Rashid A. Chotani, MD, MPH, DTM Adjunct Assistant Professor

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CHOTANI © 2009. Rashid A. Chotani, MD, MPH, DTM Adjunct Assistant Professor Uniformed Services University of the Health Sciences (USUHS) 軍軍軍軍軍 240-367-5370 [email protected] Just-in-Time Lecture Influenza A(H1N1) (Swine Flu): A Global Outbreak 新新新新新新新新新 A(H1N1) 新新新新新新新新新 新新新新新新 () (Version 11, 軍軍 4 軍 26 軍 ) 2009 年 5 年 26 年 年年年年 () 軍軍軍軍軍軍軍軍軍 1 軍 30 軍 年年年年年年年 • 軍軍軍軍軍 軍軍 軍軍軍軍 • 軍軍軍軍軍軍軍軍軍 軍軍 軍軍軍軍 • 軍軍軍軍軍 • 軍軍軍軍

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Rashid A. Chotani, MD, MPH, DTM Adjunct Assistant Professor Uniformed Services University of the Health Sciences (USUHS)  軍保健大学 240-367-5370 [email protected]. - PowerPoint PPT Presentation

Transcript of Rashid A. Chotani, MD, MPH, DTM Adjunct Assistant Professor

CHOTANI © 2009.

Rashid A. Chotani, MD, MPH, DTMAdjunct Assistant ProfessorUniformed Services University of the Health Sciences (USUHS)  軍保健大学[email protected]

Just-in-Time LectureInfluenza A(H1N1) (Swine Flu): A Global Outbreak 新型インフルエンザ A(H1N1) (豚インフルエンザ) の世界的流行

(Version 11, 初版 4 月 26 日 )

2009 年 5 月 26 日 (火曜日) 米国東海岸時間午前 1 時 30 分

日本語版翻訳者• 陸上自衛隊       医官  後藤浩也• 東北大学感染症内科 医師  宇佐美修 • 山口由起子 • 山崎倫代 

CHOTANI © 2009.

本スーパーコースの運営、翻訳に関わるすべての皆様、特に下記の人たちに感謝いたします。

Dr. Ronald E. LaPorte, University of Pittsburgh, USA Dr. Eugene Shubnikov, Institute of Internal Medicine, Novosibirsk, Russia

Dr. Faina Linkov, University of Pittsburgh, USA Dr. Mita Lovalekar, University of Pittsburgh, USA

Dr. Nicolás Padilla Raygoza, Universidad de Guanajuato, México Dr. Ali Ardalan, Tehran University of Medical Sciences, Iran

Dr. Mehrdad Mohajery, Tehran University of Medical Sciences, Iran Dr. Seyed Amir Ebrahimzadeh, Tehran University of Medical Sciences, Iran

Dr. Nasrin Rahimian, Tehran University of Medical Sciences, Iran Dr. Mohd Hasni , University of Kebangsaan, Malaysia

Dr. Kawkab Shishani, The Hashemite University, Jordan Dr. Nesrine Ezzat Abdlkarim, Beirut Arab University, Lebanon

Dr. Khowlah Almohaini, University of Pittsburgh, USA Dr. Duc Nguyen, University of Texas, USA

Dr. Elisaveta Jasna Stikova, University “Ss. Cyril and Methodius”, Skopje, MacedoniaDr. Michèle Cazaubon, Secrétaire Gle de la Société Française d' Angéiologie, France

Dr. Yang Yingyun , Peking Union Medical College, China Dr. Jesse Huang, Peking Union Medical College, China

Shimon Weitzman, Ben Gurion University of the Negev , IsraelDr. Nurka Pranjic, Medical School University of Tuzla, Bosnia and HerzegovinaDr. Shakir Jawad, Uniformed Services University of the Health Sciences, USA

後藤浩也 先生 防衛省 (日本語訳)山口由起子様 山崎倫代様  (日本語訳)

宇佐美修 先生  東北大学感染症内科(日本語訳)

Truly a global efforthttp://www.pitt.edu/~super1/

謝辞

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1. インフルエンザウイルスとは2. 定義3. はじめに4. 米国での歴史5. 拡散 / 伝染 6. 経過 / 事実7. 対策8. 最新状況

• メキシコ• 米国• カナダ• 欧州• その他

9. 症例提示10. ガイドライン

• 医療関係者向け• 検査技師向け• 一般向け• 治療法

11. その他の感染対策12. まとめ13. 発生までの流れ14. 過去の大流行の教訓15. 結論と勧告

概要

CHOTANI © 2009.

Credit: L. Stammard, 1995

• エンベロープをもつ RNA ウイルス

• オルトミクソウイルス科

• 大きさ : 直径  80-200nm

  ( 0.8 – 0.12 μm ( ミクロン ) )

• 3種類• A 型、 B 型、 C 型

• 表面抗原• H ( ヘマグルチニン )• N ( ノイラミニダーゼ )

インフルエンザウイルス

CHOTANI © 2009.

