もくじ

1. まえがき ........................................................... 2

2. IRC用ボット/マクロ.................................................. 3

(ア) CHOCOA用ダイススクリプト .......................................... 3

(イ) LimeChat用ダイスマクロ ............................................ 4

3. マップエディタ＆マップビューア ...................................... 5

(ア) マップエディタの使い方 ................................................ 5

(イ) マップビューアの使い方 ............................................... 8

4. キャラメイクツールについて .......................................... 9

5. どどんとふについて................................................. 11

6. あとがき .......................................................... 12

1. まえがき

TRPGをインターネット上で遊びたいと思ったことはありますか？ 遠く離れた同好の士と、ネットを介して自宅でTRPGを

遊ぶ、いわゆるオンラインセッションってやつです。

でも、戦闘マップやキャラクターシート、ダイスが振ったりするのをインターネット上で行うのはなかなか大変。だからオン

ラインセッションってやったことがないって人は多いんじゃないかと思います。

そんなあなたにお勧めなのがウィッチクエスト。ウィッチクエストなら計算のめんどくさい戦闘もほとんどなくて、シェアテキ

ストでデータがインターネットで公開されている、オンラインセッションにこの上なく適したルールです。

さらに、これから紹介するツールを使えば、ウィッチクエストのオンラインセッションを手軽に楽しむことが出来ます。つま

り、この本はウィッチクエストでオンラインセッションが出来る自作ツールの紹介と使い方を解説した HwoTo 本となります。

私が自作したのは CHOCOA 用ダイスボット、LimeChat 用ダイスマクロ、キャラメイクツール、マップエディタ＆マップビュ

ーアになります。一応、これでウィッチクエストのセッションは一通りこなせるはずです。キャラメイクツール、マップエディタ

＆マップビューアには Web 版がありますので、Java アプレットが使える環境なら Windows でも Mac でも ChromeOS でも動

作します。

その気になれば、キャラメイクから初めても 3 時間くらいでオンラインで 1 シナリオ遊べてしま

うんじゃないかと思います。

というわけで、冬コミの当落通知が来て、今回の新刊ネタを自作のオンラインセッションツー

ルの解説本にしようと思ったのが 11 月頭。昔作った CHOCOA 用ダイスボットはさすがに環境

が用意できないので、今よくつかわれている LimeChat 用のマクロを新しく作り、キャラメイクツ

ール、マップエディタ＆マップビューアも含めたチュートリアル動画を作成。その翌日に……

どどんとふ(※1)が 10/27 にウィッチクエストに対応していることを知りました orz

そりゃあどどんとふの方がグラフィカルでインタフェースも便利に決まってますわ。ダイス振

るとアニメーションするし、カードを引いてランダム遭遇表とか振れるわけですよ。

というわけで、作り始めてから軽いレゾンデートルの危機に陥ってしまったわけですが、もし

かしたらどどんとふの公開サーバが重くて使えないということもあるかもしれませんので、

LimeChat 用のマクロもあわせて紹介しようかと思います。

ちなみに、紹介するツールは「別冊！彬兄ブログ」からダウンロードできるようにしてありま

すので、QR コードか、URL からどうぞ。

http://trpg.cocolog-nifty.com/akiraani/2012/11/post-4f36.html

※1 どどんとふ

超高機能なサーバ型オンラインセッションツール。様々なルールに対応しており、チャットやダイスロールはもちろん、オプション次第でマップやカードの表示なんかもできます。

サーバ構築をしようと思うと専門知識が必要になるが、公開サーバを利用すればとっても簡単に利用できます。

2. IRC 用ボット/マクロ

(ア) CHOCOA 用ダイススクリプト

CHOCOA とは、富士通研究所がフリーで公開している IRC クライアントのひとつで、現在

は開発が停止していますが、配布自体はまだ行われています。

今はもう使っている人もあんまり居ないと思いますが、まだ CHOCOA を使っているよって

人向けに参考に。

CHOCOA 用スクリプトは自分の発言には反応しませんので、スクリプト実行専用のボット

を立ち上げて、ログインする必要があります。以下の手順で設定を行ってください。

１ ボット用に CHOCOA を起動して IRC サーバに接続する

２ 設定→スクリプトの設定を選んで、サービスリストの編集画面を表示する。

３ 追加ボタンから witch.csf を追加し、witch が追加されたら OK を押す。

４ チャットセッションを行うチャンネルにボットを join させる。

スクリプトボットが居るチャンネルで、コマンドを発言すると、ボットがコマンドの実行結果を表示します。

コマンド一覧

ウィッチタローのドロー

コマンド書式

#tarot X

ウィッチタローを X 枚引く。X は 大 5、省略した場合は 1 として表示される。 ＃一回のコマ

ンドで同じカードを二枚引くことはありません。

使用例 (GM) : #tarot 3

(WQ_bot) : GM gets 28.THE FOREIGNER card

(WQ_bot) : GM gets 7.THE SUN card

(WQ_bot) : GM gets 6.BLOOD card

技能判定(チャレンジ)

