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当社は、関係する全ての人々の安全を確保し、健康を守り、地域と地球 の環境保全に努めることを基本方針とし、これを「環境安全方針」として 定めています。その実行を確かなものにするために、本社に、HSEシス テム、安全衛生、プロセスセーフティ、セキュリティ・危機管理及び環境 の5グループ体制からなるHSEユニットを設置し、HSEマネジメントシ ステムに基づく HSE 管理を推進しています。 基本的な考え方 当社が経営理念として掲げる「持続可能なエネルギー開発」の実現には、 社会の一員として高い倫理観に基づいて行動し、安全確保と環境保全を最 優先とする文化の醸成が必要です。安定的にエネルギーを供給するため、資 源を求めて地球規模で事業を展開することから、国際社会の規範や基準を 遵守し、世界において広く受容される企業文化を育むことを目指しています。 そのため、国際標準での HSE マネジメントシステム(以下、HSEMS)に 即した活動とするべく、グループ全体の環境安全方針を定めています。こ の環境安全方針の宣言を確実に実行するべく、HSEへの取組を包括した HSEMS規則を策定し、当社の事業活動におけるリスク管理や継続的改善 に取り組んでいます。 また、当社の HSE コンピテンシー(力量)を IOC の最上位グループと同 等レベルに高めることを目標に、2016年度より5年間の第三期HSE中期計 画(2016~2020年度)を推進しています。重大事故を防ぐ枠組みとしての プロセスセーフティ管理を徹底することに加え、コーポレート環境管理計 画の策定、温室効果ガス排出の管理、生物多様性保全に関する報告書をまと めるなど、環境管理も積極的に推進し、さらにHSEMSにおいても、HSE管 理の適用範囲を国内事業子会社やノンオペレータープロジェクトに拡大し、 より一貫性のある HSE 管理に取り組んでいます。 様々なステークホルダーに対し環境安全方針をコミットし、そのための 具体的な取組を推進していくことは、グローバル企業としての責務です。社 会から信頼され、真に必要とされるに相応しい企業となるべく、確たる決意 の下、HSE活動を進めていきます。 池田 隆彦 取締役 副社長執行役員 技術本部長 HSE 担当 担当役員のメッセージ 環境安全方針 International Oil Companies 国際大手石油会社 MATERIALITY HSE (健康・安全・環境) 基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 HSE マネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31 安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34 重大災害防止への取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38 環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40 HSE (健康・安全・環境) COVID-19への 対応 トップメッセージ 石油・天然ガス開発の バリューチェーン 目次・編集方針 CSRマネジメント 第三者保証報告書 外部評価 ESGデータ集 従業員 気候変動対応 地域社会 MATERIALITY ガバナンス コンプライアンス HSE (健康・安全・環境) Sustainability Report 2020 30

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Page 1: MATERIALITY HSE2019年度は、講習会並びに訓練などにより、延べ659人・時間にわたっ てHSE教育訓練を実施しました。また若手エンジニアには、これとは別

当社は、関係する全ての人々の安全を確保し、健康を守り、地域と地球の環境保全に努めることを基本方針とし、これを「環境安全方針」として定めています。その実行を確かなものにするために、本社に、HSEシス

テム、安全衛生、プロセスセーフティ、セキュリティ・危機管理及び環境の5グループ体制からなるHSEユニットを設置し、HSEマネジメントシステムに基づくHSE管理を推進しています。

基本的な考え方

当社が経営理念として掲げる「持続可能なエネルギー開発」の実現には、社会の一員として高い倫理観に基づいて行動し、安全確保と環境保全を最優先とする文化の醸成が必要です。安定的にエネルギーを供給するため、資源を求めて地球規模で事業を展開することから、国際社会の規範や基準を遵守し、世界において広く受容される企業文化を育むことを目指しています。

そのため、国際標準でのHSEマネジメントシステム(以下、HSEMS)に即した活動とするべく、グループ全体の環境安全方針を定めています。この環境安全方針の宣言を確実に実行するべく、HSEへの取組を包括した

HSEMS規則を策定し、当社の事業活動におけるリスク管理や継続的改善に取り組んでいます。

また、当社のHSEコンピテンシー(力量)をIOC❶の最上位グループと同等レベルに高めることを目標に、2016年度より5年間の第三期HSE中期計画(2016~2020年度)を推進しています。重大事故を防ぐ枠組みとしてのプロセスセーフティ管理を徹底することに加え、コーポレート環境管理計画の策定、温室効果ガス排出の管理、生物多様性保全に関する報告書をまとめるなど、環境管理も積極的に推進し、さらにHSEMSにおいても、HSE管理の適用範囲を国内事業子会社やノンオペレータープロジェクトに拡大し、より一貫性のあるHSE管理に取り組んでいます。

様々なステークホルダーに対し環境安全方針をコミットし、そのための具体的な取組を推進していくことは、グローバル企業としての責務です。社会から信頼され、真に必要とされるに相応しい企業となるべく、確たる決意の下、HSE活動を進めていきます。

池田 隆彦 取締役 副社長執行役員技術本部長 HSE 担当

担当役員のメッセージ

環境安全方針

❶ International Oil Companies国際大手石油会社

M ATE R IA LIT Y

HSE(健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

HSE (健康・安全・環境)

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HSEマネジメントシステムの構成図

❷ International Association of Oil and Gas Producers国際石油・天然ガス生産者協会

❸ OMS510IOGPの報告書No. 510“System Framework for controlling risk and delivering high performance in the oil and gas industry”

