kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。...

8
26 1.全国の花き産業の現状 (1)花き産業の動向 全国の花き産業は、業務用需要が大きく伸 び、切花類の産出額は作付面積とともに右上が りに推移した。その後、バブル期の終焉ととも にH10年ごろをピークに産出額は下降傾向が続 いている。切花の国内生産が減少する一方で、 輸入は大きく伸びており、国内の切花消費に対 して安定的な供給を担うようになっている。輸 出は伸びているものの、輸入の数量、金額に比 べると伸びは弱い。 切花の消費減少は業務(景気後退による企業 交際費の縮小等)、稽古需要の減少が大きく影 響している。 (2)切花類の輸出入の推移 輸出入では、輸入額が輸出額を大きく上回っ ている。 和歌山県中紀地域における 花き産業の現状と課題 成果報告 (一財)和歌山社会経済研究所 主任研究員 藤 代 正 樹 2 資料:農林水産省「生産農業所得統計」他 切花類の産出額、作付面積の推移 資料:総務省「事業所・企業統計調査」、「経済センサス基礎調査」 生花・茶道教室の推移

Transcript of kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。...

Page 1: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

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1.全国の花き産業の現状(1)花き産業の動向

全国の花き産業は、業務用需要が大きく伸び、切花類の産出額は作付面積とともに右上がりに推移した。その後、バブル期の終焉とともにH10年ごろをピークに産出額は下降傾向が続いている。切花の国内生産が減少する一方で、輸入は大きく伸びており、国内の切花消費に対して安定的な供給を担うようになっている。輸出は伸びているものの、輸入の数量、金額に比べると伸びは弱い。

切花の消費減少は業務(景気後退による企業交際費の縮小等)、稽古需要の減少が大きく影響している。

(2)切花類の輸出入の推移輸出入では、輸入額が輸出額を大きく上回っ

ている。

和歌山県中紀地域における花き産業の現状と課題

研究成果報告

(一財)和歌山社会経済研究所 主任研究員

藤 代 正 樹

2

1

平成 24 年度 政策研究 和歌山県中紀地域における花き産業の現状と課題 1.全国の花き産業の現状 (1)花き産業の動向 全国の花き産業は、業務用需要が大きく伸び、切花類の産出額は作付面積とともに右上

がりに推移した。その後、バブル期の終焉とともに H10 年ごろをピークに産出額は下

降傾向が続いている。切花の国内生産が減少する一方で、輸入は大きく伸びており、国

内の切花消費に対して安定的な供給を担うようになっている。輸出は伸びているものの、

輸入の数量、金額に比べると伸びは弱い。

切花類の産出額、作付面積の推移

資料:農林水産省「生産農業所得統計」他

切花の消費減少は業務(景気後退による企業交際費の縮小等)、稽古需要の減少が大き

く影響している。

生花・茶道教室の推移

切花類の産出額、作付面積の推移

2

資料:総務省「事業所・企業統計調査」、「経済センサス基礎調査」

(2)切花類の輸出入の推移 輸出入では、輸入額が輸出額を大きく上回っている。 ①輸入

切花輸入は金額、数量とも増加傾向が続いている。主な輸入国相手はマレーシア、中国、

コロンビアでこの 3 か国で輸入シェアの 54%(2010 年、金額)を占めている。主品目

はキク、ラン、カーネーション、バラが輸入シェアの 71%(2010 年、金額)を占めて

いる。近年、輸入花が国内需要を支えている。

切花類の輸入金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸入のピークは、金額 30,771 百万円(2010 年)、数量 43,574 千 kg(2010 年)。

生花・茶道教室の推移

3

②輸出

輸出量は金額、数量とも増加しているが、輸入量に比べると圧倒的に少ない。 切花類の輸出金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸出のピークは、金額 90 百万円(2010 年)、数量 47 千 kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011 年)

・金額

輸入 29,410 百万円/輸出 64 百万円=460 倍

金額では、輸入は輸出の 460 倍。

・数量

輸入 43,558 千 kg/輸出 22 千 kg=1,980 倍

数量では、輸入は輸出の 1,980 倍。

③輸出入単価の比較

切花の輸出入の単価を財務省「貿易統計」の数値から単純に算出した。 輸出では、年により切り花の品目の増減があるため単価も変動している。一方、輸入で

は、多様な品目があるものの単価は安定、低価格で推移している。1990 年以降、輸入

単価は低下を続け、1990 年の輸入単価は 1,342 円であったのが、2011 年は 675 円と

1/2 になっている。また、「切花及び花芽」の輸入関税率は無税である。 切花類の輸出入 1kg 当たり単価

Page 2: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

27

①輸入切花輸入は金額、数量とも増加傾向が続

いている。主な輸入国相手はマレーシア、中国、コロンビアでこの3か国で輸入シェアの54%(2010年、金額)を占めている。主品目はキク、ラン、カーネーション、バラが輸入シェアの 71%(2010 年、金額)を占めている。近年、切花の国内需要は輸入花で支えられている。

②輸出切花輸出は金額、数量とも増加している

が、輸入量に比べると圧倒的に少ない。

③輸出入単価の比較切花の輸出入の単価を財務省「貿易統計」

の数値から単純に算出した。輸出では、年により切花品目により増減

があるため単価も変動している。一方、輸入では、多様な品目があるものの単価は安定、低価格で推移している。1990年以降、輸入単価は低下を続け、1990年の輸入単価は1,342円であったのが、2011年は675円と1/2になっている。※「切花及び花芽」の輸入関税率は無税である。 3

②輸出

輸出量は金額、数量とも増加しているが、輸入量に比べると圧倒的に少ない。 切花類の輸出金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸出のピークは、金額 90 百万円(2010 年)、数量 47 千 kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011 年)

