Inside Telecommunications...2013/12/01  ·...

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  • Issue11

    Inside TelecommunicationsEY テレコムセンターによるテレコムセクター最新トレンド

    2013 年 7-9 月期

    スマートホームとスマートビジネス

    Inside Telecommunications(第 11 号)へようこそ。

    Inside Telecommunications は、世界のテレコム業界の注目すべき動向を四半期ごとにお伝えしています。今号では、通信事業者によるスマートホーム戦略からデータセンター投資、中小企業向けクラウドサービス

    のプロビジョニングなど、多くのテーマを取り上げています。

    ご意見・ご感想などがございましたら、ぜひお寄せください。

    EY グローバル・テレコムリーダー

    Jonathan Dharmapalan

    EY Japan エリア・テレコムリーダー

    塚原 正彦

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 2

    目 次

    序章 3

    1. サービスイノベーション ............................................................................................ 4

    スマートホームの事業機会を巡る様々な思惑................................................................................ 4

    小規模事業者向けクラウドサービスを強化する通信事業者 ................................................................ 5

    2. テクノロジー .......................................................................................................... 7

    データセンターへの投資 ........................................................................................................ 7

    LTE制御信号の爆発的増加に備える モバイル事業者 ..................................................................... 8

    3. 規制 .................................................................................................................. 10

    周波数共用に向けた新たな歩み ............................................................................................. 10

    海外投資上限を引き上げ インド、韓国 ..................................................................................... 11

    4. M&A ................................................................................................................. 13

    概要 .............................................................................................................................. 13

    ベライゾン、モバイル事業部門を完全子会社化 ............................................................................ 13

    モバイル事業者の合併が続くドイツ .......................................................................................... 13

    アフリカのM&A ................................................................................................................ 14

    M&A 続くインドネシア ......................................................................................................... 14

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 3

    世界のテレコム業界では 2013 年 7-9 月期、多くの動きが見られました。テレコム業界は確実に大規模な M&A に戻ってきており、9 月までの 3 か月間における取引額はこれまでにない高さとなりました。注目されているのは欧州で、その理由はいくつか挙げられます。欧州の主要通信事業者の一部は、その負債

    を軽減するため事業規模の見直しを行っており、一方で欧州以外のプレーヤーは、欧州企業のバリュエ

    ーション低下の恩恵を得ています。大規模な統合によって生じる競争緩和を受け入れるかどうかは、規

    制当局の意向次第となるでしょう。

    序章

    市場内部の統合に伴い、多くのプレーヤーは新サービスをアップセルする機会があると信

    じ、また、より忠誠心の強い顧客基盤を創出できると信じて、サービスメニュー拡大を模索

    しています。このことは、地域住民向けにサービスを提供している通信事業者について言

    えば、有料 TV と関連コンテンツの提供により積極的に動くことを意味します。

    英国の大手通信事業者 BT は 11 月、UEFA チャンピオンズリーグと欧州リーグサッカーの放映権 3 年分を 9 億ポンドで獲得したと発表しました。同社は 2012 年、プレミアリーグサッカーの放映権を獲得しており、8 月には「BT スポーツ」を立ち上げました。こうした割高なコンテンツに大手通信事業者やケーブルTV 事業者が興味を示していることは、欧州トップ5 のサッカーリーグの放映から得られる収益の伸びに表れています。最近では放映権料は 25%上昇し、1 シーズンにつき 67 億米ドルとなりました1。

    結果として、トリプルプレイ市場における競争は新たな段階に入りつつあります。有料 TVを持つ従来のプレーヤーは、ブロードバンドのバンドリングサービスで大幅な値引きを行っ

    ています。一方、プレミアムコンテンツに新規参入する事業者は、既存のスポーツ放送事

    業に切り込みたいと願っています。

    顧客のニーズを理解し整理することはますます重要となっています。ハイエンドなサービスパッケージには、

    ホームオートメーションとモニタリングサービスが盛り込まれるようになり、こうしたバンドル・パッケージに対

    する反応は変化してきています。

    プレミアムコンテンツの重要性に関し、消費者の反応とニーズとには複雑な相互作用が見てとれます。EY は2013 年 8 月、英国の 2,500 世帯を対象に調査を行い、トリプルプレイを利用している世帯では、提供されている有料 TV サービスに大変満足しているという結果が得られました。

    (図 1)英国のトリプルプレイ利用者のプレミアムコンテンツに対する反応2

    質問:あなたは次の内容に同意しますか。「利用中のブロードバンド事業者から提供される有料放送は、対価に見合う価値を提供している」

    出所:「Bundle Jungle 2013」2013 年 11 月 EY(英国 2,500 世帯に対するオンライン調査)

    しかし、スポーツ TV 放送を見るために対価を支払うことは「全く同意できない」とした回答者は全体の全回答者の 50%強でした。有料スポーツ放送に対するこうした反応を、価格低減によって変えることができるかどうかは興味深いところとなるでしょう。同時に、英国におけるクアッドプレイ(ブロードバンド、TV、固定電話、携帯電話)の利用者は 20 世帯に 1 世帯未満であり、家庭向けバンドリングサービスにおけるモバイルの重要性は依然不確かなものとなっています。

    1 「Top Soccer Leagues Get 25% Rise in TV Rights Sales, Report Says” Bloomberg 2013/11/11

    2 Bundle Jungle EY 2013 年 11 月

    18

    3534

    9

    3

    強く同意

    やや同意

    どちらでもない

    やや同意できない

    全く同意できない

    Adrian Baschnongaグローバルテレコムセンター

    リードアナリスト

    abaschnonga@uk.ey.com

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 4

    1. サービスイノベーションスマートホームの事業機会を巡る様々

    な思惑

    「スマートホーム」はスマートメーターからホームオートメーショ

    ンまで、住まいに関する情報と ICT(情報技術)イノベーションの幅広い範囲を含んでおり、そのコンセプトは曖昧です。現在

    「スマートホーム」とは、家電製品・電化製品の自動化や遠隔

    地からの管理、応答といった機能を持つものを指すと考えら

    れます。

    各家庭には複数の様々の端末があり、通信ネットワークの普

    及率も高くなっています。こうした中、ホームセキュリティや水

    道・電気、ヘルスケアやエンターテイメントの分野でサービス

    の進化が見られます。

    「Internet of Things」(モノのインターネット)の時代に向け、標準化の動きも進んでいます。低価格な機器であってもWi-Fiや ZigBee、X10、Z-Wave や Insteon などのプロトコルに対応しており、もはや高価なホームオートメーションシステムは必

