相談支援事業就労準備支援事業

就労訓練事業自立相談支援事業による就労支援

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【人権施策推進のための取組】

≪具体的な取り組み事項・実績≫(1)広報よこはまへの掲載

(2)人権啓発パネルによる啓発

(3)人権教育の推進

【自立支援施設における人権擁護への取組み】

7 人権擁護に取り組みます ホームレスに対する偏見・差別意識は、社会全体に根強くあり、ホームレスに対する暴力や嫌がらせなどの事件の背景となっていると強く考えられます。このため、本市においても市民の理解と協力を得ながらホームレスの人権擁護について取り組む必要があります。 ア 人権啓発への取り組み  〇本市では、取り組むべき人権問題の1つとして、ホームレスの問題を「横浜市人権施策基本指針」に位置づけ、人権尊 重の意識を育む啓発を体系的・計画的に行っています。ホームレスに対する偏見や差別意識をなくしていくため、「広報よ こはま」や人権研修などを通じて人権啓発を行います。さらに、学校においても、生命尊重を基本とした人権教育の推進を 図ります。

事業概要及び実績  本市では、平成10年に「横浜市人権施策基本指針」、平成16年に「横浜市人権啓発推進計画」をそれぞれ策定し、人権の尊重を市政運営の基調とし、「一人ひとりの市民が互いに人権を尊重しあい、ともに生きる社会の実現」を目指して施策を推進しています。この人権施策基本指針では、平成23年改訂時に「ホームレス」、平成29年改訂時に「生活困窮者」を新たな人権課題として位置付け、人権施策の一層の推進を図っています。

 毎年、12月の人権週間にあわせて、「広報よこはま」11月号・12月号に人権特集を掲載しています。この人権特集号の中で、啓発コラムのひとつとして「ホームレス」を取り上げ、偏見や差別意識をなくしていくための啓発記事を掲載しています。

 区庁舎展示スペース等でのパネル展の開催のほか、区民まつりや人権講演会などの機会を捉えてパネル展示を行い、市民啓発を行っています。

 学校では、各校に人権教育推進担当者を配置するほか、人権教育の全体計画を作成し人権教育の推進に取り組んでいます。また、生命の尊重や人権尊重の精神を基盤とする教育の徹底を図るとともに、福祉教育や道徳教育などをはじめとする全教育活動の中で、自分も他の人も大切にできるようになる取組の徹底を図っています。

評価・今後の方向性  利用者の置かれている状況や本人の意思を十分に確認した上で自立支援が行えています。今後も事業の実施にあたっては、施設利用者の人権の尊重と尊厳の確保を図るとともに、プライバシーの保護や性別にも配慮したきめ細かな自立支援を推進していきます。

評価・今後の方向性 ホームレスの人権に関する研修や教育、啓発の推進により、着実に人権擁護に対する意識が養われるいる一方で、ホームレスへの襲撃事件や嫌がらせ、暴行事件が依然として発生しています。 ホームレスに対する暴力や嫌がらせ等の人権侵害による被害の未然防止を図ることが重要であり、引き続き現行指針や計画に基づく取組みを実施していきます。

 イ 人権擁護への取り組み  〇自立支援施設等の施設入所者に対して、入所者本人を尊重し、その人権の擁護を第一に、利用者本位の支援・サービス 提供に努めます。

事業概要及び実績  自立支援施設の指定管理者である「社会福祉法人神奈川県匡済会」では、「あらゆる人の尊厳を守り、常に人が人として文化的生活を営めるようその自立に向けた支援に努める」ことを基本理念とし、自立支援施設の管理運営に努めています。 施設内での自立支援にあたっては、利用者の置かれている状況や本人の意思を十分に確認した上で、利用者本人を尊重し、その人権の擁護を第一とした利用者本位の支援やサービス提供を推進しています。 また、法人内に「人権啓発推進委員会」を設置し、施設職員を対象とした人権研修を年2回実施しています。

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【施設管理者等の関係機関との連携について】

【巡回相談による相談支援】

≪ホームレス数推移(ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査))≫平成27年1月 平成28年1月 平成29年1月 平成30年1月 平成31年1月

548 人 536 人 531 人 477 人6,541 人 6,235 人 5,534 人 4,977 人

≪巡回相談による相談実績≫平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

1,918 件 1,663 件 1,532 件 1,225 件 1,000 件203 人 154 人 72 人 53 人 35 人

相 談 件 数自立支援施設入所(再掲)

評価・今後の方向性 ホームレスの人権に配慮し、かつ、地域社会の理解と協力を得ながら、粘り強く相談支援を継続することで、公共施設の適正利用の確保に一定の効果がみられました。 強制的な排除や撤去は、根本的な問題解決には至らないことから、今後も引き続き、関係機関との連携を強化し、路上生活からの脱却に向けた支援を実施することにより、公共施設の適正な利用を確保していきます。

8 地域の生活環境の改善及び安全・安心の確保に取り組みます ホームレスが公共施設を起居の場所とすることにより、結果としてその適正な利用が妨げられてしまうことがあります。このため、公共施設を起居の場所としているホームレスに対し、ホームレス状態からの脱却を支援することにより、その本来の適正な利用を確保する必要があります。 ホームレス状態からの脱却支援による、公共施設の適正な利用確保  〇ホームレスが起居の場所とすることにより、公共施設の適正な使用が妨げられているような場合は、道路、公園等の施 設管理者を中心に、各関係局、福祉保健センター、巡回相談室等の関係機関やホームレスの自立の支援等に関する施策との 連携を図りつつ、施設内の巡視、テント・小屋掛け等の物件の撤去指導等を行い本来の適正な利用を確保します。物件から の移動にあたっては、当事者の人権を尊重するものとし、その方のホームレス状態からの脱却を支援します。

事業概要及び実績  公共施設を起居の場とするホームレス状態にある人の支援については、施設管理者等の関係機関と連携を図り、その人のホームレス状態からの脱却を支援します。

 本市の巡回相談等による相談活動は、平成16年度より「巡回相談指導事業」として実施してきました。平成27年度からは、生活困窮者自立支援法の施行に伴い、同法に基づく自立相談支援事業におけるアウトリーチ業務として、市内全域を巡回し、公園や道路、河川等でホームレス状態にある方に対して、路上生活からの脱却に向けた支援を実施しています。福祉保健センターや施設管理者をはじめとした関係機関との連携を図り、それらの人が抱える問題を把握し、必要な援助が受けられるようにすることにより、その自立を支援しています。

横 浜 市全  国

H31年6月頃を目途に公表予定

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【ホームレス等総合相談推進懇談会】

【寿町なんでもSOS班事業】

【その他民間団体等との連携】(1)寿地区高齢者ふれあいホーム事業

(2)横浜駅周辺ホームレス連絡会

評価・今後の方向性 生活困窮者自立支援法に基づく各種事業の実施については、NPO法人や社会福祉法人等の民間団体へ委託して実施しており、行政と民間団体等が連携して事業を推進しています。また、地域住民やボランティア団体等との意見交換等を通じ、ホームレスの自立支援に向けた協力・連携を推進しています。 今後も引き続きこれらの取組みを実施していきます。

9 市民や民間団体との連携に取り組みます 本市には、ホームレスに対する生活支援活動を行うNPOや民間団体があり、それぞれが個々のホームレスの事情に応じたきめ細かな支援を行っています。また、ホームレスにとって身近に相談できる民生委員も有効な社会資源と考えます。このため、本市のホームレス自立支援施策を進める上で、NPOや民間団体、民生委員等と意見交換を行い、協力・連携を図ることは、効果的であると考えます。また、若年層のホームレスが増加傾向にあるなど、新たな課題に対応できるよう関係団体等との連携をさら深め、ホームレスの自立支援に取り組みます。 市民・民間団体との連携した取り組み  〇地域の実情を把握している民生委員や、町内会及びホームレスの支援を行う民間団体等に対して協力を求め、連携に努 めます。また、民間、学識経験者、行政で構成するホームレス総合相談推進懇談会においても、本市の行う巡回相談事業等 のホームレス自立支援施策について協議や意見交換を行い、ホームレスの自立支援に向けた協力・連携に努めます。  〇NPO法人が本市との協働事業として取り組んでいる、寿地区内を中心とした相談活動で発見されたニーズについて、 NPO法人が単独で解決困難な問題に対して必要な福祉サービスに繋げるなど、寿福祉プラザ相談室とNPO法人が連携し て対応します。

事業概要及び実績  ホームレスまたはホームレスとなるおそれのある人に対する、効果的なアウトリーチ業務の実施、適切な支援のあり方等について検討を行うため「ホームレス等総合相談推進懇談会」を設置しています。この懇談会は、ボランティア団体、地域住民、学識経験者、行政機関で構成され、年に1回程度開催しています。

 平成20年度より、本市の相談機関である寿福祉プラザ相談室と民間団体が連携し、寿地区住民及びホームレスの情報やニーズを適切に把握した上で、対象者が必要とするサービスを受けられるよう支援する「寿町なんでもSOS班事業」を開始しました。 当該事業開始当時は、現在と比べて、地区内の社会資源が乏しく、地域の繋がりも希薄な状態でしたが、近年では地区内の社会資源の充足により、地区内の福祉ニーズは、各事業で対応が図られるようになったため、平成28年度末に事業廃止に至りました。

 寿地区の高齢者等の相互交流・憩いの場を提供するため、老人クラブや自治体等により構成された運営委員会によって運営する施設の運営費の一部を補助することにより、安定的な運営を図ります。

 自治会、民間、行政機関による、情報交換や意見交換を通じ、ホームレス状態からの脱却に向けた支援を行います。

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第2 ホームレス自立支援の推進方策

1 基本的な考え方

国は、ホームレスになった要因を次のように分析しています。

倒産・失業等の仕事に起因するものや、病気やけが、人間関係、家庭内の問題等様々なもの

が複合的に重なり合っており、年齢層によってもその傾向は異なっている。

さらに、社会生活への不適応や借金による生活破たん、アルコール依存症等の個人的要因も

付加されて複雑な問題を抱えているケースも多い。

また、平成 28 年 10 月に実施した生活実態調査においては、ホームレスの高齢化や路上(野宿)

生活期間の長期化の傾向がより一層顕著となるとともに、路上(野宿)生活を脱却した後、再び路

上(野宿)生活に戻ってしまうホームレスの存在や、若年層については、終夜営業の店舗等、屋根

のある場所との行き来の中で、路上(野宿)生活の期間が短期間になりやすいといった傾向が確認

されています。

さらに、民間団体による調査研究結果によれば、39歳以下では、終夜営業の店舗等を利用してい

るためアウトリーチが届きにくい人や、65歳以上では、居所確保後の見守りや支援等が必要な人の

存在が確認されており、年齢別の課題としては次のようなものが挙げられています。

【表 40】 年齢別の課題(参考:エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ(株)「平成 29 年度生活困窮者就労準

備支援事業費等補助金社会福祉推進事業 ホームレスの実態を踏まえた、生活困窮者自立支援制度における

一時生活支援事業に関する調査研究報告書」)

年 齢 別 の 課 題

39 歳以下 〇背景

・家族関係に問題を抱えている。コミュニケーションの課題を抱えている

・体力があっても、知的・精神・発達障害の疑いや疾病がある

〇状況

・就労関連の問題

就労継続困難、勤労意義の理解不足、就労意欲が低い、就労経験が少ない

・ネットカフェ等を利用し、野宿経験はない(アウトリーチが難しい)

・集団生活の経験がなく、集団生活が苦手

40~64 歳 〇背景

・挫折、喪失感、失敗経験による自尊心・自信の低下。社会的信頼の回復が困難

・身体的・精神的(精神疾患、アルコール・薬物・ギャンブル依存症)不調、障害の疑い

〇状況

・就労関連の問題 不安定な就労形態、年齢的な求人難

・家計管理・借金の問題

・集団生活の規則を守れない

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65 歳以上 〇背景

・心身の不調(病気、ADL 低下)、認知機能の低下

・精神疾患、アルコール・ギャンブル依存症、知的・発達障害の疑い

・生活保護に対する抵抗感

〇状況

・就労関連の問題 低い就労自立意欲・働ける状態にない

・居所確保が困難。大家による賃貸入居拒否

・家計管理が困難。年金が足りない

・親族との希薄な関係性、社会的孤立、居場所がない

・居所確保後の見守りや支援が必要

このようなホームレスの実態を十分踏まえるとともに、今日の産業構造や雇用環境等の社会情勢

の変化を捉えながら、総合的かつきめ細かなホームレス自立支援施策を講ずる必要がある、として

います。

その中で、基本方針では、地域ごとのホームレス数の違い等、ホームレスに関する問題は地方公

共団体ごとにその状況が大きく異なり、地域の状況を踏まえた施策の推進が必要であり、市町村は、

基本方針に掲げる施策のうち地域の実情に応じて必要なものを積極的かつ総合的に実施すること

としています。

そのため、本市では、国の基本方針に則しながら、従来の本市実施計画の基本的な考え方を継承

し、次の4つの視点を重視して、新たな実施計画を策定します。

1 個別支援(ホームレス状態にある人)

ホームレスとなった個別具体的な要因を的確に把握し、ホームレスが自らの意思で安定した

生活を営めることを基本とし、ホームレス状態からの脱却に向けたきめ細かな自立支援に取り

組みます。

2 未然防止(ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人)

非正規雇用などの不安定な就労層や定まった住居を喪失し不安定な居住の状況にある人

等に対して、ホームレスにさせないための支援等を行います。

3 再路上(野宿)化の防止(ホームレス状態から脱却した人)

路上(野宿)生活から脱却した人に対し、再度路上(野宿)生活になることを防ぐための支援

等を行います。

4 民間団体等との連携

新たな課題にも対応できるように民間団体等と緊密に連携し支援を推進します。

この基本的な考え方に基づいて、従来の実施計画で策定した取組方針をより発展させ、ホームレ

スの自立の支援を推進してまいります。

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2 各課題に対する取組方針

本市の実態調査においては、高齢化が進む一方で、約 17%の人が今後の生活について「アパートに

住み、就職して自活したい」と希望しています。就労可能なホームレスの自立を支援する上で、就労

支援は必要不可欠であり、国においても、ホームレスの自立支援施策は、就業の機会の確保が最も重

要であるとしています。

そこで、ホームレス自らの意思による自立を基本とし、就労可能な状態にあるホームレスに対して

は、就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況など個々の状況やニーズ、本人の意向を踏

まえた上で、就業機会の確保を図る等きめ細かな支援を推進します。

ア 自立支援施設で取り組む就労支援・就労準備支援

〇 自立支援施設では、利用者へのアセスメント結果を踏まえ、利用者一人ひとりの状況に応じた

自立に向けた支援計画(自立支援計画)を策定します。自立支援計画の策定にあたっては、利用

者の主体性を尊重し、本人と支援員とが協働し策定します。その結果、就労自立を目指す人に対

しては、公共職業安定所の職業相談員による職業相談等を通じて、安定した就職を実現するため

の支援を行います。

〇 また、長期の無業状態や就労経験が乏しい等直ちに就労への支援が困難な利用者に対しては、

関係機関と連携し、就労意欲の喚起や就労に向けた基礎的な知識や技術の習得等、求職活動を進

める上で必要な助言や支援を行います。

(実施主体:健康福祉局 経済局)