・金額

輸入 29,410 百万円/輸出 64 百万円=460 倍

金額では、輸入は輸出の 460 倍。

・数量

輸入 43,558 千 kg/輸出 22 千 kg=1,980 倍

数量では、輸入は輸出の 1,980 倍。

③輸出入単価の比較

切花の輸出入の単価を財務省「貿易統計」の数値から単純に算出した。 輸出では、年により切り花の品目の増減があるため単価も変動している。一方、輸入で

は、多様な品目があるものの単価は安定、低価格で推移している。1990 年以降、輸入

単価は低下を続け、1990 年の輸入単価は 1,342 円であったのが、2011 年は 675 円と

1/2 になっている。また、「切花及び花芽」の輸入関税率は無税である。 切花類の輸出入 1kg 当たり単価

2

資料:総務省「事業所・企業統計調査」、「経済センサス基礎調査」

(2)切花類の輸出入の推移 輸出入では、輸入額が輸出額を大きく上回っている。 ①輸入

切花輸入は金額、数量とも増加傾向が続いている。主な輸入国相手はマレーシア、中国、

コロンビアでこの 3 か国で輸入シェアの 54%(2010 年、金額)を占めている。主品目

はキク、ラン、カーネーション、バラが輸入シェアの 71%(2010 年、金額)を占めて

いる。近年、輸入花が国内需要を支えている。

切花類の輸入金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸入のピークは、金額 30,771 百万円(2010 年)、数量 43,574 千 kg(2010 年)。

切花類の輸入金額、数量

切花類の輸出金額、数量

2

資料:総務省「事業所・企業統計調査」、「経済センサス基礎調査」

(2)切花類の輸出入の推移 輸出入では、輸入額が輸出額を大きく上回っている。 ①輸入

切花輸入は金額、数量とも増加傾向が続いている。主な輸入国相手はマレーシア、中国、

コロンビアでこの 3 か国で輸入シェアの 54%(2010 年、金額)を占めている。主品目

はキク、ラン、カーネーション、バラが輸入シェアの 71%(2010 年、金額)を占めて

いる。近年、輸入花が国内需要を支えている。

切花類の輸入金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸入のピークは、金額 30,771 百万円(2010 年)、数量 43,574 千 kg(2010 年)。

3

②輸出

輸出量は金額、数量とも増加しているが、輸入量に比べると圧倒的に少ない。 切花類の輸出金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸出のピークは、金額 90 百万円(2010 年)、数量 47 千 kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011 年)

・金額

輸入 29,410 百万円/輸出 64 百万円=460 倍

金額では、輸入は輸出の 460 倍。

・数量

輸入 43,558 千 kg/輸出 22 千 kg=1,980 倍

数量では、輸入は輸出の 1,980 倍。

③輸出入単価の比較

切花の輸出入の単価を財務省「貿易統計」の数値から単純に算出した。 輸出では、年により切り花の品目の増減があるため単価も変動している。一方、輸入で

は、多様な品目があるものの単価は安定、低価格で推移している。1990 年以降、輸入

単価は低下を続け、1990 年の輸入単価は 1,342 円であったのが、2011 年は 675 円と

1/2 になっている。また、「切花及び花芽」の輸入関税率は無税である。 切花類の輸出入 1kg 当たり単価

3

②輸出

輸出量は金額、数量とも増加しているが、輸入量に比べると圧倒的に少ない。 切花類の輸出金額、数量

資料:財務省「貿易統計」

※輸出のピークは、金額 90 百万円(2010 年)、数量 47 千 kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011 年)

・金額

輸入 29,410 百万円/輸出 64 百万円=460 倍

金額では、輸入は輸出の 460 倍。

・数量

輸入 43,558 千 kg/輸出 22 千 kg=1,980 倍

数量では、輸入は輸出の 1,980 倍。

③輸出入単価の比較

切花の輸出入の単価を財務省「貿易統計」の数値から単純に算出した。 輸出では、年により切り花の品目の増減があるため単価も変動している。一方、輸入で

は、多様な品目があるものの単価は安定、低価格で推移している。1990 年以降、輸入

単価は低下を続け、1990 年の輸入単価は 1,342 円であったのが、2011 年は 675 円と

1/2 になっている。また、「切花及び花芽」の輸入関税率は無税である。 切花類の輸出入 1kg 当たり単価

4

資料:財務省「貿易統計」より作成

1kg 当たり単価=金額/数量で算出 (3)切花の消費実態 家庭における切花消費を見ると、1 世帯当たりの年間支出金額は若干の減少が見られる

ものの大きく落ち込んでいない。 切花の 1 世帯当たり年間支出金額、購入頻度(全世帯)

資料:総務省「家計調査」

年齢別の切花支出では、年齢が高いほど支出金額は大きい。今後、花の消費拡大を目指

すには、高齢者層の消費を維持するとともに若い消費者層の花への関心を高め消費に結

び付けていくことが重要である。

(円)

切花類の輸出入1kg 当たり単価

Page 3: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

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(3)切花の消費実態家庭における切花消費を見ると、1世帯当た

りの年間支出金額は若干の減少が見られるものの大きく落ち込んでいない。

年齢別の切花支出では、年齢が高いほど支出金額は大きい。今後、花の消費拡大を目指すには、高齢者層の消費を維持するとともに若年層の花への関心を高め消費に結び付けていくことが重要である。

男女別では女性の方が花を買っているが、若年層では男女ともに支出は低くなっている。男女とも若い人、高齢者男性の消費拡大策も重要である。

2.花き卸売市場における和歌山県産の動向近畿最大規模の大阪鶴見花き地方卸売市場に

おける切花の取扱数量は446百万本、取扱金額は230億円(H23年)となっている。

市場では年間を通して安定的に花を生産者から小売り・量販店へ供給していかなければならない。そのために、全国(外国を含めて)から集荷し、季節ごとに様々な品目を集めている。

4

資料:財務省「貿易統計」より作成

1kg 当たり単価=金額/数量で算出 (3)切花の消費実態 家庭における切花消費を見ると、1 世帯当たりの年間支出金額は若干の減少が見られる

ものの大きく落ち込んでいない。 切花の 1 世帯当たり年間支出金額、購入頻度(全世帯)

資料:総務省「家計調査」

年齢別の切花支出では、年齢が高いほど支出金額は大きい。今後、花の消費拡大を目指

すには、高齢者層の消費を維持するとともに若い消費者層の花への関心を高め消費に結

び付けていくことが重要である。

(円)

切花の 1世帯当たり年間支出金額、購入頻度(全世帯)

5

切花の世帯主の年齢別1世帯当たり 1 か月間の支出金額(H24 年、二人以上の世帯)

