内閣府 総合職採用案内 2020 - Cabinet Office · 総合職採用案内 2020 Cabinet Office,...

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内閣府 総合職採用案内 2020 Cabinet Office, Government of Japan Recruiting Information 全て見せます キャリアパス 人材育成 政策ミッション https://www.cao.go.jp/ 〒100-8914 千代田区永田町1-6-1 <内閣府本府庁舎> 大臣官房(会計課、政府広報室、厚生管理官) 政策統括官(原子力防災担当) 知的財産戦略推進事務局 賞勲局 <中央合同庁舎第8号館> 大臣官房 (総務課、人事課、企画調整課、政策評価広報課、公文書管理課) 政策統括官(経済財政運営担当) 政策統括官(経済社会システム担当) 政策統括官(経済財政分析担当) 政策統括官(科学技術・イノベーション担当) 政策統括官(防災担当) 政策統括官(沖縄政策担当) 政策統括官(共生社会政策担当) 男女共同参画局 沖縄振興局 経済社会総合研究所 北方対策本部 子ども・子育て本部 〒100-8970 千代田区霞が関3-1-1 国際平和協力本部事務局 〒100-0014 千代田区永田町1-11-39 地方創生推進事務局 ■内閣府本府庁舍/中央合同庁舎第8号館 ■中央合同庁舎第4号館 ■永田町合同庁舎 〒107-0051 港区元赤坂2-1-1 ■迎賓館 〒106-8555 港区六本木7-22-34 ■日本学術会議事務局 〒900-0006 那覇市おもろまち2-1-1 那覇第2地方合同庁舎2号館 ■沖縄総合事務局 〒100-0013 千代田区霞が関3-7-1 ■宇宙開発戦略推進事務局 ■総合海洋政策推進事務局 採用サイト 内閣府総合職採用担当窓口 大臣官房人事課企画係 〒100-8914 千代田区永田町1-6-1 内線 31322) 03-5253-2111 https://www8.cao.go.jp/jinji/saiyou.html 内閣総理大臣官邸 内閣総理大臣官邸 特許庁 特許庁 財務省 財務省 経済産業省 別館 経済産業省 別館 日比谷図書文化館 日比谷図書文化館 文部科学省 文部科学省 経済産業省 経済産業省 日比谷公園 日比谷公園 農林水産省 農林水産省 東京地方・ 高等裁判所 東京地方・ 高等裁判所 東京メトロ有楽町線 東京メトロ有楽町線 東京メトロ千代田線 東京メトロ千代田線 東京メトロ銀座線 東京メトロ銀座線 法務省 法務省 外務省 外務省 警視庁 警視庁 中央合同庁舎 第2号館 中央合同庁舎 第2号館 中央合同庁舎 第6号館 中央合同庁舎 第6号館 中央合同庁舎 第5号館 中央合同庁舎 第5号館 国会図書館 国会図書館 国会議事堂 国会議事堂 国会前庭 国会前庭 憲政記念公園 憲政記念公園 参議院 議員会館 参議院 議員会館 衆議院第二 議員会館 衆議院第二 議員会館 案内図 案内図 溜池山王駅 溜池山王駅 虎ノ門駅 虎ノ門駅 内幸町駅 内幸町駅 霞ヶ関駅 霞ヶ関駅 霞ヶ関駅 霞ヶ関駅 桜田門駅 桜田門駅 永田町駅 永田町駅 国会議事堂前駅 国会議事堂前駅 国会議事堂前駅 国会議事堂前駅 衆議院第一 議員会館 衆議院第一 議員会館 憲政記念館 憲政記念館 中央合同庁舎 第3号館 中央合同庁舎 第3号館 東京メトロ丸ノ内線 東京メトロ丸ノ内線 内閣府本府庁舎 中央合同庁舎 第4号館 中央合同庁舎 第8号館 外堀通り 外堀通り

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内閣府総合職採用案内2020Cabinet Office, Government of JapanRecruiting Information

全て見せます

キャリアパス人材育成

政策ミッション

https://www.cao.go.jp/

〒100-8914 千代田区永田町1-6-1

<内閣府本府庁舎> ●大臣官房(会計課、政府広報室、厚生管理官) ●政策統括官(原子力防災担当) ●知的財産戦略推進事務局 ●賞勲局 <中央合同庁舎第8号館> ●大臣官房  (総務課、人事課、企画調整課、政策評価広報課、公文書管理課) ●政策統括官(経済財政運営担当) ●政策統括官(経済社会システム担当) ●政策統括官(経済財政分析担当) ●政策統括官(科学技術・イノベーション担当) ●政策統括官(防災担当) ●政策統括官(沖縄政策担当) ●政策統括官(共生社会政策担当) ●男女共同参画局 ●沖縄振興局 ●経済社会総合研究所 ●北方対策本部 ●子ども・子育て本部

〒100-8970 千代田区霞が関3-1-1

 ●国際平和協力本部事務局

〒100-0014 千代田区永田町1-11-39

 ●地方創生推進事務局

■内閣府本府庁舍/中央合同庁舎第8号館 ■中央合同庁舎第4号館

■永田町合同庁舎

〒107-0051 港区元赤坂2-1-1■迎賓館

〒106-8555 港区六本木7-22-34■日本学術会議事務局

〒900-0006 那覇市おもろまち2-1-1       那覇第2地方合同庁舎2号館

■沖縄総合事務局

〒100-0013 千代田区霞が関3-7-1

■宇宙開発戦略推進事務局■総合海洋政策推進事務局

採用サイト

内閣府総合職採用担当窓口 大臣官房人事課企画係

〒100-8914 千代田区永田町1-6-1 (内線31322)03-5253-2111 https://www8.cao.go.jp/jinji/saiyou.html

内閣総理大臣官邸内閣総理大臣官邸

特許庁特許庁

金融庁金融庁

財務省財務省

経済産業省別館経済産業省別館

日比谷図書文化館日比谷図書文化館

文部科学省文部科学省

経済産業省経済産業省

日比谷公園日比谷公園農林水産省農林水産省

東京地方・高等裁判所東京地方・高等裁判所

東京メトロ有楽町線

東京メトロ有楽町線

東京メトロ千代田線

東京メトロ千代田線

東京メトロ銀座線

東京メトロ銀座線

東京メトロ日比谷線

東京メトロ日比谷線

都営三田線

都営三田線

東京メトロ南北線

東京メトロ南北線

首都高速都心環状線

首都高速都心環状線

法務省法務省

外務省外務省

警視庁警視庁

中央合同庁舎第2号館中央合同庁舎第2号館

中央合同庁舎第6号館中央合同庁舎第6号館

中央合同庁舎第5号館中央合同庁舎第5号館

国会図書館国会図書館

国会議事堂国会議事堂

国会前庭国会前庭

憲政記念公園憲政記念公園参議院議員会館参議院議員会館

衆議院第二議員会館衆議院第二議員会館

案内図案内図

溜池山王駅溜池山王駅

虎ノ門駅虎ノ門駅

内幸町駅内幸町駅

霞ヶ関駅霞ヶ関駅

霞ヶ関駅霞ヶ関駅

桜田門駅桜田門駅永田町駅永田町駅

国会議事堂前駅国会議事堂前駅

国会議事堂前駅国会議事堂前駅衆議院第一議員会館衆議院第一議員会館

憲政記念館憲政記念館

中央合同庁舎第3号館中央合同庁舎第3号館東京メトロ丸ノ内線

東京メトロ丸ノ内線

内閣府本府庁舎

中央合同庁舎第4号館

中央合同庁舎第8号館

六本木通り

六本木通り

外堀通り外堀通り

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 内閣府発足から間もなく20年。内閣を直接支える機関として、その時々の重要な政策課題に真正面から挑み、「骨太の方針」に代表される政府全体の基本方針をとりまとめ、世に問うてきました。内閣府が重要な役割を担っている分野は多岐に渡っています。経済財政政策、共生社会政策、男女共同参画、沖縄・北方対策、科学技術・イノベーション政策、防災などの重要政策の司令塔機能とともに、公文書管理、栄典、政府広報などの国の基盤となる機能も担っています。内閣府はこれらの分野において臨機応変に政策をつくり出せる頭脳集団であり続けることが求められています。

 幅広い業務を行う内閣府の特色の一つとして挙げられるのは、中央省庁、地方公共団体、民間企業などから様々なバックグラウンドを有する方が集っていることです。政策をつくるための新しいアイデア・発想はこうした多様な方々の考え方を突き合わせる中で生まれると考えます。こうしたプロセスに、フレッシュで柔軟な発想ができるみなさんが加わり、ともに切磋琢磨することで、政策にイノベーションが起きることを期待しています。

 最先端の政策立案をリードしていくためには、職員一人ひとりの自己研鑽が重要となります。内閣府では、初任者からシニアに至るまで能力に応じて段階的に学べる人材育成プログラムを整えており、希望する方には海外留学の道も開かれています。さらに専門的な知識を学術レベルへと高めたいという人には経済社会総合研究所の特別研究員として研究活動を続けられるよう支援しています。

 他方、これまでの霞が関流の働き方の見直しを行い、ワークライフバランスの実現に向けた取組も進めています。働く職員一人ひとりの幸せなくしては国民のみなさんの幸福を追求する政策の立案もままなりません。この冊子にはワークライフバランスの実現に向けた取組や育児休業者からのメッセージも紹介されていますので、是非参考にしていただければ幸いです。

 内閣府の発足後、内閣を直接支える機関として重要な役割を果たすため、試行錯誤を重ねてきました。仕事の進め方はかなり定着してきたと考えますが、政策課題は常に変化しています。こうした変化の本質を的確に捉えて柔軟に新しい政策を打ち出していかなければなりません。政策にイノベーションをもたらすことができる人材を必要としています。国家公務員を志すみなさんに、この冊子を通じて内閣府の業務の一端を知っていただき、内閣府の門を叩いていただけることを期待しています。

人事課からのメッセージ

多様な力で政策にイノベーションを

平成3年 採用 経済企画庁長官官房企画課平成12年 金融庁総務企画局信用課保険企画室課長補佐平成14年 財務省主計局主計官補佐(文部科学第5係主査)平成16年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐平成18年 大臣官房総務課総括課長補佐平成19年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(国際経済担当)付企画官平成20年 与謝野国務大臣秘書官事務取扱平成21年 林国務大臣秘書官事務取扱平成21年 行政刷新会議事務局企画官平成22年 玄葉国務大臣室企画官平成23年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付企画官平成24年 岡田国務大臣秘書官事務取扱平成25年 計量分析室参事官平成26年 政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(企画担当)平成27年 大臣官房総務課参事官平成27年 内閣官房一億総活躍推進室参事官平成28年 国土交通省国土政策局離島振興課長平成29年 内閣官房内閣参事官(内閣官房副長官補付)令和元年 大臣官房人事課長

Profile

吉岡 秀弥 Yoshioka Shuya

大臣官房人事課長

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中央省庁概要図

内閣府本府の事務体制

公正取引委員会

国家公安委員会

個人情報保護委員会

カジノ管理委員会

国土交通省

経済産業省

農林水産省

厚生労働省

文部科学省

内 閣

宮 内 庁 復興庁

内閣官房総合戦略機能

内閣府の位置づけと任務 内閣府は、内閣及び内閣総理大臣の主導による国政運営を実現するため、内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化を目指して平成13年(2001年)に設置された内閣総理大臣を長とする内閣の機関です。 行政事務を分担管理している各省より一段高い立場から、国政上の重要な政策について企画立案・総合調整等を行っています。

 内閣府は、右の6つの重要政策課題が示すように、日本の経済、社会のあり方そのものに関わる政策や、内閣総理大臣自らが担当する必要のある事務の遂行を任務としています。

6つの重要政策課題

内閣府のトップマネジメント内閣府のトップマネジメント

内閣総理大臣内閣総理大臣

特命担当大臣特命担当大臣内閣官房長官内閣官房長官

内閣官房副長官内閣官房副長官 副大臣副大臣 大臣政務官大臣政務官

訓令によって定められている組織 重要政策に関する会議番号制度担当室対日直接投資推進室地方分権改革推進室民間資金等活用事業推進室規制改革推進室計量分析室仕事と生活の調和推進室公文書監察室休眠預金等活用担当室地域就職氷河期世代支援加速化事業推進室 等

経済財政諮問会議総合科学技術・イノベーション会議国家戦略特別区域諮問会議中央防災会議男女共同参画会議

審議会等公文書管理委員会障害者政策委員会公益認定等委員会沖縄振興審議会食品安全委員会消費者委員会  等

内閣府審議官

産業振興担当

大臣官房政策統括官(経済財政運営担当)

総括担当

経済対策・金融担当

企画担当

経済見通し担当

産業・雇用担当

予算編成基本方針担当

国際経済担当

地域経済活性化支援機構担当

総務課

人事課

会計課

企画調整課

政策評価広報課

公文書管理課

政府広報室

厚生管理官

総括担当

企画担当

財政運営基本担当

社会システム担当

社会基盤担当

市場システム担当

共助社会づくり推進担当

総括担当

企画担当

地域担当

海外担当

総括担当

国際担当

総合戦略担当

イノベーション創出環境担当

大学改革担当

法制度改革担当

事業推進総括担当

課題実施担当

エビデンス担当

原子力担当

総括担当

災害緊急事態対処担当

地方・訓練担当

調査・企画担当

防災計画担当

普及啓発・連携担当

事業継続担当

避難生活担当

被災者生活再建担当

復旧・復興担当

総括担当

企画・国際担当

地域防災担当

総合調整・訓練担当

総括担当 総括担当 総務課 総務課 総務課 地方創生推進事務局 経済社会総合研究所 沖縄総合事務局

審査官 調査課 振興第一担当

推進課 振興第二担当

振興第三担当 北方対策本部

調査金融担当 子ども・子育て本部

特定事業担当

国際平和協力本部

日本学術会議事務局

迎賓館総合調整担当

青少年企画担当

青少年支援担当

青少年環境整備担当

青年国際交流担当

高齢社会対策担当

障害者施策担当

交通安全対策担当

子どもの貧困対策担当

政策調整担当

企画担当

産業振興担当

知的財産戦略推進事務局

宇宙開発戦略推進事務局

総合海洋政策推進事務局

総括審議官

サイバーセキュリティ・情報化審議官

少子化・青少年対策審議官

公文書監理官

政策立案総括審議官

未来革新研究推進担当

官民研究開発投資拡大プログラム担当

戦略的イノベーション創造プログラム担当

原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当

政策統括官(経済社会システム担当)

政策統括官(経済財政分析担当)

政策統括官(科学技術・イノベーション担当)

政策統括官(防災担当)

政策統括官(原子力防災担当)

政策統括官(沖縄政策担当)

政策統括官(共生社会政策担当)

独立公文書管 理 監 賞勲局 男女共同参画局 沖縄振興局 特別の機関 施設等機関 地方支分部局

内閣府●国政上の重要な課題に関する企画立案・総合調整●内閣総理大臣が直接担当することがふさわしい業務

事務次官

❶ 国家運営の基本に関わる経済財政政策❷ 暮らしと社会(男女共同参画社会・共生社会等)❸ 国民生活の安全・安心の確保(防災対策等)❹ 沖縄に関する取組❺ 科学技術政策・イノベーションの遂行❻ 内閣総理大臣が直轄する行政事務の遂行(政府広報・栄典等)

Organization of C

abinet Office

内閣府の組織概要

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内閣府 総合職採用案内 2020C O N T E N T S

人事課からのメッセージ

内閣府の組織概要

内閣府のロールモデル、目次

幹部職員からのメッセージ

 ①政策統括官(経済財政分析担当) 増島 稔

 ②大臣官房審議官 伊藤 信

職員のキャリアパス

 経済職

 ①係員級 宮城 衛人

 ②係長級 山崎 朋宏

 ③課長補佐級 爲藤 里英子

 ④課長級 田中 茂樹

 法律職

 ⑤係員級 高木 麻衣

 ⑥係長級 村中 礼菜

 ⑦課長補佐級 松川 伸治

 ⑧課長級 南 順子

内閣府における人材育成

内閣府のミッション

 ①経済財政運営担当 武藤 裕雄

 ②経済社会システム担当 小黒 桂

 ③経済財政分析担当 新村 太郎

 ④経済社会総合研究所 堀 展子

 クロストーク①〈秘書官として〉

 ⑤子ども・子育て本部 岸 彩子

 ⑥男女共同参画局 髙橋 朋也

 ⑦共生社会政策担当 須藤 圭亮

 クロストーク②〈EBPMについて〉

 ⑧沖縄政策担当 谷口 雄介

 ⑨科学技術・イノベーション担当 藤原 智史

 ⑩防災担当 和田 真穂

出向について

出向職員からのメッセージ

 ①内閣官房 田原 知世

 ②復興庁 石田 潤一

 ③滋賀県 由布 和嘉子

 ④在中華人民共和国日本国大使館 花垣 貴司

 ⑤ISEAS-Yusof Ishak Institute 梶村 麻衣子

長期在外研究員からのメッセージ

 ①米国 シカゴ大学 坂田 俊

 ②英国 バーミンガム大学 片桐 賢一

ワークライフバランス情報

育児休業者からのメッセージ

2019年度入府者の声

採用関連情報

内閣府のロールモデル● 官邸直結の政策マネジャー・プロジェクトマネジャー

総理のリーダーシップを支える中心的な存在として、官邸や特命担当大臣に直結し、国政上重要な政策の企画立案・総合調整を行う。

● 組織基盤を支えるエキスパート内閣府のみならず、官邸・内閣官房を含め、国会業務や総務・会計部門等の

エキスパートとして、行政運営の基盤を支える。

● 国民目線に立った政府のセンタープレーヤー社会の在り方、国民生活に密接に関わる分野において、国民目線に立って

政府部内を強力に調整し、政策を推進する。

● 政策・制度に立脚し、現場との接点を持つ政策分析専門家経済財政、科学技術分野等、政策・制度の企画立案に貢献する人文・社会・自然科学的知見を実証に基づき提供する。

● 総理直轄分野の政策プロフェッショナル栄典行政、公式制度、公文書管理など国家の基盤に関わることや、

沖縄政策・北方対策など特別の理由に基づき総理が担当することがふさわしい分野におけるプロフェッショナルとして政策を推進する。

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Message from

Executive Staff

幹部職員からの

メッセージMessage from Executive Staff

File-Ⅰ

 内閣府が総理のリーダーシップを支える「知恵の場」としての機能を発揮していくためには、客観的な分析に基づいて政策を企画・立案すること、すなわち“Evidence based policy making”(EBPM)が重要です。こうした政策の分析や企画・立案に携わる専門家は、経済財政の分野では「官庁エコノミスト」と呼ばれています。 例えば、私が統括している経済財政分析部局では、内外経済の現状、見通し、リスクを分析して、月例経済報告をとりまとめ、毎月、総理官邸で、総理をはじめ経済閣僚や与党幹部に説明しています。現在の経済状況を正確に把握することは経済財政政策を企画・立案する前提です。2019年12月、政府は「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」をとりまとめましたが、その背景には、海外発の経済の下方リスクにより一層注意する必要があるという経済の現状認識がありました。 経済財政白書を作成するのも経済財政分析部局の仕事のひとつです。白書では、その時々の重要な政策課題を取り上げ、現状や課題についてデータに基づく多面的な分析行い、政策の企画・立案に資する情報を提供しています。2019年の白書では、人生100年時代を見据えた人づくりや働き方改革、人手不足とワーク・ライフ・バランスの改善の両立、Society5.0に向けた技術革新の促進と成長力の強化といった論点を取り上げました。こうした構造的な課題の分析は、経済財政諮問会議等での議論に活用され、毎年の「経済財政運営の基本方針」(骨太の方針)の策定にも影響を与えています。 客観的な分析に基づいて経済財政政策を企画・立案する官庁エコノミストの役割とその重要性は昔も今も、そして将来も変わることはありません。

 もっとも、経済社会を考える枠組みは時代とともに変化し、分析手法も日進月歩です。 駆け出しのエコノミストだった1980年代後半、私は「世界経済モデル」というマクロ経済モデルを使って、先進国間の政策協調の効果の分析を行っていました。その頃は、日米間の経常収支不均衡の是正が政策課題となっていて、例えば、日本が政府支出を拡大したときに、日本の輸入が増え、アメリカの経常収支赤字がどれくらい減少するかといったマクロ経済変数間の関係を分析することに大きな関心が払われていました。 それから30年余り、現在では、例えば、消費税率引上げ時の家計の行動の変化など、マクロ経済動向の背景にある家計や企業の行動メカニズムに対する関心が高まっています。それに伴って、分析の手法も変化し、集計されたマクロ経済統計だけでなく、その元になる個票データを分析することが多くなっています。 最近では、スーパーのPOSデータを使った直近の消費動向の把握、携帯電話の位置情報を使った働き方の変化の解明など、ビッグデータを使って分析を行う機会が増えています。テキストデータを使った分析も取り入れています。例えば、景気ウォッチャー調査のどのようなコメントが景気認識に対して良い/悪いコメントであるかをAI(人口知能)に学習させ、そのAIに新聞記事を読ませることで、景気の現状を把握できないか試行錯誤を繰り返しています。 データの多様化とそれに対応した分析手法の高度化への対応は、マーケティングや金融などの分野で先行しています。こうした分析を行いそれに基づいて意思決定を行う人はデータサイエンティストと呼ばれ、企業や学会で急速にニーズが高まっています。官庁エコノミストは、データサイエンティストの能力をあわせ持つように進化しています。