コマンド書式

#skill X

技能 X のチャレンジ判定を行う。X は 大 10 で省略不可

使用例 (Player1) : #skill 3

(WQ_bot) : Player1 : (3,1) [1,1] (1,4) (1,6) (2,4) (2,1) : 1 hit!

nD6 ダイスロール

コマンド書式

#dice X

X 個の D6 を振って合計を出す。X は 大 4、省略した場合は 1 として表示される。

＃消費猫ポイントの決定等に使用します。

使用例 (Player1) : #dice 2

(WQ_bot) : Player1 : (6,6) = 12

魔女の魔法判定

コマンド書式

#maho

D6×D6 ロールを行う。

＃魔女の魔法を使うときに使用します。

使用例 (Player1) : #maho

(WQ_bot) : Player1 : (6*3) = 18

※2 IRC クライアント

テキストベースのインアタ-ネットチャット、IRC でチャットをするためのソフト。

(イ) LimeChat 用ダイスマクロ

LimeChat は CHOCOA と同じく有名な IRC クライアントで、動作が軽快で今から IRC を始めるのであれば LimeChat

を利用することをお勧めします。

CHOCOA スクリプトと違い、自分の発言にもコマンドが反応しますので、専用のボットをログインさせる必要はありませ

ん。GM かプレイヤーの誰かひとりがマクロを設定していれば OK です。

LimeChat 用のマクロは以下の手順で設定してください。

１ LimeChat のマクロフォルダに WQmcros.zip の macro フォルダのファイルを解凍する。

２ 設定→マクロの設定を選んで、マクロの設定画面を表示する。

３ 新規ボタンからファイル名に「WQ」を指定して OK ボタンを押す。

４ 使用している IRC サーバの列のセルを右クリックして「○」をつけて閉じるをボタンを押す。

マクロを設定した人と同じチャンネルでコマンドを発言すると、コマンドの実行結果を表示します。

コマンド一覧

技能判定(チャレンジ)

コマンド書式

#WQDice X

技能 X のチャレンジ判定を行う。X は 1～12、省略不可

成功数は表示されません。ぞろ目には「*」がつきますので「*」数を数えてください。

使用例 (Player1) : #WQDice 6

(WQ_GM) : Player1 : [3,5] [4,1] *[4,4] [1,2] [1,5] [5,2]

nD6 ダイスロール

コマンド書式

#XD6

X 個の D6 を振って合計を出す。X は 大 4、省略不可。

＃消費猫ポイントの決定等に使用します。

使用例 (Player1) : #2D6

(WQ_GM) : Player1 :2,6=8

ウィッチタローのドロー

コマンド書式

#WQTaro

ウィッチタローを 1 枚引く。正位置が逆位置かもランダムで表示されます。2 枚以上引きたい場

合は引きたい数だけコマンドを実行してください。

使用例 (Player1) : #WQtaro

(WQ_GM) : Player1 : 27.THE WARRIOR 正位置

ストラクチャーカードのドロー

コマンド書式

#WQStructure

ストラクチャーカードを 1 枚引く。

使用例 (Player1) : #WQStructure

(WQ_GM) : Player1 : 劇場

遭遇表(場所)

