Title Test Sizeによる睾丸計測 泌尿器科紀要 (1988), …...2014...
Transcript of Title Test Sizeによる睾丸計測 泌尿器科紀要 (1988), …...2014...
Title Test Sizeによる睾丸計測
Author(s) 田島, 政晴
Citation 泌尿器科紀要 (1988), 34(11): 2013-2020
Issue Date 1988-11
URL http://hdl.handle.net/2433/119764
Right
Type Departmental Bulletin Paper
Textversion publisher
Kyoto University
泌尿紀要34:2013-2020,1988 2013
Test Sizeに よ る睾 丸計 測
東邦大学医学部泌尿器科教室(主 任:白 井将文教授)
田 島 政 晴
TESTICULAR MEASURMENT BY TEST SIZE ORCHIDOMETER
Masaharu TAJIMA
From the Department of Urology, Toho University School of Medicine (Director: Prof. M. Shirai)
The testicular volume of 1782 testes in 891 subjects between 0 and 86 years old was mea-sured using the Test Size (Resimed Co, Switzerland), a metrological equipment for testis. We al-so compared the testicular volume calculated from tomographic images by testicular ultrasono-
graphic measurements in some of these subjects and the actual volume of the isolated testes from the same subjects.
The testicular volume measured with Test Size gradually grew at the age of 0 to about 8
years, rapidly increased in percentage at the age of about 12 to 13 years and reached to a peak at about 18 to 19 years.
Comparison between the actually measured volume of isolated testes and the testicular volu-me with Test Size resulted in an index of 0.608 while comparison between that and the ultrasono-
graphically measured testicular volume resulted in an index of 1.098. Therefore, authentic testic-ular volume is calculable by means of this method.
(Acta Urol. Jpn. 34: 2013-2020, 1988)
Key words: Orchidometer, Testis, Ultrasonography
緒 言
睾丸の重量や容積を測定することは,泌 尿器科学的
にも,ま た内分泌学的に も非 常に重要な意味を も って
いる.そ れは,睾 丸容積の80%が 精細管 によって占め
られている1)ので,睾 丸の大きさは,精 細管 と密接 な
関係にあ り,睾 丸での精細管機能を反映 しているか ら
である,し か し,日 常診療 で睾丸の大きさは,か な り
あいまいな表現がなされているのが現状で,睾 丸 の大
きさを簡単かつ正確に客観的に測定することができれ
ば,わ れわれ泌尿器科医,特 に内分泌疾患をあつか う
ものにとって大いに役立つ と思われる.
そ こで,著 者 は,今 回,睾 丸 測定器(Orchido-
meter)で あるスイスResimed社 製 のTestsizeを
用いて,各 年齢層 における睾丸容積を測定 し,従 来 の
日本人の睾丸容積に関する測定結果 と比較検討す ると
ともに,一 部の症例(成 人例)に 対 しては,睾 丸 の超
音波計測を行いその断層像 より算出 した睾丸容積 と同
一症例の摘出睾丸 の容積の実測値 との間に どの ような
関係があるかについて も検討 したので,そ れ らの成績
について報告する.
検査対象および検査方法
1)検 査 対 象
まず,Testsizeに よる睾 丸 容積 の 測 定を 行 った の
は,東 邦 大学 医 学 部大 森 病院 泌 尿 器科 お よび小 児 科 を
訪 れた 患 者 で,内 分泌 学 的 に も,睾 丸 や 副 睾丸 等 に疾
患 の ない891例,1782睾 丸 で あ り,こ れ らの 内に は,
前 立腺 癌 患者17例,34睾 丸 も含 まれ てお り,年 齢 分布
は0歳 よ り86歳 に わ た って い た.
II)検 査 方 法
a)Orchidometerに よる測 定
ス イ スResimed社 製Orchidometer"Testsize"
はFig.1の よ うな1~25mlの 容積 を もつ12個 の 楕
内体 よ りな っ てお り,陰 嚢 上 よ り睾丸 を 把握 固定 し,
睾 丸 容積 に 見 合 ったTestsizeの モ デル を 陰 嚢 上 に
乗 せ て,こ のTestsizeの 容 積 よ り睾 丸 容積 を 算 出
した(Fig。2).
b)超 音 波 断 層法 に よる測 定
超音 波 断 層法 に は,色 々 な 走 査 法 が あ る が,著 者
は,ア ロカ製SSD300Mechanicalsectorscanner
に よるRealtimeの 画 像 よ り 睾丸 の 測 定を 行 った.
