実験計画法とは -...

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1第1章 実験計画法とは 実験計画法は,イギリスの R.A.Fisher が農事試験に統計的解析を適用したことに始まっ たとされ,最近に至るまで種々の分野の問題に応じた方法が考案され活用されている.特性 要因図に示される無数にある要因(原因)系の中から特性(結果)に大きな影響を及ぼす要因を 見つけ出したり,それらの要因の影響の大きさを把握したり,それらの要因が全体の結果に どの程度影響しているかを効率よく知るための統計学を応用した方法である. 1.1 因子と水準 工程内の多くの要因(原因)の中から,特性(結果)への影響度を知る目的で取り上げら れる要因を因子と呼び,具体的に実験を行うための因子の設定値は水準と呼ばれている. 例えば,特性として収率向上を目的に要因として温度を取り上げ 100℃,200℃,300で実験を実施することを考えると,因子は温度,水準は 100℃, 200℃, 300℃となる.すな わち,記号で示すならば,通常,取り上げた因子をアルファベット( , C , B , A )で表し, 水準は添字を用いて( , C , C , , B , B , , A , A , A 2 1 2 1 3 2 1 300 200 100 )と表される.こ の場合の実験は「1因子 A ,3水準の実験」となる. また,取り上げる因子は, 計量因子…水準が連続量で表せる因子(温度,圧力,…等) 計数因子…水準が連続量で表せない因子(原料購入先,ライン別,…等) 母数因子…指定水準に再現性のある因子(水準を指定することに意味のある因子) 変量因子…因子効果としてバラツキを評価する因子(原料ロット,日付,…等) などとも呼ばれる. さらには,実験を実施する目的から, 制御因子…最適水準を求めることを目的に取り上げられる因子で,工業の場における 実験では少なくとも1つの母数因子が含まれる. ブロック因子…実験の場全体をいくつかの層に区分し,層内での誤差の平均値の差が 小さく,層間での誤差の平均値の差は大きくなるように区分する因子 であり,原料ロットや実験日などに相当する.ブロック因子は,実験の 誤差変動を小さくして要因効果を高めることができ,変量因子として 利用される. などがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方 によって完全ランダムによる実験,乱塊法による実験,分割法による実験などに分けられる. (1)完全ランダムによる実験とは 取り上げた因子の水準または組合せ水準(因子が複数の場合)について,実験順序も併 せて実験全体をランダムに実験することである.例えば,1因子 l 水準,繰返し r 回の実 験の計画では,繰返し数を含めた lr 回の実験をランダム化する実験を言う.2因子 l 水準, m 水準,繰返し r 回の実験の計画では,全実験 lmr 回が実験順序を含めてランダム化し実 施する実験である. (2)乱塊法による実験とは 原料ロットや実験日などブロック因子を取り上げて,実験の場の変動を小さくして再 現性のある因子の水準や組合せ水準等について実験順序を含めてランダム化し実施する 実験である. (3)分割法による実験とは 実験の計画全体のランダム化が,何段階かに分けて行われる実験であり,ランダム化を 2段階に分けて実施する実験を単一分割法,3段階に分けて実施する実験を2段分割法, ……と呼ばれる実験である.

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Page 1: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

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第1章 実験計画法とは

実験計画法は,イギリスの R.A.Fisherが農事試験に統計的解析を適用したことに始まっ

たとされ,最近に至るまで種々の分野の問題に応じた方法が考案され活用されている.特性

要因図に示される無数にある要因(原因)系の中から特性(結果)に大きな影響を及ぼす要因を

見つけ出したり,それらの要因の影響の大きさを把握したり,それらの要因が全体の結果に

どの程度影響しているかを効率よく知るための統計学を応用した方法である.

1.1 因子と水準

工程内の多くの要因(原因)の中から,特性(結果)への影響度を知る目的で取り上げら

れる要因を因子と呼び,具体的に実験を行うための因子の設定値は水準と呼ばれている.

例えば,特性として収率向上を目的に要因として温度を取り上げ 100℃,200℃,300℃

で実験を実施することを考えると,因子は温度,水準は 100℃,200℃,300℃となる.すな

わち,記号で示すならば,通常,取り上げた因子をアルファベット( ,C,B,A )で表し,

水準は添字を用いて( ,C,C,,B,B,,A,A,A 2121321 300200100 )と表される.こ

の場合の実験は「1因子 A,3水準の実験」となる.

また,取り上げる因子は,

計量因子…水準が連続量で表せる因子(温度,圧力,…等)

計数因子…水準が連続量で表せない因子(原料購入先,ライン別,…等)

母数因子…指定水準に再現性のある因子(水準を指定することに意味のある因子)

変量因子…因子効果としてバラツキを評価する因子(原料ロット,日付,…等)

などとも呼ばれる.

さらには,実験を実施する目的から,

制御因子…最適水準を求めることを目的に取り上げられる因子で,工業の場における

実験では少なくとも1つの母数因子が含まれる.

ブロック因子…実験の場全体をいくつかの層に区分し,層内での誤差の平均値の差が

小さく,層間での誤差の平均値の差は大きくなるように区分する因子

であり,原料ロットや実験日などに相当する.ブロック因子は,実験の

誤差変動を小さくして要因効果を高めることができ,変量因子として

利用される.

などがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある.

1.2 実験の配置の種類

実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

によって完全ランダムによる実験,乱塊法による実験,分割法による実験などに分けられる.

(1)完全ランダムによる実験とは

取り上げた因子の水準または組合せ水準(因子が複数の場合)について,実験順序も併

せて実験全体をランダムに実験することである.例えば,1因子 l水準,繰返し r 回の実

験の計画では,繰返し数を含めた lr回の実験をランダム化する実験を言う.2因子 l水準,

m水準,繰返し r回の実験の計画では,全実験 lmr回が実験順序を含めてランダム化し実施する実験である.

(2)乱塊法による実験とは

原料ロットや実験日などブロック因子を取り上げて,実験の場の変動を小さくして再

現性のある因子の水準や組合せ水準等について実験順序を含めてランダム化し実施する

実験である.

(3)分割法による実験とは

実験の計画全体のランダム化が,何段階かに分けて行われる実験であり,ランダム化を

2段階に分けて実施する実験を単一分割法,3段階に分けて実施する実験を2段分割法,

……と呼ばれる実験である.

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実験計画法では,実験に取り上げる因子の数で分類される場合もあり,特に因子数が1因

子の場合の実験を「一元配置実験」,2因子の場合の実験を「二元配置実験」,3因子の場合

の実験を「三元配置実験」,……といい,3因子以上の場合の実験を総称して「多元配置実

験」という.乱塊法では,ブロック因子を除いて取り上げる因子の数で「1因子実験(一元

配置法による実験)」,「2因子実験(二元配置法による実験)」,……と呼ばれる場合がある.

上記の実験は,取り上げた因子の水準の全ての組合せについて実施される実験であり「要

因配置法」と呼ばれ,取り上げた因子の水準組合せの一部について実施される実験は「一部

実施法」と呼ばれ分類される.

(4)一部実施法による実験とは

実験に取り上げる因子の数が多くなると実験回数も多くなる.例えば,6つの因子を取

り上げて因子の影響度をおおまかに把握(因子の組合せの効果は無視)したいとする.最

小水準各2水準は必要となるので 6422222226 回のランダム実験が必要

になる.一部実施法として「直交配列表による実験」を考え直交配列表を用いて計画すれ

ば8回の実験の実施で解析が容易となる.

など実験の計画と実施について考慮し品質特性の改善や向上に役立てることができる.

1.3 実験計画法の解析としての分散分析

実験計画法での解析では,第 1.2節に述べた実験の計画すべてのデータ解析に分散分析が

用いられる.詳細については各章で述べることにして,第 2 章の分散分析について簡単に

ふれてみる.因子 A ( l水準),繰返し r 回の完全ランダム実験を考え,特性値 xが得られたとする.

水準 1Aにおける母平均を 1 ,水準 2A における母平均を 2 ,…,水準 iA における母平均

を i ,…,水準 lA における母平均を l とすると,この実験における帰無仮説 0H と対立仮

説 1H は

0H : li 21

1H : li 21 でない

となる.この実験における iA 水準の第 j番目のデータ ijx の構造は,

ijiij ax r,,,jl,,,i 21 21

ただし, 01

l

i

ia 20 ,Nij~

と表す.ここで, は一般平均, ia は因子 Aの効果, ij は誤差, 2 は誤差分散である.

因子 Aの効果 ia および誤差 ij は式(1.2)より,

iia

iijij x

と表される.式(1.3)の i は因子 Aの iA 水準における母平均であり,一般平均 は,

l

l

i

i 1

で求められる.また,誤差に関しては以下の4つの条件を仮定している.

(1)独立性:各水準での実験における誤差は,互いに独立である.

(2)等分散性:各水準での実験における誤差は,一定である.

(3)不偏性:各水準での実験における誤差の期待値は,ゼロである.

(4)正規性:各水準での実験における誤差は,正規分布に従う.

この場合,因子 A ( l水準),繰返し r回の完全ランダム実験で特性値 ijx が得られているの

( 1.1 )

( 1.2 )

( 1.3 )

( 1.4 )

( 1.5 )

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で,データの構造を式(1.2)とすると,水準 iA における母平均 i の推定値は平均値 ix ,実験

全体の母平均 の推定値は総平均値x となり,実験における総平方和(総変動)

TS は,

l

i

r

j

iij

l

i

i

l

i

r

j

iij

l

i

r

j

i

l

i

r

j

ijT

xxxxr

xxxxxxS

1 1

2

1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

EA SS

が成り立つ.データから総平方和TS が因子 Aの平方和

AS と誤差の平方和ES に分けられる

ことを平方和の分解と呼んでいる.

特性値への因子 Aの影響度(効果)は,因子 Aの平方和AS の自由度

A と誤差の平方和ES

の自由度E から

AAA SV ,EEE SV を求め,式(1.1)の仮説を検定することができる.

検定統計量:E

A

V

VF 0 有意水準における棄却域R: ;,FF EA0

検定の結果, ;,FF EA0 ならば有意水準で式(1.1)の帰無仮説 0H は棄却され,因子

Aの効果はあると判断される.また ;,FF EA0 ならば有意水準で帰無仮説 0H は棄

却されず,因子 Aの効果はあるとは言えないと結論する.このように実験計画法の解析で

は分散分析が利用される.

1.4 実験計画法の要点

実験の実施の結果,各手法に基づき解析するためには得られたデータが解析しうる実験

の配置になっていることが重要である.

例えば,計量的 1 因子 A ( 4水準)を取り上げて実験を実施し,計 12 個の特性データが表

1.1として得られたとする.一元配置法における実験の解析で因子 Aの効果を判断するのは

妥当であるだろうか?

表 1.1 実験結果

因子 1A 2A 3A 4A

11x 21x 31x 41x

特性値 12x 22x 32x 42x

13x 23x 33x 43x

実験結果である表 1.1 の解析では,実験の配置は一元配置型であり問題なさそうである

が,第 1.2節のランダム化に注意が必要である.

(要点1)実験全体の計画で計 12回の実験がランダムに実施されデータが得られるとすれ

ば,完全ランダム化による実験と考えてよい.データの構造式は

ijiij ax

となり,因子 Aの主効果が検出できる.

(要点2)因子 Aの水準を 1 水準ずつ 4 日間連続で各日ランダムに 3 実験のデータを得た

と考えると,データの構造式は

ijwibiij ax ib :日間変動 ijw :日内変動

となり,日間変動 ib が因子 Aの主効果と交絡して真の主効果を検出できない.

また同様に,因子 Aの 4 水準ずつ 3 日間各日ランダムに 4 実験のデータを得たと考

えると,各日にブロック因子を導入し,データの構造式は

ikikij ax k :ブロック間変動

となり, k をブロック間変動として因子 Aの主効果が検出できる.

( 1.6 )

( 1.7 )

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(要点 3)因子 Aの水準をランダム化し 1 個ずつ生産し,それぞれに 3 回の測定が繰り返

されたと考えれば,データの構造式は

ijMiEiij ax iE :実験誤差 ijM :測定誤差

となり,実験誤差 iE が因子 Aの主効果と交絡して真の主効果を検出できない.

また同様に,因子 Aの水準をランダムに 1 水準固定し,さらにその水準でランダム

に 3回の実験が繰り返されたと考えれば,データの構造式は

ijiiij ax 21 i1 :1次誤差 ij2 :2次誤差

となり,同様に 1次誤差 i1 が因子 Aの主効果と交絡して真の主効果を検出できない.

などの捉え方があり,実験の実施に伴い目的を明確にして実験の計画を立案し,実験順序な

ど確実な実験を行う必要性がある.データ収集の結果である表 1.1データのみを参考にして

解析法を決定するのは大きなリスクを伴うので注意が必要である.

現場での品質特性の改善や向上に向けて実験計画法を利用するにあたっては,実験の計

画でランダム化等に注意して立案し実施することはもちろんであるが, 実験実施の場にお

ける記録情報等の収集も望まれる.

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第2章 分散分析とは

ある薬物処理の方法が 3 種類あるとする.今,この 3 種類の処理方法について,どの処

理方法が最も効率的であるかを検討するために,3種類の処理方法について数回の実験を実

施して処理後の特性値であるデータを収集し解析を行い比較することにした.特性値は小

さい程望ましいとする.まず考え方として,収集された特性値のデータの一連の解析から

① 3種類の処理方法に違いがあるのだろうか?

② 最も効率の良い処理方法はどの処理方法で平均的にどの位の値になるだろうか?

③ また最も効率の良い処理方法で処理した場合,信頼率 %95 でその平均値の上限およ

び下限はどの位の値として推測されるだろうか?

などの結論を導き出したい.このような結論を導き出すには分散分析による統計的データ

解析は有効な手法である.

2.1 平方和の分解

分散分析とは「データのばらつきを平方和で表し,そのばらつきを生じさせている要因

ごとの成分に分解して,誤差に対して影響を与えているのはどの要因であるかを探し出す

方法」である.

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行い,データ ijx が

得られたとき,それぞれの平方和は

総平方和(総変動) TS :

l

i

r

j

ijT xxS1 1

2

A間平方和( A間変動) AS :

l

i

r

j

iA xxS1 1

2

誤差平方和(誤差変動) ES :

l

i

r

j

iijE xxS1 1

2

関係式: EAT SSS

と表すことができる.

例えば,3 種類の処理方法( 3,2,1: iAi )があり繰返し 4 回計 12 回の実験をランダム

に実施して表 2.1の特性値 Qのデータを得たとする.データの総平均値( x )は,

0.712

321834

12

1068109

x

となる.ここで,3種類の処理方法の平均値と総平均値との差を考えると,

処理方法 5.10.75.8:1 A 処理方法 5.20.75.4:2 A

処理方法 0.10.70.8:3 A

表 2.1 特性値 Qのデータ ijx

要因 1A 2A 3A

1 9 5 8

2 10 3 8

3 8 2 6

4 7 8 10

計( iT ) 34 18 32

平均値( ix ) 8.5 4.5 8.0

となり 3 種類の処理方法で, 1A の処理方法は処理全体から考えると平均的に 1.5 の効果が

期待でき, 2A の処理方法は-2.5, 3A の処理方法は 1.0 の効果が期待できそうである.し

( 2.1 )

( 2.2 )

( 2.3 )

( 2.4 )

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かし,各処理方法の中では特性値は一定とならずばらついていることもわかる.

すなわち,表 2.1のデータは,各処理方法の特有の効果とその処理方法内でのばらつきか

らなるデータと解釈することができる.例えば,表 2.1の測定データは,

1A の処理方法の繰返し第 1回目のデータは 5.890.75.80.79

1A の処理方法の繰返し第 2回目のデータは 5.8100.75.80.710

3A の処理方法の繰返し第 4回目のデータは 0.8100.70.80.710

と考えられ,

各処理の平均値各処理の平均値 ijij xxxx

より,

各処理の平均値各処理の平均値 ijij xxxx

となる.以上の結果から表 2.1のデータを処理方法の効果とばらつき(誤差)に分解した結

果を表 2.2に,またそのグラフを図 2.1に示す.

表 2.2 測定データの処理方法の効果とばらつき

データ ijx xxij = xxi + iij xx

1A 2A 3A 1A 2A 3A 1A 2A 3A 1A 2A 3A

9 5 8 2 -2 1 1.5 -2.5 1.0 0.5 0.5 0.0

10 3 8 3 -4 1 = 1.5 -2.5 1.0 + 1.5 -1.5 0.0

8 2 6 1 -5 -1 1.5 -2.5 1.0 -0.5 -2.5 -2.0

7 8 10 0 1 3 1.5 -2.5 1.0 -1.5 3.5 2.0

図 2.1 測定データを処理方法の効果とばらつきに分解するグラフ

得られた表 2.1 のデータから平方和をそれぞれ考えると,総平方和 TS (総変動とも呼ば

れる)は,

3

1

4

1

23

1

4

1

3

1

4

1

2

3

1

4

1

2

3

1

4

1

2

2

i j

iij

i j

iiji

i j

i

i j

iiji

i j

ijT

xxxxxxxx

xxxx

xxS

( 2.6 )

( 2.5 )

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EA

i j

iij

i j

i

i

i

iiiii

i

i

j

iij

i

i

i j

iiji

SS

xxxx

xx

xxxxxxx

xxxxxxxx

00

4

2

3

1

4

1

23

1

4

1

2

3

1

4321

3

1

4

1

3

1

3

1

4

1

となる.式(2.7)の第 1 項は 3 種類の処理方法の違いによる変動を表しており,第 2 項は各

処理方法内の変動を表している.ここで前者を A 間変動または処理方法間変動と呼び,後

者を誤差変動と呼んでいる.すなわち,この実験による総変動は因子 Aによる A 間変動と

誤差変動に分解されていることになる.もし,A間変動が誤差変動に比較して統計的に大き

ければ 3 種類の処理方法について違いが認められることとなる.これらの比較は分散によ

る有意差検定を行うことにより把握できる.表 2.2より,それぞれの平方和は,

723

1

4

1

2

i j

ijT xxS

383

1

4

1

2

i j

iA xxS

343

1

4

1

2

i j

iijE xxS

と求められる.

