K449サービス創造論レポート

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コモディティの付加価値再生

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K449 サービス創造論課題レポート

2010/06/21

S0950352 須田泰司

①サービス事業/分野のモデリング表現について

②サービス価値推移の表現方法について

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①サービス事業/分野のモデリング表現について

●本講義で学んだモデリング手法を用いて表現するサービスとして、時刻通知・提供サービス分野を選択した。

A 対象に選択したサービス分野

B 時刻通知・提供サービス分野の特徴と事業の推移●時間の確認は個人が所有する腕時計があるものの、テレビではニュース番組を中心に画面の片隅で何時、何分、(何秒)という情報提供が行われてきている。また、 NTTも電電公社時代の 1957年に開始した時報サービスを継続して提供している。●1971年に世界的にセシウム原子の振動を基にした原子時への切り替えが行われ、時刻の精度が大きく高まった。日本の標準時刻は、現在の独立行政法人情報通信研究機構( NICT)が 2004年からその決定・維持を行っている。●この標準時刻は現在は電波時計や、 NICTが 2006年に開始したインターネット用時刻同期配信によって広く直接的に個人にも PC、携帯電話、電波時計等を経由して提供されるようになったが、それまでは、テレビ局、 NTT( NTTは独自所有の水晶振動時計の微調整で NICTを利用)等の事業者向けに標準時刻情報提供サービスを行ってきたと言える。※NTTトピックス( 1998. 12.15)、 NICT日本標準時プロジェクト資料室を参考に作成http://jjy.nict.go.jp/QandA/reference/chrono_table.html● このように時刻通知・提供サービスは、時刻という数字のみに利用者ニーズがあり、またそこにだけ提供する価値があると考えられてきた究極的なコモディティ財と言える。

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●このように、誰もコモディティであることを当たり前のこととして受け入れてきた、数字の羅列としての時刻表示への、イノベーション的な取り組みに「美人時計」がある。( URL http://www.bijint.com/jp )●株式会社美人時計が提供する美人時計は、時刻(時間、分)を示したボードを持つ女性及び仕草が1分ごとに自動更新されるビジュアル型の時刻表示・通知サービスである。●美人時計は 2009年 1月 1日にサービスを開始し、同年 12月には月間 2.4億円 PVに到達している。●単独でのサービス提供(有料、無料)に加え、事業者とのコラボレーション( NECビッグローブ、アツギ、芸能事務所)による提供も行っている。● これは「バナナがバナナじゃなくなるとき( D.ラサール、T.ブリトン著。小高尚子訳)」に共通する、ありふれた物=コモディティでも一捻りを加えることで利用者価値を高めることが可能であることの優れた事例とみることができる。

C 時刻通知・提供サービス分野における美人時計の位置づけ

D 時刻通知・提供サービス分野のこれから●美人時計は、グラビアと時刻表示のハイブリッドといえるものだが、今後は時刻情報と地域情報、個人情報等との組み合わせによる、I.K.(今だけ、ここだけ)情報サービスが美人時計にとどまらず、様々な事業者によって提供されるようになると予想する。●以上について、講義で用いた図表形式に整理したものを次ページより示す。

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     サービスの事業とサービス価値の推移 (key 要素のみ記述)

時間軸 従来 初期(あれば) 現在 今後(可能なら)背景と事業

サービス価

S0:  19 70 年頃~

正確性(高精度)

S1  2000年頃~

自動調整

S2   200 9年頃~

グラビア

S3   2011 年頃~I.K (今だけココだ

け) 事業環境

関連事業者水晶・原子時計電電公社( NTT)

電波時計( NICT)腕時計メーカー

情報家電ウェブコンテンツプロバイダー

ボーダーレスウェブコンテンツプロバイダー

中核技術原子時計。 TV画面時刻表示。時刻通知。

電波時計。通信、同期。マッシュアップFWC : Fixed-Wireless Convergence)

