1. RICE -...

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先月号では足関節捻挫のメカニズムを紹介しました。今回はその応急 処置とアスレティックリハビリテーション(以下、アスリハ)について 解説します。 <応急処置> 応急処置の基本は「RIC E 処置」です。捻挫をした患部をきちんと確認し、 氷を当てて固定・挙上します。今月号のピックアップではRIC E 処置 を詳しく紹介しています。 この時のポイントは、ホースシューパッド、プロテクティブパッドを使 用して、受傷部位に圧迫を加えることです。捻挫をした方向と逆方向 にダブルレンジラップで制限し、しっかりと固定します。 捻挫の症状を助長させないためにも、内反捻挫の場合には足背部から 足裏を通り、小指側(中足骨骨頭部)から引っ張るようにしましょう。 充分なRIC E 処置ができない状況であっても、全く行わないのではなく、 できることをできる限り行いましょう。 <アスレティックリハビリテーション> <なぜRICE処置が必要か> 病院でのメディカルリハビリテーションを経て日常生活に戻り(日常 復帰)、チームに合流する手前(競技復帰)までのリハビリテーション のことを「アスリハ」といいます。 足関節捻挫は多くのスポーツで起こりやすいケガですが、軽度の痛み であれば継続してプレーできたり、チーム事情によりやむを得ずテー ピングなどでサポートし、プレーしてしまうこともあるかもしれませ ん。その結果、後遺症となって痛みが残ったり、患部をかばって別の 部位のケガを誘発してしまう恐れが出てきてしまうのです。 捻挫が起こった時に損傷部位にある血管が一時的に収縮し、その後拡 張が起こります。損傷が大きいほど、その割合が大きく、痛み、腫れ、 内出血、発赤、熱感などの症状が現れてきます。これを「急性炎症」と いいます。 急性炎症になると、血管から周囲の健康な組織へ炎症が拡がってしま い、損傷が悪化することがあるため、これを最小限に止めるためには 的確な応急処置が必要です。 RIC E 処置を受傷直後に適切に行うことで、 ケガの回復と競技への復帰を早めることができます。 アスリハをきちんと行うことは再発予防になると同時に、ケガを起こ す前よりも高いパフォーマンスにするためのトレーニングにもなりま す。ケガと向き合い、自分のこころと身体を成長させるチャンスだと 思って、医師やトレーナーに相談しながら行いましょう。 1. 保護期 : 2. 訓練前期: 3. 訓練後期: 4. 復帰期 : 腫脹の除去、可動域改善 可動域改善、筋力アップ 運動協調性改善、巧緻性改善、筋力アップ スピードアップ、瞬発力アップ、 種目別シミュレーション <足関節捻挫におけるアスリハの流れと目標> RIC E 処置を行って炎症がおさまっても、残った腫れを取ることが重 要です。この期間では、アイシングと運動を組み合せる「クライオキ ネティックス」も有効です。アイシングをして感覚が麻痺し、痛みを 感じにくい状態で、タオルストレッチや体重をかけずに底背屈運動、 サークル運動、足趾運動を行います。炎症反応や痛みを軽減させるた めに、トレーニング後は必ず一度アイシングを 1 2 分~1 5 分行い、痛み が出ないように下腿中心のストレッチを行いましょう。 来月号では、訓練前期、訓練後期、復帰期のアスリハを紹介します。 足関節を捻挫してしまった場合のアスリハを 4 段階に期分けして説明 していきます。それぞれの段階において、何を目標として行うのかを 明確にし、リハビリテーションに取り組みましょう。 参考文献 「アスレティックトレーナーテキストⅠ」財団法人日本体育協会 「実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル」 全日本病院出版会 「スポーツアイシング」大修館書店 「リハナビ」株式会社クレーマージャパン 1. 保護期> タオルストレッチ 底背屈運動 サークル運動 しゅちょう そくし 足趾運動 そくし こうちせい

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Page 1: 1. RICE - CramerJapan...先月号では足関節捻挫のメカニズムを紹介しました。今回はその応急 処置とアスレティックリハビリテーション(以下、アスリハ)について