2.2 データの構造

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行い,データ ijx が

得られたとき,データの内容は を総平均,aを因子 Aの主効果,を誤差として,

ijiij ax ただし, 01

l

i

ia 2,0 Nij~

li ,,2,1 rj ,,2,1

iii ax rNi

2,0 ~

x lrN 2,0 ~

で表され,式(2.8)を測定データの構造式と呼び,式(2.9)は因子 Aの各水準における平均値

のデータの構造式,式(2.10)は総平均値のデータの構造式を表している.

例えば,実験の結果,表 2.1で得られたデータを記号化して表すとすると,各処理方法が

特有にそれぞれ 321 ,, の母平均からなり,全 12 回の実験がランダムに実施されてデー

タは誤差の範囲でばらついており,その誤差を jjj 321 ,, とおくと,これら全て同一分布

に従う誤差の程度と仮定できる.すなわち,データ ijx は,

ijiijx 3,2,1i 4,3,2,1j 2,0 Nij~

と書くことができる.また,各処理方法の特有の母平均 i は,実験全体の総平均を とす

れば,その差 iia は各処理方法の総平均からのズレを表しており処理方法の効果

と考えることができる.よって,表 2.2から 1A は 5.1ˆ1 a , 2A は 5.2ˆ

2 a , 3A は 0.1ˆ3 a

となり ia は処理方法間の効果として表現することができ,各処理方法の特有の母平均 i は

( 2.7 )

( 2.11 )

( 2.8 )

( 2.9 )

( 2.10 )

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ii a と書けるから式(2.11)は,

ijiij ax 3,2,1i 4,3,2,1j

ただし, 0321

3

1

aaaai

i 2,0 Nij~

となる.式(2.12)を表 2.1のような実験が行われたときのデータの構造式と呼び,これは平

方和を要因ごとに分解するときの式(2.5)に相当する.式(2.12)から次式が導かれる.

iii ax 4,0 2 Ni ~

x 12,0 2 N~

2.3 要因の自由度

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行い,データ ijx が

得られたとき,それぞれの平方和の自由度は

総平方和(総変動) T : 1 lrT

A間平方和( A間変動) A : 1 lA

誤差平方和(誤差変動) E : 1 rlE

関係式: EAT

と表すことができる.

例えば,表 2.2 より総平方和については, xxij 項の全 12 個のデータを合計すると 0

となる制約条件

03

1

4

1

i j

ij xx

があり,独立な xxij 項のデータは 11 個となる.したがって 11143 T である.

また,A間平方和に対する自由度は,表 2.2より xxi 項の全 12個のデータから各水準

の 4回の繰り返しデータは同一であり,

03

1

i

i xx

となる制約条件があり,独立な xxi 項のデータは 2個で 213 A となる.さらに,

誤差平方和に対する自由度は,表 2.2より iij xx 項の全 12個のデータから因子の各水準

ごとに 4回の繰り返しデータから,

04

1

j

iij xx

の制約条件があり,独立な iij xx 項のデータは,各水準ごとに 14 個づつ存在するこ

とになる.したがって 9143 E となる.各平方和の自由度については, T は「全

データ数から 1 個減じた数」, A は「因子数から 1 個減じた数」, E は式(2.16)を用いて

「 ATE と求める」と便利である.

2.4 平均平方

平均平方は,一般に「分散」とも呼ばれ記号V が用いられる.それぞれの平均平方は各

要因の平方和を自由度で除した値である.

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行い,データ ijx が

( 2.12 )

( 2.13 )

( 2.14 )

( 2.15 )

( 2.16 )

( 2.17 )

( 2.18 )

( 2.19 )

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得られたとき,それぞれの平均平方は,式(2.14)(2.15)より

要因 Aの平均平方 AV :1

l

SSV A

A

AA

誤差要因の平均平方 EV : 1

rl

SSV E

E

EE

と求められる.表 2.1のデータの場合,

要因 Aの平均平方 AV : 00.192

38AV

誤差要因の平均平方 EV : 78.39

34EV

となる.

2.5 分散分析表の作成と検定

目的とする実験が終了し各統計量が計算できると分散分析表に整理する.一般に,因子 A

を l水準指定し,繰り返し r 計 lr 回の実験をランダムに行い,データ ijx が得られた後,各

統計量の計算後,整理された分散分析表を表 2.3に示す.

表 2.3 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS 1 lA AAA SV EA VV 22

Ar

E ES 1 rlE EEE SV 2

T TS 1 lrT

分散分析表より指定した因子 Aの水準間の違いを知るためには,各水準の平均値から総

平均までの差を ia として考えた A間変動の大きさが,誤差変動と比較して大きいかどうか

を統計的に検討する.この方法は,要因 Aの平均平方の値を要因 E の平均平方の値で除し

た値がF 分布に従うことを利用する.すなわち,

仮説 0: 0: 2

1

2

0 AA HH

に対して検定統計量 EA VVF 0 が自由度 EA , のF 分布に従う

ことから,有意水準を %5 とすると

05.0;,0 EAEA FVVF

を満足したとき要因 Aは有意であるとし,各水準間に差が認められると判断する.このよ

うな判断で指定した因子 Aの水準間の違いを統計的に検討する方法は「分散分析による要

因 Aの F 検定」または単に「分散分析による検定」と呼ばれている.式(2.25)は要因 Aを

判断するための棄却域である.表 2.1に示したデータの分散分析表を表 2.4に示す.

表 2.4 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 38 2 19.00 5.03 22 4 A

E 34 9 3.78 2

T 72 11

計算結果から要因 Aは,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 AA HH

検定統計量: 03.578.3

00.190

E

A

V

VF

( 2.20 )

( 2.21 )

( 2.22 )

( 2.23 )

( 2.25 )

( 2.24 )

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- - 10

判断: 26.405.0;9,205.0;,03.50 FFF EA

となり有意である.したがって「3種類の薬物処理方法には違いが認められる」と判断する.

2.6 最適条件の決定と母平均の推定

分散分析による検定結果から要因 Aに有意差が認められると,指定した因子 Aのどの水

準が最も特性値を高く(または低く)する水準であるかを知りたくなる.この水準を決め

ることを最適条件の決定と呼び,またその条件で特性値の平均はどのくらいの値と推測さ

れるか?を知りたくなる.最適条件下で特性値の平均を推測する方法を点推定と呼ぶ.さ

らに最適条件下で特性値の平均はどのくらいばらつくのだろうか?も知りたい場合,特性

値の平均がばらつく係数(これを信頼率という)を導入して,特性値の平均の信頼上限と

信頼下限を定めることができる.このような信頼上限と信頼下限を定める方法を区間推定

と呼んでいる.

すなわち,目的とする実験が終了したならば,分散分析表により指定した因子の効果を

検定という立場で検討し,さらに特性値の最適条件を決定して,その特性値の最適条件下

で推定が行われる.分散分析後の特性値に対する推定の考え方は必須と言っても過言では

ない.

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行い,データ ijx を

得て分散分析表を作成して検定した結果,要因 Aが有意であったとする.ただし,特性値

は小さいほど良いものとする.

(1)最適条件の決定

最適条件は,因子 Aの各水準の平均値の最小となる水準 p を選択すれば良い.表 2.1 よ

り 3種類の処理方法のうち特性値を最小とする水準は第 2水準である.

(2)最適条件における母平均の点推定

最適条件 pA における母平均の点推定値を pA とすれば,式(2.9)より,

ppp xaA

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.表 2.1より最適条件第 2水準

の母平均の点推定値は,

5.4ˆ222 xaA

となる.このことは 5.45.20.7ˆˆˆ22 aA となることからも明らかである.

(3)最適条件における母平均の区間推定

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とし,最適条件 pA における母平均の信頼上

限および信頼下限を UpA ,

LpA とすれば次式で与えられる.

E

e

EppEp

Lp

Up

Vn

txAV a rtAA

A 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

式(2.27)の根号内の係数 en1 は有効反復数と呼ばれ,有効反復数は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

例えば,式(2.27)における有効反復数は

rlr

l

lrn

A

e

11111

( 2.26 )

( 2.27 )

( 2.28 )

( 2.29 )

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- - 11

となる.

表 2.1より最適条件第 2水準の母平均の区間推定における信頼上限および信頼下限は,

3.2

7.6 9 7 2.02 6 2.25.478.3

4

105.0,95.4

105.0,2

2

2

t

Vn

txA

AE

e

E

L

U

となる.また,式(2.26)の点推定値の分散 pAVar は,式(2.9)より,

21ˆ

rV a raV a rxV a rAV a r ppppp

であり EV2 となる.

2.7 平均平方の期待値

平均平方の期待値( smE .. )とは,分散分析表における検定や因子のばらつきを推定する

のによく利用される.要因の smE .. を求めるとは AVE や EVE を求めることである.

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行ったとき,デー

タ ijx の構造は,式(2.8)(2.9)(2.10)で与えられる.ここで AVE. を求めるとすると,

A

AA

AA SE

SEVE

1.

AAA VESE

となることから A間平方和( A間変動)の期待値を求めればよいことがわかる.式(2.2)に

データの構造式を代入して期待値を求めると,

l

i

i

l

i

i

l

i

ii

l

i

ii

l

i

i

l

i

i

l

i

ii

l

i

ii

l

i

r

j

iA

rEar

EaaE

arEarE

arExxESE

1

2

1

2

11

1

2

1

2

1

2

1

2

1 1

2

022

.

となり,ここで要因 Aの主効果 ia に対する変動を

A

l

i

i

l

i

i

A

a

l

a

1

2

1

2

2

1 22

1

2 1 AAA

l

i

i la

と定義する.よって式(2.32)は

2222 111

11. llrr

lrlrSE AAA

となる.ゆえに式(2.31)より要因 Aの smE .. は

221.

AA

A

A rSEVE

となる.同様に,総平方和に対する平均平方の smE .. は式(2.8)(2.9)(2.10)より,

( 2.30 )

( 2.31 )

( 2.32 )

( 2.33 )

( 2.34 )

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- - 12

l

i

r

j

iji

l

i

r

j

ijT aExxESE1 1

2

1 1

2.

22

1 1

2

1 1

2

1 11 1

1 1

2

1 1

2

1 1

2

11

022

lrlr

Ea

aa

aEaE

A

l

i

r

j

ij

l

i

r

j

i

l

i

r

j

iji

l

i

r

j

iji

l

i

r

j

ij

l

i

r

j

i

l

i

r

j

iji

となり,ゆえに,

22

1

1

1

11.

ATT

T

Tlr

lrSE

lrSEVE

となる.さらに誤差平方和に対する平均平方の smE .. は,同様に,

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1

.

rl

E

aaExxESE

l

i

r

j

iij

l

i

r

j

iiiji

l

i

r

j

iijE

2

1

11.

EE

E

E SErl

SEVE

となる.よって式(2.24)に示した検定は,帰無仮説 0: 2

0 AH ,対立仮説 0: 2

1 AH のも

とで,検定統計量2

2

0

E

A

V

VF は同一の分散 2 を持つ母集団からの独立な不偏分散の比が

自由度 EA , のF 分布に従うことに基づいている.

( 2.35 )

( 2.36 )

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- - 13

第2章 Excel演習問題

【問題 2-1】

薬物処理法 Aを 4水準取り上げ繰返し 4回の計 16回の実験をランダムに行ったところ次

表のデータを得た.次の設問に答えよ.ただし,データは数値変換してあり特性値は小さ

いほど望ましい.したがって,この実験のデータの構造式は式(2.8)(2.9)(2.10)で表される.

表 2-1.1 データ ijx

要因 1A 2A 3A 4A

1 0.57 0.75 0.73 0.48

2 0.80 0.73 0.70 0.63

3 0.76 0.69 0.77 0.49

4 0.71 0.58 0.68 0.56

(1)薬物処理法 Aの各水準の平均 ix およびデータの総平均 x を求めよ.

(2)このデータの総平方和は式(2.1)より

4

1

4

1

2

i j

ijT xxS と表され,個々のデータか

ら総平均までの差は iijiij xxxxxx となることから,データを各々の項

目に表形式にして分解せよ.

(3)(2)から表形式に整理したデータより各平方和および自由度を求めよ.

4

1

4

1

2

i j

ijT xxS ,

4

1

4

1

2

i j

iijE xxS ,

4

1

4

1

2

i j

iA xxS

(4)データ表 2-1.1より各平方和を求めよ.

【問題 2-2】

確率分布表である t分布表および F 分布表から 05.0 のとき,次の分布表から上側%

点を求めよ.

Excell関数 TINV( )は ,2 TINVtPr なる t値は上側 2100 %点を表す.

Excell関数 FINV( )は ;, 21FINVFPr なるF 値は上側 100 %点を表す.

(1)自由度 7 の t分布における上側確率 2.5%点は?

(2)自由度 9 の t分布における上側確率 5%点は?

(3)自由度 51 , 82 のF 分布における上側確率 5%点は?

(4)自由度 51 , 82 のF 分布における下側確率 5%点は?

(5)自由度 31 , 152 のF 分布における上側確率 10%点は?

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-14-

第3章 一元配置法による実験

一元配置法による実験とは,第 2 章で述べたようにある薬物処理の方法(これを因子 A

とする)を検討するとき数種類の水準を取上げ数回の繰返し実験をランダムに行う実験計

画をいう.すなわち一つの因子について解析する方法である.

3.1 実験データ表とデータの構造式

一般に,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行い,特性値の測

定データ ijx が得られたときデータ表は表 3.1となる.

表 3.1 一元配置法による実験データ表

因子 A 1A 2A lA

1 11x 21x 1lx

2 12x 22x 2lx

ijx

r rx1

rx2 lrx

合計 1T 2T lT

平均値 1x 2x lx

一元配置法による実験では lr 回の実験をランダムな順序で行うことが重要であり,例え

ば,1A 水準で r回の実験を実施し,次に

2A 水準で r回の実験を,次に 3A 水準で r回の実験

を,以下同様に実施していく方法ではないことに注意が必要である.

一元配置法による実験のデータの構造式は,

ijiij ax ただし, 01

l

i

ia 2,0 Nij~

li ,,2,1 rj ,,2,1

で表され,

iii ax rNi

2,0 ~

x lrN 2,0 ~

が導ける.表 3.1および式(3.1)(3.2)(3.3)で使用されている添字の「・(ドット)」の記号は合

計を表し「1T 」は因子 Aの第 1水準の繰返し r回の実験データの合計である.また x の「-

(バー)」は平均を表し「1x 」は因子 Aの第 1水準の実験データの平均値である.

3.2 平方和と自由度

一元配置法による実験データの平方和と自由度は,実験データの総平均値を,

総平均値

l

i

i

l

i

r

j

ij TN

xN

x11 1

11 ただし, lrN

とおいて,

総平方和(総変動)

l

i

r

j

ijT xxS1 1

2 1 NT

A間平方和( A間変動)

l

i

r

j

iA xxS1 1

2 1 lA

誤差平方和(誤差変動)

l

i

r

j

iijE xxS1 1

2 1 rlE

( 3.5 )

( 3.6 )

( 3.7 )

( 3.1 )

( 3.2 )

( 3.3 )

( 3.4 )

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-15-

関係式:EAT SSS

で求められる.また,平方和の計算には,

修正項

2

1

1

l

i

iTN

CT

総平方和(総変動) CTxSl

i

r

j

ijT 1 1

2

A間平方和( A間変動) CTr

TS

l

i

i

A

1

2

誤差平方和(誤差変動)ATE SSS

と求めることもできる.

3.3 分散分析表と検定

一元配置法による実験の分散分析表を表 3.2に示す.

表 3.2 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS 1 lA AAA SV EA VV 22

Ar

E ES 1 rlE EEE SV 2

T TS 1 NT

要因 Aの効果について検定を実施するためには,要因 Aの平均平方 AAA SV と誤差

要因の平均平方 EEE SV を求め,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 AA HH (有意水準を %5 )

検定統計量:E

A

V

VF 0

棄却域: 05.0;,0 EAEA FVVF

による判断を行えばよい.

3.4 最適条件の決定と母平均の推定

最適条件の決定および母平均の推定方法については,第 2 章 2.6 節に述べたとおりであ

る.

(1)最適条件の決定

最適条件は,特性値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準 p を選択

すれば良い.

(2)最適条件における母平均の点推定

最適条件 pA における母平均の点推定値を pA とすれば,式(3.2)より,

ppp xaA

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

(3)最適条件における母平均の区間推定

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 pA における母平均の信

頼上限および信頼下限を UpA ,

LpA は次式で与えられる.