Web3.0( AR等)、3D、放送・通信メディア融合

サービス事業戦略

ユニバーサルサービス戦略

コモディティ化戦略(腕)時計製品の差別化戦略

コモディティの差別化戦略

超ハイブリッド戦略

サービスの利用の場

パブリックスペース・ TVのある所(お茶の間)・置き時計のある所

プライベートスペース パブリック+プライベートスペース

サービスのニーズ

・正確な時間を知りたい(所有、参照している時計では遅れ/進みが大きい)

・正確な時間を常時持ちたい・腕時計ブランドストーリーへの共感・所有

・(デジタルコンテンツの)時間表示をアレンジして楽しみたい

・時間 × エリア ×利用者限定の“お得な”情報を入手したい

サービス共創の程度 提供 適合 共創 共創+自律

成果

・電電公社時報サービス・ TV 画面での時刻表示

・機械式腕時計の復権・電波時計の普及

・国際標準時刻のインターネット配信・美人時計の登場

・時間(表示)活用型サービスの成長

時間の正確性がコモディティ化時間表示がコモディティ化

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サービスシステムの要素の推移( key 要素のみ記述)

時間軸 従来 初期 ( あれば) 現在今後(可能な

ら)

サービスモデル要素

の推移

S0:   19 70頃~ セシウム原子時計への切替え( 197 1

年)

S1   2000年

頃~

S2   2009年

頃~

S3     2011 年

頃~

サービス提供事業者

(プロバイダ /マネージャ)

NICT (総務省)、NTT

NICT (総務省)コンテンツプロバイダー

コンテンツプロバイダー

サービス提供者(電電公社) NTT 、テレビ・ラジオ局

NICT  時計メーカー

美人時計ウェブが意識されない事業者?

サービスインフラ固定電話回線網、アナログ放送波

ナローバンドインターネット網

ブロードバンドインターネット網

FWC 、通信・放送融合網

コンテンツ・チャネル時刻通知(音声、画面表示)

パソコン、携帯電話※ 手動同期電波時計

パソコン、携帯電話※自動同期

ユビキタス(インターネット接続可能なモニター)

利用の場パブリックスペース

プライベートスペース(腕、手、机、テーブ)ル

パブリック+プライベート

サービス利用者(ユーザ)

集団(家庭、職場、学校)

個人 個人 個人+集団

サービス利用事業者(クライアント)

電電公社( NTT )、TV 局、ラジオ局

TV 局、ラジオ局、 ISP 事業者、携帯電話キャリア

ISP 事業者、携帯電話キャリア

企業、広告代理店、個人

関連製品・ナレッジ みやすい数字表記利用者プロファイル(アナログ)

デジタルアート時間の Infomediary 化 

履歴情報の二次活用(マイニング)

事業の成果・高精度時刻(情報)の提供の実現

・電波時計の普及(腕時計、 PC 、携帯、家電)

・ iPhone アプリ発売・ google ガジェット提供・ ISP (ビッグローブ)等他事業者とのコラボレーション

・時間コンシャスな各種サービス機会の創出

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価値共創のフェイズ

サービス利用の場 個人  家族   集団   組

織   社会 インフラ

V. 自己実現 

IV. 成長・尊厳

III. 帰属・愛情 II. 安全・健康

I 生存・衣食住

サービスニーズレベル

I 軸

II 軸

III 軸S 1

提 供適 合

共 創自 律

S 0

時間軸 従来 初期 :   2000 年 現在 今後サービス価値 S0: 正確性 S1: 自動調整 S 2 : グラビア  S3 :I.K.  サービスの利用の場 パブリックスペース プライベートスペース パブリック+プライベー

トサービス

ニーズレベル正確な時間を知りた

い 正確な時間を持ちたい 時間表示を楽しみたい 時間コンシャスなお得情報を入手したい

共創の程度 提供 適合 共創 共創+自律

時刻通知分野のサービス価値推移の一般化

S3S 2

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     サービス価値の推移

価値共創のフェイズ

サービス利用の場  個人  家族  集団  組織  社会  インフラ  

V. 自己実現 

IV. 成長・尊厳

III. 帰属・愛情

II. 安全・健康

I 生存・衣食住

サービスニーズレベ

I 軸

II 軸

III 軸提 供 適 合 共 創

II 軸I- II 軸平面への写像

III- II 軸平面への写像

自 律

     

