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公教育の構造転換に向けて - Gifu 4 shiryo2.pdf · 2020-01-31 ·...
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公教育の構造転換に向けて〜学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合〜
苫野一徳(熊本大学)
資料2
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幼・小・中「混在」校 軽井沢風越学園(2020年開校)4
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公教育は、市民社会(民主主義)の最大の土台であり、人類数万年の歴史における革命的発明である。
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市民社会の根本原理は・・・
「自由の相互承認」
まずはお互いを対等に「自由」な存在同士として認め合い、その上でお互いの「自由」を調整し合う。
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法・教育・福祉
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法(憲法)
すべての人の対等な「自由」を認め、
「自由の相互承認」の原理を
ルールとして保障する
しかしそれだけでは全く十分ではない
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公教育
すべての人(子ども)に
「自由の相互承認」の感度を育むことを土台に、
「自由」に生きるための力を育むことを保障する。
しかし教育の力がおよばない部分がある
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福祉
貧困、障害、その他の理由で、十分に「自由」を得られない市民を支えるための福祉行政
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そもそも教育(学校・教師)は何のために存在しているのか?
すべての子どもに
「自由の相互承認」の感度を育むことを土台に、
「自由」に生きるための力を育むため!
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【根本的な問い】
1.現代において「自由」に生きるための力は何か?
2.それはどうすれば育めるのか?
3.「自由の相互承認」の感度はどうすれば育めるのか?
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不登校いじめ体罰小1プロブレム落ちこぼれ・吹きこぼれ同調圧力空気を読み合う人間関係
・・・etc.
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100年前の尋常小学校の復元(トリップアドバイザーより)
みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で、同質性の高い学年学級制の中で、出来合いの答えを勉強する、ベルトコンベヤー型のシステム
150年間変わらない学校システム
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「公教育の構造転換へ!
学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合
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探究をカリキュラムの中核に
「答えを持っている教師」から、「共同探究者」「探究支援者」としての教師へ
自分たちなりの問いを立て、自分たちなりの仕方で、
自分たちなりの答えにたどり着く「探究型の学び」
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「出来合いの答え」をテストし序列化する弊害
• 認知科学の知見によると、テストのために覚えたことの90%は忘れられてしまう(リンダ・ハモンドスタンフォード大学教授)。
• 「やらされる勉強」「点数評価される勉強」は、できるだけ省エネしていい点数を取るマインドを生み出し、主体的で深い学びへ向かうマインドを失わせてしまう(アルフィ・コーン『報酬主義をこえて』)。
• そうした学びが幸せな人生に結びつくという神話は、すでにほとんど崩壊している。
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探究(プロジェクト)の類型と融合
①課題解決型プロジェクト
(例)
・村の休耕地活用プロジェクト
・町の交通危険区域の問題解決プロジェクト
・教室をもっと学びのテンションが上がる環境に作り変えるプロジェクト
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探究(プロジェクト)の類型と融合
②知的発見型プロジェクト
(例)
・ジャンヌの心臓は本当に焼け残ったのか?
・古代文明滅亡に法則はあるか?それは何か?
・「幸福」とは何か?
・砂はどうやってできるのか?
・ロシアンルーレットで死ぬ確率は?
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探究(プロジェクト)の類型と融合
③創造型プロジェクト
(例)
・ツリーハウスを作る
・演劇大作を作る
・ゲームアプリを作る
・学びのテンションが上がる教室を作る
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探究のプロセス
• テーマ
• 問い
• 方法の案出と実行
• 発表
構成型プロジェクトと非構成型プロジェクト
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探究のプロセス【テーマ】
→ジャンヌ・ダルク
【問い】
→ジャンヌの心臓は本当に焼け残ったのか?
【方法】
→ジャンヌの伝記を大量に読む、キリスト教に
おける心臓の象徴的意味を調べる、実験する・・・etc.
【発表】
→論文を書く 25
探究(プロジェクト)のヒント
• 個人プロジェクトもあれば、学年や学校種、さらには世代を超えた協同プロジェクトもある。
• 「問い」を立てるのは極めて高度なこと。まずはテーマに浸りきることが重要。
• 「失敗」も極めて重要。失敗から学ぶ。
• それぞれのプロジェクト成果を持ち寄ることで、高度な相互触発が起こる。
• 新学習指導要領も「探究」が中核に(カリキュラム・マネジメント)。
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探究(プロジェクト)の評価
教師、生徒、保護者、さらには地域の人や専門家など、多くの人からのフィードバックを通した・・・
フィードバックとしての評価Cf. High Tech High (映画Most Likely to
Succeed)
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探究の意義
・「学びの意義」を心底理解できる
・「落ちこぼれ」問題の解消
Cf. High Tech High(半数が貧困層)
→テスト勉強一切無しだが、州のテストの平均を大幅に上回る。
→98%の大学進学率。
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学びの「個別化」と「協同化」の融合
自分のペースで、自分に合った学び方や場所で、
必要に応じて必要な人の力を借りながら、人に力を貸しながら、時に学年を超えて、
「ゆるやかな協同性」に支えられた「個の学び」が尊重される
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学びの個別化
• 人それぞれ、学びのペース、興味・関心、合った学び方、合った教材、心地のいい学習空間などは異なっている。
→これらをできるだけ個別化する!
(時間割の個別化、教材の選択の幅を広げる、学習空間を自分たちで作る、etc.)
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学びの協同化
• 「個別化」と「孤立化」は違う。
• 「ゆるやかな協同性」に支えられた「個の学び」を実現。
• 必要に応じて、人に力を借りられる、人に力を貸せる環境づくり。
• 学年を超えた学び合いが可能になる環境づくり。
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ただの理想論?現実には無理?
「公教育の構造転換」は、すでに世界中で始まっている!
Cf.イエナプラン教育、広島県、名古屋市、麹町中学校、軽井沢風越学園、IB校……etc.
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まずは知ることから。
人間が作ったシステムなのだから、人間が変えられる。
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