変わらない官庁エコノミストの役割

 個票データやビッグデータなどのミクロのデータ分析からは、マクロのデータだけではわからない家計や企業の行動メカニズムを把握することができますが、逆に、ミクロの分析の積み上げだけでは、例えばデフレとかISバランスといったマクロの経済現象を十分に解明することはできません。逆説的ですが、内閣府には、ミクロの分析からマクロ経済的なインプリケーションを導いていくことが求められます。 また、政策の効果や弊害を多面的に分析し、他の政策とのつながりを考慮に入れて、政策体系全体の視点から評価することが重要です。各省庁は所管する個別の政策のプロですが、それぞれが部分的に最適化を考えるだけでは限界があります。例えば、最低賃金の引き上げは、労働者からみれば非正規労働者の賃金を高め所得格差の縮小に寄与する面がありますが、経営者からみれば賃金コストが上昇して経営を圧迫し雇用を維持できなくなるかもしれません。中小企業を中心とする生産性の向上や競争力強化に資する面もあります。日本の未来を構想し、政策間のトレードオフを薄め、むしろ相乗効果を高めるようにコーディネートしていくところに内閣府の役割があります。 そうした政府の施策の総合的な調整が必要とされる分野は広がっています。地方創生、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスの改善、少子化対策、就職氷河期世代対策など、枚挙にいとまがありません。官庁エコノミストのDNAが必要とされているのは、経済財政分野だけではありません。内閣府のすべての行政官が、エビデンスに基づき総合的に政策をデザインすることが求められています。「官庁エコノミスト」の殻に閉じこもっている必要はありません。

 私が尊敬する官庁エコノミストは、第二次世界大戦後まもなく設置された経済安定本部やその後継組織である経済企画庁で活躍し、後に経済企画庁長官をつとめた宮崎勇さんです。宮崎さんは、生活者の視点から経済社会のあるべき姿を構想し、その方向に経済社会を動かすためにどうしたらよいかということを常に考え、そのために行動していました。優れたエコノミストに最も必要な資質は、日本の経済社会をどう変えていきたいのかを考え、そのために行動することだと思います。日本の未来を変える熱意を持つみなさんとともに机を並べる日を楽しみにしています。増島 稔

Masujima Minoru

政策統括官(経済財政分析担当)

昭和61年 採用 経済企画庁経済研究所主任研究官付平成 2年 行政官長期在外研究員(ノースウエスタン大学)平成 4年 経済企画庁調整局経済協力第二課課長補佐平成 6年 経済企画庁調査局海外調査課課長補佐平成 8年 経済企画庁調整局調整課課長補佐平成 9年 経済企画庁調査局内国調査第一課課長補佐平成11年 経済企画庁総合計画局計画課課長補佐平成13年 政策統括官(経済財政-運営担当)付 参事官(国際経済担当)付企画官   同年 政策統括官(経済財政-運営担当)付 参事官(運営総括担当)付企画官平成14年 国民生活局総務課調査室長平成15年 外務省OECD日本政府代表部参事官平成20年 経済社会総合研究所上席主任研究官平成23年 経済社会総合研究所景気統計部長平成24年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)平成26年 大臣官房審議官(経済財政分析担当)平成28年 外務省大臣官房審議官平成30年 政策統括官(経済財政分析担当)

Profile

「官庁エコノミスト」は進化する

エコノミストからデータサイエンティストへ

エコノミストの殻を破る

みなさんとともに

07 08

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Message from

Executive Staff

省庁の垣根を超えた課題に取り組む広い視野とバランス感覚を

幹部職員からの

メッセージMessage from Executive Staff

File-Ⅱ

伊藤 信Ito Makoto

大臣官房審議官(大臣官房及び男女共同参画局担当)

平成 2年 採用 総務庁人事局企画調整課総括係平成 5年 総務庁行政管理局企画調整課企画係長平成 7年 行政官長期在外研究員(ミシガン大学)平成 9年 総務庁恩給局総務課専門官平成10年 総理府大臣官房管理室公益法人企画担当参事官補佐平成12年 総理府大臣官房総務課審査担当課長補佐平成16年 滋賀県総務部次長平成17年 滋賀県琵琶湖環境部次長平成18年 総務省行政評価局総務課企画官平成20年 総務省自治行政局地域自立応援課地域振興室長平成21年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(青少年企画担当)平成23年 内閣官房内閣広報室参事官(官邸報道室長)平成25年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(青年国際交流担当)平成26年 大臣官房人事課参事官平成28年 賞勲局総務課長平成29年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(総括担当)令和元年 大臣官房審議官(大臣官房及び男女共同参画局担当)

Profile

 就職してから30年、内閣府発足後だけみても、文書・法令審査、人事といった官房系統の業務や総理官邸での報道対応、「青年の船」の管理業務、そして現在の男女共同参画など、バラエティーに富んだ業務に携わってきました。もちろん、内閣府でカバーする業務はほかにもたくさんあるのですが、その説明はこのパンフレットに掲載の他の皆さんに譲るとして、本稿では、私の経験を踏まえ、「内閣府で働くこと」(の一面)について具体的なイメージを持っていただけたらと考えています。

 内閣府の大きな役割として、国政上の重要政策について、その方向性を企画立案するとともに関係省庁間で総合調整を図ることがあります。「男女共同参画」も、ほぼすべての省庁の施策と、濃淡はあれ関係しており、それらの施策の実施の際に相互に矛盾が生じることなく、かつ全体としてあるべき方向に進むようにしなければなりません。そこに総合調整の必要性が出てくるのです。 目下、男女共同参画局の最大の課題は、新たな「男女共同参画基本計画」の策定です。これは、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため」の基本的な計画として定めるもので、まさに関連施策の総合調整のための重要なツールです。最初の計画は内閣府発足の直前、平成12年12月に決定されました。その後5年ごとに新たな計画を決定してきており、最初の計画決定から20年後の今年、新たな第5次の計画策定に向け、局を挙げて検討を進めています。 他省庁を含め、新たな政策方針を検討するに当たっては、審議会等を開いて有識者の意見を伺った上で決定するのが常套手段ですが、本計画は、その手続が法律(男女共同参画社会基本法)で定められ、「男女共同参画会議」の意見を聴かなければならないこととされています。男女共同参画会議は「重要政策に関する会議」の一つで、関係閣僚と有識者から構成されており、そう頻繁に開催するわけにはいきませんから、実際には、同会議の下に計画策定のための専門調査会を置き、更にその下に四つのワーキンググループを設けて(前述のとおり関係する行政分野が多岐にわたり、かつそれぞれが多くの論点を抱えているからです。)議論を行っています。そこでは、内閣府を含む関係行政機関から施策の進捗状況をヒアリングしたり、有識者の先生から現状の問題点を指摘していただいたりしつつ、男女共同参画の更なる進展に向けて論点の整理を進めているところです。 ここでの議論を踏まえて、今後の政策の基本的方向性を打ち出し、その後パブリックコメント等を通じ広く国民の皆さんの意見を伺った上で、その方向性の下で各府省の具体的な施策が更に進展していくよう協議していくことになります。計画は、最終的には閣議で決定することとなりますので、関係する施策の一つ一つについて、計画にどう記載するかを制度所管の各府省庁と議論し、確定させていくこととなります。 また、計画は、作って終わりでは推進力になりません。男女共同参画基本計画に関して言えば、平成27年から、毎年6月頃に「女性活躍加速のための重点方針」を策定して、基本計画に定めた具体策や成果目標の実現に向けて重点的に取り組むべき事項を取りまとめています。 少し長くなりましたが、総合調整のひとつのかたちとして紹介させていただきました。

 省庁横断的政策課題に関する「基本法」に基づいて中期的な計画や大綱をつくり、政府の政策展開の基本的な方向性を示すことは、いろいろな課題で行われているもので、その多くは内閣府がその事務局を担っています。その中で、私は、約10年前に共生社会政策担当で青少年育成担当の参事官を務めていたときに「子供・若者育成支援推進大綱」(当時は「子ども・若者ビジョン」と称していました。)の策定に携わりました。検討に当たっては、やはり有識者会議を立ち上げて、そこでいただいた御意見を参考に内容を練っていくのですが、草稿づくりを任された大綱の総論部分について、筆がなかなか進まず、迫りくる締め切りに追われて苦しい思いをしたこと、各論に盛り込もうとした施策の記述内容について関係省庁となかなか決着がつかず、上司に相談してハイレベルの協議に持ち込み最終合意を得たことなど、終わってみれば貴重な経験ですが、行き着くまでには厳しい日々もありました。 ある施策を所管する省庁は、その施策に関する権限と責任をもって任務を遂行しています。内閣府が総合調整権限を持っているだけの理由で、その方針に従ってくれるわけではありません。思えば、冒頭で私の歩んできた道として書いた文書・法令審査や人事といった内部管理事務も、官房の主張だからと言って押し通せるものではありません。相手方と意見が異なることがあればその言い分を聞き、時には自らの提案を修正しつつ説得を試みる、という調整の繰り返しでした。 多くの省庁を相手に総合調整を行うなら尚更の話で、国益を見据えた広い視野やバランス感覚を養い、各省庁の施策や経済社会情勢の現状も理解しつつ、我が国が進むべき道筋を示して説得していくことが必要と考えます。言うは易く行うは難しではないかと言われそうな気もしますが、一人ですべてを背負い込むことはありません。男女共同参画局に限らず、内閣府で総合調整を担う部局では、内閣府採用の職員のほか、関係省庁からの出向者、任期付で任用された職員、地方公共団体、民間企業の出身者等多様なバックグラウンドを持った職員がチームとなって職務を行っています。日ごろの部内での協議の場などで、同僚から新たな問題意識や目が行き届いていなかった点に気づかされることも、ままあります。紆余曲折があったとしても、最終的に相手省庁と納得がいくかたちで折り合えた瞬間には、格別のものがあります。 よりよい世の中を、内閣府から切り拓いていきたいという希望を持った皆さんが志望してくださることを心からお待ちしています。

はじめに

男女共同参画行政における「総合調整」

調整の苦労と醍醐味

09 10

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Career Path

経済職・係員級

宮城 衛人Miyagi Hiroto

計量分析室

平成29年 採用 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付平成30年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(企画担当)付令和元年 計量分析室

Profile

 私が初めに着任したのは、政策立案の基礎となる分析を行う政策統括官(経済財政分析担当)の総括担当(以下「分析・総括担当」)でした。このポストでは、部局内外との連絡・調整業務などの総括業務を担当し、国会業務をはじめとする役所の仕事の基礎を学びました。また、分析・総括担当は、総括業務に加えて、日本経済の分析や景気判断を主な業務として担当しており、「月例経済報告」や「経済財政白書」などの報告書の作成にも携わりました。報告書や各種資料を作成するためには、分析に使用される様々な経済指標に関する知識が必要になります。ここでの業務を通じて統計データの特徴や見方について学べたことは、分析業務の基礎として、その後の業務にも活きていると感じています。

 2年目に着任した分析・企画担当では、政策課題に関する分析として、フリーランス労働者に関する報告書などを作成しました。研究者の方々の協力も得つつ、アンケート調査の設計・実施から結果の実証分析まで、分析全体に関わることができたことは、とても良い経験になりました。この他にも、併任の分析・総括担当の業務としてGDPギャップの推計を担当するなど、自ら分析を行う機会が増えたことで、分析結果について上司や記者の方への説明を求められる機会も増えました。テクニカルな内容を正確かつわかりやすく説明するのは簡単ではありませんが、今後のキャリアにおいても必要となるスキルであるため、引き続き磨いていきたいと考えています。

 現在所属している計量分析室では、経済再生と財政健全化に関する政策検討の基礎データを提供するため、将来の経済・財政の姿を展望する「中長期の経済財政に関する試算」を作成しています。試算の作成にはマクロ計量モデルを用いていますが、日本の経済・財政の姿を適切に試算するためには、経済理論と整合的なモデルをつくるだけでなく、日本固有の財政・社会保障制度をモデルに反映させる必要があります。複雑な制度をモデルに適切に反映させるのは大変な作業ですが、政策立案に資する質の高い分析を行うためには、これまでのポストで学んできた経済指標や計量分析の手法に関する知識だけでなく、制度・政策に関する深い理解も重要であるということを、日々の業務を通じて感じています。

 これまでのポストでは、政策立案の基礎となる分析を行う業務に関わってきましたが、分析に基づいて適切かつ現実的な提案を行い、具体的な政策につなげていくためには、政策形成過程に関する理解も不可欠であると感じています。今後は、政策の総合調整業務などの経験も積み、分析と政策の双方に精通した官庁エコノミストとして、日本経済の課題解決に貢献できるよう励んでいきたいと考えています。 客観的な分析に基づく経済政策の立案を重視する姿勢は、内閣府の特徴の一つであると思います。こうした仕事に興味のある方、面白そうだと感じた方、内閣府を訪ねていただければ幸いです。

4年目

政策につながる経済分析

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(総括担当)付

POST.1係員級

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(企画担当)付

POST.2係員級

計量分析室POST.3係員級

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅰ

 入府して最初に着任したのは、国民経済計算(SNA、いわゆるGDP統計)を推計する部署で、私は雇用者報酬や企業所得等の項目を担当しました。当時は日本のSNAを最新の国際基準に適用させるための対応の真っ只中で、定例の推計作業を行うのに加え、データの入手可能性を踏まえつつ、どのようにすれば国際基準に対応した推計を行うことができるのか、試行錯誤を繰り返しながら検討を行いました。 また、部の窓口担当者として、他省庁・国際機関等からの発注や国会関連業務に対応する役割も担いました。部内外の方にご指導いただいた経験は、貴重な財産となっています。

 規制改革推進室では、企業の生産性向上の観点から、行政手続の簡素化に取り組みました。各企業は、社会保険手続や補助金申請手続など、様々な行政手続を行っていますが、こうした手続が負担であるとの声が、多くの事業者から寄せられていました。そのような中、事業者の行政手続コスト(事業者が行政手続にかける作業時間)を3年間で2割削減する方針が閣議決定され、規制改革推進会議において、各省の取組に関する点検・評価を行うこととされていました。 私は主に各省との連絡調整を担当していました。カウンターパートから多くの情報が集まってくる中、必要な情報を収集しながら全体像を整理し、各省の取りまとめを行った経験は、今後の部署でも活きてくるように思います。

 現在は海外経済の動向を分析する部署に所属しています。私はアメリカ班の班長として、各指標担当者の協力を得ながら、アメリカ経済全体の動向分析を担っています。カバーすべき範囲は幅広く、消費や生産、雇用といったマクロ経済指標から、財政・金融・通商政策に至るまで、あらゆる経済動向を把握することが求められています。入府1年目の国民経済計算部でも分析業務には従事していましたが、担当項目に集中していた当時とは異なり、現在は広くアンテナを張り巡らせることを意識しています。日々、アメリカ経済に関連する様々な出来事が起こり、気の抜けない毎日ですが、その分、やりがいも大きく感じています。

 国家公務員のキャリアパスの特徴の一つとして、異動の多さがしばしば挙げられます。私は入府して7年目になりますが、これまでに4つの部署を経験しています。異動の度に一からの勉強となりますが、いずれの部署においても、その部署でしか得られない経験を積むことができたように思います。 以前に上司が言っていた「ポストが人を育てる」という言葉が、強く心に残っています。部署が変われば、業務内容も求められる役割も変化していきますが、それぞれのポストで与えられた責務を果たそうと努力していくことで、それら一つひとつが自身の糧になっていくのだと感じています。今後も気概を持って精進し続けたいと思います。

一つひとつの経験を自身の糧に

経済社会総合研究所国民経済計算部分配所得課

POST.1係員級

規制改革推進室主査POST.2係長級

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(海外担当)付政策企画専門職

POST.3係長級

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅱ

経済職・係長級

山崎 朋宏Yamazaki Tomohiro

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(海外担当)付政策企画専門職

平成26年 採用 経済社会総合研究所 国民経済計算部分配所得課平成28年 経済社会総合研究所総務部総務課平成30年 規制改革推進室主査令和元年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(海外担当)付政策企画専門職

Profile

7年目

官庁エコノミストとして、日本経済の課題を解決したい与えられた責務をこなしていくことが、自分の糧になる

11 12

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Career Path

経済職・課長補佐級

爲藤 里英子Tamefuji Rieko

経済社会総合研究所総務部総務課課長補佐

平成14年 採用 国民生活局総務課平成15年 国民生活局消費者企画課平成16年 経済社会総合研究所総務部総務課平成18年 行政官長期在外研究員(ジョージタウン大学)平成20年 大臣官房総務課審査第1係長平成21年 消費者庁総務課課長補佐(調整担当)平成23年 消費者庁取引対策課課長補佐(総括担当)平成24年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(国際経済担当)付参事官補佐平成26年 OECDエコノミスト/消費者政策アナリスト平成29年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(海外担当)付参事官補佐令和元年 経済社会総合研究所総務部総務課課長補佐

Profile

 入府2年目に国民生活局(現在の消費者庁)で、公益通報者保護制度の立法に携わりました。これは、企業の違法行為を内部告発した労働者を保護するという、それまでにない全く新しい制度でした。新法の必要性も含め、様々な関係者が多様な意見を持つ中で、どうしたら日本が一歩でも良い方向に前進できる制度ができるのか、国民の立場に立った制度の企画・立案とは何かを考えながら法案の策定に携わった経験は、私にとって大きな財産になりました。

 OECD消費者政策委員会を担当する国際公務員の一人として、オンライン取引における製品安全や行動経済学の消費者政策への活用といったプロジェクトを担当し、加盟国の消費者政策担当者と議論を行いながら、レポートや提言をまとめました。消費者問題は一見ドメスティックな問題とも思えますが、実際には国際社会に目を向けることで、日本ではあま

り意識されていない課題の存在に気付くことができる面もあります。日本とは異なる政策アプローチを学ぶこともでき、国内の課題に対応するための国際的視点の重要性を学んだ3年間でした。

 「月例経済報告」における世界経済の景気判断を担当しました。在職時は、世界経済が米中貿易摩擦や英国のEU離脱といったリスク要因に直面し、日本の経済状況を正確に把握する上で海外経済の分析が特に重要な時期でした。世界でいつ何が起きるか不透明な状況の中、迅速かつ正確な分析を行う上でこれまで培った国際的視野が役立ちました。また、「世界経済の潮流(世界経済報告)」の中で、主要国の民間債務の増加や中国の輸出高度化など、世界経済で注目されるトピックについて掘り下げた分析を行い、自分の分析能力を高めることができたと感じています。

 現在は、内閣府のシンクタンクである経済社会総合研究所で所全体のとりまとめを担う総括補佐をしています。部局間の連絡調整等の総括業務の他、海外の研究機関との連携など、研究をより充実させるための取組も行っています。また、内閣府には研究所職員以外でも、自分で研究を続けている職員が多くいますが、そうした研究をサポートすることで職員の能力発揮に資する制度(特別研究員制度)の設計や運用も担当しています。研究所が内閣府の政策形成に寄与できるよう、内閣府全体を意識した広い視点を持って業務にあたることを心掛けています。

 行政官として政策課題に向き合う際には、自分の専門分野だけではなく、様々な角度から物事を考える広い視野が必要ですが、内閣府で働く中でそうした力も鍛えられてきたと感じています。そして、様々な政策分野を経験する中で、徐々に自分の専門性や強みを見つけ、高めていくことができるのが内閣府ではないかと思っています。今後もこれまでの国際経験も活かし、日本の重要な政策課題を克服するための一助になりたいと考えています。

19年目

国民生活局消費者企画課POST.1係員級

経済協力開発機構(OECD)エコノミスト/消費者政策アナリスト

POST.2課長補佐級

POST.3課長補佐級

POST.4課長補佐級

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(海外担当)付参事官補佐

経済社会総合研究所総務部総務課課長補佐

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅲ

 内閣府は、我が国の経済財政政策の司令塔である経済財政諮問会議の事務局機能を担っています。翌年度の予算編成や改革の基本的な方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針」(「骨太の方針」)、中長期的なマクロ経済政策と財政健全化の取組の指針である「経済財政・再生計画」などは、経済財政諮問会議の議論を経て、閣議決定されています。また、その時々の経済情勢に応じ、経済対策を策定することもあります。 部局全体を総括する補佐として、経済財政諮問会議の運営のほか、様々な政策文書について原案の作成や関係省庁等との調整に当たりました。ハードな業務でしたが、経済政策決定の現場に身を置くという醍醐味が感じられた経験でした。

 内閣府は、我が国の科学技術イノベーション推進の司令塔である総合科学技術・イノベーション会議の事務局機能を担っています。 在籍当時、策定に携わった「第5期科学技術基本計画」(計画期間は2016~2020年度)では、第4次産業革命の時代が到来し、デジタル化が急速に進展する中、Society 5.0というコンセプトを新たに打ち出しました。サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合により、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会を目指すというもので、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな未来社会の姿です。策定作業を通じて、科学技術イノベーションのあり方を俯瞰的に考察する機会に恵まれました。

 規制改革、地方創生、行政改革、国家公務員制度、男女共同参画を担当する内閣府特命担当大臣の秘書官を務めました。担当業務には、公文書管理や情報保全監察、公益法人制度、国家戦略特区、地方分権、PFIも含まれています。 秘書官は、政策現場の最前線に立つ大臣を補佐するため、スタッフ間で密接な情報共有を図りながら、大臣のスケジュール管理、各種会議や出張の随行、国会や記者会見のサポート、各部局との連絡調整などに当たります。緊迫する場面もありますが、組織のトップが重要な政策判断を行う現場に身を置き、サポートする役割を担うことができたのは貴重な経験でした。

 私は現在、国際経済を担当する参事官として、経済協力開発機構(OECD)やアジア太平洋経済協力(APEC)などの国際会議への参加や主要国との二国間経済協議の開催などの業務を担っています。これまでの行政経験を振り返ると、在外公館や他省庁に出向する機会もあり、多様なキャリアパスを歩んできたと思います。また、内閣府には、内閣の重要政策に関する企画立案・総合調整機能を十分に果たせるよう、他省庁や民間企業からも多様な人材が集まっています。 様々な行政課題に対し、こうした業務・人材の多様性を最大限に生かしながら、機動的に対応して成果を挙げていく。これが内閣府職員に求められる役割ではないかと思います。

業務・人材の多様性を

最大限に生かす

政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(総括担当)付参事官補佐

POST.1課長補佐級

POST.3企画官~課長級

POST.2企画官~課長級

政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(総括担当)付企画官

国務大臣秘書官事務取扱

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅳ

経済職・課長級

田中 茂樹Tanaka Shjigeki

政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(国際経済担当)