( 3.8 )

( 3.16 )

( 3.10 )

( 3.11 )

( 3.12 )

( 3.9 )

( 3.15 )

( 3.13 )

( 3.14 )

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-16-

E

e

EppEp

Lp

Up

Vn

txAV a rtAA

A 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

式(3.17)の根号内の有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

3.5 繰返し数が異なる場合

一元配置法による実験で各水準で繰返し数が異なる場合,例えば,1A 水準で

1n 回の実験,

2A 水準で2n 回の実験と,以下同様に l水準で合計

l

i

inN1

回の実験がランダムに実施さ

れている場合,一元配置法による実験のデータの構造式は,

ijiij ax ただし, 01

l

i

ia 2,0 Nij~

li ,,2,1 inj ,,2,1

l

i

inN1

で表され,

iii ax ii nN 2,0 ~

x NN 2,0 ~

が導ける.このときの平方和および自由度は,

総平方和(総変動)

l

i

n

j

ijT

i

xxS1 1

2 1

1

l

i

iT n

1 N

A間平方和( A間変動)

l

i

n

j

iA

i

xxS1 1

2 1 lA

誤差平方和(誤差変動)

l

i

n

j

iijE

i

xxS1 1

2 ln

l

i

iE 1

lN

関係式: EAT SSS EAT

で求められる.また,平方和の計算には,

修正項

2

1

1

l

i

iTN

CT

総平方和(総変動) CTxSl

i

n

j

ijT

i

1 1

2

A間平方和( A間変動) CTn

TS

l

i i

iA

1

2

誤差平方和(誤差変動) ATE SSS

と求めることもできる.計算結果を表 3.2と同様に分散分析表に整理して,要因効果の検定

には 0F 値を検討すればよい.繰返し数が異なる場合の要因 Aの smE .. は式(2.32)より,

( 3.17 )

( 3.18 )

( 3.19 )

( 3.20 )

( 3.21 )

( 3.22 )

( 3.23 )

( 3.24 )

( 3.25 )

( 3.27 )

( 3.28 )

( 3.29 )

( 3.26 )

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-17-

l

i

ii

l

i

ii

l

i

iii

l

i

iii

l

i

ii

l

i

ii

l

i

iii

l

i

iii

l

i

n

j

iA

nEan

EananE

nanEanE

anExxESEi

1

2

1

2

11

1

2

1

2

1

2

1

2

1 1

2

022

.

となり,

2

1

2 1.

lanSEl

i

iiA

となる.ゆえに要因 Aの smE .. は

21

2

11

1.

l

an

SEl

VE

l

i

ii

AA

となる.分散分析表を表 3.3に示す.

表 3.3 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS 1 lA AV EA VV

1

1

2

2

l

anl

i

ii

E ES lnl

i

iE 1

EV 2

T TS 11

l

i

iT n

繰返し数が異なる場合の表 3.3 における要因 Aの検定および判断は,繰返し数が一定の

場合に準じて行えばよい.

要因 Aの水準における推定では,例えば, pA における母平均の点推定値を pA とすれ

ば式(3.16)となる.

また, 母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば, pA における母平均の信

頼上限および信頼下限を UpA ,

LpA は,

21ˆ

p

pppppn

V a raV a rxV a rAV a r

より次式で与えられる.

E

p

EppEp

Lp

Up

Vn

txAV a rtAA

A 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

式(3.33)の根号内の pn は,要因 Aの p 水準におけるデータ数である.

( 3.30 )

( 3.31 )

( 3.32 )

( 3.33 )

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-18-

3.6 例題

ある製薬(株)では,鎮痛薬である錠剤の固形化を促進する薬用成分の添加量(因子 A)を

微調整して操業条件を確定したいと考えている.そこで,現在の操業条件の添加量 3A に対

して上下に 2 水準を指定し実験を行うことにした.実験は一元配置法とし繰り返し 5 回計

25 回の実験をランダムに実施し表 3.3 の測定データを得た.ただし,データは数値変換し

てあり特性値は小さいほど望ましい.次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で添加量の効果を検定せよ.

(2)特性値を最小とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

(3)現行条件( 3A )と最適条件との母平均の差の点推定値および信頼率 95%信頼

限界を求めよ.

表 3.3 一元配置法による実験データ表(単位省略)

因子 A 1A 2A 3A (現行)

4A 5A

1 5.7 7.3 7.5 6.9 4.8

2 8.0 7.0 7.3 5.2 6.3

3 7.6 7.7 6.9 4.3 4.9

4 7.1 6.8 5.8 4.0 5.6

5 8.4 4.8 8.6 4.1 7.1

合計 36.8 33.6 36.1 24.5 28.7

平均値 7.36 5.72 7.22 4.90 5.74

この例題では,一つの因子 Aを 5水準繰返し 5回計 25回の実験をランダムに実施した測

定データについて分散分析による解析を行い最適な条件を決定し母平均を推定する解析が

適用される.特に上記設問(3)の現行条件と最適条件の母平均の差の推定については言及し

ていないが本例題で説明する.

(1)分散分析による要因 Aの検定

手順 1.データの構造

ijiij ax ただし, 05

1

i

ia 2,0 Nij~

5,4,3,2,1i 5,4,3,2,1j

手順2.平方和と自由度の計算

データの総合計 7.1597.285.241.366.338.365

1

i

iTT

総平均 388.67.15925

11 5

1

i

iTN

x

修正項 1636.10207.15955

11 2

25

1

i

iTN

CT

総平方和 CTxSi j

ijT

5

1

5

1

2

1264.451636.102029.1065

1636.10201.74.81.76.70.87.5 222222

241551 NT

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-19-

A間平方和 CTr

TS

i

i

A

5

1

2

9064.211636.102035.52105

1

1636.10205

7.28

5

5.24

5

1.36

5

6.33

5

8.36

22222

4151 lA

誤差平方和 2200.239064.211264.45 ATE SSS

201551 rlE

手順3.分散分析表の作成

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から分散分析表を作成し,平均平方および

検定のための統計量 0F を求める.

表 3.4 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 21.9064 4 5.4766 4.72 22 5 A

E 23.2200 20 1.1610 2

T 45.1264 25

手順4.要因 Aの効果の判定

F 分布表から 87.205.0;20,4 F であることから,

87.205.0;20,472.40 FF

を満足し,要因 Aは有意である.したがって「錠剤の固形化を促進する薬用成分の添

加量は水準の違いにより特性値の母平均は異なると言える」と判断する.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

手順5.最適条件の決定

特性値は小さいほど望ましいことから表 3.3データ表より 4A 水準となる.

手順6.最適条件における母平均の点推定

式(3.16)より最適条件4A における母平均の点推定値を 4

ˆ A は,

90.4ˆ444 xaA

となる.

手順7.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件4A における母平均の信頼上限および信頼下限

UA4 ,

LA4 は式(3.17)

および式(3.18)を用いて, t分布表から 086.205.0,2005.0, tt E より

8 9.3

9 1.5 0 1.19 0.44 8 1 9.00 8 6.29 0.4

1610.15

1086.290.4

105.0,4

4

4

E

e

E

L

UV

ntx

A

A

となる.

(3)現行条件( 3A )と最適条件との母平均の差の推定

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-20-

この例題では,最適条件は4A となった.そこで,現行条件( 3A )と最適条件との母平均

の差を推定することは 43ˆ AA の推定を行うことである.一般に pA と qA 水準で

の母平均の差を推定すると,点推定値は,

qpqpqp xxAAAA ˆˆˆ

となる.この点推定値は式(3.2)より,

qpqpqp aaaaAA ˆˆˆ

となり第 2 章 2.3 節で述べた因子 Aの水準の効果の差となっていることがわかる.また,

式(3.8)の信頼率 95%区間推定では,母平均の差の分散の推定値が必要であり式(3.2)より,

qpqpqp

qqpp

qpqp

arVaaarV

aaarV

xxarVAAarV

ˆˆ

ˆ

ˆˆ

EVrrrr

12ˆ

12ˆ

1 222

となる.よって,母平均の差の信頼率 95%信頼限界は,

E

e

Eqp

Lqp

Uqp

Vn

txxAA

AA 1205.0,

ˆˆ

ˆˆ

と求められる.ここで信頼限界の区間にゼロ(0)が含まれていないとき, pA と qA 水準の母

平均の差は有意水準 100×(1-信頼率)%,すなわち 5%で有意であると判断できる.

手順 8.現行条件と最適条件との母平均の差の推定

3A :現行条件, 4A :最適条件

式(3.18)より

32.290.422.7

ˆˆˆ

43

4343

xx

AAAA

となる.

手順 9.現行条件と最適条件との母平均の差の信頼率 95%区間推定

式(3.21)より

90.0

74.3 42.132.2

6815.0086.232.2

1610.15

1205.0,2090.422.7

1205.0,

ˆˆ

ˆˆ43

43

43

t

Vn

txxAA

AAE

e

E

L

U

ここで信頼限界はゼロを含まないので,現行条件と最適条件での母平均の差は有意

水準 5%で有意であり,両条件での母平均は異なると言える.

( 3.34 )

( 3.35 )

( 3.37 )

( 3.36 )

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-21-

【参考 1】分散分析表における平均平方の期待値 E.m.sについて

正規分布の基本性質

(1) nx,,x,x 21 が互いに独立に 20 ,N に従うとき,平均値 x は n,N 20 に従う.

(2) nx,,x,x 21 が互いに独立に 20 ,N に従うとき統計量を,

平方和:

n

i

i xxS1

2 ,分散:1

n

SSV

とすると

2

1

21

nxxESEn

i

i , 2211

1

1

1

1

n

nSE

nn

SEVE

が成り立つ.

(1)一元配置法繰返し数が一定の場合

一元配置法の実験でデータの構造から誤差に関して, lrN とすると,

lrll

r

,,,

,N

,,,

21

2

11211

0 ~ ⇒

N,N

2

0

~ より,

lrll

r

,,,

,N

,,,

21

2

11211

0 ~ ⇒ 2

1 1

21

NEl

i

r

j

ij

221 0 ,N,,, irii ~ ⇒

r,Ni

2

0

~ より,

221 0 ,N,,, irii ~ ⇒ 2

1

21

rEr

j

iij

r,N,,, iii

2

0

~ ⇒

N,N

2

0

~ より,

r,N,,, iii

2

0

~ ⇒ r

lEl

i

i

2

1

21

が成り立つ.そこで級間変動 AS の期待値は,

ijiij ax 20 ,Nij~ ただし, 01

l

i

ia , r,,,jl,,,i 21 21

iii ax r,Ni20 ~

x N,N 20 ~

222

2

2

1

2

11

1

2

1

2

1

2

1

2

1

2

1

2

1 1

2

1111

1 022

llrr

lrlr

la,EararE

rEarrEarE

arExxrExxESE

AA

A

l

i

i

l

i

ii

l

i

ii

l

i

i

l

i

i

l

i

i

l

i

i

l

i

ii

l

i

i

l

i

r

j

iA

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-22-

22

1

1

AA

A

AA rSE

l

SEVE 1 lA

22

1 1

2

1 1

21 lNrlExxESE

l

i

r

j

iij

l

i

r

j

iijE

21

E

E

EE SE

lN

SEVE lNllrrlE 1

表 1.分散分析表(繰返し数が一定の場合)

要因 s.s. d.f. m.s E.m.s

A AS 1 lA AV 22Ar

E ES llrE EV 2

T TS 1 lrT

(2)一元配置法繰返し数が異なる場合

一元配置法の実験でデータの構造から誤差に関して,

l

i

inN1

とすると,

llnll

n

,,,

,N

,,,

21

2

11211

0

1

~ ⇒

N,N

2

0

~ より,

llnll

n

,,,

,N

,,,

21

2

11211

0

1

~ ⇒ 22

11 1

211

NnEl

i

i

l

i

n

j

ij

i

221 0 ,N,,,

iinii ~ ⇒

i

in

,N2

0

~ より,

221 0 ,N,,,

iinii ~ ⇒ 2

1

21

i

n

j

iij nEi

i

iiin

,N,,,2

0

~ ⇒

N,N

2

0

~ より,

i

iiin

,N,,,2

0

~ ⇒ i

l

i

in

lE2

1

21

が成り立つ.そこで級間変動 AS の期待値は,

ijiij ax 20 ,Nij~ ただし, in,,,jl,,,i 21 21

iii ax ii n,N 20 ~

x N,N 20 ~

l

i

ii

l

i

iii

l

i

ii

l

i

iiiiiii

l

i

iiiii

l

i

iii

l

i

ii

l

i

n

j

iA

nEanEanE

nananEaanE

anExxnExxESEi

1

2

11

2

1

22

1

22

1

2

1

2

1 1

2

2

22

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l

i

iii

l

i

iii

l

i

ii nEanEanE1

22

11

2 22

2

1

2

222

1

2

222

1

2

1

2

21

2

1

2

1

2

2

1

2

11

22

11

22

2

1

22

2

1

22

1

2

12

1 11

2

11

2

1

2

12

1

2

11

2

1

2

2

12

0 2

2

0

12

0 2

12

2

lan

lan

NN

lan

NnN

nNn

nan

Nn

'kkEEnnEn

nnnEnE

kiEn

nEnnE

nE

nEnN

nEnN

En

EEananE

nnN

nnN

nE

anEanE

l

i

ii

l

i

ii

l

i

ii

l

i

i

l

i

i

l

i i

i

l

i

ii

l

k

k

'kk

l

'kkk

'kk'kk

l

k

kk

l

'kkk

'kk'kk

l

k

kk

l

k

kk

ki

i

iii

l

k

kki

i

i

l

i

l

k

kki

l

i

l

k

kkii

l

i

ii

i

l

i

iii

l

i

ii

l

i

l

k

kki

l

k

kkiiii

l

i

iii

l

i

ii

21

2

11

1

l

an

SEl

SEVE

l

i

ii

A

A

AA 1 lA

022

1

11

22

11

2

1

2

1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

l

i

iii

l

i

iii

l

i

i

l

i

l

i

i

l

i

i

l

i

n

j

iij

l

i

n

j

iij

l

i

n

j

iijE

EananE

lNlnnn

EExxESEiii

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-24-

21

E

E

EE SE

lN

SEVE lNln

l

i

iE

表 2.分散分析表(繰返し数が異なる場合)

要因 s.s. d.f. m.s E.m.s

A AS 1 lA AV

1

1

2

2

l

anl

i

ii

E ES lnl

i

iE

EV 2

T TS 1

l

i

iT n

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-25-

第3章 Excel演習問題

【問題 3-1】

ある電気工業(株)では,電子部品の特性値を向上させる目的で材料の配合方法 Aを 4種類

取り上げて実験を実施することにした.実験は因子 Aに対する一元配置法による実験とし,

繰り返し 5回計 25回の実験をランダムに実施し,電子部品を製造したときの特性値を測定

して表 3-1.1のデータを得た.ただし,データは数値変換してあり特性値は大きいほど望ま

しい.

表 3-1.1 実験データ表(単位省略)

因子 A 1A 2A 3A

4A

1 8.9 10.7 5.8 13.2

2 6.7 9.0 9.1 12.0

3 3.5 7.8 4.5 10.7

4 7.2 8.1 5.8 11.0

5 8.5 11.0 6.4 7.5

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因効果の有無を検討せよ.

(2)特性値を最大とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と信頼率

95%信頼限界を求めよ.

(3)1A 条件と最適条件との母平均の差の点推定値および信頼率 95%信頼限界を求めよ.

【問題 3-2】

ある塗料技研では,通電性の高いインクの開発を行っており,このたび原料の混合比であ

る樹脂と銀粉の割合 Aを 3 水準取り上げ繰返し 5 回計 15 回の実験をランダムに実施した

ところ1A 水準で 2 回, 3A 水準で 1 回の実験に失敗し,12 回の通電性に関する表 3-2.1 の

データを得た.ただし,データは数値変換してあり特性値は大きいほど望ましい.

表 3-2.1 通電性データ表(単位省略)

因子 A 1A 2A 3A

1 75 75 72

2 77 76 70

3 72 79 71

4 81 74

5 74

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因効果の有無を検討せよ.

(2)特性値を最大とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と信頼率

95%信頼限界を求めよ.

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第4章 繰返しのない二元配置法による実験

二元配置法による実験とは,第 3 章で述べた一つの因子について解析を行う一元配置法

による実験と違い二つの因子を指定して行われる実験である.例えば,二つの因子 A と B

を数水準ずつを取上げ,その水準の組合せ回数の実験をランダムに行う実験の計画をいう.

特に二元配置法による実験では,二つの因子の水準の組合せで 1 回の実験のみが行われる

とき繰返しのない二元配置法による実験といい,二つの因子の水準の組合せで数回の実験

が行われるとき繰返しのある二元配置法による実験という.本章では繰返しのない二元配

置法による実験について解析する方法を述べる.

4.1 実験データ表とデータの構造式

一般に,因子 Aを l水準,因子 Bをm水準指定し,水準の組合せ lm回の実験をランダム

に行い,特性値の測定データ ijx が得られたときデータ表は表 4.1となる.

表 4.1 繰返しのない二元配置法による実験データ表

因子 1A 2A lA 合計 平均値

1B 11x

21x 1lx 1T

1x

2B 12x

22x 2lx 2T

2x

ijx

mB mx1 mx2 lmx mT mx

合計 1T 2T lT

T

平均値 1x 2x lx x

この実験でも一元配置法による実験と同様に水準の組合せ数 lm回の実験をランダムな

順序で行うことが重要である.

繰返しのない二元配置法による実験のデータの構造式は,

ijjiij bax ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 2,0 Nij~

li ,,2,1 mj ,,2,1

で表され,

iii ax mNi

2,0 ~

jjj bx lNj

2,0 ~

x lmN 2,0 ~

が導ける.式(4.1)の ia は因子 Aの i水準の特有の効果を表し, jb は因子 Bの j水準の特有

の効果を表している.一般に,複数の因子を取り上げ実験が行われると因子の組合せによる

効果,すなわち ijab なる組合せによる効果(これを交互作用と呼ぶ)が存在するが,繰返

しのない二元配置法による実験ではこの効果を把握することはできない.したがって組合

せによる効果を把握するためには繰返しのある二元配置法による実験を行うことにより検

討することができる.繰返しのある二元配置法による実験については第 5章で述べる.