    要ではなくなってきています。

    結果として、既存の関連事業者から破壊的事業者まで、様々

    な業界のプレーヤーがこの領域に参入しようとしています。ホ

    ームセキュリティ専門業者、大手テクノロジー企業、通信事業

    者やケーブル事業者、水道・電気事業者などは皆、「スマート

    ホーム」の必要性を描き出し、そうした「イノベーティブな家」か

    ら生み出されるであろう将来の収益に期待を高めています。

    そしてその期待はハードとサービスの双方に向けられていま

    す。

    (図 2) スマートホームシステム(ハード及びサービス)の収益予測

    出所:「Smart Home & Home Automation: Analysis & Market Forecast 2012-2017」

    NextMarket Insights 2012 年 10 月

    「スマートホーム」のビジネスモデルや適用技術については依

    然模索が続けられています。そうした中、既に大きな顧客基

    盤を持つ各国の主要通信事業者はより顧客にアピールする

    ポジションを探して独自のアプローチを取ろうとしています。

    米 AT&T は今年 4 月、ホームセキュリティとホームオートメーションのパッケージサービス「Digital Life」を立ち上げました。同サービスは、監視センターによる 24 時間の危険監視などを提供しています。利用者はスマートフォンやタブレット、PCからこのサービスをコントロールすることができます。3G ネットワーク上で動作するよう設計されているため、広いエリアの

    顧客をカバーすることができます3。端末やサービスの追加も

    可能で、例えばモーションセンサーや危機管理システムと水

    道管理パッケージといったものがあります。

    欧州のプレーヤーもまた、家庭向けの新しいサービスを生み

    出しています。ドイツテレコムは 9 月、ドイツの電力会社EnBW、電化製品メーカーの Miele、端末機器の eQ-3 及びサムスンと提携して、スマートホームサービス基盤「Qivicon」を立ち上げました。ドイツテレコムは、スマートホームサービスを

    顧客に提供する Qivicon のパートナー企業からライセンス料を得る計画です。ドイツ市場では複数の提携が行われていま

    す。たとえば E.ON はドイツテレコムと提携していますが、一方で他のプラットフォームとも提携しています。

    卸事業を模索する通信事業者同士の動きも見られます。スイ

    スコムは昨年、PLC(電力線通信)の Asoka と共に、エネルギー管理サービスの OEM 提供に向け、ジョイント・ベンチャー「MyStrom」を立ち上げました。フランスのオレンジもポーランドの子会社を通じ自社のブロードバンド加入者に対する家庭

    用遠隔監視サービスの提供を開始、スマートホーム市場に参

    入しました4。

    通信事業者は、高い信頼を受けているブランド、巨額なマー

    ケティング予算、多くの加入世帯といった強みを持っており、

    ホームオートメーション市場で確かなアドバンテージがありま

    す。スマートホームの提供は、既存の加入世帯にとってより魅

    力的なものとなるでしょう。コムキャストによると、同社のセキ

    ュリティサービスの利用者の半分は、同社のサービスを始め

    て利用したとしており、一方、同社の Xfinity スマートホームサービス加入者の 96%は、他に同社のサービスを少なくとも更に二つ、利用しているということです5。多くの市場でブロード

    バンドサービス利用者に対し割引サービスが提供されていま

    す。

    通信事業者は既に、より洗練されたサービスの開発に取り組

    んでいます。NFC(Near Field Communication)は、将来のサービス開発において重要と見られています。ベライゾンとコ

    3 “AT&T Digital Life” Cisco Customer Case Study 2013

    4 “Orange Poland offers Smart House remote monitoring system” Telecomper 13

    May 2013

    5 “US cable companies home in on security” Reuters 10 October 2013

  • Inside Telecom Issue11

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    ムキャストが最近申請した特許によると、企業は家庭内の機

    器との通信を実現するセットトップボックスやホームオートメー

    ションシステムに NFC を利用することを検討しています6。

    ホームオートメーションサービスに対する顧客の要求につい

    ても注意深く扱う必要があるでしょう。これまでの顧客調査に

    よれば、顧客は確かに一定の興味を持っているようです。あ

    るレポートによると、ブロードバンド回線を保有する米国世帯

    の内 14%は、彼らが契約する ISP のホームセキュリティサービスに高い関心を示しています。また、現在セキュリティ監視

    サービスを利用している世帯の 40%は、もしより良いサービスを提供する事業者が現れた場合、乗り換える意思があるとし

    ています7。更に、英国の家庭向け市場について EYが最近行った調査によると、回答者の 27%は家庭内機器の遠隔操作に関心を持っていました。

    (図 3) 遠隔監視サービスを望む英国消費者

    質問:あなたは次の内容に同意しますか。「外出中、家の中の端末機器をイン

    ターネット経由で外から操作したい」

    %回答者数

    出所:「Bundle Jungle 2013」 EY 2013 年 11 月(英国内 2,500 人に対するオンライン調査)

    様々な業界のプレーヤーがスマートホームを自らの事業ポー

    トフォリオに加えることで競争優位性を得ようと模索する中、

    企業連携は引き続き、新たに生まれつつある利用方法の品

    質を保証するものとなっています。長期的な変革をもたらすで

    あろうマートホームのコンセプトを実現するために、産業のあ

    らゆるレベルにおいて業務提携が必要とされています。

    標準化の進展は新しい利用方法を実現する手助けとなって

    います。あらゆる地域と市場において、スマートホームのコン

    セプトを形作る新しい提携の形が始まろうとしています。ABBとBosch、Cisco、LG は 10月、異なるプロトコル間で動作する機器同士のデータ交換を実現するソフトウェアプラットフォー

    ムのためのオープンアーキテクチャを共同開発すると発表し

    ました8。こうした動きはスマートホーム・イノベーションの実現

    を確実なものにしていくことでしょう。

    6 “Tap to watch: How near field communication could transform the pay TV business”

    Fierce Cable 20 August 2013

    7 “Bundled services and new IP features generating churn and new subscribers in

    monitored security” Parks Associate 20 September 2012

    8 “Open standard for the smart homes of the future” ABB, Bosch, Cisco and LG

    2013 年 10 月 28 日

    ホームオートメーション及びセキュリティサービスに対する需

    要は見え始めたばかりですが、通信事業者は既存顧客を基

    盤としたクロスセルで行くのか、それともプラットフォームを通

    じてより広い市場を狙うのか、あるいは機器のイノベーション

    を狙うのかといった視点で、自らの戦略を見直しておく必要が

    あるでしょう。既存のプレーヤーはカスタマイズ可能なハイエ

    ンドのシステムを提供し、OTT プレーヤーは廉価なセンサーやスマートフォンアプリを組み合わせ、スマートホーム市場の

    開発に参入してくることでしょう。従って、機器ベンダーやソフ

    トハウスとの提携は強固なものとしておかなければなりませ

    ん。

    小規模事業者向けクラウドサービスを

    強化する通信事業者

    クラウドサービスの市場は急速な発展を続けています。クラ

    ウドサービスに対する企業の需要は増え続けており、世界の

    パブリック ITクラウドサービスへの支出は、この先 4年間で倍増し、2017 年には 1,070 億米ドルに達すると見られています9。

    IaaS(Infrastructure-as-a-Service)と PaaS(Platform-as-a-service)は、今後のクラウドサービス市場において大きなシェアを占めるだろうと期待されているものの、

    当四半期(2013 年 7-9 月期)においては依 然、SaaS(Software-as-a-service)市場が独占的でした。また、今後の成長 が見込まれる クラ ウドソフト ウェア の世界 市場 の