先月号では足関節捻挫のメカニズムを紹介しました。今回はその応急処置とアスレティックリハビリテーション(以下、アスリハ)について解説します。

<応急処置>応急処置の基本は「RICE処置」です。捻挫をした患部をきちんと確認し、氷を当てて固定・挙上します。今月号のピックアップではRICE処置を詳しく紹介しています。この時のポイントは、ホースシューパッド、プロテクティブパッドを使用して、受傷部位に圧迫を加えることです。捻挫をした方向と逆方向にダブルレンジラップで制限し、しっかりと固定します。捻挫の症状を助長させないためにも、内反捻挫の場合には足背部から足裏を通り、小指側(中足骨骨頭部)から引っ張るようにしましょう。充分なRICE処置ができない状況であっても、全く行わないのではなく、できることをできる限り行いましょう。

<アスレティックリハビリテーション>

<なぜRICE処置が必要か>

病院でのメディカルリハビリテーションを経て日常生活に戻り(日常復帰)、チームに合流する手前(競技復帰)までのリハビリテーションのことを「アスリハ」といいます。足関節捻挫は多くのスポーツで起こりやすいケガですが、軽度の痛みであれば継続してプレーできたり、チーム事情によりやむを得ずテーピングなどでサポートし、プレーしてしまうこともあるかもしれません。その結果、後遺症となって痛みが残ったり、患部をかばって別の部位のケガを誘発してしまう恐れが出てきてしまうのです。

捻挫が起こった時に損傷部位にある血管が一時的に収縮し、その後拡張が起こります。損傷が大きいほど、その割合が大きく、痛み、腫れ、内出血、発赤、熱感などの症状が現れてきます。これを「急性炎症」といいます。急性炎症になると、血管から周囲の健康な組織へ炎症が拡がってしまい、損傷が悪化することがあるため、これを最小限に止めるためには的確な応急処置が必要です。RICE処置を受傷直後に適切に行うことで、ケガの回復と競技への復帰を早めることができます。

アスリハをきちんと行うことは再発予防になると同時に、ケガを起こす前よりも高いパフォーマンスにするためのトレーニングにもなります。ケガと向き合い、自分のこころと身体を成長させるチャンスだと思って、医師やトレーナーに相談しながら行いましょう。

1.保護期 :2.訓練前期:3.訓練後期:4.復帰期 :

腫脹の除去、可動域改善可動域改善、筋力アップ運動協調性改善、巧緻性改善、筋力アップスピードアップ、瞬発力アップ、種目別シミュレーション

<足関節捻挫におけるアスリハの流れと目標>

RICE処置を行って炎症がおさまっても、残った腫れを取ることが重要です。この期間では、アイシングと運動を組み合せる「クライオキネティックス」も有効です。アイシングをして感覚が麻痺し、痛みを感じにくい状態で、タオルストレッチや体重をかけずに底背屈運動、サークル運動、足趾運動を行います。炎症反応や痛みを軽減させるために、トレーニング後は必ず一度アイシングを12分~15分行い、痛みが出ないように下腿中心のストレッチを行いましょう。

来月号では、訓練前期、訓練後期、復帰期のアスリハを紹介します。

足関節を捻挫してしまった場合のアスリハを4段階に期分けして説明していきます。それぞれの段階において、何を目標として行うのかを明確にし、リハビリテーションに取り組みましょう。

参考文献「アスレティックトレーナーテキストⅠ」財団法人日本体育協会 「実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル」 全日本病院出版会「スポーツアイシング」大修館書店「リハナビ」株式会社クレーマージャパン

<1.保護期>

タオルストレッチ 底背屈運動

サークル運動

しゅちょう

そくし

足趾運動そくし

こうちせい

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 水溶性ビタミンの「ビタミンB群」とは?

 かぼちゃ 1/8個(80g) さつま芋 1/8個(40g) 塩、こしょう 少々 アーモンド 10粒 クリームチーズ 1個(20g) はちみつ 小さじ1 牛乳 小さじ1

1.かぼちゃ、さつま芋はひと口大に切る。2.鍋に水をはり、沸騰してから、かぼちゃとさつま芋を5分程茹でる。  (電子レンジで蒸してもOK)3.アーモンドをポリ袋等に入れ、砕いておく。4.クリームチーズを器に入れて混ぜ、なめらかにする。5.4にはちみつ、牛乳を加えてのばす。6.茹でたかぼちゃとさつま芋は水をきる。温かいうちに塩と  こしょうをふって下味をつけておき、フォークで粗くつぶす。7.5のソースと6を混ぜ合わせたら完成!

