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2014年 Version ムリをせずアーサナを深める方法 キーワードは以下の6項目 目を瞑る;半眼でもいい。バランスを視力に頼らないで関節位置覚や平衡感覚を意識する。 自然呼吸;吐く息は強制的にしない。吸う時はお腹や伸びている胸郭に気持ちよく入れる。 リラックス;呼吸に合わせて使っている所以外の部分の余計な力を抜くようにする。 ゆっくり動く;アーサナは姿勢に入る時も抜ける時もアーサナです。 保持する;できるだけ心地よく長くアーサナを保持する。出来たら1~3分。 手を使わない;アーサナは出来るだけ手を使わないで取りましょう。 目を瞑る 古典のアーサナでは、目は閉じて行います。人間は視覚を特に発達させてきました。そして視覚 からの情報に頼って多くを見た目で判断しています。アーサナの目的は自分を感じ、知ることです ので、外の情報の中で多くを占める視覚をあえて遮断することで、自己の内への意識化を高めてい きます。そして、内に向いた意識は自分の体の声としてフィードバックされてきます。これがムリ や怪我の予防になります。 閉眼にすることで以下のことが分かってきます。 ・バランス ・呼吸、脈拍、血流などの脈管や内臓系統 ・筋肉の使っている所と抜けている所 ・心の状態 【実践】 閉眼で以下のアーサナを取ってみましょう。バランスがどうしても不安という方は、薄目状態の 半眼にしましょう。 (C)2014. P3 Inc. Naoto Nakamura / 1 5 ヴィーラバドラーサナⅠ ターダアーサナ(つま先立ち) ブリクシャアーサナ (c)2014.naoto nakamura (c)2014.naoto nakamura (c)2014.naoto nakamura

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Page 1: 2014年 Version ムリをせずアーサナを深める方法...2014年 Version ムリをせずアーサナを深める方法 ! キーワードは以下の6項目 1 目を瞑る;半眼でもいい。バランスを視力に頼らないで関節位置覚や平衡感覚を意識する。

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ムリをせずアーサナを深める方法 !キーワードは以下の6項目 1 目を瞑る;半眼でもいい。バランスを視力に頼らないで関節位置覚や平衡感覚を意識する。 2 自然呼吸;吐く息は強制的にしない。吸う時はお腹や伸びている胸郭に気持ちよく入れる。 3 リラックス;呼吸に合わせて使っている所以外の部分の余計な力を抜くようにする。 4 ゆっくり動く;アーサナは姿勢に入る時も抜ける時もアーサナです。 5 保持する;できるだけ心地よく長くアーサナを保持する。出来たら1~3分。 6 手を使わない;アーサナは出来るだけ手を使わないで取りましょう。 !目を瞑る  古典のアーサナでは、目は閉じて行います。人間は視覚を特に発達させてきました。そして視覚からの情報に頼って多くを見た目で判断しています。アーサナの目的は自分を感じ、知ることですので、外の情報の中で多くを占める視覚をあえて遮断することで、自己の内への意識化を高めていきます。そして、内に向いた意識は自分の体の声としてフィードバックされてきます。これがムリや怪我の予防になります。  閉眼にすることで以下のことが分かってきます。 !

・バランス ・呼吸、脈拍、血流などの脈管や内臓系統 ・筋肉の使っている所と抜けている所 ・心の状態 !

【実践】 閉眼で以下のアーサナを取ってみましょう。バランスがどうしても不安という方は、薄目状態の半眼にしましょう。

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ヴィーラバドラーサナⅠ ターダアーサナ(つま先立ち) ブリクシャアーサナ

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自然呼吸  呼吸は呼吸法が別途ありますので、アーサナではあまり呼吸に意識を持っていくと肝心な体の他の部分や、繊細な所の意識が薄れてしまいます。特に深い呼吸は必要以上に交感神経を高めて心の静けさを阻害します。アーサナ中は出来るだけ自然呼吸を心がけ、体を動かしていても平常心と関連する自然呼吸を意識しましょう。この「平常心」が怪我を防ぎます。  コツとしては、吸う時はお腹か開いている胸に、吐く時は強制ではなく、肺の弾性力を使った呼気を心がけましょう。自然呼吸は心を平常に導き、ムリをしない態度をアーサナ中に作ってくれます。また、捻りやある程度力のいるアーサナでは、空気の入る所の拡張を意識してみましょう。拡張するということはその周囲の筋肉が緩んでいることを指します。筋肉の弛緩とともに、こころ

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も緩んでいくのが感じられるはずです。 ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅

!【実践】 以下のアーサナで自然呼吸5呼吸(約30秒)を意識してみましょう。

!リラックス  ヨガスートラでは「アーサナは安定して快適でなくてはならない。」とあります。これは多くは座法を示しますが、座法の準備である他のアーサナも例外ではありません。常にアーサナをとっている時はリラックスを心がけます。もちろん動いたり姿勢を保持していたりする訳ですから完全なリラックスではなく、使わなくてもいい所、必要ない所の力を出来るだけ抜きます。リラッ

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クスが基本であれば怪我には繋がりません。  この時のポイントがいくつかあります。これらは力むと無意識に固くなる所です。

・お腹に呼吸を入れる。 ・指先、足先を軽く動かす。 ・肩の力を抜いて首を長くする。 ・首を軽く動かす。 ・目の力を抜く。 ・顎の力を抜く。 ・顔の力を抜く。 !