H1 N1H2 N2H3 N3H4 N4H5 N5H6 N6H7 N7H8 N8H9 N9H10H11H12H13H14H15H16

ヘマグルチニン(H)のタイプ ノイラミニダーゼ(N) のタイプ

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• エピデミック – 特定地域の集団的な発生• パンデミック – 世界規模での集団的な発生• 抗原連続変異• 遺伝子の点変異と選別によるタンパクの変化• 継続して変化し、毎年ワクチン株を更新する根拠と

なる

• 抗原不連続変異• 遺伝子再構成を通じたタンパクの変化• 年次のワクチンでカバーできないような異なるウ

イルスを生み出す。

用語の定義一般

CHOTANI © 2009. Source: Bean B, et al. JID 1982;146:47-51

インフルエンザウイルスの生存物質表面と湿度・気温の影響

• 硬い非多孔質表面  24-48 時間• プラスチック、ステンレス鋼

• > 24 時間以上 生存可能 • 手指への付着  24 時間以内

• 衣服・紙・ティッシュペーパー• 8-12 時間 生存可能• 手指への付着  15 分以内

• 手指での生存 高いウイルス力価は 5 分以内• 間接接触による感染の可能性

*湿度 35-40%, 気温 28℃ (82F)

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インフルエンザ 疫学

• 季節性インフルエンザ• 世界中で年間  25万 から 50万人死亡• 米国(年間)

• 3 万 5千人の死亡• 20万人以上が入院• 375億ドルの医療費 (インフルエンザと肺炎によ

る)• 100億ドル以上の労働生産力低下による損失

• パンデミックインフルエンザ• いつか訪れる脅威

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新型インフルエンザ A(H1N1) はじめに

• 豚インフルエンザは Swine Influenza (swine flu) は、 A 型インフルエンザによる豚の呼吸器疾患である。 時に豚の間で大流行する。

• 豚インフルエンザウイルスは、通常人間には感染しない。しかし、実際に感染例があり、感染した人が別の人に感染させるヒトーヒト感染の例が報告されている。

• ほとんどの場合、豚インフルエンザの人間への感染は、豚に近いところにいる人にのみ起こる。しかし、豚インフルエンザが人間の間で流行する可能性はある。

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豚インフルエンザ A(H1N1) 米国での歴史

• 1976 年豚インフルエンザは、 ニュージャージー州の Fort Dix 陸軍基地で流行し、 200人以上が感染、数名が重症となり、 1名が死亡した。• 4 千万人以上がワクチン接種を受けた• しかし、ワクチンの副作用とし

て、 Guillain-Barré (ギランバレー)症候群が 500 例以上報告され、ワクチンプログラムは中止となった。

• ワクチンの副反応で 30名が死亡した。• 1988 年 9月ウイスコンシン州で、もともと

健康だった 32歳妊婦が豚インフルエンザに感染し、肺炎として入院し、 8日後に死亡した。

• 2005 年 12 月から 2009 年 2月までで、米国内で 10 州から 12 例の豚インフルエンザ感染例が報告された。

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豚インフルエンザ A(H1N1) ヒトへの感染

• 感染した豚との接触あるいは豚インフルエンザウイルスに汚染された環境への曝露すること

• 豚インフルエンザに感染した人との接触

• 豚インフルエンザのヒトーヒト感染はこれまでも報告されており、季節性インフルエンザと同じように、感染者の咳、くしゃみによる豚インフルエンザ→新型インフルエンザ

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新型インフルエンザ A(H1N1) 種を超えての感染

鳥のウイルス

ヒトのウイルス

豚のウイルス

鳥 /ヒト再構成ウイルス

豚体内で再構成

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新型インフルエンザ A(H1N1) 2009 年 3 月経緯

• 2009 年 3月から4月初めにかけ、メキシコで呼吸器病が流行し、いくつかの地域からインフルエンザ様症状( influenza-like illness 、 ILI )の報告が相次いだ。

• 4月 12 日、メキシコの General Directorate of Epidemiology (DGE) は、 国際保健規則に則り、 Pan American Health Organization (PAHO) に対し、 Veracruz 州でのインフルエンザ様疾患の地域内流行を報告した。

• 4月 17 日、 Oaxaca 州で非典型的な肺炎の症例が発生したことにより、メキシコ国内全域でのサーベイランスが強化された。

• 4月 23 日、重症の呼吸器障害の数例がインフルエンザ A ( H1N1) による感染であることが確認され、 PAHO に通知された。

• 遺伝子配列解析により、カリフォルニアでの 2例の小児の感染例と同じ系統のウイルスに感染していたことが判明した。 • メキシコで流行していたサンプルは、米国の患者

のインフルエンザウイルスと一致した。

出典 : CDC

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新型インフルエンザ A(H1N1) 2009 年 3 月わかっていること

• これまで豚、人間のいずれにも発見されたことがない新しいタイプの A/H1N1 ウイルス

• CDC は、ヒトからヒトへの感染性をもち、感染が拡大しているとした。

• ウイルスは4種類の異なるウイルスに由来した遺伝子をもつ : • 北米 豚• 北米 鳥• 北米 ヒト• ヨーロッパ 豚

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新型インフルエンザ A(H1N1) 米国の対応

• 以下の戦略国家備蓄 The Strategic National Stockpile (SNS) の 25% を放出• 抗インフルエンザ薬• 個人用防護具• マスク

• オバマ大統領は、議会に対して新型インフルエンザ対策として 15億ドルの追加支出を求めた。

• 2009 年 4月 27 日、 CDC はあらゆる不要不急のメキシコへの旅行を自粛するように勧告した。

出典 : CDC

CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) 世界の対応

• WHO は警戒レベルをフェーズ5に引き上げ• WHO の警戒レベルは、 2004 年に鳥インフルエンザが広がった際に見直しが行われ、 2009 年 4 月 27 日にはじ