クリームチーズの代わりに、水切りをしたヨーグルトを使ったり、甘いサラダが苦手な方は、カレーマヨネーズソースで和えるのはいかがでしょうか。

<かぼちゃとさつま芋のサラダ>材料(1人前)

作り方

 豆苗 1/2パック(40g) もやし 40g ツナ 20g

調味料  しょうゆ 小さじ1/2 ごま油 小さじ1/2 おろしにんにく 小さじ1/2 鶏ガラだしの素(顆粒) 小さじ1 ごま 小さじ1 塩、こしょう 少々

1.豆苗は根を切り落とし、2等分にする。2.豆苗、もやしは電子レンジで1分加熱する。  (シリコンスチーマー、あるいは深いお皿にラップをする)3.調味料を和えておく。4.油切りをしたツナと加熱した豆苗、もやし、  調味料を和えたら完成!

豆苗はえんどう豆(グリンピース)の若菜です。安価で栄養価の高い食材のためオススメです。切り落とした根を水に浸して育てるともう一度収穫することができます。

<豆苗ともやしのナムル>材料(1人前)

作り方

最近では、身体づくりのために食事や栄養学が重要な役割を持つことを意識するアスリートや保護者の方々が増えています。しかし、アスリートに必要な栄養素は? と聞くと、「糖質」や「たんぱく質」を真っ先に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。今回は身体で重要な役割をもつ「ビタミン」について紹介します。お弁当や普段の食事にもう1品! 意外と難しいビタミンの摂取を助ける「ビタミンたっぷりレシピ」もぜひお試しください。

ビタミンB1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、ビオチン、パントテン酸の8種類とされています。ビタミンB2

ビタミンB6

脂肪が燃焼する時に使われ、脂質の代謝には不可欠です。長時間運動を行う選手はより積極的に摂取する必要があります。不足をすると口内炎などの症状がみられます。食品中のたんぱく質を分解し、身体のたんぱく質を合成する過程で必要となります。肉を好む、プロテインを多用している選手は欠乏をする可能性があります。

ビタミンの定義は、「体内でつくることができない有機物」であり、食品から摂取する必要があります。ビタミンには身体のメンテナンスをする役割があるため、トレーニングによって身体づくりをするアスリートには欠かせない栄養素です。ビタミンは大きく分けて、水に溶ける水溶性と、脂に溶ける脂溶性の2種類があります。

水溶性ビタミンには、ビタミンB群とビタミンCが挙げられます。水溶性ビタミンは水に溶けやすいので、特に野菜は長時間コトコト煮るよりも、短時間で加熱する、蒸す、または生で食べるとよいでしょう。脂溶性ビタミンには、ビタミンD・A・K・Eが挙げられます。「4つだけ」と覚えてください。脂溶性ビタミンは油に溶けやすいため、調理の際に油を使用すると吸収を助けることができます。

<アスリートに欠かせないビタミン>

 2種類のビタミンと調理のポイント

ビタミンB群を多く含む食品ビタミンB2 卵

牛乳(1個 0.22mg)(コップ1杯 0.27mg)

ビタミンB6 カツオさんま鶏ささみ

(刺身5切れ 0.61mg)(1尾 0.51mg)(1回量 0.48mg)

ビタミンD カルシウムの吸収をサポートし、丈夫な骨の形成を促します。また、筋力を高める働きがあります。

ビタミンA 不足をすると風邪などの細菌感染に対する抵抗力の低下や皮膚のかさつきなどが生じます。

ビタミンK ビタミンDにより吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助けます。

ビタミンE 細胞の酸化を防ぐ(抗酸化作用)、血液の流れをよくする働きがあります。

 脂溶性ビタミンは4つだけ(D・A・K・E)

脂溶性ビタミンを多く含む食品ビタミンD 鮭

干しシイタケ(1切れ 25.6µg)(2個 1.0µg)

ビタミンA 人参かぼちゃ豆苗

(1/2本 608µg)(1/8個 264µg)(1/2パック 195µg)

ビタミンK 納豆ほうれん草

(1パック 300µg)(1/4束 162µg)

ビタミンE アーモンドかぼちゃ

(10粒 2.9mg)(1/8個 3.9mg)