イ 国や神奈川県と連携した支援

〇 国からの委託を受け、本市、神奈川県、川崎市、労働福祉協会と5民間団体により構成する神

奈川県ホームレス就業支援協議会が実施するホームレス就業支援事業による、ホームレスの就

職に結びつく可能性の高い職種の求人開拓など、就業機会を確保できるように支援します。

〇 ホームレス就業支援事業における就業支援により、一人ひとりの就業等に係るニーズに応じ

た個別相談、個別の求人開拓を行います。また、職場体験講習や就職支援セミナーを活用しなが

ら、職業訓練の機会等を提供し、就業のためのスキルアップを支援します。

(実施主体:健康福祉局 国 神奈川県)

ウ 民間団体と連携した支援

〇 生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者就労訓練事業の実施事業者との連携、事業活用

により、職業能力の開発及び向上、生活習慣の習得を支援します。

(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

(1) 就労自立の支援

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自立支援施設における支援の結果、地域社会で自立した生活を営むことが可能となったにも関わ

らず、連帯保証人や緊急連絡先の確保等が課題となり、民間賃貸住宅などへの入居が困難な状況が

多く見られます。そのため、新たな住宅セーフティネット制度や公営住宅の活用等による長期継続

的な住まいの確保に向けた支援メニューの拡充等に取り組みます。

ア 自立支援施設で取り組む、退所後の円滑な住所設定に向けた支援

〇 自立支援施設において、利用者が退所後に安定した居住場所を確保できるように、利用者個々

のニーズにあった民間住宅の情報提供に努めます。

連帯保証人や緊急連絡先が確保できない場合も、協力不動産事業者と連携し賃貸物件の相談

等を行い、住宅確保の支援に努めます。

(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

イ 新たな住宅セーフティネット制度の促進

〇 市営住宅をはじめとする公営住宅や、公的賃貸住宅を根幹としながら、民間賃貸住宅を活用

することで、重層的なセーフティネットを構築していきます。

また、健康福祉局と建築局、その他関係局及び宅地建物取引業団体やNPO法人などの外部

団体から構成される「横浜市居住支援協議会」を設立し、住宅確保要配慮者への入居から退去

までの支援施策を進めていきます。

(実施主体:健康福祉局 建築局)

実態調査の結果、1/5程度の人が身体の不調を訴えており、そのうちの9割以上の人が医療機関

に受診をしていませんでした。また、ホームレスの高齢化や路上生活期間の長期化に伴い健康状態

が悪化する傾向も確認されました。医療が必要な状態にあるにも関わらず、医療機関を受診するこ

とができない人に対し、必要な医療サービスを受けることができるよう、きめ細かな相談や支援を

推進します。

ア 適切な保健・医療の確保に向けた支援

〇 現に路上などで生活をしている人を対象に実施する巡回相談支援に看護師等が同行し、血圧

測定等による健康状態の把握、受診勧奨、健康相談、保健指導等を実施します。また、必要に

応じて福祉保健センター等の関係機関と連携を図り支援を行います。

〇 自立支援施設では、利用者を対象に医療機関での健康診断を実施します。また、施設に配置

されている看護師が、医療的視点に基づいた日常の健康相談や服薬支援を実施し、利用者の健

康管理に努めます。専門的な治療が必要な利用者に対しては、医療機関等への受診勧奨を行い

ます。

〇 福祉保健センターでは、自立支援施設と連携を図り、必要に応じて生活保護法の医療扶助の

適用や無料低額診療事業の活用を図ります。また、入院医療等が必要な状態と判断された場合

には、医療機関への入院措置を行い適切な保護を実施します。

(2) 安定した居住場所確保の支援

(3) 保健・医療の確保の支援

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(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

イ 結核への対応

〇 健康福祉局と福祉保健センターが連携して、ホームレスを対象とする結核健診を実施し、結

核の早期発見に努め、適正な医療を受けられるように支援します。

〇 結核患者について、治療を中断することがないよう医療機関とも連携を図り、入院中から退

院後の治療終了まで服薬確認を行い、結核の適切な治療を支援します。

(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

ホームレスが自らの意思により、安定した生活を営み、ホームレス状態から脱却し自立するため

には、就労による自立の支援が最も重要です。しかし、高齢化や疾病、障害、若年、女性、依存

症、認知症、負債の問題など、近年では、社会状況の変化に伴う福祉ニーズの高度化・複雑化が進

む中、路上生活からの脱却に向けた課題は画一的なものではなく、個々の事情により様々です。就

労を前提とした自立支援だけではなく、社会生活の自立に向けた支援を図るため、関係機関と連携

し個々の状況に応じた支援を推進します。

ア 個々の事情に対応した総合的な自立の支援

〇 巡回相談では、関係機関等と協力しながら、ホームレスが起居する場所を巡回し、相談・支

援を行い、福祉保健センターにつなげる等、自立に向けて必要な支援・サービスが受けられる

よう支援します。また、自立支援施設や福祉サービス等の利用を拒否する人等に対しては、巡

回相談員、福祉保健センター及び関係機関等が連携して粘り強く働きかけます。

〇 ホームレスの個々のニーズや状況(高齢、障害など)等を把握した上で、関係機関と連携し

て必要な支援を検討します。

〇 傷病等の理由により、自立支援施設への入所可否が判断できない場合や、緊急的、一時的に

対応しなければならない場合においても、一時的に居所を設定し、ホームレス状態とならない

よう関係機関と連携し支援します。

〇 女性ホームレスに対しては、性別に配慮しきめ細かく支援するため、女性福祉相談員や婦人

保護施設等の関係者や関係機関とも連携し対応します。

〇 ホームレスに至った個々の事情や状況に応じて自立支援施設への入所等を検討し、必要に応

じて生活保護を適用するなど、自立に向けた支援を行います。

〇 福祉保健センターにおいては、より安定した生活の場の確保に向け、施設や簡易宿泊所等か

らアパートなどの居宅生活への移行について、多面的に検討し支援します。

(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

イ 自立支援施設における社会生活の自立支援

〇 自立支援施設において、宿所、食事等の日常生活上必要なサービス等を提供し、利用者の自

立に向けた環境を整えます。

また、生活困窮者自立支援制度に基づくインテーク・アセスメントの実践により、個々の支

援計画を策定し、利用者一人ひとりに寄り添った支援を進めていきます。

(4) 個々の状況に応じたきめ細かな支援

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〇 アルコール依存や負債の問題など、自立を阻害する要因を抱えた人に対しては、その解決を

図るため、医療機関への受診や自助グループへのつなぎ、法律相談の利用など、きめ細かな相

談・支援を行います。

〇 高齢や障害等の理由により、居宅生活への移行が困難な利用者に対しては、他福祉施設への

入所等について検討を行い、退所後の自立が切れ目なく継続するよう支援を行います。

〇 若年等で就労経験が乏しいなど、直ちに一般就労が難しい人に対しては、関係機関と連携を

図り、必要に応じて就労準備支援事業や就労訓練事業の活用を図るなど、自立に向けた相談・

支援を行います。

〇 自立支援施設において常勤就労を開始した人に対しては施設内の個室を利用して、退所後の

日常生活に備えた相談・支援を行い、利用者の円滑な社会生活への移行を目指します。

(実施主体:健康福祉局 こども青少年局)

本市実態調査の結果、自立支援施設等の利用により路上生活を脱却したにもかかわらず、安定し

た生活が継続されず、再度路上生活となってしまうホームレスの存在が確認されています。安定し

た生活を継続して営み、再び路上生活とならないようにするための支援を推進します。

再び路上生活となることを防止するための自立支援

〇 自立支援施設では、利用者の就労自立に向けた個別支援を行いますが、その時の雇用情勢や

本人の年齢、就労意欲などの就労実現のための諸条件が合わず、入所期間が満了となり退所し

てしまう人も少なくありません。こうした就労困難かつ就労の見込みが立たない人に対して

は、利用者の意思を尊重しつつ、福祉保健センターと自立支援施設が連携して、再び路上生活

とならないための支援に努めます。

〇 居住場所の確保により自立支援施設を退所した人を対象に、本人が確保した居宅を一定期間

訪問し、相談・支援を行うことで、地域生活の安定化を図る退所後支援を推進します。相談・

支援にあたっては、個々の状況に応じた多面的なアフターケアに配慮し、再度路上生活となら

ないように支援します。

また、疾病や失職等により居所を喪失するリスクが生じた場合には、居住区の自立相談支援

機関と連携を図り、支援を継続することで、再度ホームレスとなることを未然に防止します。

(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

本市の実態調査から、路上生活に至った理由として、倒産・失業や、疾病等何らかの理由により

仕事を失ったことを挙げる人が多くを占めています。仕事を失うリスクの高いものとして、従来か

らの課題である日雇い労働者に加え、定まった住居を失い終夜営業店舗に寝泊まりする等の不安定

な居住環境にある人など、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人に対する支援が

必要です。ホームレスに対する支援と同様に、既存事業の活用による就業支援、居住支援、保健・

医療の確保等、個々の状況に応じたきめ細かな支援を推進します。

(5) 再び路上生活となることを防止する支援

(6) ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人への支援

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ア 寿地区における支援

〇 寿地区内の方を対象とした相談窓口である寿福祉プラザ相談室において、自立支援施設や各

福祉保健センター、民間団体等と協力しながら、生活の安定と向上を図るため、様々な相談へ

の対応や情報提供を行います。

また、援護を必要とする人がホームレスとならないよう、関係団体等と連携しながら個々の

事情に対応した支援に努めます。

(実施主体:健康福祉局)

イ ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人への支援

〇 失業率はリーマンショック時をピークに低下傾向が続き、有効求人倍率は高水準に転じる

等、雇用情勢は緩やかな回復基調が窺えます。一方で、産業構造の変化や情報技術革新の進歩

等を背景に、雇用形態が多様化し、非正規雇用など不安定な雇用形態で就労する人は増加傾向

にあり、ホームレスとなることを余儀なくされる場合も想定されます。

このため、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある人から、各福祉保健センタ

ーに就労や住居の相談、生活保護等の相談があった場合には、生活困窮者自立支援制度等の支

援施策の活用の他、生活保護が必要な人に対しては適切に適用する等の支援を行います。ま

た、場合によっては、本人の意向を尊重した上で、国や県、関係機関との連携を図り、関連し

た施策の活用によりホームレスとならないよう未然防止に努めます。

(実施主体:健康福祉局 福祉保健センター)

ホームレスに対する偏見・差別意識は、社会全体に根強くあり、ホームレスに対する暴力や嫌が

らせなどの事件の背景となっていると強く考えられます。このため、本市においても市民の理解と

協力を得ながらホームレスの人権擁護についての取り組みを推進します。

ア 人権啓発への取り組み

〇 本市では、取り組むべき人権問題の1つとして、ホームレスの問題を「横浜市人権施策基本

指針」に位置づけ、人権尊重の意識を育む啓発を体系的・計画的に行っています。ホームレス

に対する偏見や差別意識をなくしていくため、「広報よこはま」や人権研修、人権講演会等で

の啓発パネルの展示など様々な機会を通じて人権啓発を行います。さらに、学校においても、

生命の尊重や人権尊重の精神を基盤とした教育の推進を図ります。

(実施主体:健康福祉局 市民局 教育委員会事務局)

イ 人権擁護への取り組み

〇 自立支援施設等の施設利用者に対して、利用者本人を尊重し、その人権の擁護を第一に、利

用者本位の支援・サービス提供に努めます。

(実施主体:健康福祉局)

(7) 人権擁護

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ホームレスが公共施設を起居の場所とすることにより、結果としてその適正な利用が妨げられて

しまうことがあります。このため、公共施設を起居の場所としているホームレスに対し、ホームレ

ス状態からの脱却を支援することにより、その本来の適正な利用を確保する必要があります。

ホームレス状態からの脱却支援による、公共施設の適正な利用確保

〇 ホームレスが起居の場所とすることにより、公共施設の適正な使用が妨げられているような

場合は、道路、公園等の施設管理者を中心に、各関係区局、福祉保健センター、自立支援施設

等の関係機関やホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ、施設内の巡視、

テント・小屋掛け等の物件の撤去指導等を行い本来の適正な利用を確保します。物件からの移

動にあたっては、当事者の人権を尊重するものとし、その方のホームレス状態からの脱却を支

援します。

(実施主体:健康福祉局 土木事務所 道路局 環境創造局

都市整備局 港湾局 交通局 福祉保健センター)

本市には、ホームレスに対する生活支援活動を行うNPO法人や民間団体があり、それぞれが

個々のホームレスの事情に応じたきめ細かな支援を行っています。

ホームレスの自立を支援する上では、ホームレスと身近に接することの多い、これらのNPO法

人や民間団体、更には民生委員や社会福祉協議会等との情報交換や意見交換が有効であることか

ら、積極的な協力・連携を図ります。

また、ホームレスの高齢化や路上生活期間の長期化など、新たな課題に対応できるよう、関係団

体等と連携しホームレスの自立支援を推進します。

市民・民間団体との連携した取り組み

〇 地域の実情を把握している民生委員や、町内会及びホームレスの支援を行う民間団体等に対

して協力を求め、連携に努めます。

また、民間団体、地域住民、学識経験者、行政で構成するホームレス等総合相談推進懇談会

において、本市の行う巡回相談等のホームレス自立支援施策について協議や意見交換を行い、

ホームレスの自立支援に向けた協力・連携に努めます。

(実施主体:健康福祉局)