2014 泌尿紀要34巻11号1988年
禦 鮮㌦ ,,構 麟灘
一鱒趣 輪Fig.1.ス イ ス 製Orchidomctcr
Fig.2,Testsizeに よ る 測 定 法
懇.・f`〉
Fig・3は,著 者 が 使 用 した 機 器 で探 触 子 は3.5MHz,
焦 点距 離75mmで あ る.
このsectorscannerに よる陰 嚢 内 睾丸 の 描 出方 法
は,陰 嚢皮 膚 と探 触 子 との間 に脱 気 水 で満 した 小 さな
ビニ ール パ ックを介 して測 定 す る水 浸 走査 を 用 いた.
この 方 法 を 行 った理 由は,sectorscannerで の画 像
が,扇 状 の断 層像 の た め,探 触 子 を直 接 陰 嚢 皮 膚に 接
触 す る と皮 膚 か ら 目的臓 器 まで の距 離 が非 常 に 短 い の
7〃 ・
ノ
・ 髭 「
ノゐ
1
藤 塵.∵
、〆 ㌦ 勉属く
』趣 鵜磁 £.
Fig.3,超 音 波睾 丸 計測 法 とqsClly
州
で,近 距離の頂部 の画像が欠損す るのを防 ぐため と,
振動rの75mmと い う焦点距離に合わせて,で きる
だけ焦点の中心部に 郎白臓器を置 きたいとい う2つ の
理由によるものであ る2)こ のよ うに して得た睾丸の
断層像に よ り最 も長い長径,短 径,厚 径を測定 し,睾
勉 棚 体 とみな し ・-43・ ×・×… の式で睾
丸容積を算出 した.
c)摘 出嚢丸容積 の測定
摘 出睾丸の測定を行 ったのは,東 邦大学大森病院泌
尿器科を訪れ た前立腺患者17例34睾 丸である.こ れ ら
の症例 は,睾 丸摘 出前にTestsize,超 音波計測を行
い,摘 出後,副 睾丸を除去,容 器に水をみた し,こ れ
に睾丸を入れて,あ ふれた水の量で睾丸容積を測定 し
た.
測 定 成 績
1)Testsizeに よ る 測 定 結 果
生 後1ヵ 月 に お け る 睾 丸 容 積 は,1.5±0,6mlで,
1歳 で は,2.0±0.9ml,5歳 で2.3±0.6ml,10歳 で
TableI.TestSI7.0に よ る 睾 丸 計 測 値
年齢 症 例 平 均 値 年齢 症 例 平 均 値 年齢 症例 平 均 値 年 齢 症 例 平 均 値 年齢 症 例 平 均 値
1M
2
3
4
5
s
7
8
9
10
11
1Y
z
3
4
5
6
7
8
9
z
7
16
s
6
31
4
5
31
4
7
3
38
25
zz
18
11
19
10
12
1.5±0.6
1.B±0.4
1.6±0.5
1.6±0.5
z.i±o.a
1.6±0.5
2.2±0.5
2.0±0.7
1.6±0.5
1.7±0.5
1.7±0.5
T.0±0.9
1.8±0.4
2.0±0.6
2.s±o.s
2.3±0.6
2.0±0.3
2.4±0.9
z.s±o.e
3.1±0.0
10
11
12
13
14
15
16
11
18
19
20
si
22
23
24
25
zs
v
28
29
s
10
2
4
4
5
4
6
fi
s
11
11
14
7
1
13
13
9
19
19
3.0±1.0
3.4±1.1
6.0±1.6
8.0±0.9
1T.5±2.7
16.4±5.8
19.2±5.0
18.5±5.1
20.4±3.3
22.5±2.6
19.5±3.4
19.7±5.5
22.1±3.2
zo.o±s.a
17.1±3.8
18.4±4.6
18.9±3.9
20.0±3.4
20.5±3.1
18.7±4.3
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
zz
zs
ss
13
12
19
12
12
12
11
13
4
18
8
6
18
10
5
8
9
18.6±3.3
19.0±4.5
18.5±3.8
21.5±3.7
19.6±4.6
11.9±3.7
18.0±4.1
18.1±4.4
19.3±4.7
18.9±3.9
21.2±3.4
17.5±2.7
20.6±3.6
11.8±2.5
18.3±2.5
zo、7±4.0
16.7±2.9
11.4±4.8
20.3±4.3
11.5±2.6
50
51
5253
5455
56
575859
60
6162
6364
65ss
67
se69
3
3
1
3
日
io
6
7
2
4
6
9
ア
11
7
io
12
1
5
1T
20.8±3.8
is.a±0
17.5±3.5
18.3±2.6
i7.9±5.3
17.4±3.4
16.4±3.5
16.2±6.0
13.5±1.7
14.2±1.4
冒5.3±2.5
19.6±4.7
17.4±3.2
14.S±1.8
15.7±4.5
14.7±4.1
17.5±4.7
12.0±0
13.0±2.6
14.8±2.7
70715.7±4.5
71616.6±2.5
72515.4±2.7
73715.5±3.2
14110.0±0
75613.2±3.1
76615.1±4.1
79813.3±3.8
80215.5±4.1
86417.5±4.6
田 島:睾 丸 計測 ・TestSize 2015
T!