4.2 平方和と自由度

繰返しのない二元配置法による実験データの平方和と自由度は,実験データの総平均値

を,

総平均値

TN

xN

xl

i

m

j

ij

11

1 1

ただし, lmN

( 4.1 )

( 4.2 )

( 4.4 )

( 4.5 )

( 4.3 )

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-27-

とおいて,

総平方和(総変動)

l

i

m

j

ijT xxS1 1

2 1 NT

A間平方和( A間変動)

l

i

m

j

iA xxS1 1

2 1 lA

B間平方和(B間変動)

l

i

m

j

jB xxS1 1

2 1mB

誤差平方和(誤差変動)

l

i

m

j

jiijE xxxxS1 1

2

11 mlE

関係式:EBAT SSSS

で求められる.また,平方和の計算には,

修正項 21 T

NCT

総平方和(総変動) CTxSl

i

m

j

ijT 1 1

2

A間平方和( A間変動) CTm

TS

l

i

i

A

1

2

B間平方和(B間変動) CTl

TS

m

j

j

B

1

2

誤差平方和(誤差変動)BATE SSSS

BATE

と求めることもできる.一般に,繰返しのない二元配置法による実験で式(4.6)の総平方和の

分解は,

EBA

l

i

m

j

jiijj

l

i

iii

l

i

m

j

jiii

m

j

jiij

l

i

i

l

i

m

j

jiiji

m

j

j

l

i

i

l

i

m

j

ji

l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

jiijji

l

i

m

j

ijT

SSS

xxxxxx

lm

Tm

l

TTTxx

xml

T

m

TmTxx

xxxxxxxxxxxx

xxxxxxxx

xxxxxxxx

xxxxxxxxxxS

0

0

0

1 1

1

1 1

111 1

111 1

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

同様に  

となり式(4.7)(4.8)(4.9)を得る.

( 4.6 )

( 4.7 )

( 4.9 )

( 4.10 )

( 4.12 )

( 4.13 )

( 4.15 )

( 4.11 )

( 4.8 )

( 4.14 )

( 4.16 )

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-28-

4.3 分散分析表と検定

繰返しのない二元配置法による実験の分散分析表を表 4.2に示す.

表 4.2 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS 1 lA AAA SV EA VV 22

Am

B BS 1 mB BBB SV EB VV 22

Bl

E ES 11 mlE EEE SV 2

T TS 1 NT

要因 Aの効果について検定を実施するためには,要因 Aの平均平方 AAA SV と誤差

要因の平均平方 EEE SV を求め,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 AA HH (有意水準を %5 )

検定統計量:E

A

V

VF 0

棄却域: 05.0;,0 EAEA FVVF

による判断を行えばよい.また,要因 Bの効果について検定は,同様に,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 BB HH (有意水準を %5 )

検定統計量:E

B

V

VF 0

棄却域: 05.0;,0 EBEB FVVF

による判断を行えばよい.

4.4 最適条件の決定と母平均の推定

因子数が複数個指定されて実験された場合,最適条件の決定は分散分析表で検定された

要因の有意性から分散分析後,推定に用いるデータの構造式を考え決定し,その条件下にお

ける母平均を推定する.一般に,二元配置法は因子 A, B の水準変更に伴い特性値は大き

く変動することを積極的に把握するために指定し実験が実施されており,ともに有意にな

ることが多く,要因 A, B の一つが有意でなくてもその要因の効果を誤差とみなさず推定を行うのが通常である.

(1)最適条件の決定

推定に用いるデータの構造式を式(4.1)と考える.

a) 因子 Aの最適条件

データの構造式: ijiij ax

最適条件は,特性値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準 p を

選択すれば良い.

b) 因子 Bの最適条件

データの構造式: ijjij bx

最適条件は,特性値である実験データより因子 B の各水準の平均値の最適水準 qを

選択すれば良い.

c) 因子 Aと因子 Bの組合せによる最適条件

データの構造式: ijjiij bax

( 4.19 )

( 4.17 )

( 4.18 )

( 4.22 )

( 4.20 )

( 4.21 )

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-29-

最適条件は,特性値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準 p と

因子 Bの各水準の平均値の最適水準qを選択すれば良い.

(2)最適条件における母平均の点推定

a) 因子 Aの最適条件

最適条件 pA における母平均の点推定値を pA とすれば,式(4.2)より,

ppp xaA

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

b) 因子 Bの最適条件

最適条件 qB における母平均の点推定値を qB とすれば,式(4.3)より,

qqq xbB

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

c) 因子 Aと因子 Bの組合せによる最適条件

最適条件 pA qB における母平均の点推定値を qp BA とすれば,式(4.1)より,

xxxbabaBA qpqpqpqp ˆˆ

となる.すなわち,点推定値は,各因子の最適条件の平均値の和から総平均を減じた

値に等しい.

(3)最適条件における母平均の区間推定

a) 因子 Aの最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 pA における母平均

の信頼上限および信頼下限を UpA ,

LpA は次式で与えられる.

E

e

EppEp

Lp

Up

Vn

txAV a rtAA

A 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

mlmn

A

e

1111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

b) 因子 Bの最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 qB における母平均

の信頼上限および信頼下限を UqB ,

LqB は次式で与えられる.

E

e

EqqEq

Lq

Uq

Vn

txBV a rtBB

B 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

llmn

B

e

1111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

c) 因子 Aと因子 Bの組合せによる最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 qp BA における母

平均の信頼上限および信頼下限を Uqp BA ,

Lqp BA は次式で与えられる.

( 4.23 )

( 4.26 )

( 4.27 )

( 4.24 )

( 4.25 )

( 4.28 )

( 4.29 )

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-30-

E

e

EpqqpEqp

Lqp

Uqp

Vn

txBAVartBA

BA

BA

105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmlmlm

ml

lm

BA 11111

また式(4.31)の有効反復数最終項は,点推定値式(4.25)で xxx qp ,, を求めるときの係

数の和に等しく,このように点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

伊奈の式:lmlmne

1111

を伊奈の式と呼んでいる.

4.5 推定値の分散と期待値

母平均の推定値の分散は,因子 Aおよび因子 Bの単独水準のみを指定したときは第 2 章

2.6節に準ずる方法で式(4.26)(4.28)を導くことができる.また因子の組合せ水準 qp BA にお

ける母平均の推定値の分散 qp BAVar は,式(4.25)(4.2)(4.3)(4.4)より,

2111

ˆ

lmlmVar

baVar

baVar

xxxVarBAVar

qp

qpqp

qqpp

qpqp

となり式(4.30)を得る参考).また,要因Bの平均平方の smE .. は,

B

BB

BB SE

SEVE

1.

BBB VESE

となることから B間平方和( B間変動)の期待値を求めると,

m

j

j

m

j

j

m

j

jj

m

j

jj

m

j

j

m

j

j

m

j

jj

m

j

jj

l

i

m

j

jB

lEbl

EbbE

blEblE

blExxESE

1

2

1

2

11

1

2

1

2

1

2

1

2

1 1

2

022

.

となり,ここで要因 Bの主効果 jb に対する変動を

( 4.30 )

( 4.31 )

( 4.32 )

( 4.33 )

( 4.34 )

( 4.35 )

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-31-

B

m

j

j

m

j

j

B

b

m

b

1

2

1

2

2

1 22

1

2 1 BBB

m

j

j mb

と定義する.よって式(4.35)は

2222 111

11. mmll

mlmlSE BBB

となる.ゆえに式(4.34)より要因Bの smE .. は

221.

BB

B

B lSEVE

となる.

4.6 例題

ある金属加工(株)では,特殊金属のスポット溶接の強度向上が問題となった.そこで溶接

時の電流値 Aと接着溶媒の種類 B を因子として取上げ実験を行うことにした.実験では電

流値 Aを 4 水準,溶媒の種類 Bを 4 水準指定し計 16 回の繰返しのない二元配置法による

実験をランダムな順序で行い,試験片を作成し破壊検査後特性値として強度を測定し表 4.3

のデータを得た.ただし,データは数値変換してあり特性値は大きいほど望ましい.次の設

問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で電流値と溶媒の種類について効果を検定せよ.

(2)特性値を最大とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

表 4.3 繰返しのない二元配置法による実験データ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A

4A 合計 平均値

1B 42 40 36 41 159 39.75

2B 40 46 37 44 167 41.75

3B 46 49 44 44 183 45.75

4B 38 43 37 45 163 40.75

合計 166 178 154 174 672

平均値 41.5 44.5 38.5 43.5 42.0

この例題では,二つの因子 A,Bを各 4水準計 16回の実験をランダムに実施した測定デ

ータについて分散分析による解析を行い最適な条件を決定し母平均を推定する解析が適用

される.

(1)分散分析による要因の検定

手順 1.データの構造

ijjiij bax ただし, 04

1

i

ia 04

1

j

jb 2,0 Nij~

4,3,2,1i 4,3,2,1j 1644 lmN

手順2.平方和と自由度の計算

データの総合計 6724544384640424

1

4

1

i j

ijxT

総平均 0.4267216

11 T

Nx

( 4.36 )

( 4.38 )

( 4.37 )

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-32-

修正項 0.2822467216

11 22 TN

CT

総平方和 CTxSi j

ijT

4

1

4

1

2

0.2140.282240.28438

0.28224454438464042 222222

151161 NT

A間平方和 CTm

TS

i

i

A

4

1

2

0.840.282240.1132324

1

0.282241741541781664

1 2222

3141 lA

B間平方和 CTl

TS

j

j

B

4

1

2

0.830.282240.1132284

1

0.282241631831671594

1 2222

3141 mB

誤差平方和 0.470.830.840.214 BATE SSSS

93311 mlE

または, 93315 BATE

手順3.分散分析表の作成

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から分散分析表を作成し,平均平方および

検定のための統計量 0F を求める.

表 3.4 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 84.0 3 28.0 5.36 22 4 A

B 83.0 3 27.667 5.30 22 4 B

E 47.0 9 5.222 2

T 214.0 15

手順4.要因効果の判定

F 分布表から 86.305.0;9,3 F であることから,

要因 Aについては 86.305.0;9,336.50 FF を満足し有意である.

要因 Bについては 86.305.0;9,330.50 FF を満足し有意である.

したがって「電流値および接着溶媒の種類について,それぞれ各水準の違いにより特

性値の母平均は異なると言える」と判断する.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

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-33-

手順5.最適条件の決定

要因 A, Bはともに有意となった.そこで分散分析後,母平均を推定するためのデ

ータの構造式を,

ijjiij bax

とすれば,特性値は大きいほど望ましいことから表 4.3データ表より 32 BA 水準となる.

手順6.最適条件における母平均の点推定

式(4.25)より最適条件 32 BA における母平均の点推定値を 32ˆ BA は,

25.480.4275.455.44

ˆˆ

32

323232

xxx

babaBA

となる.

手順7.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件 32 BA における母平均の信頼上限および信頼下限 U

BA 32 , L

BA 32 は,

式(4.30)および式(4.31)を用いて, t分布表から 262.205.0,905.0, tt E より

4 4 . 8 3

5 1 . 6 7 42.325.485115.1262.225.48

222.516

7262.225.48

105.0,ˆ

32

32

32

E

e

E

L

UV

ntBA

BA

BA

となる.

【参考】有効反復数について

式(4.31)(4.32)(4.33)による有効反復数

(伊奈の式)

(田口の式)

111

111

11

11

11111

1111

11

1

11111111

111111

111

2

2

2

2

22

22

22

2

22

22

22

2

22

22

22

2

1 111

1 111

1 111

lmlm

lm

ml

mllm

lmmlml

mlmlmlml

ml

ml

ml

mll

ml

mm

ml

l

lmlmlmlmllmmVar

lmlmlmlmVar

lmlmVar

VarBAˆVar

pq

l

pi,i

m

qj,j

ij

l

pi,i

iq

m

qj,j

pj

pq

l

i

m

q,pj,i,j

ij

l

pi,i

iq

m

qj,j

pj

l

i

m

j

ij

l

i

iq

m

j

pj

qpqp

と考えることができる.

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例えば,繰返しなし二元配置法による実験において,因子 Aを 3 水準,因子Bを 4 水準

とし 32ˆ BA の分散は,

23

34333231

242221

14131211

3313242221

23

3

1

4

321

3

21

3

4

31

2

3

1

4

1

3

1

3

4

1

2

3232

43

1

3

1

4

1

43

1

3

1

4

1

43

1

3

1

4

1

43

1

3

1

4

1

43

1

3

1

4

1

Var

Var

Var

VarBAˆVar

i ,j,i,j

ij

i,i

i

j,j

j

i j

ij

i

i

j

j

2

2

2

222

22

22

22

2

22

22

22

2

22

22

22

2

23

343231

141211

3313242221

43

1

3

1

4

1

43

11413

14343

1

4314343

1

143143141343

1

43

143

43

141313

43

1414

43

13

43

1

3

1

4

1

43

1

43

1

3

1

43

1

4

1

Var

となる.

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第4章 Excel演習問題

【問題 4-1】

ある金属加工(株)の品質保証部では,製品化している特殊合金の伸び率向上が急務な課題

となった.そこで伸び率に影響を与えていると思われる要因として押出し温度 Aを4水準,

材料の成分比 Bを 5 水準指定し計 20 回の繰返しのない二元配置法による実験をランダム

な順序で行い,特殊合金の試験片を製造し伸び率を測定した.測定結果のデータを表 4-1.1

に示す.ただし,データは数値変換してあり特性値は大きいほど望ましい.

表 4-1.1 伸び率のデータ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A

4A

1B 19.0 19.5 17.5 17.0

2B 21.0 20.5 19.0 20.0

3B 22.5 22.0 19.5 22.0

4B 19.0 18.5 17.0 18.5

5B 19.5 21.5 19.5 22.0

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因の効果について検討せよ.

(2)特性値を最大とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

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第5章 繰返しのある二元配置法による実験

第 4 章で述べた繰返しのない二元配置法による実験とは別に,繰返しがある場合の解析

法を述べる.繰返しのある二元配置法による実験とは,二つの因子を指定してその水準組合

せで複数回の実験が行われる実験である.

5.1 実験データ表とデータの構造式

一般に,因子 Aを l水準,因子 Bをm水準,繰返し数 r回を指定し,総実験回数 lmr回の

実験をランダムに行い,特性値の測定データ ijkx が得られたときデータ表は表 5.1 となる.

表 5.1 繰返しのある二元配置法による実験データ表

因子 1A 2A lA 合計 平均値

1B

111x

112x

rx11

211x

212x

rx21

11lx

12lx

rlx 1

1T 1x

2B

121x

122x

rx12

221x

222x

rx22

21lx

22lx

rlx 2

2T 2x

ijkx

mB

11mx

21mx

mrx1

12mx

22mx

mrx2

1lmx

2lmx

lmrx

mT mx

合計 1T 2T lT

T

平均値 1x 2x lx x

繰返しのある一元配置法による実験でも,実験の実施は総実験数 lmr回の実験をランダムな順序で行うことが重要である.

繰返しのある二元配置法による実験のデータの構造式は,

ijkijjiijk abbax

ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb

01

l

i

ijab 01

m

j

ijab 2,0 Nijk~

li ,,2,1 mj ,,2,1 rk ,,2,1

で表され,

ijijjiij abbax rNij

2,0 ~

iii ax mrNi

2,0 ~

jjj bx lrNj

2,0 ~

x lmrN 2,0 ~

が導ける.繰返しのない二元配置法による実験と比較して,データの構造式(5.1)に繰返し実

( 5.1 )

( 5.2 )

( 5.5 )

( 5.4 )

( 5.3 )

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-37-

験が行われると ijab が加味される.一般に,この ijab を因子の組合せによる効果,すな

わち, Aと Bの交互作用と呼び要因名として BA で表す.

繰返しのない二元配置法による実験ではこの効果を把握することができなかった.これ

は繰返しがない場合 ijab は,誤差 ij と添え字が同じで分離できないことを意味している.

実験計画法では分離できないことの表現を「交互作用と誤差が交絡している」という.例え

ば,二つの因子を取上げて因子間の交互作用を知りたいためには,繰返しのある実験が必要

となってくる.

5.2 平方和と自由度

繰返しのある二元配置法による実験データの平方和と自由度は,実験データの総平均値

を,

総平均値

TN

xN

xl

i

m

j

r

k

ijk

11

1 1 1

ただし, lmrN

とおいて,

総平方和(総変動)

l

i

m

j

r

k

ijkT xxS1 1 1

2 1 NT

AB間平方和( AB間変動)

l

i

m

j

r

k

ijAB xxS1 1 1

2 1 lmAB

誤差平方和(誤差変動)

l

i

m

j

r

k

ijijkE xxS1 1 1

2 1 rlmE

A間平方和( A間変動)

l

i

m

j

r

k

iA xxS1 1 1

2 1 lA

B間平方和( B間変動)

l

i

m

j

r

k

jB xxS1 1 1

2 1mB

BA 交互作用

l

i

m

j

r

k

jiijBA xxxxS1 1 1

2

11 mlBA

関係式:EABT SSS

EBABA SSSS

で求められる.また,平方和の計算には,

修正項 21 T

NCT

総平方和(総変動) CTxSl

i

m

j

r

k

ijkT 1 1 1

2

AB間平方和( AB間変動) CTr

TS

l

i

m

j

ij

AB

1 1

2

誤差平方和(誤差変動)ABTE SSS

ABTE

A間平方和( A間変動) CTmr

TS

l

i

i

A

1

2

B間平方和( B間変動) CTlr

TS

m

j

j

B

1

2

( 5.7 )

( 5.10 )

( 5.13 )

( 5.6 )

( 5.15 )

( 5.18 )

( 5.14 )

( 5.11 )

( 5.19 )

( 5.12 )

( 5.8 )

( 5.9 )

( 5.16 )

( 5.17 )

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-38-

BA 交互作用 BAABBA SSSS

BABAABBA

と求めることもできる.一般に,繰返しのある二元配置法による実験で式(5.7)の総平方和の

分解は,

l

i

m

j

r

k

ijijkij

l

i

m

j

r

k

ijkT xxxxxxS1 1 1

2

1 1 1

2

EAB

ij

ij

l

i

m

j

ij

r

k

ijijk

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

r

k

ijijkij

l

i

m

j

r

k

ijijk

l

i

m

j

r

k

ij

SS

r

TrTxx

xxxx

xxxx

xxxx

0

1 1

11 1

1 1 1

1 1 1

2

1 1 1

2

となり総平方和は AB間平方和と誤差平方和に分解できる.また AB間平方和は

BABA

l

i

m

j

r

k

jiijj

l

i

ijiji

l

i

m

j

jij

iji

m

j

jiij

l

i

i

l

i

m

j

r

k

jiiji

m

j

j

l

i

i

l

i

m

j

r

k

ji

l

i

m

j

r

k

jiij

l

i

m

j

r

k

j

l

i

m

j

r

k

i

l

i

m

j

r

k

jiijji

l

i

m

j

r

k

ijAB

SSS

xxxxxx

lmr

Tm

l

TTTxx

xmlr

T

m

TmTxx

xxxxxxr

xxxxxx

xxxxrxxxx

xxxxxxxx

xxxxxxxxxxS

0

0

0

1 1 1

1

1 1

11

1 1 1

111 1 1

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

同様に  

となり式(5.7)(5.8)(5.9)(5.10)(5.11)(5.12)を得る.例えば,数値例として表 5.2を得たとする.