    2012-16 年の年間平均成長率(CAGR)は 23%と予測されています10。

    (図 4) 世界の SaaS 及びクラウドソフトウェア市場規模(セグメント別)

    出所:「Worldwide SaaS and Cloud Software 2012-2016 Forecast and 2011 Vendor

    Shares」 IDC 2012 年 8 月

    通信事業者は、保有する既存のネットワークを生かし、IaaS市場において現在、最善のポジションにあります。しかし、クラ

    ウドソフトウェアとアプリケーションの市場では新たな事業機

    会が登場し始めており、通信事業者はリモートデスクトップか

    9 “IDC Forecasts Worldwide Public IT Cloud Services Spending to Reach Nearly

    US$108Billion as Focus Shifts from Savings to Innovation” IDC 2013 年 9 月 3 日

    10 “Worldwide SaaS and Cloud Software 2012-2016 Forecast and 2011 Vendor

    Shares” IDC 2012 年 8 月

    10

    17

    2326

    25 強く同意

    やや同意

    どちらでもない

    やや同意できない

    全く同意できない

  • Inside Telecom Issue11

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    らユニファイド・コミュニケーションまで、幅広いサービスに焦

    点を向けるようになっています。

    消費者向けアプリストアの成功を受け、法人向けアプリストア

    もクラウドソフトウェア市場の重要な機能となってきています。

    ロシアの通信事業者 MTS は 7 月、モスクワの顧客に対し、Microsoft Office 365 を SaaS で提供するマーケットプレイスを NEC と共に立ち上げました。同マーケットプレイスは中小企業を対象としており、Office365 の他、会計ソフトやビデオ会議システムも提供しています。中小企業は特にクラウドサー

    ビスの利用に積極的と見られており、MTS は今後 3 年間で、同社の中小企業の顧客の内 35%が、こうしたサービスを利用するだろうと見ています11。

    フランスのブイグテレコムも 5 月、十数名以下の事業者を対象にSaaS型アプリケーションマーケットプレイスの「SolutionsCloud Pro」を提供するため、NEC と提携契約を結びました。サウジアラビアのモバイル事業者 Mibility もまた、クラウドアプリケーションを自らの法人顧客に提供するため、他社との

    提携を活用しています。同社は 7 月、クラウド管理ソフトプロバイダの Virtustream と協同で、クラウド基盤「BusinessCloud Services」の提供を開始しました。

    新興市場の通信事業者もまた、法人向けクラウドアプリケー

    ションの提案を強化するため、新たな動きを見せています。イ

    ンドのタタ・ドコモは 10 月、クラウドアプリケーションのセットである Instasoft を立ち上げました。Instasoft はメッセージング&コラボレーションの InstaOffice、基幹人事管理ソフトで計画・分析ツールも含む InstaHRMS、従業員同士のコラボレーションを促進する InstaMeet を含んでいます。ケニアのモバイル事業者サファリコムは 9月、電子メール、給与・会計ソフトを含む中小企業向け SaaS ソリューションの提供を明らかにしました。

    広がりを見せるクラウドソフトウェア市場は、通信事業者にと

    って重要なものです。著名なソフトウェアの再販は、それが普

    及し始めたばかりの市場において強力なエントリーポイントと

    なり得ます。ICT プロバイダは従来、小規模事業者向けには十分なサービスを提供してきませんでしたが、小規模事業者

    のクラウドへの需要は強く、特に従業員 100 人以下の組織では顕著です。

    (図 5) 中小企業のクラウドサービス利用状況(企業規模別)

    出所:「State of SMB IT 1H 2013」 Spiceworks 2013 年 9 月

    11 “Russian telecoms offer cloud services” PMR 2013 年 6 月 21 日

    中小企業の間でクラウドソリューションの利用率が高くなって

    いるのは固定的な投資を欠いているためであり、従って、規

    模の大きい企業に比べて移行しやすいと言えるでしょう。同

    時に、クラウド利用による経費節減は小規模事業者にとって

    魅力的です。一方では、中小企業で働くモバイルワーカーの

    数は 2016 年までに世界で 2 億 9,800 万人に達すると見られており12、柔軟なアプリケーションサポートに対する需要が

    高まっています。

    多くの通信事業者は中小企業向けクラウドの展開を急いでい

    ます。人気のあるソフトウェアと回線契約とのバンドリングは、

    顧客の囲い込み強化に役立つかもしれません。しかし一方で

    は、業務提携の在り方は一層多様化し、多くの通信事業者が

    ソフトウェアベンダーの 1 チャネルとして振る舞うようになる中、サービスの差異化が最優先となるでしょう。

    先を見越せば、最も効果的な戦略は音声、データ、モバイル

    とクラウドアプリケーションの組み合わせによる付加価値の向

    上でしょう。一つの企業で利用されるSaaSアプリケーションの数は増加傾向にあり、柔軟なプロビジョニングは最も重要とな

    る で し ょ う 。 更 に 、 例 え ば BPaaS(Businesprocess-as-a-service)が益々重用なものとなってきている昨今、複雑な SaaS 市場がどのように変化していくのか、通信事業者は検討しておく必要も生じてくるでしょう。

    大手の通信事業者はクラウドソフトウェアを直接提供するの

    か、それとも広がりを見せるクラウドブローカー・モデルの中

    で中小企業向けチャネルの一つとなるのか、検討が求められ

    るでしょう。クラウドブローカー・モデルは、中小企業を顧客と

    する仲介者を通じて幅広いクラウドサービスを提供するという

    ものです。最も効果的な市場アプローチを識別するため顧客

    のターゲティングを慎重に行っている通信事業者にとっては、

    そのようなビジネスモデルの広がりは重荷となるでしょう。

    12 “Worldwide SMB Mobile Workforce will grow to 298 billion in 2016 at 6.3% CAGR”

    Techaisle, 5 February 2013

  • Inside Telecom Issue11

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    2. テクノロジー

    データセンターへの投資

    通信事業者にとってデータセンター事業は、企業向けホスティ

    ングサービスを提供する上で重要な要素となっています。近年、

    多くの通信事業者(MNC)はデータセンター建設に力を入れると同時に、顧客ニーズの変化に対応するため新たな提携先を得

    ようとする動きが目立ちます。

    データセンター戦略は、規模の小さい通信事業者や、新興国で

    未成熟な企業を顧客とする通信事業者の間でも、今や常識と

    なりつつあります。通信事業者はその規模の大小を問わず、遅

    延制御やキャパシティ拡張といった法人顧客の要求に対し、よ

    り適切に対応することに重点を置くようになってきています。更

    に、今後データセンターの IP トラフィックの増加率は高い値で推移し、2017 年には 7.7 ゼタバイトに達すると見られています。また、2012 年には全体の 46%だったクラウドアプリケーションは、69%を占めるようになると見られています13。

    (図 6) 世界のデータセンターの IP トラフィック予測(2012-17)

