2016 一次救命処置の手順 - Fiber Bit管理組合編集(2016 年版) -1-...

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みよしみずほ台サンライトマンション 管理組合編集(2016 年版) 1一次救命処置の手順 心肺蘇生法ガイドライン 2015 JRC 蘇生ガイドライン 2015 のオンライン版が公表されました。 それに伴い、 一次救命処置(心肺蘇生と AEDの内容にも変更点が あります。 そこで、ガイドライン 2010 との違いを踏まえながら、反応の確 認から胸骨圧迫、人工呼吸、 AED の使用などの一連の手順について 解説しました。 項目毎に変更の有無と、変更点がある場合はその内容をまとめています。 当マニアルは、JRC ガイドライン 2015 をもとにまとめています。 2016 2 月に発刊予定の完全版となる際に修正が入る可能性があること、 ガイドラインをもとに作られる救急蘇生法の指針(市民用)と異なること、 また、後々浸透していく救命講習などの講習と異なる可能性があります。 救命処置の流れ(心肺蘇生とAEDの使用)

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    一次救命処置の手順 心肺蘇生法ガイドライン 2015 版

    JRC蘇生ガイドライン 2015のオンライン版が公表されました。

    それに伴い、一次救命処置(心肺蘇生と AED)の内容にも変更点が

    あります。

    そこで、ガイドライン 2010との違いを踏まえながら、反応の確

    認から胸骨圧迫、人工呼吸、AEDの使用などの一連の手順について

    解説しました。

    項目毎に変更の有無と、変更点がある場合はその内容をまとめています。

    当マニアルは、JRCガイドライン 2015をもとにまとめています。

    2016年 2月に発刊予定の完全版となる際に修正が入る可能性があること、

    ガイドラインをもとに作られる救急蘇生法の指針(市民用)と異なること、

    また、後々浸透していく救命講習などの講習と異なる可能性があります。

    救命処置の流れ(心肺蘇生とAEDの使用)

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    【目次】

    1. 反応(意識)を確認する

    2. 助けを呼ぶ・119番通報(口頭指導)

    2-1. 119番通報と AEDの手配

    2-2. 119番通報のポイント。口頭指導を受けましょう

    3. 呼吸の確認、迷ったら胸骨圧迫

    3-1. 呼吸の確認

    3-2. 判断に迷ったら、すぐに胸骨圧迫

    4. 胸骨圧迫

    5. AEDを使う

    6. 人工呼吸と気道確保

    7. 胸骨圧迫(と人工呼吸)と AEDの繰り返し

    8. ガイドライン 2015版、1次救命処置のおさらい

    1. 反応(意識)を確認する

    まずは、倒れている人の反応を確認します。:周囲の安全を確認してから倒れている人に近づきま

    す。

    そして、肩を叩きながら、「大丈夫ですか?」「聞こえますか?」など大き

    な声でよびかけ、反応があるか確認します。この時、鎖骨の辺りを叩きま

    しょう。

    【反応を確認するこの手順は JRCガイドライン 2010から変更はありません。】

    2. 助けを呼ぶ・119番通報(口頭指導)

    倒れている人(傷病者)に反応がなければ、大きな声で周囲に助けを求めます。

    2-1. 119番通報と AEDの手配

    「人が倒れています!誰か来てください。助けてください!」

    周囲に人が集まったら「あなたは 119番通報をして、救急車を呼ん

    でください」、「あなたはAEDを持ってきて下さい」と指示を出します。

    http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-1http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-2http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-2-1http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-2-2http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-3http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-3-1http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-3-2http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-4http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-5http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-6http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-7http://aed-blog.com/bls-cpr-aed2015#bls-cpr-aed2015-8

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    この時のポイントは、指示を出すときに指をさして、あなたは 119番、あなたは AEDと個別に指名

