日本産カゲロウ類 。一一概説 - spbu.ru · 2017. 11. 29. ·...

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日本産カゲロウ類 。一一概説 はじめに 近年,水生昆虫に興味をもつひとが年ごとに j 拾えてき た.高校生や大学生,それに川の自然を守る民間グノレー プ,土木尽さんや化学尽さん,環境問題に関述する研究 者や行政職のブi などが,水生昆虫の専門家と共同で河川 や湖沼の研究にたずさわっている.一方,最近の釣りプ {ムにのって渓流釣笈好家の間では,釣餌や擬餌の研究 がさかんである さて,水生昆虫を調べようとしてもまとまった参考書 は少ない.いまのところ手に入りやすい書物の一つに, 津田松苗編「水生lG 虫学」がある. この己:物は 1962 :'1'- (I!B 37) に出されたが,その後ほとんど改訂はされてい ない.その聞かなりの種類が線認され,その生活史や生 態などについても多くの知見が得られている.しかしな がら,臼木産の水生品!.l!,全般に関する研究はまだまだす こぶる不充分である. わたくしが水生昆!.l!,に興味をもったのは,分Jft'! 学的な 研究よりも,むしろ生態学的な研究をやってみたかった からである .is 流にすむブJ ゲロウをJl ll 、て“すみわけ f i ! . 論"をm 立てた今回$iO司博士1: を訪ねたのはその頃であっ た.その際,今回tWことは r 水生昆虫の生態学的な仕事を するためには,まず基礎的な分類の仕事から入るのが近 道である』とさとされた.秘の同 iE ができなければ生態 学的な仕事はできないという立味である.以来20 年余, 何回も回り道ばしたけれど,カゲロウのft:'Jc はつつ e けて きた. ここで・はそれをもとにして, 日本j[t カゲロウ m 分類に関して,現在までに得た知見を殺到!してみたい. わたくしが日本産カゲロウ rn の終理を考えたJlJl自のひ とつは,カゲロウ rn 成虫の絵里I が,/?空でのところ全く なされていなかったこと 幼虫と成虫の的。定位,成虫が わかっ -c その幼虫がわかっていない佑,そのJi立な場合に ついて明らかにし,これを附み台にして多くのブ j がたに KyuemonGosc: TheMayOiesofJapanese_ (1) Generalpart 奈良県立小学校教Hfi 成所 御勢 久右衛門 幼虫をふjfJ'し,羽化宍験によってカゲロウ類の分J'jj学的 な研究を進めていただきたいと思ったからである. もうひとつの理由は,河川や湖沼の水m 可定には水生 昆虫を指標とする場合が多いからである.すなわちカゲ ロウ類はとeの水域にも出現し, H1 t¥'( 径としての flUifl 白はき わめてj:' : j l . 積というものは微妙で 1 種ずつ,その好 む環境をもっている.近似の極であっても <<r- む環境条 件に微妙な差がある.だからわれわれの生物 1 極ずつに 対する知識がふえていくほど生物学的水質判定の基礎は 深まっていく.このためには,カゲロウ類の現在までに (J'{l i JJ:::された簡を監理し,それらをもとに,それぞれの径 が提供してくれる環境情報をより多く収集することによ り,生物学的水質判定の精度を高めることができると考 えた. カゲロウ類の概説 カゲロウ類=虫'f'* 持煩 (Ephemeroptera) の成虫はデリ ケートな体の美しい昆虫で,白色,黄色,褐色あるいは 赤色をfif びているなど,とりどりの色彩をもった昆虫て・ ある(図 1 )_三角形で繊細な多政の脈をもった透明な !dJ,それに制IIJ れ、肢と j 己毛.物日月や伝説に,はかないも ののたとえ;ニ用いられているのは,成虫の生存19J 間がき わめて短いからであろう. “わずか 一日のいのち"の芯:味である,ギリシア語の ephemeros に由来しているように,成虫t 工羽化後,交尾産卵の終了 主どもってその一生を終る. 上に合せて:m i 査に立てることは蝶のようである.後趨l 小さく,ときにほ全然なくなっているものもある.口 mi (;t退化し I f 電機能を失っている 復限は大きく, tii 例で小さい.肢;主細くて弱々しく, カ礼、ちじるしく j 之い.肢の爪;工 2 倒で, I ; J 形のもの,互 L (こするものなどがある. I 1 江市;:土lOi'!1 ¥ j から 38 海洋ι 集物 1(Vo l.l -No 0

Transcript of 日本産カゲロウ類 。一一概説 - spbu.ru · 2017. 11. 29. ·...

  • 日本産カゲロウ類 。一一概説

    はじめに

    近年,水生昆虫に興味をもつひとが年ごとにj拾えてき

    た.高校生や大学生,それに川の自然を守る民間グノレー

    プ,土木尽さんや化学尽さん,環境問題に関述する研究

    者や行政職のブiなどが,水生昆虫の専門家と共同で河川

    や湖沼の研究にたずさわっている.一方,最近の釣りプ

    {ムにのって渓流釣笈好家の間では,釣餌や擬餌の研究

    がさかんである

    さて,水生昆虫を調べようとしてもまとまった参考書

    は少ない.いまのところ手に入りやすい書物の一つに,

    津田松苗編「水生lG虫学」がある. この己:物は 1962:'1'-

    (I!B37)に出されたが,その後ほとんど改訂はされてい

    ない.その聞かなりの種類が線認され,その生活史や生

    態などについても多くの知見が得られている.しかしな

    がら,臼木産の水生品!.l!,全般に関する研究はまだまだす

    こぶる不充分である.

    わたくしが水生昆!.l!,に興味をもったのは,分Jft'!学的な

    研究よりも,むしろ生態学的な研究をやってみたかった

    からである.is流にすむブJゲロウをJlll、て“すみわけfi!.

    論"をm立てた今回$iO司博士1:を訪ねたのはその頃であった.その際,今回tWことは r水生昆虫の生態学的な仕事をするためには,まず基礎的な分類の仕事から入るのが近

    道である』とさとされた.秘の同iEができなければ生態

    学的な仕事はできないという立味である.以来20年余,

    何回も回り道ばしたけれど,カゲロウのft:'Jcはつつe

    けて

    きた. ここで・はそれをもとにして, 日本j[tカゲロウmの分類に関して,現在までに得た知見を殺到!してみたい.

    わたくしが日本産カゲロウrnの終理を考えたJlJl自のひとつは,カゲロウrn成虫の絵里IIが,/?空でのところ全くなされていなかったこと 幼虫と成虫の的。定位,成虫が

    わかっ-cその幼虫がわかっていない佑,そのJi立な場合について明らかにし,これを附み台にして多くのブjがたに

    Kyuemon Gosc : The MayOies of Japanese_

    (1) General part謁

    奈良県立小学校教Hfi成所

    御勢 久右衛門

    幼虫をふjfJ'し,羽化宍験によってカゲロウ類の分J'jj学的

    な研究を進めていただきたいと思ったからである.

    もうひとつの理由は,河川や湖沼の水m可定には水生昆虫を指標とする場合が多いからである.すなわちカゲ

    ロウ類はとeの水域にも出現し, H1t¥'(径としてのflUifl白はき

    わめてj:':jl.、 積というものは微妙で 1種ずつ,その好

    む環境をもっている.近似の極であっても,

  • 図 1 カゲロウ類の成虫とm(成虫

    j二・ヒメフタカゲロウ編 Amelelusの成虫 (Mayo,1939)

    ド:マエグロヒメ 7ftオカゲロウ

    Ameletu. c"slalisのjIE成虫

    なり, ;.j(節には 2:4:または 3本のj七い有ufjの}己毛をもっ

    ている.そのうち側方の 2本は18て、あって,中央の l本

    は末節の突起 (rf'p己糸)に相当する.

    !拠出は幼虫のすむ7)(;1l付近の制校や''t'('trらなどにI'iilll:

    していることが多い.しかし.静穏な日の日中や夕方に

    は1市民しているのをよくみかける.大群をなして,~流

    の上を飛んでいるカゲロウを捕虫網でとって調べてみる

    と,大多数は維である.このすfJltのときの各個体のJ[~び

    プJは一風変っている.水面i付近から急に上方にri'Jって飛

    び上り,それから肢を水平に広げてグライダーのような

    格好で下方へ前走飛行をする.この迎動を何度も何度も

    繰り返す.、ときどきltiEがきて, ntの'Il1"に入り,すぐどれかのnt!とアベックになって群からlUていく.

    交尾は飛i:s'I'に行われる.そのさい雄はその1七い前肢

    を下からmtの胸部にかけて抱き, J111背11を曲げてその把持子でjij{!の服部に間不・させる(閃 2). ::3左足の時聞は短く,

    数秒I1IJ,すぐに離れる.その終りに近づくに従い, lil,j者

    作ってほとんど主砲に降下し水踊iに近づく.交応力:終れ

    ばjtil は jl~ びながらその)r.)t,I,1を何度も絞辺し水耐に泣して

    図 2 交尾の姿勢

    上 :Parameletus chelゲ'er (J~が州t 下がnn

    (Brinck, 1957)

    1 :前肢 2:把持子, 3:交尾¥t:i(陰茎),

  • b

    ' 邪i--_)

    図 4 擬餌(加藤, 1977)

    a.b:カゲロウの幼虫, c:カゲロウの成虫

    。ー 図 5制限と単|恨

    a:ノセカ'ワシロ,、ラコカゲロウ BaetiellalIosegawaensis b:冨シノコカゲロウ Baetisyoshilloe>lsis

    1 :ターパン|恨, 2:;法制限,1制限

    少しずつ卵を産み落とすか 1個の大きな卵塊として水

    中に落下させるか,あるいは,みずから水中に潜って水

    面下の石際上に卵を産みつける.卵の数は多い (1500~

    3000個). 形は通常卵形できわめて小さい. 色はさまざ

    まで,表商に彫刻があり,一つ一つの卵がその一端に付

    着用の~Ji]子をもち,また別i治l/l:の細い糸が何本か卵の表

    面から出て石に付着するもの, ときにはゼラチン状物質

    につつまれたものもある(図 3).

    水中にEとみ下された卵は,水)i(に沈下しておl深などに

    粘着ーし,ふ化時まで流されることは少ないが,早瀬など

    に産み務とされた卵は流下してo::!や川岸なと.に沈着する.

    淵岸や川岸の砂底からふ化[直後の幼虫が多数みつかるこ

    とがある.卵は通常数日から 1~2 週間でふ化するが,

    なかにはふ化までに数ヶ月を耳目するもののあることが知

    られている.

    卵からふ化した 1令の幼虫は通常 1mmlこも達しない.

    2令で全部の総ができる種煩もあるが通常は脱皮ごとに

    毎回 l対ずつ(または不規則に)鋭ができる.成長する

    につれて触角の節の数が地JJJlし,復限の大きさ,および

    趨芽の大きさが消加する. ;J'J化直liiiには幼虫の戊1,可とillf

    成虫の皮膚との聞にガスが生じるため,銀色にみえる.

    幼虫の脱皮回数は普通12回ぐらいである.外国では40回

    以上の脱皮が記録されたO1Jもあるが,まだまだ脱皮回数

    の調べはすすんでし、ない.

    カゲロウ類の 1世代は 1年以内のものが大部分である

    が,日本産のものは年2世代を重ねるものが多い.また

    2年で 1世代を完了するものもある.その羽化時期は,

    英語で“mayfly"といわれるように 5月がもっとも多い

    が,早春に羽化する種類もある.年2世代種は晩春と秋

    季の 2回に羽化する.たいていの種は夜間灯火のまわり

    に大群をなして現われ,短時日に死に去ることがよくま日

    られている.その出現は毎年ほとんど日を同じくし,夏

    期では20時演に集中して来襲する.そして翌朝には,家

    屋や街路などにカゲロウの遺骸が白雪のようにうず高く

    つもっていることを見ることがまれではない.