コマンド書式

#遭遇表 場所

#遭遇表 X

ランダム遭遇表を振る。場所はストラクチャーカード名、X は 1～4 の数字。

場所の前には半角スペースが付くが、X の前には半角スペースは付かないので注意。

使用例 (Player1) : #遭遇表 道

(WQ_GM) : Player1 : 歌を歌っている

(Player1) #遭遇表 1

(WQ_GM) Player1 : 新婚さん

3. マップエディタ＆マップビューア

マップエディタとマップビューアはセットで使います。大まかな使い方は以下の通りです。

１．GM がマップエディタでシナリオで使うマップをデザイン

２．GM が１のマップのビューア用コードを出力してチャットに貼り付ける

３．PL は２のビューア用コードをビューア入力してマップを表示する

ビューア用コードは町の名前＋40～50 バイト程度の半角英数記号の文字列で、発言がコピペ可能なテキストチャット

なら IRC でも Web チャットでも、どどんとふでも使えます。

マップエディタ、マップビューアにはそれぞれ Web 版とローカル版があります。Web 版は HSPLet を使ってローカル版

を Java アプレットに変換したものなので、機能は同等ですが、マップエディタの Web 版にはいくつか不具合があるので、

ローカル版の利用を推奨します。

(ア) マップエディタの使い方

Web 版のみの不具合について

おそらく HSPLet の問題だと思うのですが、Web 版では画面下の方にあるボタンやテキストボックスをクリックすると、クリ

ックイベントが暴発してマップで選択していた部分が解除される、テキストボックスで選択していた文字列が解除されると

いう不具合があります。

このため、マップ上で場所(カード)を選択した状態でボタンを押したりテキストボックスの文字をコピーする場合はタブ

キーでフォーカスを移動して、スペースキーでボタンを押す、文字列のコピーは ctrl+A→ctrl+C を使うなどしてマウスをク

リックしない操作を行う必要があります。

ローカル版(Windwos 専用)ではクリックイベントの暴発は起こりませんので、Windows を使用している場合はマップビュ

ーアはローカル版を使用することをお勧めします。

Web 版マップエディタでのカード削除操作

1:削除したい

カードをクリック

して選択する

2:TAB キーを押して

フォーカスを削除

ボタンに移動する

3:スペースキーを

押して削除する

街の作成

マップエディタを起動すると、ストラクチャーカードを使った町の作成ルールに従って街がランダム生成されます。

プルダウンメニュー①では、町の広さを指定します。ランダムを指定した場合、カードを配るボタン②でカードを配ると

きに街の大きさもランダムに決定されます。今の配置を選んだ場合、現在のマップ配置のままストラクチャーカードだけを

配り直します。数字を指定すると、ルールにある通りの配置で配り直します。

右側にストラクチャーカードの一覧③が表示されていて、マップ上④に配置されているカードは文字色が薄く表示され

ています。マップ部分をクリックして赤枠で位置を選択して、未配置のカードをクリックすると、その場所にクリックしたカー

ドが置かれます。すでにカードが配置されていた場合は、カードを交換します。

マップ部分をクリックすると、クリックした部分に赤枠⑤が表示されます。すでに配置済みのカード上にこの赤枠がある

状態だと、ビューアコードに現在位置情報が追加されて、ビューアで表示したときに現在位置に魔女と猫の絵が表示さ

れるようになります。なお、カード未配置の個所をクリックする場合、配置したい場所の左上辺りをクリックするようにしてく

ださい。

カードは配置するがビューア上は伏せておきたい場合、カードを個別に裏にして配置することができます。裏の状態

になっているカードは、ビューア上ではカード名が表示されず白カードに見えます。表、裏はカードの上で右クリックすれ

ば変更することができ、また、全部裏、全部表ボタンでマップに配置したすべてのカードの表裏操作ができます。

ビューアコード、エディタコードの生成

１

2

3

4

5

6

ビューア用のコードは画面下のテキストボックス⑥に表示されます。カードの配置を変更すると自動的に内容が反映

されますが、町の名前しか変更しなかった場合は自動変更されません。そういう場合は更新ボタンを押すとコードが更新

されます。

エディタ用のデータの保存にはエディタコードを使用します。出力ボタンを押すと、裏むきのカード情報も含めたエ

ディタ用のコードを生成します。エディタ用コードを入力ボタンから入力することで、エディット中のデータに戻ることがで

きます。

(イ) マップビューアの使い方

マップビューアのテキストボックスに、ビューア用のコードを入力して表示ボタンを押すと、マップが表示されます。名

前が表示されていないカードは、裏返し状態のカードになります。

現在位置データがある場合、カードに魔女と猫の絵が表示されます。

4. キャラメイクツール

キャラメイクツールにはオフライン版とオンライ版の二つがありますが、基本的な機能は全く同じです。