平成 9年 採用 経済企画庁調査局内国調査第一課平成14年 留学(エセックス大学)平成16年 金融庁総務企画局企画課課長補佐平成18年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(少子・高齢化対策第1担当)付 参事官補佐(少子・高齢化企画第1担当)平成20年 外務省在ロシア日本国大使館一等書記官平成24年 内閣官房日本経済再生総合事務局参事官補佐平成25年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐平成28年 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 参事官(総括担当)付企画官平成29年 梶山国務大臣秘書官事務取扱平成30年 片山国務大臣秘書官事務取扱令和元年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(国際経済担当)

Profile

24年目

多様な業務の中で

自分の専門性を

高めていく

様々な政策分野を経験する中で、自分の専門性を獲得する

多様な人材を最大限に生かすことで、行政課題に成果を挙げる

13 14

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Career Path

法律職・係員級

高木 麻衣Takagi Mai

政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(子どもの貧困対策担当)付主査付

平成30年 採用 男女共同参画局総務課総括係令和元年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(子どもの貧困対策担当)付主査付

Profile

 男女共同参画社会基本法の制定からおよそ20年と女性活躍にも追い風が吹く中、私は内閣府職員としてのスタートを男女共同参画局で切りました。当局は男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、均等に様々な利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することを目的とし、性別にかかわらず誰もが自分らしく輝く社会を目指し、政策の企画・立案を行っています。 業務の中では、内閣府における重要政策会議の1つである男女共同参画会議の運営や女性のチャレンジ賞に係る企画・立案等、多くの方々に支えられつつ、係員としての枠組に捉われることなく、様々な経験をさせていただきました。 多様な価値観が存在する中で、人々の暮らしや社会の変化をくみ取り、これからの社会をよりよく変えるための方針を考え、大きな舵を取る瞬間を日々目の当たりにすることができ、職員としても、また当事者としても、政策を多角的に捉えることができたことは私にとって大きな財産です。

 「子供の貧困」という言葉を知っていますか。我が国においても、経済的な問題に加えて、厳しい環境の中で、居場所がなく孤立していたり、将来への希望を持てない子供たちが現に存在します。すべての子供たちが生まれや環境に関わらず夢に向かって頑張ることのできる社会の構築のために、政策の企画・立案を行っています。 貧困の実態は見えにくく捉えづらいことを指摘されており、国民の皆様に自分事として捉えていただくために、どのように伝えればいいのか。どうすれば、声なき声に興味や関心を持っていただけるのかを常に意識して

業務に当たっています。 特に印象深かった業務は、政府の中長期計画である「子供の貧困対策に関する大綱」の改定に携わったことです。平成25年に策定された前大綱からの施策の進展をさらに強力に進めていくための方向性を決定づける重要な業務です。担当の参事官や参事官補佐とともに、大綱の執筆や、各省調整、官邸会議の運営と、大綱の策定にあたり、多くの作業や調整に苦労しましたが、今後の子供の貧困分野の指針となるものをチームのみんなで創ることができた瞬間の喜びは言葉に代えがたいものがあり、大きなやりがいを感じました。

 内閣府においては、その時々の重要な問題に対して既存の枠組みにとらわれず、分野横断的な方法で柔軟に課題の解決をすることが求められています。そのためには仕事で関わる方々だけでなく、現場など、政策の受け手になる人々を常に想像しながら業務を行うことが大切だと考えています。想像力を養うためには、現場に足を運ぶことはもちろんですが、多彩な背景を持った方々が集まる内閣府で、多様な価値観を重視しつつ日々政策の企画・立案を行い、一歩先の新たな価値を創り上げていくことや、どのような局面においても人とのつながりを大切にしながら業務を行うことが重要で、それが人々の笑顔や夢につながっていくのだと強く感じています。 皆様も、今後もぜひ様々なことにチャレンジし、自分の世界や価値観を広げていただきたいと思います。そのうえで、尊敬できる素敵な人たちと新たな課題に向き合い、乗り越えていく内閣府の仕事に興味を持っていただければ嬉しいです。

3年目

多様な価値観をつなぐために

男女共同参画局総務課総括係POST.1係員級

政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(子どもの貧困対策担当)付主査付

POST.2係員級

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅴ

 1年目の共生社会政策担当・子ども子育て本部総括担当を経て、初めての異動先は、人事課の採用担当でした。主に、本誌のような採用パンフレットの作成や説明会の企画運営をひとりで行うポストです。常に内閣府の魅力の発信について考えた1年でした。 同時に、私自身の知見も広がりました。採用業務では、これまで接点のなかった部局等にも講演や執筆の依頼をします。各講演を通して、内閣府の役割や政策の切り口を多角的に学ぶことができました。何より、様々な専門性や考え方をもった多くの職員の方々との繋がりができたことは、私の財産になっています。

 3年目の夏、復興庁に出向をしました。復興庁は、各省庁からの出向者だけで構成される組織です。東日本大震災からの復興は、与党が前面に立って政策を主導する珍しい分野です。その中で私は、主に与党と各省庁との調整を担いました。  私が復興庁に在籍していたのは、ちょうど発災から8年~9年目にあたる時期です。復興庁は10年の時限的な組織のため、これまで復興に向けて取り組んできた各課題に加え、復興庁の後継組織をどうするのか、各事務をどう引き継いでいくのかという点についても、議論が行われました。主査(係長)として私自身で判断することを求められた場面も多く、より責任が伴うようになりました。 1年3ヶ月という短い間でしたが、組織を閉じるにあたってのあり方を検討するという貴重な経験ができただけでなく、即位の礼の一連の儀式に伴い、被災自治体や人々と関わることもでき、繋がりがさらに広がった出向でした。

 現在は、公文書管理課に所属し、総括担当と制度担当を併任しています。 私が着任したのは2019年11月、公文書管理への関心が高まって、深まる議論に対し、制度所管課として制度上の説明を求められ始めた時期でした。例えば、行政文書の保存期間という論点であれば、どのような資料であればその保存期間を設定できるのか、誰が保存期間を設定するのか、設定できる根拠は何か、などを説明するのが公文書管理課の仕事です。 公文書管理課は、今でこそ注目を集めていますが、私が就活生の時は正直なところ、内閣府の所管として名前を知っている程度でした。国会対応に追われる日々は大変ですが、政府の基本となる機能及び制度を担うという内閣府の役割を所掌する担当として、きっちりと向き合わなければいけない状況であると感じています。

 復興庁時代、宮城県に出張をしました。その時、仙台の市街地から車で30分も行かないうちに工事中の地域が広がっていました。震災から9年、「地震・津波被災地域では、復興は総仕上げの段階」。数字や言葉からではわからない、現実がありました。 自分の目で見て、感じることで、初めて信念が生まれます。各省庁の調整を担う内閣府、そして、判断が求められるようになる係長以上。今後は経験に基づく信念を大切に、そして何より、今までに得た沢山の人との繋がりを大切にこれから過ごしていきたいと思います。 今これを読んで下さっている皆さんと一緒に働ける日を、楽しみに待っています!

経験に基づく信念と、人の繋がりを大切に

大臣官房人事課企画係POST.1係員級

復興庁統括官付参事官(企画班)付主査POST.2係長級

大臣官房公文書管理課 公文書管理専門職併 公文書管理制度整備係長 併 企画・調整係長

POST.3係長級

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅵ

法律職・係長級

村中 礼菜Muranaka Rena

大臣官房公文書管理課公文書管理専門職併 公文書管理制度整備係長

併 企画・調整係長

平成28年 採用 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(総括担当)付 併 子ども・子育て本部 総括係平成29年 大臣官房人事課企画係※平成29年11月~12月の間、子ども・子育て本部子ども・子育て支援新制度担当を併任平成30年 復興庁統括官付参事官(企画班)付主査令和元年 大臣官房公文書管理課公文書管理専門職 併 公文書管理制度整備係長 併 企画・調整係長

Profile

5年目

多様な価値観を重視して、一歩先の新たな価値を創り上げる

目で見て感じることで生まれる信念を大切にする

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Career Path

法律職・課長補佐級

松川 伸治Matsukawa Shinji

大臣官房総務課課長補佐(調整第1担当)

平成15年 採用 男女共同参画局総務課総括係平成16年 大臣官房政策評価官付政策評価係平成17年 大臣官房政策評価広報課政策評価係   同年 北方対策本部調査専門職付平成18年 同 調査専門職平成19年 大臣官房総務課審査第2係長平成21年 内閣官房内閣総務官室国会専門職平成22年 同 国会専門官平成23年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(少子化対策担当)付参事官補佐平成25年 岡山県総社市保健福祉部長平成27年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(子どもの貧困対策担当)付参事官補佐平成29年 内閣官房内閣総務官室参事官補佐(企画担当)令和元年 大臣官房総務課課長補佐(調整第1担当)

Profile

 平成21年夏、衆議院が解散され、次に選挙が行われれば政権交代が起こるだろうという見方が世間に広まっていた頃、官邸と、国会議事堂内で勤務し、総理や官房長官の国会での活動をお支えするという中央省庁の中でもやや特殊な業務を担当することになりました。 異動して約1か月後、実際に政権交代は起こり、上司とともに手探りの中、組閣をはじめ政権交代後の体制づくりや総理演説の準備、国会開会時には総理や官房長官への質問内容の整理等に奔走しました。 政府の中枢で内閣を支える業務であり、自分の仕事で、翌日の国会情勢が左右されかねないことから、緊張する毎日でしたが、生々しい政治の現場に身を置きながら、そのような日々を乗り切ったことは大きな自信になりました。

 子ども・子育て支援新制度を創設するための法案を成立させ、施行に向けて各都道府県への説明を行っていた頃、多くの保育所や幼稚園を見てまわり、文科省、厚労省等とのチームで仕事をする中で、新制度の担い手である自治体での行政経験を積みたいと薄々思っていた矢先、幸運なことに岡山県総社市へ出向する機会を頂きました。 業務は市の保健福祉政策の責任者と重責でしたが、市民のためになることなら何でもやれ、と仰ってくださった市長、市や社会福祉協議会の職員、市民の方々等多くの支えがあり、市で初の認定こども園の設置、「健康寿命をのばそう!アワード」の受賞など、国での経験を活かした自分らしい成果を残すことが出来ました。

 総社市への出向を終え、担当することになったのは、子供の貧困対策。 総社市で、岡山大学と連携した生活保護世帯向けの学習支援を始めた経験等から、希望していた分野でしたが、施行後1年わずかの法律に基づく業務で十分な人員や蓄積がなく、着任後半年で官民協同の基金を創設しなければならない、と新しいことづくめで、当時は途方に暮れるような思いもしました。 それでも、一人でも多くの人に子供の貧困に関心をもってもらいたい、公助・自助だけに頼らない共助の充実を一歩でも進めたいという思いで基金を立ち上げた時には、思い入れのある分野で自ら国の政策を企画・立案する楽しさを改めて実感しました。

 このとおり、振り返れば、官邸から地方まで幅広い活躍の場、創意工夫と経験を活かして新しい挑戦を行うことで成長できる機会をたくさん頂くことができました。内閣府には望めば応えてくれる間口の広さ、懐の深さがあると思います。 内閣府が入府当時には所管していなかった業務に就くことも多かったですし、これから就く業務もまったく予測できません。正直、内閣府は、入府すればこれ出来ます、こうなれます、といった紹介が難しい職場です。内閣府ほど何でもありの役所はなく、入府後のキャリアは完全にオーダーメイドですから…。こうしたところを面白いと思ってくださる方には、ぜひ内閣府を将来の選択肢に検討していただきたいと思います。

新しい挑戦を通じて成長できる面白さ時代に合わせて柔軟に変化する、政策のトップランナー

18年目

間口の広さ、懐の深さ

内閣官房内閣総務官室国会専門職POST.1係長級

岡山県総社市保健福祉部長POST.2

課長補佐級

政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(子どもの貧困対策担当)付参事官補佐

POST.3課長補佐級

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅶ

 係長時代は、とにかく与えられた目の前のミッションをこなすので精いっぱいの日々でした。中でも、海外経済担当(当時の海外調査課)に異動(出向)し、アメリカ、ヨーロッパ経済を担当した際、経済学のバックグラウンドのなかった私にとって、専門性の高い経済分析の仕事はハードルの高いものでした。当時の上司の温かく辛抱強い(笑)指導のおかげで辛うじて乗り切ることができましたが、後で振り返ると、この時の経験、特に月例経済報告や海外経済白書(当時)の作成作業を通じて得られたデータ分析の知見は、その後の留学やキャリアに大きく役立ちました。 プライベートでも、結婚したり、父を亡くしたりと、人生の大きな出来事をいくつも経験した時期でした。

 課長補佐時代は、個人的には育児と仕事との両立が大きな課題となった時期でした。留学直後にアメリカで出産し、現地で育休を取得。帰国し職場復帰した後は、戦争のように慌ただしい日々でした。周囲の理解と配

慮を得ながら必死に毎日をやりくりしていた頃、男女共同参画局に異動しました。多様な主体による意思決定が組織の価値を高めることはもはや常識ですが、女性の社会参画はそのための第一歩です。当時担当し

た女性活躍のためのプログラム策定は、社会課題の解決が自己実現とシンクロする感覚もあり、これまでとは異なる次元のやりがいを感じました。初めて女性の上司の下についたのもこの頃で、尊敬できるロールモデルの存在がモチベーションの向上につながることも実感しました。

 管理職になって間もなく、官房副長官の秘書官として官邸で勤務する機会を得、政府と国会の橋渡し役を担う官房副長官のサポートを行いました。その後、内閣府に戻り、引き続き一億総活躍等を担当する大臣をお支えする秘書官となりましたが、その経験は、政府全体を俯瞰する広い視野を身につけ、政府の重要政策の企画から実現までを学べる最高の機会となりました。当時得た知見や知識、多様な人々との出会いは、その後、課長になって今に至るまで様々な場面で財産になっています。これは、大臣の数(=秘書官のポスト)が多く、そうした機会に恵まれやすい内閣府職員冥利に尽きるのではないかと思っています。

 内閣府は、これからも時代の変化に合わせてその姿を柔軟に変えながら、政策のトップランナーとしての役割を果たしていくはずです。その分職員には、多様な学びの機会をしっかりキャッチし、自分なりに成長し続けられる人材が求められています。 私も、管理職としてはまだ未熟で、この先越えなければならない壁もたくさんあると思いますが、今までを振り返れば、それぞれのステージで内閣府ならではの幅の広い経験、学ぶ機会に恵まれた幸せなキャリア生活を送れてきたことに感謝しています。 そんな環境で自分だけのキャリアを紡いでみたいと思う皆さんと、共に働けるのを楽しみにしています。

多様な経験を糧に常に成長の可能性を追求

経済企画庁調査局海外調査課専門調査員POST.1係長級

男女共同参画局推進課/総務課(積極措置担当/総括担当)課長補佐

POST.2課長補佐級

内閣官房副長官秘書官・内閣府特命担当大臣(一億総活躍担当)秘書官

POST.3企画官~課長級

職員のキャリアパス

Career Path

File-Ⅷ

法律職・課長級

南 順子Minami Junko

子ども・子育て本部参事官(少子化対策担当)

平成 8年 採用 賞勲局総務課企画調査係平成13年 行政官長期在外研究員 (カリフォルニア大学バークレー校)平成16年 情報公開審査会事務局総務課審査専門官平成18年 男女共同参画局推進課課長補佐(積極措置担当)平成20年 男女共同参画局総務課課長補佐(総括・調整担当)平成22年 賞勳局総務課課長補佐(企画第二担当)平成23年 大臣官房人事課課長補佐(企画担当)平成26年 加藤内閣官房副長官秘書官平成27年 加藤国務大臣秘書官事務取扱平成29年 男女共同参画局調査課長平成30年 内閣府子ども・子育て本部参事官(少子化対策担当)

Profile

25年目

17 18

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Human Resource Developm

ent

留学先及び人数 合計年 度

7名H20

6名H21

5名H22

2名H23

5名H24

5名H25

5名H26

2名H27

3名H28

3名H29

4名H30

アメリカ合衆国4名、イギリス3名

アメリカ合衆国6名

アメリカ合衆国2名、イギリス2名、中国1名

イギリス1名、フランス1名

アメリカ合衆国3名、イギリス2名

アメリカ合衆国2名、イギリス3名

アメリカ合衆国4名、イギリス1名

アメリカ合衆国2名

アメリカ合衆国3名

アメリカ合衆国2名、イギリス1名

アメリカ合衆国3名、イギリス1名

4名R 1 アメリカ合衆国3名、イギリス1名

最近の主な留学状況

フランス 名1

中華人民共和国 名1

イギリス 名15 アメリカ合衆国 名34

(平成20年~令和元年 行政官長期在外研究員派遣実績)

内閣府における人材育成

●職員がそれぞれの業務等で関わっている政策課題・問題点や政策の成果等について発表し意見交換を行う「政策分析セミナー」で、内閣府の向かう社会の課題についての理解を深めます。先輩職員が業務で培った知見を伝授する「育成プログラム」で、政策分析に応用できる知恵を養います。

 内閣府の機能発揮の根幹は、まさに「人材」にこそある。との理念の下、自己研鑽により政策分析・評価及び統計の専門家を目指す若手職員の育成に努めています。

 多様な業務を幅広く経験する中で、OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)で、能力を培っていく他、専門性(知識、スキル)を高める研修を行っています。

研修・育成課程

職員全体向け

選抜制

応用(専門性)

基礎

特別講座

経済財政セミナー(基礎~中級編)

経済理論研修(応用編)

経済社会総合研究所特別研究員

経済理論研修(中級編)

国際機関派遣

大学・研究機関への派遣・交流

留学

内閣府の多様な業務を理解し、政策に対する多角的な視点を養う

基礎的な技術や、業務に関する知識を身に付ける講座から、各職員のレベルに応じてより専門性を高める幅広い機会があります。

政策を意識した専門性を掘り下げる

習得した知識の仕事への応用力を鍛える

国内外の交流により発信力を高める

育成プログラム

政策分析のための基礎講座

経済理論研修(基礎編)

政策分析セミナー(基礎編)

統計やデータ分析の基礎を学ぶ

政策に対する多角的な視点を養う

●大学や研究機関の講師による講演「経済財政セミナー」や「特別講座」のほか、政策分析に役立つ経済学や統計学の知識を理論的 に学ぶ「理論研修」を行います。

専門性を培う

●政策分析セミナー 規制改革からBrexitまで幅広いテーマの講義を学べる点と、職員による実務に基づいた分析を聴講できる点が魅力です。●育成プログラム 各テーマに詳しい育成主任の指導を受けながら、興味のある分野を深堀することができ、学生時代を思い出す楽しさでした。 毎年その時の業務や問題意識に沿ってコースを選択することができ、学んだことを実践に移せるのが強みです。

受講者の声

●経済理論研修 経済分析等を担う者として、マクロ経済学的な知見をベースに他者へ“説明”するには何が必要か、その基礎を得ることができました。 コースのレベルは学部+α程度と適切に設定されており、業務と両立しながらスキルアップできます。

受講者の声

●人事院が実施する「行政官長期在外研究員制度」に基づき、入府4~10年目の職員の中から選抜され、行政学、経済学などを研究するため、諸外国の大学院などに2~4年間留学します。なるべく多くの職員に留学を体験してもらうこととしています。

●さらに、経済社会総合研究所の「特別研究員」となることで、経済社会総合研究所の研究リソースの利用(論文検索やソフトウェア等)、研究ユニットへの参加や研究官等との共同研究、研究所から個人名での成果物公表(ディスカッションペーパー、リサーチノート等)といった活動を行うことができます。

●「留学」で専門的な学問を習得するほか、「大学・研究機関や国際機関への派遣」により、専門家として活動して発言力を高めていきます。⇒(出向・留学のページ参照)

※出向・留学のページ参照

19 20

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Mission of C

abinet Office

世界と日本を経済政策で繋ぐ

経済財政運営担当

武藤 裕雄Muto Yasutaka

政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(国際経済担当)付政策企画専門職

平成26年 採用 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付平成27年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(企画担当)付平成28年 計量分析室平成29年 同 政策企画専門職平成30年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(国際経済担当)付政策企画専門職

Profile

 内閣府の経済財政部局は、日本のマクロ経済政策の基本方針を定める重要な役割を持っています。その中で、経済財政運営担当は、基本方針を実際に策定する上で中心的な役割を果たしています。総理のリーダーシップの下、関係閣僚や民間の有識者が経済財政政策の基本方針を議論する「経済財政諮問会議」の運営に始まり、経済財政政策の根幹を定める「骨太の方針」や必要に応じた経済対策の策定、政策立案の基礎となる経済見通しの作成、日本銀行との協力等を担当しています。 私の所属する国際経済担当では、日本の経済政策を世界に発信したり、世界各国と経済政策について意見交換したり、といった役割を担っています。経済がグローバル化し、世界経済と日本経済が密接に繋がる中で、経済動向・経済政策を互いに理解しあうことが重要になっています。また、日本は少子高齢化への対応や財政健全化等、様々な課題を抱えています。これらの課題解決に貢献する知見を、世界の政策担当者と議論し、日本の政策立案に還元することも必要です。

 国際経済担当では、主に、OECD(経済協力開発機構)やIMF(国際通貨基金)、APEC(アジア太平洋経済協力)等の国際機関・会議、各国の経済政策関係のスタッフや市場関係者等と、日々情報交換や議論を行っています。形式は、当方が出張、先方が出張、メール、等様々です。 特にOECD関係の業務は、比較的比重が大きいです。OECDは多くの先進国から構成され、「経済政策委員会」では、短期の景気刺激策から、構造政策まで幅広く経済政策を議論します。ここで日本の経済政策を正確に発信するとともに、世界の経済政策の知見・議論を吸収して国内政策に役立てるため、内閣府から幹部職員が出張しています。また、「対日経済審査」と呼ばれる、OECDが作成する日本経済に関する報告・提言書の作成に当たっては、報告書が正確かつ有益な政策提言を含むものとなるよう、会議への出張を含め様々な形でOECDと議論を重ねています。

 現在の部署で最も印象的だった仕事は、OECDの経済政策委員会の下にあるWP1(第1作業部会)に出席し、日本政府を代表して意見を述べたことです。WP1という会議は、一般的な国際会議のイメージとはやや異なるかもしれませんが、学会のような雰囲気で、若手職員でも専門的知識等を活かして意見を述べやすい場です。経済政策に関する論文がいくつか事前に配布され、参加各国は論文に基づいて、分析手法や政策的含意について、経済学理論や自国の経験に基づき議論をします。私も論文の一つを担当し、会議の場で発言を行いました。私の発言は、何か国かの代表が自国の発言内で言及する等、高い反響を得ることができ、実際に自分の思考が世界の経済政策の議論に一石を投じたと感じました。 また、経済政策に関する各国の諮問機関のメンバー(日本からは経済財政諮問会議の民間有識者が出席)が集まるカンファレンスに随行で出席し、議論を傍聴することができたのも印象的な仕事の一つです。各国の経済政策運営のまさに最前線にいて、かつアカデミックな背景も持つ各国の方々の繰り広げる議論から、様々な示唆を受けることができ、大変刺激になりました。

 もちろん経済学の基礎知識は重要で、全ての議論の基礎になるのですが、日本を始め様々な国の制度・事情について詳しくなっておくことも、重要であると感じています。私は前のポストで中長期の経済・財政の姿をモデルで分析する仕事をしていましたが、その際、日本の財政や社会保障制度について一通り触れることができました。こうした制度は国ごとに大きく異なるため、日本の経済政策等を説明する際、必要に応じて制度の補足説明をしないと、日本の実態が正確に相手に伝わらない可能性があります。また、各国の政策議論を理解するためには、各国の制度やその背景を理解しておく必要があります。こうした際、前のポストで身に着けた知識が役に立ちました。「経済学」に限らず様々なことに関心を持ち、自分でも日々情報を仕入れていくことが重要と感じています。 もう一つ、これは「活きている」というよりは「活かしたかった」ですが、英語はもっとしっかりやっておけば…と思うことも多々あります。やはり世界で議論する場合、共通言語は英語になります。自分ではわかっている、伝えたいことがあるのに、英語でうまく言えない、言いたいことの微妙なニュアンスをうまく伝えられるか不安…という経験が何度もありました。

経済のグローバル化の中で、相互の理解が重要

世界の知見・議論を吸収して政策に役立てる

会議で世界経済政策に一石を投じることも

異なるポストで経験を積むことも重要

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅰ

 衣食住を始め、人間が行う活動は全て経済活動といっても過言ではありません。(ビル・)クリントン元大統領ではないですが「問題は経済」なのです。逆に言えば、経済政策に取り組むことは、人間の活動のあらゆる面をよくしていこうという行いであると言えます。壮大で、ある意味果てしないですが、それだけの価値があり、面白い仕事です。是非一度内閣府の門をたたいてみてください。

学生へのメッセージ

PICK UP!