    琵琶湖畔では毎年6月頃,雨もよいの日に,大量のム

    スジモンカゲロウ (Ephemeraorientalis McLachlan)

    〔日本で,従来からムスジモンカゲロウ (Ephemera

    lineata Eaton)とされていた種は Ephemeraorientalis

    である.)の羽化がみられ,夜になると浜大津あたりの

    街灯やJ.sの電灯のまわりにカゲロウが渦を巻いて飛びま

    わり,急(¥,、で雨戸を閉じる家が多いありさまであったと

    いわれている.市民はこれをアメフリトンボと称してい

    た.また,岡山県の津山市内や栃木県の宇都宮市ではア

    ミメカゲロウ (Ephoron shigae Takahashi)が,埼玉

    県の加須市ではヒトリガカゲロウ(Oligoneuri・ellarhe・

    nalla Imhoff)の大群が発生し, 通行人や荷応を悩ませ

    た.無数に飛び交うさまはちょうど雪が降るようで,自

    動車の運転手は日がくらみ,スリップ事故のため警官が

    1119j}Jし,通行人が上衣をかぶるという状態にあったと総

    じている.志賀直哉は「主主1f.虫」とし、う題で信州戸倉の

    千1111川付近て・みたカゲロウの大発生の様子を書いている.

    ヨーロッパ;;/';同では,その死般を集めて魚類の自I[Hとし,

    あるし、は肥料とすることがあるという.熱帯地方の現住

    民のなかには食料としてこれを利用しているものもある.

    渓流魚の擬簡は多くの場合,カゲロウの成虫を模して作

    られている(図 4).天然におし、ても烏や魚の好餌料で

    あることには間違いあるまい.

    幼虫はすべて淡水中に生活し,成熟してIt.'jJVJがくれば

    水面にに上って羽化する.まずカゲロウ類に特有なjl!!成

    虫色ubimago) となる. この際, 幼虫は水辺のおーや石

    にはい上り,そこで外皮の乾きを待って徐々に羽化する

    仲間や (Ameletus ヒメフタオカゲロウ民や Iso1lychia

    チラカゲロウl必), 水底から水面tこ1:')って一気に浮上し,

    40 海洋と生物 1 (Vol. I-No. 1), 1¥179

  • J"

    函 E マダラカゲロウ鼠 E'phemerellaの成虫

    (Edmundsら.1976)

    水際でパヅと脱皮して亜成虫となる種類,Epeorusヒラ

    タカゲロウ属の仲間には,瀬の石の表面にくつついたま

    ま,羽化は水中で行われ, TIli成虫は脱殻をその石商に残

    して,水面iにとび出すものなどカゲロウ類の羽化方法に

    は 3つの型がみられる.羽化に要する時聞は種々である

    が,腕時のものから数分間のうちに外皮をぬぎすてる.

    羽化したカゲロウは姐をもっているが,まだ木当の成

    虫ではない.TIli成虫である.亜成虫は成虫と同じく肢に

    2倒の爪をもっているが,まだ性的には成熟していない.

    n :r.~はもはや滋化しているから食物の段取はできない.

    趨は飛朔に役立つが, くすんだ色で,不透明,往々i凶色

    の紋があり,かつ後縁には毛のある種類が多く,成虫と

    は色彩が異なり,尾が太くて短い.幼虫期にあった鯨は

    なくなっている.水をはなれた亜成虫は水辺の樹校や家

    F誌の111灯,明るいガラス窓などにしばらく静止する.こ

    の班成虫は, I援い日の夜など相当活動的に飛びまわる.

    亜成虫のJPJ聞は短いもので 5分,長いもので 3日くらい

    である.その後,もう一度脱皮してはじめて本当の成虫

    (imago) となる.

    前述のよう tら成虫は一般に短命で.生存JUJ聞の短い

    ものでは数時IllJ,一般に数日,ごく Iれ、もので 1週間で

    ある.特に3

  • 司 f巴持子

    (生殖肢)

    図 7成虫の交尼総

    gills)をもっていることである.気管血IL!は単ーまたは 2

    1欠の主主状薄Hーからなり, しばしばその基部に叢状になっ

    た数本の糸状艇を伴う.しかし.そのうち 1対または数

    対が退化して観保状になるものがあり,また全然なくな

    っているものもある.内部の筋肉の働きによって慨を問

    駄i'1'~に,または継続的に前後にjJIHVJ させ,これによって

    、で‘きた水流により乱!I.!に適当なi牧来を供給する. 7J(I-I'門主主

    のJ1U以は主として外IY:をj画して行オつれる. fM!:.!は {v~心i した場合は再生する.

    その他の幼虫の特徴としては,頭部が大きく, Il[l鴨Il

    がよく発迷している.カゲロウ類の:Y,)J!I',はすべて槌食性

    で,水中の石岡上や相加物の表面iに付若するmv~などの

    微小説JJiを食っている.大きい;.[の fum~ と :l つのかなり

    切j阪なl(tl民がある.人ー夫な目立と,各肢の爪がl;;j;:である

    こと. }己Gf:t:3本または 2木. }己1':は 3木あるのを!瓜JlIJ

    とする.Eteorusヒラタカゲロウ同や Pseudocloeo71フ

    タパコカゲロウMのえ}J!1~ では, この'1'火のJe'l')[¥糸は;sl

    化し, )ì'-.に尖った小尖起となっている.その他のkJ~のな

    かにも, 'J・J令幼虫JtJJには'I'}(¥糸のt.r.l、ものが今い.幼虫

    は5Wに「ドなって脱皮を繰り返し.やがてMlのIH跡、が現

    われ,これは脱皮ごとにその大きさを地し,十分成熟す

    同れば,'~~_I:v.こ Jれ、麹紛が発達して,その中にはN.\l、組が

    j盃祝て'き,そのみj化が近づいたことを示す.

    E 日本産カゲロウの研究史

    日本産のカゲロウ類は,松村松"1ミ, 1刊本半次郎,;~~:j橋

    雄ーらによって研究されてきたが,成虫と幼虫とを体系

    的に研究したのは今問的7'1とl二型i俗三のI,r.jr',¥t士て‘あるとくに渓初日u,!iの幼虫をもっMH[は今凶 (1930,19:32, 1933, 1934, 1935, 19:36, 193711, 1937b, 1938, 1940,

    1941)によって明らかにされた. これに先立ち, 上野

    (1928)は日本産カゲロウ日幼虫を 20数種記載し,害容明

    JVlにおける日本産カゲロウ奴の研究者に便益を与えると

    ともに,以後の研究者に重要な穴献をしたことは !I-.¥'~在

    すべきである. その後, 上野 (1931a,1931b, 1931c,

    1931d, 1938, 1969)は, 村i力的に多くの成虫ならびに

    幼虫のJ"'(しい記載を行なってこられた.筆者もまた,

    若干の成虫と幼虫を記裁 (1958, 1962, 1963, 1965a,

    1995b, 1968)するとともに, 10数極のカゲロウについ

    て,その1=_活y.:ならひPに生産速度について研究をおこな

    った (1970,1971, 1975, 1977).

    今西・上野町博士ならびに宗青ーらは. f;,~多くのカゲロ

    ウ幼虫・成虫を識別したが, 1,1i]者の関係がわからぬもの

    がすこぶる多く,羽化実験を安するものが多数ある.成

    虫と確定幼虫との関係を数字で示すことはむずかしいが,

    日本産カゲロウの確実な径数は約 100種で,そのうち幼

    虫の確定しているものは約 60種である.

    カゲロウ類の積郊についての研究は i主流f'l:のkJi;@f[に

    ついてかなりよく平IJつてはいるが,河川の下流域, il;lJm

    なと・止 7JÇ f'1:の j~種および小型極については研究の予がの

    びていないのが現況である.日本産カゲロウ労iの研究は

    まだまだすこぶる不十分であり'cU刀~,生態などの切

    らわになっていないものもまた多い.

    E カゲロウ類の形態

    成虫 体長l工大型種で 30mm内外,小型種で 3mm

    内外.体は紺IJ乏い*Míur~または品、1; で , JiJUa;,胸部 3tiii.

    腹部 10節の区画が切らかである (D当16).頭部 (head)

    は比較的小型で. 1対の複限. 3伺のよ削良,それに 1対

    の刺針形の角3~角をもっている. fUI[~1工N自では雌よりも大

    川で f~J[-;である.カワカゲロウ科 Potamanthidac. トピ

    イロカゲロウ季rLeptophlebiidae. マダラカゲロウ宇}Ephemerellidae, コカゲロウH Baetidaeのujtでは.IU

    1以 (compoundeyes)は上 F部に区画せられ(凶 5).

    とくにコカゲロウ科には,上部複限は長くて太い円筒形

    の柄に座し,下郊の複限はその基部の側方につく(凶 5).

    上i部位|限はi:7f~がきのこ 7f1. またはターパン乞ti1起させ

    る型なので,ターバンIIUともよばれる. 1111波 (ocellus)

    11 :3倒,後限のiiij)jに三角形に排列する.角iJ!戸j(anten・

    nae)は 1対, 前ljil以iiii:;)iの左右につく. 口協は全面的

    に著しく委縮し,食物摂取の用をなさない.

    胸部 (thorax)はむjおよび肢をつけるf部分であるから,

    t-xにできている 1印刷泊;(prothorax)はやや環状で,

    前後に短く , ,1~ 1.t 、切れ日で'f" 淘郎 (mesothorax) と区画42

    海洋と生物 1 (VoL j-No. 1), jlJI'J

  • せられる.中胸は前胸よりはるかに大きく,後端狭まり

    後胸部 (metathorax)と接着する.肢(1eg)は 3対,そ

    れぞれ前・中・後胸につき, 各肢は基節 (coxa),転節

    (trachanter) ,腿節 (femur),服節 (tibia)ならびに

    削節 (tarsus)の5節からなる.各節は互いに長さを具

    にするが,とくにおtの前肢は)J~節および鮒節の各小節が

    延長し, ititに比べてい b じるしく長いのが~;;~.である,こ

    れは交尾のさい雌を捕えて確保するためである.出J節は

    通常 4~5 節,まれに 2 節または単節.各肢の節、i節末端

    には 2個の爪がある.

    麹 (wing)は2対, ιI's旬と後胸との側面iに起生する.

    iitr麹 (forewing)は後趨 (hindwing) よりもいちじる

    しく大きく,まれに後趨を欠く.いずれも繊細な膜状で,

    たいていの種は無色透明,光を受けるときらきらと輝く.

    まれに白色または灰白色にくもり,また黄色または褐色

    の斑紋がある.静止時に左右麹を相合して背上に垂直に

    立てる.前麹は概形納長い三角形であるが,後趨はl毛卵

    円形,$るいは'披~HfJのものもある.すべてこれらの薄

    い朕状姐は数本の縦脈(longitudinalvein) と縦脈相互

    を連結する横脈 (crossvein),それに問脈 (intercalary

    vein)が後縁にあって,それらは基部にて他の縦脈とは

    結合していない.縦!派のうち,担jの官íj紋をït る古íj 絃 'V~

    (costa=C), それと平行のllliiiij紋脈 (subcosta =Sc),

    さらに Scに平行して走る径!日正 (radius=Rt)は麹の古ij

    縁に接する.Rtの基部でわかれた径分脈 (radiaI sector

    =Rc)から,分岐が 2同くりかえされ叉状の校脈を出

    す. {五分脈の後jj,組のほぼ'1'央部を占める縦l脈をrl"脈

    (media=M) といい. iiij後 2木 (MAと MP)あり,

    いずれも分岐して細長い三角形の区域をつくる.理の内

    縁に近く縦走するのは IHIV~ (cubitus:=:Cu)で二叉し

    (C l1 A と CuP),その後jjに才?干の短い将IV~ (anals=

    A)がある.これらの縦問を多くの横脈がえli結する.こ

    の脈111は.カゲロウm全体を通じてみられる.なかには縦IV~をいちじるしく減少するものがある. たとえば,

    Baetisコカゲロウ凶,Centrottiliumウスパコカゲロウ

    kli (ともにコカゲロウ利)の後惣では 2~3 本の縦IVRの

    みで, ヒトリガカゲロウ科の lìíj J]では 5~(i 木である.

    服部 (abdomen)は胸部につづきほぼ円筒形で, lOilij

    よりなり,各)阪節は局,l:伏, 'I'f版 (tergum)と腹板 (ster.

    num)とを区別する.対liの第 9)JU肢は, j恒生7j{i阪 (sub.

    genital plate)に変ずることが多く,その後端には左右に

    はなれて u.tの 2~

  • / /

    ギとなる(図 7).雌の生殖ロは第 81度板の基部に聞き,

    W7J山板後紋のMi{II'部で被われることが多い.WlOJ山節

    には雄雌とも,多数節よりなる細長い 2本の尾(cerci)と,

    l本の中尾糸(terminalfilament)の 3本の尼毛 (caudal

    filaments)をもっ.中尾糸はしばしば短縮し,あるいは

    痕跡をとどめるのみのものがある.