めてフェーズ3を超え、 2 月 29 日にフェーズ 5 となった。

• European Union (EU) は 27 の EU諸国に対し、流行地域となった米国の一部とメキシコへの「不要不急の旅行」 i を延期するように勧告した。

Source: WHO

CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) 2009 年 5 月 25 日最新状況

• メキシコ : 3 月 1 日~ 5 月 22 日 総計• 確定 4,174 例 うち死亡 80 例・入院 1311 例(肺炎)

• 全国 32 州すべて (保健省)• 2059 例 うち死亡 56 例

• 米国 : 3 月 28 日~ 5 月 25 日 総計• 確定 6,764 例 うち死亡 10 例  48 州 (アリゾナ州 3例、ミズーリ州 1 例、ニューヨーク

州 1 例、テキサス州 2例 ユタ州 1 例、ワシントン州 1 例)

• 入院  100名以上• ほとんど軽症例

• カナダ : 5 月 25 日まで 総計• 確定  921 例 うち死亡1例(アルバータ州)• 全 13 州のうち 10 州• 5 月 25 日だけで 116 例の新たな確定例• ほとんど軽症例

Secretaria de Salud, Mexico, CDC, Public Health Agency of Canada, European CDC, WHO  発表より

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新型インフルエンザ A(H1N1) 2009 年 5 月 25 日最新状況

• EU と EFTA諸国 : 4 月 27 日~ 5 月 12 日まで 総計• 19 カ国において 確定  360 例 死亡なし • 5 月 24 日だけで 11 例の新たな確定例• 国内感染  130 例• 報告された感染例の大半は 20-49歳• 1 例を除き、ほとんどが軽症 

• 世界 : 5 月 1 日から 12 日まで 総計• 46 カ国で確定 12,727 例• 確定例のうち 4カ国から 92 例の死亡

• メキシコ : 80• 米国 10• カナダ 1• コスタリカ 1

Secretaria de Salud, Mexico, CDC, Public Health Agency of Canada, European CDC, WHO  発表より

CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) メキシコでの発生状況 日別グラフ

8580

76

6148

26

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164157

157

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20

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/26

Day

No

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f C

on

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ed

Ca

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s

Secretaria de Salud, Mexico より

流行警戒発令

学校閉鎖

不要不急の活動の自粛を延期

学校再開

確定 総計  4174 例

2009 年 5 月 22 日 現在

CHOTANI © 2009.

豚インフルエンザ A(H1N1) メキシコにおける感染確定者数 年齢別

確定 総計  4174 例

2009 年 5 月 22 日 現在

Secretaria de Salud, Mexico より

11691056

839

468342

19978

230

200

400

600

800

1000

1200

1400

0-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60+ NA

Age Group

No

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CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) メキシコの確定例と死亡例 年齢グループ別

2009 年 5 月 22 日 現在

確定 総計  4174 例死亡  80 例 

2.51.31.3

3.88.88.87.5

13.810

1513.8

1.3

3.83.82.52.5

0

2

4

6

8

10

12

14

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1-4

5-9

10

-14

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30

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35

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45

-49

50

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Age Group

No

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Cas

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ata

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(%

)

Deaths %

Male: 41.1%

Female: 58.9%

Secretaria de Salud, Mexico より

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2

3

3

4

5

5

8

13

15

22

0 5 10 15 20 25

Retired

Unemployed

Pubic Sector Worker

Professional

Minor

Tradesmen

Student

Private Sector Worker

Independent Worker

House Bound

Deaths

新型インフルエンザ A(H1N1) メキシコの確定例と死亡例 職業別

死亡 80 例の内訳

CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) 米国の確定例と死亡例 州別

1325

900

2

122

49127

66

531

60

102102

139

28 9

896

2741

176

553

40

120

7134

9486

238

44 24 29 23 29

97

343

6 10

116

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3

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12 51

517

766

1

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Source: CDC

確定例 総計  6764 例 死亡 10 例  48 州

2009 年 5 月 25 日午前 11 時現在 

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新型インフルエンザ A(H1N1)MMRW Report, April 28

• MMWR, April 28, 2009 / 58(Dispatch);1-3 • 64名の患者のうち、年齢の判明した 47 例( 3-81歳)で

は、年齢中央値は 16歳• 38 例 (81%) は 18歳未満• 男性  51%• 発症日が判明している 25 例では、発症日は 3 月 28 日から 4 月 25 日間に分布している。

• 入院したのは 5名。• 海外渡航歴の判明した 14名のうち 3名がメキシコ• 47名中 40名 (85%) は渡航歴・他の確定者接触のいずれ

もない。

Source: CDC. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a2.htm

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MMWR, April 30, 2009 / 58(Dispatch);1-3 • ニューヨーク市 A 高校

• 生徒数  2,686名、 教職員 228 名• 4月 22 日から 23 日にかけ、 222名の生徒が体調不良で養護室を訪れ、学校を休んだ。• 市保健所は、症状のあるすべての生徒から鼻腔咽頭スワブを採取。• 4月 24 日 ( 金)、市保健所は、学校看護師が発見した新たに症状が出た 5 人の生徒と、近医で症状ありと報告のあった 4人の生徒から鼻腔咽頭スワブを採取した。