❹ リスクベース方式監査計画時に被監査組織のリスク要因を考慮し、重点監査項目を絞り込むこと

当社の事業活動における「環境安全方針」の実行を確かなものにするために、ISO9001やISO14001等を参照してHSEMS規則を2007年度に策定、さらにこれを国際標準であるIOGP❷のOMS510❸に基づいて2017年度に改定しました。必要なHSE関連文書(規則、要領、指針等)の作成やHSE組織の整備、各事業本部へのHSE技術支援、HSE教育訓練、定期的なHSE監査やHSEレビューの実施、各種のHSEコミュニケーション活動を中心に、PDCAサイクルを意識したHSEMSの継続的改善と実施を継続しています。また国内最大の鉱業所である長岡鉱場では2003年度にISO14001の認証を取得し、現在も維持を継続しています。

HSE中期計画に沿って、毎年HSE重点目標を定めるとともに、HSE プログラムを策定し、目標達成のための進捗管理を行っています。

2019年度(4月~12月、以下同じ)は、このHSE重点目標とHSEプログラムに基づき、HSE要領の新規策定並びに改定を合計で4件実施しました。リーダーシップ、リスク管理、継続的改善、そしてそれらの実施を基本原則としたシステム(右記HSEMSの構成図を参照)をベースに、2018年度に国内事業子会社、地熱事業そして船舶建造運航事業にまで拡大したHSE管理の適用範囲をノンオペレータープロジェクトにまで拡張し、より有効かつ一貫性のあるHSE活動に取り組んでいます。 HSEアシュアランス・ガバナンス強化の観点から、オペレータープロジェ

クトにおけるHSEMSの遵守状況を評価するために、定期的にHSE監査やHSEレビューを実施しています。2019年度は国内外を対象としたリスクベース方式❹によるコーポレートHSE監査を2件実施、さらに合計で15件のHSEレビューに参加しました。

HSEマネジメントシステム

基本的な考え方

HSE 重点目標及びHSEプログラム

HSE監査

基本原則

実施

リスク管理

継続的改善

リーダーシップ

コミットメントと説明責任

要素

方針、標準及び目的

組織、リソース及び能力

利害関係者と顧客

リスク評価と制御

設備の設計と健全性

計画と実施手順

事業活動の実施

監視、報告及び教訓

アシュアランス、レビュー及び改善

1

2

3

4

57

6

10

9

8

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

基本的な考え方

HSE重点目標及びHSEプログラム

HSE監査

HSE教育訓練

HSEコミュニケーション

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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2019年度は、講習会並びに訓練などにより、延べ659人・時間にわたってHSE教育訓練を実施しました。また若手エンジニアには、これとは別に労働安全管理やプロセスセーフティ・エンジニアリングに習熟するために、継続的に国内外での実践的な研修の機会を提供しています。

さらに、HSE要員向けには、OJTの機会や専門機関が主催する講習への参加などを通してHSE力量の向上を図るとともに、専門分野別の育成目標(ジョブコンピテンシープロファイル)を整備しています。2020年度も第三期HSE中期計画の目標達成に向けて、実効性のある教育プログラムの整備と実行に注力します。

当社では、経営会議や定例取締役会でのHSE月次報告、事故調査で得られた事故の教訓(Learning from Incidents)の社内向けの共有、HSE 関連会議の定期的な開催など、積極的なHSEコミュニケーション活動に取り組んでいます。2008年度からは、HSE意識の向上を図るため、社長、コーポレートHSE委員会メンバー、国内外の組織の最高責任者、組合代表者らが参加するHSE会議を毎年開催しています。2019年度に開催したHSE会議では、各オペレータープロジェクトのHSE活動の報告に加え、各プロジェクトが抱えるHSE上の課題を共有し、どのように教訓を生かしていくかについて議論しました。

さらに、経営層がHSEへのコミットメントを示し、現場の作業に伴うリスクを直接理解した上で、INPEXバリューの一つである「安全第一」を実現するために、現場へのHSEマネジメントサイトビジットを実施しています。2019年度は国内外のオペレータープロジェクトの各事業場のほか、ノンオペレータープロジェクトの現場や国内事業子会社などを対象に、計9回実施しました。この活動は、経営層と現場従業員の間でのHSEに関しての率直な意見交換、議論の機会となりました。

このほか、全従業員のHSE意識を啓発し、事故の再発防止を促すために、定期的に「HSEハイライト」を発行し、社内で共有しています。加えて、当社のイントラネットに最新の安全指標データ、HSE文書、HSE委員会の議事録、HSE教育訓練の情報、事故情報、HSEアラート、セキュリティ情報、IOGPなどの国際的なHSE活動に関する情報も掲示して、全従業員が必要とするHSE情報に日常的にアクセスできる仕組みを構築しています。

HSE 教育訓練

HSEコミュニケーション

2019年8月14日から15日にかけて、国内エネルギー事業本部の経営層がイクシスの陸上操業施設を訪問しHSE活動を視察するとともに、陸上の操業における良い取組や教訓を互いに共有するなどの交流を図りました。緊急医療搬送施設(Careflight Facility)は、ヘリコプターや小型飛行機が医者や看護師同乗の下現地に向かい、必要な水準の医療設備を有する病院に直接搬送することが可能で、患者にとってもより安全な医療搬送を実現しており、地域貢献の視点からも価値ある取組であることが確認できました。

イクシス操業施設へのHSEマネジメントサイトビジット

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

基本的な考え方

HSE重点目標及びHSEプログラム

HSE監査

HSE教育訓練

HSEコミュニケーション

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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2019年10月に、本社にて第13回HSE会議が開かれました。会議には国内外の組織の代表者、HSE管理部署、さらには労働組合の代表者も参加して、HSE活動の今後の方向性などが報告されました。またイクシスLNGプロジェクトの教訓をアバディLNGプロジェクトにどう生かしていくか、さらにはコーポレートHSEの機能に関する将来の展望など、具体的な議論が行われました。