マクロ経済政策の年間サイクル(経済財政諮問会議を中心に)

骨太方針(閣議決定)

年央試算・中長期試算

予算の全体像

予算編成の基本方針

(閣議決定)

中長期試算

政府経済見通し

(閣議了解)

政府経済見通し

(閣議決定)

議論

・・・・・・・・

議論

4月

6月

7月

8月

11月

12月

1月

3月

上段:経済財政諮問会議

予算編成 国会審議下段:予算編成プロセス 概算要求基準 政府予算案決定 成立

21 22

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Mission of C

abinet Office

経済再生と財政再建の海図を示す

経済社会システム担当

小黒 桂Oguro Kei

政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(企画担当)付参事官補佐

平成17年 採用 沖縄振興局総務課平成18年 文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課平成20年 政策統括官(科学技術政策・イノベーション担当)付 参事官(総括担当)付 併 内閣官房宇宙開発戦略本部事務局平成21年 行政官長期在外研究員(クレアモント大学院大学)平成23年 政策統括官(防災担当)付参事官(総括担当)付主査平成24年 同 参事官補佐

平成24年 沖縄科学技術大学院大学学園 プレジデント・オフィス理事長補佐平成26年 復興庁統括官付参事官付参事官補佐平成29年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐 併 計量分析室令和元年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(企画担当)付参事官補佐

Profile

 経済社会システム担当は、経済財政政策の方針を中長期的な視点から企画立案するとともに、各省庁との総合調整を行っています。また、新しい公・共・私の在り方、社会システムの構築に向け、特定非営利活動法人(NPO法人)制度を所管するとともに、民間公益活動を促進するための休眠預金等の活用、民間資金やノウハウを活用して公共施設の建設や運営を行うPPP(官民連携事業)/PFI(民間資金等活用事業)、より良いサービスの提供に対しより高い支払いが行われることで業務改善・効率化にインセンティブを与える成果連動型事業を推進するなどの取組を進めています。 私の所属する企画担当では、「経済再生なくして財政健全化なし」という基本方針の下、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を3本柱として、経済と財政の一体的な再生を実現するための具体的政策や、経済財政の中長期的なビジョンについて、企画立案を担当しています。

 少子高齢化が進展するなかで、持続可能な社会を実現していくためには、生産性の向上、潜在成長率の引上げ、社会保障制度改革、地方行財政改革、社会資本の整備など、取り組むべき課題が多くあります。経済財政諮問会議の議論を踏まえながら、様々な分野における課題をエビデンスに基づいて抽出し、政策の方向性を打ち出します。まさに内閣の「知恵の場」としての機能が求められています。 財政健全化は、持続可能な社会には不可欠ですが、歳出を大きく抑制した場合、経済が停滞する可能性もあり、そのバランスが重要です。足元の課題だけではなく、将来の姿を想定し、バックキャストして現在の取り組むべき課題を考えます。一面だけを見ずに、様々な観点も踏まえたうえで、選択肢や方向性を示していくことを心掛けています。

学生へのメッセージ

 どのような立場でも、様々な課題にぶつかるのだと思います。課題はProblemsではなくChallengesであり、困難はDifficultではなく、Challengingだと私は考えています。課題から目を背けるのではなく、真摯に向かい合い、前向きに取り組んでいく、それがより良い道だと感じています。皆さんにはぜひ前向きに楽しみながら課題に挑んでいただければと思います。もし内閣府に来ていただけたら、共に成長しながら、日本の課題に向かい合い、挑んでいければと思います。

 内閣府は、多岐にわたる分野で、その時々の重要課題に携わります。私自身は、経済部局以外にも、科学技術・イノベーション政策、防災・復興など、幅広い分野での業務を経験しました。いずれにも共通しているのが、トップの近くで、圧倒的なスピード感とダイナミズムで、重要な決定をしていく、というものでした。 科学技術関係部局では、全く新しい環境・エネルギー分野の計画を策定し、その後、新しく設置された宇宙開発戦略本部事務局に移り、官房長官がトップの有識者会合を官邸で頻繁に開催し、初めての宇宙開発基本計画の策定につなげました。防災部局では、その時々の災害に迅速に対応するとともに、東日本大震災を受けて、新しい防災政策を考えるとともに、組織の改変・拡充に携わりました。復興庁に出向している時は、復興の度合いや方向性の異なる地域毎や、復興五輪などのテーマ毎でチームを作り、丁寧かつ機動的に対応しました。経済部局では、自分達の分析結果が経済財政諮問会議や骨太の方針の議論につながります。日々、責任感・達成感を感じながら、発見と挑戦を積み重ねています。

 私は大学・大学院と物理学を専攻しており、数字・数式やプログラミングには比較的慣れ親しんでいました。また、従来の見方にこだわらず広く新しい視点で柔軟に物事を見るように心掛けたり、簡単なモデルを作って検証してみるといったスタンスは、経済財政分析や政策の効果分析、推計など様々な場面で生きているように感じます。 前の部署の計量分析室では、2千本以上の数式からなる経済財政モデルを動かし、中長期の経済・財政に係る推計をしていました。学生時代の経験に加え、内閣府が行う政策分析専門家育成プログラムで学んだ様々な分析・推計手法が生きました。更に、プログラムを整備するにあたり、SNAやマクロ経済指標の各項目の推計、社会保障分野や国・地方財政の制度を数式に落とし込む過程で、統計や制度などを幅広く学びました。この中長期試算は、現在の部署での中長期的なビジョンを描く際のベースとなるものであり、その過程で学んだ制度などもいたるところで顔を出します。これまでの経験をフル活用して、業務に当たっています。そして、これまで多種多様な課題に向かい合った経験が、「きっと次も大丈夫」と新しい挑戦に向き合わせてくれている気がします。

経済と財政の一体的な再生を実現する

内閣の「知恵の場」として、様々な課題に対処

経験をフル活用して、新しい分野へ挑戦

様々なポストの経験が、現在に役立つ

中長期の経済財政政策の運営

財政健全化に向けた取組(目標)

PICK UP!

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅱ

 2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指して財政健全化に取り組む。

 「経済財政運営と改革の基本方針2018」において、「新経済・財政再生計画」を定めました。本計画で示された「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、歳入改革の3本柱の改革を一体として推進し、経済と財政の一体定期な再生を目指しています。

23 24

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Mission of C

abinet Office

日本の消費「300兆円」を分析する

経済財政分析担当

新村 太郎Shinmura Taro

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(総括担当)付

平成29年 採用 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(経済対策・金融担当)付平成30年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(予算編成基本方針担当)付令和元年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付

Profile

 経済財政分析担当の業務内容は大きく分けて2つあり、その1つは、日本経済や海外経済の動向を分析した上で、日本の景気に対する政府の公式見解を示す「月例経済報告」の作成です。毎月、消費や設備投資、雇用など、様々な経済指標を踏まえ、足下の経済の動きを分析します。 もう1つは、経済動向に加え、経済が直面する課題や構造問題についても分析を行い、「経済財政白書」等の報告書を作成することです。日本経済の現状と課題を分析する「経済財政白書」がよく知られていますが、他にも、地域経済や世界経済の分析、政策効果の評価・分析も行っており、様々な切り口で経済を分析し、報告書を公表しています。 日本経済の現状や抱えている課題を正確に理解することは、正しい政策を策定する上で大前提となります。この部局の業務は、その大前提を各省庁にはもちろん、広く一般に分かりやすく発信すること、と言い換えることができます。

 私は、日本の消費の分析を担当しています。日本のGDPの約6割を占める消費の基調判断は景気全体の判断に直結し、慎重な判断を要します。一方で、消費を包括的に捉える経済指標は存在しないため、私たちは、公的統計に加え、業界団体が公表する統計やPOSデータ(レジの販売データ)等、多くの消費関連の統計データを分析しており、更には「消費総合指数」という指標を独自に推計・公表しています。 様々な指標やヒアリング情報を勘案して消費動向を判断することは容易ではなく、経済を理解することの難しさを痛感しています。ただ、毎月様々な統計をみる中で、数字を理解・評価する上での要諦がすぐに分かる時も増えており、少しずつ成長している実感も湧いています。

 最も印象に残っている仕事は、消費税率引上げ前後の消費動向の把握・分析業務です。 政府は、2019年10月の消費税率引上げに伴い消費が冷え込まないよう、プレミアム付商品券やキャッシュレス・ポイント還元等、様々な対策をうちましたが、実際に消費がどうなるかは予断を許しませんでした。消費が大きく落ち込み、経済が変調をきたした場合には迅速に対策をうてるよう、私たち消費担当は、足下の消費動向を早期に把握できる資料を作成する必要がありました。 上司や同僚と日々議論し、最終的には、企業のIR資料(投資家向け資料)や週次・日次のPOSデータ、企業へのヒアリング情報、業界統計などを基に、主要な財・サービスの消費動向を迅速に把握できる資料を作成しました。 POSデータやIR資料までフォローし、消費動向をタイムリーに把握する試みは、学問の世界ではできない、エコノミストならではの業務です。「経済学を学ぶだけでは実体経済を理解できない」と思い、内閣府の門を叩いた私にとっては、正にやりたい業務でした。内閣府に入ってわずか2年半で、施策の判断材料となる資料を作成し、毎日幹部職員に説明することとなりとても大変でしたが、日本経済を支える仕事をやっているという充実感がありました。

 私は、学生時代から旅行を趣味としており、今までに約40の都道府県を巡ってきました。様々な街を自分の目で見てまわり、現地の人の話を自分の耳で聞いてきましたが、そのたびに、テレビやインターネットで流れる情報を東京で見聞きするだけでは、地域の現状を知ることができないと実感しました。現地の状況は、現地の人が一番良く知っています。 消費の動向についても同様のことがいえます。私たちのように経済分析業務に携わる人たちは、分析結果の発信力と信頼性を高めるため、統計データなどの客観的な数値に基づいて議論・判断することが強く求められます。しかし、消費のデータを見るだけでは、その背景や要因が分からず、消費の現状に対する理解を誤りかねません。現状を正確に理解するためには、消費の現場の人たちからのヒアリング情報は極めて重要であり、私が企業や業界団体にヒアリングをする際は、積極的に質問し、数字の背景に繋がる情報を少しでも多く得ようと努めています。 旅行を通じて学んだ、現場の人たちの話を聞くことの重要性は、消費の現状のより的確な理解に役立っています。

日本経済の抱えている課題を正確に理解

担当する消費動向の判断の難しさを痛感

施策の判断材料となる資料を作成

データの背景にある消費の現状にも理解を

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅲ

月例経済報告における景気判断のイメージ

景気判断

経済財政政策の企画・立案へ

PICK UP!

令和2年3月:景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、

足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある。

内外の経済動向

金融 物価 外需 海外経済

家 計 企 業・ 消費・ 雇用等

・ 生産・ 投資等

 「日本型雇用慣行の見直し」や「AIの活用」といった言葉を耳にするたびに、様々な場所で通用する専門性を磨かなくてはいけない、と気を引き締めています。内閣府の魅力の1つは、ここで紹介した経済分析業務のように、業務を通じて専門性を培うことができる点だと思います。 重要施策に携わってこの国を良くしたいという志を持った人はもちろん、自身のスキルアップに貪欲な人にとっても、内閣府は魅力的な職場になるはずです。

学生へのメッセージ

25 26

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Mission of C

abinet Office

内閣府のシンクタンクで働くこと

経済社会総合研究所

堀 展子Hori Nobuko

経済社会総合研究所総務部総務課総務専門職平成28年 採用 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(企画担当)付平成29年 内閣官房統計改革推進室室員平成30年 経済社会総合研究所研究官令和元年 経済社会総合研究所総務部総務課総務専門職

Profile

 経済社会総合研究所では、経済社会活動に関する研究及び国民経済計算(SNA)、景気統計の作成・公表を行っています。経済社会活動に関する研究では、経済理論等を用いた政策分析、GDP統計の改善に関する研究等を行っています。また、経済政策フォーラムや国際コンファレンス等の開催、「経済分析」、「ESRI Discussion Paper」等の刊行を通じ、研究成果を対外発信しています。国民経済計算(SNA)の作成・公表では、国連等が定めた国際基準に基づき、四半期別GDP速報の推計や国民経済計算の年次推計を行っています。景気統計の作成・公表では、景気動向指数等の作成・公表や、景気基準日付(山・谷)の設定などを行っています。また、政策研究を担う人材育成・研修等も実施しています。

 現在の部署では、上記の経済社会総合研究所の業務のうち、前者の経済社会活動に関する研究を行っています。研究テーマごとに研究計画を策定し、データの申請・購入等の研究環境の整備、計量ソフトウェアを用いた分析、研究成果の発信等を行っています。大学の先生など外部の研究者の方と共同で研究を行う場合も多く、アカデミックな世界とも活発に交流をしています。私は現在、組織マネジメントやデータ・AIの活用が生産性に与える影響に関する分析や、マクロ経済政策に資する幅広いテーマを扱った分析に携わっています。また、経済社会総合研究所が持つ「短期日本経済マクロ計量モデル」の改訂作業や、統計調査の実施に携わる機会もありました。

 大学では経済学を学びましたが、計量経済学の授業では、理論の勉強が中心で、先生が黒板に書く数式を必死で追っていました。また、近年はミクロデータを使った分析が主流であると習いつつも、習得した理論を用い、実際にデータを使って分析する機会はあまりありませんでした。一方、現在の部署では、政府統計の個票データや企業の財務データなど、様々なミクロデータを申請・購入しており、学生の時には出会えなかったデータを使って分析する機会に恵まれました。これらデータは膨大な量なので、パソコンで読み込むだけでも一苦労ですが、データを扱うのに慣れている上司や同僚に気軽に相談でき、過去の研究の蓄積も多く、分析作業が進めやすいです。また、上司は研究や分析が好きな人が多く、面白いテーマ設定や分析への有益なコメントをもらうことができ、自由な意見交換もできます。共同研究をしている大学の先生方からも、色々なことを教えていただいています。

 私は2年目の夏から3年目の夏まで、総務省の若松町の庁舎で1年間勤務し、統計改革推進会議の最終取りまとめで決められた事項を実行に移していく業務に携わりました。そこでは、統計に係る様々な制度を勉強することができ、統計部局を取り巻く環境の変化も肌で感じました。その後、現在の部署に異動し、統計制度の中で業務を行う側となりましたが、総務省での経験があったからこそ、統計制度や統計実務への理解や関心が深まったと感じています。統計とは何か、集計表とは何か、数字とは何か、ということを考えさせられるとともに、統計実務の奥深さ、公表した数字に対する責任の重さも痛感しました。

政策判断に資する基礎的材料を提供

外部の研究者と共同研究を行うことも

風通しの良い、とても充実した研究環境

総務省での経験が、統計実務の理解を深める

経済社会総合研究所(ESRI)

詳細は→http://www.esri.go.jp/

PICK UP!

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅳ

内閣府のシンクタンク~経済社会活動の理論・実証研究~

経済社会活動に関する研究 GDP、景気統計の作成・公表●経済理論等を用いた政策分析、計量経済モデル等分析ツールの開発・整備、GDP統計の改善に関する研究等を行うことにより、政策判断に資する基礎的材料を提供し、諸政策の企画立案・推進を支援。また、政策研究を担う人材育成・研修等を実施。●国際共同研究を実施するとともに、研究成果を「経済分析」「ESRI Discussion Paper」等の形で対外発信。

平成28年度ESRI国際コンファレンス「国際共同研究『人口減少下における経済社会への影響』」(平成29年3月開催)

国民経済計算(SNA) 景気統計

国連等が定めた国際基準に基づき、我が国経済の動向を体系的に記録したマクロ統計

GDPや消費・投資といった内訳項目等の速報値を四半期毎に作成・公表

生産・分配・支出といったフロー面や、資産・負債などのストック面も含めて、年1回作成・公表

四半期別GDP速報 国民経済計算年次統計

機械受注統計調査(毎月)

景気動向指数(毎月)

消費動向調査(毎月)

法人企業景気予測調査(財務省と共管、毎四半期)

企業行動に関するアンケート調査(年一回)

設備用機械類の受注額を調査し、設備投資動向を早期に把握する。

今後の暮らし向きの見通しなどの消費者のマインドを捉える。

生産、雇用などの経済指標を統合して、景気の拡張や後退を把握する。

企業活動の面から我が国経済の実態を明らかにする。

学生へのメッセージ

 内閣府には多種多様な仕事があり、どの仕事からも学ぶことができます。また、内閣府にいるからこそできる貴重な出会い、経験があります。就職活動中は、思いもよらない出会いや発見があると思いますので、様々な人脈を通じ、自分のやりたいこと、好きなことを仕事にしてください。

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CRO

SS TALK 01

秘書官として

坂井 潤子 Sakai Junko

大臣官房総務課秘書専門官(宮下副大臣秘書官)

平成18年 採用 政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(海外担当)付平成20年 政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(企画担当)付平成21年 同 政策企画専門職平成22年 消費者庁総務課審査第一係長平成24年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付政策企画専門職平成25年 同 参事官補佐   同年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(市民活動促進担当)付参事官補佐平成27年 外務省経済局国際経済課課長補佐平成28年 地方創生推進事務局参事官 (国家戦略特区担当)付参事官補佐平成29年 大臣官房企画調整課課長補佐(総括担当)平成30年 内閣府副大臣付秘書専門官

Profile

村上 耕司 Murakami Koji

衛藤国務大臣秘書官事務取扱

平成16年 採用 沖縄振興局総務課平成17年 国民生活局企画課平成19年 政策統括官(沖縄政策担当)付 参事官(総括担当)付企画調整第1担当主査平成21年 内閣官房内閣総務官室企画第2担当主査平成23年 大臣官房公文書管理課課長補佐平成25年 内閣府副大臣付秘書専門官平成26年 大臣官房総務課課長補佐平成27年 子ども・子育て本部参事官 (子ども・子育て支援担当)付参事官補佐(企画担当)平成29年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐平成30年 公文書監察室参事官補佐令和元年 衛藤国務大臣秘書官事務取扱

Profile

 視野を拡げて、大臣・副大臣をサポート。

村上 これまで副大臣秘書官と大臣秘書官を経験しましたが、どちらの秘書官にも共通する業務として、ブレーン役、大臣・副大臣と事務方のつなぎ役、国会等の答弁のサポートがあると思います。坂井さんは、副大臣秘書官になられていかがですか。 坂井 私は今、内閣府の経済財政政策、内閣官房の経済再生、全世代型社会保障改革、TPP等を担当しています。副大臣が国会答弁や党の部会・政府の会議等でご説明される際や、担当部局から様々な案件の説明・報告を受けられる際のサポートを行っています。 私たち行政官は、どうしても担当している日々の仕事をこなすことに精一杯で、ともすれば目先の課題解決を優先するあまり、視野が狭くなりがちかもしれません。一方で、「少子高齢化や人口減少が進展する中で、日本を元気にするためには何が必要か」と常に大局的見地に立って仕事をされている副大臣を見て、これまではほとんど気に留めなかった事柄にも自然と目を向けるようになりました。一見、直接関連しないように見えても、どこかに因果関係があるのではないか、他にどのような影響を及ぼすかと考えるようにしています。また、リスクヘッジという点からも、批判的な見方もするように心がけています。 村上 私も副大臣や大臣からの指摘にハッとすることが多いですね。 行政官と政治家はかなり視点・視野が異なっています。現場から離れた