    亙成虫 成虫よりやや大型で,形態はほとんど変ら

    ないが,体が軟く, くすんだ,あるいは白っぽい色をし

    いてる.肢は太くて短く,各節の長さの割合が成虫のよ

    うになっていない. }毛毛は太くて短い.it2!は不透明で,

    側縁にそって毛が生えているものが多いが,也脈は完成

    している.体内の生殖巣は成熟し, }13J'.1子が十分伸びれ

    ば,交尾可能な状態になっている.

    参考書

    カゲロウ知 (~i1!1úfi L1)全般にわたった内務の, 引に単行本の

    形のものを選んで紹介しておく 分類に関しては,次回以後で

    紹介したし、 カゲロウ類の概要を知るためには次のものがある.

    御勢久右衛門 (1962): ~宇野日 Ephemeroptera. 水生昆虫学,

    6-24pp.,北隆館,東京.

    今西錦司 (1944):カゲロ 7JJi,日本生物誌,昆虫,下巻, 405

    -434pp.,研究社,東京.

    上野益三 (1971):カゲロウ類(蜂燐類) (Ephemeroptera=

    Ephemeridae) .動物系統分類学, 7 (下B)節虫動物 (mb)昆

    虫類(中), 1-18pp.,中山書庖,東京.

    上野益三 (1973):好勝目 Ephemeroptera 日本淡水生物学.

    515-525pp.,北隆館,東京.

    外国主?でカゲロウ煩一般が取後われているものはかなりあるが,

    ここでは比較的入手しやすし〈書物ずあげておこう.

    liBerner, L. (1950) : The mayflies from Florida. 267pp., Ulliv

    Fla. Slndies, Biol. Sci. Ser. 4.

    し Burlミs,B. D. (1953) : The mayflies or Ephemroptera of

    ユ且山且js.216pp., 1l11, Nalur. Hist. Surv. Bnll. 26 (1) 幼虫 カゲロウは一生のほとんど大部分の期間を幼 点主._~_Ì'I百くE(¥munds,.Q,_fJ,Jr., S. L. Jensen, and L. Berner (197g) :

    虫ですごすから,その形態は重要である.幼虫は各積の - ~Mayflies of North and Central America. 330pp.,

    淡水環境によく適応し.形態にも大きいちがし、がある Univ.of Minnesota pr竺s,Minneapolis

    ¥ ,Illies, J. (1968) : Ephemeroplera (Eintagsfliegen). 1-63pp 一般に体はやや背肢に庄せられた円iロ1形で, nji.胸 .ml V

    Handb目 Zool.4.

    の3部を区別することができる. 3対の有節肢と, 3本 Leonard, J. W., and F. A. Leonard (1962) : Mayflies of

    (または 2本)の尾毛を有する Michigantrout stre3m. 139pp., Cranbrook Illst.Sci l:!ull .

    . 13. 頭部は胸部とほぼ同航で.頭]頁tu(epicranium) に復

    限,単I倶ならびに触角を有することは成虫にい]じ, .lUUti

    絞の前縁はIiJi脂 (clypeus) にがifTし, lU'iJi'i'のf"if11は11

    :6i;となる. ffilì{,~:iN (Ephemera モンカゲロウ j~. Eμ101・011

    アミメカゲロウ服)の幼虫て司は頭取liilと頭}i':i'!iilとが強く

    キチン化し~笠い突起をつくり,大JlI~lのもつづ5起と協力

    して砂泥を説ilる.

    各肢の日J節は成虫と災なり, -'ii節で,爪は 1個のみで

    ある.阪節の'I1illlI側jJに数対の気管総 (gill-lamella)を

    もっている.気管i!ll.!には卵円形禁片,細裂形,線形その

    ほかの型があるが,各.M互いにその形態を具にするもの

    がある(凶 8). DJtlをつける!自白羽は tu2 ---7 i~í'jがもっと

    も多いが, 2--4, 2-5, 2-6, 3--7, ~--7 か 1-5 ,

    1-6, 1ー7節のものもある.

    口部(関 9)は成虫と',Nなってよく発j辛し, J:1u (Ia.

    brum) ,大肌~ (大顎 mandibles),小!偲(小;rJ1maxillae),

    舌 (hypopharynx)ならびに下院(labium) の 5部より

    なる.銅羽生、型幼虫では,大胞には長短種々の角状突起が

    ある.小)偲~}i (maxillary palp) に変化が多い.下唇に

    は各 1対の中舌 (glossae) と側舌 (paraglossae) とに変

    化が多いが,民種によっては左右合ーの傾向を示してい

    る〔カゲロウの類の形態については上野(1971)にftう

    ところが多い).

    メ毛&クジ

    クJr/

    44 海洋と生物 1 (Vol. 1-No. 1), 1979

  • 日本産カゲロウ類@ 分類と検索(1 )

    御勢久右衛門

    表1 日本産カゲロウの分類 N カゲロウ類の分類と検索

    1 .上干十日eptagenioidea カゲロウ類の分類は Edmundsならびに 1‘raver

    科 1: Siphlonuridae 属 1: Anu!etus, 2・lJit!er仰 lIl1ZUS,

    3 : S rthl Ollurus 2 : Isonychi idae

    4 : IsoJ1yclzia 3 : Oligoneuriidac

    5 : Oligonwriella 4 : Heptageniidae (=Ecdyonuridae)

    G : /3!t'ttus, 7 : Epeo: us, 8 : Ecdyollurus,

    9 : I-leptagenia, 10 : Cinygma, 11 : Rlzitlzrogella

    5 : Baetidac 12: Clο('011, 13・lJaetis,14 : Pseudoc!oeoll (Baelielia) 15・Centrotilum

    (1954)のシステムに従うのが適当と考えられる.この

    うち,従来, 日本から知られているものは,次の 4上不1

    ・11科・ 25属に編入される(表 1).幼虫の検索につい

    ては,今回(1940),上野(1973),Edmundsら(1976).

    成虫については, Kimmins (1954),上野 (1971),Ed-

    mundsら(1976),に負うところが多い.

    日〕 臼本産カゲロウ類幼虫の科の検索表

    1 ~!~lは二又し,その縁辺は羽毛状に細裂している;大

    II.上科 Lcptophlebioidea腿の先端は頭部前端より前方に突出する(図 1・2・

    3・5・6・8・9). ...・H ・..2

    E里は禁状か糸状のものが集まって総をなし,鯨の縁

    辺が羽毛:伏に細裂することはない,大)恕は短くて頭

    部の前端を超すことはない(図10・11・12・13)…4

    6 : Leptophlebiidae 16 : Paraleρtophlrbia, 17 : CIzοroterpps, 18 : Tlzraulus, 19 : Clriusanoμdebia

    7 : Ephemerellidae 20・Eplzemerella

    Il1, _I:1"ト Cacnoidca 2 ØJ~!は;反れて服部背聞を被う (1双 1 ・ 5 ). ・H ・H ・..3日:Caenidac 21 : nrac!rycl'l正US,22 : CUI'llis

    IV. _lJトEphcmeroidcaOJgは真正Lで休の側後方に向かい,腹背を被うことは

    ない(区18・9). カワカゲロウJ斗Potamanthidae

    40

    日:Potamanthidae 23 : Potamanthlls

    10 : Ephemeridae 24: Eρhemera

    11 : Polymitarcidae (= Ephoronidac) 25: EpJlOron (=Polymitarcys)

    The rnayf1ies of Japanese.

    3 後肢の腔節内側末端には長大な線状突起がある(/)

    (凶 7);大校、は長い牙状の突起を有し,側面より見た

    とき先端はよ方に!日iがる;頭部前縁突起は尖端で二

    又する(凶 5・6). モンカゲロウ科 Ephemeridae

    Kyuernon Gosel Nara Prefectura1 Junior Teachers Co11ege, Nara, 630 Japan Keywords: Taxonorny, eco1ogy

    Abs七ract : According to 七he systern of c1assification proposed by Edrnunds and Trauer (1954), the Japanese rnayf1ies (Epherneroptera) are c1assified into 4 superfarni1ies, 11 farni1ies and 25 genera. Here, the keys to farni1ies of nyrnphs and adu1ts of the Japanese mayf l i e s are repre sented.Among SlpT110T111r idae farrlily,3genera (A~eZetus , siphlonurus, Dipteromimus) are inc1uded. 工t is proved 七hatthere are 3 species of AmeZetvs kyo古oeηsis,A. montanus and A. costaZis arnong nyrnphs of AmeZe志us,and tha七 there are 6 spe-ces of A. kyotoensis, A. 斤10ηtaηus,A. costαZis. A. gojoe刀sis. A. subαZpinus and A. croceus among adu1ts of them.

    海洋と生物 2 (VoI.1-No.2), 19i9

  • ~f A¥J! 16 …

    12 Mll/ __ ',.:',,"/ I r",

    〔図 1-17) 1:シロイロカゲロウ Ephoronshigae全形, 2:右第2偲, 3:頭部, 4:右後肢,

    5 :フタスジモンカゲロウ Ephemerajaponica全形, 6:頭部, 7:右後肢, B:キイロカワカゲロウ Potamallthuskamonis全形, 9:偲, 10:コカゲロウ属 Baetissp.全形, 11:ウエノヒラタカゲロウ Epeorusuenoi全形,

    12 :タニヒラタカゲロウ EpeorusllapaZus ~~, 13:エノレモンヒラタカゲロウ Epeoruslatifolium鯨,

    14 :ホソパマグラカゲロウ Ephemerrlladenticula尾毛, 15:デリカマグヲタゲロウ Ephemerelladelicata尾毛,16 :クロマグラカゲロウ Ephemerella nigra尾毛, 17:ヒメカゲロウ属 Caenissp. CB全形

    後11支の)jg

  • W53 q7

    ず,..-".'-_

    て 77

    ホI }己ちの!Hおよび知ちとは, 1引のの節1:¥1D1I1辺に'I'.-j"る-[;を指L.節liJlよりもl;;:'¥, 、ちを長t.J;Ii¥,、ーちを主v.毛とよぷ.

    判 }~Gの刺毛および附℃とは,各自目の桜合部に生ずる毛をJH

    す. ~i11Dは尖端がトゲ状となったちを指し,阿111:とは尖加

    がトゲ状とならないじを指す.

    判 Siphlonuridaeに同ずる Ditlr,'-omimuslilmlt!町 11tlS で

    はこの突起が持しくない.

    7

    〔図32-78J32 :マエグロヒメフ Fオカゲロウ

    Amelelus costalis幼虫全形

    23 :左小顎49 :ガガンポカゲロウ Dipteromimus

    tipuliformis幼虫全形

    50 :小顎および小顎毅52 :オオフ Fオカゲロウ Siphlollurus

    binotat削幼虫全形

    53 :腹部背面60 :ヨシノブ Fオカゲロウ Si治hlonurus

    yoshinoensis幼虫腹部背面

    67 :ナミフタオカゲロウ Siphlollurus

    sanukensis幼虫腹部背函

    73 :チラカゲロウ Isonychia

    japollica幼虫全形

    74 :左前肢76 :ヒトリカ'カケ'ロウ Olig印刷円iel/a

    rlzenalla幼虫全形

    77:右第2鯨75 :雄成虫腹部末端腹囲より

    78 :雄成虫腹部末端腹商より

    を列生する(閃10・14). ...・H ・..7

    3木の尼毛のうち.外方の 2本11内外側ともf乞E制

    (凶14)・短毛(凶16) または刺毛判・剛毛判を生ず

    る([手(]15・16). ...・H ・..9

    各)Ji1節の両側は後向の鋭い突起となり,後方の服節

    ほど強大判(図32・53・60・67). ・H ・H ・..8

    42 海洋と生物 2 (Vol. l-No. 2). 1979

  • c

    警,C

    21 C"'I 18

    Sc 題;9 ぐく 」ふムーかR. 22 MP C叫Jー九、チl〈ZrTDAMhR tmz 門 P.. p-==」 ーでぞ¥

    今.