    する事です。助けたいと思って近寄ってきていても誰に指示がだされているのか伝わらないとなか

    なか行動しにくいものです。「あなた」と指示されることで、格段に行動しやすくなります。

    誰も周りにいない場合は、自分で 119番通報しましょう。

    【応援を呼び、119番通報するこの手順は、JRC蘇生ガイドライン 2010から変更はありません。】

    2-2. 119番通報のポイント。口頭指導を受けましょう

    119番通報すると、電話口の通信司令員から、呼吸・心停止の判断や胸骨圧迫のやり方などの

    指導を受ける事ができます。

    救命講習を受けたことがなかったり、心肺蘇生法に自信がな

    い場合は、119番通報して状況を説明した後、通信指令員

    に相談して指示を仰ぎましょう。

    救急時の 119番通報のポイント

    救急である事をはっきりと伝える:119番通報すると「火事ですか?救急ですか?」と聞かれま

    す。救急の場合は救急である旨を伝えます。

    場所をはっきりと伝える:どこで起きたのかを出来るだけ正確に伝えます。住所がわからない

    場合は、目印になるもの(建物、電柱にある番地、店舗名、交差点名など)を伝えます。

    何がおきたのかはっきりと伝える:目の前で人が倒れたのか、発見したときには既に倒れてい

    たのか、怪我をしているのか、反応があるのか無いのか、事故があったのかなど、出来るだけ

    詳細に状況を伝えます。

    名前と連絡先を伝える:通報者の名前と連絡先を聞かれるので、伝えましょう。

    その後、「どうしたらいいですか?」、「心肺蘇生のやり方を教えて下さい」など相談して指示を仰ぎ

    ます。

    電話は切らないようにして下さい。携帯電話からであれば、周囲に音が聞こえるスピーカーモード

    にする事ができます。または指令センターからの指示をあなたが大きな声でしゃべり、周囲のバイ

    スタンダーに伝える方法もあります。

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    ガイドライン 2015で強調された点:

    119番通報では、救急車の要請だけではなく、助言や指導を仰ぐことができる。

    携帯電話の普及で、電話で心停止の確認や胸骨圧迫などのやり方などの指示・

    助言を受けることができるようになりました。それを活かして、通信司令員に指示を

    仰ぐ事の大切さが強調されています。

    3. 呼吸の確認 分からなければ胸骨圧迫

    3-1. 呼吸の確認

    傷病者が正常な呼吸をしているか確認します。:胸や腹部の動きを見て(上下に動いているか)判

    断します。

    死戦期呼吸という心停止直後によく見られる、しゃくりあげるよう

    な呼吸があります。死戦期呼吸では口がぱくぱく動いている事

    が多いため、別名あえぎ呼吸などと呼ばれており、胸骨圧迫が

    必要な状態です。口の動きを見ると、この死戦期呼吸を正常な

    呼吸と勘違いしてしまう可能性があるので、胸やお腹で呼吸の

    確認をします。

    3-2. 判断に迷ったら、すぐに胸骨圧迫

    正常な呼吸かわからない場合など、判断に迷ったら直ちに胸骨圧迫を開始します。

    傷病者が正常な呼吸をしているかどうか判断がつかない場合、「3-1.呼吸の確認」に記載した死

    戦期呼吸の可能性もあります。判断がつかない場合や、正常な呼吸をしてないのではないか?と

    迷った場合は、胸骨圧迫をすぐに始める事が推奨されています。

    ガイドライン 2015で推奨された点:

    判断に自信がなくても、直ちに心肺蘇生と AEDを使用する。

    JRCガイドライン 2015では迷ったら(疑わしきは)胸骨圧迫、とされています。

    すぐに胸を押しましょう。

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    4. 胸骨圧迫

    傷病者を仰向きに寝かせて、横にひざをつき、胸骨圧迫を行います。

    成人への胸骨圧迫は、片方の手

    の付け根を胸(胸骨の下半分)に

    置き、もう片方の手を重ねて指を

    交互に組みます。肘をまっすぐに

    伸ばし、手の付け根に体重をかけ

    て圧迫します。一回圧迫したら、

    胸が完全に元の位置に戻るように

    圧迫を解除します。そしてまた圧

    迫します。

    小児(0歳~およそ6歳まで)の場

    合は、片腕で圧迫をします。

    乳児の場合は、二本指(中指と薬

    指)で圧迫します。

    押す深さやリズムなどを下にまとめました。

    胸骨圧迫のポイント

    押す深さ:胸が約 5cm沈むように圧迫し、6cmを超えない(小児や乳児は、胸の約 3分の 1

    の深さ)

    押すテンポ:一分間に 100回~120回(小児や乳児も同じテンポ)