平方和の分解による項について測定データを分解すると, AB間効果と誤差については表

5.3(1),要因 BA, の効果と交互作用効果 BA については表 5.3(2)となる.

( 5.22 )

( 5.20 )

( 5.21 )

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表 5.2 特性値 Qのデータ ijkx

要因 A1 A2 A3 計 平均値

B1 9 6 6

42 7.00 10 4 7

B2 9 7 10

51 8.50 8 8 9

計 36 25 32 93

平均値 9.00 6.25 8.00 7.75

表 5.3(1) 測定データの効果とばらつき

式(5.21) xxijk = xxij + ijijk xx

A1 A2 A3 A1 A2 A3 A1 A2 A3

B1 1.25 -1.75 -1.75

B1 1.75 -2.75 -1.25

B1 -0.50 1.00 -0.50

2.25 -3.75 -0.75 = 1.75 -2.75 -1.25 + 0.50 -1.00 0.50

B2 1.25 -0.75 2.25

B2 0.75 -0.25 1.75

B2 0.50 -0.50 0.50

0.25 0.25 1.25 0.75 -0.25 1.75 -0.50 0.50 -0.50

表 5.3(2) 測定データの効果とばらつき

式(5.22) xxij = xxi + xx j

A1 A2 A3 A1 A2 A3 A1 A2 A3

B1 1.75 -2.75 -1.25

B1 1.25 -1.50 0.25

B1 -0.75 -0.75 -0.75

1.75 -2.75 -1.25 = 1.25 -1.50 0.25 + -0.75 -0.75 -0.75

B2 0.75 -0.25 1.75

B2 1.25 -1.50 0.25

B2 0.75 0.75 0.75

0.75 -0.25 1.75 1.25 -1.50 0.25 0.75 0.75 0.75

+ xxxx jiij

A1 A2 A3

B1 1.25 -0.50 -0.75

+ 1.25 -0.50 -0.75

B2 -1.25 0.50 0.75

-1.25 0.50 0.75

すなわち,データの構造式である式(5.2)(5.3)(5.4)(5.5)より

AB間効果: ijijjiij abbaxx

誤差: ijijkijijk xx

Aの効果: iii axx

Bの効果: jjj bxx

BA 交互作用効果: jiijijjiij abxxxx

と表される.自由度については,表 5.3(1)より総平方和では xxijk 項の合計が 0 である

という制約条件から 1lmr 個が独立であり 111 lmrT , AB間平方和では同様に

xxij 項の合計が 0 であるという制約条件がから,さらに ABの各組合せ水準内のデー

タは同一で 1lm 個が独立であり 51 lmAB ,また誤差平方和は ijijk xx 項の合

計が 0 であるという制約条件があり, ABの各組合せ水準の繰返し内で 1r 個が独立で

あり 61 rlmE となる.また表 5.3(2)より要因 Aの平方和は xxi 項の合計が 0

であるという制約条件から 1l 個が独立であり 21 lA ,同様に要因 B の平方和は

( 5.23 )

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xx j 項の合計が 0 であるという制約条件から 1m 個が独立であり 11 mB と

なる.また交互作用 BA の平方和は xxxx jiij 項の合計が 0であるという制約

条件から, ABの各組合せ水準内のデータは同一で, Aの各水準内で 1m 個が独立であ

り, B の各水準内では 1l 個が独立である.したがって 211 mlBA となる.

さらに,表 5.3(2)より式(5.1)の

01

l

i

ia 01

m

j

jb 01

l

i

ijab 01

m

j

ijab

も容易に解釈できる.

5.3 分散分析表と検定

繰返しのある二元配置法による実験の分散分析表を表 5.4に示す.

表 5.4 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS 1 lA AAA SV EA VV 22

Amr

B BS 1 mB BBB SV EB VV 22

Blr

BA BAS 11 mlBA BBABA SV EBA VV 22

BAr

E ES 1 rlmE EEE SV 2

T TS 1 NT

要因 Aおよび Bの効果についての検定は,繰返しのない二元配置法の実験と同様であり

繰返しがある場合の実験では新たに交互作用 BA が存在する.要因 BA の検定を実施す

るためには,要因 BA の平均平方 BABABA SV と誤差要因の平均平方 EEE SV

を求め,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 BABA HH (有意水準を %5 )

検定統計量:E

BA

V

VF 0

棄却域: 05.0;,0 EBAEBA FVVF

による判断を行えばよい.

5.4 プーリング

因子の効果を把握するために取上げた繰返しのある実験でのデータ解析後,要因の効果

が認められない場合その要因を無視することがある.

プーリングとは「要因効果が無視できて,その要因効果は誤差の範囲内と考えられるとき,

その要因効果を誤差と併合する」ことをいう.また無視することと誤差と考えることは必ず

しも同一ではなく,プーリングは要因効果を誤差と判断できることが重要である.

例えば,上記の実験で交互作用 BA の効果を誤差とすることが可能であるならば,プー

リング後の誤差の平均平方は,

プーリング後の誤差の平方和:EBAE SSS '

プーリング後の誤差の自由度: EBAE '

プーリング後の誤差の平均平方:EBA

EBAE

SSV

'

として求められる.交互作用 BA をプーリングしたときのデータの構造式(5.1)は,

ijkjiijk bax '

( 5.26 )

( 5.24 )

( 5.25 )

( 5.30 )

( 5.29 )

( 5.28 )

( 5.27 )

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ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 2,0 Nijk~

li ,,2,1 mj ,,2,1 rk ,,2,1

と考えることになる.交互作用 BA プーリング後の分散分析表を表 5.5に示す.

表 5.5 交互作用 BA プーリング後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS 1 lA AAA SV 'EA VV 22

Amr

B BS 1 mB BBB SV 'EB VV 22

Blr

'E 'ES 1' mllmrE ''' EEE SV 2

T TS 1 NT

一般に,プーリングの条件としては平均平方値が 2 以下の要因がプーリングされ,二元

配置法の実験では要因 Aおよび Bの主効果については技術的情報がない限りプーリングし

ないのが通常である.

5.5 最適条件の決定と母平均の推定

最適条件の決定および母平均の推定についての考え方は,繰返しのない二元配置法によ

る実験と同じである.繰返しのある実験では交互作用 BA の取り扱いでその方法は異なる.

5.5.1 交互作用 BA をプーリングしない場合

推定に用いるデータの構造式を式(5.1)より

データの構造式: ijkijjiijk abbax

と考えると,データ解析後の分散分析表は表 5.4となる.

(1)最適条件の決定

a) 因子 Aの最適条件

データの構造式: ijkiijk ax

最適条件は,特性値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準 p を

選択すれば良い.

b) 因子 Bの最適条件

データの構造式: ijkjijk bx

最適条件は,特性値である実験データより因子 B の各水準の平均値の最適水準 qを

選択すれば良い.

c) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

データの構造式: ijkijjiijk abbax

交互作用 BA が無視できないため,最適条件は特性値である実験データより因子

Aと Bの水準組合せで二元表(繰返しデータの水準組合せ内での平均値の表)を作成

し,平均値の最適水準 p と q( qp BA )を選択すれば良い.

(2)最適条件における母平均の点推定

a) 因子 Aの最適条件

最適条件 pA における母平均の点推定値を pA とすれば,式(5.3)より,

ppp xaA

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

b) 因子 Bの最適条件

( 5.31 )

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最適条件 qB における母平均の点推定値を qB とすれば,式(5.4)より,

qqq xbB

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

c) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

最適条件 pA qB における母平均の点推定値を qp BA とすれば,式(5.2)より,

pqpqqpqp xabbaBA

となる.すなわち,点推定値は,二元表の最適条件の平均値に等しい.

(3)最適条件における母平均の区間推定

a) 因子 Aの最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 pA における母平均

の信頼上限および信頼下限を UpA ,

LpA は次式で与えられる.

E

e

EppEp

Lp

Up

Vn

txAV a rtAA

A 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

mrlmrn

A

e

1111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

b) 因子 Bの最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 qB における母平均

の信頼上限および信頼下限を UqB ,

LqB は次式で与えられる.

E

e

EqqEq

Lq

Uq

Vn

txBV a rtBB

B 105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

lrlmrn

B

e

1111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

c) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 qp BA における母

平均の信頼上限および信頼下限を Uqp BA ,

Lqp BA は次式で与えられる.

E

e

EpqqpEqp

Lqp

Uqp

Vn

txBAVartBA

BA

BA

105.0,ˆ05.0,ˆ

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

( 5.34 )

( 5.35 )

( 5.32 )

( 5.33 )

( 5.36 )

( 5.37 )

( 5.38 )

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rlmr

lm

lm

BABA 11

5.5.2 交互作用 BA をプーリングする場合

推定に用いるデータの構造式を式(5.30)より

データの構造式: ijkjiijk bax '

と考えると,データ解析後の分散分析表は表 5.5となり繰返しのない二元配置法の実験の形

式となる.また誤差の平均平方についてはプーリングした平均平方である式(5.29)を用いる.

(1)最適条件の決定

a) 因子 Aの最適条件

データの構造式: ijkiijk ax '

最適条件は,特性値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準 p を

選択すれば良い.

b) 因子 Bの最適条件

データの構造式: ijkjijk bx '

最適条件は,特性値である実験データより因子 B の各水準の平均値の最適水準 qを

選択すれば良い.

c) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

データの構造式: ijkjiijk bax '

交互作用 BA が無視できるので,繰返しのない二元配置法と同様,最適条件は特性

値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準 p と因子B の各水準の平

均値の最適水準qを選択すれば良い.

(2)最適条件における母平均の点推定

a) 因子 Aの最適条件

最適条件 pA における母平均の点推定値を pA とすれば,式(5.3)より,

ppp xaA

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

b) 因子 Bの最適条件

最適条件 qB における母平均の点推定値を qB とすれば,式(5.4)より,

qqq xbB

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

c) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

最適条件 pA qB における母平均の点推定値を qp BA とすれば,式(5.30)より,

xxxbabaBA qpqpqpqp ˆˆ

となる.すなわち,点推定値は,各因子の最適条件の平均値の和から総平均を減じた

値に等しい.

(3)最適条件における母平均の区間推定

a) 因子 Aの最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 pA における母平均

の信頼上限および信頼下限を UpA ,

LpA は次式で与えられる.

( 5.39 )

( 5.40 )

( 5.41 )

( 5.41 )

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''

105.0,ˆ05.0,ˆ

E

e

EppEp

Lp

Up

Vn

txAVartAA

A

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

mrlmrn

A

e

1111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

b) 因子 Bの最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 qB における母平均

の信頼上限および信頼下限を UqB ,

LqB は次式で与えられる.

''

105.0,ˆ05.0,ˆ

E

e

EqqEq

Lq

Uq

Vn

txBVartBB

B

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

lrlmrn

B

e

1111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

c) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

母平均の区間推定を行うための信頼率を %95 とすれば,最適条件 qp BA における母

平均の信頼上限および信頼下限を Uqp BA ,

Lqp BA は次式で与えられる.

''

105.0,ˆ05.0,ˆ E

e

EpqqpEqp

Lqp

Uqp

Vn

txBAVartBA

BA

BA

ただし, 05.0,Et は自由度E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmrlrmrlmr

ml

lmr

BA 11111

また式(4.31)の有効反復数最終項は,点推定値式(4.25)で xxx qp ,, を求めるときの係数

の和に等しく,このように点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

伊奈の式:lmrlrmrne

1111

を用いることもできる.

5.6 推定値の分散と期待値

母平均の推定値の分散および平均平方の smE .. は第 4 章 4.5 節に準ずる方法で導くこと

ができる.繰返しのある二元配置法による実験では,交互作用 BA を把握することができ

た.その交互作用効果の検定は式(5.24)(5.25)(5.26)を用いて判断される.そこで要因 BA

の平均平方の smE .. は,

( 5.42 )

( 5.43 )

( 5.44 )

( 5.45 )

( 5.46 )

( 5.47 )

( 5.48 )

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BA

BABA

BABA SE

SEVE

1. BABABA VESE

となることから交互作用 BA の平方和の期待値を求めると,

l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

ij

jiij

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

jiijij

l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

jiijij

l

i

m

j

jjiiijijji

l

i

m

j

r

k

jiijBA

rEabr

Eab

abE

abrE

abrE

baabbarE

xxxxESE

1 1

2

1 1

2

1 1

1 1

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1 1

2

02

2

.

となり,式(5.50)の右辺第 1項は,要因 BA の交互作用効果 ijab に対する変動を

BA

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

ij

BA

ab

ml

ab

1 1

2

1 1

2

2

11

22

1 1

211 BABABA

l

i

m

j

ij mlab

と定義する.右辺第 2項は

22

1 1

211 BA

l

i

m

j

jiij mlrE

となり,よって式(5.50)は

22 1111. mlmlrSE BABA

となる.ゆえに式(5.49)より要因 BA の smE .. は

221.

BABA

BA

BA rSEVE

となる.

5.7 例題

ある機械工業(株)では,熱処理後の機械部品の強度を高めるために,熱処理温度 Aを 3水

準,機械部品の表面の前処理方法Bを 4水準取上げ繰返し 2回計 24回の繰返しのある二元

配置法による実験をランダムな順序で行い特性値として強度を測定し表 5.6 のデータを得

( 5.49 )

( 5.50 )

( 5.51 )

( 5.54 )

( 5.52 )

( 5.53 )

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た.ただし,データは数値変換してあり特性値は大きいほど望ましい.次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で熱処理温度と表面の前処理方法について効果を

検定せよ.

(2)特性値を最大とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

表 5.6 繰返しのない二元配置法による実験データ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A 合計 平均値

1B 4

3

5

7

6

3 28 4.67

2B 6

8

10

13

10

7 54 9.00

3B 3

5

10

6

9

8 41 6.83

4B 6

4

8

5

3

6 32 5.33

合計 39 64 52 155

平均値 4.875 8.000 6.50 6.458

表 5.7 A,B二元表(上段: ji BA 水準のデータの和 下段:平均値)

2r 1A 2A 3A 合計

1B 7

(3.5)

12

(6.0)

9

(4.5) 28

2B 14

(7.0)

23

(11.5)

17

(8.5) 54

3B 8

(4.0)

16

(8.0)

17

(8.5) 41

4B 10

(5.0)

13

(6.5)

9

(4.5) 32

合計 39 64 52 155

この例題では,二つの因子 Aを 3 水準, Bを 4 水準繰返し 2 回計 24 回の実験をランダ

ムに実施した測定データについて分散分析による解析を行い最適な条件を決定し母平均を

推定する解析が適用される.

(1)分散分析による要因の検定

手順 1.データの構造

ijkijjiijk abbax

ただし, 03

1

i

ia 04

1

j

jb

03

1

i

ijab 04

1

j

ijab 2,0 Nijk~

3,2,1i 4,3,2,1j 2,1k 24243 lmrN

手順2.平方和と自由度の計算

修正項 04.100115524

11 22 TN

CT

総平方和(総変動) CTxSi j k

ijkT

3

1

4

1

2

1

2

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96.16104.10011163

04.100168634 22222

231241 NT

AB間平方和( AB間変動) CTr

TS

i j

ij

AB

3

1

4

1

2

46.12204.100122472

1

04.100191081472

1 22222

111431 lmAB

誤差平方和(誤差変動) 50.3946.12296.161 ABTE SSS

121123 ABTE

A間平方和( A間変動) CTmr

TS

i

i

A

3

1

2

09.3904.100183218

1

04.100152643924

1 222

2131 lA

B間平方和( B間変動) CTlr

TS

j

j

B

4

1

2

46.6604.100164056

1

04.10013241542823

1 2222

3141 mB

BA 交互作用 BAABBA SSSS

91.1646.6609.3946.122

BABAABBA

6323211

手順3.分散分析表の作成

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から分散分析表を作成し,平均平方および

検定のための統計量 0F を求める.

表 5.8 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 39.09 2 19.545 5.94 22 8 A

B 66.46 3 22.153 6.73 22 6 B

BA 16.91 6 2.818 0.86 22 2 BA

E 39.50 12 3.292 2

T 161.96 23

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手順4.要因効果の判定

F 分布表から

89.305.0;12,2 F , 49.305.0;12,3 F , 00.305.0;12,6 F

であることから,

要因 Aについては, 05.0;12,294.50 FF を満足し有意である.

要因 Bについては, 05.0;12,373.60 FF を満足し有意である.

要因 BA については有意でない.

したがって交互作用 BA の効果は小さく無視できるので誤差とプーリングした後の

分散分析表を表 5.9に示す.

表 5.9 プーリングした後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 39.09 2 19.545 6.24 22 8 A

B 66.46 3 22.153 7.07 22 6 B

'E 56.41 18 3.134 2

T 161.96 23

プーリング後の誤差の平均平方: 134.3126

50.3991.16'

EBA

EBAE

SSV

プーリング後の誤差の自由度: 18126' EBAE

F 分布表から 55.305.0;18,2 F , 16.305.0;18,3 F であることから,

要因 Aについては, 05.0;18,224.60 FF を満足し有意である.