HSE 会議を本社にて開催

第13回HSE会議の様子

また、産業安全に関わる各種シンポジウムへの参加、同業他社や異業種企業・外部団体・大学研究者等とのHSE交流を通じた産業界への貢献や情報交換等も行っており、2019年度には外部向けの講演や発表を計8回実施しました。

さらに、組織や個人の士気向上やHSE意識の高揚を図り、会社全体のHSE成績を向上させることを目的に、コーポレートHSE表彰を毎年実施しています。2019年度には、HSE優秀賞として団体1件、HSE活動賞として団体2件、個人2件、HSE特別賞として団体1件の計6件が表彰されました。

今後も社内外で発生した事故から当社が学ぶべき教訓や事故防止に向けた良い取組などをよりタイムリーに共有できるよう、HSEコミュニケーション活動の充実に努力していきます。

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

基本的な考え方

HSE重点目標及びHSEプログラム

HSE監査

HSE教育訓練

HSEコミュニケーション

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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ライフセービングルール

職場で働く誰もが皆、けがをすることなく無事に家に帰れること、これが当社の安全管理の基本です。また、職場で働く誰もが業務の遂行により健康を害することがないよう、疾病対策や衛生管理の整備に取り組んでいます。

当社は、プロジェクトに関わる従業員やコントラクターの安全を最重要課題と捉え、HSEMSを通じて労働安全リスクの管理を実施しています。

この取組を推進するために、IOGP加盟企業のトップ25%のセーフティパフォーマンスを達成するという目標を設定し、労働安全の特に負傷事故に対する指標であるLTIF❺とTRIR❻を選び、モニタリングを行っています。2019年度の LTIF と TRIR の目標値はそれぞれ IOGP 加盟企業のトップ25%以内となる0.12及び0.70以下と設定しておりましたが、その結果はLTIFが0.32、TRIRが1.78(2019年1月~12月の実績)となり、当初目標を達成できませんでした。

労働災害件数の削減に向けては、事故の傾向分析の実施、事故調査システムや要領の改定による事故調査手法の強化等に加え、事故速報の水平展開を迅速に行い、事故からの教訓の周知を強化するなど、改善を行っています。また2019年度には、最もリスクの高い作業を安全に行うための原則としてIOGPが策定した「ライフセービングルール」を導入し、社内にさらに定着させるべく取り組んできました。

2020年度も継続してHSE啓発プログラム等を通じて労働災害の削減に取り組み、IOGP参加企業上位25%以内の成績を目指します。

安全及び健康管理

基本的な考え方

労働災害事故件数の削減に向けて

❺ Lost Time Injury Frequency百万労働時間当たりの死亡災害と休業災害の発生頻度。集計期間は2019年1-12月

❻ Total Recordable Injury Rate百万労働時間当たりの死亡災害、休業災害、不休災害及び医療処置を要する労働災害の発生頻度。集計期間は2019年1-12月

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

基本的な考え方

労働災害事故件数の削減に向けて

HSEフォーラム(安全衛生セッション)

従業員の衛生管理

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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当社は2016年度から様々な形式やテーマでHSEフォーラムを開催してきました。2019年度には、「HSEパフォーマンスの改善に向けたベストプラクティス」をテーマとした第4回HSEフォーラムを開催しました。HSEフォーラムは安全衛生セッションと環境セッションから構成され、安全衛生セッションにおいては、国内外の各オペレータープロジェクトと本社のHSE管理部署からの代表者44名が参加して、HSEパフォーマンスの測定に用いられているツールについて、会社及びコントラクター管理に有効な先行指標について、さらに各組織で用いられているモットーについて話し合われました。この結果を生かして、HSEパフォーマンスの今後の更なる向上に寄与したいと考えています。

HSEフォーラム(安全衛生セッション)従業員の健康を支えるために、インフルエンザワクチン接種、集団健

康診断、人間ドックに対する補助のほか、マラリアやジカウイルス、新型インフルエンザなどの感染症に関するリスクの共有や注意喚起をはじめとする海外の医療リスクの周知を行うなど、従業員の健康維持・向上に努めています。

2019年度は、各事業所においてどのような健康管理を実施しているか把握する目的で、IOGPに準じた健康管理サーベイを実施し、各所における健康管理状況の把握に努めました。2020年度には、各業務や作業環境における健康リスクの特定と、それらのリスク管理や感染症対策等を確実にすべく、従業員の健康管理要領を見直しています。

従業員の衛生管理

HSEフォーラムの様子

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

基本的な考え方

労働災害事故件数の削減に向けて

HSEフォーラム(安全衛生セッション)

従業員の衛生管理

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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プロセスセーフティ管理の枠組み