• 4月 27 日 学校閉鎖• 市保健所は、 A 高校近辺のいくつかのクリニックに鼻腔咽頭スワブのセットを配布し

た。 • 4月 26,27 日には、 24 日に採取した検体 24 のうち 9 から新型インフルエンザを検出。• 4月 26-18 日の間に、 42中 37 の検体 (88%) が陽性反応を示し、合計 44が新型イ

ンフルエンザ確定。• 4月 27 日、市保健所は 44 人の感染した生徒に電話調査

• 年齢中央値 15歳 ( 14-21歳 )• 21歳のスチューデントティーチャーを除き、感染者はすべて生徒• 44 人中 31 人 (70%) は女生徒• 30 人( 68%) はノンヒスパニックの白人、 7人 (16%) はヒスパニック、 2 名

( 5%) はノンヒスパニックの黒人、 5 人 (11%) はその他の人種であった。• 発症までの 1週間の行動では、 4人はニューヨーク市外の米国内を、 1名は

Aruba を 旅行していた。感染した 44名のうち誰も最近カリフォルニア、テキサス、メキシコを旅行してはいなかった。

新型インフルエンザ A(H1N1)MMRW Report, April 30

Source: CDC. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a2.htm

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新型インフルエンザ A(H1N1) MMRW Report, April 30

MMWR, April 30, 2009 / 58(Dispatch);1-3

• 発症日  4 月 20 日から 24 日• 10 例 (23%) は 4 月 22 日、 28 例

(64%) は月 22 日に発症。• 最高体温が報告された 35名では、最高体温は 37.2-40.0℃ で、平均は39.0 ℃ であった。

• 42 (95%) 名の患者で、発熱に加え、咳または咽頭痛があり、 CDC の定義するインフルエンザ様症状 ILI であった。

• 4 月 27 日のインタビュー時には、 37名 (84%) は症状が変わらないか改善していると答えた。 3名 (7%) は悪化していると答えた(そのうち 2名はその後の調査で改善していると返答)。 4名 (9%) は症状が全快したと述べていた。

• 1名のみ、失神のため入院したが、一夜経過観察をして退院している。

症状 症例数 (n=44)

%

咳 43 98%

発熱 42 96%

倦怠感 39 89%

頭痛 36 82%

咽頭痛 36 82%

鼻水 36 82%

悪寒 35 80%

筋肉痛 35 80%

吐き気 24 55%

腹痛 22 50%

下痢 21 48%

息切れ 21 48%

関節痛 20 46%

Source: CDC. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a2.htm

CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) カナダにおける確定例 地域別

1

9170

352

185

96

6 2 3

1151

0

100

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300

400

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Province or Territory

No

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Public Health Agency of Canada より

2009 年 5 月 25 日 午後 3 時 (EDT)現在

確定例合計  921 例、 うち死亡1例 13州のうち10州

CHOTANI © 2009.

17

1 1 2

19 17

1 1 1

19

3 4 3 1

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3 3

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3

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Confirmed cases In-Country Transmission

新型インフルエンザ A(H1N1) EU および EFTA諸国での感染確定例 国内感染

Source: ECDC

2009 年 5 月 25 日  1700 (CEST)現在

確定例合計  360 例、 死亡例なし  19 カ国 国内感染 130 例

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新型インフルエンザ A(H1N1) EU および EFTA諸国での 発生状況 日別グラフ

4 月 27 日~ 5 月 25 日 360 例の内訳

Number of Confirmed Cases

DaysSource: ECDC

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豚インフルエンザ A(H1N1) EU および EFTA諸国 における感染確定者数 年齢別

4 月 27 日~ 5 月 8 日 

46 例

3

6

23

7

5

2

0

5

10

15

20

25

0-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59

Age Group (Years)

Co

nfi

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Cas

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Source: ECDC

CHOTANI © 2009.

新型インフルエンザ A(H1N1) 確定例 国別  2009 年 5 月 25 日

2 16 1 7 9

805

44 15 13 28 4 1 10 6 2 16 17 1 4 1 1 1 1 8 19345

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1

1

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台湾では新型インフルエンザ A(H1N1) の確定例 1 例(死亡なし)が報告されている。台湾からの報告も上の図に含んでいる。 .

12,727 例  うち 92 例

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各国当局発表に基づいた、新型インフルエンザ A(H1N1)の確定および疑い患者の分布状況 2009 年 5 月 25 日 

(08:00 GMT)

Source: WHO12,727 例  死亡 92 例

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新型インフルエンザ A ( H1N1 ) 米国における症例定義

• 新型インフルエンザ A ( H1N1 )ウイルス感染の確定例とは、発熱を伴う急性呼吸器症状のある患者で、 CDC による以下の検査のいずれかまたは両方により 新型 インフルエンザ A ( H1N1 )ウイルスが確認されたものをいう。• リアルタイム RT-PCR • ウイルス培養

• 新型インフルエンザ A ( H1N1) ウイルス感染の可能性例とは、発熱を伴う急性呼吸器症状のある患者で、以下のいずれかを満たすものをいう。• A 型インフルエンザ陽性であるが、 RT-PVR で H1 または H3が陰性とされた