要因 Bについては, 05.0;18,307.70 FF を満足し有意である.

したがって,「熱処理温度および機械部品の表面の前処理方法については,それぞれ各

水準の違いにより特性値の母平均は異なると言える.また,二つの因子の交互作用に

ついては無視できる」と判断する.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

手順5.最適条件の決定

要因 A, Bはともに有意となった.そこでプーリングした後の分散分析より,母平

均を推定するためのデータの構造式を,

ijkjiijk bax '

と考え,特性値は大きいほど望ましいことから表 5.6より 22BA 水準となる.

手順6.最適条件における母平均の点推定

式(5.41)より最適条件 22BA における母平均の点推定値を 22ˆ BA は,

54.10458.60.90.8

ˆˆ

22

222222

xxx

babaBA

となる.

手順7.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件22BA における母平均の信頼上限および信頼下限

UBA 22 ,

LBA 22 は,

式(5.46)および式(5.47)を用いて,

t分布表から 101.205.0,1805.0,' tt E

田口の式:4

1

24

32111

lmrn

BA

e

より

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-49-

8 . 6 8

1 2 . 4 0 86.154.10885.0101.254.10

134.34

1101.254.10

105.0,ˆ

''22

22

22

E

e

E

L

UV

ntBA

BA

BA

となる.

【参考:式(5.52)の展開】

22

2

2222

1 1

1 1

1 1

111 1

21

21

1

111 1

2121

1

111 1

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

11

111

111

11

1

0

0

0

0

0

0

BA

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

ij

m

j

j

l

i

i

l

i

m

j

ji

ljjj

ljjj

m

j

j

l

i

ij

m

j

j

l

i

m

j

jij

imiiimii

l

i

i

m

j

ij

l

i

i

l

i

m

j

iij

l

i

m

j

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

jiij

ml

mllm

lmrlmr

lrmlr

mrlmr

rlmr

E

E

E

EE

llE

EE

mmE

EE

rE

rE

rE

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-50-

第5章 Excel演習問題

【問題 5-1】

ある化学工業(株)では,液晶用の精密部品である素材を製造している.最近,この部品の

電気特性 Qの向上について納入先より指示があり検討することとなった.

そこで電気特性 Q に影響を与えていると思われる素材の要因として,充填剤の種類 Aと

充填剤の量 Bが問題として浮上したので A, B 2 因子を取上げ実験を実施した.実験は因

子 Aを 4 水準,因子Bを 3 水準取上げ繰返し 2 回計 24 回の繰返しのある二元配置法によ

る実験をランダムな順序で行い特性値 Q を測定し表 5-1.1 のデータを得た.ただし,デー

タは数値変換してあり特性値は大きいほど望ましい.

表 5-1.1 特性値 Qの実験データ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A

4A

1B 73

70

75

74

76

73

79

78

2B 72

69

73

77

79

80

78

80

3B 74

73

70

67

83

79

75

73

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因効果の有無について検討せよ.

(2)特性値 Qを最大とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

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―51-

第6章 三元配置法による実験

三元配置法による実験とは,二元配置法による実験が二つの因子を取り上げて実験した

のと同様に三つの因子を指定してその水準組合せで行われる実験である.一般に多くの因

子を取り上げて水準の組合せで行われる実験は,多元配置法による実験と呼ばれている.本

章では三元配置による場合の解析法を述べる.

6.1 実験データ表とデータの構造式

三つの因子を取り上げて,因子 Aを l水準,因子Bをm水準,因子Cをn水準指定し,総

実験回数 lmn回の実験をランダムに行い,特性値の測定データ ijkx が得られたときデータ表

は表 6.1となる.

表 6.1 三元配置法による実験データ表

因子 1A 2A lA

1B

1C 111x 211x 11lx

2C 112x 212x 12lx

nC nx11 nx21 nlx 1

2B

1C 121x

221x 21lx

2C 122x 222x 22lx

nC nx12 nx22 nlx 2

ijkx

mB

1C 11mx 12mx 1lmx

2C 21mx 22mx 2lmx

nC mnx1 mnx2 lmnx

三元配置法による実験でも,実験の実施は総実験数 lmn回の実験をランダムな順序で行う

ことが重要である.

三元配置法による実験のデータの構造式は,

ijkjkikijkjiijk bcacabcbax

li ,,2,1 mj ,,2,1 n,,,k 21

ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 01

n

k

kc

01

l

i

ijab 01

m

j

ijab 01

l

i

ikac 01

n

k

ikac

01

m

j

jkbc 01

n

k

jkbc 2,0 Nijk~

で表され,

ijijjiij abbax n,Nij

20 ~

kiikkiki accax m,Nki

20 ~

jkjkkjjk bccbx l,Njk

20 ~

( 6.1 )

( 6.2 )

( 6.3 )

( 6.4 )

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―52-

iii ax mn,Ni

20 ~

jjj bx ln,Nj

20 ~

kkk cx lm,Nk

20 ~

x lmrN 2,0 ~

が導ける.三元配置法による実験では,データの構造式(6.1)から,それぞれ因子 A, B,

Cの効果と二つの因子の組合せによる交互作用 ijab , ikac , jkbc の効果 BA , CA ,

CB を検討することができる.

また,三つの因子の交互作用 ijkabc は,誤差 ijk と添え字が同じで分離できないため「交

互作用 CBA は誤差と交絡している」という.繰返しのある二元配置法による実験と同

様,三つの因子間の交互作用を知りたいためには,繰返しのある実験が必要となってくる.

6.2 平方和と自由度

三元配置法による実験データの平方和と自由度は,実験データの総平均値を,

総平均値

TN

xN

xl

i

m

j

n

k

ijk

11

1 1 1

ただし, lmnN

とおいて,

総平方和(総変動)

l

i

m

j

n

k

ijkT xxS1 1 1

2 1 NT

AB間平方和( AB間変動)

l

i

m

j

n

k

ijAB xxS1 1 1

2 1 lmAB

A間平方和( A間変動)

l

i

m

j

n

k

iA xxS1 1 1

2 1 lA

B間平方和( B間変動)

l

i

m

j

n

k

jB xxS1 1 1

2 1mB

BA 交互作用

l

i

m

j

n

k

jiijBA xxxxS1 1 1

2

11 mlBA

関係式: BABAAB SSSS

AC間平方和( AC間変動)

l

i

m

j

n

k

kiAC xxS1 1 1

2 1 lnAC

C間平方和(C間変動)

l

i

m

j

n

k

kC xxS1 1 1

2 1 nC

CA 交互作用

l

i

m

j

n

k

kikiCA xxxxS1 1 1

2

11 nlCA

関係式: CACAAC SSSS

BC間平方和(BC間変動)

l

i

m

j

n

k

jkBC xxS1 1 1

2 1 mnBC

CB 交互作用

l

i

m

j

n

k

kjjkCB xxxxS1 1 1

2

( 6.10 )

( 6.12 )

( 6.9 )

( 6.6 )

( 6.13 )

( 6.14 )

( 6.5 )

( 6.11 )

( 6.8 )

( 6.7 )

( 6.15 )

( 6.16 )

( 6.18 )

( 6.17 )

( 6.19 )

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―53-

11 nmCB

関係式: CBCBBC SSSS

誤差平方和(誤差変動)

CBCABACBATCBAE SSSSSSSSS

CBCABACBATCBAE

で求められる.

また,上記の平方和の計算には,次に示す計算補助表である表 6.2,表 6.3 および表 6.4

を作成すると容易である.

表 6.2 平方和計算のための AB二元表 表 6.3 平方和計算のための AC二元表

因子 1A 2A

lA 合計 因子 1A

2A

lA 合計

1B 11T 21T

1lT 1T 1C

11T 12T

1lT 1T

2B 12T

22T

2lT 2T 2C

21T 22T

2lT

2T

ijT kiT

mB mT1 mT2

lmT mT nC nT 1 nT 2

nlT nT

合計 1T 2T

lT T 合計 1T 2T

lT

T

表 6.4 平方和計算のためのBC二元表

因子 1B 2B

mB 合計

1C 11T 21T

1mT 1T

2C 12T 22T

2mT 2T

jkT

nC nT 1 nT 2

mnT nT

合計 1T 2T

mT T

表 6.2,表 6.3および表 6.4を用いた平方和の計算では,

修正項 21 T

NCT

総平方和(総変動) CTxSl

i

m

j

n

k

ijkT 1 1 1

2 1 NT

AB間平方和( AB間変動) CTn

TS

l

i

m

j

ij

AB

1 1

2

1 lmAB

A間平方和( A間変動) CTmn

TS

l

i

iA

1

2

1 lA

B間平方和( B間変動) CTln

TS

m

j

j

B

1

2

1mB

BA 交互作用 BAABBA SSSS

BABAABBA

( 6.22 )

(6.24 )

( 6.21 )

( 6.25 )

( 6.26 )

( 6.23 )

( 6.20 )

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―54-

AC間平方和( AC間変動) CTm

TS

l

i

n

k

kiAC

1 1

2

1 lnAC

C間平方和(C間変動) CTlm

TS

n

k

kC

1

2

1 nC

CA 交互作用 CAACCA SSSS

CACAACCA

BC間平方和(BC間変動) CTl

TS

m

j

n

k

jk

BC

1 1

2

1 mnBC

CB 交互作用 CBBCCB SSSS

CBCBBCCB

誤差平方和(誤差変動)

CBCABACBATCBAE SSSSSSSSS

CBCABACBATCBAE

と求めることもできる.

6.3 分散分析表と検定

三元配置法による実験の分散分析表を表 6.5に示す.

表 6.5 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS A AV EA VV 22

Amr

B BS B BV EB VV 22

Bln

C CS C CV EC VV 22

Clm

BA BAS BA BAV EBA VV 22

BAn

CA CAS CA CAV ECA VV 22

CAm

CB CBS CB CBV ECB VV 22

CBl

E ES E EV 2

T TS T

要因 A,BおよびCの効果についての検定,交互作用の要因 BA , CA および CBの検定については,繰返しのある二元配置法の実験と同様に考えることができる.

例えば,要因 Aの検定を実施するためには,要因 Aの平均平方 AAA SV と誤差要因

の平均平方 EEE SV より,

仮説: 0 0 2

1

2

0 AA :H:H (有意水準を %5 )

検定統計量:E

A

V

VF 0

棄却域: 0500 .;,FVVF EAEA

による判断を行えばよい.

また,要因 BA の検定を実施するためには,要因 BA の平均平方 BABABA SV

と誤差要因の平均平方 EEE SV より,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 BABA HH (有意水準を %5 ) ( 6.36 )

( 6.27 )

( 6.28 )

( 6.29 )

( 6.30 )

( 6.31 )

( 6.32 )

( 6.35 )

( 6.33 )

( 6.34 )

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―55-

検定統計量:E

BA

V

VF 0

棄却域: 05.0;,0 EBAEBA FVVF

による判断を行えばよい.

6.4 プーリング

繰返しのある二元配置法による実験と同様,データ解析後,要因の効果が認められない場

合その要因を無視することがある.

前章でも述べたようにプーリングとは「要因効果が無視できて,その要因効果は誤差の範

囲内と考えられるとき,その要因効果を誤差と併合する」ことをいう.また無視することと

誤差と考えることは必ずしも同一ではなく,プーリングは要因効果を誤差と判断できるこ

とが重要である.

例えば,上記の実験で交互作用 BA および CA の効果を誤差とすることが可能である

ならば,プーリング後の誤差の平均平方は,

プーリング後の誤差の平方和: ECABA'E SSSS

プーリング後の誤差の自由度: ECABA'E

プーリング後の誤差の平均平方:'E

'E

ECABA

ECABA'E

SSSSV

として求める.交互作用 BA , CA をプーリングしたときのデータの構造式(6.1)は,

ijkjkkjiijk 'bccbax

ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 01

n

k

kc

01

m

j

jkbc 01

n

k

jkbc 20 ,N'ijk~

li ,,2,1 mj ,,2,1 n,,,k 21

と考えることになる.交互作用 BA , CA プーリング後の分散分析表を表 6.6 に示す.

表 6.6 交互作用 BA および CA プーリング後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS A AV 'EA VV 22

Amn

B BS B BV 'EB VV 22

Bln

C CS C CV EC VV 22

Clm

CB CBS CB CBV ECB VV 22

CBl

'E 'ES 'E 'EV 2

T TS T

一般に,プーリングの条件としては,検定における 0F 値が 2 以下の要因がプーリングさ

れるのが通常である.

6.5 最適条件の決定と推定

最適条件の決定および母平均の推定についての考え方は,二元配置法による実験と同様

に考えて行う.一般に,二因子の交互作用が有意の場合,それらの二因子の主効果が有意で

なくともプーリングしないのが通常である.

( 6.37 )

( 6.42 )

( 6.41 )

( 6.40 )

( 6.39 )

( 6.38 )

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―56-

6.5.1 交互作用が無視できる場合の最適条件

最適条件は,推定するためにデータの構造式をどのように考えるかで決定することがで

きる.三元配置法による実験の場合,最適条件の決定法を以下に示す.

a) 因子 Aの最適条件

データの構造式: ijkiijk ax

最適条件は,特性値である実験データより因子 Aの各水準の平均値の最適水準oを選択すれば良い.

点推定値は,

ooo xaAˆ

となる.すなわち,点推定値は,最適条件の平均値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

EEooEo

Lo

UoV

mn.,txAˆVar.,tAˆ

A

A 1050050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

と求められる.

b) 因子 Bの最適条件

データの構造式: ijkjijk bx

最適条件は,特性値である実験データより因子 B の各水準の平均値の最適水準 p を

選択すれば良い.

点推定値は,

ppp xbBˆ

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

EEppEp

Lp

Up

Vln

.,txBˆVar.,tBˆB

B 1050050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

と求められる.

c) 因子Cの最適条件

データの構造式: ijkkijk cx

最適条件は,特性値である実験データより因子Cの各水準の平均値の最適水準 qを

選択すれば良い.

点推定値は,

qqq xcCˆ

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

EEqqEq

Lq

Uq

Vlm

.,txCˆVar.,tCˆC

C 1050050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

と求められる.

d) 因子 Aと因子 Bの最適条件

データの構造式: ijkjiijk bax

最適条件は,特性値である実験データより各水準の平均値を用いて因子 Aについて

( 6.43 )

( 6.46 )

( 6.49 )

( 6.52 )

( 6.44 )

( 6.45 )

( 6.47 )

( 6.48 )

( 6.50 )

( 6.51 )

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―57-

は式(6.43),因子 Bについては式(6.46)を用いて最適水準を poBA とすれば良い.

点推定値は,

xxxˆbabaBAˆpopopopo

となる.すなわち,点推定値は,各因子の最適条件の平均値の和から総平均を減じた

値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Epo

poEpo

Lpo

Upo

Vn

.,txxx

BAˆV a r.,tBAˆBA

BA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmnlnmnlmn

ml

lmn

BA 11111

また式(6.49)の有効反復数最終項は,点推定値式(6.47)で x,x,x po を求めるときの係

数の和に等しく,このように点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

伊奈の式:lmnlnmnne

1111

を用いることもできる.

e) 因子 Aと因子Cの最適条件

データの構造式: ijkkiijk cax

最適条件は,特性値である実験データより各水準の平均値を用いて因子 Aについて

は式(6.43),因子Cについては式(6.49)を用いて最適水準を qoCA とすれば良い.

点推定値は,

xxxˆcacaCAˆqoqoqoqo

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eqo

qoEqo

Lqo

Uqo

Vn

.,txxx

CAˆV a r.,tCAˆCA

CA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数は,

田口の式:

lmnn

CA

e

111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

伊奈の式:lmnlmmnne

1111

である.

( 6.57 )

( 6.53 )

( 6.54 )

( 6.55 )

( 6.56 )

( 6.58 )

( 6.59 )

( 6.60 )

( 6.61 )

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―58-

f) 因子 Bと因子Cの最適条件

データの構造式: ijkkjijk cbx

最適条件は,特性値である実験データより各水準の平均値を用いて因子 B について

は式(6.46),因子Cについては式(6.49)を用いて最適水準を qpCB とすれば良い.

点推定値は,

xxxˆcbcbCBˆqpqpqpqp

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eqp

qpEqp

Lqp

Uqp

Vn

.,txxx

CBˆV a r.,tCBˆCB

CB

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数は,

田口の式:

lmnn

CB

e

111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

伊奈の式:lmnlmlnne

1111

である.

g) 因子 Aと因子 Bと因子Cの最適条件

データの構造式: ijkkjiijk cbax

最適条件は,特性値である実験データより各水準の平均値を用いて因子 Aについて

は式(6.43),因子 Bについては式(6.46),因子Cについては式(6.49)を用いて最適水準を

qpo CBA とすれば良い.

点推定値は,

xxxx

ˆcbacbaCBAˆ

qpo

qpoqpoqpo

2

2

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eqpo

qpoEqpo

Lqpo

Uqpo

Vn

.,txxxx

CBAˆV a r.,tCBAˆCBA

CBA

10502

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数は,

田口の式:

lmnn

CBA

e

111

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

伊奈の式:lmnlmlnmnne

21111

である.

( 6.62 )

( 6.67 )

( 6.63 )

( 6.64 )

( 6.65 )

( 6.66 )

( 6.68 )

( 6.69 )

( 6.70 )

( 6.71 )

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―59-

6.5.2 交互作用が無視できない場合の最適条件

交互作用が無視できない場合の最適条件は,その交互作用の因子の組合せ水準で決定す

る.交互作用が無視できる場合と同様に,推定するためにデータの構造式をどのように考え

るかで決定することができる.最適条件の決定法を以下に示す.

a) 因子 Aと因子Bの組合せによる最適条件

データの構造式: ijkijjiijk abbax

交互作用 BA が無視できないため,最適条件は特性値である実験データより因子

Aと Bの水準組合せで二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作成し,平均値の最

適水準oと pすなわち poBA を選択すれば良い.