    中東では今年、活発な動きが見られました。UAE の Du は 1 月、米 Equinix と共同で、ドバイにキャリア中立のデータセンターを8,000 万米ドルで設立しました。同社は金融機関やコンテンツプロバイダ、他地域のキャリアといったテナントに対し、高品質

    な通信とマネージドサービスを提供する計画です。同社は 6 月、アブダビ政府が保有するデータセンター事業者の KhazanaData Center の株式 10% を取得しました。アブダビ政府はKhazana Data Center のアブダビとドバイの 2 か所のデータセンターのテナントとなることを既に同意しています。

    中東におけるデータセンター投資の増加は、同地域における ITインフラ市場の成長を反映したものであり、同地域で計画され

    ているデータセンターの統合や共同設立は市場予測を明るいも

    のとしています。また、欧州やアジアのサービスを利用する代

    わりに同地域内にアプリケーションとコンテンツを留め置こうと

    する流れは、地域事業者の業績向上を推進することでしょう。

    13 「Cisco Global Cloud Index: Forecast and Methodology, 2012-2017」Cisco

    2013/10/15

    中東におけるデータセンター投資は、同地域を ICT ハブにしようとする長期計画に基づいたものですが、一方、アフリカ市場で

    新設されているデータセンターは、インフラ基盤強化を図ろうと

    するパライムシフトの中で起きている最新の流れを反映したも

    のです。Econet Wireless の子会社で光ファイバ、衛星、国際通信サービスを提供する Liquid Telecom は 9 月、ケニアにキャリア中立のデータセンターを開設しました。ホスティングとディザ

    スタリカバリ、キャリア向けクラウドサービスを提供する同データ

    センターの信頼性は 99.982%となっており、東アフリカ及び中央アフリカで唯一、国際標準の TIA-942 に適合しています。

    また、インターネットのコンテンツ配信と低遅延の重要性はます

    ます高まっており、同データセンターはアフリカにおけるデータ

    サービスに対する急速な需要拡大に応えるものです。同時に、

    法人顧客は第三者にデータを託すことに以前にも増して高い関

    心を寄せています。これは経費節減や基幹事業への集中・不

    十分な安全性と信頼性を欠く電力供給などの問題を背景とした

    ものです。

    先進国の大手通信事業者もまた、データセンターへの投資を拡

    大させています。ポルトガル・テレコムは 9 月、ポルトガルに欧州最大級のデータセンターを開設しました。同施設は同社のク

    ラウドサービス展開の基盤として期待されています。同施設に

    は合計 9,900 万米ドルが投入されました。同施設はまた、ストレージからクラウドサービスまで、一連のサービスを提供すると

    共に、リスボン及びブラジルにある同社の既存データセンターと

    接続する予定です。

    テレコム・ニュージーランドもまた、データセンターの能力を拡張

    しています。同社は 4 月、現地のデータセンター事業者 ReveraLimited を 9,650NZ ドルで買収することで合意しました14。テレコム・ニュージーランドの経営戦略は、通信及びエンターテイメ

    ント、IT サービスのプロバイダになることであり、今回の買収はその一環です。Revera は引き続き独立を維持し、テレコム・ニュージーランドの ICT サービス部門 Gen-I の顧客に対しデータセンター及びクラウドサービスを提供します。Gen-I と Revera は9 月、データセンター建設の為、新たに 6,000 万 NZ ドルを投入すると発表しました。2014 年下期の完成が予定されています。

    データセンターが広く活用されることは通信事業者にとって歓

    迎すべきことですが、多くの課題もあります。この点は、特にこ

    れから市場展開を図ろうとする新興国・地域の通信事業者に該

    当します。データセンターの設備は通信事業者による法人向け

    事業の重要な基盤となるものであり、ミッションクリティカルな企

    業データを日々管理し責任を持つことを要求されるという点で、

    14 「Telecom ramps up its data centre and cloud offer」 Telecom New Zealand

    2013/4/29

  • Inside Telecom Issue11

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    新たなコンピテンシーが不可欠です。

    データセンターの建設には、現地における専門家不足の問題

    や契約など、特有の課題があります。適切な技術者と法律家の

    確保は時間を要します。既存の事業部門の中に専門の組織が

    あるとは限りません。

    ファイナンスや営業、顧客部門においても変化が求められます。

    データセンターによって新たなバンドルサービスが可能となり、

    技術営業チームは従来のアカウントマネージャーと共存するこ

    とになるでしょう。通信事業者のデータセンター事業にとって顧

    客からの長期にわたる信頼は重要です。同時に、グリーン ICTは通信事業者に長期的な判断を求めるでしょう。適切なデータ

    センターのアーキテクチャ設計は電力利用効率を高めることが

    できるからです。

    更に、通信事業者のデータセンター戦略は概して、資金調達能

    力や既存事業領域、他事業者との提携有無を問わず、様々な

    理由から流動的なものとなるでしょう。業務提携はサービス提

    供機会の拡大、あるいはリスク抑制といった観点からも、重要

    な戦略になるかもしれません。

    複数の市場に進出しているグローバルな通信事業者のエコシ

    ステム戦略と投資判断は、各地域におけるプレゼンスと顧客の

    要求に合わせ、それぞれに異なったものとなるでしょう。いずれ

    にせよ、野心的な大手通信事業者によって、また新興市場にお

    いて相次いでいるデータセンター関連の動きは、法人顧客のニ

    ーズが市場の成熟度に関係なく類似した方向にあることを示し

    ています。

    LTE 制御信号の爆発的増加に備えるモバイル事業者

    LTE ネットワークの拡大は、世界の無線通信事業を巡る環境に影響を与え続けています。GSA(Global mobile SuppliersAssociation)は、2013 年末までに、世界 93 か国で計 260 の商用ネットワークが提供開始されると見ています15。4G サービスへの加入者の移行により、スマート端末から発せられるモバ

    イルデータトラフィックは急速に増加し、それと共に制御信号も

    際限なく増えています。

    このため LTE ネットワークは、IMS(IP マルチメディアシステム)ア ー キ テ ク チ ャ に お い て 、 AAA ( Authentication,Authorization, Accounting:認証・認可・課金)サービスを安全かつ効率的に提供することが求められています。IMS ネットワークは、セッション制御プロトコルの SIP と Diameter によってコントロールされています。

    この二つのプロトコルは、別々に動作しつつ相互に機能を補完

    し合うよう設計されています。SIP は VoIP やビデオ会議などで

    15 「GSA confirms 200 LTE networks are commercially launched in 76 countries” GSA2013/8/7

    用いられています。一方 Diameter は、スマート端末で用いられているプロトコルです。Diameter プロトコルは従来標準よりも複雑で、アプリケーション毎、ユーザ毎に、より多くの信号を発しま

    す。

    世界の Diameter 信号の量は、2012 年の 125 万 mps(秒当たりメッセージ数)から、2017 年には 9,900 万 mps 程度にまで上昇すると見られています16 。年平均成長率(CAGR)は140%で、モバイルデータトラフィック増加率の倍以上となっています17。北米は現在、世界最大の LTE 市場であり、制御信号も最多規模になると推測されています。