プロセス セーフティの リーダーシップ

リスクの特定及び評価

見直しと改善

リスク管理

HSEMS

8.操業マニュアル及び管理手順書9.プロセス及び操業状態の監視と引継ぎ10.操業上のインターフェース管理 11.業界標準及び業界慣行

12.変更管理及びプロジェクト管理

19.事故報告及び調査

13.操業準備とプロセスの運転開始

20.監査、健全性確認、マネジメントによる レビュー及び是正措置

14.緊急事態への準備15.検査及び保守整備

16.安全上重要な装置の管理

18.請負業者、供給業者の選定及び管理 17.作業管理、作業許可及び作業リスクの管理

1.リーダーシップ、意思表明と責任

2.法的要求事項及び業界標準の特定と遵守

6.危険要因の特定とリスクアセスメント

3.従業員の採用、配置及び能力、健康状態の確認

7.文書・記録・知識の管理

4.現場作業員の参加

5.利害関係者とのコミュニケーション

プロセスセーフティ管理

の実践

セーフティケース制度を通じた

❼As Low As Reasonably Practicable合理的に実行可能な限りできるだけ低いこと

❽プロセスセーフティ事故炭化水素のみならず、加圧CO2・圧縮空気などの無害・不燃性物質を含む物質の予期しない放出又は漏えいを指す。IOGPの要求事項に従い、実際の事故の影響(人体への被害、会社への損害額、放出物質の種類や漏えい量など)に応じてTier1やTier2に区分

火災、爆発、大規模漏えいに代表される重大事故を防止するために、探鉱、開発、生産から廃山までの全てのフェーズにおいて、安全を考慮してプロジェクトを進めています。

可燃性流体などの危険物質を管理するため、適切な設計、建設、操業・保守の実践によりシステム及びプロセスを管理する枠組みを、プロセスセーフティ管理と呼んでいます。

当社のプロセスセーフティ管理は、4つの重要エリアとそれを支える20の要素で構成され、各要素にはオペレータープロジェクトが遵守すべき詳

細な項目が設定されています(下図を参照)。プロセスセーフティ管理・保証の一環として、自主的にセーフティケース制度を操業施設に導入しているほか、各オペレータープロジェクトに対し設備の健全性管理・プロセスセーフティ保証レビューを行い、リスクがALARP❼であることを確認しています。

当社は、IOGPの要求事項に沿って、Tier1、Tier2のプロセスセーフティ事故❽情報を収集・報告しており、2019年度はTier1が4件、Tier2が3件でした。プロセスセーフティの指標を収集・分析・報告することで、操業の信頼性を向上させると同時に、現状のプロセスセーフティの取組に満足することなく、ステークホルダーとプロセスセーフティのパフォーマンスを共有することで、重大事故防止に役立てています。

重大災害防止への取組

基本的な考え方

プロセスセーフティ管理の徹底プロセスセーフティの指標

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

基本的な考え方

プロセスセーフティ管理の徹底

プロセスセーフティの指標

設備の健全性管理・プロセスセーフティ保証レビュー

リスク管理プロセス

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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設備の健全性管理・プロセスセーフティ保証レビューとは、プロジェクトの各段階の適切な時点でプロジェクトから独立した立場のチームが行う体系的な保証面でのレビューです。本レビューにより、以下が期待されます。

◦ 資産(設備)が十分に守られていることを経営層及びステークホルダーに保証すること

◦ 当社設備が健全性・プロセスセーフティの要求を満たしていることを確認すること

◦ プロジェクト間で、良い取組や教訓が共有されること

そのほかにも、施設立ち上げ前のレビュー、操業準備状況のレビューなど、各プロジェクトの各フェーズに対する保証面でのレビューを実施しています。これらの結果を定期的に見直し、改善に向けたフィードバックを行うことで、設備の健全性の向上を目指していきます。

HSEリスク管理活動の一環として、一元管理されたリスク管理ソフトウェアを利用し、全てのオペレータープロジェクトにおいて重大事故災害につながるリスク及びトップ10リスクの特定・分析・評価を行っています。またリスク対応策を策定、実行するとともに、リスク管理状況を定期的に本社に報告させてリスクがALARPであることを確認し、経営会議において四半期ごとに報告しています。

設備の健全性管理・プロセスセーフティ保証レビュー

リスク管理プロセスHSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

基本的な考え方

プロセスセーフティ管理の徹底

プロセスセーフティの指標

設備の健全性管理・プロセスセーフティ保証レビュー

リスク管理プロセス

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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昨今のセキュリティ事情を取り巻く不確実性の高まりを受け、海外のセキュリティ管理の継続的な強化・改善を図っています。また、各種の事故に備えるべく、緊急時対応計画を準備し、訓練を通じて対応力の強化に努めています。

当社では、緊急時においてコーポレート部門とオペレータープロジェクト組織が連携して対応するシステムを構築しています。過去に実施した訓練を基に、首都直下地震を想定した「コーポレート緊急時対応計画書」や「緊急時対応要領」の改定等を進めるとともに、危機対策本部(本社及び技術研究所)の備品や設備の更なる拡充も実施しました。また、本社機能が一部喪失した場合に備え、代行業務を行う暫定危機対策本部が設置される新潟の東日本鉱業所との体制確立や連携強化に取り組んでいます。

操業現場を持つ国内外の組織では、年間計画に基づき、緊急時対応訓練を単独、または本社と連携した形で実施し、継続的な能力向上を図っています。特にイクシスLNGプロジェクトでは、オーストラリアの洋上及び陸上の関連施設において様々な事故シナリオを想定した訓練を生産開始以前から継続的に実施しており、同プロジェクトでは2020年度も机上トレーニングに加え、4回の緊急時対応訓練を計画しています。

2019年度には、以下のような大規模な事故災害を想定して、オペレータープロジェクトと本社が連携して行う緊急事態レベル3の訓練を2回実施しました。◦イクシス天然ガス田海上施設付近におけるタンカーからの油流出事故◦地震発生に伴う長岡の越路原プラントにおける火災事故

2020年度はコーポレート部門において、首都直下地震を想定した訓練を1回、アブダビの探鉱プロジェクト及び国内の操業における事故を想定した本社との連携訓練を各1回計画しています。各訓練から得られた教訓を基に、更なる危機対応能力向上に努めていきます。