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バカアーサナ ブジャンガアーサナ プールヴォッターナーサナ

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【実践】 以下のアーサナを出来るだけリラックスしてとってみましょう。上記の項目を確認しながら体を軽く揺らしましょう。呼吸は自然呼吸です。 !!!!!!!!!!ゆっくり動く  アーサナは本来「姿勢」ですが、姿勢に入る為には動きます。この動きもアーサナですから、出来るだけスローモーションのようにゆっくりと動きます。勢いをつけたりせずに、特に脊柱を柔

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らかく動かしていきましょう。そうすることで、勢いによる怪我が予防できます。自分で動くということは自分の能力以外のことは出来ないということですので、自分の出来る範囲内での安全なアーサナになります。 !【実践】

・太陽礼拝をゆっくり行ってみましょう。               ※この時も呼吸は自然呼吸で出来たら半眼か閉眼です。 !

保持する  アーサナは古典では「姿勢」です。運動ではありません。ですから、アーサナは保持することが前提になります。保持する時間は座法では1時間、その他は、呼吸が正常のように出来ないものは1分、多くは5分~20分の保持が理想となります。実際のクラスでは、さすがに20分は長いので、1~3分でしょうか。 !【実践】 右のアーサナを出来るだけ長く保持してみましょう。シルシャアーサナは目標は20分です。 この時もリラックス、自然呼吸を意識するととり易くなります。 !

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ナヴァアーサナ ダヌールアーサナ

バシシュタアーサナ シルシャアーサナ

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手を使わない  アーサナは自分の範囲で行うことが重要です。自分で行うことでムリをせずに快適さを確保できます。手を使うことは自分でしているようですが、手で足を持ってきたり、手で膝を引っ張ったりと、実は本来動かすべき所ではなく、自分の意思の担い手である手が無理矢理することが多

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いのです。極力手を使わずに取れるアーサナが自分の今の立ち位置を教えてくれます。 !【実践】 以下のアーサナを手を使わないでとってみましょう。

メッセージ  このまとめは、多くの方に怪我をしないでアーサナを生活に生かしてほしい、流派問わず体の声を聞きながらアーサナをとる心地よさを感じて欲しいという思いから、ゴアでのYoga Synergy TT 2014で出会った2人で作ったものです。  多くの方の参考にして頂きたいのでフリーでの公開としました。基本的に個人での使用を目的としています。個人以外で、ワークショップなどでの使用の場合は、以下のメールまで簡単で結構ですので、開催スタジオ、日程、講師プロフィールなど大まかな項目をお伝え下さい。ぜひやって欲しいのですが、どんな所で使われているかは参考までに把握したいと思います。また、2人へのWS依頼も同じメールへ連絡をお願いします。フリーであっても著作物ですので、社会的規範のなかでの使用をお願いします。  !TAKT EIGHT宛メール;[email protected]

OM SHANTI

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パスチモッターナーサナ パリブリッタパールシュワコーナアーサナ

パドマアーサナ

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作者プロフィール;中村尚人 医療、介護業界を12年間経験。その後、予防医学を実現させるためヨガ・ピラティススタジオを八王子に立ち上げる。病気になる前の方達に健康法を届ける為に、予防理学療法研究会立ち上げ、その後(株)P3を設立、(社)日本ヘルスファウンデーション協会を設立し、公的な立場としても、予防医学の啓蒙を行っている。著書多数。ヨガスクールUTLではヨガの解剖学を担当。 http://www.takt8.com http://www.yobou-pt.jp メルマガ登録はこちらから https://s7.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=bmrtakt8 !

【医療資格】 ・理学療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級 【ヨーガ】 ・RYT200 ・ヴィヴェーカナンダヨーガ研究所 YIC、YTIC修了 ・カイヴァルヤダーマヨーガ研究所 プラーナヤーマ集中コース修了 ・Yoga Synergyティーチャートレーニング Level1修了 【その他】 ・POLESTAR PILATES®コンプリヘンシブインストラクター ・(社)ノルディックウォーキング協会 ベーシックインストラクター ・(公)日本アロマ環境協会 アロマアドバイザー ・ファンクショナルローラーピラティス®創設者 ・エボリューションウォーキング®創設者 !!モデルプロフィール;SHU

ハワイ滞在中にヨガと出会う。その後、オーストラリアにてヨガの修行を積み、全米ヨガアラインアンスを取得。帰国後インストラクターとして数々のスタジオで活躍。大手製薬会社の広告宣伝用ヨガポーズの監修などを行う。インドへの訪問を繰り返し、Rolf&Marciからアシュタンガヨガの指導を受け、さらに世界各国の著名な指導者から様々なヨガのスタイルを学ぶ。 現在はinStyleの統括ヨガディレクターとして活動中。ヨガの基本を大切にしながら自由な発想でオリジナルのヨガのスタイルを追及している。バリエーションが豊富で飽きないレッスンが特徴。 http://www.instyle.sc !

【資格・経歴】 ・全米ヨガアライアンスE-RYT500 ・ULJ 認定 解剖生理学講座合格・Awareness アナトミー・プロフッショナルコース修了・オーストラリアにてRacel Zinmanに師事 ・インドにてRolf&Marciに師事・バリにてKirsten Berg & Mitchell Goldに師事 ・Yoga Synergyティーチャートレーニング Level1修了

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