もの、または:• 迅速検査または免疫蛍光抗体法( IFA )により A 型インフルエンザ陽性とさ

れ、かつ疑い例の条件を満たしているもの。

• 新型インフルエンザ A ( H1N1 )ウイルス感染の疑い例とは、発熱を伴う急性呼吸器症状のある患者で、以下のいずれかに該当するものをいう。• 新型インフルエンザ A ( H1N1 )陽性確定患者と濃厚接触後 7日以内に発症

したもの、または:• 1 例以上の確定例がある米国内の地域または他国の地域に旅行後 7日以内に発

症したもの、または: • 1 例以上の新型インフルエンザ確定例が報告された地域に住んでいる者。

Source: CDC

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新型インフルエンザ A ( H1N1 ) 米国における症例定義

• 確定例の「感染可能期間」は、発症前 1 日から発症後 7日までと定義される。

• 「濃厚接触」とは、感染可能期間中の確定例または疑い例とされた患者から約 2メートル以内の距離にいた者をいう。

• 「急性呼吸器症状」とは、以下の症状のうち 2つ以上が急激に現れることをいう:水、または鼻づまり、咽頭痛、咳(発熱または熱っぽさの有無は問わない)

• 「ハイリスクグループ」:新型インフルエンザ A ( H1N1 )により合併症を起こす可能性が高い人は、季節性インフルエンザの場合と同様である。( Reference参照)

Source: CDC

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新型インフルエンザ A ( H1N1 ) 臨床医向けガイドライン

• 発熱を伴う呼吸器症状のある患者で、以下の場合には新型インフルエンザウイルスの感染を疑うべきである:• 豚インフルエンザ A ( H1N1 )の感染患者が確認された地域に住んでいる者、または

• 豚インフルエンザ A ( H1N1 )の感染者が確認された地域への旅行から帰ってきた者、または

• 上記の地域から来た患者に接触した後、 7日以内に発症した者。

• 豚インフルエンザが疑われた場合、検査のために患者から鼻腔咽頭スワブを採取し検体は冷蔵保存する(冷凍は不可)• 採取後は州保健局または地元保健所に連絡し、検体の輸送と州保

健局における迅速な診断を依頼する。

Source: CDC

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新型インフルエンザ A ( H1N1 ) 臨床医向けガイドライン

• 症状および兆候• インフルエンザ様症状( ILI)

• 発熱、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、頭痛、筋肉痛。嘔吐と下痢がみられることもある。(今回の豚インフルエンザ症例は2009 年 3月下旬から4月中旬の間に発症している)

• 入院加療を必要とする重症呼吸器症状を呈した患者(死亡例含む)がメキシコで報告されている

• 新型インフルエンザウイルス感染によって慢性的基礎疾患が悪化した可能性、または侵襲性の細菌感染が起こった可能性が考えられる

• 豚インフルエンザ A ( H1N1 )の確定例または疑い例で入院加療を必要としない患者は、少なくとも発症後7日間は診察時以外家から出ない(自主的隔離)ことが推奨される

Source: CDC

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FDAが抗ウイルス薬の緊急使用許可( EUA )

• 2009 年 4 月 27 日、米国食品医薬品局( FDA )は、新型インフルエンザ流行に対応するため、米国疾病予防センター( CDC )からの要請に基づいて緊急使用許可( EUA )を出した

• EUAが出された理由のひとつは、 2009 年 4 月 26 日に米国保健福祉省( HHS )が公衆衛生緊急事態を宣言したためである

• 今回の EUA により下記対応が可能に:• タミフル:  1歳未満の乳児に対し、治療もしくは予防用としてタミフ

ルを使用することが可能になり、それに伴い 1歳以上の幼児に対する推奨投与量が変更された。現在タミフルは 1歳以上の幼児のインフルエンザ治療および予防用として認可されている。

• タミフルおよびリレンザ: これらの抗ウイルス薬をできるだけ多人数に行き渡らせるべく、通常処方薬に適用されるラベリング条件を満たしていない状態で配布することと、緊急時の使用についての情報を記載することが可能になった

新型インフルエンザ A ( H1N1 ) 臨床医向けガイドライン

Source: FDA

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新型インフルエンザ A(H1N1) 検査室勤務員向け バイオセーフティーガラインイド 

• 新型インフルエンザ A (H1N1) 感染が疑われる患者から採取した生体材料を用いた診断業務は、 BSL-2 検査室で実施すべきである。• すべての検体はバイオセーフティーキャビネット (BSC) で取り扱わねばならない

• 新型インフルエンザ A (H1N1) 感染が疑われる患者から採取した生体材料からウイルスを分離する作業は、 BSL-2 検査室において、 BSL-3 の手技を用いて行うべきである (enhanced BSL-2 conditions)

• 追加予防策は以下のものを含む:• 推奨される個人用防護具 (施設ごとのリスク評価に基づく)• 呼吸器防護 – フィッティングテスト済みの N95  マスクまたはそれ以

上のもの • 靴カバー• closed-front ガウン• 二重手袋• 眼球防護  ( ゴーグルまたはフェイスシールド )

• 廃棄手段• あらゆる廃棄物の処理方法は当該施設の運用規定に従って行うこと

Source: CDC

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新型インフルエンザ A(H1N1) 検査室勤務員向け バイオセーフティーガイドライン