当社では、従業員の活動する地域におけるセキュリティ情報を常時収集、評価し、社内で共有しています。また、各地域の脅威レベルを評価し、これに基づいて出張者や駐在員に対する方針の立案や注意喚起を実施しています。今もなお世界各地でテロ事件が散見されることや、米国とイランの核をめぐる対立による中東の不安定な状況が依然として継続していることなどから、社内イントラネットで関連情報を周知することで、引き続き注意喚起をしています。そのほか、社内セミナーや訓練を開催し、理解の促進や対応能力の向上に努めています。

また、当社の活動地域に対して、本社から人員を派遣してセキュリティレビューを実施し、活動地域全体、操業現場、移動経路、宿泊場所等の状況を把握して、適切な対策をとるように努めています。

2019年度には、中東における緊張の高まりを受けて、当社アブダビ事務所の国外退避計画の更新を実施しました。2020年度はこれを基にデスクトップ訓練を実施し、計画の実効性の確認と要員の習熟を図っていく考えです。

セキュリティ・危機管理

基本的な考え方 緊急時・危機対応体制の整備

緊急時対応訓練の実施

セキュリティ管理の推進

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

基本的な考え方

セキュリティ管理の推進

緊急時・危機対応体制の整備

緊急時対応訓練の実施

暴噴・流出事故への対応

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

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Page 10: MATERIALITY HSE2019年度は、講習会並びに訓練などにより、延べ659人・時間にわたっ てHSE教育訓練を実施しました。また若手エンジニアには、これとは別

石油・天然ガス開発では、大規模な暴噴・油流出事故だけでなく、生産精製施設にあるタンクや配管からの小規模な油流出事故への対応も求められています。周辺住民の方々への安全・健康上の影響や、地域社会の経済活動への影響が懸念されるためです。

当社では、他社で発生した事故の教訓を踏まえて、坑井、パイプライン及びプラント等での事故管理に必要な予防・封じ込め・対応の全ての面で体制を強化しています。事故の予防を目的に規則や手続を整備し、一貫した管理を行っています。また暴噴時に海底の暴噴制御装置が作動しなかった際の備えとして、キャッピング装置を提供するWild Well Control, Inc.と契約しています。加えて、世界最大の油流出対応サービス提供会社OSRL❾とも契約し、大規模な油流出に対応できる体制を整備するとともに、油流出に対応するための技術に関しても継続的な知見の獲得に努めています。

暴噴・流出事故への対応

❾ Oil Spill Response Limited

2019年10月に、イクシスLNGプロジェクトでの事故を想定した2019年度第2回コーポレート危機対応訓練を実施しました。イクシスの海上ガス田付近でコンデンセートを引き取りに来たタンカーから燃料油が流出する想定で、本社危機対策本部、パース事務所及び海上ガス生産施設が連携して対応に当たりました。シナリオは、事前に参加者に知らせることなくリアルタイムで進行し、状況の変化やマスコミからの問い合わせ等、様々な状況設定もその場で付与する形で訓練を実施しました。これにより、適切かつ臨機応変な対応が問われる訓練となり、多くの課題や気づきを得ることができました。

コーポレート危機対応訓練

訓練の様子

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

基本的な考え方

セキュリティ管理の推進

緊急時・危機対応体制の整備

緊急時対応訓練の実施

暴噴・流出事故への対応

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

COVID-19への対応トップメッセージ石油・天然ガス開発の

バリューチェーン目次・編集方針 CSRマネジメント 第三者保証報告書外部評価ESGデータ集従業員気候変動対応地域社会HSE

(健康・安全・環境)

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Sustainability Report 2020 39

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環境目標1 事業活動における低炭素化

環境目標 2 環境汚染の防止

環境目標 3 廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

環境目標 4 生物多様性の保全

環境目標 5 水資源の有効利用

環境や地域社会への影響を最小限に抑えるために、プロジェクト実施前に環境・社会影響評価を実施するとともに、プロジェクトの実施中はその影響をモニタリングし、その結果を踏まえて環境管理を推進しています。また、2018年度には、「コーポレート環境管理計画」を策定し、当社全体の環境管理活動を取りまとめました。このコーポレート環境管理計画に基づき、当社における全社的な環境管理を推進しています。

当社は「環境安全方針」において、「健康、環境そして地域社会への負の影響を回避、低減し、社会との信頼関係を維持します」と宣言しています。この宣言を達成するために、2019年度の重点目標として「環境管理の強化」を掲げ、全社的な環境管理の推進に取り組みました。

2020年度においても、コーポレート環境管理計画の着実な実施、実施結果のレビュー、計画の見直しというPDCA サイクルを回すことにより、全社的な環境管理をさらに推進します。

環境負荷の軽減

基本的な考え方

環境管理の取組

当社の各事業では、以前から事業の環境側面に応じたPDCA サイクルを回し、環境管理を実施していますが、2018年度からは全社の環境分野の取組を統一感のあるものとし、それらを可視化できるように、コーポレート及び各事業で実施している環境管理活動を整理した「コーポレート環境管理計画」を策定し、全社的な環境管理を推進しています。「コーポレート環境管理計画」では、「環境安全方針」の宣言、及び当社

の環境に関する重要課題である「気候変動対応❿」「生物多様性の保全」「水資源の管理」に対処するために、5つのコーポレート環境目標を設定し、これらの環境目標の達成に向け、取り組んでいます。

コーポレート環境管理計画

❿ 気候変動対応

環境管理ワーキンググループ及びHSEフォーラム(環境セッション)