sa
15
io
5
01M5MIOMIvSrIOv15v20r25v30v40v50v60v
Fig.4.Testsizeに よ る 睾 丸 容 積 の 年 齢 的 曲 線
10v80vAge
Table2.前 立腺癌患者の各種睾丸測定値
実 測 長 音 波 計 測症例鳳5ize卿 喀 積 長 径 短 径 厚 み 容 積 長 径 短 径 容 積
i)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
it)
is)
13)
ia)
15)
16)
17)
IB)
19)
zo>
21)
zz>
23)
24)
25)
26)
2ア}
zee
29)
30)
31)
32)
33)
34)
15
is
12
zo
zo
io
zo
zo
15
iz
zo
zo
18
20
25
25
25
25
15
15
iz
20
10
zo
zo
25
25
25
zo
zo
25
25
is
12
12.0
6.O
l2.a
13.0
14.0
8.3
14.5
13.0
10.0
8.0
12.0
12.5
11.6
9.2
15.8
16.5
17.5
16.0
6.0
3.O
i.o
iz.0
3.5
9.0
15.0
14.0
14.0
14.O
e.o
B.0
18.0
14.0
9.O
lO.0
3.6
2.5
3.4
3.5
3.6
2.5
3.7
3.6
3.6
3.4
3.8
3.8
4.1
3.7
4.0
4.2
4.3
3.1
3.5
2.6
3.5
4.0
2.5
3.5
3.5
4.0
4.3
3.6
2.7
2.7
4.0
4.0
3.5
3.5
2.9
z.i
2.7
2.8
3.1
z.a
s.e
z.s
2.8
2.6
2.8
2.9
3.1
2.8
3.1
3.1
3.7
3.5
3.0
2.3
2.5
3.0
2.0
2.8
3.0
3.0
2.5
z.0
2.5
2.2
2.5
3.O
s.s
z.o
s.a
1.9
z.z
2.6
2.5
z.i
z.s
2.6
2.5
z.a
2.7
2.8
2.5
2.5
z.s
2.8
3.0
2.5
2.3
1.6
s.z
2.5
z.o
z.s
2.5
2.5
2.3
1.7
s.0
1.8
3.0
2.5
s.s
3.0
13.11
5.22
10.57
13.33
14.60
6.59
ia.io
13.72
13.19
11.10
15.03
16.15
16.63
13.55
16.8ア
19.08
24.98
16.94
12.64
5.01
io.07
15.70
5.23
iz.ez
13.74
15.70
12.94
6.41
7.07
5.60
15.70
×5.70
i1.45
10.99
3.6
2.2
3.7
3.5
3.6
3.0
3.5
3.3
3.7
3.5
4.0
4.0
3.5
4.0
4.0
4.0
3.5
4.0
3.0
2.5
3.0
4.5
3.0
4.0
3.5
4.5
3.0
3.5
2.5
3.0
4.5
4.3
3.0
3.0
1.9
1.5
s.i
2.3
s.s
1.7
2.6
s.s
s.a
2.2
2.5
2.6
2.5
z.e
2.5
s.s
2.5
2.5
s.o
z.0
2.8
z.i
2.7
3.0
3.O
s.0
2.O
z.o
s.0
2.2
2.5
2.2
1.8
z.o
6.80
2.59
8.54
9.69
9.12
4.54
12.38
11.67
11.15
8.87
13.08
14.15
11.45
16.41
ia.oa
is.oe
Ii.45
13.08
6.28
5.23
12.31
17.17
11.45
18.84
16.49
9.42
6.28
7.33
5.23
7.60
14.72
io.ea
5.09
6.28
3.0±1,0ml,15歳 で16.4±5.8m1,19歳 で22・5±2・6
ml,30歳 で18.6±3.3皿1,50歳 で20.8±3.8ml,70歳 で
]5,7±4.5mlで あ った(Tablel).