• 適切な消毒剤• 70 パーセント アルコール• 5 パーセント リゾール• 10 パーセン 漂白剤

• すべての勤務員は体温と症状の有無について自己チェックしなくてはならない。新型インフルエンザの症状には、下痢、頭痛、鼻水、筋肉痛も含まれる。

• なんらかの体調不良の際にはただちに上司に報告しなくてはならない。

• 無防備あるいは個人用防護具に明らかな破損がある状態で、新型インフルエンザ A (H1N1)が確定した患者からの生の検体や生ウイルスに曝露した場合、抗ウイルス剤のザナミビルあるいはオセルタミビルの予防的投与を、曝露から 7日間実施することを考慮する。

Source: CDC

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FDA は診断機器の緊急時使用を認可した。

• 2009 年 7月 27 日、豚インフルエンザの流行に際しての Centers for Disease Control and Prevention (CDC) の求めに応じ、米国Administration (FDA) は、診断機器の緊急時の使用許可 EUAs をだした。

• EUAs が出された理由のひとつは、米国保健省 U.S. Department of Health and Human Services (HHS)が公衆衛生上の緊急事態 public health emergency を 2009 年 4月 26 日に宣言したことである。

• 今回の新型インフルエンザの EUAs は以下のもの :• 診断装置 : CDCが rRT-PCR Swine Flu Panel diagnostic を配布すること。その対象となるのは結果を判読できる装置と人材を保有した、公衆衛生および条件を満たした検査機関である。

新型インフルエンザ A(H1N1) 検査室勤務員向け バイオセーフティーガイドライン

Source: CDC

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新型インフルエンザ A(H1N1) 一般向けガイドライン

• 咳、くしゃみするときはティッシュで口と鼻を覆うこと• 使用済みティッシュはゴミ箱に捨てる。

• 石鹸と水で手を洗うこと• 特に咳、くしゃみのあと

• アルコール消毒液で手を洗うこと• 病人との濃厚接触を避けること• 洗っていない手で、眼、鼻、口を触らな

いこと。• インフルエンザにかかったら、出勤や登校をせずに自宅に残り、他の人にうつさないように接触を制限すること。

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新型インフルエンザ A(H1N1) 治療

• 入手可能なワクチンはない

• 感染の治療・予防に用いる抗インフルエンザ薬:• オセルタミビル(タミフル)       または• ザナミビル (リレンザ)

• 抗インフルエンザ薬の使用により、症状が軽度になり、早期回復が可能である。

• また、抗インフルエンザ薬でインフルエンザの合併症を抑制する可能性もある。

• 抗インフルエンザ薬を治療に用いる場合は、発症してから早期(症状出現から2日以内)に投薬を開始すると効果が高い。

• 警告!  アスピリン(アセチルサリチル酸)またはアスピリンを含んだ製品( 例:米国の胃腸薬 Pepto Bismol )を、新型インフルエンザ A(H1N1) の感染が確定または疑われる小児または 18歳以下の若年者に投与してはならない。ライ症候群という、まれではあるが深刻な副作用の恐れがある。解熱のためには、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬を用いることが推奨される。

Source: CDC

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新型インフルエンザ A(H1N1) 治療

Source: CDC

オセルタミビル(タミフル) ザナミビル (リレンザ)

治療 予防 治療 予防

成人 75 mg  カプセル1 日 2  回 x   5 日

75 mg  カプセル1 日 1  回

5 mg の吸入を 2回 (  合計 10 mg ) 1 日 2回

5 mg の吸入を 2回 (  合計 10 mg ) 1 日 1回

小児 体重 15 kg 以下1  日量 60 mg 2回に分けて

1  日量 30 mg 1回

5 mg の吸入を 2回 (  合計 10 mg ) 1 日 2回7 歳以上

5 mg の吸入を 2回 (  合計 10 mg ) 1 日 1回5歳以上

15–23 kg: 1  日量 90 mg 2回に分けて

1  日量 45 mg 1回

24–40 kg: 1  日量 120 mg 2回に分けて

1  日量 60 mg 1回

40 kg 以上 :1  日量 150 mg 2回に分けて

1  日量 75 mg 1回

1歳未満にオセルタミビルを投与する場合の推奨量

治療目的( 5 日分)  3ヶ月未満: 12mg 1 日 2回、  3-5ヶ月: 20mg 1 日 2回、  6-11ヶ月: 25mg 1日 2回予防目的( 10 日分)  3ヶ月未満:投与データが少ないため、危機的な場合を除き推奨しない               3-5ヶ月: 20mg 1 日 1回、  6-11ヶ月: 25mg 1 日 1回

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新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策

分離・隔離・ 社会的距離戦略• 分離  Isolation: 症状のある患者を、自宅または病院にて隔離し、他人に感染させないようにすることのみをいう。

• 隔離  Quarantine: 感染した可能性のある無症状の者を社会から遠ざけておくことをいう。

• 社会距離戦略  Social-Distancing: 隔離の一手段として用いられてきたもので、学校閉鎖、集会の禁止などにより、接触の機会を減らすことをいう。

Source: CDC

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新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策

エアロゾルが発生する作業に従事する者• CDC の暫定ガイドライン :

• 新型インフルエンザが確定または疑われる患者に関し、エアロゾルが発生する作業(例: 臨床検査検体の採取、気管内挿管、ネブライザー、気管支鏡、緊急挿管を含む心肺蘇生など) に従事する者は、フィッティングテスト済みの N95 マスクを使用すべきである。

