学ぶ喜びを支える社会 - Ministry of Internal ... · 米国のMOOC事業者...
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学ぶ喜びを支える社会
学研教育総合研究所 所長
一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会 事務局次長
ICT CONNECT21 みらいのまなび共創会議 代表幹事
栗山 健
2015年8月19日
・MOOCの海外動向
・JMOOCの現状
・ICTを活用した学ぶ喜びを支える社会
世界の教育が大変化
2012年にアメリカで革命的なサービスが始まった。
有名大学の講義がインターネットで提供開始
“入学試験なし”
“授業料なし”
“講義を聞いて試験に合格すれば教授から修了証が提供される”
3 2015/8/19
セバスチアン・スラン
元米国スタンフォード大学教授
「人工知能入門」をオンライン公開
世界190カ国から16万人が受講
アナント・アガルワル
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)教授
「電子回路」をオンライン公開
15.5万人が受講
7000名が修了し、満点が300人
最初のMOOC
2015/8/19 4
MOOCのインパクト
満点を取った一人にモンゴルの高校生、バトゥシグさんがいた。
これがきっかけとなり、MITに16歳で特待生入学を果たす。
「ルポ MOOC革命―無料オンライン授業の衝撃」 金成隆一著より
2015/8/19 5
受講登録から修了証取得までの流れ
メールアドレス、パスワー
ドを登録
講義一覧
から選択
ビデオ講義を学習、課題を提
出
修了条件を満たせば修了証
交付
全ての工程が無料
2015/8/19 6
掲示板での議論
第1週 第2週 第4週 総合課題
詳細な受講形態
10分程度のビデオ
学習確認の小
テスト
10分程度のビデオ
学習確認の小
テスト 課題
2015/8/19 7
世界のMOOCの現状
8 2015/8/19
米国のMOOC事業者 Coursera(コーセラ)
2012年スタンフォード大教授らが設立(VCからの調達額:85億円)
世界中から1431万人以上が登録
121の教育機関の1075講座の受講可能(2015.8.5現在)
東京大学が昨年4講座提供
edX(エデックス)
2012年にMIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大が約70億円を出資し共同設立
78大学・機関がのべ593講座提供
京都大学、東京大学、大阪大学、東京工業大学が参加
9 2015/8/19
海外MOOCプラットフォーム
2013年には、イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、EUや中国でも相次いでMOOCプラットフォームが立ち上がる
10
イギリス:FutureLearn 193万人以上登録
フランス:FUN 86万人以上登録
スペイン:miriada X 144万人以上登録
2015/8/19
ヨーロッパのMOOC(現状:2015.8.3)
ヨーロッパ全体では既に1759コース開講
11 http://www.openeducationeuropa.eu/en/european_scoreboard_moocs 2015/8/19
328 347 365 384 561 538 685 760 771
873 975
1101
1654
1720
1887
2028
2030
2271
2476
3025 2752
2890
2856
3081 3138
3057
3175
81 131 181 231 252 273
277 357 376
386 394
432
458 510
570 597 672
742
770
825
886 969 986
1040
1139 1339
1481
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4500
5000
EU non-EU
世界のMOOC講座数
12 2015/8/19
MOOC出現の背景
13
米国の事情
ヨーロッパの事情
2015/8/19
日本でのMOOC
14 2015/8/19
MOOCについての世論調査
2013秋、2014秋にインターネット上での世論調査を実施
各世代男女各100名(10代から60代)
15 2015/8/19
0 5 10 15 20 25 30 35
生物学&生命科学
哲学
統計学&データ分析
自然科学
予防医学
コンピュータサイエンス
栄養学
健康&社会
情報、テクノロジー&デザイン
ビジネス&マネジメント
芸術
経済学&金融
音楽、映画
歴史
心理学
%
問 どのような講義を受講したいですか。
2015/8/19 16
性別/年代別希望分野
17
1 2 3 4 5
10代男性コンピュータサイエ