Fig.4は,著 者 の 測定 した 平 均 睾丸 容 積結 果 の年
2016 泌尿紀要34巻ll号1988年
齢 的 変 化 を示 した 曲線 で あ る.0~5歳 まで は,ほ と
ん ど容 積 の増 加 は み られ な いが5歳 頃 よ りしだ い に増
加 し,12歳 頃 よ り睾丸 容 積 は急 激 に 増 加 し,19歳 で ピ
ー クに な り,そ の 後55歳 頃 まで変 化 な く,こ れ を過 ぎ
る と しだ い に減 少 して い く傾 向 を示 した.
2)摘 出睾 丸 とTestsizeお よ び 超 音 波 断 層法 に
よる測定 結 果 との比 較
Table2は17例 に お け る 摘 出睾 丸実 測 値 とTest
size測 定結 果,超 音 波 断層 法 で の 測 定結 果 で あ る.
Testsizeに よ る 測 定値 は,10mlよ り25m1に わ
た り測 定 され た.摘 出睾丸 よ りの 実 測 容積 は,3ml
よ り17.5mlと な り,実 測 長 径,短 径,厚 径 よ りの
計 測結 果 は,5.01mlよ りz4.98mlと な った.そ し
cm
4
3
2
1
実測長径
有 効 数分 散標準偏差平 均自 由 度
34.266134.5158813.5411833
有意差な し
超音波長径
34.339856.582972
3.5117733
て,超 音波計測に よる算出容積は,2・59mlよ り18・s4
mlと なった.
次p:..,個々の実測長 径と超音波 計測長径 とを比較す
ると,両 者には有意差を認めなか った(Fig.5).ま
た,同 様に実測短径 と超音波計測短 径とを比較 した と
ころ超音波計測値が,有 意差を もって小 さい ことが判
った二(Fig.6).
しか し,実 測厚径 と超音波 計測短径 との比較は有意
差が認め られ なか った(Fig・7).つ ぎに実測容積 と
実測計測長径,短 径,厚 径 よ りの 算出容積 との問に
cm
2
i
実測厚径
有 効 数分 散
標準偏差平 均自 由 度
34.121293.3482712.4141133
有意差 なし
超音波矯径
34.135436.3680162.3176533
Fig.7.実 測厚径 と超音波短径比較
実測容積 実測計算容積
mF
Fig.5,2種 法 に よる長 径比 較
実測短径 超音波短径20
cm
15
3
io
2
t
有 効 数分 散
標準偏差平 均自 由 度
34.163352.4041682.72941
33
有 意差 あ り(P<0.01)
Fig.6.2種 法 に よる短 径 比 較
34.135436.368016
2.3176533
5
有 効 数分 散標準偏差平 均自 由 度
3414.74123.8402111.364733
有意差 なし
3419.79764.4494712.6921
33
Fig.8.実 測容積 と実測計算容積比較
田島:睾 丸 計 測 ・TcstSize 2017
ml
実測容積 超音波計算容積mP
実測計算容積
15
t
超音波計算容積
20
15
io
5
有 効 数分 散標準偏差平 均自 由 度
3414.7472
3.84021
11.3647
33
有意差なし
3416.12
4.01497
10.3453
93
Fig.9.実 測容積 と超音波計算容積比較
は,有 意 差 を認 め ず(Fig・8),ま た,超 音 波 断層
法に よる算 出 容積 も有意 差 が 認 め られ な か った(Fig.