    23

    '“

    V~こ二弓ミご 30

    額支 2831

    29

    、3ytlsz

    pEト

    [図18-31) 18: 吐ンカゲロウ科 J~plll'lI",ra dlllliw前姐. 19:トピイロカゲロウ村 Lゆtψh'eb;a1Il11rg;1I111a

    ,iIj麹』閥1.20:アミメカゲロウ科 Ephoroll,'irgo HU麹.21 :カワカゲロウ科 l'otamalllhusluteus i!Ij姐基調1.22:ヒヲタカゲロウ科 Heptagenialateralis後肢跡j節,お:フタオカゲロウ科 Siphlonuruslacustris後肢鮒節,24 :ヒトリガカゲロウ科 Oligoneuriellarhe制加前麹.25:コカゲロウ科 Baetisscambus前麹.26:ヒメカゲロウ科

    Caell;s macrura前麹.27:フタオカゲロウ科 Siphlonuruslacustris後麹.28:トピイロカゲロウ科 Leptophlebiamarglllata後麹.29:チラカゲロウ科 Isonychiajapollica後肢附節, 30:フFオカゲロウ科 Siphlonurusbinotatus

    後肢針.J.ili'i.31:マダラカゲロウ科 Ephemerellaignita前麹基部 (18・19・21・22・23・26・27・28・31は Kimmins,1950~ 25は Kimmins.1954;20・24は Schoenemund.1930)

    各腹筋の11'4~!IJは後向きの突起に延伸しない(凶10).

    コカゲロウ科 Baetidae

    B 飢!は 1~7 対. JJu節のみにある, Jì'1.ーまたは 1~2

    対が二正l;ii甘岐に剛毛列がない(似:12・9・52).

    フタカゲロウ平+Siphlonuridac

    似は 1~ 7 Jlíiílííにあるほか,小Il'~lの基ffllおよび前肢

    の法行IIに総状の糸状銚!がある;Ti甘肢には長剛毛列が

    ある(閃73・74). チラカゲロウ科 Isonychiidae

    9 艇は 7対. 1~7 Jjíl節につく.

    トピイロカゲロウ科 Leptophlebiidae

    曲目は5対, まTこは6対.

    10 銚!は 5対. 3~7 J1主節につく.

    マグラカゲロウHEphemerellidae

    ...... ...10

    似は 6対. 1~ (jJlW)むにつき, ITll:iCfは決跡,tr~ 2

    対は大形で伐り 4対を被う(凶17).

    ヒメシロカゲロウ,flCaenidae

    海洋と生物 2(Vol.l-No.2). 1979 43

  • .自i組員735

    1剛 一六白" ~:____:; ¥_>Zーノレi rl

    手 t~1 吋ミ亡ーで議 dY~~ /-2

    Ji

    36 37

    一一「こ二二二と竺ご~三ニニこ二

    38

    ~7 51

    〔図34-51J 34:マエグヒロメフタオカゲロウ A'I1uletuscostal is幼虫大顎尖端, 35:上屑, 36:雄成虫腹部末端側面より,37 :腹部末端腹関より, 38:前肢腔節, 39:ヒメフタオカゲロウ AmeletusT1l01ltanus幼虫大顎尖端, 40:上屑, 41 : liit成虫腹部末端腹商より, 42:服部末端。[1胴より, 43: 交尾æ~. 44:キョウトヒメフタオカゲロウ Ameletuskyotoensis幼虫上樗,45 :雄成虫腹部末端腹面より, 46:ョツモンヒメ 7pオカゲロウ Ameletusgojoellsis成虫前・中拘腹商, 47:雄成虫腹部末端腹面より, 48: :クロベヒメフFオカゲロウ AmeletussubalpI1'us雄成虫腹部末端側面より, 51 :雄成虫腹部末端腹薗より,(35・36・39・44は Imanishi,1932・1933;42・43・51は Ueno,1935; p.交尾2号,f.把持子)

    (2J 日本産カゲロウ怒成虫の検索表

    l 前姐jのM ('1'脈)は基郊で CuA(AIHWめから若し

    く広がっている(図18) ・H ・H ・..2

    前麹のMは基部で CuAと平行か,きわめてわずか

    に広がっている(図19). ……… 4

    2 前麹の A,(終 1聖子脈)は分校しない(関18・20)…3

    前麹の A,I1分校ずる(図21).

    カワカゲロウ科 Potamanthidae

    3 前姐の MP(P中j派)は基部ちかくにおける CuA

    にI{リかつて強く野山する(凶18).

    モンカゲロウ科 Ephemer吋ae

    前姐の MPは基部ちかくにおいて CuAとほぼ平行

    である(凶20).

    アミメカゲロウ科 Polymitarcidae

    4 後肢の削節は 5節の可勤務1節からなる(図22).

    ヒラタカゲロウ科 Hcptageniidae

    (= Ecdyonuridae)

    後肢の附節は 4節の可勤務{節からなる.第 5節が認

    められる場合は,第 1節が腔節に総合して不可動と

    なっている(図23). ...・H ・..5

    5 趨は乳白色か灰色のきわめて簡単な姐JD~で,横JJIFcも

    すこぶる少ない.前趨の Sc(iJE前縁脈)は R,(径

    脈)と総合しているかまたはなく,せし、ぜい基部だ

    けが認められる(凶24)

    ヒトリガカゲロウ季十 Oligoncuriidae

    趨は無色透明].前趨の Scはよく発述し,全長が認

    められる(図25). ...・H ・..6

    6 前怒jのM(中l派)は分岐する(凶26). ...・ H ・..7

    前趨のMは分岐しない.後麹はきわめて小さく,縦

    脈はわずかに 2-3本で検脈を有しない.ときには

    後趨を欠く(図25).

    コカゲロウ科 Baetidae

    7 前麹には問脈はなく,横脈は極めて少ない.後麹を

    欠く(図26). ヒメカゲロウ科 Caenidae

    前麹には間WFc, 横!脈はよく発達している.後麹はあ

    る ・・・…・・・ 8

    8 後趨の R.とRsI主組の後縁部で分岐する(凶27)… 9

    後趨の九と Rs'主融合している(凶28). ………10

    9 後肢の附節は腔節よりも長いか,ほぽ等しL、(凶29).

    ブタオカゲロウ科 Siphlonuridae

    後肢の併liliiは脳節よりも短い(図30).

    チラカゲロウ季十 Isonychiidac

    10 前週の CuP(P肘脈)は基部において A,にちかい

    か,または CuAとA,の中間にある(図19).

    トピイロカゲロウ科 Leptophlebiidae

    前麹の Cupは基部においてA,よりも CuAにちかい

    (図31). マダラカゲロウ科 Ephemerellidae

    。一一一フタオカゲロウ科 Siphlonuridae

    この科のカゲロウの幼虫l主体長が1O-23mmで, 11-'型

    ~大型である.体形l土紡鐙形で日本各地の河川渓流に

    みられる.日本産のこの科にはヒメフタオカゲロウM

    Ameletur,ガガンポカゲロウ民 Dipteromimlls,オオフ

    44 海洋と生物 2(Vol. 1-No. 2), 19i9

  • A一一フタオカゲロウ科 Siphlonuridae幼虫の属の検

    索表

    1 Øl~lはWl 対および第 2対が 2~からなっている(図

    52). オオフタオカゲロウ鼠 Siphlonurus

    it'8は 7 対とも 1~定からなっている...・H ・ "2

    2 1干Ru節の後紋角には後方に向った鋭い突起がある.小腿内楽 (maxillaelacinia)の頂部に櫛状をした鈎

    列がある(図32,33).

    ヒメブタオカゲロウ属 Ameletus

    各腹節の後縁角にある後方に向うた突起は著しくな 成虫は6種判明している.そのうち幼虫の確定してい

    い,小腿内楽の頂部に櫛状をした鈎列がない(図49 るものは上記 3種で,他の 3種の幼虫は判明していない.

    タオカゲロウ Siphlonurusの3属がふくまれている.

    Ameletus, Siphlonurusは,比較的流水のゆるやかな河

    川渓流に生息し Dipteromimusは山地の森林内の小流

    にすむ.いずれも年 1世代である.渓流魚の釣自11として

    用いられるピンピγ,チョロチョロなどはこの科の幼虫

    をきしている.一般に平地では早春から中春に羽化する.

    .50). ・H ・H ・-・ガガソポカゲロウ属 Dipteromimus

    a --Ameletus幼虫の検索表

    1 尾の基半部が濃色で,後半部は淡色.右大問、の外側

    の犬歯は鋸歯状で3本.上屑は褐色で,外縁部は淡

    色(図44). ウレm

    一ロ・m

    4HH1u

    .吋

    A

    S-Z

    M

    7

    M

    ω

    -hl

    pa

    ω

    'U

    仰A

    尼の中央部および先端部には波色の帯斑がある(閃

    32). ...・H ・..2

    2 右大眠、の外側の犬歯は鋸櫛状で2本.JニIt'fは初色で,

    中央部に淡は条痕がある(図39・40).

    ヒメフタオカゲロウ Ameletusmontallus

    lmanishi

    右大腿の外側の犬歯は鋸歯状で 3木.上将は淡視色

    で; 1対の栂色条痕がある(図34・35).

    マェグロヒメフタオカゲロウ

    Ameletus costalis Marsumura

    b --Ameletus成虫の検索表

    B-ーフタオカゲロウ科 Siphlonuridae成虫の属の検 1 中・後胸腹荷には,それぞれ 1対の黒色楕円紋があ

    潔茨

    1 尾は3本. ガガンポカゲロウ属 Dipteromimus

    尾は 2本.

    2 各鮒節の爪は異形.

    "'2

    る(図46・47). ヨツモンヒメフタオカゲロウ

    Ameletus gojoellsis Gose

    中・後胸腹部には斑紋がない. ...… 2

    2 交尾器は下回に小さいi,IlIJをもっている(〆) (図42・

    ヒメフタオカゲロウ属 Ameletus 43・48)

    名目.tiliiの爪は同形. 交尾2告は下面に如jをもっていない. ……・・ 4

    オオフタオカゲロウ属 Siphloll抑制 3 すべての横脈は褐色でふちどられている.

    クロベヒメフタオカヶ・ロウ

    ⑦一一ヒメフタオカゲロウ属 Ameletus Ameletus subalpilllls Imanishi

    本属の幼虫は体長10-15mmで,中型.体は紡錘形. 横脈は,褐色でふちどられていない.

    腹部側緑は後方に仲ぴて突起をなす.鯨は7対,第 1- ヒメフタオカゲロウ

    7 )阪節の側方につき,各鉱業はすべて単一,卵円形,第 Ameletus metanus lmanishi

    l対は最小.成虫は体長 9-14mmで,前趨長 10-13 4 前肢の限節には小さい刺がある(図38).

    mm. 各爪とも爪は不同形.尾は 2本. マェグロヒメフタオカゲロウ

    邦産幼虫は 3級判っている.ヒメフタオカゲロウ A. Ameletlls costalis Matsumura (= A. sappreusis)

    meletus mOllttlllllS Imanishiは附灰色で,平地では5 前肢の腔節には小さい刺がない. ...・H ・..5

    月頃羽化するが,向山地帯?では8月である.マエグロヒ 5 横脈が多い,前・後麹とも基半分は制色.

    メフタオカゲロウ A.costalis Matsumura は,初色で

    3月中旬から 5月に羽化する.キヨウトヒメフタオカゲ

    ロウ A.kyotoensis lmanishiは,被色で春期に羽化す

    る. 3純とも"j'.1!日:代.

    ヨコスジヒメフタオカゲロウ

    Ameletus croceus lmanishi

    横脈が少ない,前・後期とも基半分は褐色ではない.

    キョウトヒメフタオカゲロウ

    Ameletus kyotoellsis lmanishi

    (奈良県立小学校教員英成m>

    f

    海洋と生物 2(Vol. 1-No. 2), 1979 45

    -〉持込.

  • 日本産力ゲロウ類@ 分類と検索 (2)

    ②一一ガガンボカゲロウ属 Dipteromimus

    本1'1iの中部以南から琉球まで分布する.森林内の小流

    にすみ. 6~7 月の頃に羽化し.JlI岸の草築上に静止す

    るか,低空をゆるやかに飛朔し容易に捕えることができ

    る.成虫の外観がガガンポに似ているのでこの名がある.