ンス情報、テクノロジー
&デザイン音楽、映画 歴史 経済学&金融
20代男性 統計学&データ分析 経済学&金融 歴史情報、テクノロジー
&デザインコンピュータサイエ
ンス
30代男性 経済学&金融ビジネス&マネジメ
ント統計学&データ分析 心理学
コンピュータサイエンス
40代男性情報、テクノロジー
&デザイン経済学&金融
コンピュータサイエンス
自然科学ビジネス&マネジメ
ント
50代男性 歴史 経済学&金融ビジネス&マネジメ
ントコンピュータサイエ
ンス情報、テクノロジー
&デザイン
60代以上男性 歴史 自然科学コンピュータサイエ
ンス芸術 音楽、映画
10代女性 音楽、映画 心理学 芸術 栄養学ビジネス&マネジメ
ント
20代女性 栄養学 心理学 音楽、映画 芸術 予防医学
30代女性 栄養学 音楽、映画 心理学 健康&社会ビジネス&マネジメ
ント
40代女性 心理学 健康&社会 音楽、映画 芸術 歴史
50代女性 心理学 栄養学 歴史 健康&社会 予防医学
60代以上女性 歴史 健康&社会 栄養学 心理学 予防医学
2015/8/19
問 学習する際に利用した端末をお選びください。
パソコン
52%
スマホ
14%
タブレット
9%
ガラケー
7%
PHS 4%
ゲーム機
5%
NA 9%
2015/8/19 18
問 学習したのはおもにどのような時ですか。
自宅での空き時
間
51%
通勤・通学時間
16%
勤務時間・
授業時間
13%
交通機関の待ち
時間
7%
飲食店での待ち
時間
10%
その他
3%
2015/8/19 19
JMOOCの活動紹介
20 2015/8/19
JMOOC(portal) と公認プラットフォーム
2015/8/19 21
JMOOC登録者プロフィール
20代から50代までが均等に20%
平均年齢 43.4才
(男性:44.5才、女性38.8才)
構成 男性67% 女性33%
最終学歴 大卒以上が6割以上
22
10代以下
2%
20代
17%
30代
21%
40代
22%
50代
18%
60代
14%
70
代
5%
80代以上
1%
10代以下
3%
20代
25%
30代
22%
40代
23%
50代
18%
60代
7%
70代
2%
80代以上
0%
総計
男性 女性
10
代
以
下
2%
20代
19%
30代
21%
40代
22%
50代
19%
60代
12%
70代
4%
80代以上
1%
2015/8/19
グローバルMOOC(edX)の学習者年齢分布
23 2015/8/19
JMOOC講座の特徴
日本語を中心とした講座配信
すべての講義映像に字幕付与
聴覚障害者のためのユニバーサルアクセス保証
多様な学習環境への対応
MOOCベースの反転講義が多数実施されている。
これまでのJMOOCでの反転授業 1. 実施講座数:22講座 2. 反転授業回数:40回 3. 出席率 全体:68% 出席率(東京会場):75% 出席率(東京以外):67%
24 2015/8/19
JMOOC講座分野
25
人文科学
25%
コンピュータ科
学とプログラミ
ング
19%
ビジネスと経営
17%
社会科学
13%
自然科学
9%
アート・デ
ザイン
4%
健康と医学
4%
教育と学習
3%
統計・数学
3%
工学
3%
2015/8/19
0
20000
40000
60000
80000
100000
120000
140000
160000
2014
.02.
0320
14.0
2.12
2014
.02.
2120
14.0
3.02
2014
.03.
1120
14.0
3.20
2014
.03.
2920
14.0
4.07
2014
.04.
1620
14.0
4.25
2014
.05.
0420
14.0
5.13
2014
.05.
2220
14.0
5.31
2014
.06.
0920
14.0
6.18
2014
.06.
2720
14.0
7.06
2014
.07.
1520
14.0
7.24
2014
.08.
0220
14.0
8.11
2014
.08.
2020
14.0
8.29
2014
.09.
0720
14.0
9.16
2014
.09.
2520
14.1
0.04
2014
.10.
1320
14.1
0.22
2014
.10.
3120
14.1
1.09
2014
.11.
1820
14.1
1.27
2014
.12.
0620
14.1
2.15
2014
.12.
2420
15.0
1.02
2015
.01.
1120
15.0
1.20
2015
.01.
2920
15.0
2.07
2015
.02.
1620
15.0
2.25
2015
.03.
0620
15.0
3.15
2015
.03.
2420
15.0
4.02
2015
.04.
1120
15.0
4.20
2015
.04.
2920
15.0
5.08
2015
.05.
1720
15.0
5.26
2015
.06.