ただし、オンライン版はオフライン版とは操作が異なる点がいくつかあります。

今回は、オンラインセッション用ですので、オンライン版を基準に見ていきます。

起動すると、一通りのダイスロールが行われて、各数値が自動的に決定されます。

後は魔女の名前と猫の名前を入れれば、とりあえずプレイ可能なキャラクターが完成します。

ふり直しボタンを押すと、ダイスロールがすべてやりなおされます。名前は変更されませんが、それ以外の値はすべて

変更されます。

また、後から入力、変更が可能な項目がいくつかあります。

・魔女のスキルの割り当て変更

魔女のちから、普通のちから、ほうきで空を飛ぶちから、のそれぞれに割り当てられているスキルを任意のものに変

更することができます。

例えば、普通のちからで「力仕事(4)」「本を読む(2)」のスキルを持っていた場合、これを「すてきな笑顔(4)」「礼儀作

法(2)」に変更したりすることができます。

ファクターの下にある選択ボタンを押すとスキル選択画面が表示されますので、割り当てたいスキルを順番に指定して

ください。

スキル選択画面：押した順に上からスキルを割り当てていきます

・性別変更

猫の性別(オス or メス)の切り替えができます。

・猫の色の指定

好きな色を入力できます。普通に文字入力できるので、「白地に赤の温泉マーク」というような指定も可能です。なお、

猫の色のみ振り直しを行うと、リセットされますので注意してください。

テキストファイルの保存

オフライン版は作成したキャラクターはテキスト

ファイル形式で保存することができます。

オンライン版ではテキストファイルに直接保存

することができませんので、テキスト形式での表

示を行ってその内容をコピーしてテキストエディ

タに貼り付けて保存してください。オンラインセッ

ションで IRC を利用している場合はチャットにそ

のまま貼り付けてもよいでしょう。

文字数インデントがかかっているので、等幅

フォントで表示することをお勧めします。インター

ネット掲示板等に貼り付ける場合は、指定が可能

であれば<pre>および<tt>タグをつけると見やす

く表示されると思います。

5. どどんとふについて

どどんとふでウィッチクエストダイスを使用した場合、こんな感じになります。

見ての通り、グラフィカルでセッションの雰囲気は出やすいです。ダイスロールを行うと、画面上にサイコロが転がって

きたりして、臨場感もばっちり。フラッシュプレイヤーなので PC 系のブラウザならどれでも動くというのは大きいですね。公

式サーバをはじめとして、ルールデータさえ用意できるなら、TRPG online よりも便利だと思います。

公開セッションをする場合もどどんとふはおすすめです。プレイヤーとして参加しないけど、観戦したりといったモード

がありますし、セッションの様子を動画で録画したりも出来ますし。使いこなせれば、ほんと、高機能です。

機能の詳細については本書よりももっと詳しいものが公式に用意されているので、詳しくは Web で。

「どどんとふ」で検索！

6. あとがき

ここんとこずっとウィッチクエストとは全く関係のないものばかり作っていたので、そろそろウィッチクエスト関係の何かを

出したいなーと思っていたんですよね。

しかし、うかつに卓を立ててもウィッチクエストって魔女狩りするゲームでしょウラー！みたいな連中が集まってきかねな

いという状況で、シナリオ作ってもプレイするアテもないという……。

そんなわけで、夏あたりに昔に作ったオンラインセッションツールの紹介本とかいいなーと密かにもくろんでたんですよ

ね。そしたら、どどんとふのウィッチクエスト対応……いや、マジでびっくりしました。

技術的な話をすると、その昔にキャラメイクツール、マップエディタ、マップビューアとオンラインセッション支援ツール

は HSP2.6 で作ってました。それを試験的に HSPLet で Java アプレット化してみたところ、肝心要のマップエディタがボタ

ン押した時にクリックイベントが暴発するという不具合があって、そのままお蔵入りにしてました。

もしかして、 新の HSP3.0 とかなら上手くいくかなーと思って、秋頃にちょっと試してみたんですが上手くいかず(とい

うかよりヒドイ結果に)、他に改善手段も思いつかずあきらめました。

同じ頃に CHOCOA 用のボットも作ってたんですが、これも今となっては CHOCOA 使ってる人がもはや圧倒的少数派

で今更感ありまくりで、これを機に LimeChat マクロで作ることに。やってみたら思ったよりも簡単にできたので、ついでに

ランダム遭遇表も力技で実装してみました。

自分で言うのもなんですが、かなり実用的オンラインセッションツールになっていると思います。

7. おくづけ

本書は無料配布で、ネットでも PDF 版、各種ツールと一緒に公開しています。

連絡などは以下のブログエントリまでお願いします。

別冊！彬兄ブログ

http://trpg.cocolog-nifty.com/akiraani/2012/11/post-4f36.html

2012/12/24 彬兄