資料:総務省「家計調査」

男女別では女性の方が花を買っているが、若年層では男女ともに支出は低くなっている。

男女とも若い人、高齢者男性の消費拡大策を考える必要がある。 切花の男女別、年齢別 1 か月当たり支出金額(H21 年)

資料:総務省「全国消費実態調査」

2.花き卸売市場における和歌山県産の動向 近畿最大規模の大阪鶴見花き地方卸売市場における切花の取扱数量は 446 百万本、取

扱金額は 230 億円(H23 年)となっている。 年別取扱高の推移(切花)

(円)

(円)

切花の世帯主の年齢別1世帯当たり1か月間の支出金額(H 24 年、二人以上の世帯)

5

切花の世帯主の年齢別1世帯当たり 1 か月間の支出金額(H24 年、二人以上の世帯)

資料:総務省「家計調査」

男女別では女性の方が花を買っているが、若年層では男女ともに支出は低くなっている。

男女とも若い人、高齢者男性の消費拡大策を考える必要がある。 切花の男女別、年齢別 1 か月当たり支出金額(H21 年)

資料:総務省「全国消費実態調査」

2.花き卸売市場における和歌山県産の動向 近畿最大規模の大阪鶴見花き地方卸売市場における切花の取扱数量は 446 百万本、取

扱金額は 230 億円(H23 年)となっている。 年別取扱高の推移(切花)

(円)

(円)

切花の男女別、年齢別 1か月当たり支出金額(H 21 年)

6

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

市場では年間を通して安定的に花を生産者から小売り・量販店へ供給していかなければ

ならない。そのために、全国(外国を含めて)から集荷し、季節ごとに様々な品目を集

めている。

切花の月別取扱高の推移(H23 年、切花)

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

市場の都道府県別取扱高(金額ベース)では、和歌山県が 3 位で取扱高の 6%(1,443百万円)を占めている。切花類産出額(H22 年)では和歌山県は全国 13 位であるが、

この市場から距離的に近いこともあり、この市場でのシェアは高い。 切花の都道府県別取扱高シェア(H23 年、金額ベース)

年別取扱高の推移(切花)

6

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

市場では年間を通して安定的に花を生産者から小売り・量販店へ供給していかなければ

ならない。そのために、全国(外国を含めて)から集荷し、季節ごとに様々な品目を集

めている。

切花の月別取扱高の推移(H23 年、切花)

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

市場の都道府県別取扱高(金額ベース)では、和歌山県が 3 位で取扱高の 6%(1,443百万円)を占めている。切花類産出額(H22 年)では和歌山県は全国 13 位であるが、

この市場から距離的に近いこともあり、この市場でのシェアは高い。 切花の都道府県別取扱高シェア(H23 年、金額ベース)

切花の月別取扱高の推移(H23 年、切花)

Page 4: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

29

市場の都道府県別取扱高(金額ベース)では、和歌山県が3位で取扱高の6%(1,443百万円)を占めている。切花類産出額(H22年)では和歌山県は全国13位であるが、この市場から距離的に近いこともあり、この市場でのシェアは高い。

和歌山県産の市場動向を見ると、11 〜 5月にかけて取引が増加。6月〜 10月は減少。(北海道のスターチス生産は全国1位。夏場は和歌山県に代わり取引は急増。冬場はほとんどなし)

和歌山県中紀地方の主品目であるスターチスとカスミソウの市場での取引量は、カスミソウの取扱高は月ごとの変動は少ない。スターチスは仏花としての需要が大きく、物日(春秋の彼岸、盆、正月)の取引が多いからである。7 〜 9月は北海道産のスターチスが主となる。

生産者にとって販売単価は重要である。スターチスもカスミソウも数量が少ないときは価格が高く、逆に数量が多くなると価格は低くなる傾向が見られる。その傾向はカスミソウで顕著である。スターチスは需要と供給のバランスに加えて、仏花の需要期である彼岸や盆などの物日効果(3、8、9、12月)が価格に影響している。

7

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

11~5 月にかけて取引が増加。6 月~10 月は減少。(北海道のスターチス生産は全国 1位。夏場は和歌山県に代わり取引は急増。冬場はほとんどなし) 切花の県別、月別取扱高(H23 年、金額ベース)

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

和歌山県中紀地方の主品目であるスターチスとカスミソウの市場での取引量は、カスミ

ソウの取扱高は月ごとの変動は少ない。スターチスは仏花としての需要が大きく、物日

(春秋の彼岸、盆、正月)の取引が多いことが伺われる。7~9 月は北海道産のスター

チスが主となる。 スターチス・カスミソウの月別取扱高の推移

(百万円)

切花の都道府県別取扱高シェア(H23 年、金額ベース)

7

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

11~5 月にかけて取引が増加。6 月~10 月は減少。(北海道のスターチス生産は全国 1位。夏場は和歌山県に代わり取引は急増。冬場はほとんどなし) 切花の県別、月別取扱高(H23 年、金額ベース)

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

和歌山県中紀地方の主品目であるスターチスとカスミソウの市場での取引量は、カスミ

ソウの取扱高は月ごとの変動は少ない。スターチスは仏花としての需要が大きく、物日

(春秋の彼岸、盆、正月)の取引が多いことが伺われる。7~9 月は北海道産のスター

チスが主となる。 スターチス・カスミソウの月別取扱高の推移

(百万円)

切花の県別、月別取扱高(H23 年、金額ベース)

8

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

生産者にとって販売単価は重要である。スターチスもカスミソウも数量が少ないときは

価格が高く、逆に数量が多くなると価格は低くなる傾向が見られる。その傾向はカスミ

ソウで顕著である。スターチスは需要と供給のバランスに加えて、仏花の需要期である

彼岸や盆などの物日効果(3、8、9、12 月)が価格に影響している。

数量と単価(カスミソウ)

数量と単価(スターチス)

(百万円)

スターチス・カスミソウの月別取扱高の推移

8

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

生産者にとって販売単価は重要である。スターチスもカスミソウも数量が少ないときは

価格が高く、逆に数量が多くなると価格は低くなる傾向が見られる。その傾向はカスミ

ソウで顕著である。スターチスは需要と供給のバランスに加えて、仏花の需要期である

彼岸や盆などの物日効果(3、8、9、12 月)が価格に影響している。

数量と単価(カスミソウ)