(8) 地域の生活環境の改善及び安全・安心の確保

(9) 市民や民間団体との連携

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第3 ホームレス自立支援施策の推進体制

1 庁内推進体制

ホームレス自立支援施策の円滑な推進を目的として設置した全庁的な組織「ホームレス自立支援

等に関する関係区局連絡会議」において、この計画の実施に向けた事業の検討等に取り組んでいき

ます。

※ 構成

鶴見区、西区、中区、総務局、市民局、経済局、こども青少年局、健康福祉局、環境創造局、資

源循環局、建築局、都市整備局、道路局、港湾局、交通局、教育委員会事務局

2 庁外の関係機関との連携

(1) 国、神奈川県等関係機関との連携

計画を実施するにあたっては、国、神奈川県等関係機関と連携し、計画が効率的かつ効果的に進

むよう、関係機関に対して各種施策の情報交換を積極的に行うとともに、財政上の措置その他必

要な措置を講ずるよう協力を求めます。

(2) 民間団体との連携

計画を実施するにあたっては、地域団体、社会福祉法人、NPO法人、ホームレスボランティア

団体等の施設や人材等と連携・協力しながら取組を推進します。

3 実施計画の計画期間等

(1) 計画期間

この実施計画の計画期間は、国の基本方針を踏まえ、平成 31 年度(2019 年度)から平成 35 年

度(2023年度)までの5年間とします。ただし、国の基本方針及び神奈川県の実施計画の変更や、

事業遂行上の必要により、本計画を見直す必要が生じたときはこの限りではありません。

(2) 実施計画の評価と次期計画の策定

実施計画の期間満了前に、ホームレスの実態調査を行うなどして状況を客観的に把握するとと

もに、関係者や有識者等の意見を聴取して、これを参考としながら、計画に定めた施策の評価を行

います。

評価結果は、公表するとともに、次の実施計画を策定する際の参考とします。

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参考資料

参考資料1

〇ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法

(平成十四年八月七日法律第百五号)

(一部改正:平成二四年六月二七日法律第四六号)

(一部改正:平成二九年六月二一日法律第六八号)

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 基本方針及び実施計画(第八条・第九条)

第三章 財政上の措置等(第十条・第十一条)

第四章 民間団体の能力の活用等(第十二条―第十四条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在

し、健康で文化的な生活を送ることができないでいるとともに、地域社会とのあつれきが生じつつ

ある現状にかんがみ、ホームレスの自立の支援、ホームレスとなることを防止するための生活上の

支援等に関し、国等の果たすべき責務を明らかにするとともに、ホームレスの人権に配慮し、かつ、

地域社会の理解と協力を得つつ、必要な施策を講ずることにより、ホームレスに関する問題の解決

に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく

起居の場所とし、日常生活を営んでいる者をいう。

(ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標等)

第三条 ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標は、次に掲げる事項とする。

一 自立の意思があるホームレスに対し、安定した雇用の場の確保、職業能力の開発等による就業の

機会の確保、住宅への入居の支援等による安定した居住の場所の確保並びに健康診断、医療の提供

等による保健及び医療の確保に関する施策並びに生活に関する相談及び指導を実施することによ

り、これらの者を自立させること。

二 ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行わ

れる、これらの者に対する就業の機会の確保、生活に関する相談及び指導の実施その他の生活上の

支援により、これらの者がホームレスとなることを防止すること。

三 前二号に掲げるもののほか、宿泊場所の一時的な提供、日常生活の需要を満たすために必要な物

品の支給その他の緊急に行うべき援助、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護

の実施、国民への啓発活動等によるホームレスの人権の擁護、地域における生活環境の改善及び安

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全の確保等により、ホームレスに関する問題の解決を図ること。

2 ホームレスの自立の支援等に関する施策については、ホームレスの自立のためには就業の機会が

確保されることが最も重要であることに留意しつつ、前項の目標に従って総合的に推進されなければ

ならない。

(ホームレスの自立への努力)

第四条 ホームレスは、その自立を支援するための国及び地方公共団体の施策を活用すること等によ

り、自らの自立に努めるものとする。

(国の責務)

第五条 国は、第三条第一項各号に掲げる事項につき、総合的な施策を策定し、及びこれを実施する

ものとする。

(地方公共団体の責務)

第六条 地方公共団体は、第三条第一項各号に掲げる事項につき、当該地方公共団体におけるホーム

レスに関する問題の実情に応じた施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

(国民の協力)

第七条 国民は、ホームレスに関する問題について理解を深めるとともに、地域社会において、国及

び地方公共団体が実施する施策に協力すること等により、ホームレスの自立の支援等に努めるもの

とする。

第二章 基本方針及び実施計画

(基本方針)

第八条 厚生労働大臣及び国土交通大臣は、第十四条の規定による全国調査を踏まえ、ホームレスの

自立の支援等に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を策定しなければならない。

2 基本方針は、次に掲げる事項について策定するものとする。

一 ホームレスの就業の機会の確保、安定した居住の場所の確保、保健及び医療の確保並びに生活に

関する相談及び指導に関する事項

二 ホームレス自立支援事業(ホームレスに対し、一定期間宿泊場所を提供した上、健康診断、身元

の確認並びに生活に関する相談及び指導を行うとともに、就業の相談及びあっせん等を行うことに

より、その自立を支援する事業をいう。)その他のホームレスの個々の事情に対応したその自立を

総合的に支援する事業の実施に関する事項

三 ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行わ

れるこれらの者に対する生活上の支援に関する事項

四 ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項、生活保護法による保護の実施に関する事項、

ホームレスの人権の擁護に関する事項並びに地域における生活環境の改善及び安全の確保に関す

る事項

五 ホームレスの自立の支援等を行う民間団体との連携に関する事項

六 前各号に掲げるもののほか、ホームレスの自立の支援等に関する基本的な事項

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3 厚生労働大臣及び国土交通大臣は、基本方針を策定しようとするときは、総務大臣その他関係行

政機関の長と協議しなければならない。

(実施計画)

第九条 都道府県は、ホームレスに関する問題の実情に応じた施策を実施するため必要があると認め

られるときは、基本方針に即し、当該施策を実施するための計画を策定しなければならない。

2 前項の計画を策定した都道府県の区域内の市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、ホームレスに

関する問題の実情に応じた施策を実施するため必要があると認めるときは、基本方針及び同項の計

画に即し、当該施策を実施するための計画を策定しなければならない。

3 都道府県又は市町村は、第一項又は前項の計画を策定するに当たっては、地域住民及びホームレ

スの自立の支援等を行う民間団体の意見を聴くように努めるものとする。

第三章 財政上の措置等

(財政上の措置等)

第十条 国は、ホームレスの自立の支援等に関する施策を推進するため、その区域内にホームレスが

多数存在する地方公共団体及びホームレスの自立の支援等を行う民間団体を支援するための財政

上の措置その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(公共の用に供する施設の適正な利用の確保)

第十一条 都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の

場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの自立の支援等に関す

る施策との連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必要な

措置をとるものとする。

第四章 民間団体の能力の活用等

(民間団体の能力の活用等)

第十二条 国及び地方公共団体は、ホームレスの自立の支援等に関する施策を実施するに当たっては、

ホームレスの自立の支援等について民間団体が果たしている役割の重要性に留意し、これらの団体

との緊密な連携の確保に努めるとともに、その能力の積極的な活用を図るものとする。

(国及び地方公共団体の連携)

第十三条 国及び地方公共団体は、ホームレスの自立の支援等に関する施策を実施するに当たっては、

相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。

(ホームレスの実態に関する全国調査)

第十四条 国は、ホームレスの自立の支援等に関する施策の策定及び実施に資するため、地方公共団

体の協力を得て、ホームレスの実態に関する全国調査を行わなければならない。

附 則

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(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

(この法律の失効)

第二条 この法律は、この法律の施行の日から起算して二十五年を経過した日に、その効力を失う。

(検討)

第三条 この法律の規定については、この法律の施行後五年を目途として、その施行の状況等を勘案

して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

附 則(平成二四法四六)

この法律は、公布の日から施行する。

附 則(平成二九法六八)

この法律は、公布の日から施行する。

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参考資料2

〇ホームレスの自立の支援等に関する基本方針

(平成 30年 7月 31日厚生労働省・国土交通省告示第2号)

目次

第1 はじめに

第2 ホームレスに関する現状

1 ホームレスの現状

2 ホームレス自立支援施策の現状

第3 ホームレス自立支援施策の推進

1 基本的な考え方

2 各課題に対する取組方針

3 ホームレス数が少ない地方公共団体の各課題に対する取組方針

4 総合的かつ効果的な推進体制等

5 基本方針のフォローアップ及び見直し

第4 都道府県等が策定する実施計画の作成指針

1 手続についての指針

2 実施計画に盛り込むべき施策についての指針

3 その他

第1 はじめに

ホームレスの自立の支援等に関する総合的な施策の推進は、平成 14年8月に成立したホームレ

スの自立の支援等に関する特別措置法(平成 14年法律第 105 号。以下「法」という)に基づき実

施している。 。法においては、ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標を明示するととも

に、国及び地方公共団体の責務として、当該目標に関する総合的又は地方の実情に応じた施策の策

定及び実施を位置付けている。国においては、平成 15 年、19 年及び 24 年に実施したホームレス

の実態に関する全国調査(生活実態調査)を踏まえ、平成 15 年7月、20 年7月及び 25 年7月に

ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を策定し、地方公共団体においては、この基本方針等

に即して、必要に応じ、ホームレスに関する問題の実情に応じた施策を実施するための計画(以下

「実施計画」という。)を策定しホームレスの自立の支援等を行ってきたところである。

こうした中、平成 30年1月に実施したホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)によれ

ば、路上等におけるホームレスの数については、全国で 4,977人が確認され、平成 15年1月に実

施された同全国調査の時点から 20,319人減少しており、これまでのホームレスの自立の支援等に

関する総合的な施策の推進等により、その数は大幅に減少してきている。

一方で、平成 28 年 10 月に実施したホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)によ

れば、ホームレスの高齢化や路上(野宿)生活期間の長期化が一層進んでいる傾向にあることが認

められたところであり、このような路上等のホームレスの背後には、定まった住居を喪失し簡易宿

泊所や終夜営業の店舗等で寝泊まりする等の不安定な居住環境にあり、路上と屋根のある場所と

を行き来している層が存在するものと考えられる。

このような状況の下、平成 29 年6月には、15 年間の限時法であった法の期限がさらに 10 年間

延長されたことにより、引き続き法に基づく基本方針を策定し、総合的な施策の推進を図ることと

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なった。

また、平成 27年4月に、生活保護に至る前の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対す

る包括的かつ早期の支援を実施することを目的とする生活困窮者自立支援法(平成 25 年法律第

105 号。以下「困窮者支援法」という。)が施行された。

ホームレスの自立に必要な就業の機会の確保等の総合的な支援については、引き続き、法に基づ

き実施することとした上で、ホームレス自立支援施策のうち福祉の観点から実施している、困窮者

支援法第3条第2項に規定する生活困窮者自立相談支援事業(以下「自立相談支援事業」という。)、

同条第3項に規定する生活困窮者住居確保給付金(以下「住居確保給付金」という。)の支給、同

条第6項に規定する生活困窮者一時生活支援事業(以下「一時生活支援事業」という。)等につい

ては、法の趣旨・理念を踏まえつつ、困窮者支援法に基づき実施している。

困窮者支援法は、生活保護法(昭和 25年法律第 144 号)の生活保護受給者以外に対して包括的

かつ早期の支援を提供するものであることから、ホームレスやホームレスとなることを余儀なく

されるおそれのある者も含めて広くその対象となるものである。生活保護が必要な者には、確実に

生活保護を適用しつつ、生活保護の受給により居住場所等の確保に至る間、又は就労等による自立

や地域において日常生活が継続可能となるまでの間は、困窮者支援法による一時生活支援事業を

はじめとした就労や心身の状況、地域社会からの孤立の状況などに応じた包括的かつ早期の支援

が必要である。

本基本方針は、法の趣旨、平成 28年に実施したホームレスの実態に関する全国調査(生活実態

調査)で把握された高齢化や路上(野宿)生活期間の長期化等のホームレスの状況の変化、ホーム

レス自立支援施策の実施状況等を踏まえつつ、困窮者支援法に基づく支援が、今後もよりその効果

を発揮するために、ホームレスの自立の支援等に関する国としての基本的な方針を国民、地方公共

団体及び関係団体に対し明示するものである。また、地方公共団体において実施計画を策定する際

の指針を示すこと等により、ホームレスの自立の支援等に関する施策が総合的かつ計画的に実施

され、もってホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者の自立を積極

的に促すとともに、新たにホームレスとなることを防止し、地域社会におけるホームレスやホーム

レスとなることを余儀なくされるおそれのある者に関する問題の解決が図られることを目指すも

のである。

第2 ホームレスに関する現状

1 ホームレスの現状

国は全国のホームレスの数及び生活実態を把握するため、地方公共団体の協力を得て、ホームレ

スの数については平成 15年より、年1回、全ての市町村(特別区を含む。以下同じ。)を対象にし

た概数調査(以下単に「概数調査」という。)を、生活実態については、平成 15年、19年、24年

及び 28 年の概ね5年毎に抽出による全国調査(以下「生活実態調査」という。)を、それぞれ実施

している。

(1) ホームレスの数

ホームレスの数については、平成 30年概数調査によれば、4,977人となっており(ただし、福

島県内の2町については東日本大震災の影響により未実施)、平成 15 年概数調査の 25,296 人と

比べて、20,319人(80.3%)減少している。ホームレスの数を都道府県別にみると、東京都で 1,242

人(平成 15 年概数調査においては、6,361 人)、次いで大阪府が 1,110 人(同 7,757 人)となっ

ており、この両都府において全国の約半数を占めている。さらに、市区町村別では、全 1,741市

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区町村のうち 300市区町村でホームレスが確認され、このうち、ホームレスの数が 500 人以上で

あったのは1自治体(平成 24 年概数調査においては3自治体)、100 人以上であったのは7自治

体(同 16 自治体)であるのに対し、10 人未満であったのは 228 自治体(同 319 自治体)と、全

体の約4分の3を占めている。

(2) ホームレスの生活実態

ホームレスの生活実態については、平成 28年生活実態調査として、東京都特別区、政令指定都

市(熊本市を除く。) 及び平成 28年概数調査において 30人以上のホームレスが確認された市に

おいて、全体で約 1,400人を対象に個別面接調査を行った。

① 年齢

ホームレスの平均年齢は 61.5歳(平成 24年生活実態調査では、調査客体数が異なるものの、

平均年齢は 59.3歳)であり、また、年齢分布については 65歳以上が 42.8%(同 29.0%)とな

っており、ホームレスの高齢化がより一層進んでいる。

② 路上(野宿)生活の状況

(ア) 生活の場所については、生活の場所が定まっている者が 77.5%であり、このうち、「公園」

が 33.0%、「河川」が 26.3%となっている。

(イ) 路上(野宿)生活期間については、3年未満が 34.4%であるのに対し、5年以上は 55.1%

(10 年以上は 34.6%)となっている。これを年齢階層別にみると、年齢が上がるに伴い路上

(野宿)生活期間が長くなる傾向にあり、65歳以上では 10年以上の者が 43.1%となっている。

また、路上(野宿)生活の期間と今後希望する生活との関係をみると、路上(野宿)生活期間

が長くなるほど、「今のままでいい」と回答した者の割合が高くなる傾向にあり、路上(野宿)