    年一世代.

    ガガンポカゲロウ Dipteromimus tipuliformis Mc.

    Lachlanは 1属 1種で,日本の特産である.

    幼虫は体長 13~16 mm位の紡錘形で淡褐色. 尾は 3

    本,外側のものは 10mm内外で, 中央のものは前者に

    比べて短い.鯨は7対. 1~7 腹節の側方につき,すべ

    て単一の鯨業で各葉は卵円形(図49).

    成虫は種名が示すごとく双趨目のガガンボのようで大

    型.体は 14~16 mm,惣の開張は 30mm内外.尾は3

    本で外側のものは約 26mm,把持子は細長くて内方に曲

    り. 4節,第 2節がIはも長い.交j毛22は狭くて分離しな

    い(図51).幼虫と成虫との関係はついている.

    @一一オオフタオカゲロウ属 Siρhlonurus

    本属の幼虫は体長 15mm以上に達し, 大型. 体色は

    淡黄色ないし暗褐色である.体は紡錘形.腹部各節の後

    側隅は鋭い突起に延伸し,背面中央部に濃色,または八

    字形紋がある.飽は7対. 1 ~7 腹節の側方につき 1

    ~2 腹節は二重郎築. 3-7腹節は単一鉱業,いずれも

    大形で腹節'1-~聞にかぶさる(図52). 上流域から下流域

    にわたり,比較的流れのゆるやかな河川渓流に生息し,

    中春より初夏にわたって羽化する.

    邦産は 3純で,オオフタオカゲロウ Sif>hlollurusbill'

    otαtus Eaton, ナミフタオカゲロウ S.sallukellsis Ta.

    kahashi. ヨシノフタオカゲロウ S.yoshilloensis Gose

    が知られている.S. binotatusは中・下流地域の汚水が

    流入する地域に見出されるのに反し,S. sanukellsis, S.

    yoshinoellsisの両極はより上流の清iY1Jな水域に生息す

    Kyuemon Gose : The Maysies of Japanese.

    (2) Key 10 families, genera and specie3.

    奈良県立小学校教員義成所

    御勢久右衛門

    f

    〔図 49-52J 49:ガガンボカゲロウ Dipteromimustipuliしformis幼虫全形, 51 :雄成虫腹部末端腹商より,52 :オオフタオカゲロウ Siph!onwusbillotatus幼虫全形

    る. 3種とも年一世代.

    a --Siphlollurlls幼虫の検索表

    1 腹1'fに樹校状紋がある(図52・53). 版図には八字

    形紋以外に;第 1-5腹節の中央部に小円形紋;第

    1-9 n主節の上部外側に小円紋がある(図54). 右

    大['I.lの第 1犬歯の尖端から少し下ったところに,も

    う一つ出た突起がみられる(/) (図57). 小限mの中央節の内縁と外縁に沿って各 1列. 7本以上の京IJ

    毛が生えている(図56).

    オオフタオカゲロウ

    Siphlollllrus billotatus Eaton

    IJll背には樹校状紋がない(凶60・67).図版而には八字

    形紋のみがあり;成熟幼虫では逆U字形の太い淡色

    58 海洋と生物 3(Vol. 1-No. 3), 1979

  • 53 54 1Il',・(~. 60 67 61 6.8'

    56 ……..1 57 1..............1 64 71 63 τ。

    72 盤投“〔図 53-66) 53:オオフタオカゲロウ幼虫の腹部背商, : 54腹部腹商, 56:小顎および小顎., 57::布大顎犬歯部.58 :雄成虫腹郎末端腹商より, 59:前麹, 60: ヨシノフタオカゲロウ Siphlonu~us yoshinoensis幼虫腹部背面,

    61 :腹部背面, 63:小顎および小顎毅, 64:右大顎犬歯部, 65:雄成虫腹部末端腹商より, 66:後麹, 67:ナミフタオカゲロウSiphlonu!us sanukensis幼虫腹部背面, 68:腹部腹函, 70:小顎および小顎毅, 71:右大顎犬歯部, 72:雄成虫腹部末端腹而より

    紋が表皮を通して認められる(図61・68).右大腿の

    第 1犬歯の尖端から少し下ったところに位置する突

    起の発脊は思い(〆)(図64・67).小限、君主の中央節の

    内縁または内・外縁に沿って 1列に 3-6本の刺毛

    が生えている(図63・70). ...・H ・..2

    2 右大限の第 l犬歯尖拙から少し下った所に位位する

    突起は僅かに認められる(/) (図71).小腿君主の第

    3節は第 2節のM程度;tX~ 2節の内縁および外縁に

    は 3-4本の剃毛が生えている(図70).

    ナミフタオカゲロウ

    Siphlonurus sanukensis Takahashi

    右大腿の第 1犬歯尖端から少し下ったところに位置

    する突起はほとんど認められなし、(/)(悶64). 小!L~

    ~11の郷 3 節は第 2 節の%程度;第 2 節の内縁には 5

    -6本の耳目j毛が生え,外縁には)IilJ毛はない(図63).

    ヨシノフタオカゲロウ

    SiρhlonuI'us yoshinoellsis Gose

    成虫は体長 14-22mm,前趨長は 14-22mm. 各肢

    とも爪は同形.尼は 2木.

    b --Siphlonurus成虫の検索表

    前麹には濃褐色の斑紋がある.最後腹節の腹面後縁

    部はほぼまっすぐか(図58),内側に凹む(図65).

    ・・・・2

    前麹には濃褐色の斑紋がない.最後腹節の版而後縁

    部は外側に凸出している(図72).

    ナミフタオカゲロウ

    海洋と生物 3(VoI.1-No.3l, 1979 59

  • 4ヂ百人 / ¥

    し 77〔図 73-78] 73・チラカゲロウ !soflychia}apolli印幼虫全形,

    74 :左前肢, 75: MIi成虫腹部末端腹函より, 76:ヒトリガカゲロウ Oligonuriellarhenana幼虫全形, 77:右第2飢1,78:雄

    成虫服部末端腹而より

    Siphlonurus sallukensis Takahashi

    2 前趨縁の中央部に波初色の斑紋が l点ある(図59).

    後姐には斑紋がない.最後服飾の腹前後縁部はほぼ

    まっすぐ(図58).

    オオフタオカゲロウ

    SiphlOllw'us binotatus Eaton

    前麹の中央部には 3点,基部には l点の淡褐色の斑

    紋がある. 後趨には斑紋がある(図66). 最後l段節

    の腹而後縁部は内側に凹入する(図65).

    ヨシノブタオカゲロウ

    Siphlonurus yoshinoensis Gose

    @一一チラカゲロウ科 Isonychiidae

    日本産チラカゲロウ科は Iso吋 chia r.~ 1 ~である.

    日本各地の河川渓流の早瀬にみられる.チラカゲロウ

    Isollychia japonica Ulmer は日木jljf1訴で T旬は沖縄

    から,北は北海道まで分布する.

    幼虫の体長は 18mmに達する大型の幼虫で,全体チ

    ョコレート黒視色, 1宇田正中線上に淡色の縦条がある.

    各股節の後側li,~lは,後方に伸びて太くて鋭い刺状突起と

    なる (L¥Z173). liijlj主の 1}-jXまにはj三い附 EがY'ljll::.する ([/1

    74). 似は 7ý,jで.fì".-,糸状~IIJを伴う小さな卵円形集で,

    2~7対は腹節背函の丙側につくが,第 1 対のみは))支面

    側方に位置する.このほかに小胞の基部と前肢の基節の

    基部とに総状の糸状鯨がある.

    本種は河川の上・中・下流域に分布し,有機汚水の流

    入する F中!潟水域にもみられる.平地では年2世代で,

    5~6 月頃と 9 ~10月頃に羽化する.

    成虫は体長 16~18 mm, 趨の開張 36~40mm. 尾は

    2本で 35mm内外. 体色は暗褐色である. 爪は向形.

    把持子は 4節,内方に曲る(図75).

    @一一ヒトリガカゲロウ科 Oligoneuriidae

    日本産ヒトリカゲロウ科のうち Oligoneuriella 1属

    が知られている.本州では関東地方および日本海沿岸地

    方の河川や獲滋用水から, ヒトリガカゲロウ Oligone.

    uriella rhenana Imhoff 1種が知られ 7月下旬より

    9月上旬にわたって羽化するが, 8月中旬頃,燈火を求

    めて多数来襲する.その形態が蛾類のヒトリガに似てい

    るのでこの名がある.

    幼虫の体長は 10mmあまり,扇平で特異な形態で,

    全体黒褐色ないし茶褐色.頭部は扇平で半円形,前縁は

  • 日本産カゲロウ類@ 分類と検索 (3)

    z

    4

    5

    〔図 1-6) 1:タニヒラタカゲロウ Epeorusnapa叫 S 第1!?J,2 :オピカゲロウ Bleptusfasciatus第1鯨,3 :シロタニガワカゲロウ Ecdyonuruτyoshidae尾毛,4 :キョウトキハダヒラタカゲロウ Heptageniakyotoensis 尾毛, 5:シロタニガワカゲロウ Ecdyonurusyoshidae前胸.6:ヒメヒラカゲロウ Rhithrngrn

    Kyuemon Gose: The Mayflies of ]apanese.

    (3) Key to families, genera and species.

    奈良県立小学校教員養成所

    御勢久右衛門

    。一一ヒラタカゲロウ科

    Heptageniidae (= Ecdyonuridae)

    本科の幼虫は渓流ぞlニ幼虫の主要i1_iオ;で,体全体がし、む

    じるしく背腹に扇平なるのが特異である.体長は lO~

    15mmでカゲロウ類では中形に属する.総は 7対,いず

    れも葉片状のものと糸状のものとの複合からなっている.

    日本各地の河川の上流より下流にわたり,主として淑の

    石傑底に生息するが,湖伴の石礁底などからも発見され

    ている.

    日本産のこの科には,オピカゲロウ属 Bleptus,ヒラ

    タカゲロウ属 Epeorus,タニガワカゲロウ属 Ecdyollu.

    rus. キハダヒラタカゲロウl!:iiHeptagcllia, ミヤマタニ

    ガワカゲロウ属 Cinygma,ヒメヒラタカゲロウ属 Rhi.

    throgellaなどの属が知られている.

    ヒラタカゲロウ科には年一世代積と二世代種とがある.

    渓流~(\の釣日11 としてJlJ\'、られるヒラタ・セムシなどはこ

    の科の幼虫をさしている.羽化期は早春から晩秋にわた

    る.