庁舎(霞が関)で働いている行政官は、意識をしなければ、担当業務の範囲で考えがちです。これに対して、政治家は、現場を歩き、有権者の「生の声」を聴いて、垣根なく日本のニーズを把握しています。秘書官は、「ブレーン役」や「つなぎ役」として、この視点・視野のギャップを埋め、大臣・副大臣の意図を政策課題に落とし込み、行政の政策企画がより進むような環境を整える役割を担っていると言えます。 国会や記者会見等での答弁は、政府見解を示す重要な場です。普段から大臣・副大臣が担当する政策分野の状況を把握し、論点や状況を整理し、質問を予測し、大臣・副大臣に事務説明を入れ、対応を万全にしておくことが求められます。 副大臣秘書官は、いわばSP(警護官)として、副大臣の日常的な移動や所在の把握も必要なので、気が抜けないですよね。大臣秘書官は、各報道機関の担当記者とのやり取り、いわば裏方の報道官としての役割もあります。

 秘書官だからこその貴重な経験が成長の糧に。 坂井 私は副大臣秘書官としては2年目なのですが、1年目は今とは別の分野の担当で、そのほぼ全てが初めて関わる分野であり、戸惑いや不安が大きかったのも事実です。村上さんはいかがでしたか。 村上 確かに副大臣秘書官は所掌が広く大変ですが、同時に仕事のやり

がいも代えがたいものがあります。 大臣や副大臣と二人三脚で政策立案に携われることが秘書官のだいご味です。そのために一番大事なポイントは、大臣や副大臣との呼吸を合わせることだと思います。大臣・副大臣とのちょっとした雑談や何気ない一言を大事にしながら、考え方、問題意識・関心や得意分野などを把握していきます。 今の私の最大の課題は、「希望出生率1.8」の実現に向けた道筋を示すことです。令和元年の出生数(推計値)は、「86万ショック」ともいわれているように、データがある1899年(明治32年)までさかのぼっても過去最少(86万4千人)を記録しました。総理も「国難」とおっしゃっているように大変な難問です。このような難問に大臣と共に立ち向かっていけることに、言葉で言い尽くせないやりがいを感じています。 また、秘書官は、大臣・副大臣の幅広い担務に触れますし、幹部による説明やそれに対する政務の反応、大臣・副大臣に見解を問われたときや政治的な考え方を伺ったときなど、一日一日が成長の糧になります。 特に、今回の新型コロナウイルス感染症対策で、国家的な非常時に大臣と共に一斉休校や経済対策等の対応をしたのは、人生の糧です。また、過去に担当者として作り上げたベビーシッターの利用支援や、記録を後世に残すための歴史的緊急事態の認定などが活用されたことは感慨深いものがありました。

坂井 私も入府してから、他省庁への出向も含め、様々な政策分野を経験させてもらいましたが、それでも初めて聞く話や新たな課題、すぐには自信を持って答えられないこと、などなど、勉強の毎日です。また、瞬時の冷静な判断や臨機応変な対応が求められる場面も多々あります。 そのような状況の中でも、悲観的になったり投げやりになったりせずにいられるのは、何よりも各担当の方々から一つひとつ教えていただけるからであり、加えて、これまで培った経験や府内外問わず出会った方々から学んだことが活きているからだと考えています。入府したばかりの頃に巡り合った、「焦らず、慌てず、諦めず」という言葉の重みを、今、身をもって感じています。 ただもちろん、大変なことばかりだけではなく、秘書官という立場にいるからこそ、私自身も幅広い分野において第一線で活躍されている有識者の方々から直接お話を伺うことができたり、活動されている現場を実際に見せていただくことができたり、とインプットには事欠きません。これがまた、今後どこかで役に立つと思いますし、他の業務でのアウトプットにも活かせるのではないかと思っています。 私も、今回の新型コロナウイルス感染症対策について、法案の担当となった副大臣のサポートを行ったことは、貴重な経験でした。

 知的好奇心を持って、重要課題に立ち向かう。 村上 秘書官に限らず、内閣府職員の業務は多岐に渡り、政府の意思決定を支える仕事も多いですよね。これから内閣府を担っていく職員として、内閣府という組織をどう捉えていますか。 坂井 内閣府が発足して約20年。刻々と変化する政策課題に適時適切に対応する必要がある中で、私が入府した後も、新しい組織が立ち上がるなど、村上さんも仰るとおり、内閣府の業務は多岐に渡っています。国民生活への影響や将来生じうる構造変化・課題などを見通した上で、我が国の経済社会のあるべき姿を示していくということが、内閣府の役割の1つだと思いますし、そのためには、広い視点・分野横断的な立場で考えることに加え、エビデンスに基づいた客観的な分析が必要だと考えています。 これらは、日々自らのアンテナを高く張りつつ、周囲とのコミュニケーションを重ねていく中で、身に付いていくものではないでしょうか。 村上 全く同感です。これまでの経験では、内閣府職員は、国の重要課題と対峙し、各省の垣根を超えて行政分野に関わり、各省と議論を戦わせる中で、課題の分析や多様な政策手段に触れていく機会が多いと感じています。 成熟国家である日本の政策課題は、これまで簡単に解決できなかった課題の積み残しです。このような課題に対し、各省庁の力を束ね、政府全体で立ち向かう内閣府の業務の重要性は、今後ますます高まると感じています。 坂井 そうですね。さらに、内閣府には、プロパー職員のみならず、他省庁や地方自治体、民間企業、研究機関などから出向されている方が多く、多様なバックグラウンドを持つ方々と一緒に仕事をする機会に恵まれています。こうした方々と過ごす日々が、確実に自分を成長させ、様々な気付きを与えてくれるはずです。 また、自分が学生だった頃を振り返ると、「どうしても〇〇分野の仕事がしたい」というよりは、「色々な経験を積みたい」という想いの方が強かったように思います。その想いは、今後仕事を続ける上でも変わらず持ち続けていきたいですし、変化を恐れずにいたいと思います。新しい課題に立ち向かって、日本をより良くしていきたい、自身も成長したいと考えている方々、知的好奇心旺盛な方々と一緒に仕事ができれば嬉しいです。 村上 私も業務の幅広さ・重要さに魅力を感じて内閣府を選びました。内閣府は、ポストを経て、仕事を一つひとつ大事にこなしてく中で、新たな気づきや成長が得られる役所だと感じています。抱えている思いや、これまで培った知見や経験を最大限生かし、誰も解決したことがない課題に立ち向かい、解決策を示すこともできます。そのような仕事にやりがいを感じ、役割を果たせるような人材に、1人でも多く来ていただきたいと思っています。

誰も解決したことがない課題に立ち向かう

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Mission of C

abinet Office 「

希望出生率1.8」の実現に向けて

子ども・子育て本部

岸 彩子Kishi Ayako

子ども・子育て本部参事官(少子化対策担当)付参事官補佐(企画担当)

平成22年 採用 男女共同参画局総務課総括係平成23年 政策統括官(防災担当)付 参事官(災害応急対策担当)付初動体制担当主査付平成24年 政策統括官(防災担当)付 参事官(災害緊急事態対処担当)付応急体制担当主査付平成25年 同 応急体制担当主査

   同年 内閣官房行政改革推進本部事務局 事務局員平成27年 大臣官房総務課審査第2係長平成28年 育児休業平成29年 復興庁統括官付参事官付参事官補佐令和元年 子ども・子育て本部 参事官(少子化対策担当)付 参事官補佐(企画担当)

Profile

 86万4千人。この数字は、2019年に生まれた赤ちゃんの数(推計)です。統計開始以来初めて出生数が90万人を下回ったこと、また、予想を上回るペースで出生数の減少が進んでいることは、「86万ショック」とも言われ、世間に衝撃を持って受け止められました。少子化は、社会経済に広く影響を及ぼすことから、その進展に歯止めを掛けることが急務です。 少子化の主な原因は、未婚化・晩婚化と有配偶出生率の低下(夫婦の持つ子供数の減少)と言われており、その背景には、出会いの機会の減少や経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感、子育てや教育にかかる費用負担の重さなど、一人一人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っています。少子化は、何か一つ施策を講じればすぐに解決するという問題ではなく、あらゆる施策を総合的かつ継続的に講じていくことが必要です。 子ども・子育て本部では、少子化社会対策基本法に基づく少子化社会対策大綱の作成・推進を通じて、「希望出生率1.8」(若い世代における結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなうとした場合に想定される出生率)の実現に向けて取り組んでいます。

 少子化社会対策大綱は、少子化に対処するための施策の指針となるもので、これまで概ね5年ごとに見直されてきました。現行の大綱(2015年3月閣議決定)の策定から5年が経過し、少子化の進行が深刻さを増す中、次の5年間を見据えた新たな大綱の策定に向けて、検討を進めています。少子化対策に含まれる施策は、男女共にキャリアとライフイベント双方について展望を描ける環境を整備するための取組(経済的基盤の安定、結婚支援、仕事と子育ての両立支援、男性の家事・育児参画の促進、働き方改革など)、多様な子育て家庭の様々なニーズに対応するための取組(子育て支援、地域における子育ての担い手の多様化など)等、多岐にわたります。施策や制度を所管している省庁と議論を積み重ねながら、新たな大綱を取りまとめていきたいと考えています。

 個々人の結婚や子供についての希望がかなえられていない状況がある中、これまでの取組を振り返りつつ、次の5年間はどのような基本的考え方のもと重点的に取組を進めていくべきか。2019年3月以降、少子化に造詣の深い有識者の先生方に参集いただき、新たな大綱の策定に向けた検討会を開催しました。議論の過程では、行政の側から施策の取組状況を報告し課題を指摘いただいたほか、「家族留学」(若い世代が子育て家庭の体験訪問を通じて自分のライフプランを考える取組)や「孫育て/他孫育て」(シニア世代が自分の孫育てや地域の子育て支援に参画する取組)など、地域のユニークな取組について新たな知見を得ることができました。 2019年12月に提言を取りまとめていただいた後、政府において大綱の策定作業に入りました。希望の実現を阻む隘路の打破に向けて必要な施策は何か、関係省庁と議論を続ける日々が続いています。予算措置が必要な施策については、財務省とその必要性を議論します。多くの人が、家族を持つことや、子供を生み育てることに、喜びや楽しさを実感できる社会を実現できるよう、誠実に議論を積み重ねていきたいと考えています。

 昨年(2019年)夏まで復興庁に出向し、「「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針」(2016年3月閣議決定)の3年後見直しを担当しました。庁内、財務省を含む関係省庁、被災地方公共団体、与党との調整などを経て、2019年3月の見直しの閣議決定に至るまで、一連のプロセスを主担当として経験したことは、政策目的は違えども、「いつ誰とどのような調整が必要か」業務の運び方を考える点において、今現在担当している少子化社会対策大綱の見直し業務に役立っています。 また、私自身、もうすぐ4歳になる子供を育てる一人の母親でもあります。育児休業中は、地域の子育て支援センターに連日通い、程よい距離感で見守ってくれる地域の方たちの存在に、精神的にとても助けられました。復帰後は、私・主人双方の職場の理解の下、朝の送りは私、迎えは主人と、分担・協力して子育てをしています。もとより子育て家庭の置かれた状況やニーズは様々で、自身の経験だけで物事を判断することは避けなければなりませんが、業務上理解が難しい場面に直面したときは、これまでの経験に引き寄せて考えると、具体的な場面を想像できることもあります。子育て家庭に寄り添う気持ちを持ちながら、日々の業務に当たることを心掛けています。

「86万ショック」に歯止めを掛ける

次の5年間を見据えた少子化への対処

新たな知見を得て、議論を深化させる

自らの経験を踏まえ、業務に向き合う

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅴ

学生へのメッセージ

 内閣府の業務は幅広く、私もこれまで、男女共同参画局、防災担当、大臣官房総務課など、様々な部署を経験してきました。一見共通項はなさそうですが、関係者の多様な意見を調整しながら、時の重要政策課題に迅速かつ柔軟に対応するという意味では、どの業務も共通していたと思います。自分の中で揺るぎない価値基準を持ちながらも、多様性や変化に柔軟であることが、内閣府職員としての一つの在り方なのかなと、最近感じるようになりました。内閣府とともに新たな課題にチャレンジしようという方をお待ちしています。

PICK UP!

少子化の現状

少子化対策の推進の枠組み

●年間の出生数:864,000人 (2019年・推計)、合計特殊 出生率:1.42(2018年)。●出生率低下の主要因は、未 婚化・晩婚化と有配偶出生 率の低下。特に未婚化・晩 婚化の影響が大きい。 ⇒希望の実現を阻む隘路  を打破することが必要。 0 0

0.5

1.5

2

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5

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100

150

200

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出 生 数

合計特殊出生率

300(万人)

19471950 55資料:厚生労働省「人口動態統計」

1960 65 1970 75 1980 85 1990 95 2000 05 2010 15 19(年)

第1次ベビーブーム(1947~49年) 第2次ベビーブーム

(1971~74年)1973年 2,091,983人

1989年合計特殊出生率1.57

2005年最低の合計特殊出生率

1.26

2019年(推計)最低の出生数864,000人

1966年ひのえうま1,360,974人合計特殊出生率

1.58

4.32

1.58 2.141.57

1.26 1.42

出生率

合計特殊出生率

少子化社会対策会議(基本法第18条)

・ 少子化社会対策大綱の案の作成・ 少子化対策について必要な関係行政機関相互の調整、 少子化対策に関する重要事項の審議、 少子化に対処するための施策の実施の推進

少子化社会対策大綱(基本法第7条) 少子化に対処するための施策の指針となる、総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の大綱

少子化社会対策基本法(平成15年法律第133号)

会長:内閣総理大臣  委員:全閣僚

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Mission of C

abinet Office

次世代のための基本計画を作る

男女共同参画局

髙橋 朋也Takahashi Tomoya

男女共同参画局推進課課長補佐平成22年 採用 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付平成23年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(財政運営基本担当)付平成25年 行政官長期在外研究員 (エセックス大学・ウォーリック大学)平成27年 大臣官房総務課審査第1係長

平成28年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(子どもの貧困対策担当)付主査平成29年 同 参事官補佐平成30年 男女共同参画局推進課課長補佐

Profile

 男女共同参画局では、女性であっても男性であっても、すべての人が人権を尊重されるとともに、一人ひとりが希望に応じてその能力を発揮できる、自由かつ公正で活力のある社会の実現に向けて、政府全体の施策を取りまとめ、推進しています。担当する業務は、女性に対するあらゆる暴力の予防・根絶、防災・復興における男女共同参画の視点の強化、民間企業における女性役員を増やすための取組、男女共同参画についての広報啓発など、極めて幅広い領域にわたっています。 私の所属する推進課は、その中で、男女共同参画社会の形成に関する総合的かつ長期的な施策の大綱である「男女共同参画基本計画」の取りまとめを担当するとともに、女性活躍推進法に基づく取組の推進、女子生徒等に対して理工系分野への進路選択を促す取組、ワークライフバランスの推進、政治分野における男女共同参画の推進等を行っています。

 私の仕事は、推進課の総括担当として、国会対応や各種業務の窓口となり、課全体の業務が円滑に遂行されるように課長や課のメンバーをサポートすることです。これに加えて、局の一大業務である5年に1度の男女共同参画基本計画改定に向け、局内の各担当と連携しながら専門調査会及びワーキンググループの運営業務や基本計画にどのようなことを盛り込むかについての全体方針の企画・立案、作業の進捗管理等を行っています。 現行の第4次基本計画の下で日本の男女共同参画は一定の成果を挙げたと考えていますが、この間のジェンダー平等に向けた世界の変化のスピードは日本を大きく上回っています。世界の動きを意識しながら、各省庁の知恵も借りつつ、より強化すべきことや新たに加えるべき視点を考え、次世代の人たちに希望を持ってもらえるような基本計画を作り上げたいと思っています。

 男女共同参画基本計画の改定に向け、様々な有識者にお話をお伺いしたり、意見交換をさせていただいたりしました。お忙しい中お時間を割いてくださったのは、基本計画の策定に関する仕事が重要だと考えてくださったからだと考えており、その責任の重さに改めて身が引き締まる思いです。 お話を伺う中で、ある有識者の方から、とある欧州の国における取組をご紹介いただいたことがあります。それをきっかけに、取組の詳細を直接担当者から聞くために当該国へ出張に行くことになりました。その国のジェンダー平等局の方々とは、ジェンダー平等政策に関する様々なことについて、会議室の中でも食事をしながらでも濃密かつ率直な意見交換を行うことができました。幹部の方のリーダーシップの取り方や職員の働き方も含め、学ぶことが非常に多い出張でした。 こうして得た様々な知見を基本計画の改定につなげていきたいと考えています。

 入府2年目に、ある有識者会議に関する業務に携わり、どの先生に委員になっていただくかという検討の段階から、法学や政治学、経済学だけでなく、法哲学等の規範理論も引用する学際的な報告書の執筆まで、広範な内容を任せていただけました。しかし、このときに自分が執筆した報告書のレベルに不満が残ったことから、もう一度しっかり勉強をし直したいと思うと同時に、政策におけるアカデミックな議論の重要性を改めて認識することになりました。この業務をきっかけに、政治・政策における規範的アイディア(理念)の役割に関心を抱き、2013年~2015年の2年間英国に留学をする機会をいただいた際は、このテーマを中心に政治学の研究を行いました。 帰国後は、なるべく自分の業務を学問的議論の文脈に位置付け、行政の立場とは別の視座からも施策を考えるように努めるとともに、アイディアの役割に鑑み、その施策をどのようなものとしてフレームするかということにも注意を払うようにしています。 最近は、業務が忙しくなってきて、論文や本を落ち着いて読むことがなかなかできなくなってきました。いかにして勉強する時間を捻出するか、試行錯誤の毎日です。

自由かつ公正で活力のある社会の実現へ

基本計画の全体方針の企画・立案を担当

様々な方からの知見を基本計画改定につなげる

学問的議論を業務に活かす

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅵ

学生へのメッセージ

 内閣府は、時には未知だったり、困難だったりする課題に対し、その解決の方向性を示すことを期待されている役所だと考えています。その期待に応えるためには、受け身になるのではなく、まず、自分たちは何を実現したいかを考え、提案しなければなりません。新しい切り口を考えることのできる柔軟な発想や、能動的に様々な課題と向き合う姿勢、そして、こうしたことを面白いと思えることが、内閣府職員には求められているのだと思います。共に悩み、挑戦してくださる方をお待ちしています。

男女共同参画社会の形成のための推進体制PICK UP!

すべての女性が輝く社会づくり本部・ 最大の潜在力である「女性の力」の十分な 発揮による社会の活性化

役割

男女共同参画推進連携会議・ 広範な協働・連携のネットワークを形成、 国民的取組の推進

役割

男女共同参画推進本部・ 男女共同参画担当大臣(副本部長)、全閣僚 施策の円滑かつ効果的な推進

役割

男女共同参画会議

男女共同参画社会基本法 男女共同参画基本計画

・ 基本的な方針・政策、重要事項等の調査審議・ 政府の施策の実施状況の監視・影響調査

役割

関係行政機関 国際機関等

事務局

連携 連携

女性活躍担当大臣

内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

副大臣、大臣政務官

内閣府 男女共同参画局

地方公共団体

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Mission of C

abinet Office

ビジョンと政策で新時代を切り拓く

共生社会政策担当 兼 子ども・子育て本部

須藤 圭亮Sudo Keisuke

政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(総括担当)付参事官補佐(総括担当)兼 子ども・子育て本部参事官(総括担当)付参事官補佐

平成15年 採用 政策統括官(総合企画調整担当)付 参事官(総合企画調整総括担当)付総括担当主査付平成16年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(総括担当)付総括担当主査付   同年 大臣官房総務課審査第1係平成17年 資源エネルギー庁資源・燃料部 石油精製備蓄課石油備蓄専門職平成19年 内閣官房内閣総務官室企画担当主査平成21年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(自殺対策担当)付参事官補佐平成22年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(障害者施策担当)付参事官補佐平成23年 大臣官房総務課課長補佐(調整第3担当)

平成25年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(少子化対策担当)付 参事官補佐(少子化対策企画担当)平成27年 子ども・子育て本部参事官 (子ども・子育て支援担当)付 参事官補佐(企画担当)   同年 石垣市企画部長平成29年 鶴保国務大臣秘書官事務取扱   同年 江﨑国務大臣秘書官事務取扱平成30年 福井国務大臣秘書官事務取扱   同年 大臣官房総務課課長補佐(審査担当)令和元年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐(総括担当) 兼 子ども・子育て本部参事官(総括担当)付 参事官補佐

Profile

 共生社会政策担当では、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、安心して安全に暮らせる共生社会の実現を目指し、子ども・若者育成支援、青年国際交流、子どもの貧困対策、高齢社会対策、障害者施策、交通安全対策等の各省庁に幅広く関わる政策分野について所管しています。それぞれの分野における制度・政策の理念や基本的な方向性を定める基本法を所管し、大綱や基本計画といった政策の基本方針の作成・推進や、白書の作成等を行い、政府全体の施策を統一的・一体的に展開する役割を担っています。 子ども・子育て本部では、少子化対策や子ども・子育て支援に関する政府全体の司令塔的な役割を担っています。少子化対策では、基本法を所管し、政策の基本方針となる大綱の作成・推進や白書の作成等を行うほか、結婚、妊娠・出産、子育ての各段階でのそれぞれのニーズに応じた支援等を行っています。また、子ども・子育て支援では、全ての子どもが健やかに成長できる、また子育てしやすい社会の実現を目指し、子ども・子育て支援法に基づく制度の運営や、認定こども園法に基づく制度の一元的窓口機能等を担っています。例えば、2019年10月から消費税財源を活用し実施している、幼稚園・保育所・認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子供たちの幼児教育・保育の無償化等も担当しています。

 両部局全体の総括担当をしており、具体的には、部局全体がうまく機能し、高いパフォーマンスが発揮できるよう、各政策の企画立案や調整に当たって、サブ・ロジ両面にわたって必要なアドバイスやサポートをすることを始め、国会対応に係る調整、所管法令や組織の管理・調整、広報・報道対応、施策の政策評価に係る調整等を担当しています。所管する政策分野が非常に幅広く、また両部局を合わせて約200人の職員が所属する内閣府でも有数の大部局であるとともに、その約半数は、各省庁や地方自治体、民間企業等からの出向者で構成されているという特徴があります。様々な専門性とバックグラウンドを持ったスタッフが互いに有機的かつ効果的な連携を図りつつ、それぞれの能力を最大限に発揮して、より大きな成果を上げることができるよう心掛け、日々の業務に取り組んでいます。 学生へのメッセージ