0420
15.0
6.13
2015
.06.
2220
15.0
7.01
2015
.07.
1020
15.0
7.19
26 2015/8/19
0
50000
100000
150000
200000
250000
300000
350000
400000
450000
2014
.02.
0320
14.0
2.12
2014
.02.
2120
14.0
3.02
2014
.03.
1120
14.0
3.20
2014
.03.
2920
14.0
4.07
2014
.04.
1620
14.0
4.25
2014
.05.
0420
14.0
5.13
2014
.05.
2220
14.0
5.31
2014
.06.
0920
14.0
6.18
2014
.06.
2720
14.0
7.06
2014
.07.
1520
14.0
7.24
2014
.08.
0220
14.0
8.11
2014
.08.
2020
14.0
8.29
2014
.09.
0720
14.0
9.16
2014
.09.
2520
14.1
0.04
2014
.10.
1320
14.1
0.22
2014
.10.
3120
14.1
1.09
2014
.11.
1820
14.1
1.27
2014
.12.
0620
14.1
2.15
2014
.12.
2420
15.0
1.02
2015
.01.
1120
15.0
1.20
2015
.01.
2920
15.0
2.07
2015
.02.
1620
15.0
2.25
2015
.03.
0620
15.0
3.15
2015
.03.
2420
15.0
4.02
2015
.04.
1120
15.0
4.20
2015
.04.
2920
15.0
5.08
2015
.05.
1720
15.0
5.26
2015
.06.
0420
15.0
6.13
2015
.06.
2220
15.0
7.01
2015
.07.
1020
15.0
7.19
2015/8/19 27
JMOOC講座数(2015.7.31)
OUJ-MOOC gacco
Open
Learning,
Japan
開講中 3 7 2
登録受付中 0 17 1
準備中 0 2 3
終了 3 34 8
総計 6 60 14
総計 80 講座 2015/8/19 28
JMOOCの人気講座
2015/8/19 29
「MOOCで学ぶ楽しさを体験しよう —受講生、担当教員が語る面白さ—」
2014.10.4 明治大学アカデミーコモンにて
「88歳 男性」 約30年ぶりに長時間、緊張感をもって集中勉強に励み、修了することができ、「やりがい」「爽やかな達成感」を得ることが
できた。
「専業主婦」 各授業に設けられたオンラインのディスカッションの場で、次は何を受けるのか、この間の授業はこんな解釈ができるのでは
ないかと、様々に情報のやりとりができて面白かったです。 受講生同士でレポートを相互採点する仕組みがあるのですが、任意のコメント欄に熱心なコメントをいただいて、学び続ける
ことに背中を押してもらえる感覚が ありましたね。 無料で、誰でもはじめられるだけでなく、インターネット上で一緒に走
る仲間がいることが、MOOCのとてもいいところなんだと思います。
2015/8/19 30
学習者からみたMOOC
オンライン無料講座
高品質な講座内容
修了証発行
多様な学習スタイル
学び合い
31 2015/8/19
講義提供者からみたMOOC
多数の学習者に提供
学習者の詳細な学習記録の確認
大量の学習者の学習評価が可能
反転授業との組み合わせなど新たな学習方法の活用
講義内容の体系的構造整理
32 2015/8/19
国の政策におけるMOOC(1)
教育再生実行会議
平成27年3月4日、第六次提言「『学び続ける』社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育のありかたについて」
社会に出た後も、誰もが「学び続け」、夢と志のために挑戦できる社会へ
生涯何度でも、学び中心の期間を持つ人生サイクルを
大学等を若者中心の学びの場から全世代のための学びの場へ
社会全体で学びを支援
• 社会人の多様なニーズに対応する教育プログラムの充実
• 学びやすい環境の整備
33 2015/8/19
国の政策におけるMOOC(2) 教育再生実行会議
平成27年5月14日、安倍総理は、第30回教育再生実行会議で、第七次提言「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教
育、教師の在り方について」を受け取りました。
34 2015/8/19
今後の課題
学習者の多様なニーズに答える様々な分野の講座を開講する必要がある。
高等教育はもとより、初中等教育、企業内教育もカバーする。
国際連携の具体化
Regional MOOC間連携
ASEAN諸国を対象とした講座発信(新たな産学連携スキーム)
JMOOCの当面の目標
35
100大学加盟
100講座開講 100万人の登録 2015/8/19
技術的課題
個人認証
修了証の質保証
WiFi環境
モバイルラーニングのニーズ
車内WiFiの充実を
多言語化
母語によるMOOCのニーズ
現在字幕はボランティア
2015/8/19 36
ICTを活用した学ぶ喜びを支える社会
37 2015/8/19
学ぶ喜びを支える社会
オープンエデュケーション
新しい技術の登場
新しい学び方 (JMOOC Jr.)