生活期間が3年以上の者では、その割合は 44.2%となっている。

一方、今回の調査における路上(野宿)生活期間が1年未満である者の 45.9%が、5年以上

前に初めて路上(野宿)生活をしており、路上と屋根のある場所との行き来を繰り返している

層の存在が増加している。

寝場所は、3年を境に、路上(野宿)生活期間が長いほど一定の場所に決まっている割合が

高い傾向にあり、具体的な寝場所としては、公園が全般に多いが、5年以上の者では河川が多

くなる傾向にある。

(ウ) 仕事については、全体の 55.6%が仕事をしており、その内容は「廃品回収」が 70.8%を占め

ている。仕事による平均的な収入月額については、3万円以上5万円未満が 33.6%と最も多く、

次いで1万円以上3万円未満が 30.7%となっており、平均収入月額は約 3.8 万円となってい

る。これを年齢階層別にみると、65 歳以上の者であっても 53.8%が収入のある仕事をしてい

る。年齢が上がるに伴い路上(野宿)生活期間が長くなる傾向は、このように、路上等で仕事

をし、一定の収入を得ながら生活ができていること、一定の場所に決まって起居していること

で生活が一定程度安定していること等もその背景にあるものと考えられる。

③ 路上(野宿)生活までのいきさつ

路上(野宿)生活の直前の職業については、建設業関係の仕事が 48.2%、製造業関係の仕事

が 13.0%を占めており、雇用形態は、「常勤職員・従業員(正社員)」(以下「常勤職」という。)

が 40.4%と大きな割合を占め、「日雇」が 26.7%、「臨時・パート・アルバイト」が 24.1%とな

っている。また、路上(野宿)生活に至った理由としては、「仕事が減った」が 26.8%、「倒産・

失業」が 26.1%、「人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた」が 17.1%となっている。

若年層(45歳未満の者をいう。以下同じ。)についてこれらの状況をみると、路上(野宿)生

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活の直前の雇用形態は、常勤職が他の年齢層と比べて少なくなっており、35 歳未満の層では常

勤職が 20.0%となっている。最も長く就業していた業種も、サービス業が最も多く 25.9%とな

っており、建設業や製造業の常勤職又は「日雇」の多い高齢層とは異なる状況が認められる。ま

た、路上(野宿)生活に至った理由としては、「倒産や失業」が 37.0%、「人間関係がうまくい

かなくて、仕事を辞めた」が 25.9%、「家庭内のいざこざ」が 25.9%、「アパート等の家賃が払え

なくなった」が 14.8%となっており、労働環境の変化や家庭内の人間関係等の多様な問題が重

なり合っていることが特徴としてあげられる。

④ 健康状態

現在の健康状態については、「悪い」と答えた者が 27.1%であり、このうち治療等を受けてい

ない者が 60.9%となっている。具体的な自覚症状については、「歯が悪い」が 24.9%、「腰痛」

が 24.1%となっている。なお、「よく眠れない日が続いた」が 15.0%、「2 週間以上毎日のよう

に落ち込んでいた時期があった」が 4.7%となっており、うつ病等の精神疾患を有すると考えら

れる層も一定程度みられた。

⑤ 福祉制度等の利用状況

(ア) 福祉制度の利用状況については、巡回相談員に会ったことがある者は 89.8%であり、このう

ち相談をしたことがある者は 46.9%となっている。

また、ホームレス緊急一時宿泊施設を知っている者は 70.2%であり、このうち当該施設を利

用したことがある者は 20.6%、ホームレス自立支援施設を知っている者は 73.2%であり、この

うち当該施設を利用したことがある者は 15.1%となっている。

ホームレス緊急一時宿泊施設及びホームレス自立支援施設の利用者の状況については、若年

層が 42.4%、利用前の路上(野宿)生活期間では1か月未満の者が 70.9%を占めており、高齢

層における路上(野宿)生活者が長期化しているのに対して、これらの施設利用者は、若年層

や路上(野宿)生活期間が短い者が多くなっている。

また、過去に、ホームレス自立支援施設の利用経験がある者の退所理由をみると、就労退所

が 26.6%(「会社の寮、住み込み等による就労退所」が 16.3%、「アパートを確保しての就労退

所」が 10.3%)、生活保護の適用による入院、居宅の確保による退所が 8.4%を占めるが、この

うち「アパートを確保しての就労退所」している者を年齢階層別でみると、若年層が全体の

19.0%を占めている。

さらに、就労退所した後に再び路上(野宿)生活に戻った者については、「仕事の契約期間が

満了した」、「周囲とのトラブルや仕事になじめない」など、多面的な要因により路上に戻って

いる。

(イ) 民間支援団体による支援の利用経験については、「炊きだし」が最も多く 54.5%を占め、次

いで「衣類、日用品等の提供」が 31.9%となっており、その情報入手経路は、「口コミ」が最

も多く 46.5%となっている。

⑥ 今後希望する生活について

今後希望する生活としては、「今のままでいい(路上(野宿)生活)」という者が最も多く 35.3%

となっており、次いで「アパートに住み、就職して自活したい」という者が 21.7%、「アパート

で福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい」が 12.8%となっている。

年齢層が低いほど「アパートに住み、就職して自活したい」と希望する傾向にあり、年齢層が

高いほど「今のままでいい(路上(野宿)生活)」という回答が多く、65歳以上の者では 41.1%

となっている。「今のままでいい(路上(野宿)生活)」とする理由については、「今の場所にな

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じんでいる」が 32.8%、「アルミ缶、雑誌集めなどの仕事があるので暮らしていける」が 27.2%

となっている。

また、ホームレス自立支援施設やホームレス緊急一時宿泊施設の利用経験がある者は、住居と

仕事を確保し自立を希望する割合が高い傾向にあるのに対し、利用経験がない者は、現在の路上

(野宿)生活を維持することを希望する傾向が高い。

⑦ 生活歴

家族との連絡状況については、家族・親族がいる者は 73.0%を占めているものの、このうち、

平成27年10月から平成28年9月までの1年間に家族・親族との連絡が途絶えている者が78.5%

となっている。

また、公的年金の保険料を納付していたことがある者は 62.4%であり、金融機関等に借金が

ある者は 14.3%であった。

⑧ 行政や民間団体への要望及び意見

行政や民間団体への要望及び意見としては、住居関連が 33.7%と最も多く、次いで仕事関連

が 28.3%となっている。

2 ホームレス自立支援施策の現状

ホームレス自立支援施策については、公共職業安定所による職業相談や求人開拓、困窮者支援

法に基づく自立相談支援機関や一時生活支援事業を実施する事業者による就労支援や健康相談、

保健所等の関係機関と連携した医療の確保、生活保護法による保護等の一般施策を実施している。

このほか、特にホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者を対象とし

た施策として、就労の観点からは、一定期間試行的に民間企業において雇用するトライアル雇用事

業、地方公共団体や民間団体等から構成される協議会を活用して就業の機会の確保を図るホーム

レス就業支援事業、技能の習得や資格の取得等を目的とした日雇労働者等技能講習事業を実施し

ている。

また、平成 27年4月の困窮者支援法の施行に伴い、ホームレス自立支援施策のうち福祉の観点

から実施していた各事業については、基本的に困窮者支援法に基づく自立相談支援事業及び一時

生活支援事業等として実施しており、これらの雇用、保健医療、福祉及び住宅等の各分野にわたる

施策を総合的に推進しているところである。

第3 ホームレス自立支援施策の推進

1 基本的な考え方

(1) 最近のホームレスに関する傾向・動向

ホームレスになった要因としては、倒産・失業等の仕事に起因するものや、病気やけが、人間

関係、家庭内の問題等様々なものが複合的に重なり合っており、また、年齢層によってもその傾

向は異なっている。この点、平成 28年生活実態調査においては、平成 24年生活実態調査と同様

に、ホームレスの高齢化や路上(野宿)生活期間の長期化の傾向がより一層顕著となるとともに、

路上(野宿)生活を脱却した後、再び路上(野宿)生活に戻ってしまうホームレスの存在や、若

年層については、終夜営業の店舗等、屋根のある場所との行き来の中で、路上(野宿)生活の期

間が短期間になりやすいといった傾向が確認されたところである。

さらに、民間団体が、ホームレス一時生活支援事業を行う事業者やホームレス支援実施団体を

対象として実施した調査研究結果によると、39歳以下では、終夜営業の店舗等を利用しているた

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めアウトリーチが届きにくい者や、65歳以上では、居所確保後の見守りや支援等が必要な者がそ

れぞれ存在することが確認されたところであり、年代別の課題を考慮した支援も必要である。

(2) 総合的なホームレス自立支援施策の推進

このようなホームレスの実態を十分に踏まえるとともに、今日の産業構造や雇用環境等の社会

情勢の変化を捉えながら、総合的かつきめ細かなホームレス自立支援施策を講ずる必要がある。

特に、ホームレス自立支援施策は、ホームレスの就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤

立の状況等に応じ、自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本であり、この

ためには、就業の機会の確保が最も重要であるが、同時に安定した居住の場所が確保され、地域

で自立した日常生活が継続可能となる環境づくりも必要である。

その他、保健医療の確保、生活に関する相談及び指導等の総合的な自立支援施策を講ずる必要

がある。

また、ホームレスに加え、終夜営業の飲食店や知人宅など、屋根のある場所とを行き来する不

安定な居住の状況にある者については、困窮者支援法に基づく施策等により確実に支援する必要

がある。

(3) 地方公共団体におけるホームレス自立支援施策の推進

地域ごとのホームレスの数の違い等、ホームレス問題は地方公共団体ごとにその状況が大きく

異なっており、このような地域の状況を踏まえた施策の推進が必要である。具体的には、ホーム

レスが多い市町村においては、2の取組方針に掲げる施策のうち地域の実情に応じて必要なもの

を積極的かつ総合的に実施し、また、ホームレスが少ない市町村においては、2の取組方針を参

考としつつ3の取組方針を踏まえ、広域的な施策の実施や既存施策の活用等により対応する。国

は、2の取組方針に掲げる施策に積極的に取り組むとともに、地域の実情を踏まえつつ、ホーム

レスが少ない地方公共団体も積極的にホームレス自立支援施策に取り組めるよう、その事業の推

進に努める。

(4) 困窮者支援法等によるホームレス自立支援施策の更なる推進

困窮者支援法は、ホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者も含む

生活困窮者を対象に、全ての福祉事務所設置自治体が必ず実施することとされている自立相談支

援事業を中心に生活保護法、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平

成 19 年法律第 112号。以下「住宅セーフティネット法」という。)等の関連制度と連携し包括的

な支援を恒久的に提供するものである。

平成 29 年6月に法が延長された趣旨に鑑み、今後もホームレス自立支援施策に着実に取り組

む観点から、各地域のホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者の実

情を踏まえ、一時生活支援事業等にも積極的に取り組むことによって、これまで以上に効果を発

揮することが求められる。

(5) 各事業を提供する施設

① 生活困窮者・ホームレス自立支援センター

(ア) 概要

法の趣旨に基づき、自立に向けた意欲を喚起させるとともに、職業相談等を行うことにより、

就労による自立を支援することを目的とした施設である。また、困窮者支援法の下では、法に

基づくホームレスのみならず、生活困窮者も広く対象とした上で、生活困窮者の相談に応じ、

助言等を行うとともに、個々人の状態にあった計画を作成し、就労支援など必要な支援を行う

自立相談支援事業と、一定の住居を持たない生活困窮者に対し、宿泊場所などの日常生活を営

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むのに必要な便宜を供与する形で、一時生活支援事業を一体的に提供することを目的として

運営されるものである。

(イ) 名称の変更

これまで、(ア)に規定する機能を有する施設については、「ホームレス自立支援施設」とい

う名称が使用されてきたが、(ア)に規定しているとおり、その支援対象はホームレスに限定

されるものではなく、また、施設内において活用されている制度についても、法及び困窮者支

援法に基づくものなど複数にわたっていることから、施設の機能の明確化を図るため、本基本

方針をもって、その名称を「生活困窮者・ホームレス自立支援センター(以下「自立支援セン

ター」という。)」とすることとする。

② 生活困窮者一時宿泊施設

(ア) 概要

法の趣旨に基づき、緊急一時的な宿泊場所を提供する施設である。また、困窮者支援法の下

では、一定の住居を持たない生活困窮者に対し、緊急一時的な宿泊場所として、施設を設置し、

又は、旅館やアパート等の一室を借り上げて供与する形で、一時生活支援事業を提供すること

を目的として運営されるものである。

(イ) 名称の変更

これまで、(ア)に規定する機能を有する施設については、「ホームレス緊急一時宿泊施設」

という名称が使用されてきたが、(ア)に規定しているとおり、その支援対象はホームレスに

限定されるものではなく、また、施設内において活用されている制度についても、法及び困窮

者支援法に基づくものなど複数にわたっていることから、施設の機能の明確化を図るため、本

基本方針をもって、その名称を「生活困窮者一時宿泊施設(以下「シェルター」という。)」と

することとする。

2 各課題に対する取組方針

(1) ホームレスの就業の機会の確保について(法第8条第2項第1号関係)ホームレスの就業によ

る自立を図るためには、ホームレス自らの意思による自立を基本として、ホームレスの個々の就

労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況等に応じた就業ニーズや職業能力を踏まえ、

就業の機会の確保を図ることや、安定した雇用の場の確保に努めることなどが重要である。

このため、就業による自立の意思があるホームレスに対して、国及び地方公共団体は、以下の

とおり、ホームレスの自立の支援等を行っている民間団体との連携を図り、求人の確保や職業相

談の実施、職業能力開発の支援等を行うとともに、地域の実情に応じた施策を講じていくことが

必要である。

① ホームレスの雇用の促進を図るためには、ホームレスに関する問題について事業主等の理解

を深める必要があり、事業主等に対する啓発活動を行う。

② ホームレスの就業の機会を確保するためには、ホームレスの個々の就業ニーズや職業能力に

応じた求人開拓や求人情報の収集等が重要であることから、ホームレスの就職に結びつく可能

性の高い職種の求人開拓やインターネット等を活用した求人情報等の収集に努め、民間団体と

も連携を図り、それらの情報についてホームレスへの提供に努める。

③ ホームレスの就業ニーズを的確にとらえることができるように、自立支援センター等におい

て、年齢等の特性を踏まえ、キャリアカウンセリングやきめ細かな職業相談等を実施する。

また、ホームレスの就職後の職場への定着を図るため、民間団体との連携を進め、必要に応じ

て、職場定着指導等の援助を行う。

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④ ホームレスの早期就職の実現や雇用機会の創出を図るため、事業所での一定期間のトライア