9).し か し,実 測値 に よる 算 出容 積 と超 音 波 断層 法 に
よる算 出容積 との 間 には 有 意 差が あ った(Fig.10).
最 後に,実 測 容積 とTestsize容 積 との比 は,0.608
とな り,ま た 実測 容 積 と超 音 波 断 層法 に よる計 算 容積
との比は,1.098と な った(Table3).
考 察
睾丸容 積 の測 定 方法 と して は,あ らか じめ 容積 の判
ってい る種 々 の大 き さの 睾丸 モ デ ル と睾丸 を 比較 す る
方法 が主 で あ り,古 くは,1942年 のSchonfeldらP)
のア メ リカ人 男児 の測 定報 告 が あ る.そ の 後,本 邦 に
おい て も中 村の が 日本 人 の睾 丸 容積 の測 定 を 行 って お
り,こ の測 定結 果 が わ が国 の 唯 一 の もの で あ った.し
か し,最 近,那 須 ら5)が プ ラ ステ ・'ク板 に 打 ち抜 い た
有 効 数分 散標準偏差平 均自 由 度
3434
19.797818.12
4.449414 .01497
12.692110 .3453
3333
有 意 憩 あ り(P〈0.01)
Fig.10.実 測計算容積 と超音波計算容積比較
穴 に 睾丸 を は め て 睾丸容 積 を 測 定 す る新 しい計 測 法
(山 口大 式)を 試 み,興 味 あ る成 績を 発 表 してい る.
著者 は,Tcstsizeと 山 口大 式Orchidometerと を
使 用 し,12例24睾 丸 に つ いて 計 測 した と ころ両 測定 結
果 が ま った く同 じであ ったの で,以 後著 者 はTestSIZC
のみ で 計測 す る こ とに した.
著者 の 測 定 結果 と ヨー ロ ッパ人 のTestsizeに ょ
る思春 期 男 子 の睾 丸 容積 測 定成 績 を 比較 す る とほ ぼ同
一 の パ タ ー ンを示 した(Fig .ll).
また,本 邦 の代 表的 文 献 で あ る中 村 の成 績 と比較 し
て み て も,き わ め て類 似 した バ タ ー ンを示 したが,自
験 例で は,12,13歳 頃 よ り睾丸 容 積 が 中村 の それ よ り
高値 を 示 した(F?g.12).
この よ うに著 者 の測 定 結果 が,彼 ら の結果 よ り大 き
か った事 に対 す る考 え られ る理 由 と して は,測 定 法 の
Table3.各 種計 測 法 に よる対 比
翼 数欠損値数 響最大値 最小値 標準偏差 変動係数Max.Min.SDCV(%)
Testsize34
実測容積34
実測計算容積34
超音波計算容積34
018.676500
011.364700
012.692100
010.345300
比1
比2
34
34
0
0
0.608502
1.098537
25.00
18.00
sa.ss
18.84
1.00
2.32
io.00
3.00
5.01
2.59
0.20
0.31
5.085460
3.840210
4.449480
4.014970
0.157774
0.466666
21.229
33.791
35.057
38.810
25.753
39.936
比1:Testsize/実;A9容 積
比2:実 測容積/超 音 波容積
2018
zs
zoJfZ
w
j15
§
aJ
UH
Wf
5
囲 ヨーロッパ人
自験例
泌尿紀要34巻11号1988年
碧
01012141618
8ゆ しOGI(aし 幽Gε,VE側RS
Fig・it.睾 丸 容 積 の 年 齢 的 曲 線
"TEST -SIZE"Orchidometer使 用
●[● 巳
微妙な相違,た とえぽ,睾 丸の把握の しかた,測 定 し
た症例数の差や,中 村が測定 した時代 よ り,約20年 経
過 してお り,そ の間の 日本人の体位の向上 なども関与
している可能性があるが,い ずれがお もな要因かは不
明である.ま た,大 変興味 ある ことは,睾 丸容積は,
5歳 頃 まではあ まり変化がないが,5歳 を過 ぎるとし
だいに睾丸容積 は 増大 し,12歳 頃 より急速に増大 し
て,18~19歳 頃に ピークに達iすることで,こ れ らの年
代の睾丸組織傑 を みるとFi,g.13の ごと く,12歳 頃
までは精細管内径は,あ ま り変化がな く,13歳 頃 より
急速に大きくな り,精 原細胞 精母細胞の出現などの
造精細胞の増加が著明 とな り,管 腔形成 もみ られ るよ
うに な り(Fig.14).17~18歳 位 で ほ ぼ成 人 の域 に達
し,睾 丸容 積 の 増 大 と よ く相関 を 示 して い る こ とが判
る(Fig・15).一 方,間 細 胞 も12歳 頃か ら出 現 して き
て,」 血1-I」テ ス トス テ ロ ンもFig.16の ご と く,12歳
頃 よ り急 激 に 増 加 して お り,睾 丸 容 積 の増 加 と一 致 し
てい た.