    A一一ーヒラタカゲロウ:fl

    Heptageniidae幼虫のX9lの検索表

    尾は 2本 ・・・-…・ 2

    尾は 3本 …・・・・ 3

    2 !J思の第 1対は鉱業の方が糸状総よりも大きし、(凶 1)

    ヒラタカゲロウ属 Epeorus

    似の第 1対は鯨業の方が糸状偲よりも小さし、(図 2)

    オピカゲロウ属 Bleptus

    3 尾には長短の刺毛・剛毛がある(図 3・4);大顎の

    側縁には毛を密生している ……… 4

    尾には毛がない;大顎の側縁には毛がない...・H ・..5

    4 尾には刺毛か剛毛がある(図 3);前胸背肢の側縁は

    後方にのびて,中胸の前部に及ぶ(図 5)

    タニガワカゲロウ版 EcdyollUてus

    尾には長短の車IJ毛と剛毛が省t生している(凶

  • 42

    (図31-42) 31:シロタニガワカゲロウ Ecdyo1lurusyoshidae 雄交i己批 35:キハダヒラクカゲロウ Heptagelliakihada雄交m?:-i, 40:ミヤマタニガワカゲロウ Cil1yg問。 hirasana段交尾探, 42:ヒメヒラタカゲロウ Rh川 rogcntl}α'p07,ica !it交尾忠f

    c d

    つω

    3

    総:!Nのtl'n対は大形で, )Ju国lにおし、て左右相接する(lズ1G) ;糸;状似はよく JC!主している

    ヒメヒラタカゲロウ);~ Rhith,'ogena 創業のtr~ 1対は普通で, }復而において左右相接する

    ことはない糸状鰐の発達が恋く,最後対の鯨には

    これを欠く ミヤマタニガワカゲロウ服 Ciり glna

    B←一一ヒラタカケ'ロウFト

    Heptageniidae成虫の),1$の検索夫

    lìíj ・後切の),',j紋)';j~および lìíj担1'1'火;'H)にある t!lWEは ~rlL

    初色である オピカゲロウ属 Ble戸f則

    前・後麹jは1!lf:色透明j でflftN~色のflJ 斑はない…・・・・ 2

    Hfの前肢町、Jí前のtl'ílNiはお~~ 2節よりみじかい・…・.3

    雄のiiり肢町、j節の第 1iliJはtn2節にほぼ等しいヒラタカウゲゴロウ J属~ Eρeorμ

    封雄Lの市前削Jl肢皮日附.J í:i節市の 2第i) 1 節は少くとも第 21節1羽〕の 3i~%

    である -・ 4

    刻Lの前肢hlH節の第 l節は第 2節の%か%よりもみ

    じかし、 。;!I{の交jる加は先端広くiJ;げたで、左有にI;IJく(以131)

    タニガワカゲロウ),~ Ecd)'(l11urus

    kif:のうとj吉山は左右に分断し(1Z140) ?3Jf;;IJ~

    ミヤマタニプfワカゲロウ ),:J!, Cin)'gmα

    5 土佐の交尾探は左右に分離し(図42)U字型をなす

    ヒメヒラタカゲロウ.¥14 Rhithrogena

    雄の交尾探は左右に分離しない(図35)

    キハタヒラタカゲロウ属 Hφtagenia

    ⑥一一一オピカゲロウ属 Blψtus

    オピカゲロウ Bleptllsfasciatlls Eaton の幼虫は,

    ヒラタカゲロウ属 Epeorus によく似て尾は 2本,鰐の

    第 1対は鰐業が糸状偲よりもはるかに小さく,腹節背而

    正'1"線上に後I古jの!被があるので、設別される (1Y

  • 7

    オ忌/可お/

    10 EI

    8

    12 え議f

    〈図 7-14) 7:オピカゲロウ BleptusJasciatus全形.8:ウェノヒヲタカゲロウ Epeorusztenoi全形. 9:オナガヒラタカゲロウEpeorus hiemalis頭部.10:ウエノヒラタカゲロウ Epeorusuenoi頭部.11:キイロヒラタカゲロウ Epeorusaesculus頭部,

    12 :エノレモグヒJラタカゲロウ Epeoruslatグ"olium鯨. 13:ナミヒラタカゲロウ Epeorusikan01,山頭部. 14:ュミモンヒラタカゲロウ Epenru.'i curvatulus頭部

    15 16 17 1 S

    〔図 15-18) 15:オピカゲロウ BleptusJ asciatω 雄交尾M.16:エノレモンヒラタカゲロウ EpeoruslatiJolium itf'交尾球.17:タニヒラタカゲロウ E)eor1lsnlltae副総交尾%i.18:ナミヒラタカゲロウ Epeorusikanonis l:Ifi交尾総

    5

    惚楽に赤紫初色の点斑がない

    大小の赤紫銅色の点紋が似の半分以 l:1こ散布してい

    る(閃12)

    にり

    エルモンヒラタカゲロウ

    Epeorus latifolium Ueno

    小さい赤紫初色の点、紋が偲の外縁側に沿って散在す

    る(図 1) タニヒラタカゲロウ

    Epeorus nataeus lmanishi

    頭部前縁部に 4例の淡色斑があり,中央に位する 2

    仰は円形で小さく,外側に位する 2伺は大(図13).

    足毛のJJ:さは体長とほぼ415しい

    6

    ウい加

    m

    カ曹は

    T

    一プ・日

    ヒ,,

    。、

    α

    ルed u

    r

    ο

    e

    Af

    E

    海洋と生物

    頭部前縁部中央に 2倒の相対するC字烈淡色紋があ

    り,その外側に位践する方は不明l吹(閃14).厄毛の

    長さは体長の約1.5 fた内

    u

    山カ

    M

    -ブ

    S

    印モ

    、、、~日

    ュ~υr

    o

    e

    hf

    E

    1

    b一一ヒラタカゲロウ属 Epeorus成虫の検索表

    維の最後l阪節腹部の後縁中央部はクサピ形か,梯形

    に突出する ・・ .....2

    1t$の最後腹節腹面の後縁中央部は切れ込むか,突Il¥

    つ“

    していてもわずかで、ある

    jjíî趨の前縁脈・耳目首紋!派の)Mf!Iに黒色の L字l\~l紋が

    J• • • •

    4 (VoI.1-No.4). 1979 45

  • 20 32

    〔図 19-34) 19:キイロヒラタカゲロウ Epeorusaesculus雄交尾ilIf, 20:オナガヒラタカゲロウ EpeorusIziemalis雄交尾器.

    21 :ユミモンヒラタカゲロウ Epeoruscurvatulus雄交尾¥r.i, 22:ウエノヒラタカゲロウ Epeorusuenoi雄交尾穏, 30:グロタニガワカゲロウ Ecdyonurtlstobiかonis土佐交尾器, 31:シロタニガワカゲロウ Ecdyollurusyoslzidae雄交尾器 32:ミナミタニガワ

    カゲロウEcdyonurushyalimls雄交尾探(陰茎), 33:キプネク zガワカゲロウ Ecdynnuruskib,mensis雄交尾器, 34:マダラタニガワカゲロウ EcdyonurtlStigr is 級交尾探

    ある.最後!限節腹部の後縁両側の突出部内官llJには庇

    状突起がある(ノ) (図16)

    エ ル モ ン ヒ ラ タ カ ゲ ロ ウ

    Epeorus latifol凶 m Ueno

    前麹の前縁脈・亜前縁脈の基部にはL字型紋はない.

    最後腹節腹面の後縁両側の突出部内側には死状突起

    はない(図17)

    タニヒラタカゲロウ

    Eρeorus nαpaeus Imanishi

    3 最後腹節の腹而の後縁は,ほぽ直線的であるか,わ

    ずかに凸か凹む ・…・・… 4

    最後腹節の腹面の後縁は深く切れ込む ・・…… 6

    4 交尾器は幅広く,各片はやや卯形で,先端部は狭く

    なる(図18)

    ナミヒラタカゲロウ

    Eρeorus ikanonis Tal王ahashi

    交尾器の各片の先端部はやや広くなる ……・..5

    5 交尾昔話の各H-の先端部は外側に拡がり,その先は刺

    状となる(図19) キイロヒラタカゲロウ

    Epeorus aesculus Imanishi

    交尾器の各片の先端部は広く左右に開く.先端中央

    部には浅い刻み目があり,その外側の角は鋭い刺状

    突起となる(図20) オナガヒラタカゲロウ

    Epeorus himalis Imanishi

    6 交尾器各片の先端部は幅が広くなり,外側の先は尖

    る. (図21) ユミモンヒラタカゲロウ

    Eρeorus Ct口vatulusMatsumura

    交尾器各片の先端部は幅が広くならない(図22)

    ウエノヒラタカゲロウ

    Epeorus uenoi Matsumura

    ⑧一一タニガワカゲロウ属 Ecdyonur/ls

    本属の幼虫は体長 7~ 12 mm. 体は扇平で,尼は 3木

    (図 23).足にはよと毛および短毛を欠き,各節の末端部に

    は蜘j毛または剛毛がある(図 3).前胸背板の側縁は後

    方にのびて中胸の前部に及ぶ(図 5).各銀の鱈棄は長

    卵形でやや尖り,第 7対のみ糸状鰹を欠く.

    渓流昆虫相の主要要素であるが,Epeo門 tSよりもやや

    46 海洋と生物 4 (VoI.1-No.4), 19i9

  • 習鶴子26

    N 、7'"ー ・電z 、L'::....{.~'ザ;".-.こJ

    27 f図 23-27] 23: EA l'ニガワカゲロウ Ecdyonurussp. EA 全形. 24:クロタニガワカゲロウ Ecdyonurustobiironis頭部.

    25・EAタニガワカゲロウ Ecdyonurussp. EA頭部.

    26 :シロタ止ガワカゲロウ Ecdyonurusyoshidae頭部,

    27 :キプネタニガワカゲロウ Ecdyonuruskibunellsis頭部

    流のゆるやかな場所に生息する.本属は河川の全域に分

    布し,湖岸の石礁底部でも発見されている.

    成虫の体長は g-10mm.尾は2本.年一世代.邦

    産のうちで,幼虫と成虫の関係が確認されているものは

    4種.これ以外で幼虫のみが判明しているものは Ecdy.

    onurus sp. EA.成虫のみが確認されているものは Ecd.

    hyalimげで,この績はi'rl'純以前で見つかっている.

    a一一ータニガワカゲロウ属

    Ecdyonurus幼虫の検索表

    1 体は淡色で濃色の斑紋がある

    マダラタニガワカゲロウ

    Ecdyonurus tigris Imanishi

    休は波色で淡色の斑紋がある

    2 3良部前縁綿に斑紋がある

    頭部前縁部に斑紋がない(閃 ?4)

    -・・ 2

    …3

    グロタニガワカゲロウ

    Ecdyonurus tobiironis Takahashi

    3 服部最後節を除く各節の背而には,逆八字型の黒色

    紋がある.頭部前縁に沿い中央に位置する 1個は楕

    円形で大きく,外側にf立する 2個は小さい(図25)

    EAタニガワカゲロウ

    Ecdyonurus sp. E. A.

    腹部背面には上記のような斑紋はない ...・H ・..4

    4 IiJ(f~ljìíj縁に治い 4 個の等しい大きさの小斑紋がある.

    尾に帯E症がある(図 26)

    シロタニガワカゲロウ

    Ecdyonurus yoshidae Takahashi

    頭部前縁に沿い 2偲の小斑紋がある (4個ある個体

    もあるが,この場合には外側のものは内側のものよ

    り大きL、) (図 27);尾に帯斑がない

    キブネタニガワカゲロウ

    Ecdy.murus kibunel1sis Imanishi

    b-ータエガワカゲロウ属

    Ecdyol1urus成虫の検索表

    1 交尾器の先端部は翼状に左右に開く …..2

    交尾禄の先端部は現状にti:;{;にfJ日くことはない… 12 交尾器の腹面中央部にある一対の刺状突起は,真直

    ぐ後方に向く(図 30)

    グロタユカ'ワカゲロウ

    Ecdyonurus tobiirol1is Takahashi

    交尾器の腹面側部近くにある 1対の刺状突起は,そ

    の先端部は左右に開いている(図 31)

    シロタニカーワカゲロウ

    Ecdyonurus yoshidae Takahashi

    3 交尾器の!底面に根様状突起がある(図 32)

    ミナミタニガワカゲロウ

    Ecdyonurus hyalil1us ulmer

    交尾器の腹面に刺状突起がある -・・・ 4

    4 交尾w,}の}J¥i而,中央部とその外側には各 1対,先端

    近くに 1対の刺状突起がある(図 33)

    キプネタニガワカゲロウ

    Ecdyollurus kibullellsis Imanishi

    交尾器の腹面の中央部には 1対のjflIJ状突起があり,

    その先端は左右に開く.交尾器の各片の先端部には

    浅い切れ込みがある(図 34)

    マグラタニプfワカゲロウ

    Ecdyollurus tigris lmanishi

    海洋と生物 4 (Vol. l-No. 4). 1979 47

  • 日本産カゲロウ類@ 分類と検索 (4)

    L図 28・29J 28:キョウトキハダヒラタカゲロウ Hepta.genia kyotoensis全形.29:キョウトキハダヒラタカゲロウi'ieptagenia kyotoellSis第 1似

    〔図 35・36J 35:キハダヒラタカゲロウ I-leptageniakihadαMI交尾山.36:キョウトキハダヒヲタカケ'ロウHeptaf.{eni“人:'yotoem.~' 雄斑成虫交尾界一

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    御勢久右衛門

    ⑨-ーキハダヒラタカゲロウ属 Heptagenia

    本属の幼虫は体長1O~14 mm. Ecdyonurus幼虫とよ

    く似ているが,前胸背板の側縁部が後方に少しのびるこ

    とはない.大腿の背面に広くキチン化した部分が発達し

    ていないこと,尾は長短の刺毛が密生していることなど

    で区別することができる.流水の比較的ゆるやかな河川

    に生息する.成虫は体長 10~14mm. 尾は 2 本.爪は各

    肢とも不同形.晩春から夏季にわたって羽化する.年一

    世代.