 人口減少を始めとした社会構造の変化、科学技術・イノベーションの加速度的な進歩、経済・社会における価値観の多様化、外交・安全保障環境の変化など、私たちは時代の激しいうねりの真っ只中にあります。今を生きる一人の人間として、この国が将来にわたっても豊かで誇れる国であり続けるために力を尽くしたい、それにより自己実現を図っていきたい、そんな貴方の挑戦を待っています。共に新しい時代を切り拓く仕事をしていきましょう。

 内閣府は、少子化対策や子ども・子育て支援を始め、各省庁の所管にも広く関わる政策を扱いますが、国家や社会の将来の在り方に関するビジョンを描き、一つの方向性をもって、それを現実の形にしていくことが必要です。そのためには、自らの担当する分野における現場の実態・課題をよく把握することは勿論のこと、各省庁が所管する関係の個別制度・政策の背景や運用状況にも知悉した上で、それらを俯瞰的にみて、具体的にどの部分にどのように手を加えればよいのか、またそれぞれの作業の手順や各所への調整の工程を含め、綿密かつ周到に組み立てることが必要です。まさに、マクロとミクロを行き来する視点と能力、これが内閣府に求められる最大の価値ともいえます。 2015年4月からの子ども・子育て支援新制度の施行準備を担当した際、消費税財源を活用した幼児教育・保育・子育て支援の「量の拡充」(例:保育の受け皿整備 等)と「質の向上」(例:保育士等の処遇改善、職員配置の改善 等)に係るメニューづくりや制度の施行に必要な各種基準の作成等に当たって、関係省庁と連携しつつ、子ども・子育て会議の運営や、地方自治体、子育て支援関係団体、経済団体、与党等の各方面への合意形成のための調整に奔走しました。また、障害者権利条約の締結に向けた障害者制度改革を担当した際には、「社会モデル」を基本とした改革の目指すべき方向性やそのロードマップを描き、その実現に向け、障害者基本法の改正を始め、個々の具体の制度改正の内容について日々関係省庁と侃々諤々の議論を重ねながら、当事者と共に、その切実なる思いを一つひとつ形にしていったことなどは特に印象に残っています。これらは、内閣府が担う責任と可能性の大きさを改めて実感した様々な経験のうちのごく一部ですが、現在の仕事に取り組む上でも大きな糧となっています。

 内閣府で仕事をする大きな魅力の一つは、総理のリーダーシップを支える役所として、国家や社会の将来の在り方に関わるビジョンづくりに携わり、政府内外の多様な知見やバックグラウンドを持った方々の英知を結集して、まさに未来を描く「知恵の場」として政府全体の政策の方向付けをしていくダイナミズムにあると思います。ただ、その際にも、やはり一次情報から形成される現場感覚はかけがえのないものです。いかに多くの現場を見て、当事者の声を聞き、切実なる状況に思いを致して、その具体的な改善のために何ができるか、この姿勢が、特に様々な政策のグランドデザインを描く内閣府の職員にこそ重要なものとつくづく思います。 私は過去に、地方創生の取組の一環で、沖縄県石垣市に企画部長として赴任した経験があります。国境離島の地方行政の現場で、日々様々な場所に足を運び、真っ黒に日焼けしながら、離島の不利性を克服する産業の創出や人材育成、観光振興、移住・定住支援等に取り組んだ経験は、それ以降、様々な政策を考える際の一つの原点にもなっています。 また、私自身、現在一歳の子供がおり、プライベートでは一人の父親として、育メンレベルを上げるべく日々奮闘中?ですが、子育て支援に関する様々な制度やサービスを利用する一人のユーザーとしても日々タイムリーな気づきや発見があり、その一つひとつが貴重な経験です。

より良い社会の実現を目指して

個々の専門性の有機的な連携を

マクロとミクロを行き来する視点と能力

常に現場感覚を大切に

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅶ

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共生社会政策シンボルマーク 子ども・子育て支援新制度シンボルマーク

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CRO

SS TALK 02

EBPMについて

中道 紘一郎Nakamichi Koichiro

政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(総括担当)付参事官補佐

平成15年 採用 大臣官房総務課調整第2係平成16年 国民生活局企画課個人情報保護推進室平成18年 財務省主計局調査課調査第五係長平成20年 行政官庁長期在外研究員 (ニューヨーク州立大学大学院)平成22年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(経済対策・金融担当)付参事官補佐平成23年 大臣官房総務課課長補佐平成24年 消費者庁総務課課長補佐平成27年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐平成28年 外務省OECD日本政府代表部一等書記官令和元年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐

Profile

尾原 知明Ohara Tomoaki

大臣官房企画調整課EBPM推進室長(兼大臣官房企画調整課長)

平成 5年 採用 経済企画庁長官官房企画課平成12年 経済企画庁調査局海外調査課課長補佐平成13年 政策統括官(経済財政-景気判断・政策分析担当)付 参事官(海外経済担当)付参事官補佐   同年 JETROニューヨークセンター所員平成16年 国土交通省国土計画局総合計画課課長補佐平成18年 大臣官房総務課企画調整官平成20年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐平成22年 大臣官房市民活動促進課課長補佐平成23年 大臣官房政策評価広報課課長補佐(政策評価担当)平成24年 同 企画官(政策評価担当)平成25年 消費者庁総務課広報室長平成27年 消費者庁消費者安全課長平成28年 連合総合生活開発研究所主任研究員平成29年 消費者庁消費者教育・地方協力課長令和元年 大臣官房企画調整課長

Profile

 内閣府での「EBPM」。 中道 いま、政府全体では「EBPM」が推し進められています。EBPM推進室長として、尾原課長はとりまとめに当たられています。この流れについて、どのようにお考えですか。 尾原 EBPMとは、”Evidence-Based Policy Making(証拠に基づく政策立案)”の略です。EBPMは、政策の企画をその場限りのエピソード(例:こういう話を見聞きした等)に頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることを目標としています。EBPMについては、内閣官房長官を議長とする統計改革推進会議の「最終とりまとめ」(平成29年5月)などに基づき、政府全体の推進機能を担うEBPM推進委員会の設置や、各府省において「政策立案総括審議官」が新設されるなど、政府全体で取組が進められています。20世紀までのキャッチアップ(追いつけ、追い越せ)の段階から、これまで経験したことがない様々な課題に挑戦する、いわば「課題先進国」ともいうべき立ち位置にある我が国において、こうした取組は、政策の有効性を高めるとともに、国民の皆様からの、行政に対する信頼確保に資するものだと考えています。 中道 私たち内閣府においても、府内横断的な推進体制として「内閣府本府EBPM推進チーム」を設置し、政策立案総括審議官のもとで、EBPMの取組を行っていますね。 尾原 そうですね。令和2年度予算の新規要求事業を対象として、「ロジッ

クモデル(施策の目的を達成するまでに至る論理的な因果関係を示す仮説)」を作成し、EBPMの実例創出に取り組みました。その際、現場からは、やはり業務時間中は多忙であり、ロジックモデルの作成に至るまでの十分な検討を行うことは困難との声があったことから、有識者によるワークショップを開催し、担当部署が有識者に直接相談しながらロジックモデルづくりを行うような場を提供しました。そのほか、職員向けのEBPM説明会の開催や、職員がロジックモデルを作成する際の有識者へのメール相談といった支援を行い、職員のリテラシーの向上を図っています。 特に、内閣府EBPM推進室として初めての試みであった、ロジックモデル作成のための有識者によるワークショップについては、参加した職員からも好評であったため、令和2年度以降も、継続的に開催していきたいと考えています。 中道 私が所属する経済社会システム担当では、経済・財政一体改革の推進を担っていますが、同時に、内閣官房行政改革推進本部事務局、総務省行政評価局と並んで、政府の中でEBPMを推進する主体の1つとして位置づけられています。 これは、我々が、逼迫する財政と少子高齢化社会に直面する中で、政策効果に基づくメリハリのある予算が実現されるよう、各府省の歳出改革に向けた取組を点検し、各府省のEBPMの質の向上を図る、という責務を与えられているためです。 具体的な取組としては、まず、経済・財政一体改革の一層の推進を図る

ため、2018年に「新・経済財政再生計画」を定め、同年末には、この計画で示された社会保障や社会資本整備等といった主要分野ごとの重要課題について、各省と議論してそれぞれの改革を具体化した「改革工程表」を取りまとめ、各省に実行してもらっています。改革工程表では、各施策の毎年度の具体的な取組を明記するとともに、各施策が生み出すアウトプット(達成度)や、アウトプットによって導かれるアウトカム(効果)について、目標を達成するための進捗状況を測定するための指標(KPI:Key Performance Indicator)を可能な限り定量的に定め、さらにアウトカムによって達成される大きな政策目標を示しています。つまりは各施策と、それが目指す成果への論理的な道筋を示しているわけです。この道筋をロジックモデルと呼んでいますが、我々はこの道筋を見据え、政策目標への近づけるよう、KPIの進捗等を点検・評価し、必要な取組を盛り込んで、毎年、改革工程表を改定し、政策効果に基づくメリハリのある予算が実現されるよう取り組んでいます。

 「ロジックモデル」構築の重要性と推進の課題。 尾原 これは、とある先生に教えていただいたのですが、EBPMの在り方を考える際、ジェネラリストの行政官としてEBPMの考え方などのリテラシーを身に着けることと、スペシャリストとしてEBPMの分析手法を調査研究するという、二つの観点が必要になります。EBPMという聞き慣れない言葉からは、統計学を駆使した高度な分析だけをイメージされるかもしれません。しかし、両者は区別して考えた方がよいと思います。EBPM推進室長としては、政策立案に携わる職員がデータだけに振り回されずに、まずは、課題、解決策、成果を考え、「ロジック」を丁寧に構築していくことが大事だと考えます。今回実施したワークショップでも、若手職員がホワイトボードを使って有識者と活発に議論しながらロジックモデルを作成する場面に立ち会うことができましたが、こうした場を通じて、職員が政策のあるべき姿を見つめ直すことが重要だろうと考えます。 中道 EBPMの重要性については様々な意見があるかと思います。例え

ば、OECDではアカウンタビリティの向上、経験の蓄積や腐敗の防止といった観点からの有用性が指摘されています。実際にEBPMを推進すること自体に反対のある国は少ないと思いますが、一方で、実行するにあたっては様々な課題もあります。個人的には、まずは、質の高いEBPMを実施するためのデータの収集が重要だと思いますが、その他にも担当者のEBPMに対する理解や、これに取り組むそもそもの人的リソース不足などもあるかと思います。また、特にロジックモデルに関

しては、本来的には、まずは達成したい政策目標があって、そのために必要なアウトカム、アウトプットを定め、アウトプットを生み出すための最適な施策を検討するというのが理想的な在り方かと思います。ただ、日本の現状を見ると、どちらかというと、既存の施策があって、それぞれの施策と政策

目標とのつながりを説明するというアプローチがとられているような気がします。EBPMでは、まずは政策目標を考えてから施策を検討するという思考に変えていくことが重要ではないかと思っています。また、日本では、政策評価、行政事業レビュー、EBPMといった関連した取組が並立した形となっており、限られたリソースを有効に活用するという観点からも、いずれ大胆な統廃合、見直しに迫られることも考られます。

 いかなる部署においてもEBPMのリテラシーを。 尾原 ジェネラリストとしてEBPMのリテラシーを身に着けることはもちろん必要ですが、内閣府の場合、リテラシーを身に着けることにとどまらず、スペシャリストとしてEBPMに関する調査研究の担い手として活躍できる人や、研究成果の質を見極める能力(目利き力)を身に着けた人が増えて

いくことも期待されています。 内閣府は、多様なバックグラウンドを持つ職員が、様々な政策・施策の目標を達成するために働く場です。職員は、いずれの部署に配属になっても、 EBPMのリテラシーを身に着け、課題に気づき、解決策、成果を他者に伝える能力が必要とされます。さらに、スペシャリストの立場から政策分析を深く掘り下げる機会もあります。このような職場環境において、内閣府は、組織のなかで学び、実践したものを政策立案に再びフィードバックして考えることが好きな人が大いに活躍できる職場だと思います。 中道 EBPMを実施する上で必要となる能力とは、目標とそのために必要となる政策を、適切なデータをもって論理的に説明できる能力だと思っています。もちろん、これは国家公務員全般に求められる能力ではあると思います。例えば、私は前々職では、経済財政白書の執筆を担当しましたが、自分の考える分析・提言に説得力を持たせるため、適切なデータもって、いかに論理的に展開していくかということに腐心しました。こうした白書の執筆に限らず、データを集め、政策との関係を論理的に説明する能力は、時々のホットイシューを扱う、また幅広い政策分野を担う内閣府の職員には、その基礎となるものであり、特に強く求められる能力だと思います。これから内閣府を志望される皆様には、是非、こうした点を意識していただきたいと思います。

政策の有効性向上と行政に対する信頼確保

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Mission of C

abinet Office

私の愛した沖縄~検証と審議会と海底ケーブル~

沖縄政策担当

谷口 雄介Yaguchi Yusuke

政策統括官(沖縄政策担当)付参事官(企画担当)付参事官補佐

平成19年 採用 大臣官房政府広報室企画担当主査付平成20年 内閣官房副長官補付平成22年 公益認定等委員会事務局総務課法令係長平成23年 内閣官房内閣広報室主査平成24年 東日本大震災復興対策本部事務局局員 復興庁統括官付参事官付主査

平成26年 大臣官房総務課課長補佐 併 内閣官房すべての女性が輝く社会づくり 推進室参事官補佐平成27年 男女共同参画局推進課課長補佐平成28年 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(障害者施策担当)付参事官補佐令和元年 政策統括官(沖縄政策担当)付 参事官(企画担当)付参事官補佐

Profile

 「至高のリゾート」「紺碧の楽園」。沖縄旅行のパンフレットを手に取れば、めくるめく魅惑的なポエムがこれ見よがしに並んでいます。みなさんが思い浮かべる「沖縄」のイメージそのものではないでしょうか。2018年度の入域観光客数が史上初の1千万人を突破するなど、沖縄はいま、世界有数のリゾートとして国内外から大きな注目を集めています。 しかし、そうした姿は、沖縄のほんの一面に過ぎません。 先の大戦では県民の約4人に1人に当たる一般住民が犠牲となり、その後は、四半世紀に及ぶ米軍の占領・統治を受けました。また、本土からは遠隔の地にあり、東北から四国に相当する広大な海域には多数の離島が点在し、更には在日米軍専用施設等も集中しています。 こうした沖縄の特殊事情に鑑み、内閣府では「国の責務」として沖縄振興に取り組んでいます。

 「これまでの沖縄振興を振り返り、検証する。」これが目下の重要任務です。 沖縄では、独自の一括交付金、各種特区制度など、数々の振興策が講じられていますが、これらの根拠となる「沖縄振興特別措置法」の期限が近く到来しようとしています。EBPM(証拠に基づく政策立案)が強く求められる中、まずは、これまでの振興策の現状や課題を明らかにすべく、膨大な指標を様々な観点から分析し、検証を行うとともに、首長や学識経験者等で構成される「沖縄振興審議会」を運営し、俯瞰的な見地から議論を行っています。

 「谷口君には、海底送電ケーブルの整備もやってもらうから。」唐突なスタートでしたが、これ以降、私は小規模離島における海底送電ケーブルの整備や、超高速ブロードバンド基盤の整備を支援する補助金の創設に携わっています。自治体や民間企業だけでは生活インフラの整備が困難な小規模離島向けに、国が直轄で支援に乗り出す。言うは易しですが、厳しい財政状況の下、限られた予算でいかに最大の政策効果を発現できるかが腕の見せ所です。制度設計に当たっては、送電線と通信線を同一の海底ケーブルに内包するスキームを採用するなど、インフラの効率的整備が可能となるよう腐心しました。

 「内閣府は所掌があまりにも広く、専門性が身に付かないのではないか。」との質問を受けることもあります。しかし、内閣府が扱うフィールドの幅広さと、それに伴うキャリアパスの多様さこそが、狭義の「専門性」よりも大切な「多様な視座」の源泉だと考えています。 復興庁時代は被災自治体に足繁く通い、ひざ詰めで徹底的に議論しましたし、現在も沖縄に通いつめ、現場での議論を大切にしています。霞が関では見えないものがそこにあります。 男女共同参画局では「女性活躍推進法」の制定、共生社会政策担当では「障害者基本計画」の策定や「障害者差別解消法」の見直しの検討に携わりました。いずれも各省庁や自治体、民間企業はもとより、多数の国民の生活に密接に関わる施策であり、関係者の意見集約や調整は大変な面も多くありますが、折衝を重ねるうちに、相手方の「ものの見方」が少しずつ明らかになり、いつしか「勘所」がつかめるようになります。沖縄振興もステークホルダーが極めて幅広いですが、こうした経験をフル活用し、常に様々な視座から捉え、決して独善的にならないよう心がけています。

「国の責務」として沖縄振興に取り組む

俯瞰的な見地から沖縄振興を検証

国でなければできない支援

キャリアパスの多様さが「多様な視座」の源泉

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅷ

PICK UP!

沖縄の特殊事情 と 沖縄振興の仕組み沖縄の特殊事情

国の責務としての沖縄振興

沖縄振興計画による振興策

先の大戦における苛烈な戦禍。その後、四半世紀(27年間)に及ぶ米軍の占領・統治。地理的事情 本土から遠隔。広大な海域(東西1,000km、南北400km)に多数(約160)の離島。社会的事情 国土面積0.6%の県土に在日米軍専用施設・区域の70.3%が集中。脆弱な地域経済。 など

歴史的事情

■沖縄振興特別措置法 (全会一致の特別立法)■沖縄振興基本方針 (内閣総理大臣が策定)■沖縄振興計画 (沖縄振興基本方針に基づき、沖縄県知事が策定)

● 必置の特命担当大臣 ● 内閣府沖縄担当部局 (政策統括官、沖縄振興局)● 国の総合的な出先機関 (沖縄総合事務局)● 全閣僚等から成る協議の場(沖縄政策協議会)● 国会における特別委員会 (沖縄及び北方問題に関する特別委員会) など

● 沖縄振興予算の内閣府への一括計上● 沖縄独自の一括交付金制度● 他に例を見ない高率補助 (9/10等)● 各種特区制度、優遇税制● 沖縄振興開発金融公庫 など

昭和47年・本土復帰

<第1次計画>

昭和57年

<第2次計画>

平成4年

<第3次計画>

平成14年

<第4次計画>

平成24年 現在

<現行計画>

主として「本土との格差是正」 主として「民間主導の自立型経済の構築」

内閣府沖縄担当部局予算額(累計):13.1兆円(令和2年度まで)

現行法の期限は2022年

(令和4年)3月

学生へのメッセージ

 未知の世界への先入観は万人の判断を曇らせます。だからこそ私は、これまで経験したことのない部署への異動を希望し、常に新たなフィールドに身を置くよう心がけています。内閣府という組織は、あまり馴染みのない方が大半だと思いますが、だからといって敬遠せず、ぜひ一度、業務説明会などで「中の人」に会ってみてください。各省庁や自治体、民間企業、大学研究者など、多様なバックグラウンドを持つメンバーが、一人ひとり違う強みや経験を活かして互いに補い、支え、高め合う「知恵の場」の魅力が必ずや伝わると思います。みなさんと一緒に働けることを楽しみにしています!

※県において策定

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Mission of C

abinet Office

イノベーションで日本の変革を目指す

科学技術・イノベーション担当

藤原 智史Fujiwara Satoshi

政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(総括担当)付参事官補佐

平成24年 採用 男女共同参画局総務課総括係平成25年 文部科学省科学技術・学術政策局企画評価課平成27年 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局平成28年 大臣官房総務課審査第1係長平成31年 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐

Profile

 21世紀に入って科学技術は大きな進展を遂げ、ICTの急激な進化、「もの」から「コト」への変化等の価値観の多様化、競争と協調の両面からのグローバル化、資源・エネルギーの制約、少子高齢化、自然災害のリスクなど、近年は経済・社会が大きく変化を続けています。このような状況にあって、科学技術・イノベーション政策もより一層推進していく必要があり、内閣府に設置された総合科学技術・イノベーション会議の下、科学技術・イノベーション担当が各省の中心となって、科学技術基本計画や統合イノベーション戦略の企画立案・総合調整を行っています。

 私は、2020年の通常国会への提出に向け進めている法案の検討作業のうち、特に組織に関する部分を担当しています。科学技術・イノベーション政策をより強力に推進していくための組織を作るため、どのような役割を担うべきか、どのように法案を作成するかなどを検討しながら実現に向けて進めています。特に、多様な業務を持ち、科学技術・イノベーション政策と様々なかかわり方をしている関係部署との調整においては、丁寧に打合せしつつ、率直に意見を交わし、一つずつ問題を解決しながら検討を進めています。

学生へのメッセージ

 内閣府は、各省庁だけでなく、地方自治体、大学・研究機関、民間企業など、非常に多くの業種から出向していただいている方々と机を並べており、経験や文化の違いも含めて日々楽しく刺激を受けながら仕事ができる場所です。最先端の政策の企画立案を、多種多彩な上司・後輩・同僚と一緒にやりたいと思う方をお待ちしております。

 4年目に在籍していたまち・ひと・しごと創生本部事務局は、当時、新しく始まった「地方創生」を担当しており、新しい地方交付金、企業版ふるさと納税制度の新設、それらを実現するための法案など、政策の企画立案の最前線と言える部署でした。そこでの仕事は、都道府県・市町村など各地域の最新情勢を踏まえつつ、国会や党の動きにも対応して、政府の方針となる「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定する作業が進められていました。さらに、文化庁などの政府機関を地方に移転するための方策も検討が始まり、個々の府省庁との調整・折衝には苦労することとなりました。 いずれの業務も、地方創生に関係するほぼすべての省庁と協力して政策を組み立て、調整する仕事であって、まさに内閣府が行う企画立案・総合調整であり、当時の業務で得た経験、同僚や各省庁との人のつながりは、その後の様々な部署での業務に活きています。

 内閣府では、世の中で問題となっていることを解決するための政策を扱っています。そのため、日常の生活で問題意識を持つことは、政策を考える上でも役に立ち、その逆に政策を進める際に立ち止まって考えてしまう課題は、現実の社会で当てはめて振り返るとすっきりとした道筋が見えることもあります。 また、取り組んでいるテーマが非常に幅広く、自身が経験した業務でも、男女共同参画、科学技術・イノベーション、子ども・子育て、地方創生と様々で、どの政策も様々な角度から問題をとらえる必要があり、得意な分野が全く異なる職員がそれぞれ集まって問題解決のために頭を悩ませています。そのため、学生の時に学んだ内容も、自ら興味関心を持って勉強した分野も、役に立つ場面がありました。

イノベーションによる経済社会の発展

変化する政策にあわせた組織づくり

地方創生で得た経験

日常生活から考える問題意識

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅸ

統合イノベーション戦略2019の全体像

第6期科学技術基本計画の本格検討開始

イノベーション司令塔機能のさらなる強化

PICK UP!