• ウイルスの感染様式がはっきりするまでは、新型インフルエンザが確定または疑われる患者を直接ケアする者は、患者の病室に入るときには フィッティングテスト済みの N95 マスクを着用するべきである。

• Occupational Safety and Health Administration (OSHA 、労働安全衛生局 ) の規定に準拠した呼吸器防護プログラムによりマスクを適切に使用しなくてはならない。

Source: CDC

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医療機関における患者の感染コントロール

• 新型インフルエンザが確定または疑われる患者は、ドアが閉じた個室に入室させねばならない。可能であれば、 1 時間で 6 回から12回の換気が可能な陰圧の感染症病室がよい。換気は直接外部かもしくは HEPA フィルターを通したのちに再循環させる。吸引、気管支鏡、挿管は、陰圧室で行うこと。

• 患者は、病室を出るときにはマスクを着用すること。 また、 手洗いの励行、咳エチケットを遵守するようにしなければならない。患者の使用するコップ等は、他人が使用する前に石鹸と水で洗わねばならない。季節性インフルエンザの際に取られる環境衛生の行動を新型インフルエンザでも適用すること。

新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策

Source: CDC

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医療機関における患者の感染防止

• 飛沫と接触による感染防止の標準予防策を遵守すること。 これは発症から7日間もしくは症状が消退するまで、あらゆる患者管理の際に実行すべきである。手袋その他の用具をはずしたときや、あらゆる呼吸分泌物との接触をしたら直ちに、 石鹸と水で洗浄するか消毒剤を用いて手を消毒する。

• 確定または疑い患者のケアを担当するあるいはその生体検査材料を取り扱う者は 使い捨て手袋、ガウンおよび眼球保護ゴーグル(結膜への曝露を避ける)を着用しなくてはならない。

新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策

Source: CDC

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• サージカルマスク • 手に入りやすく一般に日常的に外科や手術において用いられる。

• 高機能フィルター 呼吸マスク• 0.3 ミクロン以上の大きさの粒子を追い払う特殊 微細構造フィルターディスク

. • これらのマスクは更に細分化される :

• 防油性• 耐油性 • 耐油性がないもの

• 耐油性が高いマスクほどよい• マスクには横にナンバーが打たれており、 それはろ過効率を示している . • 例えば N95 マスクは 0.3 ミクロン以上の大きさの粒子の正常な範囲の呼吸において 95% のろ過効率を備える。

• 次世代のマスクはナノテクノロジーを 用いて 0.027 ミクロンの小ささの粒子を防御できる。

保護マスクのタイプ

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まとめ• WHO は、 2009 年 4月 5 日、警戒レベルをフェイーズ5に引き上げた。• メキシコ (1.91%), カナダ (0.11%) そして米国 (0.15%) と症例致死率に大き

な差がある。 • 全世界的 case-fatality 症例致死率 (12,727 症例うち死亡 92 例 ) 0.72%• 世界で 報告された、入院加療を要したのは 1,500 例以下

• 大多数がメキシコにおけるもの• 疫学的データ

• 米国• 中央値は 16 歳 ( 範囲 : 1-81 歳 )• 80% 以上の症例は 18歳以上 • 60% 女性 ; 40% 男性

• メキシコ• 症例の大多数は健康な若年成人• 死亡した 77.5% は 20-54歳の若年成人 • 60歳超は多くの症例において抵抗力があり、残りの年齢層よりも低い症例致死率を示した。• 56% 女性 ; 44% 男性

• EU• 症例の大多数は健康な若年成人 (20-29 歳 ).• 国内感染が確認されている

• ワクチンは無効• 抗ウィルス薬は使用可能

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発生の経緯ヒトでの A 型インフルエンザ

1918 1957 1968 1977 1997

1998/9

2003

H1

H1

H3H2

H7

H5H5H9

スペイン風邪H1N1

アジア風邪H2N2

ソ連風邪H1N1

AvianInfluenza

香港風邪H3N2

2009

H1

新型ウイルス(豚インフルエンザ)

1976 Ft. Dix 豚インフルエ

ンザ流行

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教訓 過去のパンデミックから

• 1918 年 3月、ヨーロッパと米国における最初のパンデミック• 高度の接触伝染性、しかし致命的では無い• ヨーロッパ /合衆国間で軍艦で旅したウィルス• 陸地、アフリカやアジアへの船旅• 危険信号は見落とされた

• 1918 年 8月、フランス、シエラ・レオーネ、合衆国における同時多発的感染勃発• 致死率が 10倍に• 15歳ー 35歳の最高致死率• サイトカインストーム?• 直接的なウィルス性肺炎による死亡、二次的細菌感染性肺炎による死亡

• 罹患 48 時間以内の死亡• 豚の重症疾患との一致• 1 年足らずで 2000万 -4000万人が死亡• 第一次世界大戦ー 4年以上で 830万人の戦死

• 世界の 25-35%が感染

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• パンデミックは予測不能• 致死率、罹患の重症性、感染パターン