    邦産で幼虫の確認されたものは 3種.そのうち

    Heptagenia sp. naの成虫は判明していない.

    a一一キハダヒラタカゲロウ属

    Heptagenia幼虫の検索表

    1 最後の鯨は紙業のみからなり,糸状鯨を欠く

    キハダヒラタカゲロウ

    Heptagenia kihada Matsumura

    最後の鯨は鯨禁と糸状艇とからなっている…..… 2

    2 各鯨とも飽菜ーと糸状艇との区別は明瞭,頭の前縁部

    には斑紋がある

    Heρtage7山 sp.na (=HB)

    各鯨とも!lB禁は糸状総と見誤るほど退化し,頭部の前縁に斑紋はない(図 28・29)

    キョウトキハタ.ヒラタカゲロウ

    Heρtagenia kyotoensis (=nb) Gose

    b一一一キハダヒラタカゲロウ属

    Heptagenia成虫の検索表

    1 交尾器t土特!!~な形態をなす(図 35)

    キハグヒラタカゲロウ

    Heptagenia kihada Matsumura

    交尾器は翼状で左右に閲き,その中央部には 1対の

    刺状突起がある(図 36)

    キョウトキノ、〆ヒラタカゲロウ

    Hejうtageniakyotoe71sis Gose

    海洋と生物 5 (VoL1-No.5). 1979 51

  • 〔図 37・38J 37:ミヤマタニガワカゲロウ Cinygmahirasalla 全形, 38:ヒメヒラタカゲロウ RhithrogellaJaponira全形

    ⑫一一ミヤマタニガワカゲロウ属 Cinygma

    木.I'Aの幼虫は体長 G~ 9 mm, {,本はmi平で盲ヒメヒラタ

    カゲロウ属によく似ている.尼は 3木で,尾には=ちがな

    い.飢r~~の第 l 対は1m聞において të;;('î~ft援すること l土な

    い(閃 37). ヒメヒヲタカゲロウl売が早瀬 (::".iJiE)で発

    見されるのに比べて,木1;去は"Il f,訊(絞ì~O に ~I: ,f;、十る

    ねから初夏にわたって羽化し, "r--[Il:代. 1lX: ~I~ {主体長() ~12 mmで'1')('/のカゲロウである. }(;I土2木 oの

    ',iijJ伎の爪は同形. '1'・後肢は不同形.

    オ,J.Jíの )1Im,'>i:!.l ~I .u fl[l、1""りJL.ている.このう九ガ,)!.l~が

    判っているのは, ミヤマタニプfワカゲロウ Ci71ygllla

    hirasa山 (=C.kurobeJlsis) Imanishi とセスジタニガワ

    カゲロウC.dorosalis Imanishiの 2{可1である.両者の

    見分けは,後者は百ii者に比べて小型であること 背rj,に

    航者な淡色斑があることによって分けることができる.

    a一一ミヤマタエガワカゲロウ属

    Cinygma成虫の検索表

    交尾器の各片l土分離するが,内倶IJにおいて相互に接

    触する

    セスジタニヵーワカゲロウ

    仁:inygmadorosalis Imanishi

    交尾器の各片は分離するが,内側において相互に接

    触することはない …・ ...2

    2 交尼総の各片の先端部は広くなり,やや外側にrt!lつ

    ている(問 39)

    チャイロミヤマタニガワカゲロウ

    Cinygma adusta Imanishi

    交尾器の各片の先端部は広くならない ...・H ・..3

    3 交尾器の各片は阪が広い(図 40)

    ミヤマタニガワカゲロウ

    Cinygma hirasana (=C. kurobensis) Imanishi

    交尾認の各j十は調lJい(閃 41)

    ハルノミヤマタニガワカゲロウ

    Ci!lygl/l(l vrl'llOlis Imanishi

    riI)-一一ヒメヒラタカゲロウ属 Rhithrogena

    本原の幼虫は体長 10mm内外. イ本は扇平で, ミヤマ

    タニブfワカゲロウf.nによく似ている.尼は 3木で.尾に

    は毛がない(閃 38). ~!gA~の第 1 対l工大形で, }陵商にお

    いて左右栂援する(閃 6). 5 ~ 6月lこ羽化し,午一世代.

    成虫は体長 6~8mm 尾{主 2 本.爪は不同形.

    本原の邦度成虫(:.5符判JIj]Jしているが,そのうち,

    RhithrogeJlaρan'a UI口1er 1土問]

  • 39

    42 43

    45

    〔図 6-45)6 :ヒメヒラタカゲロウ Rltithrogenajaponica版部臨lY!i39 :チャイロミヤマタニガワカゲロウ Cinygmaadusta雄交

    尾器

    40 :ミヤマタユガワカゲロウ Cinyg問 hirasana雄交尾器41 :ハルノミヤマタニガワカゲロウ Cinygma 町 rnalis雄交

    尾務42 :ヒメヒラタカゲロウ Rltitltrogenajaponica 縦交尾w.~43 :タテヤマヒメヒラタカゲロウ Rhitltrogenatateyamana

    簸交尾器44 :ミナヅキヒメヒラタカゲロウ Rhithrogenaminazuki 11~

    交尾探45 :サツキヒメヒラタカゲロウ Rhithrogenasatsuki雄交尾(.:{

    交尾器の側面には 1個の小さい刺状突起があり;背

    面には 2対の刺状突起がある;そのうち内側の突起

    は強大(凶 43)

    タテヤマヒメヒラタカゲロウ

    Rhitht.ogella tateyamatla (= R. t叩 ga叩 'atla)Imanishi

    :1 交尾器の各片には.7宇爾iおよび側彊iに各 1対の刺状

    日間起がある.作n.の先端部に近い内側が尖っている(!.-:Sl 44

    ミナヅキヒメヒラタカゲロウ

    R.hithrogetla miηazuki Imanishi

    交応部の各j十のj反面の中央部とその側)jには各 1対

    の刺状突起がある.各片の末端部に円い小高貨をもっ

    ている(図 45)

    サツキヒメヒラタカゲロウ

    Rhithrogetla satsuki lmanishi

    (=Ecdyotlurus tlaraellsis Gose)

    海洋と生物 5 (Vol. l-No. 5), 1979 53

  • 日本産カゲロウ類@ 分類と検索 5

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    手三三ξ三台/ 一一ー¥

    60 2~

    〔図1・57・24・60)1 :タマリフタパカゲロウ CloeoJl ryogokuellsis成虫簸の前忽157 :ミジカオフタパコカゲロウ Pseudoc/oro1lnosrgo'lc.1arlls;s全

    24 :りュウキュウコカゲロウ Baet;ssacishimensis後勉60 :市ア、バコカゲロウ C円 ttroptilumrolund附"後勉

    Kyuemon Gose: The MayOies oC ]apanes、

    (4) Key 10 Camilies, genera and species.

    奈良県立小学快教員英成所

    御勢久右衛門

    @一一一コカゲロウ科 Baetidae

    本科の日本産はまだ十分研究されていない.名称が示

    すように, 幼虫, 成虫ともに体長 5-lOmmの小形の

    カゲロウである.

    この科には,フタパカゲロウ属 Cloeoll , コカゲロウ~

    Baetis , フタパコカゲロウ Á~ Pseudocloeoll (Baetiella),

    ウスパコカゲロウ属 Celltrottilll1ltの 4泌がふくまれて

    いる.

    A一一コカゲロウ科 Baetidae幼虫の検索表

    1 ~}I!.は禁状で 7 対,第 1 対~第 6 対まではし、ずれも 2

    業で, 第 7 対は単;!1~ ・・目・・・… 2

    鰐は主主状で 7対,全部単葉からなっている……… 3

    2 後惣の wingbud (麹芽)はない

    …・フタパカゲロウ属 Cloeoll

    後趨の wingbud はある

    ・…ウ λ バコカゲロウ属 Celltrottilu1lt

    3 尼は3本 ."・・コカゲロウ属 Baetis

    尾は 2木.........フタパロカゲロウ属 Pselldocloeoll

    B一一コカゲロウ科 B日etidae成虫の検索表

    1 後趨はない ……… 2

    後麹にある ……… 3

    2 前麹の後縁には,各縦脈問iこ1本の間脈がある(図

    1/) ………フタバカゲロウ属 Cloeon

    市i趨の後縁には,各縦脈問に 1対の問脈がある(図

    57/) …ー…・フタバコカゲロウ属 Pselldocloeon

    3 iiij組の後緑には,各縦脈問に 1木の間脈がある.後

    :~n狩縁の中央部近くには.鈎:tJ:に苛 I泊する突起があ

    る(図60/)

    ・・・・・ウスパコカゲロウ0iCetrottilum

    前組の後縁には,各縦脈問に 1対の間脈がある.後

    趨のがj縁の基部の近くには,ナニL、てい三角形の突起

    がある(閃2-1/) …・・コカゲロウk.liBaetis

    76 海洋と生物 6 (Vol. 2-No. 1), 1980

  • 6

    V,

    トーイ、円一一一ーー イVT'. /t.J

    よ71月仏 5

    8

    ~ 〔図2-9) 2:ブタパカゲロウ Cloeolldipter・um,幼虫の尾.3:フタバカゲロウ幼虫の腹部腹泊i.

    4 :タマリフタパカゲロウ CloeollryogokueTlsis幼虫の尾.5:タマリフタパカゲロウ幼虫の服部腹l負1.6・7:フタパカケロウの交尾¥l:{.8・9:タマリフタパカゲロウの交尾総

    (j_iJ一一フタパカゲロウ属 Cloeoll

    本属のがJ虫は,浅い池沼の水草の間,ゆるやかな流れ

    の水際,あるいは水槽やプール,一時的な水溜りなどに

    も発見される.体長は 10mm内外,細長い円筒形のがJ

    !l!.で. 7対の艇のうち,tf11-., 6対は,いずれも 2紫よ

    りなり,第 7対のみ単一.fsは 3本で,中央のものはそ

    のjir.jslIJtこ,同s!IJの尾はその内側だけに長毛を具えている.

    成虫の体長は 10mm内外.尾は 2本.春から晩秋に

    わたって羽化する.年数世代.

    11本産の本婦の成虫と幼虫は 4種判明しているが,こ

    のうち Cloeonmarginale Hagenと Cloeonbimacula.

    IUIII Eaton については再検討を要する. ここでは残り

    の2種について検察・表を記しておこう.

    a一一フタパカゲロウMCloeoll幼虫の検索亥ー

    尼の中央部近くには濃色の帯斑がある.腹部腹面

    中央部の左右に. 1本ずつのやや阪の広い淡褐色の

    縦条がある(図 2・3) ……フタパカゲロウ

    CloeOlI dipterum Linne

    尾の中央部近くには帯斑がない.腹部腹酒には縦条

    がない(国 4・5) ……タマリフタパカゲロウ

    Cloeoll ,yogokuensis Gose

    b一一フタパカゲロウ鼠 Cloeoll成虫の検察表

    1 交尾器は三角形で,その尖端はとがっている(岡

    (i . 7) ……フタパカゲロウ

    Cloeoll dipterum Linn毛

    交尾器は山形で.その尖端はとがっていない(図 8・

    9) ……タマリフタパカゲロウ

    Cloeoll ryogokuensis Gose、

    海洋と生物 6 (Vol. 2-No. 1). 1980 77

  • 15 ーーサ

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    17

    23

    〔図 10-23] コカゲロウM Uaet;sのがIJ1l10 :トピイロコカゲロウ nlld;sc!lOc()ral UJ うで Jr~. 11 :トピ f 口コカゲロウの紗~f(J.12 :フローレンスコカゲロウ l!.florens大l偲, 13: トピイロコカゲロウの大股~,. 14 :サホヨカゲロウ n.SahO'11S;S 大W~!. 15:ヨシノコカゲロウ n.yoshinens;s大I[目.16 :ツシマコカゲロウ B.tSllshil1lt'1lsis大!腿. 17:ツシγ コカゲロウの鋭周縁部,18 :タカミコカゲロウ B.takamiellsis大WI.l, 19:タカミョカゲロウの偲周縁部,20 :ヒュウガコカゲロウ R.hyugfns;s 大IV~!. 21 :ヒュウガコカゲロウの紙同縁部.22 :ヤマトコカゲロウ B.:yamatoellsis ).ミ1l!1'.. 23:トツカワコカゲロウ s.!o!sukat(.'enJIs -j二町2

    6 (VoL 2-No.l), 1980 海洋と生物78

  • ⑬一一コカゲロウ属 Baetis

    本属の幼虫は消-初lな山地渓流から,有機・無機物質に

    汚染された河川全域にわたって広く分布する.