ル雇用事業の実施により、ホームレスの新たな職場への円滑な適応を促進する。

⑤ ホームレスの就業の機会を確保するためには、地方公共団体や地域の民間団体等が相互に密

接な連携を図りつつ対策を講じていくことが重要であることから、これらの団体等で構成され

る協議会において、ホームレス就業支援事業として、就業支援、就業機会確保支援、職場体験講

習、就職支援セミナー等を総合的に実施する。

⑥ ホームレスの就業の可能性を高めるためには、求人側のニーズやホームレスの就業ニーズ等

に応じた職業能力の開発及び向上を図ることが重要であることから、技能の習得や資格の取得

等を目的とした技能講習や職業訓練の実施により、ホームレスの職業能力の開発及び向上を図

る。

⑦ 直ちに常用雇用による自立が困難なホームレスに対しては、国及び地方公共団体とNPO、社

会福祉法人、消費生活協同組合等の民間団体が連携しながら、段階的に就労支援を行うことが重

要である。例えば、生活困窮者就労準備支援事業(以下「就労準備支援事業」という。)を通じ

て、社会生活に必要な生活習慣を身につけるための支援を含め、一般就労のための準備としての

基礎能力の形成に向けた支援を計画的かつ一貫して行うとともに、一般就労を前に柔軟な働き

方をする必要がある者に対して、就労の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のため

に必要な訓練等を行う生活困窮者就労訓練事業(以下「就労訓練事業」という。)の利用を促す。

⑧ ホームレスの就業による自立を支援するためには、NPO等の民間団体との連携を図ること

も重要であることから、ホームレスに対する求人情報等の提供や技能講習等の実施に当たり、こ

れらの団体との連携を図る。

(2) 安定した居住の場所の確保について(法第8条第2項第1号関係)

ホームレス自立支援施策は、ホームレスの就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状

況等に応じ、自らの意思で自立して生活できるように支援することが基本であり、ホームレス自

立支援事業を通じた就労機会の確保等により、自立した日常生活を営むことが可能となったホー

ムレスに対して、安定した居住の場所を確保するための入居の支援等が必要である。

このため、国、地方公共団体及び民間団体等が連携した上で、以下のとおり、地域の実情を踏

まえつつ、公営住宅及び民間賃貸住宅を通じた施策を講ずることが重要である。

① 高齢層の単身者が多いホームレスの実態に鑑み、ホームレス自立支援事業等を通じて就労機

会を確保するとともに、日常生活を営むことが可能と認められるホームレスに対しては、地域の

住宅事情等を踏まえつつ、公営住宅の事業主体である地方公共団体において、優先入居の制度の

活用等に配慮する。また、地方公共団体において、住宅セーフティネット法に規定する居住支援

協議会の枠組みも活用しつつ、福祉部局と住宅部局との連携を強化する。

② 民間賃貸住宅に関わる団体に対し、以下の事項を要請する。

(ア) 自立した日常生活を営むことが可能と認められるホームレスが、地域における低廉な家賃の

民間賃貸住宅に関する情報を得られるよう、これらの情報のホームレスへの提供について、自

立支援センターや、その他福祉部局との連携を図ること。

(イ) ホームレスの大半が家族・親族との連絡が途絶えている実情に鑑み、民間賃貸住宅への入居

に際して必要となる保証人が確保されない場合において、民間の保証会社等に関する情報の提

供について、自立支援センターや、その他福祉部局との連携を図ること。

(ウ) 各会員に対する研修等の場において、法の趣旨等を周知すること。

③ ホームレスのうち、生活困窮者自立支援法施行規則(平成 27 年厚生労働省令第 16 号)に定

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める住居確保給付金の対象者要件に該当する者に対しては、必要に応じて一時生活支援事業に

よる支援を提供しつつ、誠実かつ熱心に就職活動を行うこと又は就労支援を受けることを条件

に、速やかに住居確保給付金の支給を行う。また、路上(野宿)生活に至ることを防止する観点

から、離職等により住居を失うおそれのある生活困窮者に対しても、同様に速やかな支給を行う

よう努める。

④ シェルター等を利用していた者や、居住に困難を抱える者であって、地域社会から孤立した状

態にある者が日常生活を営むためには、一定期間、訪問による見守りや生活支援等が必要である

ことから、困窮者支援法第3条第6項第2号に基づく事業(地域居住支援事業)や、住宅セーフ

ティネット法に定める居住支援法人による入居相談・援助や生活支援等による住居の確保と地

域生活の継続に必要な支援を実施する。

(3) 保健及び医療の確保について(法第8条第2項第1号関係)

ホームレスに対する保健医療の確保については、個々のホームレスのニーズに応じた健康相談、

保健指導等による健康対策や結核検診等の医療対策を推進していくとともに、ホームレスの衛生

状況を改善していく必要がある。このため、都道府県と市町村が連携し、ホームレスの健康状態

の把握や清潔な衛生状態の保持に努めるとともに、疾病の予防、検査、治療等が包括的にできる

保健医療及び福祉の連携・協力体制を強化することが重要である。

また、ホームレスの高齢化や路上(野宿)生活期間の長期化に伴い、一定程度存在する健康状

態の悪い者が、必要な医療サービスを受けることができるよう、路上やシェルター等において、

保健師、看護師、精神保健福祉士等の保健医療職による医療的視点に基づいたきめ細かな相談や

支援を実施する。

さらに、ホームレスについては、野宿という過酷な生活により結核を発症する者も少なくない。

結核のり患率の高い地域等、特に対策を必要とする地域において保健所医療機関福祉事務所、自

立相談支援事業を実施する機関(以下「自立相談支援機関」という。)や、一時生活支援事業を実

施する事業者等が密接な連携を図り、以下のような効果的な対策を行うことが必要である。

① 自立相談支援機関は、ホームレスの健康対策の推進を図るため、窓口や巡回による相談を通じ

て、保健所等と連携を図りながら医療機関への受診につなげる。

② 一時生活支援事業を実施する事業者は、健康相談等を行うとともに、必要に応じ、保健所等の

関係機関と連携し、ホームレスに対し、健康相談等の医療的な支援を行う。

③ 保健所等は、結核にり患しているホームレスに対し、服薬や医療の中断等の不完全な治療によ

る結核再発や薬剤耐性化を防ぐため、訪問による服薬対面指導等を実施する。

④ ホームレスに対する医療の確保を図るため、医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 19 条第1

項及び歯科医師法(昭和 23 年法律第 202 号)第 19 条第1項に規定する医師及び歯科医師の診

療に応ずる義務について改めて周知に努め、また、無料低額診療事業(社会福祉法(昭和 26年

法律第 45号)第2条第3項第9号の無料低額診療事業をいう。以下同じ)。 を行う施設の積極

的な活用を図るとともに、病気等により急迫した状態にある者及び要保護者が医療機関に緊急

搬送された場合については、生活保護の適用を行う。

(4) 生活に関する相談及び指導に関する事項について(法第8条第2項第2号関係)

ホームレスに対する生活相談や生活指導を効果的に進めるためには、個々のホームレスのニー

ズに応じた対応が必要であり、このようなニーズに的確に応えられるよう、以下のような関係機

関の相互連携を強化した総合的な相談体制の確立が必要である。

① 福祉事務所及び自立相談支援機関を中心として、各種相談支援機関、救護施設(生活保護法第

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38 条第2項の救護施設をいう。)等の社会福祉施設が相互に連携して総合的な相談及び指導体制

を確立する。その際、それぞれの相談機能に応じて必要な人材を確保するとともに、研修等によ

り職員の資質向上を図る。

② ホームレスは、路上(野宿)生活により健康状態が悪化しているケースが多く、身体面はもち

ろん、精神面においても対応が必要な場合がある。このため、健康相談として身体面のケアだけ

でなく、特にホームレスに対する心のケアについても精神保健福祉センターや保健所等と連携

して行う。また、巡回相談の実施に当たっては、必要に応じて精神科医や保健師等の専門職の活

用を検討する。

③ 各地方公共団体は、NPO、ボランティア団体等の民間団体をはじめ、民生委員、社会福祉協

議会、社会福祉士会及び地域住民との連携による積極的な相談事業を実施し、具体的な相談内容

や当該ホームレスの状況に応じて福祉事務所、自立相談支援機関及び公共職業安定所等の関係

機関への相談につなげる。

また、洪水等の災害時においては、特にホームレスに被害が及ぶおそれがあることから、平時

から、公共の用に供する施設を管理する者との連携を図る。

④ 自立相談支援機関等の相談を受けた機関は、生活相談だけでなく、相談結果に応じてシェルタ

ーの利用案内、自立支援センターへの入所指導、その他福祉及び保健医療施策の活用に関する助

言、多重債務問題等の専門的な知識が必要な事例に関して相談対応等を実施する日本司法支援

センター(総合法律支援法(平成 16 年法律第 74 号)第 13 条の日本司法支援センターをいう。

以下「法テラス」という、困窮者支援法第3条第5項に。) 規定する生活困窮者家計改善支援事

業(以下「家計改善支援事業」という。)を実施する機関等の紹介や具体的な指導を行うととも

に、関係機関に対し連絡を行う。

(5) ホームレス自立支援事業及びホームレスの個々の事情に対応した自立を総合的に支援する事

業について(法第8条第2項第2号関係)

① ホームレス自立支援事業について

ホームレス自立支援事業は、困窮者支援法における自立相談支援事業、一時生活支援事業等を

一体的に実施しており、ホームレスに対し、宿所及び食事の提供、健康診断、生活に関する相談

及び指導等を行い、自立に向けた意欲を喚起させるとともに、職業相談等を行うことにより、ホ

ームレスの就労による自立を支援することを目的として、以下のような効果的な支援を実施す

る必要がある。

なお、平成 28年生活実態調査において、ホームレス自立支援施設の退所理由をみると、就職

による退所が 35.7%、生活保護の適用を含む福祉措置による退所が 24.4%となっていることか

ら、ホームレス自立支援事業は、ホームレスの就労による自立を支援する事業として一定の効果

を上げていると考えられる。

(ア) 自立支援センターの入所者に対し、宿所及び食事の提供など、日常生活に必要なサービスを

提供するとともに、定期的な健康診断を行う等必要な保健医療の確保を行う。

(イ) 個々のホームレスの状況に応じた自立支援計画の策定等を行い、また、公共職業安定所との

密接な連携の下で職業相談を行う等、積極的な就労支援を行う。

(ウ) 必要に応じて、社会生活に必要な生活習慣を身につけ、一般就労に向けた準備を整えること

ができるよう、就労準備支援事業を行う。このほか、住民登録、職業あっせん、求人開拓等の

就労支援、住居に係る保証人の確保、住宅情報の提供その他自立阻害要因を取り除くための指

導援助を行う。

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(エ) 自立支援センターの退所者、特にアパート確保による就労退所者に対しては、再度路上生活

になることを防ぐため、個々の状況に応じた多面的なアフターケアに十分配慮するとともに、

就労による退所後においても、必要に応じて自立支援センターで実施している研修等を利用で

きるよう配慮する。

また、利用期間中に就労できなかった者に対する必要な支援の実施にも努めるとともに、シ

ェルター等を利用していた者や、居住に困難を抱える者であって、地域社会から孤立した状態

にある者が日常生活を営むためには、一定期間、訪問による見守り、生活支援等が必要である

ことから、困窮者支援法第3条第6項第2号に基づく事業(地域居住支援事業)や、住宅セー

フティネット法に定める居住支援法人による入居相談・援助、生活支援等による住居の確保と

地域生活の継続に必要な支援を実施する。

(オ) ホームレス自立支援事業の実施主体については、市町村に限ることなく、都道府県も対象と

していることから、広域的な事業の展開を図る。また、事業運営については、社会福祉法人へ

の委託を行うなど、民間団体の活用を図る。

(カ) 国は、ホームレスの自立支援としての効果や利用者への処遇の確保に十分配慮しつつ、地方

公共団体が取り組みやすいような事業の推進に努める。

(キ) 自立支援センター等の設置に当たっては、地域住民の理解を得ることが必要であり、地域住

民との調整に十分配慮するとともに、既存の公共施設や民間賃貸住宅等の社会資源を有効に活

用することを検討する。

② 個々の事情に対応した自立を総合的に支援する事業について

ホームレスになった要因としては、倒産・失業等の仕事に起因するものや、病気やけが、人間

関係、家庭内の問題等様々なものが複合的に重なり合っており、また、社会生活への不適応、借

金による生活破たん、アルコール依存症等の個人的要因も付加されて複雑な問題を抱えている

ケースも多い。このため、ホームレスの個人的要因を十分に把握しながら、ホームレスやホーム

レスとなることを余儀なくされるおそれのある者の状況や年齢に応じ、以下のような効果的な

支援を実施する必要がある。

(ア) 就労する意欲はあるが仕事が無く失業状態にある者については、まずは、就業の機会の確保

が必要であり、職業相談、求人開拓等の既存施策を進めるなど、各種の就業対策を実施する。

また、直ちに常用雇用による自立が困難なホームレスやホームレスとなることを余儀なくさ

れるおそれのある者に対しては、地方公共団体においてNPO等と連携しながら、就労準備支

援事業や就労訓練事業の利用機会の提供や、多種多様な職種の開拓等に関する情報収集及び情

報提供等を行う。

さらに、自立支援センターの入所者に対しては、職業相談等により、就労による自立を図り

ながら、それ以外の者に対しては、自立相談支援機関による相談支援により、雇用関連施策と

福祉関連施策の有機的な連携を図りながら、きめ細かな自立支援を実施する。

(イ) 医療や福祉等の援助が必要な者については、福祉事務所における各種相談事業等を積極的に

行うとともに、無料低額診療事業を行う施設の積極的な活用等の対応の強化を図る。このうち、

疾病や高齢により自立能力に乏しい者に対しては、医療機関や社会福祉施設への入所等の施策

を活用することによる対応を図る。

(ウ) 路上(野宿)生活期間が長期間に及んでいる者に対しては、粘り強い相談活動を通じ、信頼

関係の構築を図り必要な支援が利用できるよう努める。

なお、一度ホームレスになり、その期間が長期化した場合、脱却が難しくなるという実態が

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あることを考慮して、できる限り路上(野宿)生活の初期の段階で、巡回相談により自立支援