数量と単価(スターチス)

(百万円)

9

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

(3)市場における和歌山県産花きの特徴 ・ 和歌山のスターチスは、仏花として独り勝ちしている。夏場は北海道のスターチス

に代わるが棲み分けして他に競合する産地がない。 ・ 和歌山のカスミソウは、カジュアルな作りで安い商品になっている。産出額 1 位の

熊本県の大きいサイズのカスミソウとはまったく違う。価格面では熊本県産が上が

り、和歌山県産が下がる。和歌山では規格物のLサイズの収穫が多くできる品種を

栽培している。

3.中紀地域の花き産業の現状と課題 (1)中紀地域の花き産業の動向 和歌山県の農業算出額では、「果実」が 60%を占め、「花き」は 58 億円の 6%となって

いる。 和歌山県の農業産出額(H22 年)

(億円)果実 613野菜 165米 78畜産 62花き 58その他 49

農業算出額計 1,025

生産農業所得 303 資料:農林業センサス

全国の切花類の出荷量と産出額(H22 年)は、愛知県がともに 1 位で熊本県、北海道

数量と単価(カスミソウ)

数量と単価(スターチス)

8

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

生産者にとって販売単価は重要である。スターチスもカスミソウも数量が少ないときは

価格が高く、逆に数量が多くなると価格は低くなる傾向が見られる。その傾向はカスミ

ソウで顕著である。スターチスは需要と供給のバランスに加えて、仏花の需要期である

彼岸や盆などの物日効果(3、8、9、12 月)が価格に影響している。

数量と単価(カスミソウ)

数量と単価(スターチス)

(百万円)

Page 5: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

30

3.中紀地域の花き産業の現状と課題(1)中紀地域の花き産業の動向

和歌山県の農業算出額では、「果実」が 60%を占め、「花き」は 58 億円の 6%となっている。

全国の切花類の出荷量と産出額(H22 年)は、愛知県がともに 1 位で和歌山県は出荷量 162百万本(8 位)、産出額 53 億円(13 位)で近畿では最も大きな産地である。

和歌山県の切花類の産出額は昭和後期から平成にかけて大きく増加し、H7年に138億円に達した。この頃に野菜から花へと転作が進んだ。その後、バブル期の終わりとともに需要減少から生産減少が続き、現在の産出額は正常に戻ったと考えるのが正しいかもしれない。花作りは機械化が難しく手作業が多いため、単に需要が減ったから生産が減ったというだけでなく、山間部を中心として生産者の高齢化と後継者不足とが生産減少に大きく影響している。

地域別では、御坊市の花き産出額は20億円と県全体の35%を占めており、次いで印南町7.8億円

(13%)、紀の川市7.7億円(13%)となっている。このように中紀地域は和歌山県における花きの中心的な産地となっている。

和歌山県の切花類の産出額の推移

9

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

(3)市場における和歌山県産花きの特徴 ・ 和歌山のスターチスは、仏花として独り勝ちしている。夏場は北海道のスターチス

に代わるが棲み分けして他に競合する産地がない。 ・ 和歌山のカスミソウは、カジュアルな作りで安い商品になっている。産出額 1 位の

熊本県の大きいサイズのカスミソウとはまったく違う。価格面では熊本県産が上が

り、和歌山県産が下がる。和歌山では規格物のLサイズの収穫が多くできる品種を

栽培している。

3.中紀地域の花き産業の現状と課題 (1)中紀地域の花き産業の動向 和歌山県の農業算出額では、「果実」が 60%を占め、「花き」は 58 億円の 6%となって

いる。 和歌山県の農業産出額(H22 年)

(億円)果実 613野菜 165米 78畜産 62花き 58その他 49

農業算出額計 1,025

生産農業所得 303 資料:農林業センサス

全国の切花類の出荷量と産出額(H22 年)は、愛知県がともに 1 位で熊本県、北海道

10

(億円)

1  愛知 300

2  千葉 130

3  福岡 129

4  鹿児島 110

5  長野 109

6  静岡 106

7 沖縄 100

8 北海道 96

9  熊本 68

10  埼玉 63

11  高知 63

12  長崎 62

13  和歌山 53

も 10 位内に入っている。和歌山県は出荷量 162 百万本(8 位)、産出額 53 億円(13位)で近畿では最も大きな産地である。

切花類出荷量(H22 年) 切花類産出額(H22 年)

(千本)

1 愛知 648,200

2 沖縄 360,800

3 福岡 249,200

4 鹿児島 236,600

5 千葉 229,400

6 静岡 221,900

7 長野 199,000

8 和歌山 162,600

9 熊本 151,000

10 北海道 146,200 資料:農林水産省「花木等生産状況調査」 和歌山県の切花類の産出額は昭和後期から平成にかけて大きく増加し、H7 年に 138 億

円に達した。この頃に野菜から花へと転作が進んだ。その後、バブル期の終わりととも

に需要減少から生産減少が続き、現在の産出額は正常に戻ったと考えるのが正しいかも

しれない。花作りは機械化が難しく手作業が多いため、単に需要が減ったから生産が減

ったというだけでなく、山間部を中心として生産者の高齢化と後継者不足とが生産減少

に大きく影響している。 和歌山県の切花類の産出額の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

(億円)

9

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

(3)市場における和歌山県産花きの特徴 ・ 和歌山のスターチスは、仏花として独り勝ちしている。夏場は北海道のスターチス

に代わるが棲み分けして他に競合する産地がない。 ・ 和歌山のカスミソウは、カジュアルな作りで安い商品になっている。産出額 1 位の

熊本県の大きいサイズのカスミソウとはまったく違う。価格面では熊本県産が上が

り、和歌山県産が下がる。和歌山では規格物のLサイズの収穫が多くできる品種を

栽培している。

3.中紀地域の花き産業の現状と課題 (1)中紀地域の花き産業の動向 和歌山県の農業算出額では、「果実」が 60%を占め、「花き」は 58 億円の 6%となって

いる。 和歌山県の農業産出額(H22 年)