    体は紡錘形で,紙業は7対ともすべて単一卵円形.尾

    は3*.

    ~10mm 小形のカゲロウである. 成虫の体長は 3~10

    lnm,後必jLl:. r~'iる小さく. J己は 2オ,. 3月から11月にわ

    たって羽化し,年二~三位代.

    Baetis属は種類数が極めて多く,邦産約 30種と推定

    される. その多くは, 生長しても 5mm前後の小形種

    である. ここでは, 現在までに確認された成虫 17種,

    幼虫 9組っついて検来去を示しておく.これらのうち,

    幼虫と成虫の関係が判明している種は,幼虫が確認され

    ている 9種のうち Baetischocoratusを除く 8種であ

    る.

    a一一コカゲロウMBaetis幼虫の検索表

    1 尾には11白黒色の帯斑がある(凶 10) ・…....2

    lるには千|;・斑がない ………4 .to

    大腿の門歯の一番外の歯は幅が広く上部は尖らず,

    台形に近い

    5 布大服、は棒状

    5

    6

    右大腿はプラッシ状 ………8

    6 右大腿の犬歯の尖端部は円い(図 16〆). 偲の外側の周縁部は鋸歯状で,各々には同長の長毛を生ずる

    (1叉117) -・ツシマコカゲロウ

    βaetis tsushimellsis Gose

    右大!恕の犬歯の尖端部は尖る.艇の外側の周縁部は

    鋸歯状となる ...・H ・..7

    7 右大l隠の犬歯の尖端部は次第に網くなり,その尖端

    は尖る(図 18). i'!lの鋸歯は大と小とからなり,二

    つとびに大きい鋸歯があり長毛を生ずる.小さい鋸

    歯には大きい鋸歯の約%の長毛を生ずる(図 19)

    ・・タカミコカケ.ロウ

    Baetis takamiellsis Gose

    右大腿の犬歯の尖端は刺状突起となる(図 20). 艇

    の鋸歯はきわめて小さく,長毛とそのM程度の短毛

    2 中央の尾は,外側の}もの約半分.外側の尾の後半部 とが混生する(図 21) ...・H ・-・ヒュウガコカゲロウ

    には11音渋色のi;W斑がある.布大!隠の!"JiMc基部内側の Baetis hyugellsis Gose

    犬歯は,二本の毛状突起となり,その基部には. 5 8 大腿の門歯と犬歯の高さはほぼ等しい.犬樹と臼歯

    本の刺状突起がある(凶 12〆) の間には刺が列生していない(図 22)・・フローレン九コカゲロウ …一-…ヤマトコカゲロウ

    Baetis jlorells lmanishi Baetis yamatoensis Gose

    中央の尾は,外側の尾よりやや短いか,ほぼ同長.

    尾の中央部近くおよび末端部には,暗黒色の帯斑が

    ある(図 10) -・・3

    3 体色は全体チョコレート~,\{溺色.頭部から胸部,腹

    m;前節の正中線上には淡色の縦条がある(凶 10). 右大腿の門歯基部内側の犬歯は二本の毛状突起とな

    っている(図 13).触角の各節の末端部には刺がある

    (凶 11/). ………トピイロコカゲロウ

    Baetis chocoratus Gose

    体色は茶持J色またはt['i.紡色.頭部から胸部,腹部の

    正中線上には縦条がない.右大!惚の犬歯の尖端部は

    てのひら状となっている(図 14/). 触角の各節の

    米端部には刺がない -・十ホコカゲロウ

    J311l!ti,' slllwellsis GU'吠

    :1 大!胞の門掬の一千号外の歯は尖紛が尖り,後方に位|白

    してL、る(凶 15〆). 右大腿の門(U;Mi部内D!lJの犬備は2木の剛毛となっている(凶 15). lr:大m~!の犬1>11

    は約 13本の車lJをもったプラッシ状である(凶 15)

    …・ヨシノコカゲロウ

    Baetis yoshinensis GO'Se

    大胞の門歯の高さは犬歯の約2倍.犬歯と臼歯の聞

    には刺が列生している(凶 23)

    ・・・トツカワコカウfロウ

    ,~

    Baetis totsukawellsis Gose

    海洋と生物 6 (Vol. 2-No.1), 1980 79

  • 日本産カゲロウ類@ 分類と検索 (6)

    b一一コカゲロウ属 Baetis成虫の検索表

    l 後麹の縦脈は 2本 ……… 2

    後麹の縦脈は 3本.第 3縦l派は脆弱である・H ・H ・..6

    2 後麹の第 2縦l派は分校する(図24・25)

    リュウキュウコカゲロウ

    Baetis sacishimellsis Ueno

    後趨の第 2縦脈は分校しない .....… 3

    3 後麹の前縁基部近くにある三角状の突起は倒色に若

    色する ・H ・H ・..4

    後趨の前縁基部近くにある三角状の突起は褐色に着

    色しない(図26・27) フローレンスコカゲロウ

    Baetis jio,'ells lmanishi 4 liijlJ主の腿節はくの字型に1111る(凶28・29・30)

    ウデマガリコカゲロウ

    Baetis jiexifemora Gose

    l~í肢の腿釘jはほぼJ~;ï白ぐである ……… 5

    5 把持子の最後節の尖端は尖る(凶31・32)

    トカ'リコカゲロウ Baetisacumillatlls Gose

    把持子の最後節の尖端は尖らない(図33・34)

    ヒュウカ'コカケ'ロウ

    Baetis hyllgellsis Gose

    6 後麹の第 2縦脈は分岐する ……… 7

    後姐の第 2縦JVKは分岐しない ・H ・H ・..8

    7 後趨の第 2縦脈の分岐脈の間に 1木の間脈がある

    (凶35・36) ...・H ・-・ヨシノコカゲロウ

    Baetis yoshillensis Gose

    後麹の第 2縦脈の分岐脈の間に 2木の間脈がある

    (図37) ……アタゴコカゲロウ

    Baetis atagonis lmanishi

    8 後麹の第 2・第 3縦脈の間に問脈がある ・H ・H ・..9

    後麹の第 2• W3縦脈の間にr,JJ脈がない ・H ・H ・..12

    9 後姐の第 2・W3縦脈の間に 1~ 2木のl甘j脈がある

    ..10

    Kyuemon Gose : The Mayllies of Japanese

    (,1) Key to families, gcnera and 51児 cies

    奈良県立小学校教員養成所

    御勢久右衛門

    後麹の第 2・第 3縦脈の間に 3木の間脈がある(図

    38・39) ………タカミコカゲロウ

    Baetis takamiensis Gose

    10 前麹の基部近くには11的*J色の点紋がある(図40・41

    .42) ………シロハラコカゲロウ

    Baetis thermicus Ueno

    前麹の基部近くには陪褐色の点紋がない ・H ・H ・..11

    11 後麹の第 2・第 3縦脈の聞に 1木の間脈がある(図

    43) ...・H ・..!lリカスコカゲロウ

    Baetis clecus Imanishi

    後麹の第 2・第 3縦脈の聞に 2本の間脈がある(図

    44) ...・H ・-・トツカワコカゲロウ

    Baetes totsukawellsis Gose

    12 後麹のlIIi縁にある三角形の小突起は,前縁の中央部

    近くにある(図45) ・H ・H ・-・ウエノコカゲロウ

    Baetes uelloi Gose (Baetis“No. 2" Ueno)

    後麹のlIIj*誌にある三角形の小突起は, Ji締法の基部近

    くにある ・H ・H ・..13

    13 後趨の第 3縦脈は後縁の中央部で終る ………14

    後惣の第 3縦脈は後縁の尖端部近くまで達する(図

    46・47) ………サホコカゲロウ

    Baetis sahoellsis Gose

    14 後趨liij*止の突起は小さく. M~ 3縦脈はこん跡状であ

    る(図48) ...・H ・..イリオモテコカゲロウ

    Baetis iriomotellsis Gose (Baetis“No.1" Ueno)

    後趨liijU:の突起は大きい. ~'~ 3縦脈は明瞭である

    ・......15

    15 把持子の第 1節は他の節の約 1/4で.後縁内側は11:

    状に突出する(図49・50)

    -・・…・・ヤマトコカゲロウ

    Baetis yamatoellsis Gose

    把持子の第 1却は他の節の約 1/2で,後絃内611Jは突

    fUしない(図51・52) ………ツシマコカゲロウ

    Baetis tsushimellsis Gose

    122 海洋と生物 7 (VoJ. 2-No. 2), 1980

  • 49

    [24-52) コカゲロウ属 Baet;sの成虫24 :リュウキュウコカゲロウ saetissacishimelts;s後麹.25:リュウキュウコカゲロウの炎尾総26 :フローレンスコカゲロウ B.Jlorens後麹. 27: フローレンスコカゲロウの交尾~28 :ウデマガリコカゲロウIl. .fIex~ン(emora !!fiのuij肢.29:ウテ'マガリコカゲロウの後姐. 30: ウデマガリコカゲロウの欠陥~~31 :トガリコカゲロウ β.acuminatus交尾器.32:トガリコカゲロウの後処.33:ヒュウガコカゲロウIl. hyugensis交尾総34 :ヒュウガコカゲロウの後麹.35:冨シノコカゲロウ B.yoshinensis後麹.36:ヨシノコカゲロウの交尾器37 :アタゴコカゲロウ B.tltagonis後趨.38: ~カミコカゲロウ B. takamiensis後麹.39:タカミコカゲロウの交尾様相:シロハラコカゲロウ B.thermicus前麹.41 :シロハラコカゲロウの後麹.42:シロハラコカゲロウの交尾総43 :タリカスコカゲロウ B.clec出後麹.44:トツカワコカゲロウ B.totsukawensis後麹45 :ウエノコカゲロウ β.uenOl 後麹.46:・サホコカゲロウ B.sahoensis後麹. 47:サホコカゲロウの交尾捺48 :イリオモテコカゲロウ B.;r;omotensis後麹.49:ヤマトコカゲロウ B.yam唖loens;s交尾務50 :ヤマトコカゲロウの後麹. 51 :ツシマコカゲロウ B.tsushim問 SIS交尾器.52:ツシマコカゲロウの後麹

    海洋と生物 7 (Vol. 2-No. ~). 1980 123

  • 53

    〔図 53-56・58)

    日本産カゲロウ類 @ 分類と検索(7)

    56

    53 :トゲトゲフタパコカゲロウ Pseudoc/oeo71bispinosus幼虫の腹部背面

    54 :フタパコカゲロウP. japonica幼虫の胸部腹面

    55 :ミジカオフタバコカゲロウ P.nosegawaensis 幼虫の胸部腹面

    56 :ミジカオフタパョカゲロウの交尾illi58 :フタバコカゲロウの交尾@

    Kyuemon Gose : The Mayflies of Japanese (7) Key to families. genera and species.

    御勢久右衛門

    ⑬一一フタバコカゲロウ属Pseudocloeon(=Baetiella)

    本属の幼虫は渓流の代表的な昆虫である.体長は 5-

    7rnrnで小形.Baetisとよく似ている.尾は 2本で,毛

    はほとんどない.鯨葉は7対とも単一である.成虫の体

    長は 5rnrn内外,後麹を欠く .Jちは 2本.者から秋にわ

    たって羽化する.

    現在判っている成虫は 2種,幼虫は 3種で,河者の関

    係のついていないのは Pseudocloeonbispinosusで,本

    種は沖縄以南に分布する.

    a一一フタパョカゲロウ属 Pseudocloeon幼虫の検索

    1 nll背に車~J列がある(図53)

    -・トゲトゲフタパコブJケ'ロウ

    Pseudocloeon bispinoslts Gose

    腹背に刺列がない ..,・H ・..2

    55 2 尾は体長よりも長い.胸部腹面の中・後胸中央部に

    は,それぞれ