以 上,述 べ て きた よ うに,TestSIZCに せ よ山 口大
式 に せ よ,陰 嚢 の厚 さが 関与 す るの で陰 嚢 皮膚 の 厚み
に は個 人差 が あ る こ と と,陰 嚢 水瘤 症 例 の よ うな,睾
丸 固有 鞘 膜 腔 内 に液 体 の貯 留 して い る例 や,被 膜 が肥
厚 して いる よ うな場 合,睾 丸 の真 の 大 き さを表 現 して
い ない.そ こ で,著 者 は,た また ま睾 丸 を摘 出す る症
例 に対 し,あ らか じめTestsize,超 音 波 計 測 を し,
そ の値 と実測 値 とを比 較 した.
その 結 果,Testsizeで 計 測 した 場 合 は,そ の値 に
o.sosを 乗 ずれ ば,睾 丸 の実 測 値 が算 出 で き,ま た,
超 音 波 断 層法 に よる測 定 径 で,楕 円体 と して の仮 定容
積 算 出 で は,1.098と い う係 数 を 乗 ずれ ば 実 測値 が算
出で きる こ と が 判 明 した.こ の 著者 のTestsizeで
の測 定 した場 合 の 係 数0.608はStcarnsら6)の0.749,
Lambert7),RundleandSylvesterり の0.71よ りやや
小 さい が,こ れ は,彼 らは 陰 嚢上 よ り計測 して いるた
め に,著 者 の計 数 よ りも大 き くな った と思わ れ た.そ し
て,超 音 波断 層 計 測値 よ りの係 数1.098が1以 上 にな
った理 由は,実 測値 の短 径 に お いて 超音 波 断 層法 に よ
る値 が 小 さ く測 定 され る こ とに原 因 す る と思 われ た.
これ は,対 象 と した 睾 丸 が,高 齢 者 のた め,圧 迫 に
よ って変 形 した ため と思 わ れ た.
以 上述 べ て きた よ うに,よ り正 確 に,正 常 睾丸 の容
積 を 判定 す る に は,著 者 の 超 音 波 断層 測 定法 を使 用
し,y=1.098× 長 径x(短 径)2と ゆ う式 に あ ては める
究
霧〔禰1)
25●■● 自験(1978》
●・■ 中村(1961)
20
15
10
r
ノ
〆~
J
∂ ←..一 ・一'…'ひ 一哺'一 舳'。・r亀
㌦
\㍉■㌧覧
、
5
一r
0 5 10152025303540455055606570ア0以 上 年令
Fig.12.睾 丸 容 積 の 年 齢 的 曲 線
田島:睾 丸 計 測 ・TestSize
購rla.13.乳 幼 児期 の 睾メL組織
織 難醸 熱壼も、4㌔.、
,奪
3
設σ.・哩 慧,ず
劉 鱒 騨6
Fig.14,学 童 児 期 の 睾丸 組 織
雛嶽
goo
600
500
0
ミ400mc
300
zoo
100
TESTOSVERONE
boy5◎ 一一●
girlsO--C
'
,}','"
'
;1'
才
ノ'
aois
'
'
離職=`
ゑ 、
一磁
軋,,
撫傍'
∫'」 診 ・ 『z』
鴇 「 、}く
◎「麟緬● ・ ≧
惣ひ ヨ
'き』 ・
嫡 ・
欝唖 懇
髪照.、 ・ 蔽 、 獄;.