につながるように努めることが必要であり、ホームレスの高齢化や路上(野宿)生活期間の長

期化に伴い、一定程度存在する健康状態の悪い者が、必要な医療サービスを受けることができ

るよう、路上やシェルター等において、保健師、看護師、精神保健福祉士等の保健医療職によ

る医療的視点に基づいたきめ細かな相談や支援を積極的に実施する。

(エ) 若年層のホームレスに対する支援については、近年の雇用環境の変化を受けて、直ちに一般

就労が難しい者に対しては、就労訓練事業の利用を促すとともに、NPO等と連携しながら、

就労訓練事業の場の推進・充実を図る。

(オ) 女性のホームレスに対しては、性別に配慮したきめ細かな自立支援を行うとともに、必要に

応じて、婦人相談所や婦人保護施設等の関係施設とも十分連携する。このほか、ホームレスの

特性により、社会的な偏見や差別を受け弱い立場に置かれやすい者に対しては、配慮を行うも

のとする。

(カ) 債務や滞納等を抱えているホームレスについては、家計の視点から専門的な情報提供や助言、

債務整理等に関する支援(法テラスへの同行支援等)等を行う。

(キ) 上記以外にも、ホームレスは様々な個人的要因が複合的に絡み合った問題を抱えているため、

個々のケースごとに関係機関との密接な連携の下、柔軟に対応する。

(6) ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行

われるこれらの者に対する生活上の支援について(法第8条第2項第3号関係)

ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者としては、一般的には、現に失業状態

にある者や日雇労働等の不安定な就労関係にある者であって、定まった住居を失い、簡易宿泊所

や終夜営業店舗に寝泊まりする等の不安定な居住環境にある者が想定される。

これらの者に対しては、ホームレスに対する支援と同様に生活歴・人物像を把握し、性格・特

性の理解に努め、それに応じた丁寧な相談の上、就業の機会の確保や雇用の安定化を図ることが

必要であり、また、一時生活支援事業による当面の一時的な居住の場所の確保や安定した住居の

確保のための相談支援など、路上(野宿)生活にならないような施策を実施することが必要であ

る。

① ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域において、それ

らの者がホームレスとならないよう、国及び地方公共団体は相互の連携を図り、年齢等の特性を

踏まえ、キャリアカウンセリングやきめ細かな職業相談等の充実強化によって、就業機会の確保

や雇用の安定化を図る。

② ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者の就業の可能性を高めるため、技能

講習により、技術革新に対応した新たな技能や複合的な技能を付与する。

また、再就職の実現や雇用機会の創出を図るため、事業所での一定期間のトライアル雇用事業

を実施するほか、就業機会の確保を図るため、ホームレス就業支援事業を実施する。

③ 雇用機会の減少に伴う収入の減少により、簡易宿泊所等での生活が困難な者が路上(野宿)生

活になることもあるため、一時生活支援事業等による当面の一時的な居住の場所の確保を図る。

④ ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者に対しても、自立相談支援機関等と

関係団体が連携しながら、丁寧な巡回相談支援等を実施するとともに、ホームレス就業支援事業

等による相談支援を実施することにより、具体的な相談内容に応じて福祉事務所や公共職業安

定所等の関係機関への相談につなげ、路上(野宿)生活に至ることのないように配慮する。

⑤ ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者に対して、路上(野宿)生活に至るこ

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とのないように、一定期間、個別訪問による見守りや、継続的かつ安定的な居住の確保等の生活

支援を行う地域居住支援事業を実施する。

(7) ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関す

る事項について(法第8条第2項第4号関係)

① ホームレスに対し緊急に行うべき援助について

ホームレスの中には、長期の路上(野宿)生活により、栄養状態や健康状態が悪化している場

合があり、このような者に対しては医療機関への入院等の対応を緊急に講ずることが必要とな

ってくる。

(ア) 病気等により急迫した状態にある者及び要保護者が医療機関に緊急搬送された場合につい

て、生活保護による適切な保護に努める。

福祉事務所は、治療後再び路上(野宿)生活に戻ることのないよう、関係機関と連携して、

自立を総合的に支援する。

(イ) 居所が緊急に必要なホームレスに対しては、一時生活支援事業による支援を行うとともに、

無料低額宿泊事業(社会福祉法第2条第3項第8号の無料低額宿泊事業をいう。以下同じ。)

を行う施設を活用して適切な支援を行う。

(ウ) 福祉事務所、自立相談支援機関及び各種機関における各種相談事業を通じて、緊急的な援助

を必要としているホームレスの早期発見に努めるとともに、発見した場合には、関係機関等に

速やかに連絡する等、早急かつ適切な対応を講ずる。

② 生活保護法による保護の実施に関する事項について

ホームレスに対する生活保護の適用については、一般の者と同様であり、単にホームレスであ

ることをもって当然に保護の対象となるものではなく、また、居住の場所がないことや稼働能力

があることのみをもって保護の要件に欠けるということはない。このような点を踏まえ、資産、

稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者につ

いて、最低限度の生活を保障するとともに、自立に向けて必要な保護を実施する。

この際、福祉事務所においては、以下の点に留意し、ホームレスの状況に応じた保護を実施す

る。

(ア) ホームレスの抱える問題(精神的・身体的状況、日常生活管理能力、金銭管理能力、稼働能

力等)を十分に把握した上で、自立に向けての指導援助の必要性を考慮し、適切な保護を実施

する。

(イ) ホームレスの状況(日常生活管理能力、金銭管理能力等)からみて、直ちに居宅生活を送る

ことが困難な者については、保護施設や無料低額宿泊事業を行う施設等において保護を行う。

この場合、関係機関と連携を図り、居宅生活へ円滑に移行するための支援体制を十分に確保し、

就業の機会の確保、療養指導、家計管理等の必要な支援を行う。

(ウ) 居宅生活を送ることが可能であると認められる者については、当該者の状況に応じ必要な保

護を行う。この場合、関係機関と連携して、再びホームレスとなることを防止し居宅生活を継

続するための支援や、居宅における自立した日常生活の実現に向けた就業の機会の確保等の必

要な支援を行う。

(8) ホームレスの人権の擁護に関する事項について(法第8条第2項第4号関係)

基本的人権の尊重は、日本国憲法の柱であり、民主主義国家の基本でもある。ホームレスの人

権の擁護については、ホームレス及び近隣住民の双方の人権に配慮しつつ、以下の取組により推

進することが必要である。

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① ホームレスに対する偏見や差別的意識を解消し、人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発

広報活動を実施する。

② 人権相談等を通じて、ホームレスに関し、通行人からの暴力、近隣住民からの嫌がらせ等の事

案を認知した場合には、関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図る。

③ 一時生活支援事業等の実施により、ホームレスが利用する施設において、利用者の人権の尊重

と尊厳の確保に十分配慮するよう努める。

(9) 地域における生活環境の改善に関する事項について(法第8条第2項第4号関係)

都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の場所

とすることによりその適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの人権にも配慮しながら、

当該施設の適正な利用を確保するため、福祉部局等と連絡調整し、ホームレスの自立の支援等に

関する施策との連携を図りつつ、以下の措置を講ずることにより、地域における生活環境の改善

を図ることが重要である。

① 当該施設内の巡視、物件の撤去指導等を適宜行う。

② ①のほか、必要と認める場合には、法令の規定に基づき、監督処分等の措置をとる。

また、洪水等の災害時においては、特にホームレスに被害が及ぶおそれがあることから、福祉

部局等と連絡調整し、配慮して対応する。

(10) 地域における安全の確保等に関する事項について(法第8条第2項第4号関係)

地域における安全の確保及びホームレスの被害防止を図るためには、警察が国、地方公共団体

等の関係機関との緊密な連携の下に、ホームレスの人権に配慮し、かつ、地域社会の理解と協力

を得つつ、以下のとおり地域安全活動、指導・取締り等を実施していくことが重要である。

① パトロール活動の強化により、地域住民等の不安感の除去とホームレス自身に対する襲撃等

の事件・事故の防止活動を推進する。

② 地域住民等に不安や危害を与える事案、ホームレス同士による暴行事件等については、速やか

に指導・取締り等の措置を講ずるとともに警戒活動を強化して再発防止に努める。

③ 緊急に保護を必要と認められる者については、警察官職務執行法(昭和 23 年法律第 136 号)

等に基づき、一時的に保護し、その都度、関係機関に引き継ぐなど、適切な保護活動を推進する。

(11) ホームレスの自立の支援を行う民間団体との連携に関する事項について(法第8条第2項第

5号関係)

ホームレスの自立を支援する上では、ホームレスの生活実態を把握しており、ホームレスに最

も身近な地域のNPO、ボランティア団体、民生委員、社会福祉協議会、社会福祉士会等との以

下のような連携が不可欠である。特にNPO及びボランティア団体は、ホームレスに対する生活

支援活動等を通じ、ホームレスとの面識もあり、個々の事情に対応したきめ細かな支援活動にお

いて重要な役割を果たすことが期待される。

① 地方公共団体は、ホームレスと身近に接することの多い、NPO、ボランティア団体、民生委

員、社会福祉協議会、社会福祉士会等との定期的な情報交換や意見交換を行う。

また、行政、民間団体、地域住民等で構成する協議会を設け、ホームレスに関する各種の問題

点について議論し、具体的な対策を講じる。

② 地方公共団体は、民間団体等に対して実施計画や施策についての情報提供を行うほか、団体間

の調整、団体からの要望に対して行政担当者や専門家による協議を行うなど、各種の支援を行

う。

③ また、ホームレスに対し、地方公共団体が行う施策について、これらの民間団体に運営委託を

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行うなど、その能力の積極的な活用を図る。

(12) その他、ホームレスの自立の支援等に関する基本的な事項について(法第8条第2項第6号

関係)

① 近年、単身世帯の増加や家族形態の変化を含めた社会変容に伴い、失業や病気など、生活に何

らかの影響を与える出来事をきっかけに困窮状態に至る危険性をはらんでいる状態にある者の

存在が指摘されている。

ホームレス問題についても、失業等に直面した場合に、こうした社会変容に伴う社会的孤立や

自尊感情の低下、健康意識の希薄さ等の要因から路上(野宿)生活に至る点は、共通する課題と

してとらえる必要がある。

このようなホームレス問題の解決を図るためには、ホームレスの自立を直接支援する施策を

実施するとともに、路上(野宿)生活を脱却したホームレスが再度路上(野宿)生活に至ること

を防止し、新たなホームレスを生まない地域社会づくりを実現するため、地域包括ケアシステム

の強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(平成 19 年法律第 52 号)による改正後の

社会福祉法の中で規定された地域共生社会の実現に向けた取組を進めることが重要である。

② 若年層の中には、不安定な就労を繰り返し、路上(野宿)生活に至る者も少なからずいる。こ

れらの者は、勤労の意義を十分に理解していないこと、キャリア形成に対する意識が低いことな

ど、様々な要因により、そのような状況に至っていると考えられる。学校教育の段階では、多様

なキャリア形成に共通して必要な能力や態度の育成を通じ、とりわけ勤労観や職業観を自ら形

成・確立できるよう、各学校段階を通じた体系的なキャリア教育を推進する。

3 ホームレス数が少ない地方公共団体の各課題に対する取組方針

ホームレス数が少ない地方公共団体においても、ホームレスとなることを余儀なくされるおそ

れのある者への支援のニーズは存在するため、ホームレスに対するきめ細かな施策を実施するこ

とにより、ホームレスの増加を防止することが重要である。具体的には、地域に根ざしたきめ細か

な施策を必要とするホームレス施策は、本来、市町村が中心となって実施すべきであるが、市町村

単位でホームレスがほとんどいない場合には、広域市町村圏や都道府県が中心となって、施策を展

開することも必要であり、特に、施設の活用については、広域的な視野に立った活用や、既存の公

共施設や民間賃貸住宅等の社会資源の活用を検討することが必要である。

4 総合的かつ効果的な推進体制等

(1) 国の役割と連携

国は、ホームレスの自立支援施策に関する制度や施策の企画立案を行う。また、効果的な施策

の展開のための調査研究、ホームレス問題やそれに対する各種の施策についての地域住民に対す

る普及啓発、関係者に対する研修等を行う。

さらに、地方公共団体や関係団体におけるホームレスの自立支援に関する取組を支援するため、

各種の情報提供を積極的に行うとともに、財政上の措置その他必要な措置を講ずるよう努める。

(2) 地方公共団体の役割と連携

都道府県は、本基本方針に即して、市町村におけるホームレス自立支援施策が効果的かつ効率

的に実施されるための課題について検討した上で、必要に応じてホームレス自立支援施策に関す

る実施計画を策定し、それに基づき、地域の実情に応じて計画的に施策を実施する。

その際、広域的な観点から、市町村が実施する各種施策が円滑に進むよう、市町村間の調整へ

の支援、市町村における実施計画の策定や各種施策の取組に資する情報提供を行う等の支援を行

うとともに、必要に応じて、自らが中心となって施策を実施する。

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市町村は、本基本方針や都道府県の策定した実施計画に即して、必要に応じてホームレスの自