ICTによる可能性
クラウド、スマートデバイス、AI、脳科学、、、
学習記録データ
例えば
38 2015/8/19
オープンエデュケーションの変遷
段階 キーフレーズ 説明 プロジェク
ト例
Phase1 CloseからOpenへ パラダイムシフト オープンコースウェア
Phase2 リッチメディア化 講義動画配信・モバイル環
境 YouTube, iTunesU
Phase3 学習コミュニティ形成 学習者の学習モチベーショ
ン維持 OpenStudy, P2PU
Phase4 スキル・達成度認定 学習者の価値創造・社会で
の認知 OERU
Phase5 MOOCs 大規模データ分析、
Learning Analytics, Coursera, edX, Udacity
2015/8/19 39
日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)
ミッションステートメント JMOOC は日本とアジアのための「学びによる個人の価値を社会全体の共有価値へ拡大するMOOC」の実現を産学の連携によって強力に牽引します
40 2015/8/19
41
平成25年度総務省事業「教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究」の成果を活用
2015/8/19
42 2015/8/19
43 2015/8/19
ICT利用による可能性
教材等の細切れ化
個に応じた学びの可能性
つながる学び
人 先生、児童生徒、保護者、教育事業者
時間 幼児、小学、中学、高校、大学、生涯
空間 学校、家庭、塾、地域、国
44 2015/8/19
45 2015/8/19
スマートデバイスに興味
46
中学生になったら利用したいもの ※複数回答 (学研教育総合研究所 2014年3月調査)
2015/8/19
例えば
スマートデバイス 学びの道具(ラーニングツール)として
学びのセンサーとして(いつ、どこで、何を学んだ)
学びのナビゲーターとして
ウェアラブルデバイスの可能性も
学習記録データ(クラウドに置いてあれば)
いつ、どこで、何を学んだか
どこで「つまずいた」
どこで「行き詰まった」
=> その子にあった教材や指導法を(アダプティブラーニング)
=> 教材や指導法の開発にも(ビッグデータ活用)
望まれるラーニングアナリストの養成
47 2015/8/19
例えば
オープンエデュケーションを利用して 「いつでも」「どこでも」「誰でも」
個に応じた学び方 • 自分のペースで
• 自動翻訳、字幕付き、何度も再生可能
コミュニティ・ベースト・ラーニング
学ぶ喜び・教える喜びの経験を • 先生だけでなく子どもたちも教材作成を
• 解き方の説明も子どもたちが
• ゲーミフィケーションの要素も取り入れて
ソーシャルキャピタル(地域のつながりと学び)
サービスラーニング(ボランティア活動が大学生の単位に)
48 2015/8/19
例えば 学びのデータを有効利用
学びのライフログ 初中等教育から生涯学習まで 学習履歴の連続性(生涯学習パスポート) 学習空間の連続性(どこにいても継続した学びを) => 標準化されたフォーマットや手続きが必要に
学びあい教えあいの様子を
ログ収集 → テキスト化 対話分析 → モデル化 学習プロセスの可視化 家庭教師ロボットも可能に
49 2015/8/19
これから AI(人工知能)
求められる大量データの活用
進化と深化
脳科学
その道のプロと脳の関係
生体情報と学びの関係
共創社会(H2H(L2L)、M2M、H2M(L2M)) IOT
今ある仕事の多くは機械にもできる
DRY(Do not Repeat Yourself)
デジタル教科書・教材、CBT
パーソナルデバイス
学習履歴、テスト結果は誰のもの?
ICTCONNECT21 (新しいコンセプトの協議会)
教育の情報化をオールジャパンで推進 2015/8/19 50
2015/8/19 51
おわりに
進歩する技術
技術を利用する社会
制度と技術のバランスを
そのためにも
関係者が集まって議論する場が重要
52 2015/8/19