(億円)果実 613野菜 165米 78畜産 62花き 58その他 49

農業算出額計 1,025

生産農業所得 303 資料:農林業センサス

全国の切花類の出荷量と産出額(H22 年)は、愛知県がともに 1 位で熊本県、北海道

和歌山県の農業産出額(H22 年)

切花類出荷量(H22 年)

切花類産出額(H22 年)

10

(億円)

1  愛知 300

2  千葉 130

3  福岡 129

4  鹿児島 110

5  長野 109

6  静岡 106

7 沖縄 100

8 北海道 96

9  熊本 68

10  埼玉 63

11  高知 63

12  長崎 62

13  和歌山 53

も 10 位内に入っている。和歌山県は出荷量 162 百万本(8 位)、産出額 53 億円(13位)で近畿では最も大きな産地である。

切花類出荷量(H22 年) 切花類産出額(H22 年)

(千本)

1 愛知 648,200

2 沖縄 360,800

3 福岡 249,200

4 鹿児島 236,600

5 千葉 229,400

6 静岡 221,900

7 長野 199,000

8 和歌山 162,600

9 熊本 151,000

10 北海道 146,200 資料:農林水産省「花木等生産状況調査」 和歌山県の切花類の産出額は昭和後期から平成にかけて大きく増加し、H7 年に 138 億

円に達した。この頃に野菜から花へと転作が進んだ。その後、バブル期の終わりととも

に需要減少から生産減少が続き、現在の産出額は正常に戻ったと考えるのが正しいかも

しれない。花作りは機械化が難しく手作業が多いため、単に需要が減ったから生産が減

ったというだけでなく、山間部を中心として生産者の高齢化と後継者不足とが生産減少

に大きく影響している。 和歌山県の切花類の産出額の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

(億円)

10

(億円)

1  愛知 300

2  千葉 130

3  福岡 129

4  鹿児島 110

5  長野 109

6  静岡 106

7 沖縄 100

8 北海道 96

9  熊本 68

10  埼玉 63

11  高知 63

12  長崎 62

13  和歌山 53

も 10 位内に入っている。和歌山県は出荷量 162 百万本(8 位)、産出額 53 億円(13位)で近畿では最も大きな産地である。

切花類出荷量(H22 年) 切花類産出額(H22 年)

(千本)

1 愛知 648,200

2 沖縄 360,800

3 福岡 249,200

4 鹿児島 236,600

5 千葉 229,400

6 静岡 221,900

7 長野 199,000

8 和歌山 162,600

9 熊本 151,000

10 北海道 146,200 資料:農林水産省「花木等生産状況調査」 和歌山県の切花類の産出額は昭和後期から平成にかけて大きく増加し、H7 年に 138 億

円に達した。この頃に野菜から花へと転作が進んだ。その後、バブル期の終わりととも

に需要減少から生産減少が続き、現在の産出額は正常に戻ったと考えるのが正しいかも

しれない。花作りは機械化が難しく手作業が多いため、単に需要が減ったから生産が減

ったというだけでなく、山間部を中心として生産者の高齢化と後継者不足とが生産減少

に大きく影響している。 和歌山県の切花類の産出額の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

(億円)

9

資料:大阪鶴見花き地方卸売市場

(3)市場における和歌山県産花きの特徴 ・ 和歌山のスターチスは、仏花として独り勝ちしている。夏場は北海道のスターチス

に代わるが棲み分けして他に競合する産地がない。 ・ 和歌山のカスミソウは、カジュアルな作りで安い商品になっている。産出額 1 位の

熊本県の大きいサイズのカスミソウとはまったく違う。価格面では熊本県産が上が

り、和歌山県産が下がる。和歌山では規格物のLサイズの収穫が多くできる品種を

栽培している。

3.中紀地域の花き産業の現状と課題 (1)中紀地域の花き産業の動向 和歌山県の農業算出額では、「果実」が 60%を占め、「花き」は 58 億円の 6%となって

いる。 和歌山県の農業産出額(H22 年)

(億円)果実 613野菜 165米 78畜産 62花き 58その他 49

農業算出額計 1,025

生産農業所得 303 資料:農林業センサス

全国の切花類の出荷量と産出額(H22 年)は、愛知県がともに 1 位で熊本県、北海道

10

(億円)

1  愛知 300

2  千葉 130

3  福岡 129

4  鹿児島 110

5  長野 109

6  静岡 106

7 沖縄 100

8 北海道 96

9  熊本 68

10  埼玉 63

11  高知 63

12  長崎 62

13  和歌山 53

も 10 位内に入っている。和歌山県は出荷量 162 百万本(8 位)、産出額 53 億円(13位)で近畿では最も大きな産地である。

切花類出荷量(H22 年) 切花類産出額(H22 年)

(千本)

1 愛知 648,200

2 沖縄 360,800

3 福岡 249,200

4 鹿児島 236,600

5 千葉 229,400

6 静岡 221,900

7 長野 199,000

8 和歌山 162,600

9 熊本 151,000

10 北海道 146,200 資料:農林水産省「花木等生産状況調査」 和歌山県の切花類の産出額は昭和後期から平成にかけて大きく増加し、H7 年に 138 億

円に達した。この頃に野菜から花へと転作が進んだ。その後、バブル期の終わりととも

に需要減少から生産減少が続き、現在の産出額は正常に戻ったと考えるのが正しいかも

しれない。花作りは機械化が難しく手作業が多いため、単に需要が減ったから生産が減

ったというだけでなく、山間部を中心として生産者の高齢化と後継者不足とが生産減少

に大きく影響している。 和歌山県の切花類の産出額の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

(億円)

10

(億円)

1  愛知 300

2  千葉 130

3  福岡 129

4  鹿児島 110

5  長野 109

6  静岡 106

7 沖縄 100

8 北海道 96

9  熊本 68

10  埼玉 63

11  高知 63

12  長崎 62

13  和歌山 53

も 10 位内に入っている。和歌山県は出荷量 162 百万本(8 位)、産出額 53 億円(13位)で近畿では最も大きな産地である。

切花類出荷量(H22 年) 切花類産出額(H22 年)

(千本)