• 突然の、医療の必要性の急カーブな増加はいつでも起こりうる。

• 特定の世代グループにおける重症化が起こる可能性がパンデミックの社会的影響の大きな要因となる。

• 疫学調査により感染カーブが描ける• 当初感染しなかった地域・世代はその後の流行で脆弱• 後続派はより重篤な可能性

• 1918- ウィルスがより有害に変異• 1957 学童が最初の波を拡散させ、第二波で高齢

者が死亡• 公衆衛生的介入は、パンデミックを遅らせるとしても

とめることは出来ない。• 検疫強化、旅行制限は効果がほとんどない

• 集団の感受性を変えることは出来ない• オーストラリアへの感染拡大を遅らせることが出来たが、より性質の穏やかな系統のウイルスには感染した。

• 集会の一時的禁止、学校閉鎖は、症状が重く致死率が高い場合には有効である可能性がある。

• 拡大の遅滞が望まれる• 同時期に発症する人数を減らすことで、医療需要

の急増に対する医療機関の対応能力を改善できる

教訓過去のパンデミックから

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結論 /勧告

1. 過去のパンデミックにおける経験は、我々に第二波は第一波より悪く、死をもたらすことを知らしめた:• 直接的には、ウィルス性肺炎、急性呼吸促迫症候群( ARDS) 、そして二次

的な細菌感染、特に肺炎。• 幸いなことに、過去と比較して、現代は、我々は抗ウィルス剤や抗生物質

(細菌による二次感染を治療)持っている。• 困難ではあるが、第二波の出現までには、この株のワクチンを生産できる

可能性がある。• 合衆国におけるインフルエンザが原因とされる死者は年間 3 万 5千人以上

、入院患者 2 万人以上 200,000 、医療費 375億ドル(インフルエンザと肺炎)、さらに 100億ドル以上の生産性損失

• 過去の経験と現在の H1N1 の流行状況(初期の健康被害報告によると現時点では拡大カーブを描き、メキシコとカナダで急速に拡大している)によると、来たる秋には、より有毒な第二波の可能性がある。

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結論 /勧告

2. 現時点において、メキシコ以外で報告された H1N1 を原因とする死亡は 4 名である。

• この疾患は、世界に急速に感染拡大しているとはいえ、軽症型である(メキシコを除く)。

• ほとんどの人々はこのウィルスに免疫を持っておらず、そのため感染拡大し続ける。数日か数週のうちには症例数、入院患者数、死亡例が増加すると予測される。

• 疾患はメキシコや EUからの疫学的なデータに基づけば、あらゆる集団の健康に影響を与えるものと思われる。

• 60歳代より上の年齢層は、この系統のウイルスに関し、過去に曝露したかある種の免疫を獲得したと考えられる抵抗力が示されている。

3. 地域行政機関における権限の必要性• 疾患やウィルス学上のサーベイランスを向上させる。• 多数の重症患者を収容するプランや、もし必要であれば軽症患者の自宅

(任意的な隔離)でのケアを規定するプランを実施。• 医療機関はサージ対処能力の向上と厳格な感染予防、コントロールに重

点的に取り組む必要がある。• 一般住民は基本的な標準予防策に従う必要がある。

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結論 /勧告

4. 北半球においては、インフルエンザウィルスの感染は通常 5 月初旬で収まる。しかしパンデミックの年( 1957 )は夏に成人若年層に散発的なアウトブレイクが起こった。• 可能性として

• 今回の流行は、北米ではあと 2-4週間のちに収束していく(インフルエンザウィルスは高湿度や高温の環境では生き残れない)

• 北米においては、高病原性の第二波として秋に再来する• 南半球において流行し、発症させる

5. 国境閉鎖と旅行制限 :• この疾患は既に国境や大陸を越えている。したがって、国境閉鎖や旅行制限は、感染拡散の経路を変えはしない。• 直近の 2003 年の SARS の経験から、そのような対策が無効であるこ

とが明らかとなった。• 中国において空港や鉄道駅や街頭で、発熱の有無で、千4百万人の国民が検疫を受けたが、 SARS疑いとして検出されたのは 12名に過ぎなかった。

• シンガポールでは 50万人近くの搭乗客のスクリーニングを行ったが、 SARS の感染者は発見できなかったと報告している。

• 受動的サーベイランス(兆候となる個々の体調不良の申告)は重要な手段となり得る。

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結論 /勧告6. 学校閉鎖 :

• 先走った学校閉鎖は、単に病気の感染拡散を遅らせるに過ぎない。• 一旦、学校を再開すればすぐに(漠然と閉鎖しておけないので)感染は拡大す

る。• 更に、このことは、独身の働く親たちに耐え難いプレッシャーを与え、経済的

に計り知れない影響を与える(子供を一人にしておけないので)• 大規模集団発生が確認されてからの閉鎖は、生徒や教師の長期欠席率が高く、

学校閉鎖を正当化することができる場合には適切であろう。

7. 来年以降のインフルエンザワクチンの開発においては、今回の ( 北米 ) の(豚)インフルエンザ A 型( H1N1 )ウィルスワクチン開発に高い優先順位が与えられるべきである。製造能力が危機的様相であると言われている

8. 「状況が変わった」ことを認識することが肝要である• このウイルス系統が非常に急激に世界中に拡大し、感染力が高いように見えて

も、現代の我々は、 1918 年の時代より格段に良い準備ができる。サーベイランス能力、情報伝達能力、感染対策の知識、抗ウイルス薬、抗生物質そして科学の発達力等において当時より進歩しており、有効なワクチン製造の資源があるのだから。