当社の国内及び海外プロジェクトの環境マネージャー及び環境実務担当者で構成される「環境管理ワーキンググループ」の会議を2019年4月、7月及び12月に開催、また2019年9月にはHSEフォーラムの一環として環境セッションを開催しました。2019年度の環境管理ワーキンググループでは、主に以下の事項について議論しました。

◦コーポレート環境目標及び環境KPIの設定検討◦2020年度コーポレート環境管理計画の策定◦各事業場の生物多様性保全取組の現状把握◦各事業場の水利用状況の現状把握

HSEフォーラムの環境セッションは、本社において一堂に会して開催し、環境KPI設定の最終的な討議の機会とするとともに、国内プロジェクトの操業や環境管理の取組を海外プロジェクトの環境マネージャーと共有する機会を設けました。今後もこれらの機会を通じて、国内・海外における環境管理の良い取組の共有、並びに環境に関する課題を多面的に議論する機会を持ち、全社的な環境管理の推進に努めます。

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

基本的な考え方

環境管理の取組

環境汚染の防止

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

生物多様性の保全

水資源の有効利用

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(健康・安全・環境)

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Sustainability Report 2020 40

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当社では、現地国の環境に関する法規制を遵守することはもちろんのこと、各事業の環境側面から想定される環境リスクを特定・評価し、自主的な環境対策を講じ、対策の効果を監視・測定しています。このような事業ごとの環境管理の取組を実施することにより、環境汚染の防止に努めています。

環境汚染の防止

当社は、操業している各国の法令に基づいて事業活動を推進しています。国内外で事業を行う際は、当社の「HSE法的要求事項等管理要領」に基づき、当社事業が遵守しなければならない法的要求事項を一覧表に取りまとめ、遵守義務を明確化しています。国内プロジェクトでは、事業場ごとに法的要求事項の一覧表を作成し、毎年定期的に法令の新規施行や改廃等を反映し、法的要求事項の遵守状況の確認を実施しています。また2019年度には、HSE法的要求事項等管理に関する会合を事業場の担当者とも複数回にわたり開催し、HSE法的要求事項への取組の現状把握と今後の対応について議論しました。

加えて2019年度には、常に最新の法規制情報を確認・提供し、HSE法規制コンプライアンスの包括的なサポートを行うEnhesa社とコーポレートにおいて契約し、事業場の法規制の遵守状況の管理に利用しています。今後は、各事業場で管理している法規制の遵守状況をコーポレートとして監督していく仕組みの構築を進めていきます。なお、2019年度も環境法令違反は生じていません。

生産操業で発生する随伴水は、地下に還元圧入、又は事業場において排水処理を行った後に排水基準を遵守していることを確認した後、河川・海等の公共用水域に放流しています。放流に当たっては、現地国の排水基準を遵守し、基準がない場合にはIFC EHSガイドライン⓬の基準を適用しています。2019年度は総随伴水量約79万立方メートルのうち、42% を還元圧入し、残りを河川・海へ放流しました。

イクシス LNG プロジェクトの海上生産施設では冷却水として、直江津LNG基地では気化器における熱交換のために、海水を利用しています。これらの海水は、取水温と排水温の温度差や残留塩素濃度等に関する操業国の法令やIFC EHSガイドラインの基準を満たした上で、海域に排水しています。

当社では、大気汚染物質のうち、NOx、SOx、VOC(揮発性有機化合物)について国内外の各事業における大気への排出量を把握、管理し、これらの物質による大気汚染を低減させるべく、操業国の法令遵守はもちろんのこと、国際的な規制動向も注視しながら事業活動を推進しています。

国内プロジェクトでは、操業処理プロセス、燃料の燃焼設備、天然ガスの放散、原油貯蔵タンク、タンクローリー車及びタンカーによる出荷作業など発生源を特定し、排出量を把握して管理しています。ベンゼンなど化学物質についてはPRTR法⓫に従って排出量を国へ届け出ています。またベンゼンについては、事業場の敷地境界においてモニタリングを実施し、周辺環境に影響のないことを確認しています。

2019年度の当社全体のVOC排出量は8,260トンであり、前年度の排出量から約30%減少しました。減少の要因は、イクシスLNGプロジェクトの操業の進捗によりVOC成分を多く含むベント及びフレア放散が減少したことによるものです。また、2019年度のNOx排出量は3,571トンであり、前年度に比べて約12%減少しました。SOx排出量は422トンとなり、前年度から約40倍の増加となりました。増加の要因は、2019年度よりイクシスLNGプロジェクトの酸性ガス除去装置から排出される処理ガスの成分の分析データに基づいて排出量を算定し始めたことによるものです。

なお、2019年度より当社の会計年度の区切りを12月としました。前年度に報告したデータは2018年4月~2019年3月の集計としていたため、これと1年間のデータとして比較できるよう、2019年度のデータは2019年1月~12月の集計としています。

環境法令の遵守

排水の管理

大気汚染の防止⓫ PRTR法化学物質排出把握管理促進法

(Pollutant Release and Transfer Register Law)

⓬ IFC EHSガイドライン国際金融公社(IFC: International Finance Corporation)から発行された、Environmental, Health, and Safety

(EHS)に関するガイドライン

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

基本的な考え方

環境管理の取組

環境汚染の防止

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

生物多様性の保全

水資源の有効利用

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廃棄物の管理に当たり、発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)、再資源化(リサイクル)という3R を徹底することにより、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできるだけ低減させるよう努めています。当社の事業活動に伴って廃棄物が生じ、自社での再利用が難しい場合は、産業廃棄物処理の専門業者に委託し、適正に処理しています。海外プロジェクトでは、着工前に法的要求事項、リスク管理、監査の実施などを取り入れた廃棄物管理計画を作成した上で、廃棄物管理を行っています。国内プロジェクトでは、委託した廃棄物が適切に処理されていることを確認するため、年1回、委託業者施設の実地訪問を行い、廃棄物処理状況を定期的にモニタリングしています。