立支援施策に関する実施計画を策定し、それに基づき、地域の実情に応じて計画的に施策を実施

する。

その際、ホームレスに対する各種相談や自立支援事業等の福祉施策を自ら実施するだけでなく、

就労施策や住宅施策等も含めた、ホームレスの状況に応じた個別的かつ総合的な施策を実施する

とともに、このような施策の取組状況等について積極的に情報提供を行う。

なお、実施計画を策定しない又は策定過程にある地方公共団体においても、積極的にホームレ

スの自立支援に向けた施策を実施する。

また、地方公共団体において、ホームレスの自立支援に関する事業を実施する際には、関係団

体と十分連携しつつ、その能力の積極的な活用を図る。

(3) 関係団体の役割と連携

ホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者の生活実態を把握し、ホ

ームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者にとって最も身近な存在で

あるNPO、ボランティア団体、社会福祉協議会、社会福祉法人等の民間団体は、ホームレスや

ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者に対する支援活動において重要な役割

を担うとともに、地方公共団体が行うホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそ

れのある者に対する施策に関し、事業の全部又は一部の委託を受けるなど、行政の施策において

も重要な役割を担っている。

その際、関係団体は、自らが有する既存の施設や知識、人材等を積極的に活用して事業を行う

よう努めるとともに、地方公共団体が自ら実施する事業についても積極的に協力を行うよう努め

るものとする。

5 基本方針のフォローアップ及び見直し

本基本方針については、以下のとおり見直しをすることとする。

(1) 本基本方針の適用期間はこの、 告示の公布の日から起算して5年間とする(ただし、当該期間

中に法が失効した場合には、法の失効する日までとする。このほか、特別の事情がある場合には、

この限りではない。)。

(2) 基本方針の見直しに当たっては、適用期間の満了前に基本方針に定めた施策についての政策評

価等を行うとともに公表することとする。

なお、この政策評価等を行う場合には、ホームレスの数、路上(野宿)生活の期間、仕事や収

入の状況、健康状態、福祉制度の利用状況等について、再度実態調査を行い、この調査結果に基

づき行うとともに、地方公共団体や民間団体が実施した調査等の結果も参考とするものとする。

ただし、特別の事情がある場合には、この限りではない。

(3) 基本方針の見直しに当たっては、必要に応じて地方公共団体の意見を聴取するとともに、行政

手続法(平成5年法律第 88号)による意見聴取手続(パブリックコメント)を通じて、有識者や

民間団体を含め、広く国民の意見を聴取するものとする。

第4 都道府県等が策定する実施計画の作成指針

法第9条第1項又は第2項の規定に基づき、地方公共団体が実施計画を策定する場合には、福祉

や雇用、住宅、保健医療等の関係部局が連携し、次に掲げる指針を踏まえ策定するものとする。ま

た、実施計画を策定した都道府県の区域内の市町村が実施計画を策定する場合には、この指針のほ

かに、都道府県の実施計画も踏まえ策定するものとする。

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1 手続についての指針

(1) 実施計画の期間

実施計画の計画期間は、都道府県が策定し、公表した日から起算して5年間とする(ただし、

当該期間中に法が失効した場合には法の失効する日までとする。このほか、特別の事情がある場

合には、この限りではない。)。

(2) 実施計画策定前の手続

① 現状や問題点の把握

実施計画の策定に当たっては、ホームレスの実態に関する全国調査における当該地域のデー

タ等によりホームレスの数や生活実態の把握を行うとともに、関係機関や関係団体と連携しな

がら、ホームレスの自立支援に関する施策の実施状況について把握し、これに基づきホームレス

に関する問題点を把握する。

② 基本目標

①の現状や問題点の把握に基づいて、実施計画の基本的な目標を明確にする。

③ 関係者等からの意見聴取

実施計画の策定に当たっては、当該地域のホームレスの自立の支援等を行う民間団体など、ホ

ームレス自立支援施策関係者からの意見を幅広く聴取するとともに、当該地域の住民の意見も

聴取する。

(3) 実施計画の評価と次期計画の策定

① 評価

実施計画の計画期間の満了前に、当該地域のホームレスの状況等を客観的に把握するととも

に、関係者の意見を聴取すること等により、実施計画に定めた施策の評価を行う。

② 施策評価結果の公表

①の評価により得られた結果は公表する。

③ 次の実施計画の策定

①の評価により得られた結果は、次の実施計画を策定するに当たって参考にする。

2 実施計画に盛り込むべき施策についての指針

実施計画には、第 3 の 2 及び 3 に掲げたホームレス自立支援施策の推進に関する各課題に対す

る取組方針を参考にしつつ、当該取組方針のうち地方公共団体において実施する必要がある施策

や、地方公共団体が独自で実施する施策を記載する。

3 その他

実施計画の策定や実施計画に定めた施策の評価等に当たっては、1(2)③及び 1(3)①により、関

係者の意見の聴取を行うほか、公共職業安定所、公共職業能力開発施設、都道府県警察等の関係機

関とも十分に連携する。

また、都道府県においては、この実施計画の作成指針のほか、区域内の市町村が実施計画を策定

するに当たって留意すべき点がある場合には、その内容について、都道府県が策定する実施計画に

記載する。

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参考資料3

〇生活困窮者自立支援法

平成二十五年法律第百五号

目次

第一章 総則(第一条―第四条)

第二章 都道府県等による支援の実施(第五条―第十五条)

第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定(第十六条)

第四章 雑則(第十七条―第二十六条)

第五章 罰則(第二十七条―第三十条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他

の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図る

ことを目的とする。

(基本理念)

第二条 生活困窮者に対する自立の支援は、生活困窮者の尊厳の保持を図りつつ、生活困窮者の就労

の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況その他の状況に応じて、包括的かつ早期に行われな

ければならない。

2 生活困窮者に対する自立の支援は、地域における福祉、就労、教育、住宅その他の生活困窮者に

対する支援に関する業務を行う関係機関(以下単に「関係機関」という。)及び民間団体との緊密な連

携その他必要な支援体制の整備に配慮して行われなければならない。

(定義)

第三条 この法律において「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その

他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある

者をいう。

2 この法律において「生活困窮者自立相談支援事業」とは、次に掲げる事業をいう。

一 就労の支援その他の自立に関する問題につき、生活困窮者及び生活困窮者の家族その他の関係者

からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言をし、並びに関係機関との連絡調整を行う事業

二 生活困窮者に対し、認定生活困窮者就労訓練事業(第十六条第三項に規定する認定生活困窮者就

労訓練事業をいう。)の利用についてのあっせんを行う事業

三 生活困窮者に対し、生活困窮者に対する支援の種類及び内容その他の厚生労働省令で定める事項

を記載した計画の作成その他の生活困窮者の自立の促進を図るための支援が包括的かつ計画的に

行われるための援助として厚生労働省令で定めるものを行う事業

3 この法律において「生活困窮者住居確保給付金」とは、生活困窮者のうち離職又はこれに準ずる

ものとして厚生労働省令で定める事由により経済的に困窮し、居住する住宅の所有権若しくは使用及

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び収益を目的とする権利を失い、又は現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となった

ものであって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給

付金をいう。

4 この法律において「生活困窮者就労準備支援事業」とは、雇用による就業が著しく困難な生活困

窮者(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事

情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、就労

に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業をいう。

5 この法律において「生活困窮者家計改善支援事業」とは、生活困窮者に対し、収入、支出その他

家計の状況を適切に把握すること及び家計の改善の意欲を高めることを支援するとともに、生活に必

要な資金の貸付けのあっせんを行う事業をいう。

6 この法律において「生活困窮者一時生活支援事業」とは、一定の住居を持たない生活困窮者(当

該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事情を勘

案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、宿泊場所の

供与、食事の提供その他当該宿泊場所において日常生活を営むのに必要な便宜として厚生労働省令で

定める便宜を供与する事業をいう。

(市及び福祉事務所を設置する町村等の責務)

第四条 市(特別区を含む。)及び福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定す

る福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を設置する町村(以下「市等」という。)は、この法律の

実施に関し、関係機関との緊密な連携を図りつつ、適切に生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮

者住居確保給付金の支給を行う責務を有する。

2 都道府県は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。

一 市等が行う生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給、生活困窮者就労

準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業並びに生活困窮者一時生活支援事業、生活困窮者で

ある子どもに対し学習の援助を行う事業及びその他の生活困窮者の自立の促進を図るために必要

な事業が適正かつ円滑に行われるよう、市等に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行う

こと。

二 関係機関との緊密な連携を図りつつ、適切に生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確

保給付金の支給を行うこと。

3 国は、都道府県及び市等(以下「都道府県等」という。)が行う生活困窮者自立相談支援事業及び

生活困窮者住居確保給付金の支給、生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業並

びに生活困窮者一時生活支援事業、生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業及びその他

の生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業が適正かつ円滑に行われるよう、都道府県等に対

する必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならない。

4 国及び都道府県等は、この法律の実施に関し、生活困窮者が生活困窮者に対する自立の支援を早

期に受けることができるよう、広報その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。

5 都道府県等は、この法律の実施に関し、生活困窮者に対する自立の支援を適切に行うために必要

な人員を配置するように努めるものとする。

第二章 都道府県等による支援の実施

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(生活困窮者自立相談支援事業)

第五条 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業を行うものとする。

2 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業の事務の全部又は一部を当該都道府県等以外の厚生

労働省令で定める者に委託することができる。

3 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、

その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(生活困窮者住居確保給付金の支給)

第六条 都道府県等は、その設置する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する生活困窮者のうち第

三条第三項に規定するもの(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び

収入の状況その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、生活困窮者住居確

保給付金を支給するものとする。

2 前項に規定するもののほか、生活困窮者住居確保給付金の額及び支給期間その他生活困窮者住居

確保給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(生活困窮者就労準備支援事業等)

第七条 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給のほか、

生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業を行うように努めるものとする。

2 都道府県等は、前項に規定するもののほか、次に掲げる事業を行うことができる。

一 生活困窮者一時生活支援事業

二 生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業

三 その他の生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業

3 第五条第二項及び第三項の規定は、前二項の規定により都道府県等が行う事業について準用する。

4 都道府県等は、第一項に規定する事業及び給付金の支給並びに第二項各号に掲げる事業を行うに

当たっては、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第三十一条の五第一

項第二号に掲げる業務及び同法第三十一条の十一第一項第二号に掲げる業務並びに社会教育法(昭和

二十四年法律第二百七号)第五条第一項第十三号(同法第六条第一項において引用する場合を含む。)

に規定する学習の機会を提供する事業その他関連する施策との連携を図るように努めるものとする。

5 厚生労働大臣は、生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業の適切な実施を

図るために必要な指針を公表するものとする。

(利用勧奨等)

第八条 都道府県等は、福祉、就労、教育、税務、住宅その他のその所掌事務に関する業務の遂行に

当たって、生活困窮者を把握したときは、当該生活困窮者に対し、この法律に基づく事業の利用及び

給付金の受給の勧奨その他適切な措置を講ずるように努めるものとする。

(支援会議)

第九条 都道府県等は、関係機関、第五条第二項(第七条第三項において準用する場合を含む。)の規

定による委託を受けた者、生活困窮者に対する支援に関係する団体、当該支援に関係する職務に従事

する者その他の関係者(第三項及び第四項において「関係機関等」という。)により構成される会議

(以下この条において「支援会議」という。)を組織することができる。

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2 支援会議は、生活困窮者に対する自立の支援を図るために必要な情報の交換を行うとともに、生

活困窮者が地域において日常生活及び社会生活を営むのに必要な支援体制に関する検討を行うもの

とする。

3 支援会議は、前項の規定による情報の交換及び検討を行うために必要があると認めるときは、関

係機関等に対し、生活困窮者に関する資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めるこ

とができる。

4 関係機関等は、前項の規定による求めがあった場合には、これに協力するように努めるものとす

る。

5 支援会議の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、支援会議の事務に関し

て知り得た秘密を漏らしてはならない。

6 前各項に定めるもののほか、支援会議の組織及び運営に関し必要な事項は、支援会議が定める。

(都道府県の市等の職員に対する研修等事業)

第十条 都道府県は、次に掲げる事業を行うように努めるものとする。

一 この法律の実施に関する事務に従事する市等の職員の資質を向上させるための研修の事業

二 この法律に基づく事業又は給付金の支給を効果的かつ効率的に行うための体制の整備、支援手法

に関する市等に対する情報提供、助言その他の事業

2 第五条第二項の規定は、都道府県が前項の規定により事業を行う場合について準用する。

(福祉事務所を設置していない町村による相談等)

第十一条 福祉事務所を設置していない町村(次項、第十四条及び第十五条第三項において「福祉事

務所未設置町村」という。)は、生活困窮者に対する自立の支援につき、生活困窮者及び生活困窮者の

家族その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言、都道府県との連絡調整、生活困

窮者自立相談支援事業の利用の勧奨その他必要な援助を行う事業を行うことができる。

2 第五条第二項及び第三項の規定は、福祉事務所未設置町村が前項の規定により事業を行う場合に

ついて準用する。

(市等の支弁)

第十二条 次に掲げる費用は、市等の支弁とする。

一 第五条第一項の規定により市等が行う生活困窮者自立相談支援事業の実施に要する費用

二 第六条第一項の規定により市等が行う生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用

三 第七条第一項及び第二項の規定により市等が行う生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者

一時生活支援事業の実施に要する費用

四 第七条第一項及び第二項の規定により市等が行う生活困窮者家計改善支援事業並びに同項第二

号及び第三号に掲げる事業の実施に要する費用

(都道府県の支弁)

第十三条 次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。

一 第五条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者自立相談支援事業の実施に要する費用

二 第六条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用

三 第七条第一項及び第二項の規定により都道府県が行う生活困窮者就労準備支援事業及び生活困

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窮者一時生活支援事業の実施に要する費用

四 第七条第一項及び第二項の規定により都道府県が行う生活困窮者家計改善支援事業並びに同項

第二号及び第三号に掲げる事業の実施に要する費用

五 第十条第一項の規定により都道府県が行う事業の実施に要する費用

(福祉事務所未設置町村の支弁)

第十四条 第十一条第一項の規定により福祉事務所未設置町村が行う事業の実施に要する費用は、福

祉事務所未設置町村の支弁とする。

(国の負担及び補助)

