MPPC(Multi-Pixel Photon Counter) を用いた 中性子検出器...
Transcript of MPPC(Multi-Pixel Photon Counter) を用いた 中性子検出器...
MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)を用いた
中性子検出器システムの開発
KEK-中性子
佐藤節夫、武藤豪
発表内容
• MPPC中性子検出器の開発経緯
• 中性子検出器について
• MPPCの基礎特性
• MPSD-中性子検出器の開発
• MHPD-中性子検出器の開発
• まとめ
MPPC中性子検出器開発の経緯
• ほとんどの中性子実験に3Heガス検出器が使用されてるが、3Heガスは同時多発テロ事件以後、米国の輸出規制で10倍以上の高騰となり、簡単には買えなくなった。
• 代替え検出器として、シリコン光検出器のMPPCを用いた中性子検出器の開発を始めた。He3ガス検出器の置き換えタイプ(MPSD)と高計数率タイプ(MHPD)の開発を行っている。
• MPPC が1万個(3千円/個以下の見込み)なら、5mm角/pixelで、50cm×50cm、 1cm角/pixelで、1m×1mの領域が測定できる。>> 3Heガス検出器の代替え可能?
時間を区切ってカウント
パルス中性子で飛行時間測定法
Lcount
time (<40ms)
陽子ビーム
速い中性子中速中性子遅い中性子
試料検出器
E=1/2*m(L/t)2パルス中性子の発生
時間分析により、試料位置での中性子エネルギーがわかる。
25Hz
中性子捕獲位置の検出
Q1
Q2
L
x
x/L=
Q1/(Q1+Q2)
4kΩ
3Heガス検出器の芯線に抵抗線を使用し、容量分割法で
中性子捕獲位置を求める。60cm-PSDでFWHM=5mm程度。
time
時間情報
3Heガス一次元検出器
PSD(position sensitive detector)
ヒストグラム化して解析をする
位置情報
J-PARC/MLFの多くの実験装置で3He検出器を使用
茨城県粉末装置(BL20)で800本のPSDの一部の様子。この他にも、BL01で200本程度、BL08で800本程度、BL12で260本程度、BL14で320本程度、BL21で700本程度使用している。しかし、3Heガス不足で充足率が低い。
MPPCの基本特性
1mm角MPPC 3mm角MPPC
1mm角と3mm角が浜松ホトニクス社から販売されている。
6Liガラスシンチレータで中性子が非常に良く識別できる。>>光電子増倍管との代替えが可能。
6Liガラスシンチレータ取り付け
MPSD(MPPC Position Sensitive Detector)の開発
• MPPCをたくさん並べ、抵抗ネットワークにまとめ
て重心計算で位置を求める中性子検出器として使用する。処理速度は20kcps/検出器程度である。計数率は低いが、高い位置分解能で測定できる。
• 既存のデータ処理システムのNEUNETが使用できる。抵抗ネットワークの両端の信号をADCでデ
ジタル信号に変換し、中性子データとして時刻と両端の波高値を記録する。
MPSDの測定原理
MPSDの測定原理、ハードウェアで重心を求める。
MPSDの読み出し回路には、既存のNEUNETシステムが使用できる。
MPSDの内部構造
シンチレータ 拡散ガラス MPPC 処理回路
MPPC-PSD、試作5枚目(32cm)
位置分布図(上)、波高分布図(下)15mmずつ21点照射、FWHM=2.79mm
位置分布図(上)、波高分布図(下)一様ビーム照射
MPSDの8枚セット組み上げ
• MPSDを8枚組み上げ、He3-PSDの1セットと同じにしてテストした。
• 中性子ビームが使用できなかったので、中性子チェッキングソースで確認を行った。
• MPPCを既定の電圧より高い状態で使っていたので、MPPC自体がγ線を感じることが確認された。
MPPC-PSD、8枚セット
試作5枚目基板を8枚調整し、重ねた。MPPCを64 x 8 = 512個使用した。32cm x 4cmの範囲を3mm x 5mmの細かさで中性子を検出できる。中性子シンチレータ(ZnS/Li6)を各基板ごとに切らないで、1枚もので使用。
MPSDの8枚セットを拡散ガラス側から見た
横から見た
MPPC拡散ガラス ZnS
MPPC-PSD、γ線測定
Co60γ線チェッキングソース
上の1本以外、カウントが多かった
MPSDの8枚セットの測定システム
-100型-050型
-100型は-050型より3倍程度増幅率が高い>>低い電圧で使える
MPPC-PSD、中性子測定
Cf252中性子チェッキングソースで測定 測定データ、2次元画像が得られる
Co60・γ線の測定と、Cf252・中性子の測定から、MPPCの-100型と-050型の違いが見れた。 -050型を使用し、かける電圧が高いとγ線を直接感じてしまうことがわかった。電圧を下げていくと、中性子のカウント数が71%に減るが、γ線は3%以下に減ることがわかった。このことから、 -100型がより良いことがわかった。
MHPD(MPPC High count-rate Pixel Detector)の開発
• MPPCを1ピクセルの中性子検出器として使用する。処理速度は250kcps/pixelである。
• 各MPPC出力を独立にディスクリ(LLD)でデジタ
ル信号に変換し、中性子データとして時刻とパルス幅を記録する。
• 位置分解能は落ちるが、高計数率で広面積を測定できる。
MHPDの開発
MHPDの構成図
青:アンプ出力、黄:ディスクリ出力
赤:ZnSシンチレータの中性子信号、青:アンプ出力
250kcps x 64
速:4Mcps
制御回路:パルス幅とTOF時間、時刻をイベントデータにする。
MHPDの開発:基板作製
半田面:各MPPCのディスクリとFPGAを配置している。
各MPPCごとには4µ秒(250kcps)の処理能力がある。1枚の制御回路で8枚のMHPD検出器が処理できる。制御回路全体で4Mcps(32MB/S)の処理及び転送能力がある。
部品面:各MPPCの電圧調整用のDACを配置している。
MPPCを5mm間隔で64個並べた基板を作製
MHPDシステム:検出器基板を遮光し、制御回路で処理し、1GbitネットワークでPCにデータを送る。
MHPDの開発:中性子測定
左側に照射
Cf252中性子チェッキングソースでの測定
位置を識別できることが確認できた。MPSDとほぼ同じカウント数であった。パルス幅が3µ秒程度で、ZnSの特性に合っている。中性子ビーム照射で正確な測定をする必要がある。
中央に照射 右側に照射
位置(単位:5mm)
パルス幅(単位:25ns)
Cf252中性子チェッキングソースを使用した測定
MHPDの開発:LED測定制御PC
LEDでの測定
LEDを1mmずつ移動した測定:LEDの点滅がほぼ正確に測定できた。パルス幅はMPPCの変わり目で少し狭くなった。排他処理でダブルカウントはなかった。
LED照射位置―パルス幅
LED照射位置―MPPC出力位置
制御回路
MHPD検出器回路
スライダー
LED
MPPC出力位置―総カウント数
暗箱と暗幕
まとめ
• MPSDを8枚組み上げ、中性子チェッキングソースで確認を行った。MPPC自体がγ線を感じることが確認された。改善策として、増幅率の大きな-100型を採用。
• MHPDの開発を始めた。250kcps/pixelの処理速度。8本制御システムを考えていて、全体で4Mcps(32MB/s)の転送ができる。
• 北大で7月14,15日にビーム実験予定。