点推定値は,

opoppopo xabbaBAˆ

となる.すなわち,点推定値は,二元表の最適条件の平均値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

EEoppoEpo

Lpo

Upo

Vn

.,txBAˆVar.,tBAˆ

BA

BA

1050050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

となる.

b) 因子 Aと因子Bの組合せと因子Cによる最適条件

データの構造式: ijkijkjiijk abcbax

交互作用 BA が無視できないため,最適条件は特性値である実験データより因子

Aと Bの水準組合せで二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作成し,平均値の最

適水準oと pを求め因子Cについては式(6.49)の方法で最適水準qを決定する.すなわ

ち qpo CBA を選択すれば良い.

点推定値は,

xxxˆcabbaBAˆqopqoppopo

となる.すなわち,点推定値は,二因子 A,Bの組合せと因子Cの最適条件の平均値

の和から総平均を減じた値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eqop

qpoEqpo

Lqpo

Uqpo

Vn

.,txxx

CBAˆVar.,tCBAˆCBA

CBA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmnlmnlmn

nlm

lmn

CBABA 11111

また式(6.78)の有効反復数最終項は,点推定値式(6.76)で x,x,x qop を求めるときの係

( 6.72 )

( 6.75 )

( 6.73 )

( 6.74 )

( 6.76 )

( 6.77 )

( 6.78 )

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―60-

数の和に等しく,このように点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

伊奈の式:lmnlmnne

1111

を用いることもできる.

c) 因子 Aと因子Cの組合せによる最適条件

データの構造式: ijkikkiijk accax

交互作用 CA が無視できないため,同様に,データより因子 AとCの水準組合せで

二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作成し,平均値の最適水準oと qすなわち

qoCA を選択すれば良い.

点推定値は,

qooqqoqo xaccaCAˆ

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

EEqoqoEqo

Lqo

Uqo

Vm

.,txCAˆV a r.,tCAˆ

CA

CA

1050050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

となる.

d) 因子 Aと因子Cの組合せと因子 Bによる最適条件

データの構造式: ijkikkjiijk accbax

交互作用 CA が無視できないため,最適条件は特性値である実験データより因子

AとCの水準組合せで二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作成し,平均値の最

適水準oとqを求め因子Bについては式(6.46)の方法で最適水準 p を決定する.すなわ

ち qpo CBA を選択すれば良い.

点推定値は,

xxxˆbaccaCBAˆpqopoqqoqpo

となる.すなわち,点推定値は,二因子 A,Cの組合せと因子Bの最適条件の平均値

の和から総平均を減じた値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Epqo

qpoEqpo

Lqpo

Uqpo

Vn

.,txxx

CBAˆV a r.,tCBAˆCBA

CBA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmnlnmlmn

mln

lmn

BCACA 11111

また式(6.86)の有効反復数最終項は,点推定値式(6.84)で x,x,x pqo を求めるときの係

数の和に等しく,このように点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

( 6.80 )

( 6.83 )

( 6.79 )

( 6.81 )

( 6.82 )

( 6.84 )

( 6.85 )

( 6.86 )

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―61-

伊奈の式:lmnlnmne

1111

を用いることもできる.

e) 因子 Bと因子Cの組合せによる最適条件

データの構造式: ijkjkkjijk bccbx

交互作用 CB が無視できないため,同様に,データより因子BとCの水準組合せで

二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作成し,平均値の最適水準 p と qすなわち

qpCB を選択すれば良い.

点推定値は,

pqpqqpqp xbccbCBˆ

となる.

信頼率を %95 区間推定値は,

EEpqqpEqp

Lqp

Uqp

Vl

.,txCBˆVar.,tCBˆ

CB

CB

1050050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

となる.

f) 因子 Bと因子Cの組合せと因子 Aによる最適条件

データの構造式: ijkjkkjiijk bccbax

交互作用 CB が無視できないため,最適条件は特性値である実験データより因子

BとCの水準組合せで二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作成し,平均値の最

適水準 p とqを求め因子 Aについては式(6.43)の方法で最適水準oを決定する.すなわ

ち qpo CBA を選択すれば良い.

点推定値は,

xxxˆabccbCBAˆopqopqqpqpo

となる.すなわち,点推定値は,二因子B,Cの組合せと因子 Aの最適条件の平均値

の和から総平均を減じた値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eopq

qpoEqpo

Lqpo

Uqpo

Vn

.,txxx

CBAˆVar.,tCBAˆCBA

CBA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmnmnllmn

lmn

lmn

ACBCB 11111

また式(6.94)の有効反復数最終項は,点推定値式(6.92)で x,x,x opq を求めるときの係

数の和に等しく,このように点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

( 6.88 )

( 6.91 )

( 6.87 )

( 6.89 )

( 6.90 )

( 6.92 )

( 6.93 )

( 6.94 )

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―62-

伊奈の式:lmnmnlne

1111

を用いることもできる.

g) 因子 Aと因子 Bと因子Cの二因子組合せによる最適条件

繰返しのない三元配置法による実験では,三因子交互作用 ijkabc は誤差と交絡して

いるため検出できない.よって,三因子 A,B,Cにおいて二因子の組合せを 2個以

上もつ場合の最適条件は,

データの構造式: ijkikijkjiijk acabcbax

データの構造式: ijkjkijkjiijk bcabcbax

データの構造式: ijkjkikkjiijk bcaccbax

データの構造式: ijkjkikijkjiijk bcacabcbax

が考えられる.例えば,式(6.85)では交互作用 BA , CA が無視できないため,同

様に,データより因子のそれぞれの水準組合せで二元表(水準組合せ内での平均値の表)

を作成し,平均値の最適水準o, p ,q( qpo CBA )を選択すれば良い.二元表で最適

水準opqが定まらない場合は 3 因子全ての組合せの平均値で最適水準を求めることに

なる.

同様に式(6.88)では交互作用 BA , CA , CB が無視できないため,前述同様,

データより因子のそれぞれの水準組合せで二元表(水準組合せ内での平均値の表)を作

成し,平均値の最適水準o, p ,q( qpo CBA )を選択すれば良い.二元表で最適水準

opqが定まらない場合は 3因子全ての組合せの平均値で最適水準を求めることになる.

式(6.85)における点推定値は,

oqoop

ooqqooppoqpo

xxx

aaccaabbaCBAˆ

となる.すなわち,点推定値は,二因子 A,B の組合せと二因子 A,Cの組合せの平

均値の和から因子 Aの最適条件の平均値を減じた値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eoqoop

qpoEqpo

Lqpo

Uqpo

Vn

.,txxx

CBAˆVar.,tCBAˆCBA

CBA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

mnmnlmn

llnlm

lmn

CABACBA 1111

また式(6.102)の有効反復数最終項は,点推定値式(6.100)で oqoop x,x,x を求めるとき

の係数を用いて,点推定値を求める係数の和で有効反復数を求める式

伊奈の式:mnmnne

1111

を用いることもできる.

さらに,式(6.88)における点推定値は,

( 6.99 )

( 6.95 )

( 6.96 )

( 6.97 )

( 6.98 )

( 6.100 )

( 6.101 )

( 6.102 )

( 6.103 )

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―63-

xxxxxxx

ˆcbabccb

accaabbaCBAˆ

qpopqqoop

qpopqqp

oqqooppoqpo

となる.すなわち,点推定値は,二因子 A,B の組合せと二因子 A,Cの組合せおよ

び二因子 B,Cの組合せの平均値の和から因子 A,B,Cの最適条件の平均値を減じ,

総平均を加算した値に等しい.

信頼率を %95 区間推定値は,

E

e

Eqpopqqoop

qpoEqpo

Lqpo

Uqpo

Vn

.,txxxxxxx

CBAˆVar.,tCBAˆCBA

CBA

1050

050

ただし, 05.0,Et は自由度 E の t分布の %5 点の値である.

有効反復数 en1 は田口の式で求められる.

田口の式:

全実験回数

度の和無視しない要因の自由

11

en

lmnlmlnmnlmnlmn

nmlmnlnlm

lmn

CBCABACBA

11111111

1

また式(6.105)の有効反復数最終項は,点推定値式(6.104)で ,x,x,x,x,x popqqoop

x,x q を求めるときの係数を用いて,点推定値を求める係数の和で有効反復数を求め

る式

伊奈の式:lmnlmlnmnlmnne

11111111

を用いることもできる.

6.6 推定値の分散と期待値

母平均の推定値の分散および平均平方の smE .. は第 4 章 4.5 節に準ずる方法で導くこと

ができる.三元配置法による実験における要因の検定は表 6.5および表 6.6の分散分析表に

基づいて行われるが,平均平方の smE .. を考慮することで理解できる.例えば表 6.4におけ

る交互作用 BA の検定における背景は,式(6.36)(6.37)(6.38)を用いて判断される.そこで

要因 BA の平均平方の smE .. は,

BA

BABA

BABA SE

SEVE

1 BABABA VESE

となることから交互作用 BA の平方和の期待値は式(6.14)より,

l

i

m

j

jjiiijijji

l

i

m

j

n

k

jiijBA

baabbanE

xxxxESE

1 1

2

1 1 1

2

( 6.108 )

( 6.104 )

( 6.105 )

( 6.106 )

( 6.107 )

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l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

jiijij

abnE

abnE

1 1

2

1 1

2

1 1

2

l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

ij

jiij

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

jiijij

nEabn

Eab

abE

1 1

2

1 1

2

1 1

1 1

02

2

となり,式(6.109)の右辺第 1項は,要因 BA の交互作用効果 ijab に対する変動を

BA

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

ij

BA

ab

ml

ab

1 1

2

1 1

2

2

11

22

1 1

211 BABABA

l

i

m

j

ij mlab

と定義する.右辺第 2項は

22

1 1

211 BA

l

i

m

j

jiij mlnE

となり,よって式(6.109)は

22 1111 mlmlnS.E BABA

となる.ゆえに式(6.108)より要因 BA の平均平方の smE .. は

221

BABA

BA

BA nSEV.E

となる.

6.7 例題

ある樹脂工業(株)では,新製品の製造工程における収率を向上させ,製造条件を確立する

ために,原料 Aを 3 水準,原料Bを 2 水準および反応温度Cを 3 水準取上げ計 18 回の実

験をランダムな順序で行い表 6.7のデータを得た.ただし,データは数値変換してあり値は

大きいほど望ましい.次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因 A, B,C等について効果を検定せよ.

(2)特性値を最大とする最適製造条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

この例題では,三つの因子 Aを 3 水準,Bを 2 水準,Cを 3 水準取り上げ計 18 回の実験

をランダムに実施した測定データについて分散分析による解析を行い最適な条件を決定し

母平均を推定する解析が適用される.

(1)分散分析による要因の検定

( 6.109 )

( 6.110 )

( 6.113 )

( 6.111 )

( 6.112 )

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―65-

表 6.7 三元配置法による実験データ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A

1B

1C 7 10 1

2C 14 14 2

3C 13 8 9

2B

1C 8 15 7

2C 15 13 10

3C 13 15 14

表 6.8 平方和計算のための AB二元表 表 6.9 平方和計算のための AC二元表

因子 1A 2A 3A 合計 因子 1A

2A 3A 合計

1B 34 32 12 78 1C 15 25 8 48

2B 36 43 31 110 2C 29 27 12 68

合計 70 75 43 188 3C 26 23 23 72

合計 70 75 43 188

表 6.10 平方和計算のためのBC二元表

因子 1B 2B 合計

1C 18 30 48

2C 30 38 68

nC 30 42 72

合計 78 110 188

手順 1.データの構造

ijkjkikijkjiijk bcacabcbax

ただし, 03

1

i

ia 02

1

j

jb 03

1

k

kc

03

1

i

ijab 02

1

j

ijab 03

1

i

ikac 03

1

k

ikac

02

1

j

jkbc 03

1

k

ikbc 2,0 Nijk~

3,2,1i 21,j 321 ,,k 18323 lmnN

手順2.平方和と自由度の計算

修正項 6196318818

11 22 .TN

CT

総平方和(総変動) CTxSi j k

ijkT

3

1

2

1

3

1

2

4318619632282

6196314813147 22222

..

.

171181 NT

AB間平方和( AB間変動) CTn

TS

i j

ij

AB

3

1

2

1

2

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―66-

71796196347503

1

61963313236343

1 2222

..

.

51231 lmAB

A間平方和( A間変動) CTmn

TS

i

iA

3

1

2

79861963123746

1

6196343757032

1 222

..

.

2131 lA

B間平方和(B間変動) CTln

TS

j

j

B

2

1

2

85661963181849

1

619631107833

1 22

..

.

1121 mB

BA 交互作用 BAABBA SSSS

2248567987179 ....

BABAABBA

212125

AC間平方和( AC間変動) CTm

TS

i k

kiAC

3

1

3

1

2

42176196343622

1

61963232629152

1 2222

..

.

81331 lnAC

C間平方和(C間変動) CTlm

TS

k

kC

3

1

2

15561963121126

1

6196372684823

1 222

..

.

2131 nC

CA 交互作用 CAACCA SSSS

6631557984217 ....

CACAACCA

422228

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―67-

BC間平方和(BC間変動) CTl

TS

j k

jk

BC

2

1

3

1

2

71136196362323

1

61963423030183

1 2222

..

.

51321 mnBC

CB 交互作用 CBBCCB SSSS

811558567113 ....

CBCBBCCB

221215

誤差平方和(誤差変動) CBCABACBATE SSSSSSSS

21823004318

816632241558567984318

...

.......

424221217

CBCABACBATE

手順3.分散分析表の作成

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から分散分析表を作成し,平均平方および

検定のための統計量 0F を求め,表 6.11に分散分析表を示す.

手順4.要因効果の判定

F 分布表から

94605042 ..;,F , 71705041 ..;,F , 39605044 ..;,F ,

であることから,有意な要因については A,Bであるが,要因C, BA , CA に

ついては 0F 値が2以上であるため誤差にプーリングしないこととする.また要因 CB

については有意でなく誤差と見なすこととする.

表 6.11 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 98.7 2 79.35 17.440* 22 6 A

B 56.8 1 56.80 12.484* 22 9 B

C 55.1 2 27.55 6.055 22 6 C

BA 24.2 2 12.10 2.659 22 3 BA

CA 63.6 4 15.90 3.495 22 2 CA

CB 1.8 2 0.90 - 22 3 CB

E 18.2 4 4.55 2

T 318.4 17

したがって,交互作用 CB の効果は小さく無視できるので誤差とプーリングした後の

分散分析表を表 6.12に示す.

プーリング後の誤差の平均平方: 3342

21881.

..SSV

ECB

ECB'E

プーリング後の誤差の自由度: 642 ECB'E

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―68-

F 分布表から

14505062 ..;,F , 99505061 ..;,F , 53405064 ..;,F ,

表 6.12 プーリングした後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A 98.7 2 79.35 23.829* 22 6 A

B 56.8 1 56.80 17.057* 22 9 B

C 55.1 2 27.55 8.273* 22 6 C

BA 24.2 2 12.10 3.634 22 3 BA

CA 63.6 4 15.90 4.775* 22 2 CA

'E 20.0 6 3.33 2

T 318.4 17

であることから,

要因 A,C, BA については, 050620 .;,FF を満足し有意である.

要因 Bについては, 050610 .;,FF を満足し有意である.

また,要因 CA については, 050640 .;,FF を満足し有意である.

交互作用要因 BA については有意ではない.

したがって,「原料 A,Bおよび反応温度Cについては,それぞれ各水準の違いにより

特性値の母平均は異なると言える.また,二つの因子の交互作用 BA , CA につい

ては無視しないものとし交互作用を認める」と判断する.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

手順5.最適条件の決定

表 6.12 のプーリングした後の分散分析の結果より,母平均を推定するためのデータ

の構造式を,

ijkikijkjiijk 'acabcbax

と考え,収率を大きくする条件は表 6.8 より 22BA 水準,表 6.9 より 21CA 水準となり,

Aの水準と B,Cの組合せで水準が異なる結果となった.そこで 221 CBA 水準での収率

と 222 CBA 水準での収率の母平均の推定値が高い方を最適水準とする.

手順6.最適条件における母平均の点推定

手順5の結果より 221 CBA 水準の母平均の点推定値 221 CBA は式(6.89)から,

814711514012 12112

112211221221

....xxx

aaccaabbaCBAˆ

222 CBA 水準の母平均の点推定値 222 CBA は,

315512513314 22222

222222222222

....xxx

aaccaabbaCBAˆ

となり,最適条件は 222 CBA 水準とする.

手順7.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件 222 CBA における母平均の信頼上限 U

CBA 222 ,信頼下限 L

CBA 222 は,

式(6.90),式(6.91)および式(6.92)を用いて,

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―69-

t分布表から 44720506050 ..,t.,t 'E

田口の式:3

2

18

42212111

lmnn

CABACBA

e

伊奈の式:3

2

6

132

6

1

2

1

3

11111

mnmnne

より

1 1 . 6 5

1 8 . 9 5 8613154914472315

3333

24472315

1050222

222

222

.....

...Vn

.,tCBAˆCBA

CBA'E

e

'E

L

U

となる.