    解除(除圧):毎回、圧迫したらしっかりと(完全に)胸を元の位置に戻す。ただし、押す深さが浅

    くならないように注意する。

    絶え間なく:AEDを使う際や人工呼吸の際など胸骨圧迫を中断する時間が生じるが、中断は

    最小限にする(10秒以下)。心肺蘇生を行っている時間の 6割は胸骨圧迫の時間となるように

    する。

    確認し合う:しっかりと押せているか、テンポが遅くなったり早くなったりしていないか確認する。

    バイスタンダーが複数人いれば、お互いに注意し合い確認する。

    交代する:胸骨圧迫の質(深さやリズムなど)を低下させないために、複数人いる場合にはバイ

    スタンダー同士で胸骨圧迫を 1~2分ごとに交代しながら行う。

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    ガイドライン 2015で推奨された点:

    押す深さは 5cm~6cm、テンポは 100~120回/分、

    圧迫したら圧を解除、そして中断を最小限に。

    心肺蘇生法ガイドライン 2010では『押す深さが 5cm以上、

    テンポは 1分間に 100回以上』でしたが、心肺蘇生法ガイド

    ライン 2015では『押す深さは 5cm以上で 6cmを超えない、

    テンポは 100回~120回/分』に変わりました。

    また、胸骨圧迫をしたらその圧を解除する事(胸を完全に元の

    位置に戻すように、圧迫と圧迫の間で力が入らないようする)、

    胸骨圧迫の中断を最小限にする事が推奨されています。

    5. AED を使う

    AEDが到着したら AEDを使います。

    AEDの使い方は下の流れです。AEDの電源を入れると

    音声ガイダンスが始まります。このガイダンスに従い使用

    します。

    1. AEDの電源を入れる:フタを開けると電源が入るタイプ、電源ボタンを押すタイプがある。

    2. 電極パッドを貼り付ける:右胸と左わき腹それぞれに貼り付ける(※未就学児には成人用パッ

    ドを使用しない)。

    3. AEDが電気ショックが必要かどうかを判断する:AEDが自動的に心電図を解析して、「心電

    図を解析しています。触れないで下さい。」と音声ガイダンスを流す。このアナウンスを聞いた

    ら胸骨圧迫を中断して傷病者に触らないように離れる。

    4. 電気ショックのボタンを押す(必要な場合):電気ショックが必要な場合、AEDから「電気ショッ

    クが必要です。点滅しているボタンを押して下さい。」などの音声ガイダンスが流れる。それに

    従い電気ショックボタンを押す。

    この時、電気ショックが不要であれば、「電気ショックは不要です。」と音声がでる。その場合は

    直ちに胸骨圧迫を再開する。

    5. すぐに胸骨圧迫を再開する:電気ショックを行った後、または電気ショックが不要とアナウンス

    された後はどちらの場合も、すぐに胸骨圧迫を再開する。

    AEDを使用する際、一度貼った電極パッドは救急隊が到着するまで剥がさないようにして下さい。

    電気ショックが不要といわれたり、傷病者が意識を取り戻した場合でも、万が一再度意識を失い

    AEDを使用する事になる可能性があるので救急隊員に引き継ぐまで貼ったままにします。

    なお、傷病者が意識を取り戻した場合は、胸骨圧迫は中止します。

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    【AEDを使用する手順は JRCガイドライン 2010から変更はありません。】

    6. 気道確保と人工呼吸

    ガイドライン 2015では、人工呼吸は、その意思と技術

    がある場合には行うことが推奨されています。救命講習

    などで気道確保と人工呼吸を習った経験があり、実践で

    きるスキルのある人は、30回の胸骨圧迫の後、人工呼

    吸を 2回行います。

    意識のない傷病者は体の筋肉が弛緩しているために舌

    で気道がふさがれている状態になっています。人工呼吸をする前にはまず、気道確保をする必要

    があります。

    気道確保をしたら、人工呼吸は 1回 1秒とし、空気が漏れないように口を大きく開けて、傷病者の

    鼻をつまみ、口対口で行います。胸の上がりが確認できるぐらいまで息を吹き込みます。特に小児

    の心停止においては、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生を行うことが望ましいです。

    気道確保と人工呼吸のやり方

    1. 額に手をあて、頭を反らす

    2. 顎(あご)の先端を指先(二本の指)で持ち上げる

    3. 鼻をつまむ

    4. 口を大きく開き傷病者の口を覆う

    5. 息を吹き込む

    胸が上がるのが見てわかる程度の量

    約 1秒ほど吹き込む

    もう 1度息を吹き込む(2回)