2019年度は、当社全体で約3,000トンの廃棄物が発生したものの、このうち約1,300トンがリサイクルされたことから、最終的な処分量は約1,700トンとなっています。

2019年度は、本社赤坂事務所においても事務所から発生する廃棄物量を紙、廃プラスチックなど項目ごとに把握して事務所で働く全従業員に共有し、これらの廃棄物の削減及び廃棄物に関する啓発活動を進めるため、本社組織などから推薦された約20名の担当者からなる連絡体制を構築し、「赤坂ECO Office」活動を開始しました。

新規開発となる海外プロジェクトでは、環境脆弱域(マングローブ、珊瑚礁、湿地等)や絶滅危惧種の重要な生息地への負の影響、外来生物種の侵入による生物多様性への負の影響等のリスクがあります。当社では、環境・社会影響評価において、ミティゲーション・ヒエラルキー⓮に基づき、負の影響の回避・低減・復元・代償策を策定し、実行しています。

イクシスLNGプロジェクトが立地するダーウィン湾の沿岸部には、マングローブ林が形成されており、魚類の繁殖エリアやウミガメの採餌エリアとなっています。イクシスLNGプロジェクトでは、この豊かな生物多様性を保全するため、ダーウィン湾における排水水質、海水水質、マングローブの生育状況、自然植生等の包括的なモニタリングを操業開始後も実施しています。また、北部準州によるジュゴンの生息調査に資金援助するなど、周辺の生物多様性保全にも貢献しています。

外来生物は、世界各地から来航するLNG船に付着、あるいはバラスト水を経由することにより、ダーウィン湾内に導入され、陸上ガス処理プラント周辺の海洋環境や生態系に悪影響を及ぼす恐れがあります。そこでプラントのHSE環境チームは、船舶が着桟する桟橋において外来生物のモニタリングを毎月実施しています。2019年12月末時点で、外来種が桟橋付近に持ち込まれたという報告はありません。当社の事業による生態系や生物多様性への影響の度合いは、事業のフェーズ、

規模、及び立地環境により異なることから、求められる生物多様性保全も異なります。当社は、事業における生物多様性の「リスク」と「機会」を特定し、生物多様性保全に取り組んでいます。

2019年度には、当社が操業する国内外の各事業で取り組んでいる生物多様性保全に関する主な活動及び今後の展望などについて取りまとめた報告書を作成し社内に共有しました。現在は社外への公開を行う準備をすすめています。

また当社は、IPIECAとIOGPの協働イニシアティブである生物多様性及び生態系サービス⓭ワーキンググループに2014年度から参加しており、生物多様性及び生態系サービスに関する業界の取組やグッドプラクティスを把握するよう努めています。

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

生物多様性の保全

⓭ 生態系サービス人類が生態系から得られる恵みのこと。例えば、淡水、木材、気候の調整、自然災害からの防護、土壌侵食の抑制、レクリエーションの場等が含まれる

⓮ ミティゲーション・ヒエラルキー開発によって生じる生態系への影響を回避、最小化した上で、それでも残る影響を補償するために代替措置を講じるという優先順位

海外における生物多様性保全の取組

外 来 種 観 察 用キット(左:海 中 に吊り下げたもの、右:引き揚げたもの)

このほかにアバディLNGプロジェクトでは、現地法制度及びIFC パフォーマンススタンダードに準じ、生物多様性や生態系サービスを含む環境・社会影響評価を実施しています。

イクシス陸上ガス処理プラント桟橋付近の外来生物のモニタリング

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

基本的な考え方

環境管理の取組

環境汚染の防止

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

生物多様性の保全

水資源の有効利用

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長年にわたり操業している国内プロジェクトでは、事業活動における取組のほか、プロジェクト周辺の生物多様性保全に資する活動に積極的に関与しています。

直江津LNG基地では、事業活動における生物多様性保全の取組として、以下を実施しています。

◦海水の取放水温度の常時監視◦冷排水の水質の常時監視◦直江津LNG基地海洋調査

直江津LNG基地の供用開始後の冷排水放水に係る環境への影響に関しては、計画時に検討した予測の不確実性が大きいことから、事後調査が実施されました。海洋調査では海域環境の状況を把握するため、海水

(水質、水温)及び海生生物(底生生物、プランクトン、魚卵・稚仔、潮間帯生物等)のモニタリングを四季(春・夏・秋・冬)に1回の頻度で実施しました。供用開始1年後(2015~2016年度)に実施した調査と併せて、2018~2019年度に実施した再調査の結果は供用開始前(2012~2013年度)に実施した調査結果と大きな変化がないことを確認しました。

長岡鉱場越路原プラントに隣接する新潟県長岡市不動沢では、2010年から新潟県の「森づくりサポートプロジェクト」の一環として、「キツネ平どんぐりの森プロジェクト」を展開しており、年に2回、地域の住民の方々と一緒に森林整備及び植林活動に取り組んでいます。2019年度においては、冬季前にどんぐりの森の生態系の状態を把握するために簡易調査を実施しました。本調査の結果、敷地内で哺乳類が数種類観察され、また上空を含めた敷地周辺において鳥類も複数種類観察されたことから、どんぐりの森の生態系に改善があったことが確認できました。2020年度は、生態系調査の期間を延長して季節ごとの生態系及び種の変化を調査し、今後の取組を推進するための情報として活用します。