●研究力強化・若手研究者支援総合パッケージの策定●大学・国研の共同研究機能等の外部化●大学ガバナンスコードの策定、将来ビジョンの提示●初等中等からリカレントまでの人材育成改革

●破壊的イノベーションを目指したムーンショット型研究開発●社会実装を目指した研究開発 (SIP、PRISM)

知の創造

知の源泉

統合イノベーション戦略

2019のポイント

イノベーション・エコシステムの創出

戦略的な研究開発の推進

●政府一体の取組と本格的実施●官民連携プラットフォームの創設

●Society 5.0データ連携基盤整備の本格化/研究基盤データ整備/EBPMの促進●スマートシティ等のアーキテクチャー構築

●政府事業イノベーション化拡大(公共事業から他分野への展開)●公共調達ガイドラインの普及・実践 

●エコシステム拠点都市形成〔大学(起業家教育)、民間組織(アクセラレーション)等〕

知の社会実装Society 5.0の実装(スマートシティ)

政府事業・制度等におけるイノベーション化の推進

創業環境の徹底強化

●国際スマートシティ連合の枠組み構築●国際研究開発拠点の形成 (バイオ、量子)

●ロードマップ策定の国際議論を主導●プラットフォームの構築

知の国際展開

国際ネットワークの強化

SDGs達成のための科学技術イノベーションの推進

●環境エネルギー●安全・安心●農業・宇宙・海

●AI技術●バイオテクノロジー●量子技術

強化すべき分野での展開応用分野基盤的技術分野

Society 5.0の社会実装(スマートシティの実現)創業/政府事業のイノベ化

1研究力基盤の

強化

2国際連携の抜本的強化

3最先端(重要)分野の重点的戦略の構築

4

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Mission of C

abinet Office

災害対応の旗振り役

防災担当

和田 真穂Wada Maho

政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)付応急体制担当主査

平成26年 採用 政策統括官(共生社会政策担当)付 参事官(総括担当)付総括担当主査付平成27年 消費者庁表示対策課平成28年 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局局員平成31年 政策統括官(防災担当)付 参事官(災害緊急事態対処担当)付応急体制担当主査

Profile

 防災部局は、平時から防災基本計画の企画・立案や訓練の実施、発災時には被害状況の集約や非常災害対策本部等の会議の運営、政府調査団等の現地への派遣、復旧・復興に当たっては激甚災害の指定や避難所の環境改善等、災害に関する一連の対応を行い、政府の災害対応の旗振り役となっています。河川や道路の復旧は国土交通省、自衛隊の派遣は防衛省と、各省庁が所管について対応するのに対し、内閣府の防災担当はより大局的に、各省庁の横串となることが求められます。 その中でも、災害緊急事態対処担当は、発災時の初動対応を担当します。各省庁から収集した被害情報を基に、関係省庁を集めて初動対応方針を策定するほか、被害が大きい場合には現地入りして自治体との連絡・調整や自治体の初動支援を担います。発災時に迅速に動けるよう、平時から、首都直下地震・南海トラフ地震等を想定した対応マニュアルの整備や通信施設・設備の維持・管理も行っています。

 大規模な災害が発生すると、直ちに官邸の危機管理センターに参集し、速やかな情報収集とともに、緊急災害対策本部・非常災害対策本部等の立ち上げ手続きに当たります。 また、発災直後を中心に、内閣総理大臣や防災担当大臣等が行う被災地の視察を調整します。明日何県に行く、と急に決まることも多く、状況把握や被災者への対応に追われる自治体への負担を最小限にしながら、他方で、総理や大臣が陣頭指揮する姿により、被災者の方に安心いただくことも大切です。視察場所の決定、知事・市町村長等との意見交換の準備や取材の調整等、様々な事柄を速やかに行うことが重要です。 平時には、各省庁や自治体と連絡をとり、直近の災害に対する初動対応の検証や、マニュアルの改定を行っています。

 令和元年台風第19号が上陸した際は、東京でも交通規制が行われ、当日はニュースが台風一色になり、視察先の大臣の様子がテレビに映るなどし、自分の関わっている仕事が世間の注目を集めるのは、身の引き締まる思いでした。防災担当は、自然に大きく左右される仕事です。昨年の秋は、次々来る台風に気の抜けない毎日であり、大変な状況にある被災地の方々のことを考えながら必死で目の前の業務に当たりました。 消費者庁出向時には洗濯表示の改正に関わり、今でも服のタグを見ると当時を思い出します。平成28年12月から国際標準化の流れを受けて記号が一新され、ポスターやチラシを作成・配布したり、かるたを作って子ども霞が関見学デーで小中学生に説明したりと、広報にも力を入れました。やはり、生活に直結する仕事は特に印象深いです。

 入府1年目に部局窓口としての経験を通して学んだ、相手方がほしい情報を先回りして整理して伝えること、普段から何気ないコミュニケーションを大切にすることを心掛け、より多くの付加価値を生み出せるよう努めています。将来的に、「あの人がいるなら安心だ」と思ってもらえるような職員になるのが目標です。 首都直下地震が起これば東京で大きな被害が予想されますし、南海トラフ地震が起これば地元の四国にいる両親が心配です。内閣府職員の行動指針の「国民目線」「社会の一員」という言葉を胸に、一人の生活者としての感覚を大切に、日々業務に取り組んでいます。

各省庁の横串となることが求められる防災部局

発災直後に求められる速やかな調整

業務は私たちの生活と結びついている

一人の生活者としての感覚を大切に

内閣府のミッションMission of

Cabinet Office

File-Ⅹ

災害発生時における政府の応急対応

PICK UP!

災害発生

非常災害対策本部設置

本部の運営

・各省庁の対策とりまとめ、総合調整・政府調査団派遣の調整・現地災害対策本部の運営    等

本部長:防災担当大臣 本部長:内閣総理大臣緊急災害対策本部設置

臨時閣議による本部設置

本部の運営

・各省庁の対策とりまとめ、総合調整・政府調査団派遣の調整・現地災害対策本部の運営    等

緊急参集チーム(関係省庁局長級)による事態把握、初動対処集約・調整等被害状況、対応状況等の情報収集・集約

・ 画像情報(ヘリコプター、監視カメラ等) ・ 関係省庁、公共機関の第一次情報 等

本部設置を協議すべき状況

当面、本部設置は必要ない状況

●関係省庁災害対策会議の開催●各省庁応急対策の調整●政府調査団派遣の調整●現地災害対策室の運営   等

情報集約及び応急対策調整

●関係省庁、公共機関の情報収集・集約●政府内の情報配信・共有●内閣府調査チーム派遣

情報収集(被害状況、対応状況)

●24時間体制●非常参集要員及び各省庁に一斉連絡

災害情報の受信・連絡

関係閣僚緊急協議による対処方針協議等

被害規模の把握

要員参集概括的な

被害情報として

学生へのメッセージ

 共生社会、品質表示、地方創生、防災と、幅広い分野の仕事に取り組んできました。どの部署でも他省庁や自治体、民間企業からの出向者が多く、異動の度にたくさんの人と知り合うことができました。 新しい分野の仕事、新しい同僚との仕事を前向きに、積極的に楽しめる方であれば、内閣府にとても向いていると思います。一緒に働けるのを楽しみにしています。

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Skill Developm

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 入府後数年経つと、本人の能力、適性などに応じて他省庁や地方公共団体などとの人事交流、在外公館や国際機関での海外勤務などの機会も与えられます。少数ではありますが、地方支分部局である沖縄総合事務局で勤務する人もいます。また、経済分析などの専門知識を身に付けて大学の教職に就く機会もあります。

他省庁との主な人材交流 内閣府

他省庁等

・内閣官房・復興庁・宮内庁・公正取引委員会・消費者庁・金融庁・総務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・防衛省 など

・福岡大学・政策研究大学院大学・連合総合生活開発研究所・世界平和研究所・国際協力機構研究所・科学技術振興機構・東京財団政策研究所・ISEAS (Yusof Ishak Institute) など

・アメリカ合衆国・ロシア・中華人民共和国・タイ・モロッコ・OECD(パリ)・EU(ブリュッセル)・JETRO(ニューヨーク) など

・滋賀県・岡山県総社市・沖縄県金武町・国立公文書館・北方領土問題対策協会・国民生活センター・日本銀行・沖縄振興開発金融公庫・地域経済活性化支援機構・沖縄科学技術大学院大学学園

大学・研究機関等 在外公館等 地方公共団体等・民間団体・出先機関等

出向について

田原 知世Tahara Chise

内閣官房内閣広報室参事官補佐(総括・企画・分析担当)

内閣官房 伝える責任の重みを感じて

政府のトップステートメントを世界中に届ける 総理、官房長官の発言は国内外を問わず注目され、一両日中に世界中で報道されます。内閣広報室では、その緊張感の下、総理、官房長官の記者会見を始め、内閣の最重要政策など官邸発で内外に発信すべき政策の広報を行っています。私は、記者会見や官邸ホームページ・SNS発信の内容等を管理するほか、内外の中長期の情勢を分析し、先々の広報の見通しを検討するとともに、各種広報に関する官邸と各省庁との調整を行っています。

内閣府は日本を導く内閣の屋台骨 内閣広報室では、基本的に、総理、官房長官出席の下で議論する省庁横断、政府全体で取り組む政策の広報を行っています。日々の広報を振り返ればその多くが内閣府の政策で、内閣府が全く関わらないものを見つける方が難しい。経済財政や少子・高齢化への対応等、国の在り方そのものに関わる政策について、内閣府が将来あるべき姿を基本方針として描き、内閣の屋台骨となって我が国を支えている。このことを、日々の広報から実感しています。

説得力ある政策形成を目指して 令和元年、台風19号が列島に甚大な被害をもたらしました。台風通過の翌朝、私は急ぎ官邸に向かい、閣僚会議と臨時の官房長官記者会見の準備、災害時広報を進めました。そんな中、幹部から頂いた言葉が忘れられません。「『被災者』でなく一人ひとりに合った広報を」。政策のユーザーが限られる各省庁と違い、内閣府では国民全体に影響する政策が殆ど。この言葉のように、具体的な「一人」を想像して取り組んだ仕事がどれだけあるだろうかと内省しました。 内閣府で、国民全体と国の将来の利益に適う政策を目指し総合調整を行う上でも、様々な利害を持つ国民に一層想像力を働かせ、説得力ある政策の実現に取り組みたいと思います。

出向者からのメッセージ

平成19年 採用 政策統括官(沖縄政策担当)付参事官 (総括担当)付企画調整第1担当主査付平成20年 大臣官房政策評価広報課政策評価係平成22年 同 政策評価第1係長   同年 育児休業平成24年 日本学術会議事務局企画課専門職平成26年 沖縄振興局沖縄科学技術大学院大学企画 推進室専門職平成27年 同 専門官平成28年 消費者庁消費者安全課事故調査室課長補佐 (食品事故調査担当)平成29年 消費者庁総務課課長補佐(総括第一担当)平成30年 消費者庁総務課課長補佐(政策立案推進担当)   同年 内閣官房内閣広報室参事官補佐 (総括・企画・分析担当)

Profile

石田 潤一Ishida Junichi

復興庁統括官付参事官付参事官補佐

復興庁 未曽有の大災害からの復興と創生

復興10年を迎え、これまでの総括とこれからを考える 復興庁は、東日本大震災からの復興に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ることを任務とする内閣直属の時限組織であり、関係機関との総合調整や行政各部の事業の統括、監理等を所掌しています。 私は、基本方針の策定や復興推進会議の運営等、復興行政全体の政策面に係る事務調整を担当しています。 現在、復興期間10年の最終年度に向けて、これまでの復興施策を総括し、新たな期間に備える重要な節目を迎えています。令和元年末の「復興・創生期間後の基本方針」策定に当たっては、昼夜、休日を問わず直属の参事官と準備を整え、文字通り「毎日」、事務次官室で熟議を重ねるという、厳しくも手応えのある日々を経験しました。

社会情勢に応じた調整機能を発揮する 出向期間を通じて、外部機関からは、領域横断的な新たな課題の発生に当たり、内閣府の調整機能への期待が見受けられます。時々の社会情勢や関係機関の需要を汲み取り、必要な領域で調整機能を発揮することが、内閣府の存在意義の一つと考えます。

貴重な「経験値」を、今後の仕事に活かす 復興行政は、被災地の「現場」を中心とする領域であり、国と地方の関係に留意しつつ、緊密かつ丁寧な調整が求められます。政策形成、遂行に当たり、現場に関する理解は不可欠であり、復興庁の知見や感覚を、内閣府に持ち帰りたいと考えています。 実務的には、これまでの出向を通じて、災害関連の法制度、実動、復興までの一連の専門性が構築でき、今後、防災行政を所掌する内閣府において、この経験を活かして貢献していく所存です。 また、他機関の組織・所掌の知識や職員との関係性も、今後の業務に資するものです。例えば、防衛省への出向経験は、災害対応やPKO業務の支えとなりました。復興庁出向も、様々な観点から貴重な「経験値」と考えます。

平成23年 採用 消費者庁消費者情報課 併 同庁政策調整課平成24年 政策統括官(防災担当)付 参事官(総括担当)付主査付 兼官 防衛省運用企画局 事態対処課国民保護・災害対策室平成26年 公益認定等委員会事務局審査監督調査官平成27年 政策統括官(防災担当)付 参事官(総括担当)付総括担当主査平成28年 政策統括官(防災担当)付 参事官(総括担当)付 政策企画・法制担当主査平成29年 国際平和協力本部事務局参事官補佐令和元年 復興庁統括官付参事官付参事官補佐

Profile

由布 和嘉子Yufu Wakako

滋賀県 副知事

滋賀県 内閣府の経験を県庁力向上に活かす

副知事の職に就いて 副知事の業務、役割は色々ありますが、各部局からの案件の対応は重要な仕事の一つです。県庁の仕事の半分を担当していますので、大半はあまり詳しくない分野のものですが、私の場合、問題の本質は何か、何を重視すべきか、県民に説明できるのかなどを念頭に、解決策を見出していきます。この際留意しているのは、職員と解決の道筋を共有すること。その結論にハラオチした上で今後の対応に当ってもらうとともに、解決の仕方を身に付け、今後に役立ててもらうためです。また、県庁内のタテ割り、部局間の壁の打破も重要で、日々の業務を通じて、知事の目と住民の目をもってあらゆる仕事を見直してもらうよう、職員にお伝えしています。 内閣府の業務には、各省庁のその道のプロと議論しながら、各省庁間で対応しきれない総合調整などがありますので、そうした経験は今の副知事の仕事にダイレクトに役立っています。 国の政策が県庁、基礎自治体である市町、県内各団体等でどのように受け止められているのか、また、国会とは異なる県議会の仕組みなど、今後内閣府に戻り参考になることは多そうです。

内閣府の面白さ 内閣府は、最先端の仕事、既存の枠組みでは対応できない業務が多いです。そのため、既存の考え方、方法に捉われず、どうあるべきか、どうすべきかをゼロから考えることができ、誰の意見かではなくその内容で判断してもらえる土壌があります。組織がフラットで上下の壁が薄いことや、各省庁や民間出身の職員が多くダイバーシティに富んでいることも、そうした面を強化しており、中小企業やベンチャーの良さを持つ官庁と感じています。官庁訪問を通じて、そんな内閣府を体感してみてください。

平成 6年 採用 総理府大臣官房内政審議室調査企画 第1担当主査付平成13年 総務省行政管理局副管理官平成14年 賞勲局総務課課長補佐(企画第二担当)平成17年 内閣官房内閣総務官室参事官補佐平成19年 男女共同参画局総務課課長補佐 (総括・調整担当)平成20年 育児休業平成21年 大臣官房人事課課長補佐(企画担当)平成24年 政策統括官(共生社会政策担当)付参事官 (総括担当)付企画官平成26年 賞勲局審査官平成28年 内閣官房内閣参事官(内閣人事局)平成30年 滋賀県副知事

Profile

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Skill Developm

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長期在外研究員からのメッセージ

花垣 貴司Hanagaki Takashi

在中華人民共和国日本国大使館一等書記官

在外公館 中国経済の激動期に身を置く意義

難しい中国経済の最前線で 「中国経済は、構造改革の速度を加減することで、堅調な成長率が保たれる。」2018年夏に北京に着任した際、多くの中国のエコノミストから聞いた言葉です。しかし、その後中国経済は大嵐に見舞われました。デレバレッジ(債務削減)の副作用拡大や米中貿易摩擦の過熱で経済は翻弄され、さらに新型肺炎の拡大により社会全体が大打撃を受けることとなりました。この間、北京における私の仕事も大いに変化しました。着任当初マクロ経済は至って平穏に見えましたが、月を追うごとに各種経済指標は悪化しました。中国経済を懸念する声が高まり、内閣府幹部を当地のエコノミストヒアリング(20人弱)に案内し、当館幹部への経済指標説明の機会も増加しました。 内閣府から中国への出向者は、大使館のエコノミストとして活躍することが求められます。専門性が認められ誇らしい一方で、責任も伴うものであり、自助努力が求められます。中国経済の解釈には独特の難しさがあり、定量的なデータ分析に加えて、政治アナリストのような定性的な情報分析や、関係者との意見交換も欠かせません。

専門性を高めつつ、幅広い分野にも対応する 大使館の業務では、日中関係の改善・深化に伴い、大臣を始め数多くの出張対応や協力覚書の締結を担当しました。内閣府からの唯一の出向者として、経済に限らず女性活躍や地方創生といった分野も担当しています。また新型肺炎の勃発後は日夜全館体制で武漢在住邦人の緊急帰国の手配にあたりました。日中の経済取引のチャネルが多様化し太くなる中で、中国経済の規模とボラティリティの増大が同時進行していることは、中国経済が日本にもたらす影響が、チャンスとリスクの両面で拡大していることに他なりません。こうした時期に中国の最前線に身を置けることは得難い経験です。内閣府では、ジェネラリストとして幅広い分野を担当する(両手を広げる)とともに、専門性を高める(深く根を張る)「T字型人間」になることが推奨されています。私はデータ分析を専門としてきましたが、この地の経験で、「中国」という二本目の足を加える機会を得られました。大きく深いこの分野にしっかりした根を張れるよう、更なる取組を続けます。

平成19年 採用 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(総括担当)付平成20年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(経済見通し担当)付平成22年 同 政策企画専門職   同年 大臣官房企画調整課総括係長平成23年 行政官長期在外研究員 (ロンドン大学(LSE)・ウォーリック大学)平成25年 経済社会総合研究所研究官平成27年 内閣官房副長官補付参事官補佐平成30年 外務省在中国日本国大使館一等書記官

Profile

坂田 俊Sakata Shun

行政官長期在外研究員

米国シカゴ大学

Evidence-Basedな官庁エコノミストを目指して

アカデミックな環境で経済学を学びたい 私は、理系学部出身であり、これまでアカデミックな環境で体系的に経済学を学んだことがありませんでした。入府以来、折に触れ経済学の体系的かつ専門的な知識の必要性を痛感し、そのような知識を習得したいと考え留学を希望しました。また、国際的な環境に身を置いて視野を広げたいと考えたことも留学を希望した理由の一つです。

景気動向の分析を向上させる 私は、景気動向の分析業務に活かしたいと考え、経済学と統計学の授業を履修しています。私が所属するコースは定量分析に重きを置いたカリキュラムになっており、プログラミング技術を含む様々な分析スキルを習得することができました。今後、経済分析業務を行うに当たり、これらのスキルを活用することで、より多角的で正確な分析ができるのではないかと感じています。

様々なバックグラウンドを持った方と仕事をする強み 内閣府では、他省庁に比べ本府職員の数が比較的少なく、他省庁や民間企業等から出向中の方々と協力して日々の業務に当たっています。様々なバックグラウンドを持った方と仕事ができる環境は、常に刺激にあふれています。(そのような環境での経験が活きたのか、「多様性の国」アメリカでの生活にもスムーズに馴染むことができました。)

実践的な官庁エコノミストに 知識をいくら身につけても、実際に活用しなければ意味がありません。2年間の留学で学んだ経済学及び統計学の知識を活かすとともに、国籍や文化、年齢等が異なる友人達との公私に渡る交流を通じて得た経験を糧とし、官庁エコノミストの一端を担う者として、志高く業務に邁進したいと考えています。

平成24年 採用 経済社会総合研究所国民経済計算部 国民生産課平成25年 大臣官房総務課平成26年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付政策企画専門職平成28年 財務省主計局調査課調査第五係長平成30年 行政官長期在外研究員(シカゴ大学)

Profile

片桐 賢一Katagiri Kenichi

行政官長期在外研究員

英国バーミンガム大学

Brexitに揺れる英国で日本の未来を考える

行政官としてのキャパシティを広げたい 入府後10年近く経ったところで、政治・経済や政策立案について改めて深く学び、今後の日本の課題について考えてみたかったため留学を希望しました。また、これまでの職務で未経験の政策分野についても、国外の事例を学ぶことにより知見を深め、行政官としてキャパシティを広げたいと考えました。