    (図 7) 地域別 LTE Diameter 信号の量

    出所:「Oracle communications LTE diameter signaling index: Forecast report and analysis,

    2012-2017」Oracle 2013 年 9 月

    LTE の Diameter 信号増加の主な要因はポリシー制御にあり、2017 年までに世界の LTE ネットワークの秒当たりメッセージ数に占める Diameter 信号の割合は、60%以上になると予想されています18。通信事業者がデータ共有プランやモバイル広告、

    M2Mサービス、ストリーミングサービスなどデータサービスの提供を拡大する中、価格設定モデルにおけるフェアユースの観点

    から、制御信号と高度なポリシー制御は今後数年間で急増して

    いくでしょう。

    Diameterの制御信号を発するものとして次に大きいのは、オンライン課金です。オンライン課金はプリペイドの利用者が多い南

    米やアジア太平洋で多く見られます。対照的にオフライン課金

    では Diameter 信号の量は少なく、増加率も限定的です。また、3G-LTE 間のローミングでは、ポリシールール及びオンライン課金と比較して相対的に少なくなっています。

    16 「Oracle communications LTE diameter signaling index: Forecast report and analysis

    2012-2017” Oracle 2013 年 9 月

    17 「Cisco visual networking index: Forecast and methodology, 2012-2017」Cisco 2013

    年 5 月

    18 「Oracle communications LTE diameter signaling index: Forecast report and analysis

    2012-2017」Oracle 2013 年 9 月

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 9

    (図 8)LTE における Diameter の信号量の推移(ユースケース別)

    出所:「Oracle communications LTE diameter signaling index: forecast report and analysis

    2012-2017」Oracle 2013 年 9 月

    Diameter の制御信号を管理するために、通信事業者はDiameter シグナルコントローラの導入を進めています。同コントローラはLTE ビジネスの根幹に関わるもので、これにより通信事業者は段階型料金プランやロイヤルティプログラム、アプリケ

    ーションの QoS(サービス品質)など、新しい収益源の確保と解約率低減といった戦略を進めつつ、自らのネットワークの効率

    性と信頼性を向上させることができます。世界のDiameter シグナルコントローラの売上高は 2012 年、前年比 900%以上の増加となりました19。

    この 数か 月、 通信 事業者は自 社ネットワ ークへ の LTEDiameter 信号制御基盤導入のため、ベンダーとの提携を進めてきました。テレノールグローバルサービスは 7 月、自社ネットワークにおけるデータ及び 4G サービス向け国際ローミングのため、オラクルのテケレック Diameter ルータを採用しました。これによりテレノールは、世界各国で LTE ローミングサービスを提供可能となります20。

    Belgacom International Carrier Services(BICS)は 9月、ロジャース・コミュニケーションズとスイスコム、SK テレコムの 3 社と共同で、自社の IPX ネットワークと LTE Diameter サービスにより、欧州及び北米、アジアにおける LTE ローミングが可能になったと発表しました21。更に、T モバイル USA はネットワーク近代化(モダナイゼーション)プロジェクトの一環として、テケレック

    Diameter ルータを自社の LTE ネットワークに導入しました22。

    通信事業者は今後、Diameter シグナルの利用と共に多くの新しい挑戦を求められるでしょう。一例として、Diameter プロトコルは 3G ネットワークも含めた全ての IP ネットワークで適用するために拡張を続けています。インタフェースも発展を続けていま

    す。例えば位置情報サービス向けなどです。とはいえ、モバイ

    ル事業者は既に、加入者区分やサービスプラン、端末情報、ま

    19 「Oracle communications LTE diameter signaling index: Forecast report and analysis

    2012-2017」Oracle 2013 年 9 月

    20 「Oracle communications LTE diameter signaling index: Forecast report and analysis

    2012-2017」Oracle 2013 年 9 月

    21 「BICS IPX platform connects LTE services in Europe, North America and Asia」

    Optical Networks Daily 2013/9/9

    22 「T-mobile’s LTE network to use Tekelec’s Diameter signaling router」

    FierceBroadbandWireless2013/9/9

    た、様々な方面からのモバイルデータトラフィックの増加をモデ

    ル化していますが、こうした方法で Diameter のトラフィックを推定することは困難であり、今後ベンダーの追加的支援が必要と

    なるでしょう。

    信号トラフィックの増加を把握しておくことは、通信事業者がネ

    ットワークアーキテクチャを正確に設計するために有効です。同

    時に、顧客及び関係者の振る舞いなど新しい利用方法を理解

    しておくことはますます重要となるでしょう。将来の信号トラフィ

    ックのパターンは、特定ネットワークの一定時間内における限ら

    れた加入者のそれよりも多くの情報をもたらします。様々なアプ

    リケーション及びネットワーク上の様々な要素とアプリケーショ

    ンとの相互通信に影響されるネットワーク設計において、信号

    強度は重要な指標となるでしょう。

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 10

    3. 規制周波数共用に向けた新たな歩み

    規制当局及びモバイル事業者は、限られた資源である周波数

    の共用に向け、政策及び技術的解決策の模索を続けています。

    加速し続けるモバイルデータネットワークの需要に応えるため

    です。

    通信事業者は、周波数の有効活用を更に進めるための技術開

    発に最善を尽くしています。スモールセルや分散アンテナシス

    テムなどネットワークの密度を向上させる技術と共に新しい移

    動通信ネットワークはその一翼を担っています。

    複数の市場で周波数割当の見直しが進行中です。周波数は政

    府、海運、科学、宇宙、放送といった様々な用途に割り当てら

    れており、規制当局は断片化された割当に悩まされています。

    最適化されているとは言い難い周波数帯もあり、周波数の有効

    活用促進のため、通信事業者が周波数をペアで有効に利用で

    きるよう、移転を求める場合もあります。

    通信事業者らが周波数再編を希望しても早期決着に至ること

    はなく、多くの場合、政治的にも技術的にも、そして財政的にも

    多くの困難が現れます。

    モバイル事業向けに周波数が再編されることは長期的にみて

    も確かに有効ですが、モバイル事業者向けに割り当てることが

    できる周波数帯には限りがあります。周波数の共用は、単独あ

    るいは複数の利用において、周波数に対する需要と新技術の

    参入障壁を抑制するため、重用なツールとなってきています。

    周波数共用は様々な地理的要因と周波数帯の特性に関係して

    います。世界各国・地域の規制当局は、柔軟な割当を可能とす

    るフレームワークの検討を進めています。英国の通信規制当局

    Ofcom は 8 月、M2M 市場の影響などを踏まえ、免許の要不要を問わず周波数共用を進めるべく意見募集を行いました23。

    (図 9) 周波数共用に向けたアプローチ

    出所: “The future role of spectrum sharing for mobile and wireless data services”