    ガイドライン 2015で推奨された点:

    人工呼吸は訓練された者がその技術と意思があれば行う。

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    7. 胸骨圧迫(と人工呼吸)と AEDの繰り返しと観察

    救急隊員が到着するまで、胸骨圧迫(と人工呼吸)、そして AEDの使用を繰り返します。AEDの

    音声ガイダンスはこの流れの通りになっています。

    人工呼吸ができる場合は、30:2の割合で胸骨圧迫と人工呼吸を続けます。2分ごとに AEDが心

    電図を解析しますので、AEDのガイダンスに従い、解析に入ったら離れ、必要があれば電気ショッ

    クを行い、すぐに胸骨圧迫を再開します。

    ガイドライン 2015では、心肺蘇生を行っている時間のうち、

    最低でも 60%を胸骨圧迫にあてる事を推奨しています。

    意識が戻り正常な呼吸に戻った場合や呼びかけに応じるなどのしぐさが出ない限りは心肺蘇生を

    中断してはいけません。意識が戻った場合は、傷病者を観察しながら救急車を待ちます。訓練を

    受けている場合は傷病者を回復体位にし、救急車の到着を待ちます。

    観察を続けるなかで、正常な呼吸ではないと判断した場合は、再度、心肺蘇生と AEDの使用を

    行います。

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    8. ガイドライン 2015版、一次救命処置のおさらい

    反応を確認する。

    応援を呼び、119番通報と AEDの手配をする。

    119番では通信司令員に指示を仰ぐ。

    呼吸の確認をする。迷ったらすぐに心肺蘇生を開始(胸骨圧迫)。

    胸骨圧迫をする。強く(5cm以上を意識、6cm未満)、早く(100~120回/分)、戻して(圧

    を解除する)、絶え間なく(10秒以上中断しない)

    AEDを使う。

    人工呼吸が出来るのであれば行う(技術と意思があれば)。

    胸骨圧迫(と人工呼吸)と AEDを繰り返す。

    まとめ

    JRC蘇生ガイドライン 2015のオンライン版を基に1次救命処置の流れをまとめました。特に強調

    したいのは、119番通報をした時に通信指令員に指導を受けられる点です。これによって救命率

    が高まるのではないかと期待しています。

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    JRC蘇生ガイドライン 2015:変更点 6つのポイントまとめ

    JRC蘇生ガイドラインとは

    国際蘇生連絡協議会(ILCOR)が作成した心臓救急に関し、各国・各地域がその地域事情にマッ

    チした救急、蘇生のガイドラインを策定しています。この国際コンセンサスをベースに、日本蘇生協

    議会(JRC)が作成したガイドラインが JRC蘇生ガイドラインです。

    ガイドラインは、5年毎に更新されており、この度 JRC蘇生ガイドライン 2015が公表されました。

    AEDの電源を入れると流れる音声ガイダンスは、このガイドラインを基に各メーカーが作成してい

    ます。

    1.胸骨圧迫は 5cm~6cmの深さ

    JRC ガイドライン 2010では胸骨圧迫(心臓マッサージ)で胸を押す深さは 5cm以上となってい

    ましたが、新しいガイドライン、JRC ガイドライン 2015では、『胸が約 5cm沈むように圧迫する

    が、6cmを超えないようにする』となりました。

    これまでは胸骨圧迫の深さの限界が指定されていなかったので、深ければ深いほど良いと勘違い

    してしまう可能性もあったかと思います。5cm~6cmを正確に判断する事は難しいという意見もで

    そうですが、適切な深さの範囲が明確にされました。

    変更前(ガイドライン 2010):5cm以上

    変更後(ガイドライン 2015):5cm以上で 6cmを超えない

    2.1分間のリズムは 100回~120回

    今回のガイドラインでは、胸骨圧迫の重要性がより高まりました。そのため圧迫に関する項目で変

    更点が多く、胸骨圧迫のリズムにも変更がありました。

    ガイドライン 2010では「1分間に 100回以上のテンポ」とされていましたが、ガイドライン 2015

    では、『100回から 120回のテンポ』に変更されました。

    胸骨圧迫の回数が多いほど生存率が高くなるとされていますが、適切な圧迫を長時間継続するた

    めには無駄な圧迫を減らす事も重要です。速すぎると疲れるのが早くなり、特に一般人の胸骨圧

    迫では徐々に圧迫の深さが浅くなる事が分かっています。適切な圧迫を継続するため、120回と

    いう上限を設けたものと考えられます。

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    変更前(ガイドライン 2010):100回/分 以上