第十五条 国は、政令で定めるところにより、次に掲げるものの四分の三を負担する。

一 第十二条の規定により市等が支弁する同条第一号に掲げる費用のうち当該市等における人口、被

保護者(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保護者をいう。

第三号において同じ。)の数その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額

二 第十二条の規定により市等が支弁する費用のうち、同条第二号に掲げる費用

三 第十三条の規定により都道府県が支弁する同条第一号に掲げる費用のうち当該都道府県の設置

する福祉事務所の所管区域内の町村における人口、被保護者の数その他の事情を勘案して政令で定

めるところにより算定した額

四 第十三条の規定により都道府県が支弁する費用のうち、同条第二号に掲げる費用

2 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次に掲げるものを補助することがで

きる。

一 第十二条及び第十三条の規定により市等及び都道府県が支弁する費用のうち、第十二条第三号及

び第十三条第三号に掲げる費用の三分の二以内

二 第十二条及び第十三条の規定により市等及び都道府県が支弁する費用のうち、第十二条第四号並

びに第十三条第四号及び第五号に掲げる費用の二分の一以内

3 前項に規定するもののほか、国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、前条の

規定により福祉事務所未設置町村が支弁する費用の四分の三以内を補助することができる。

4 生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業が効果的かつ効率的に行われて

いる場合として政令で定める場合に該当するときは、第二項の規定の適用については、同項第一号中

「掲げる費用」とあるのは「掲げる費用並びに第七条第一項の規定により市等及び都道府県が行う生

活困窮者家計改善支援事業の実施に要する費用」と、同項第二号中「並びに第十三条第四号及び第五

号」とあるのは「及び第十三条第四号(いずれも第七条第一項の規定により市等及び都道府県が行う

生活困窮者家計改善支援事業の実施に要する費用を除く。)並びに第十三条第五号」とする。

第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定

第十六条 雇用による就業を継続して行うことが困難な生活困窮者に対し、就労の機会を提供すると

ともに、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を

供与する事業(以下この条において「生活困窮者就労訓練事業」という。)を行う者は、厚生労働省令

で定めるところにより、当該生活困窮者就労訓練事業が生活困窮者の就労に必要な知識及び能力の向

上のための基準として厚生労働省令で定める基準に適合していることにつき、都道府県知事の認定を

受けることができる。

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2 都道府県知事は、生活困窮者就労訓練事業が前項の基準に適合していると認めるときは、同項の

認定をするものとする。

3 都道府県知事は、第一項の認定に係る生活困窮者就労訓練事業(次項及び第二十一条第二項にお

いて「認定生活困窮者就労訓練事業」という。)が第一項の基準に適合しないものとなったと認めると

きは、同項の認定を取り消すことができる。

4 国及び地方公共団体は、認定生活困窮者就労訓練事業を行う者の受注の機会の増大を図るように

努めるものとする。

第四章 雑則

(雇用の機会の確保)

第十七条 国及び地方公共団体は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、職業訓練の実施、就

職のあっせんその他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、国の講ずる措置と地方公共

団体の講ずる措置が密接な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し、及び協力す

るものとする。

3 公共職業安定所は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、求人に関する情報の収集及び提

供、生活困窮者を雇用する事業主に対する援助その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。

4 公共職業安定所は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、職業安定法(昭和二十二年法律

第百四十一号)第二十九条第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う都道府県等が求人に関する

情報の提供を希望するときは、当該都道府県等に対して、当該求人に関する情報を電磁的方法(電子

情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)その他厚生労働省令

で定める方法により提供するものとする。

(不正利得の徴収)

第十八条 偽りその他不正の手段により生活困窮者住居確保給付金の支給を受けた者があるときは、

都道府県等は、その者から、その支給を受けた生活困窮者住居確保給付金の額に相当する金額の全部

又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の三第

三項に規定する法律で定める歳入とする。

(受給権の保護)

第十九条 生活困窮者住居確保給付金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲

り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(公課の禁止)

第二十条 租税その他の公課は、生活困窮者住居確保給付金として支給を受けた金銭を標準として課

することができない。

(報告等)

第二十一条 都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給に関して必要があると認めるときは、

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この法律の施行に必要な限度において、当該生活困窮者住居確保給付金の支給を受けた生活困窮者又

は生活困窮者であった者に対し、報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当

該職員に質問させることができる。

2 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、認定生活困窮者就労訓練事業を行う者

又は認定生活困窮者就労訓練事業を行っていた者に対し、報告を求めることができる。

3 第一項の規定による質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、

かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

4 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(資料の提供等)

第二十二条 都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給又は生活困窮者就労準備支援事業若し

くは生活困窮者一時生活支援事業の実施に関して必要があると認めるときは、生活困窮者、生活困窮

者の配偶者若しくは生活困窮者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者又はこれらの者で

あった者の資産又は収入の状況につき、官公署に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求め、

又は銀行、信託会社その他の機関若しくは生活困窮者の雇用主その他の関係者に報告を求めることが

できる。

2 都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給に関して必要があると認めるときは、当該生活

困窮者住居確保給付金の支給を受ける生活困窮者若しくは当該生活困窮者に対し当該生活困窮者が

居住する住宅を賃貸する者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者に、当該住宅の

状況につき、報告を求めることができる。

(情報提供等)

第二十三条 都道府県等は、第七条第一項に規定する事業及び給付金の支給並びに同条第二項各号に

掲げる事業を行うに当たって、生活保護法第六条第二項に規定する要保護者となるおそれが高い者を

把握したときは、当該者に対し、同法に基づく保護又は給付金若しくは事業についての情報の提供、

助言その他適切な措置を講ずるものとする。

(町村の一部事務組合等)

第二十四条 町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の

適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

(大都市等の特例)

第二十五条 この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治

法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二

百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令の定

めるところにより、指定都市又は中核市が処理するものとする。この場合においては、この法律中都

道府県に関する規定は、指定都市又は中核市に関する規定として指定都市又は中核市に適用があるも

のとする。

(実施規定)

第二十六条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その

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執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

第五章 罰則

第二十七条 偽りその他不正の手段により生活困窮者住居確保給付金の支給を受け、又は他人をして

受けさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第

四十五号)に正条があるときは、刑法による。

第二十八条 第五条第三項(第七条第三項及び第十一条第二項において準用する場合を含む。)又は

第九条第五項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第二十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第二十一条第一項の規定による命令に違反して、報告若しくは物件の提出若しくは提示をせず、

若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による当該職員

の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

二 第二十一条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第三十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の

業務に関して第二十七条又は前条第二号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又

は人に対して各本条の罰金刑を科する。

附 則 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。ただし、附則第三条及び第十一条の規定

は、公布の日から施行する。

(検討)

第二条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、生活困窮者

に対する自立の支援に関する措置の在り方について総合的に検討を加え、必要があると認めるときは、

その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則 (平成二八年五月二〇日法律第四七号)

(施行期日)

第一条 この法律は、平成二十九年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該

各号に定める日から施行する。

一 第一条、第三条、第七条、第十条及び第十五条の規定並びに次条並びに附則第四条第一項及び第

二項、第六条から第十条まで、第四十二条(東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年法律第百

二十二号)第四十八条第二項及び第三項の改正規定に限る。)、第四十四条並びに第四十六条の規定

公布の日

二 第六条、第八条及び第十四条の規定並びに附則第三条、第十三条、第二十四条から第二十六条ま

で、第二十九条から第三十一条まで、第三十三条、第三十五条及び第四十八条の規定 公布の日か

ら起算して三月を経過した日

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附 則 (平成三〇年六月八日法律第四四号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成三十年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各

号に定める日から施行する。

一 第三条中生活保護法の目次の改正規定、同法第二十七条の二の改正規定、同法第九章中第五十五

条の六を第五十五条の七とする改正規定、同法第八章の章名の改正規定、同法第五十五条の四第二

項及び第三項並びに第五十五条の五の改正規定、同法第八章中同条を第五十五条の六とし、第五十

五条の四の次に一条を加える改正規定、同法第五十七条から第五十九条まで、第六十四条、第六十

五条第一項、第六十六条第一項、第七十条第五号及び第六号、第七十一条第五号及び第六号、第七

十三条第三号及び第四号、第七十五条第一項第二号、第七十六条の三並びに第七十八条第三項の改

正規定、同法第七十八条の二第二項の改正規定(「支給機関」を「第五十五条の四第一項の規定によ

り就労自立給付金を支給する者」に改める部分に限る。)、同法第八十五条第二項、第八十五条の二

及び第八十六条第一項の改正規定並びに同法別表第一の六の項第一号及び別表第三都道府県、市及

び福祉事務所を設置する町村の項の改正規定並びに次条の規定、附則第九条中地方自治法(昭和二

十二年法律第六十七号)別表第一生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の項第一号の改正

規定、附則第十七条中住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)別表第二の五の十一の項、

別表第三の七の七の項、別表第四の四の十一の項及び別表第五第九号の四の改正規定(いずれも「就

労自立給付金」の下に「若しくは同法第五十五条の五第一項の進学準備給付金」を加える部分に限

る。)並びに附則第二十三条及び第二十四条の規定 公布の日

二 第二条の規定 平成三十一年四月一日

(罰則に関する経過措置)

第七条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(検討)

第八条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の規定による改正後の規定の施行の

状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの

とする。

(政令への委任)

第二十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定め

る。

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参考資料4

〇横浜市生活自立支援施設条例

平成 15 年2月 25日

条例第1号

(設置)

第1条 生活困窮者自立支援法(平成 25 年法律第 105 号)第2条第5項第3条第6項に規定する一定

の住居を持たない生活困窮者(以下「対象生活困窮者」という。)に対し、一時的な宿泊場所を提供

するとともに、生活支援等を行い、その自立を支援するため、横浜市生活自立支援施設はまかぜ(以

下「自立支援施設」という。)を横浜市中区に設置する。

(平 27 条例 16・平 30条例 50・一部改正)

(事業)

第2条 自立支援施設は、次の事業を行う。

(1) 対象生活困窮者に対する一時的な宿泊場所並びに食事、衣類及び日用品等の提供

(2) 対象生活困窮者に対する生活に関する相談及び支援

(3) 対象生活困窮者に対する健康に関する相談及び支援並びに健康診断

(4) 対象生活困窮者に対する就労等の支援

(5) 対象生活困窮者に対する居住の場所の確保の支援

(6) その他前各号に準ずる事業

(平 27 条例 16・一部改正)

(指定管理者の指定等)

第3条 次に掲げる自立支援施設の管理に関する業務は、地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 244

条の2第3項の規定により、指定管理者(同項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)に行わせ

るものとする。

(1) 自立支援施設の施設の利用の許可等に関すること。

(2) 前条に規定する事業の実施に関すること。

(3) 自立支援施設の施設及び設備の維持管理に関すること。

(4) その他市長が定める業務

2 指定管理者は、横浜市の対象生活困窮者の自立支援に関する施策の方針を理解し、対象生活困窮

者の生活状況及び自立支援施設のある地域の実情等を把握して、適切かつ公平に対象生活困窮者の

自立支援のための事業を実施するものでなければならない。

3 指定管理者の指定を受けようとするものは、事業計画書その他規則で定める書類を市長に提出し

なければならない。

4 市長は、前項の規定により提出された書類を審査し、かつ、実績等を考慮して、自立支援施設の

設置の目的を最も効果的に達成することができると認めたものを指定管理者として指定する。

5 市長は、指定管理者の候補者を選定しようとするときは、特別の事情があると認める場合を除き、

第 8 条第 1 項に規定する横浜市生活自立支援施設指定管理者選定評価委員会(以下「選定評価委員

会」という。)の意見を聴かなければならない。

(平 17 条例 76・追加、平 23条例 48・平 27条例 16・一部改正)

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(指定管理者の指定等の公告)

第4条 市長は、指定管理者の指定をしたとき、及びその指定を取り消したときは、遅滞なく、その

旨を公告しなければならない。

(平 17 条例 76・追加)

(管理の業務の評価)

第5条 指定管理者は、市長が特別の事情があると認める場合を除き、その指定の期間において、第

3条第1項各号に掲げる自立支援施設の管理に関する業務について、選定評価委員会の評価を受け

なければならない。

(平 23 条例 48・追加)

(利用の許可)

第6条 自立支援施設を利用しようとする者は、指定管理者の許可を受けなければならない。

2 指定管理者は、前項の許可に自立支援施設の管理上必要な条件を付けることができる。

3 指定管理者は、次のいずれかに該当する場合は、利用を許可しないことができる。

(1) 自立支援施設の設置の目的に反するとき。

(2) 自立支援施設における秩序を乱し、又は公益を害するおそれがあるとき。

(3) 自立支援施設の管理上支障があると認められるとき。

(4) その他指定管理者が必要と認めたとき。

(平 17 条例 76・旧第3条繰下・一部改正、平 23条例 48・旧第5条繰下)

(利用の制限等)

第7条 指定管理者は、自立支援施設の利用の許可を受けた者が次のいずれかに該当するときは、そ

の利用の許可を取り消し、又はその利用を制限し、若しくは退所を命ずることができる。

(1) 前条第3項各号のいずれかに該当するに至ったとき。

(2) この条例又はこの条例に基づく規則の規定に違反したとき。

(3) この条例に基づく許可の条件に違反したとき。

(平 17 条例 76・旧第4条繰下・一部改正、平 23条例 48・旧第6条繰下)

(横浜市生活自立支援施設指定管理者選定評価委員会)

第8条 指定管理者の候補者の選定、指定管理者による自立支援施設の管理の業務に係る評価等につ

いて調査審議するため、横浜市生活自立支援施設指定管理者選定評価委員会を置く。

2 選定評価委員会は、市長が任命する委員 10人以内をもって組織する。

3 前項に定めるもののほか、選定評価委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。

(平 23 条例 48・追加、平 27条例 16・一部改正)

(委任)

第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(平 17 条例 76・旧第6条繰下、平 23条例 48・旧第7条繰下)

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附 則

この条例は、規則で定める日から施行する。

(平成 15年5月規則第 69号により同年6月1日から施行)

附 則(平成 17年 6月条例第 76号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の横浜市ホームレス自立支援施設条例第 5条の規

定によりその管理に関する事務を委託している横浜市ホームレス自立支援施設はまかぜについて

は、地方自治法の一部を改正する法律(平成 15 年法律第 81 号)附則第2条に規定する日までの間

は、なお従前の例による。

附 則(平成 23年 12月条例第 48号)

(施行期日)

1 この条例は、平成 24年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前のそれぞれの条例の規定に基づき公の施設の管

理に関する業務を行っている指定管理者が、その指定の期間においてこの条例の施行の日前までに

この条例による改正後のそれぞれの条例の規定による当該業務についての評価に相当する評価を

受けている場合にあっては、当該期間においては当該業務についての評価に係るこれらの規定は適

用しない。

附 則(平成 27年2月条例第 16号)

(施行期日)

1 この条例は、平成 27年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前に横浜市ホームレス自立支援施設条例第6条第1項の規定により許可を

受けた者に係る施設の利用については、なお従前の例による。

附 則(平成 30年9月条例第 50号)

この条例中、第1条の規定は平成 30 年 10 月1日から、第2条の規定は平成 31 年4月1日から施

行する。

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横浜市健康福祉局生活支援課援護対策担当

平成 31年4月作成

〒231-0017 横浜市中区港町1丁目1番地

e-mail [email protected]

電話番号 045-671-2425

FAX番号 045-664-0403

ウェブサイト http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/entai/homeless/