瓢 鴨 ・埋 醐掌 驚「・..一
・・
侮
ロ ひ
ρ.「'e
殉 ・,.
臣 轟,,
._A:;.、7監,"壕.二,孫 ㌧≧
Fig.1517~18歳 児 の 睾 丸 組 織
が,一 般 的 な 外来 で の検 査 法 と しては,Testsizeに
よる計測 値 か ら,つ ぎの式,す なわ ちy=0.608xTest
sizeで 測定 す るのが よい こ とが判 った,
結 語
Orchidometer"Testsize'"に て1歳 未 満 か ら86歳
までの1782睾 丸 の計 測 を 行 った.
睾丸 容積 は,8歳 ごろ まで発 育 が緩 か で,12~13歳
ごろか ら増 加 率が 速 や か とな り,18~19歳 前 後 で ピー
クに達 し,そ れ 以 後 は プ ラ トーに 移 行 した.ま た,著
者 の計測 した 睾丸 容 積 は,従 来 の 報 告値 よ り高値 を示
した,
6 io 12 15 18 20最
Pig.16.思 春 期 に おけ る血 中 テ ス トス テ ロン値 の
推移
また,睾 丸 の 実測 容 積 とあ らか じめ 測定 して お い た
Tcstsize法 に よる 睾丸 容 積 お よび 超 音波 断 層 法か ら
計測 した 睾丸 容 積 を比 較検 討 した.そ の結 果,Test
sizeで 計 測 した場 合,こ の計 測値 に 係数0.608を か け
れ ば 真 の睾 丸 容 横が 算 出で き,ま た,超 音 波 断 層法 を
使 用 した場 合 は,係 数1.098を か けれ ば,真 の 睾丸 容
積 が 算 出で きる こ とが判 明 した.
稿を終 えるにあた り,御 指導,御 校閲を賜った恩師安藤弘
教授,白 井将 文教授,松 島正浩 教授 に深 甚なる感謝の意を表
わ します.ま た種 々ご協力いただいた東邦大学小児科学教室
佐藤重雄先生,同 病理学教室辻本志朗先生に感 謝致 します.
なお,本 論 文の要 旨は,;{;2回 世界超音波医学学術連合会
1979宮 崎,第33回 東邦 医学会総会1979東 京,第2回 アン ド
ロロジー研究会1980東 京において 報告 した.最 後 に本研究
の一部は1978年 度東邦プ ロジェク ト研究助成金によってな さ
れた.こ こに感謝の意を表 します.
文 献
1)志 田 圭三,山 中英 寿:思 春 期 男子 の性 能.性 と避
任3:23-28,1978
2)田 島政晴,三 浦 一 陽 澤 村良 勝 白井 将 文,安 藤
弘,古 田島 笑子,木 原孝 子:泌 尿器 科 領 域 にお け
る セ クタ ー スキ ャナ の 臨 床 的応 用(第3報),睾
丸 計 測法.日 超 医 論 文 集.35:323-329,1979
3)SchonfeldWAandBcebeGWNormal
growthandvariationinthemalegenitalia
frombirthtomaturity.JUrol48:759-
777,1962
4)中 村 亮:日 本 人 男 子 の性 器系 の発 育 と成 熟 .日
泌 尿 会誌52:172-188.1961
5)那 須誉 人,滝 原 博 史,平 山 嗣,越 戸 克 和,酒 徳
治 三 郎:新 しい 睾丸 測 定 器(Orchidometer)に
つ い て.日 不 妊 会誌24:12-15,1979
6)StearnsEL,MacdonnellJA,KanfmanBJ,
20zo 泌尿紀要34巻11号1988年
PaduaR,LucmanTS,WinterJSDand
FaimanC:Decliningtesticularfunction
withage.Hormonalandclinicalcorrelates.
AmJMed57:761-766,1974
7)LambertB:Thefrequencyofmumpsandof
mumpsorchitisandtheconsequencesfor
sexualityandfertility,Actagenest(Basel.
2.Supple.1,1951,citedby8).
8)RundleATandSylvesterP);:Measuremen
oftesticularvolume.Itsapplicationtc
assessmentofmaturation,anditsuseit
diagnosisofhypogonadism.ArchDisChilc
37:514-517,1962
(1988年6月21目 迅 速 掲 載 受 付)