    変更後(ガイドライン 2015):100回~120回/分

    3.胸骨圧迫では、胸をしっかりと元の位置に戻す

    ガイドライン 2015では、胸骨圧迫に関して『押したらしっかりと胸を元に戻す』という点が強調され

    ました。

    胸骨圧迫で胸を押した後、掛かる圧を解除する事が重要です。解除する際は完全に胸を元の位置

    に戻すように力を抜きます。

    強く押すことばかり意識していると自然と手や腕に力が入ったままになって押しっぱなしになり、胸

    をポンプできなくなります。圧迫を 1回行うたびに胸が元に戻るように注意して胸骨圧迫をする必

    要があります。

    重要点と注意点:胸骨圧迫を行う度に胸を元の位置に戻し、圧迫と圧迫との

    間で力を入れたり、もたれかかったりしない。

    止まってしまった心臓の代わりに血液を循環させるイメージを持ち、適切な圧迫

    と圧の解除をして下さい。

    4.胸骨圧迫の中断を最小限に

    胸骨圧迫の中断についても、『胸骨圧迫を中断する時間を最小限にする』とされ、中断を最小限に

    する事が重視されています。

    考えられる中断としては、胸骨圧迫を交代するタイミングや、人工呼吸、気道確保、AEDの電極パ

    ッドを貼る時や AEDの心電図解析時などが考えられます。そういった際の中断を出来るだけ短く

    できるようにする必要があります。

    重要点と注意点:胸骨圧迫の中断が 10秒を超えないようにする

    胸骨圧迫を中断している時間を最小限にする事が非常に重要です。

    AEDの電極パッドを貼る際も胸骨圧迫を継続する事が望ましいので、

    心肺蘇生はなるべく複数人で助け合って行うようにして下さい。

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    5.呼吸の確認に迷ったら、すぐに胸骨圧迫

    ガイドライン 2015では『呼吸の確認に迷ったらすぐに胸骨圧迫をする』という点も重視されていま

    す。

    心停止した場合に「死戦期呼吸」と呼ばれる、しゃくりあげるような呼吸がみられることがあります。

    これは正常な息をしていない状態ですが、口元が動いているので呼吸をしていると勘違いしてしま

    うケースがあります。そのために心停止の判断が遅れる事がないよう、迷った場合はすぐに胸骨

    圧迫を始めるべきとされています。

    重要点と注意点:呼吸が異常と感じた場合は心停止状態とみなして、

    ためらわず胸骨圧迫しましょう。

    傷病者を発見したら正常な呼吸かどうか、意識があるかの確認をしますが、

    この時不自然だなと感じたり、心停止かどうか迷った場合にはすぐに

    CPR(心肺蘇生法)を開始します。

    6.119番通報で指示を仰ぐ

    救急車を手配するために 119番通報をすると、消防の通信指令員(通信指令をする人)から電話

    口で指示や指導が受けられます。

    携帯電話やスマートホンの普及で、昨今は口頭での指示が容易になりました。その為心停止かど

    うかの判断に迷ったり、胸骨圧迫のやり方などが分からない場合は、『119番通報した際に電話

    を切らずに指示を仰ぐ』ようにしましょう。今回のガイドラインではこの通信司令員の役割が強調さ

    れています。

    人が倒れていた場合の最初の流れを下にまとめます。

    1. 周囲の安全を確認してから近づく

    2. 肩(鎖骨の部分)を叩きながら声を掛けて、反応があるかを確認する。

    3. 反応がなければ、大声で助けを呼ぶ

    4. 周囲の人に 119番通報と AEDの手配を依頼する。

    5. 心停止の判断に迷った場合は電話口で通信指令員に相談する。

    重要点と注意点:119番通報をして、救急車を手配したら指示を仰ぎましょう。

    <終わり>