英国のBrexitに至る過程を分析 1年目は英国の欧州政策について、政府中枢の戦略や意思決定の在り方を中心にBrexitに至る過程を分析しました。2年目は英国の社会政策を中心に学んでいます。公的医療制度や移民政策は昨年の英国総選挙でも大きな争点となっており、日本でも今後更なる議論が予想される分野ですので、特に興味深く学んでいます。

あらゆる分野に対応できる柔軟性を 内閣府の業務では、国政の最重要施策について、政策立案・調整に携わる機会を数多く得られます。首相官邸での意思決定を日々間近に見つつ仕事ができるのも魅力です。他方、従事し得る業務が極めて多岐に渡るため、あらゆる分野に対応できる柔軟性を身につけるとともに、専門分野を意識的に開拓していくことが求められると思います。

いかなる変化にも対応できる行政官に 従来、英国は首相官邸を中心とした政策立案機能を強化しつつ、サプライサイドに傾斜した改革を進めてきましたが、Brexitを巡る混乱を経て、近時は政府も積極財政を進める方向に動いています。長期に渡りデフレが続く我が国も、今後何らかの政策転換を迫られるかもしれません。新型コロナウィルス対応を巡る目下の議論もその契機になり得るものと思います。いかなる変化に際しても行政官として適切な政策を立案できるよう、英国や欧州の事例を学び、研鑽に努めたいと思います。

平成21年 採用 大臣官房政府広報室企画担当主査付平成22年 消費者庁企画課総括係平成24年 消費者庁消費者制度課総括係長   同年 大臣官房企画調整課総括係長平成25年 外務省総合外交政策局安全保障政策課平成27年 政策統括官(沖縄政策担当)付 参事官(総括担当)付企画調整第1担当主査平成28年 内閣官房内閣広報室主査 (総括・企画・分析担当)平成29年 同 参事官補佐(総括・企画・分析担当)平成30年 行政官長期在外研究員(バーミンガム大学)

Profile

梶村 麻衣子Kajimura Maiko

Resident Associate Fellow

ISEAS-YusofIshak Institute

赤道直下から日本の未来を考える

多種多様なリサーチャーの中での研究 シンガポールの政府系シンクタンクであるISEAS(Institute of South East Asian Studies)のRegional Economic Studies (RES) プログラムのリサーチャーとして、現在、東アジア、東南アジアの急速な高齢化が経済社会に与える影響について研究を行っています。シンガポールはダイバーシティが進んでいますが、ISEASにも国籍や文化、専門分野など、バックグラウンドも多種多様なリサーチャーが所属しており、経済のみならず、文化、外交、政治社会など多岐にわたるテーマに関して論文の公表や本の出版、セミナーの開催などを積極的に行っています。

省庁では対応できない課題も内閣府で取り組む 内閣府の良いところは、我が国の最重要課題に対して、俯瞰的な視点をもって果敢に取り組んでいくことができる点です。例えば、高齢化問題でみても、様々な複雑な課題を有しており、1つの省庁だけでは対応しきれません。また、短期的な取組では対応できず、自分達の子どもやその先の将来までの中長期的な効果を見据えてより良い政策を考えていく必要があります。内閣府では、各省庁や大学、民間企業等の出向者や有識者とともに、国家の最重要課題への対応策について知恵を絞って考え、グランドデザインを練り上げていきます。

柔軟な思考力とグローバルな視点を今後に活かす 海外駐在前は、ドメスティックに考えがちで、我が国の課題に対して自国でできることは何か、という狭い視点にとらわれていたように思います。個々の東南アジア諸国を見ても、「この取組は素晴らしいな。日本で活かせないかな。」と感じるものが多くあります。今回の駐在経験により、より柔軟な思考力とグローバルな視点を身に着け、政策の企画・立案に取り組み、日本における安全・安心できる社会の構築に貢献していきたいと考えています。

Profile平成16年 採用 経済社会総合研究所国民経済計算部企画調査課平成18年 政策統括官(経済財政運営担当)付 参事官(経済対策・金融担当)付平成20年 経済社会総合研究所景気統計部研究専門職平成22年 男女共同参画局総務課総括係長平成23年 男女共同参画局推進課課長補佐平成24年 育児休業平成25年 官民競争入札等監理委員会事務局参事官補佐平成26年 政策統括官(経済社会システム担当)付 参事官(総括担当)付参事官補佐平成27年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(地域担当)付参事官補佐平成28年 政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(企画担当)付参事官補佐平成29年 経済社会総合研究所総務部総務課課長補佐平成30年 消費者庁安全課課長補佐(総括担当)令和元年 研究休職〔ISEAS-Yusof Ishak Institute (The Institute of Southeast Asian Studies)〕

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Work Life Balance

 内閣府では、職員の「仕事と家庭の両立」促進に向け、さまざまな取組を推進し、支援制度を充実させています。

「内閣府イクメン等子育て支援の会」による活動

「出生予定届(パパ・ママ予定届)」を通じた子育て環境の充実

 現在、一般職員全員を対象としたテレワーク推進の取組を進めています。子育てや介護の関係で、職場への出勤が困難な場合にも柔軟な働き方ができるよう、しっかりサポートをしていきます。

テレワーク推進に向けた取組

仕事と子育ての両立のための制度妊娠 出産 1歳 3歳 6歳

男性対象

男性・女性対象

女性対象

育児休業(3歳まで)

保育時間(生後1年未満)

育児時間 (小学校就学まで)

子の看護休暇 (小学校就学まで)

超過勤務の免除 (3歳まで)

超過勤務・深夜勤務の一部免除 (小学校就学まで)

育児短時間勤務 (小学校就学まで)

早出遅出勤務 (小学校就学まで又は放課後児童クラブに通う小学生)

育児休業は、配偶者が専業主婦(夫)である場合や育児休業を取得中の場合でも、取得可能

ワークライフバランス情報 古川 剛平成12年入府

Furukawa Tsuyoshi

苦手な家事に悪戦苦闘の毎日 2019年7月、息子が6か月のときから、育児休業を取得しています。 現在、妻は復職しているため、朝は夫婦で息子と接することができますが、妻の出勤後は、食事や昼寝、入浴、寝かしつけ、小児科への受診などの息子の相手を私が担います。そして、これまで全く家事をしてこなかった私にとって、育児に加え苦手な家事もするようになり、悪戦苦闘の毎日です。 なお、今後私も復職すると、この分担は変わることになりますが、復職しても息子と長く接していたいと思っており…目下相談中です。

予定どおりに進まない毎日に、働き方のヒントも 育児休業を取得し、息子の笑顔と日々の成長を見られることは、この上ない魅力ですし、これを妻と共有できることは、今後一生続く家庭生活の基礎にもなるはずです。 一方、好奇心旺盛な息子は何でも口に入れてしまうし、ソファーやテーブルによじ登り頭から落ちようとするので、全く目が離せません。息子からちょっと離れるだけで泣くので(トイレに行くのも一苦労)、他のことが手に付けられません。日々成長し状況が変わるので、ルーティンワーク化することもできません。すやすや寝てくれているときだけが、束の間の安息の時間です(いつ起きるかビクビクしつつ…)。弟や妹が生まれたら更に困難が重なるのではないかと心配でなりません。事前に段取りを立て効率的に動かなければならず、だからといって、まったく予定どおりに進められないという家事・育児の実態に接することができたのは、私にとって大きな経験となります。これは、上手く働くことにも通じると実感しています。

育休中の経験を復職後の仕事に役立てる 息子は現在「あー」と「うー」と「おー」しか喋れないので、気持ちを忖度するしかありません。加えて、原因不明に突如叫ぶし、作った離乳食を食べてくれないので、私は気が滅入ってしまったり、イライラしてしまったりすることもありました。特に、家で息子と2人きりの時間が続くと…息子は可愛いのですが…こちらの身がもたないのではと心配になることも。育児は一人ではできないと痛感します。 そんなとき、いくつかのことを思います。 まず、妻に早く帰宅してきてほしいと切に願います。そして、早く帰ってきてくれるとホッとします。私が働き妻が産休・育休を取得していた時、家事や育児をあまり担っていなかったことを反省するとともに、早く帰宅できるよう効率的な仕事をすべく、働き方改革の必要性を実感しました。復職後の私の仕事スタイルも変化していくことでしょう。 また、地域コミュニティがあることを有り難く思います。自治体やNPOなどが運営する子育て支援センターに頻繁に訪問しています。そこでは、息子はおもちゃで遊び、私は先輩ママと雑談するだけですが、ちょっと目を離しても周囲の方が見てくれている、少しの間抱っこを代わってもらえる、いざとなったら助けてもらえるという安心感を得られます。周囲にそういう環境があることが子育てには必要です。子育て支援やNPO制度は内閣府が担っているところであり、復職後はこうした分野の環境整備にも今回の育休の経験を活かしたいです。

育児休業者からのメッセージ

育休で新たな世界を知る

平成12年 採用 経済企画庁調整局調整課平成18年 金融庁総務企画局企画課課長補佐平成20年 内閣官房消費者行政一元化準備室参事官補佐平成21年 大臣官房消費者庁・消費者委員会設立準備室参事官補佐平成21年 消費者庁総務課課長補佐(企画担当)平成23年 消費者庁消費者制度課課長補佐(総括担当)平成24年 財務省主計局法規課課長補佐平成25年 財務省主計局主計官補佐(経済協力第2係担当主査)平成26年 経済社会総合研究所景気統計部部長補佐 併 大臣官房統計委員会担当室参事官補佐平成27年 河野国務大臣秘書官事務取扱平成28年 松本国務大臣秘書官事務取扱平成29年 政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(総括担当)付参事官補佐平成30年 同 企画官 併 大臣官房総務課企画官令和元年 育児休業

Profile

 子どもが生まれる予定のある職員は、人事課に出生予定届を提出しています。 男性職員から出生予定届の提出があった場合には人事課から当該職員の上司にもその旨をお知らせしており、上司は、休暇取得の日程の相談を積極的に行うことや周囲の職員への協力要請を行うことなど、職員が産休・育休を取得しやすくなるよう環境整備に取り組んでいます。

産後休暇8週間休息・補食のための職務専念義務免除

深夜勤務・時間外勤務の一部免除

健康診断・保健指導のための職務専念義務免除

業務軽減等

配偶者出産休暇(2日)

育児参加のための休暇(5日)

通勤緩和

産前休暇ー6週間前からー

平成30年度

※内閣府「女性活躍推進法第17条に基づく女性の職業選択に資する情報の公表」

女性職員

男性職員

育休取得率

10018

 子育てに関する様々な不安を解消するには、その道の先輩たちの体験談はとても貴重な情報となります。本会は、子育てについての情報・ノウハウを共有することを通じて職員同士の交流を深めるための集まりで、毎月第2水曜日昼休みのランチ会を中心に活動しています。当初は、男性の育児への積極的な参加を後押しするサークルとして発足しましたが、現在は女性会員の方が多く、お子さんはこれからという方もメンバーになっています。「男の産休」や育児休業の取得、子育てしやすい職場環境づくりの推進にも積極的に協力しています。

49 50

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合計13人

Fresher ,s Voices 省庁の枠に縛られずに、総合調整の役割を果たせる点に魅力を感じたから。

内閣府を志望した理由

政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(総括担当)付併 子ども・子育て本部参事官(総括担当)付

骨太方針の取りまとめ。種々の思惑がせめぎ合う、まさに国政の中心でした。

入府以来、一番印象に残っている仕事

内閣改造にかかる一連の業務。政治と行政の距離感や大臣の影響力など、間近で感じた。

入府以来、一番印象に残っている仕事

政治のタイミングを読みつつ、“意味のある”施策が生まれる流れをつくること。

仕事上の夢や目標

災害対応。初動から復興へ国として、内閣府として何をすべきか学ぶ得難い経験だった。

入府以来、一番印象に残っている仕事

どんなに些細な体験でも何かを学び取り、糧にし、経験にしていきましょう。

その時々の重要政策課題に直結する業務が多く、やりがいのある仕事だと思います。

各省庁の垣根を越えて格差問題の是正に貢献できる点に、魅力を感じました。

内閣府を志望した理由

人々の生活水準向上に資する社会制度の実装に貢献すること。

仕事上の夢や目標

常に想像力を働かせながら仕事に取り組みたいです。

仕事上の夢や目標

首里城火災に関する対応。意思決定のダイナミズムやスピード感を身をもって感じました。

入府以来、一番印象に残っている仕事

人材、職務、経験、全てにおいてダイバーシティを感じられる組織です。

入府を目指す後輩へのメッセージ

入府を目指す後輩へのメッセージ

入府を目指す後輩へのメッセージ

経済学の知見を身に着け、高い視点で政策立案を行いたいと考えたから。

内閣府を志望した理由2019年度

入府者の声

入府の前後で

内閣府に対する

印象は変わりましたか

Q.03

大臣官房総務課政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(企画担当)付

大臣官房企画調整課総括係併 EBPM推進室員政策統括官(防災担当)付

参事官(総括担当)付

経済社会総合研究所国民経済計算部分配所得課

政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(総括担当)付

政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(経済対策・金融担当)付

政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(総括担当)付

政策統括官(沖縄政策担当)付参事官(総括担当)付

大臣官房政府広報室企画担当

男女共同参画局推進課女性活躍推進係併 男女共同参画局調査課

男女共同参画局総務課総括係

Q1

役人になったと思う

瞬間はどのような

ときですか(複数回答)

Q3

Q.03休日はどのようにして

過ごしていますか

(3つまで回答可)

Q4仕事のやりがいを

一番感じる瞬間は

どのようなときですか

Q2

合計13人

変わった9人

変わらなかった4人

携わる業務がメディアに取り上げられたとき2人

携わる業務が一区切りついたとき2人

新しい知見に巡り合えたとき

2人上司に

褒められたとき1人

まだやりがいを感じられた経験は無い 0人

関係者間の意見がうまく調整されたとき4人

その他 2人● 自分の工夫で業務が効率化されたとき。● 水面下で動いていたものが形になり 世に出た瞬間。

0 1 2 3 4 5 6 7 8

法令関係の仕事をしているとき

国会関係の仕事をしているとき

国会議事堂・官邸・内閣府庁舎等を見たとき、それら建物に入ったとき

過去例・前例を気にするようになったとき

霞が関用語を意識せずに使うようになったとき

携わる業務が政府の施策としてメディアにとりあげられたとき

国会情勢や政府に関するニュースを見聞きしたとき

                

8人

3人

6人

3人

2人

7人

1人

1人

スポーツ

睡眠・休息

友人との食事・飲み会等

読書・映画・芸術鑑賞

旅行

買物

0 2 4 6 8 10

5人

8人

3人

2人

10人

7人

細かいところまで内容を詰めるというスタンスが当たり前ということを感じるとき

51 52

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Recruting Information

 皆様からの「よくある質問」の中から代表的なものをご紹介します。その他のご質問につきましては、本冊子裏表紙の「内閣府総合職採用担当窓口」までお問い合わせください。

内閣府ではどのような人材を求めているのですか? 内閣府は、内閣及び内閣総理大臣の主導による国政運営を実現するために設置された、内閣総理大臣を長とする機関です。各省が行政事務を分担管理しているのに対し、内閣府は、各省より一段高い立場から、我が国の経済・社会の在り方そのものに関わる国政上の重要かつ最新の政策課題について、将来のビジョンをつくっていきます。よって、自分なりの強み、得意分野とともに「既存の枠組みに必ずしもとらわれない柔軟性」「広い視野」「バランス感覚」が求められます。また、総合調整の過程では、優先順位と目標設定を明確にして、各省を引っ張っていく力も必要です。 ただし、内閣府で仕事をしているうちにこれらの力は自ずと磨かれていくでしょう。重要なのは、そうした力を持った自分になりたいという意欲や、新しい課題に取り組んでいくことのできる熱意です。

採用関連情報

求める人材像について

Q1

A

出身大学・学部・試験区分、院卒/既卒などの違いは、採用の際にどのように影響するのですか? 幅広い業務を掌握する内閣府では、多様な専門性を持った職員が必要です。ですから、特定の大学・学部や試験区分に優先枠を設けたり、新卒/院卒の一方を優遇したり、などということは一切行っておりません。採用はあくまでも「人物本位」です。 院卒/既卒については、大学院での勉強や職歴がどれだけプラスとなっているか、新卒については基礎的な素養と十分な将来性があるかを判断することになります。いずれにせよ、「ありのままの自分」をアピールしてもらえればよいのです。

採用について

Q2

A

採用前にも内閣府の業務全体について幅広い知識が必要なのでしょうか?採用後の勉強はどうすればいいですか? 内閣府の業務のうちいくつかについてはあらかじめ興味を持っていてほしいですが、採用の段階ですべてについて知っている必要はありません。それよりは、学生時代にどういう経験をし、何を考え、何を学んできたのかということの方が重要だと考えています。内閣府に入ってからは、一夜漬けで暗記したような表面的な知識は役に立ちません。それぞれの部局で必要となる各論的な知識や個々のスキルは、実際に仕事をしながら身に付けていくしかないのです。なんでも積極的に学ぼうという姿勢を忘れない限り、たいていの仕事にはすぐに対応できるようになります。 他方、内閣府で働くうえで大切にしなければならないのは、誰にも負けない自分の強みを持ち、絶えず磨きをかけていくということです。リーガルマインド、経済分析能力、人と人とをつなげる力、ものごとをまとめ上げる力、なんでも構いません。どんな問題にも通用する独自の「得意技」を持ってください。行政の内外から優秀な人材が集まる内閣府で、皆さんが先導的な役割を担っていくためには、周囲の人から一目置かれるような「得意技」が必要なのです。 また、自分のライフワークとして取り組みたい課題については、違う部局で働いているときも勉強を続け、いつ呼び出されても即戦力として期待に応えられるようにしておきましょう。この分野は自分に任せろ! というフィールドがあると、他の分野でも自信を持って仕事ができます。

Q3

A

採用される試験区分によって配属先やキャリアパスは異なるのですか? 内閣府の業務は広範多岐にわたっていますから、採用試験区分に関わらず、職員はその意欲と能力、適性に応じていろいろな分野で活躍することが可能です。例えば経済職なら、経済財政政策を決定する中枢部に入って理論を政策に結び付けていくような仕事をする道もあれば、調査・分析の分野での専門性を高めていく道があります。法律職であれば、とにかく法律の作成・改正作業に携りたいという人もいれば、男女共同参画など個別のテーマに関心が深いという人もいるかもしれません。 もちろん経済職の人が法律案を作成したり、法律職の人が経済政策に携わることもあります。皆さんは将来の幹部候補生として採用されるのですから、自分の専門性に厚みを加え、自分の新しい可能性を広げるためにも、得意分野以外のことにも積極的に挑戦していくことを期待しています。

Q4

A

採用後は、自分が興味を持っている部局に配属されるのですか? 配属先は、皆さんの希望を踏まえつつ、能力、適性や人材育成上の必要性なども総合的に考慮して決定されます。 したがって、常に希望通り配属されるとは限りませんが、少なくとも入府後の数年間は、自分の可能性を試すいい機会だと思っていろいろな業務にチャレンジしてみてください。なお、入府後、配属先に関する希望を申告する制度もあります。

採用後について

Q5

A

内閣府の職員にはどのような研修が用意されているのですか? 採用直後には、人事院主催の合同初任研修に参加するほか、内閣府が独自に実施する新採用職員研修で内閣府の業務内容や関連する知識を身に付けます。また、1年を通じて業務スキルや政策分析などの専門スキルを向上させるための研修プログラムが準備されております。年が明けた通常国会会期中には、国会関係業務を最前線で体験する国会研修にも参加します。 その後、キャリアを重ねていく過程でも、内閣府が随時実施しているマネジメント研修や経済分析研修等に参加することができるほか、内閣人事局や人事院、総務省などが実施する研修にも必要に応じて派遣されます。行政官長期在外研究員(留学)制度もその1つです。 内閣府は職員一人ひとりの力を源泉とする組織です。皆さんが潜在能力を最大限に発揮できるよう必要な支援を行っていきます。

教育研修について

Q9

A

採用後は、どのように昇進していくのですか? 入府した年は、まず主に各部局の総括担当のラインに配属され、府内の業務がどのように進められていくかを実地で学んでもらいます。この間に、国会対応、法令業務など公務員としての基本的なスキルを身に付けます。 その後の2年間でさらに1~2部局を経験した後、係長クラスとなり、重要な職責を担っていきます。留学や他省庁への出向を経験するのもこの頃です。これまでの例では、入府8年目で課長補佐クラスに昇進しています。その後は能力次第でさらに課長クラスとして活躍していくことになります。

Q6

A

転勤はあるのですか?内閣府の勤務地は、主に東京都となります。他の多くの省庁のように数年おきに転居を繰り返すといったことがないので、単身赴任などの心配も少なく、生活設計を立てるのも容易です。

Q7

A

女性にとって働きやすい職場なのでしょうか? 国家公務員は、家庭と仕事の両立支援制度も充実しており、ライフステージに応じた働き方をすることが可能です。( 参照人事院ホームページ https://www.jinji.go.jp/ikuzi/toppage.html) 実際に、内閣府では、子育て中の多くの男性職員、女性職員が活躍しています。本パンフレットでも、ワークライフバランスについての取組を紹介しておりますので、御参照ください。(P.49)

Q8

A

総合職採用実績

区分/ 年度 平成29年度院卒(行政) 2大卒(法律) 5(1)大卒(経済) 5(2)

そ の 他

計 11(3)

平成30年度4(2)4(1)2(2)3

13(5)

2019年度3(1)4(2)2(0)4(1)

13(4)

大卒(教養)1大卒(人間化学)1

院卒(人間科学)1院卒(森林)1

大卒(教養) 2大卒(化学・生物・薬学) 1

区分/ 年度 平成25年度 平成27年度 平成28年度院卒(行政) 3 1 5(3)大卒(法律) 2(2) 5(2) 4(2)大卒(経済) 1(1) 5(2) 4

そ の 他3 2(1)

計 9(3) 13(5) 15(6)

大卒(工学)1旧Ⅰ種(理工Ⅰ)1旧Ⅰ種(経済)1

平成26年度44(2)6(2)1(1)

15(5)

旧Ⅰ種(理工Ⅰ)1 大卒(教養)2

※( )内は女性の数

2(1)大卒(教養)1大卒(人間化学)1

53 54