    Ofcom 2013 年 8 月 9 日

    23 Nick Wood “Ofcom opens spectrum sharing consultation” Total Telecom Plus

    2013/9/12

    欧州委員会のテレコム再編パッケージは、周波数に関する規

    則の一元化を図るものです。同パッケージにより、通信事業者

    は周波数を共用あるいは取引することができ、より広い競争環

    境の中で様々な用途に利用しやすくなります24。

    米国では周波数共用は政府所有の周波数をモバイル事業向

    けに再編する議論の中の一部として検討されています。大統領

    科学技術諮問委員会(PCAST)は 2012 年、連邦政府が所有する3.5GHz 帯のうち100MHzを共用対象候補として位置付けました。

    同国のテレコム業界ではこれ以降、議論が紛糾し続けています。

    あるプレーヤーは、小規模事業者などの「一般認可アクセス

    (General Authorized Access:GAA)」ユーザの要求を満たす三層構造の周波数共用方式を推奨し、一方ではスモールセル

    の展開に有利な二層方式を推奨されています。政府はまた、周

    波数共用において課題となる干渉の問題について研究開発を

    進めるため、1 億ドルの予算を計上しました25。

    この議論から得られる成果は、全体としてより柔軟な周波数政

    策の登場を示すものであり、将来の周波数共用に関する合意

    の方向性を定めるであろうことから重要です。

    インドでは、周波数共用を巡る規則について、2014 年 1 月に予定されている周波数オークションの規定の拡張として議論が

    重ねられてきました。

    インドの電気通信規制庁 TRAI(The Telecoms RegulatoryAuthority of India) は 電気通信局 DOT (Department ofTelecommunications)に対し、周波数共用に向けた新しいフレームワークの提供を呼びかけましたが、新しいルールは M&A及び周波数取引に関連する規制と適合させる必要があるかも

    しれません。現行制度の下では、市場からの撤退を模索する通

    信事業者は、取得済みの周波数を放棄することになるでしょう。

    購入した周波数を政府や他の事業者に売却することは禁じら

    れているためです。

    この観点からすると、周波数共用と周波数取引政策は、モバイ

    ル市場における M&A と海外投資の呼び込みを促進しようとする業界全体の制度設計において、重要な鍵となるでしょう26。

    南米もまた、競争の激化と周波数不足を背景に、周波数共用

    に関するルールに注目が集まっている地域です。ブラジルの規

    制当局 Anatel はモバイルインフラ共用を進める政策の一部として、周波数共用に関するルールを盛り込もうと計画していま

    す。

    24 Mary Lennighan “EU calls for mobile spectrum sharing” Total Telecom Plus

    2012/9/3

    25 “Presidential memo Pushes Spectrum Sharing, Commits $100 Million for R&D”

    Communications daily 2013/6/17

    26 “Anandita Singh Mankotia and Gulveen Aulakh “Telecom department toseek Trai’s

    views on allowing spectrum trading” The Economic Times 2013/8/13, Anandita Singh

    Mankotia “Government likely to issue spectrum sharing guidelines before auctions” The

    Times of India 2013/10/9

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 11

    いくつかの通信事業者は、インフラのみをカバーする契約を既

    に有していますが、周波数共用についてはまだ取り組んでいま

    せん。Anatel はまた、ブラジル国内及び地方都市において電波共用の義務付けを検討しています。この要件は、2014 年早々にも計画されている 700MHz の周波数オークションに盛り込まれるかもしれません27。

    エクアドルの電気通信規制当局 Supertel(Superintendenciade Telecommunications)は、上位 2 社の市場シェアが 98%となっている同国のモバイル市場に対し、様々な周波数規制を検

    討しています。周波数不足は免許獲得を図る新規参入事業者

    にとって障害となっていることは明らかで、これに対し Supertelは改定法案の中で周波数共用を検討しています。

    Supertel はまた、MVNO の参入を促進しようとしており、既に周波数を割り当てられている通信事業者に対し、他のネットワー

    ク資源と共に周波数共用を認める、もしくは要求するような規制

    を提案しようとしています28。

    公共部門に割当られている周波数のモバイル技術向け再利用

    を計画している市場や、周波数共用を競争促進政策として位置

    付けている市場では、周波数共用は難しい問題をもたらしてい

    ますが、通信事業者の間では既に、ネットワーク展開費用削減

    などのため、周波数を共用する商業的提携に進み出ようとして

    います。

    カナダの通信事業者 Rogers Communications と Videotronは 5 月、オタワとケベックにおけるネットワーク資産と周波数の共用に関し 20 年契約を締結しました。この取引で Videotronは、トロントにおける周波数免許を 1 億 8,000 万米ドルでRogers に売却する権利が与えられています(規制当局の承認を得た場合)。

    マレーシアの Celcom Aziata Berhad と Puncak Semagat の子会社 Alltel Communications は 7月、2.6GHz 帯に保有する周波数を共用することで合意しました。LTE ネットワークの展開、建設と運営を共同で行うためです29。

    同一市場内の周波数共用だけでなく、政府間の周波数共用へ

    のニーズも高まっています。米国 FCC とカナダ産業省は 8 月、米国-カナダ間で国境を越えた周波数共用で合意しました。モ

    バイルブロードバンドの展開を加速しつつ、事業者がより効率

    的に周波数を活用できるようにするため、この契約は周波数免

    許を無線通信ネットワークや高速無線 LAN、P-P(Point toPoint)リンクによる高速インターネットアクセスのバックホールとして拡張することを可能にする FWA(Fixed Wireless Access)の提供を含んでいます30。

    27 “Brazil’s government prepares spectrum sharing regulation” Business News

    Americas 2013/6/5

    28 “Supertel issues recommendations on MVNOs、spectrum management sharing”

    TeleGeography 2013/7/12

    29 Christine Dobby “Rogers signs LTE deal with Videotron; Joint network will help

    battle with Bell, Telus” Financial Post 2013/5/31, Kamarul Anwar “Celcom, Altel team

    up for LTE spectrum sharing” The Edge Financial Daily 2013/7/5, “FCC and Industry

    Canada Agree on Spectrum Sharing Arrangements” Radio Resource 2013/8/21

    30 “FCC and Industry Canada agree on Spectrum Sharing Arrangements” Radio

    これは 2012 年、米国とメキシコの規制当局が締結した周波数共用を中心とする国際間契約の締結に続くもので、モバイルブ

    ロードバンドの提供と緊急通報を支えるものです。

    規制当局は様々な要因から周波数共用を求められており、全

    ての業界関係者が周波数共用から獲得しうる便益について、

    見解を共有し明確化できることが不可欠です。規制当局が公共

    部門の周波数解放やホワイトスペースの活用に取り組む中、

    周波数共用に関する議論はますます複雑化すると見られ、柔

    軟性の度合が重要となるでしょう。

    先を見れば、前向きな成果を得るべく業界と政府はより緊密に

    協同していくべきでしょう。例えば英国では、BTとテクノロジスペシャリストのNeulは、ホワイトスペースを ITS(高度道路交通ソリューション)に活用するためのテストを、英国運輸省と協同で行