  S3                    

S2

S1

S0

S0:  正確性

S1: 自動調整

S2: メディアリッチ

S3 :I.K

時間軸 従来 初期 現在 今後

サービス価値  S0:   正確性    S1:  自動調整   S2: グラビア    S3:  I.K  

サービスの利用の場

パブリックスペース パーソナルスペース パーソナル+パブ

リックスペースサービスの

ニーズ正確な時間を知り

たい 正確な時間を持ちたい 時間表示を楽しみたい お得な情報を入手したい

サービス利用者参加程度 提供 適合 共創 共創+自律

S0

S1

     

  S3                    

S2

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②サービス価値創造推移の表現方法について(授業での手法への意見等)A 三軸表現について●第二軸「サービスニーズ」で使用しているマズローの欲求分類は、わたしもヘルスケアサービスのニーズ分類で使用しているが、成熟した経済社会では各階層のニーズは段階的に移行するものではなく、また、高次に属するニーズであっても対応するサービスではコモディティ化が起こると考えるので、各階層、特に上位階層ニーズ内でのコモディティ化とそれへの対応が、講義で提示されたモデルからは把握が困難と考える。●既に検討されたものと思われるが、総合顧客価値を構成する「製品価値」、「サービス価値」、「顧客価値」をそのまま 3 軸上で表現する方が価値表現モデルと価値推移モデル間で整合が保たれると共に、受け手によりわかりやすい表現形式となるものと考える。●「付加価値を武器に市場シェアを伸ばすと、ライバル企業もすかさず模倣するか、さらに上を行くサービスを打ち出すだろう。このため、どの企業も刻々と新しい差別化要因を設け、いずれは価値の再創造を行わなくてはならなくなる。」( P176 )と「サービスストラテジー」(ジェームズ・トゥボール  2007 ) で指摘しているように、上位ニーズにおいてもコモディティ化は起こると考えられるので、それに対応した価値の再創造の側面を取り込むことが望ましいと考える。

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参考: K448 サービスイノベーション概論の課題で行った、サービス分類の試み サービスにおける経験の占める割合

・デリバリーサービス・移動(公共交通機関・タクシー)・ヘルスケア(急性疾患)・外食( FF、 FR、町の料理店)・レンタルサービス・引越サービス・家事代行サービス

        ・ホテル・旅館・レストラン        ・テーマパーク        ・劇場(演劇・映画・音楽)        ・スポーツクラブ        ・移動(観光バス・ハイヤー)         ・ウォータービジネス         ・理美容・エステ系サービス         ・冠婚葬祭サービス・ヘルスケア(慢性疾患)

・リース・行政サービス・公共サービス(電気・水道・ガス)・警備保障サービス

         ・宗教         ・メンタルカウンセリング         ・教育サービス         ・資産運用サービス         ・保険(生命・損害)         ・老人ホーム

サービスとの接触時間 ・予防型健康管理サービス

・人材派遣サービス

こころの満足・経験身体機能の代替・強化

・ビジネス代行サービス

Convenient Reset

ComfortFeel Gorgeous

単発・短期

反復・長期

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●サービス分類を試みた上図も個々のサービス内で更にサービス価値のポジショニングを通じた差別化が行われると考えられる。●“IBM Heallthcare 2015 : win-win or lose-lose?”( 2006年)もマズローモデルを適用したヘルスケアサービス分類を行っている。