1 愛知 648,200

2 沖縄 360,800

3 福岡 249,200

4 鹿児島 236,600

5 千葉 229,400

6 静岡 221,900

7 長野 199,000

8 和歌山 162,600

9 熊本 151,000

10 北海道 146,200 資料:農林水産省「花木等生産状況調査」 和歌山県の切花類の産出額は昭和後期から平成にかけて大きく増加し、H7 年に 138 億

円に達した。この頃に野菜から花へと転作が進んだ。その後、バブル期の終わりととも

に需要減少から生産減少が続き、現在の産出額は正常に戻ったと考えるのが正しいかも

しれない。花作りは機械化が難しく手作業が多いため、単に需要が減ったから生産が減

ったというだけでなく、山間部を中心として生産者の高齢化と後継者不足とが生産減少

に大きく影響している。 和歌山県の切花類の産出額の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

(億円)

12

老年人口割合 農業 花き・花木 65歳以上

65歳以上割合 就業者数 就業者数 花き・花木

(H23年3月) (人、H22年) うち65歳以上 (人、H22年) うち65歳以上 就業人口率

1 和歌山市 24.9% 4,093 2,389 58.4% 22 5 22.7%

2 海南市 30.0% 2,835 1,466 51.7% 35 11 31.4%

3 橋本市 23.7% 2,102 1,285 61.1% 22 9 40.9%

4 有田市 26.1% 2,027 972 48.0% 10 4 40.0%

5 御坊市 25.8% 1,328 618 46.5% 349 124 35.5%

6 田辺市 27.3% 4,686 2,358 50.3% 112 87 77.7%

7 新宮市 30.5% 167 120 71.9% 1 1 100.0%

8 紀の川市 25.3% 6,086 3,400 55.9% 222 86 38.7%

9 岩出市 16.0% 985 551 55.9% 16 2 12.5%

10 紀美野町 37.1% 864 591 68.4% 4 1 25.0%

11 かつらぎ町 31.6% 2,227 1,256 56.4% 24 14 58.3%

12 九度山町 35.5% 536 294 54.9% 4 2 50.0%

13 高野町 38.3% 83 61 73.5% 5 4 80.0%

14 湯浅町 27.3% 972 347 35.7% 4 2 50.0%

15 広川町 25.4% 928 385 41.5% 63 25 39.7%

16 有田川町 29.0% 4,393 2,265 51.6% 91 34 37.4%

17 美浜町 28.9% 185 108 58.4% 4 2 50.0%

18 日高町 27.1% 741 487 65.7% 4 0 0.0%

19 由良町 29.6% 396 223 56.3% 4 1 25.0%

20 印南町 30.3% 1,557 768 49.3% 162 64 39.5%

21 みなべ町 26.3% 3,198 1,256 39.3% - - -

22 日高川町 30.2% 1,412 818 57.9% 49 32 65.3%

23 白浜町 31.0% 669 452 67.6% 29 12 41.4%

24 上富田町 21.3% 564 308 54.6% 1 1 100.0%

25 すさみ町 40.9% 179 129 72.1% 11 8 72.7%

26 那智勝浦町 33.9% 272 191 70.2% 2 2 100.0%

27 太地町 37.2% 5 4 80.0% - - -

28 古座川町 46.0% 153 109 71.2% 16 12 75.0%

29 北山村 47.2% 4 3 75.0% - - -

30 串本町 36.4% 176 111 63.1% 14 8 57.1%

県計 26.4% 43,823 23,325 53.2% 1,280 553 43.2%

全国計 22.8% 2,605,736 1,605,036 61.6% 63,056 26,918 42.7%

65歳以上農業

就業人口率

資料:農林業センサス、和歌山県市町村ハンドブックより作成

※就業者数は自営農業に主として従事した世帯員数

全国的に農業就業者の高齢化が進む中で、このデータから見られる和歌山県及び御坊市、

印南町の特徴は次のとおりである。 ① 県計の高齢化率(26.4%)は全国計(22.8%)より 3.6 ポイント上回っている。

② 逆に農業就業者の高齢化率(県計 53.2%)は全国計(61.6%)より 8.4 ポイン

ト下回っている。花き・花木就業者の高齢化率は県計と全国計はほとんど差がな

い。

③ 全国、和歌山県全体では、農業就業者の高齢化率は高いが、それに比較すると花

き・花木就業者の高齢化率は低い。

④ しかし、県内の市町村によって就業人口・高齢化率にバラツキが見られる。

就業者数では、花き生産の盛んな御坊市 349 人、印南町 162 人、紀の川市 222 人、

Page 6: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

31

(2)中紀地域の花き就業者の高齢化率次に、県内の農業就業者の高齢化率を市町村

別に表してみた。

11

地域別では、御坊市の花き産出額は 20 億円と県全体の 35%を占めており、次いで印南

町 7.8 億円(13%)、紀の川市 7.7 億円(13%)となっている。このように中紀地域は

和歌山県における花きの中心的な産地となっている。

市町村別花き産出額(H22 年)

(億円)御坊市 20.0印南町 7.8紀の川市 7.7有田川町 4.4田辺市 3.0その他 15.1

和歌山県計 58.0 資料:市町村別統計検討協議会

(2)中紀地域の花き就業者の高齢化率 次に、県内の農業就業者の高齢化率を市町村別に表してみた。 農業就業者数(花き・花木)高齢化率の関連指標

11

地域別では、御坊市の花き産出額は 20 億円と県全体の 35%を占めており、次いで印南

町 7.8 億円(13%)、紀の川市 7.7 億円(13%)となっている。このように中紀地域は

和歌山県における花きの中心的な産地となっている。

市町村別花き産出額(H22 年)

(億円)御坊市 20.0印南町 7.8紀の川市 7.7有田川町 4.4田辺市 3.0その他 15.1

和歌山県計 58.0 資料:市町村別統計検討協議会

(2)中紀地域の花き就業者の高齢化率 次に、県内の農業就業者の高齢化率を市町村別に表してみた。 農業就業者数(花き・花木)高齢化率の関連指標

市町村別花き産出額(H22 年)