    っています31。規制当局自身にとっては、周波数共用というアプ

    ローチは、地理的要因、または特定の周波数帯を使用中もしく

    は今後使用するかもしれない事業者の特性によって、著しく異

    なってくるかもしれません。同時に、国全体の周波数需要と、よ

    り緊急性が高い業界特有の問題との間で、バランスを取ること

    も不可欠でしょう。

    海外投資上限を引き上げ=インド、韓国

    多くの市場で海外からの通信事業への参入に関する問題が

    益々重要となってきています。カナダの通信規制当局は昨年、

    通信事業への海外からの投資上限を引き上げました。インドと

    韓国はこの数か月間に通信セクターに対する海外投資規制を

    緩和する動きを進めています。

    インド政府は 2013 年 8 月、従来 74%とされていた FDI の上限を 100%に引き上げました。49%までの FDI は自動的に認められますが、残りは同国の外国投資促進委員会(FIPB:ForeignInvestment Promotion Board)の認可を得る必要があります。FDI 上限引き上げは、2G 免許の取り消しと不明瞭な規制環境により、2013 年度(2013 年 3 月期)、海外からの投資が激減した通信セクターにおいて強く求められていた投資促進刺激策

    です。

    この動きにより、中長期における投資は 100 億米ドル規模となるでしょう。このことは 2012 年のサービス部門全体の負債が、純収入 280億米ドルを超え293 億米ドルに達したことからも重要です32。加えて、インドの通信事業者の負債の少なくとも 40%は米ドル建てであり、インドは過去 2 年間で 20%以上下落したルピー安に苦しんでいます33。

    これに対し、FDI 上限規制の撤廃はインドの通信事業者の負債を削減する助けとなるでしょう。通信事業者らが 3G 及び LTE の展開に必要な設備投資額の増加に苦しむ中、海外の投資家を

    引き付けることができるかもしれません。とはいえ、モバイルセ

    Resource 2013/8/21

    31 “Ofcom unveils participants in wireless innovation trial” Ofcom 2013/10/2

    32 “Indian Telecom Industry: Dilemma & Way Forward” EY-ASSOCHAM report 2013

    33 “Fitch: Removal of FDI Limit Positive for Indian Telcos” Reuters 2013/7/31

  • Inside Telecom Issue11

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    クターでは大規模な統合が期待されていることから、海外投資

    家は M&A などの規制について、一層の明確化を求めようとするでしょう。

    韓国もまた、2013 年 8 月、テレコムセクターに対する海外投資上限を 49%から 100%に引き上げました。但しこれは、海外投資家が対象株式を保有するために投資ファンドを設立すること

    が条件とされています。

    韓国のこの規制緩和は米国及び EU との FTA に基づくものです。しかしながら、SK テレコム、KT、LG Uplus といった主要通信事業者はこの新ルールから除外されています。この観点から、今

    回のFDI上限変更は、固定及びモバイルサービスを提供するごく一部の小規模事業者にのみ適用されると見られます。

    (図 10)インドのテレコム市場に対する海外直接投資額

    出所:”FDI statistics” Department of Industrial Policy & Promotion – Government of India

    website 2013/9/24 アクセス

  • Inside Telecom Issue11

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    4. M&A概要2013 年第 3 四半期(7-9 月期)の M&A 件数は、第 2 四半期(4-6 月期)の 165 件からやや減少し 155 件でした。一方、取引額は合計 1,730 億米ドルで、2013 年第 2 四半期の 210 億米ドルの 8 倍に膨らみました。ベライゾンは 9 月、ワイヤレス部門の株式45%をボーダフォンから取得し、その金額は1,300億米ドルと、7-9 月期の合計取引額の 75%を占めました。この多額の取引分を除いても、2013 年第 3 四半期の合計取引額は第 2 四半期の倍以上となりました。

    取引数全体の 40%は、モバイル関連資産の売買と、中小の通信事業者の規模拡大の動きが加わった米国からきています。

    欧州の M&A も引き続き盛んで、この地域の取引件数は全体の3 分の 1 を占めており、テレフォニカ・ドイツと独 E-Plus の合併は、第 3 四半期の中で 2 番目に大きい取引となりました。

    買収の機会を窺う海外プレーヤーの目は引き続き欧州に注が

    れており、大陸では統合話が集まっています。今年は既に、ア

    ジアの複合企業ハチソン・ワンポアによるテレフォニカがアイル

    ランドに持つモバイル子会社の買収がありました。また、オース

    トリアとドイツの主要事業者に足掛かりを得たメキシコのアメリ

    カ・モビルは引き続き欧州テレコムセクターで機会を窺っていま

    す。

    アメリカ・モビルは 8 月、実現はしていないものの、オランダのKPN の株式 70%を 96 億米ドルで取得すると発表しました。同社の欧州市場にかける意気込みを見せるものと言えます。しか

    しながら、完全な買収は複雑なものとなりました。オランダの大

    手通信事業者である KPN を守るための基金が設立されたためです。この基金(Foundation Preference Shares B KPN)は、KPN の株式 50%から 1 株を引いた株式を買い取るコールオプションを行使しました。KPN はまた、より高値での売却を模索していたことを明らかにしました。再交渉を試みたものの両社間

    で合意に至ることはなく、アメリカ・モビルは 10 月、買収提案を撤回しました34。

    (図 11) テレコムセクターの地域別 M&A 取引額(2013 年第 2・第 3 四半期)

    出所:Thomson One, S&P Capital IQ, Mergermarket, 2013 年 11 月アクセス

    ベライゾン、モバイル事業部門を完全子

    34 “Carlos Slim’s America Movile Withdraws KPN Bid” The Wall Street Journal

    2013/10/16

    会社化ベライゾン・コミュニケーションズは子会社のベライゾンワイヤレ

    スの株式 45%を、英ボーダフォンから 1,301 億米ドルで取得し完全子会社化しました。これは史上 3 番目に大きい取引額となりました。取引額の内訳は、589 億米ドルは現金、602 億米ドルはベライゾンの株式などとなっています。

    ベライゾンは長らくベライゾンワイヤレスの完全子会社化を模

    索してきました。この取引が話題となった今年、買収への期待

    が高まっていました。ベライゾンワイヤスの単独所有により、ベ

    ライゾン・コミュニケーションズはモバイル部門の全キャッシュフ

    ローにアクセス可能となり、全資産をシームレスに運用する

    「One Verizon」戦略を進めていくにあたり、戦略的・財務的柔軟性を得たことになります。ベライゾンワイヤレスの全利益を取

    得可能ということは、投資余地を増すこととなり、合併が続く米

    国市場においては重要なことです。

    ボーダフォンの株主は株式及び配当を通じ 840 億米ドルを得ます。ボーダフォンは残りを債務返済に充てると共に、今後の

    オーガニック投資に充てます。同社は「プロジェクトスプリング」

    という3か年計画を発表しています。これは同社の全市場で93億 5,000 万米ドルを投じ、3G、4G、光ファイバ、ブロードバンドといった同社のネットワーク及び法人向けサービス、カスタマー