国内事業場周辺では、セイタカアワダチソウを代表とする外来植物種が多く存在しています。コーポレートでは、生物多様性保全の取組の一環として、侵略性の高い外来生物に指定されている植物に焦点をあて、外来生物の概要、その駆除方法を記載したポスター及び冊子を作成し、国内の各事業場に配布しました。

また国内では、従業員の生物多様性に関する認識向上のために、以下の取組を実施しました。

◦外部有識者による生物多様性に関する講義の開催◦「環境かわら版」による生物多様性に関する啓発活動

このほかに国内では、周辺の生物多様性保全に資する活動に積極的に関与しています。主な取組として、長岡鉱場近傍の「キツネ平どんぐりの森」で春と秋の年2回、長岡鉱場が主体となって植樹活動を実施するとともに、地元の子どもたちを対象とした自然観察会を開催しています。また、新潟県の柏崎では、里山環境づくりネットワークを通じて、2005年度から柏崎夢の森公園における里山環境整備事業に賛同し、森づくり活動及び希少植物保護活動に参加しています。さらに、直江津LNG基地では、上越市漁業協同組合主催の「桑取川魚の森づくり活動」に参加しています。国内では、これら以外の事業場においても引き続き保全活動に積極的に関与していきます。

国内における生物多様性保全の取組

キツネ平どんぐりの森プロジェクト活動の様子(左)、集合写真(右)

「キツネ平どんぐりの森」生態系簡易調査

国内における外来植物種への対応に係る啓発活動HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

基本的な考え方

環境管理の取組

環境汚染の防止

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

生物多様性の保全

水資源の有効利用

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水管理は当社における重要課題であるとの認識の下、プロジェクトによる水資源への影響を低減する取組を実施しています。また当社は、2015年度からIPIECAの水管理に関するワーキンググループに参加し、水管理に関する国際的な動向や石油・天然ガス業界におけるグッドプラクティスを把握するよう努めています。

当社の操業地域が、水ストレス⓱の高い地域に含まれていないかを確認しています。具体的には、WRI⓲が開発した水リスクのマッピングツールである「AQUEDUCT」を用いて、当社のオペレータープロジェクトが立地する地域の水リスクを確認しています。2019年12月末時点で、水ストレスの高い地域での操業はありません。

コーポレート環境目標の一つである「水資源の有効利用」に基づき、国内外の事業において水の効率的な利用に努めています。国内プロジェクトでは、主に機器の冷却用として上水、工業用水及び地下水を使用しています。また当社の発電事業や冬季の消雪散水用などにも地下水を使用します。冷却水は循環方式を採用し、また消雪散水設備にはセンサーによる自動発停装置を導入するなど、水使用量の削減に努めています。海外プロジェクトでは、2018年度から操業を開始したイクシスLNGプロジェクトにおいて、2019年度よりLNG基地内の施設における水使用量の実態調査を開始しました。基地での水使用量を削減するためプロセスからの処理排水、発電施設からの廃水蒸気水等の再利用の可否について費用対効果を勘案した検討を進めています。

2015年度から2017年度にかけて、JOGMEC⓳の支援の下、千代田化工建設、メタウォーターと共同で、「セラミック膜による随伴水処理技術の小規模実証試験」を秋田鉱場の外旭川プラントにおいて実施しました。このセラミック膜を用いた随伴水処理技術を確立させることにより、原油生産時の排水放流による環境負荷をより一層低減できることが期待されます。2018年度からはJOGMECと共同で事後調査研究を開始し、本技術の商業利用に向けた試験運転を実施しています。2020年3月末までに累計運転時間10,000時間を達成するとともに、随伴水処理設備の建設並びに運転全期間を通し、約4年半無事故無災害を継続しています。

新規プロジェクトの初期段階における検討に資するプロジェクトサイト周辺の保護区に関する情報の提供、並びに既存プロジェクトにおける生物多様性保全の取組検討に資する情報の提供を目的に、UNEP⓯とIUCN⓰が連携して作成している「保護地域に関する世界データベース

(WDPA)」による保護区情報やIUCNレッドリストカテゴリー及びその他のカテゴリーに該当する動物種・植物種の数等の情報を、当社のオペレータープロジェクトごとに地図上に整理しました。今後は定期的に情報を更新していきます。なお、2019年12月末時点で、上記保護区内での操業はありません。

⓯ United Nations Environment ProgrammeUNEP(国連環境計画)は、1972年に設立された環境分野における国連の主要な機関

⓰ International Union for Conservation of NatureIUCN(国際自然保護連合)は、1948年に世界的な協力関係の下設立された、国家、政府機関、非政府機関で構成される国際的な自然保護ネットワーク

⓱ 水ストレス水需給に関する逼迫の程度を評価する指標であり、人口1人当たりの利用可能水資源量

⓲ 世界資源研究所(World Resources Institute)

⓳ 独立行政法人石油天然ガス・ 金属鉱物資源機構

(Japan Oil, Gas and Metals National Corporation)

水ストレスの高い地域の特定

水の効率的な利用プロジェクトサイト周辺の保護区情報の共有

水処理技術の検討

水資源の有効利用

HSE (健康・安全・環境)

基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

HSEマネジメントシステム ・・・・・・・・・・・ 31

安全及び健康管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

重大災害防止への取組・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

セキュリティ・危機管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38

環境負荷の軽減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

基本的な考え方

環境管理の取組

環境汚染の防止

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

生物多様性の保全

水資源の有効利用

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