12

老年人口割合 農業 花き・花木 65歳以上

65歳以上割合 就業者数 就業者数 花き・花木

(H23年3月) (人、H22年) うち65歳以上 (人、H22年) うち65歳以上 就業人口率

1 和歌山市 24.9% 4,093 2,389 58.4% 22 5 22.7%

2 海南市 30.0% 2,835 1,466 51.7% 35 11 31.4%

3 橋本市 23.7% 2,102 1,285 61.1% 22 9 40.9%

4 有田市 26.1% 2,027 972 48.0% 10 4 40.0%

5 御坊市 25.8% 1,328 618 46.5% 349 124 35.5%

6 田辺市 27.3% 4,686 2,358 50.3% 112 87 77.7%

7 新宮市 30.5% 167 120 71.9% 1 1 100.0%

8 紀の川市 25.3% 6,086 3,400 55.9% 222 86 38.7%

9 岩出市 16.0% 985 551 55.9% 16 2 12.5%

10 紀美野町 37.1% 864 591 68.4% 4 1 25.0%

11 かつらぎ町 31.6% 2,227 1,256 56.4% 24 14 58.3%

12 九度山町 35.5% 536 294 54.9% 4 2 50.0%

13 高野町 38.3% 83 61 73.5% 5 4 80.0%

14 湯浅町 27.3% 972 347 35.7% 4 2 50.0%

15 広川町 25.4% 928 385 41.5% 63 25 39.7%

16 有田川町 29.0% 4,393 2,265 51.6% 91 34 37.4%

17 美浜町 28.9% 185 108 58.4% 4 2 50.0%

18 日高町 27.1% 741 487 65.7% 4 0 0.0%

19 由良町 29.6% 396 223 56.3% 4 1 25.0%

20 印南町 30.3% 1,557 768 49.3% 162 64 39.5%

21 みなべ町 26.3% 3,198 1,256 39.3% - - -

22 日高川町 30.2% 1,412 818 57.9% 49 32 65.3%

23 白浜町 31.0% 669 452 67.6% 29 12 41.4%

24 上富田町 21.3% 564 308 54.6% 1 1 100.0%

25 すさみ町 40.9% 179 129 72.1% 11 8 72.7%

26 那智勝浦町 33.9% 272 191 70.2% 2 2 100.0%

27 太地町 37.2% 5 4 80.0% - - -

28 古座川町 46.0% 153 109 71.2% 16 12 75.0%

29 北山村 47.2% 4 3 75.0% - - -

30 串本町 36.4% 176 111 63.1% 14 8 57.1%

県計 26.4% 43,823 23,325 53.2% 1,280 553 43.2%

全国計 22.8% 2,605,736 1,605,036 61.6% 63,056 26,918 42.7%

65歳以上農業

就業人口率

資料:農林業センサス、和歌山県市町村ハンドブックより作成

※就業者数は自営農業に主として従事した世帯員数

全国的に農業就業者の高齢化が進む中で、このデータから見られる和歌山県及び御坊市、

印南町の特徴は次のとおりである。 ① 県計の高齢化率(26.4%)は全国計(22.8%)より 3.6 ポイント上回っている。

② 逆に農業就業者の高齢化率(県計 53.2%)は全国計(61.6%)より 8.4 ポイン

ト下回っている。花き・花木就業者の高齢化率は県計と全国計はほとんど差がな

い。

③ 全国、和歌山県全体では、農業就業者の高齢化率は高いが、それに比較すると花

き・花木就業者の高齢化率は低い。

④ しかし、県内の市町村によって就業人口・高齢化率にバラツキが見られる。

就業者数では、花き生産の盛んな御坊市 349 人、印南町 162 人、紀の川市 222 人、

農業就業者数(花き・花木)高齢化率の関連指標

Page 7: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

32

全国的に農業就業者の高齢化が進む中で、このデータから見られる和歌山県及び御坊市、印南町の特徴は次のとおりである。① 県計の高齢化率(26.4%)は全国計(22.8%)

より 3.6 ポイント上回っている。② 逆に農業就業者の高齢化率(県計 53.2%)

は全国計(61.6%)より 8.4 ポイント下回っている。花き・花木就業者の高齢化率は県計と全国計はほとんど差がない。

③ 全国、和歌山県全体では、農業就業者の高齢化率は高いが、それに比較すると花き・花木就業者の高齢化率は低い。

④ しかし、県内の市町村によって就業人口・高齢化率にバラツキが見られる。就業者数では、花き生産の盛んな御坊市349 人、印南町 162 人、紀の川市 222 人、田辺市 112 人以外は百人を下回っている。高齢化率では、就業者数 50 人以上の市町に限ると田辺市の 77.7%以外は 30%台と県平均を下回っている。

⑤ 御坊市の農業就業者における花き・花木就業者割合は 26.3%と県平均 2.9%を大きく上回っている。御坊市では農業就業者の1/4 が花栽培を行っている。御坊市・印南町の花き・花木就業者高齢化率は農業就業者高齢化率より 10 ポイントほど低い。

⑥ 御坊市・印南町では、花き生産に従事する農家が多く、また若い人が就業している。

(3)スターチスとカスミソウの生産状況スターチスは安定した仏花需要を背景に順調

に生産拡大が続いている。夏場の北海道産スターチスと夏以外の和歌山産がスターチスの全国供給を支えている。一方、カスミソウの出荷は熊本県が全国 1 位となり、和歌山県のカスミソウは熊本産に比べカジュアルな仕立てとなっており生産減少傾向である。

県全体の切花の作付面積は H7 年頃をピークに減少が続いている。スターチスは H7 年以降も作付面積は減少せず、むしろここ数年増加傾

向が見られる。逆にカスミソウは減少傾向が見られる。

御坊市におけるスターチス・カスミソウの作付面積は県全体の 6 割を超え、印南町と合わせるとこの 2 地域でスターチスとカスミソウの 8 割超が生産されている。出荷量から見ても同様でスターチスとカスミソウの一大産地と言える。他には、ガーベラ、バラ、スイートピーなどが生産されている。

4.地域での花き生産の取り組みと今後の方向性地元では、JA紀州中央(H26 年 4 月合併、

現「JA紀州」)や花き専業農家が協働して、和歌山県の技術支援も得ながら花の生産拡大、販売強化に向けて取り組みを行っている。御坊市の名田周辺は若い後継者が多い。後継者が多く相乗効果(隣の息子さんも後を継いでいるから自分もやる)が生まれている。