    エクスペリエンスを向上するというもので、主要目標としては、

    2017 年までに 5 つの主要市場で LTE の人口カバー率を 90%以上にするという 4G 展開計画を加速すること、また、光ファイバ展開と VDSL の再販ルート拡大、さらにモバイル決済の早期展開といった内容が盛り込まれています35。

    モバイル事業者の合併が続くドイツM&A は引き続き欧州テレコムセクターにおける主要テーマとなっており、ドイツでは今年、世界最大級の取引がありました。オ

    ランダの主要通信事業者である KPN とスペインのテレフォニカは 7 月、両社のドイツにおける資産の統合を発表しました。50億ユーロとも試算されるモバイル部門のシナジーを得るための

    もので、当四半期で 2 番目に大きい取引となりました。

    テレフォニカからの提示を受け、KPN は同社がドイツに持つモバイル事業者 E-Plus の全株式をテレフォニカ・ドイツに譲渡すると共に、テレフォニカ・ドイツの株式 20.5%を取得します36。取引額は 114 億米ドルで、統合後の新会社はドイツのモバイル市場において 4,300万の顧客基盤を持つ、新たなリーダーとなるでしょう。

    欧州最大のモバイル市場における大規模且つ資本支出を抑え

    たこの取引の合理性は否定されるものではありませんが、第 3位と第 4 位のプレーヤーの統合は、規制当局の意向を試すものでもあります。合理的なモバイル市場を構築していく為に必

    要な市場競争とのバランスがこの市場における主要な論点で

    あることは明らかです。EU は欧州に単一のテレコム市場を創

    35 “Vodafone to realize US$130billion for its 45% interest in Verizon Wireless”

    Vodafone 2013/9/2

    36 “Investor presentation” KPN 2013/9

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 14

    出しようとしており、規制当局に対し、一層の統合を認めるよう

    圧力を強めています。

    ドイツの反カルテル庁は既にこの取引について、競争レベルを

    超えている可能性があるとの懸念を示しており、欧州委員会は

    9 月、取引が承認される可能性を広げるべく、この取引について、再調査の必要があるかもしれないと発表しました37。KPNは 10 月、臨時株主総会で E-Plus の売却について、株主の承認が得られたと発表しました38。全ての視線は今や、12 月にも判断を下すとしている EU の反トラスト規制当局に向けられています。

    アフリカのM&A長期に渡っていたモロッコ・テレコム買収案件はようやく、アラブ

    首長国連邦のエティサラートが、53%の株式を 57億米ドルで取得することで決着しました。エティサラートと同じく中東の通信事

    業者である Ooredoo は 4月、入札に参加したものの、その後 6月には撤回しました。モロッコ・テレコムのオーナーであるビベ

    ンディは売却に合意し、エティサラートによるアフリカ市場での

    規模拡大を許すこととなりました。

    モロッコ・テレコムは固定、モバイル、ISP のサービスをモロッコ国内で提供している他、マリ、ガボン、ブルキナファソ、モーリタ

    ニアでも事業を展開しています。今回の買収はエティサラートに

    とってこの 10 年で初めての大型案件であり、2004 年から2009 年に行われた海外での買収 126 億米ドルに続くものです39。一方ビベンディは、メディア・コンテンツビジネスに注力す

    るべく事業再構築を進めており、その一環として通信関連資産

    の削減を進めています。

    アフリカでの展開を進める多国籍通信事業者はエティサラート

    だけではありません。インドのモバイル事業者バーティ・エアテ

    ルは 4 月、ウガンダのワリッド・テレコムを買収しました。これにより同社は、ウガンダの事業に 280 万の顧客が加わり、モバイル市場における同社のシェアは 39%となりました。同社はまた、11 月、Warid’s Congo Brazzaville の事業を取得しました40。アフリカにおけるモバイルデータ利用量は、端末価格の下落と共

    に急速に伸びており、バーティ・エアテルはアフリカ大陸で 3Gネットワークを展開しつつ、高い需要から利益を得ることを目指

    しています。

    (図 12)テレコム M&A 取引額(2013 年第 3 四半期)

    37 “German regulators cast doubt on EPlus O2 merger” Deutsche Welle 2013/8/21

    38 “KPN EGM approves sale of E-Plus” KPN 2013/10/2

    39 “Vivendi to sell Maroc Telecom stake to Etisalat for US$5.7 billion” Reuters

    2013/11/5

    40 “Airtel signs definitive agreement to fully acquire Warid Uganda” Aritel 2013/4/26

    出所:Thomson One, Capital IQ, Mergermarket, 2013 年 10 月アクセス

    M&A続くインドネシアインドネシアにおける M&A は、世界最大級のテレコム市場である同国の課題を明らかにしました。アジアで広く展開している通

    信事業者 Axiata Group Berhad のインドネシアにおけるモバイル部門である PT XL Axiata は 9 月、モバイル部門で競合するPT Axis Telecom Indonesia を、サウジテレコムと TeleglobalInvestents から 8 億 6,500 万米ドルで取得すると発表しました。これにより、第 3 位のプレーヤーである XL の加入者数は、5,400 万から 6,500 万に増加し、1 億 2,000 万の加入者を持つテレコムセルに次いで第 2 位のモバイル事業者となります41。

    当四半期におけるアジア太平洋地域最大のこの取引は、XL が持つ周波数を 1800MHz帯と 2100MHz帯に広げることとなり、2G 及び 3G のサービス品質向上に道筋をつけることとなりました。特に 1800MHzは同周波数帯を用いたLTEサービスを展開する上で重要です。魅力ある周波数の不足は長らくインドネシ

    アのモバイルデータの伸びを阻害する要因となっていました。

    同国の規制当局は、合併は周波数不足を緩和するものとして

    明確に支持しています。

    第 3 四半期では、小規模な取引もインドネシアの他の市場セグメントで多く見られました。PT Centrin Online(Centrin)は 9 月、PT Indo Pratama Teleglobal (Pratama)の株式 99.9%を 940万米ドルで取得すると発表しました。Centrin はインドネシアでダイヤルアップ、インターネット、データセンター、ホスティングサ

    ービスを提供しており、一方の Pratama はインターネットアクセス、インターネットテレフォニー、データセンター、高速無線アク

    セス、ディザスタリカバリといったサービスを提供している ISP 事業者です。

    また、主要通信事業者のテレコムインドネシアは8月、450米ドルを支払い、インドネシアの固定通信事業者 Patrakom の株式保有率を 40%から 80%に引き上げました。この取引は、6 月のメディアコンテンツ事業者 CT Corpora によるテレコムセルの有料 TV 部門である Indonusa Telemedia の株式 80%を取得した動きに続くものです。インドネシアの有料 TV の普及率は他地域よりも低い 7%となっており、両社はいずれも、同市場は成長に向け十分な段階に来ていると見ています。

    41 “Axiata buys into Axis Telecom” The Edge 2013/9/27

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 15

    (図 13)アジア太平洋地域における主なテレコム M&A

    出所:Thomson One, Capital IQ, Mergermarket, 2013 年 10 月アクセス

  • Inside Telecom Issue11

    Issue11 | 16

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