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サービス価値顧客付加価値

製品価値

B 価値共創段階について-1●総合顧客価値を構成する三要素のうち、顧客価値は最も曖昧である一方で、総合顧客価値=顧客受取り価値=顧客認識価値に最も影響力が強い。

● この点は、「サービスストラテジー」(ジェームズ・トゥボール 2007 )において、

「サービスの品質は顧客の胸三寸で決まる。顧客にとっては、自分がどう受け止めたかが、そのサービスの質なのである。」「自分が気づかないもの、理解できないものは、価値がなく、対価を支払う気になれない。価値の大きさは、顧客が認識した便益と払った犠牲(金銭、時間、労力など)との比率に応じて決まる。」( p143 )また、 Vargo が「企業が提案した『価値』を『規定』するのは『顧客』」と指摘している通りである。

● このような点を踏まえると、製品価値、サービス価値及び総合顧客価値は顧客の共創度合によって段階的に表れるというよりは、総合顧客価値に占める比重が異なるとの整理する方がより理解しやすいと考える。

提供   適応   共創   自律 

総合顧客価値

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B 価値共創段階について-2●価値の段階的推移を製品、サービスの普及プロセスの面からみると、各階層間に存在すると考えられる普及の壁/キャズムを乗り越える鍵がサービス価値と考えることができるが、①同一のサービス価値が広く受け入れられるようになるのか、②推移したサービス価値が受け入れられるようになるのか、には議論の余地が大きいいと考えられる。●また、サービス価値の推移は異なるターゲット別のサービス価値提案の手法と捉えることもできよう。この場合は、産総研のサービス工学最適設計ループ-観測・分析・設計・適用-や、「サービスストラテジー」にある価値創造サイクルを利用した新たなサービス価値の創造が効果的と考えられる。

イノベーター

アーリーアダプター

ラガード

アーリーマジョリティ

レイトマジョリティ

Q  サービス価値推移を伴う?

設適

観 分

(新)サービス

価値

サービス A サービス B サービス C

壁/キャズム

壁/キャズム

壁/キャズム

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B 価値共創段階について-3●「サービスストラテジー」で、サービスの品質をめぐるギャップとして、「設計ギャップ」、「提供ギャップ」、「評価ギャップ」の存在を指摘しているように、提供価値と顧客の受け取り価値間のギャップへの対応・コントロール・管理が重要であり、このサービス価値ギャップへの一連の対応プロセスの結果をサービス価値推移として表すことが可能と考える。

価値共振

【前提】

顧客が提供価値コンセプトに共

価値ギャッ

サプライズ

+

-がっかり

真実の瞬間

価値ギャップをベースとしたサービス価値推移の概念モデル

共振増幅コモディ

ティ化

共振低下

新価値開発

提供価値

認識価値

試用 定着 惰性調整・同期

新価値

次の試用へ

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●2007 年発刊の「サービス・ストラテジー」では、「外科手術を海外に移転するなどというのは、およそ荒唐無稽な話だろう。」と記してあるが、メディカルツーリズムと言われる動きと連動して、診断行為と手術行為の分離は、高速移動手段の発達や、 ICT 技術・ロボット技術の発達による、遠隔操作による外科手術という形で外科手術サービスの海外移転も不可能ではなくなってきている。このように、技術、社会経済環境の変化を反映するサービスのダイナミズムをしっかりと認識した上でサービス価値の創造に取り組んでいく姿勢が求められているといえよう。

-以上

B 価値共創段階について-4●最後に、価値共創モデルは、積極的に価値創造プロセスに“全ての”顧客が関与することを前提としているように受け取れる。これは理論経済学が前提とする完全合理性モデルに通底する。このモデルでは、顧客価値はゆらぎ、曖昧性のないものとして的確に説明することが可能となると考えられるが、現実にはトゥボール、 Vargo が指摘するように価値は顧客次第である。

● 確かに新サービスをイノベーター層が受け入れる場合に限ってみれば、彼らは積極的に価値創造プロセスに関与すると考えられるが、サイレントマジョリティと称されるマジョリティグループがイノベーター層と同様の積極性を身につけ、発揮するかには疑問がある。サービス価値推移の面からは、イノベーター層受容後のグループとの価値ギャップの認識・対応に注力することが求められる。