13

田辺市 112 人以外は百人を下回っている。高齢化率では、就業者数 50 人以上の

市町に限ると田辺市の 77.7%以外は 30%台と県平均を下回っている。

⑤ 御坊市の農業就業者における花き・花木就業者割合は 26.3%と県平均 2.9%を大

きく上回っている。御坊市では農業就業者の 1/4 が花栽培を行っている。御坊

市・印南町の花き・花木就業者高齢化率は農業就業者高齢化率より 10 ポイント

ほど低い。

⑥ 御坊市・印南町では、花き生産に従事する農家が多く、また若い人が就業してい

る。

(3)スターチスとカスミソウの生産状況 スターチスは安定した仏花需要を背景に順調に生産拡大が続いている。夏場の北海道産

スターチスと夏以外の和歌山産がスターチスの全国供給を支えている。一方、カスミソ

ウの出荷は熊本県が全国 1 位となり、和歌山県のカスミソウは熊本産に比べカジュアル

な仕立てとなっており生産減少傾向である。 県全体の切花の作付面積は H7 年頃をピークに減少が続いている。スターチスは H7 年

以降も作付面積は減少せず、むしろここ数年増加傾向が見られる。逆にカスミソウは減

少傾向が見られる。

切花類の作付面積の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

御坊市におけるスターチス・カスミソウの作付面積は県全体の 6 割を超え、印南町と合

わせるとこの 2 地域でスターチスとカスミソウの 8 割超が生産されている。出荷量から

見ても同様でスターチスとカスミソウの一大産地と言える。他には、ガーベラ、バラ、

スイートピーなどが生産されている。 品目別作付面積(H22 年)

(ha)

切花類の作付面積の推移

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田辺市 112 人以外は百人を下回っている。高齢化率では、就業者数 50 人以上の

市町に限ると田辺市の 77.7%以外は 30%台と県平均を下回っている。

⑤ 御坊市の農業就業者における花き・花木就業者割合は 26.3%と県平均 2.9%を大

きく上回っている。御坊市では農業就業者の 1/4 が花栽培を行っている。御坊

市・印南町の花き・花木就業者高齢化率は農業就業者高齢化率より 10 ポイント

ほど低い。

⑥ 御坊市・印南町では、花き生産に従事する農家が多く、また若い人が就業してい

る。

(3)スターチスとカスミソウの生産状況 スターチスは安定した仏花需要を背景に順調に生産拡大が続いている。夏場の北海道産

スターチスと夏以外の和歌山産がスターチスの全国供給を支えている。一方、カスミソ

ウの出荷は熊本県が全国 1 位となり、和歌山県のカスミソウは熊本産に比べカジュアル

な仕立てとなっており生産減少傾向である。 県全体の切花の作付面積は H7 年頃をピークに減少が続いている。スターチスは H7 年

以降も作付面積は減少せず、むしろここ数年増加傾向が見られる。逆にカスミソウは減

少傾向が見られる。

切花類の作付面積の推移

資料:農林水産省「花木等生産状況調査、花き生産出荷統計、生産農業所得統計」他

御坊市におけるスターチス・カスミソウの作付面積は県全体の 6 割を超え、印南町と合

わせるとこの 2 地域でスターチスとカスミソウの 8 割超が生産されている。出荷量から

見ても同様でスターチスとカスミソウの一大産地と言える。他には、ガーベラ、バラ、

スイートピーなどが生産されている。 品目別作付面積(H22 年)

(ha)

スターチスは次から次へ花芽が出てくる

収穫時期を分けるため、植え付け時期を分散。そのため、カスミソウの生育は様々。

Page 8: kg※輸出のピークは、金額90 百万円(2010 年)、数量47 千kg(2008 年)。 輸出入の単純な比較(2011年) ・金額 輸入29,410百万円/輸出64百万円=460倍

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今後の花き産業振興のために、地域ではPR活動の推進、花の特徴を前面に打ち出す、地産地消の拡大、付加価値を高める取り組み、環境配慮の花き栽培、後継者育成等が考えられる。

また、花き産業全体として、産地が小売り卸・小売業との連携、販路の拡大等に取り組んでいく必要がある。

最後に、「花を飾る意識」「花がいつも身近にある」「花

が必要」という意識が育たない限り、花の価値

は高まらない。地域の JA が保育所や小学校で花の苗植え教室や収穫体験など積極的に「花育」に取り組んでいる。一方、大手生花店チェーンは多様なライフスタイルに合わせた花を提供し、新たな消費者ニーズの発掘に成功している。また、生花店にカフェを併設したり、金融機関ATM コーナーに生花売り場を配置するなど花に接する機会を増やし消費拡大を図る取り組みも見られる。このように、産地と流通業者、小売店が連携し、「花を愛でる習慣作り」を広げていくことが望まれる。

スターチスの低コスト耐久性ハウス収穫可能なスターチス(オリジナル品種)

一部収穫可能なカスミソウ(名田地区) 土は元々田んぼのため粘土質で固め

収穫時期を分けるため、植え付け時期を分散。そのため、カスミソウの生育は様々。

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品目別出荷量(H22 年)

資料:市町村別統計検討協議会

4.地域での花き生産、販売の取り組み 地元では、JA紀州中央(H26 年 4 月合併、現「JA紀州」)や花き専業農家の方々が

協働して、和歌山県の技術支援も得ながら花の生産拡大、販売強化に向けて取り組みを

行っている。御坊市の名田周辺は若い後継者が多い。後継者が多く相乗効果(隣の息子

さんも後を継いでいるから自分もやる)が生まれている。 取り組みとして、①品質向上、②市場を通じて花屋に消費宣伝活動。地元キャラ「きち

ゅうくん」でPR活動。③物日作り…母の日参り(お母さんのお墓参りをしましょう)。

スターチスは仏花需要が多い。「母の日参り」は日本香堂が商標登録しているので協力

しながら墓地に近い花屋などで花と線香をセットにした販売に力を入れている。④カジ

ュアル系の需要拡大(ガーベラ)などである。

JA 紀州中央のキャラ 「きちゅうくん」

(ha)

(ha)

(千本)

(千本)