【参考1】式(6.10)の展開および式(6.22)~式(6.32)の計算式

三元配置法による実験で式(6.10)の総平方和の分解は,

l

i

m

j

n

k

ijkT xxS

1 1 1

2

l

i

m

j

n

kjkkiijkjiijk

kjjkkikijiij

kji

xxxxxxxx

xxxxxxxxxxxx

xxxxxx

1 1 1

2

2項の積和の合計 

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijk

l

i

m

j

n

k

kjjk

l

i

m

j

n

k

kiki

l

i

m

j

n

k

jiij

l

i

m

j

n

k

k

l

i

m

j

n

k

j

l

i

m

j

n

k

i

xxxxxxxxxxxx

xxxxxxxx

xxxxxx

主効果 Aについて

lmn

TCTCT

mn

Txlmnxmn

xlxmnxlxxxmnxxmnxxS

l

i

il

i

i

l

i

i

l

i

l

i

ii

l

i

i

l

i

m

j

n

k

iA

2

1

22

1

2

2

1

22

1 1

2

1

2

1 1 1

2

2

ただし,

主効果 Bについて

CTln

TxlmnxlnxmxlnxxS

m

j

jm

j

j

m

j

j

l

i

m

j

n

k

jB

1

22

1

22

1

2

1 1 1

2

主効果C について

CTlm

TxlmnxlmxnxlmxxS

n

k

kn

k

k

n

k

k

l

i

m

j

n

k

kB

1

22

1

22

1

2

1 1 1

2

交互作用 BA について

BAAB

l

i

m

j

n

k

j

l

i

m

j

n

k

i

l

i

m

j

n

k

ij

l

i

m

j

n

k

jiij

l

i

m

j

n

k

jiijBA

SSSxxxxxx

xxxxxxxxxxS

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

( 6.114 )

( 6.115 )

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―70-

BABAAB SSSS または,

CTn

Txlmnxn

xlmxnxnxxxnxxS

l

i

m

j

ijl

i

m

j

ij

l

i

m

j

ij

l

i

l

i

m

j

ij

m

j

ij

l

i

m

j

n

k

ijAB

1 1

22

1 1

2

2

1 1

22

1 1 11

2

1 1 1

2

2

交互作用 CA について

CACAAC

CAAC

l

i

m

j

n

k

k

l

i

m

j

n

k

i

l

i

m

j

n

k

ki

l

i

m

j

n

k

kiki

l

i

m

j

n

k

kikiCA

SSSS

SSSxxxxxx

xxxxxxxxxxS

または,

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

CTm

Txlmnxm

xlnxmxlnxxxmxxS

l

i

n

k

kil

i

n

k

ki

l

i

n

k

ki

l

i

l

i

n

k

ki

n

k

ki

l

i

m

j

n

k

kiAC

1 1

22

1 1

2

2

1 1

22

1 1 11

2

1 1 1

2

2

交互作用 CB について

CBCBBC

CBBC

l

i

m

j

n

k

k

l

i

m

j

n

k

j

l

i

m

j

n

k

jk

l

i

m

j

n

k

kjjk

l

i

m

j

n

k

kjjkCB

SSSS

SSSxxxxxx

xxxxxxxxxxS

または,

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

CTl

Txlmnxl

xmnxlxmnxxxlxxS

m

j

n

k

jkm

j

n

k

jk

m

j

n

k

jk

m

j

m

j

n

k

jk

n

k

jk

l

i

m

j

n

k

jkAC

1 1

22

1 1

2

2

1 1

22

1 1 11

2

1 1 1

2

2

誤差 Eについて

2項の積和の合計

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijkE xxxxxxxxS

1 1 1

2

BCACABCBAT

BCACABBCACABCBAT

l

i

m

j

n

k

jk

l

i

m

j

n

k

ki

l

i

m

j

n

k

ij

l

i

m

j

n

k

k

l

i

m

j

n

k

j

l

i

m

j

n

k

i

l

i

m

j

n

k

ijk

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijk

SSSSSSS

SSSSSSSSSS

xxxxxx

xxxxxxxx

xxxxxxxxxxxxxx

222

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

1 1 1

2

2項の積和の合計

2項の積和の合計

となる上記2項の積和はゼロ         

CBCABACBAT

CBCBCACABABACBAT

SSSSSSS

SSSSSSSSSSSSS

となる.

総平方和 TS の式(6.114)のそれぞれの 2項の積和は,

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―71-

xxi 項に関連する積和について

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

ji xxxx , 02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

ki xxxx

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

jiiji xxxxxx , 02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kikii xxxxxx

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kjjki xxxxxx

A

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijki Sxxxxxxxxxx 22

1 1 1

xx j 項に関連する積和について

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kj xxxx , 02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

jiijj xxxxxx

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kikij xxxxxx , 02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kjjkj xxxxxx

B

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijkj Sxxxxxxxxxx 22

1 1 1

xx k 項に関連する積和について

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

jiijk xxxxxx , 02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kikik xxxxxx

02

1 1 1

l

i

m

j

n

k

kjjkk xxxxxx

C

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijkk Sxxxxxxxxxx 22

1 1 1

xxxx jiij 項に関連する積和について

Akiki

l

i

m

j

n

k

jiij Sxxxxxxxx 22

1 1 1

B

l

i

m

j

n

k

kjjkjiij Sxxxxxxxx 22

1 1 1

BAAB

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijkjiij

SSS

xxxxxxxxxxxx

222

2

1 1 1

xxxx kiki 項に関連する積和について

C

l

i

m

j

n

k

kjjkkiki Sxxxxxxxx 22

1 1 1

CAAC

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijkkiki

SSS

xxxxxxxxxxxx

222

2

1 1 1

xxxx kjjk 項に関連する積和について

l

i

m

j

n

k

jkkiijkjiijkkjjk xxxxxxxxxxxx1 1 1

2

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―72-

CBBC SSS 222

より,積和を合計すると,

BCACAB

CBBC

CAACCBAABBACBA

SSS

SSS

SSSSSSSSSSSS

222

222

222222222222

2項の積和の合計

【参考2】式(6.111)の展開

0

0 0

0

0

0

1 1

1 11 1

111 1

2121

1

111 1

2121

1

111 1

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

1 1

2

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

ij

m

j

j

l

i

i

l

i

m

j

ji

ljjjljjj

m

j

j

l

i

ij

m

j

j

l

i

m

j

jij

imiiimii

l

i

i

m

j

ij

l

i

i

l

i

m

j

iij

l

i

m

j

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

jiij

l

i

m

j

jiij

E

EE

EE

llE

EE

mmE

EE

nE

nE

nE

22

22222

11

11111

11

11

BAml

mllmlmn

lmnln

mlnmn

lmnn

lmn

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―73-

第6章 Excel演習問題

【問題 6-1】

某工業(株)では,自動車用のある特殊ベルトを開発中であるが耐水性の改良が重要課題と

して浮上した.技術課で検討した結果,耐水性の改良のためにはゴムの配合について検討す

ることが必要との意見であり,実験を実施して影響度を把握することになった.

実験は,原料組成に関する因子 A (4水準),充填剤B (3水準)および架橋剤C (2水準)を取

り上げ計 24回の実験をランダムに実施し,耐水性に関する特性 Qのデータを得た.測定デ

ータを表 6-1.1に示す.ただし,データは数値変換してあり特性値は小さいほど望ましく単

位は省略してある.

表 6-1.1 特性値 Qの実験データ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A

4A

1B 1C 29 25 32 23

2C 23 24 28 20

2B 1C 29 23 29 22

2C 30 27 31 20

3B 1C 33 20 26 24

2C 29 17 23 23

次の設問に答えよ.

(1)データをグラフ化し考察せよ.

(2)分散分析を行い有意水準 5%で要因効果の有無について検討せよ.

(3)特性値 Qを最小とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

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-74-

第7章 乱塊法(一元配置法による実験)

一般に,実験の場の不均一性を無視して,全実験回数のランダム化を適用すると実験誤差

が大きくなり,取り上げた因子の効果の精度を低下させる場合がある.このような場合には

実験の場を均一にした実験の計画と解析が必要となる.乱塊法とは,因子として実験の計画

にブロック(区画)の考え方を導入し実験の場を均一に保つ方法ともいえる.

本章では,一元配置法による実験の計画および解析法について述べる.

7.1 乱塊法による実験とは

第 3章の一元配置法は,因子 Aを l水準指定し,繰り返し r計 lr回の実験をランダムに行

い,特性値の測定データが得られたときの解析法を述べた.例えば, 4l , 3r の一元配

置法を考えると総数 12lr 回のランダマイズ実験の計画となり一例として表 7.1 に実験順

を示した.ここで,実験は 1 日 4 回しか実施できないとすれば,各日どのような実験順に

なっているか 3日間の実験の実施法を表 7.2に示した.このように 12回の実験を 3日間で

実施した場合,1日目は4A ,2日目は

1A ,3日目は 3A が実施されていないことになる.も

し,日間変動が存在した場合,因子 Aの水準間で実験の均一性が保持できなくなる.日間変

動が無視できれば通常の一元配置法で因子 Aの効果は把握できるが,どのように考えて実験の計画を立案すればよいのだろうか?

表 7.1 一元配置法による実験 表 7.2 3日間の実験順

因子 1A

2A 3A 4A 実験順

1 ○2 ○4 ○1 ○6 1日目 3A 1A

1A 2A

2 ○3 ○10 ○5 ○8 2日目 3A 4A 3A

4A

3 ○9 ○12 ○7 ○11 3日目 1A 2A

4A 2A

乱塊法では,ランダム化で誤差の均一性を保持するために,ブロック(区画)因子R を導

入することになる.各ブロック内で因子 Aの水準のすべてをランダム化し実験を実施する.この実験を 3 日間実施する.このような実験計画法は乱塊法による実験の計画と呼ばれて

いる.乱塊法で取り上げられるブロック因子 R は,反復とも呼ばれ最適条件の設定はでき

ず再現性を持たない.よって,ブロック因子Rは,変動を把握するために導入され,誤差と切り離して解析される.一元配置法による乱塊法の実験の計画を表 7.3に示す.ランダム化

は各ブロックまたは反復ごとに行うよう注意する必要がある.

表 7.3 乱塊法によるランダム化

因子 1A 2A 3A

4A

1R 1日目 ○2 ○3 ○4 ○1

2R 2日目 ○4 ○3 ○1 ○4

3R 3日目 ○1 ○4 ○2 ○3

乱塊法の目的は,ブロック内で因子の水準間の比較をできるだけ精度よく行おうとする

ことにあるので,

(1)ブロック内で取り上げた因子の組合せ全てが,ランダムに実施されていること.

(2)取り上げた因子とブロックRとの交互作用は,例えば RA は考えない.

(3)ブロック因子には再現性がないので最適条件の決定には用いないこと.

(4)ブロック Rは 20 R,N に従う変量と考え,2

R をブロック間変動と呼ぶ.

に注意して実験の計画を立案する.

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-75-

7.2 実験データとデータの構造式

一般に,ブロック(または反復)因子Rを r水準,因子 Aを l水準指定し,全実験回数 lr

回の実験を,各ブロック因子Rの水準毎にランダムに行い,特性値の測定データ ikx が得ら

れたときデータ表は表 7.4となる.

表 7.4 乱塊法を利用した一元配置法による実験データ表

因子

ブロック 1A 2A lA 合計 平均値

1R 11x

21x 1lx 1T

1x

2R 12x

22x 2lx 2T

2x

ikx

rR rx1

rx2 lrx

rT rx

合計 1T 2T lT

T

平均値 1x 2x lx x

一元配置法による乱塊法の実験では,各ブロック内で因子 Aの水準 l回の実験がランダムな順序で実施されていることが重要である.

乱塊法による一元配置実験のデータの構造式は,

ikikik ax li ,,2,1 r,,,k 21

ただし, 01

l

i

ia 20 Rk ,N ~ 20 ,Nik~

で表され,

iii ax

r,N R

2

0

r,Ni

2

0

kkx

r,N R

2

0

l,Nk

2

0

x

r,N R

2

0

lr,N

2

0

が導ける.これらの平均に関する式から,因子 Aについて推定を行うこととなるが,ブロッ

ク間変動を無視できるとすれば,式(7.1)は ikiik ax となり第 3章に述べた一元配置

法に一致し容易に推測が可能となる.

乱塊法では,ブロック間変動が無視できないとき因子 Aの効果を精度よく把握するのが

特徴であるので式(7.2)よりブロック間変動および誤差変動を加味して推測することになる.

よって,両変動を考える場合には,分散の加成性より自由度が問題となり,自由度について

はサタースウェイト(Satterthwate)の等価自由度 * を利用することになる.等価自由度に

ついては推定の節で述べる.

7.3 平方和と自由度

乱塊法の一元配置法による実験データの平方和と自由度は,第 4 章に述べた繰返しなし

の二元配置法を基本として,実験データの総平均値を,

総平均値

TN

xN

xl

i

r

k

ik

11

1 1

ただし, lrN

とおいて,

( 7.1 )

( 7.2 )

( 7.4 )

( 7.3 )

( 7.5 )

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-76-

総平方和(総変動)

l

i

r

k

ikT xxS1 1

2 1 NT

ブロック間平方和( R間変動)

l

i

r

k

kR xxS1 1

2 1 rR

A間平方和( A間変動)

l

i

r

k

iA xxS1 1

2 1 lA

誤差平方和(誤差変動)

l

i

r

k

kiikE xxxxS1 1

2

11 rlE

関係式:EART SSSS

で求められる.また,平方和の計算には,

修正項 21 T

NCT

総平方和(総変動) CTxSl

i

r

k

ikT 1 1

2

ブロック間平方和( R間変動) CTl

TS

r

k

kR

1

2

A間平方和( A間変動) CTr

TS

l

i

iA

1

2

誤差平方和(誤差変動)ARTE SSSS

ARTE

と求めることもできる.

7.4 分散分析表と検定

乱塊法の一元配置法による実験の分散分析表を表 7.5に示す.

表 7.5 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

R RS 1 rR RRR SV ER VV 22

Rl

A AS 1 lA AAA SV EA VV 22

Ar

E ES 11 rlE EEE SV 2

T TS 1 NT

ブロック間変動の有無については,要因Rの平均平方 RV と誤差要因の平均平方 EV より,

仮説: 0 0 2

1

2

0 RR :H:H (有意水準を %5 )

検定統計量: ER VVF 0 棄却域: 0500 .;,FF ER

の検定を実施し有意性を判断する.同様に,要因 Aの効果についても,要因 Aの平均平方

AV と誤差要因の平均平方 EV から,

仮説: 0: 0: 2

1

2

0 AA HH (有意水準を %5 )

検定統計量: EA VVF 0 棄却域: 0500 .;,FF EA

による検定を実施し判断すればよい.検定の結果,ブロック間変動が有意と認められず無視

できると判断されれば,ブロック間変動を誤差とみなしプーリングを行い,プーリング後の

分散分析表を作成する.

( 7.6 )

( 7.9 )

( 7.10 )

( 7.12 )

( 7.15 )

( 7.11 )

( 7.7 )

( 7.13 )

( 7.8 )

( 7.14 )

( 7.16 )

( 7.19 )

( 7.18 )

( 7.17 )

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-77-

表 7.6 プーリング後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS A AV EA VV 22

Ar

'E ER'E SSS ER'E 'EV 2

T TS T

プーリング後の分散分析表より要因 Aの効果について検定を行う.ブロック間変動が無

視できる場合は第 3章で述べた一元配置法に一致する.

7.5 最適条件の決定と母平均の推定

乱塊法で取り上げたブロック因子(または反復)は,再現性がなく変動する因子で変量因

子とも呼ばれ,対して操業条件など水準を指定し特性の母平均などを推定できる因子は再

現性があり母数因子とも呼ばれている.したがってブロック因子(または反復)については

特性を向上させるための水準の指定は行わない.一般的に,ブロック因子については日間変

動,入荷する原料の袋間変動などが用いられるのが通常である.

また,推定法については(a)ブロック因子を無視できない場合(b)ブロック因子を無視でき

る場合において異なるので注意が必要である.

(1)最適条件の決定と母平均の推定

ブロック因子は再現性がなく指定できないので取り上げた因子 Aで最適化を図ることに

なる.ここで,最適水準を pA とすれば,データの構造式は式(7.1)から pA 水準での特性値の

母平均のデータの構造式は式(7.2)から

(a)ブロック因子が無視できない場合 pip ax

ppp AxaAˆ

rr

VarVarVarAˆVar Rppp

22

(b)ブロック因子が無視できる場合 ppp ax

ppp AxaAˆ

r

VarVarAˆVar ppp

2

となる.

(2)最適条件における母平均の区間推定

最適水準を pA での信頼率95%信頼限界は,点推定値はいずれも式(7.20)(7.22)で表され,

ブロック因子が無視できない場合には表 7.5の分散分析表,無視できる場合には表 7.6の分

散分析表を用いて信頼限界を求めることができる.

(a)ブロック因子が無視できない場合

信頼限界は,Satterthwaiteの等価自由度 * の t分布 050.*,t を用いて,

pp

Lp

Up

AˆVar.*,tAˆAˆ

050

と計算される.

ここで pAVar の推定値は,ブロック間変動

2

R の推定値を表 7.5の分散分析表 s.m.E

から次式となる.

( 7.20 )

( 7.21 )

( 7.22 )

( 7.23 )

( 7.24 )

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-78-

l

VVˆ ER

R

2

22221RR

ER lll

VVE

よって, pAVar の推定値は式(7.21)より,

EREER

EERRp

Vlr

lV

lrV

rV

lrV

lr

r

V

l

VV

rr

ˆ

r

ˆAˆarV

11111

122

となり,右辺第 2項の係数は因子 Aの自由度であり lrN から,

EAREARp VVN

VVlr

AˆarV 11

EARp

Lp

Up

VVN

.*,tAxAˆ

1

050

t分布 050.*,t における Satterthwaiteの等価自由度 * は,

E

EA

R

REAR VV

*

VV

222

より

E

EA

R

R

EAR

VV

VV*

22

2

となる.または,式(7.20)で点推定に用いた有効反復数を考えると,式(7.26)の右辺第 2 項

の係数は田口の有効反復数となる.したがって,乱塊法における有効反復数を,

総データ数

の自由度の和は除く点推定に用いた要因 R

ne

1

として考えれば,式(7.24)は,

E

e

Rp

Lp

Up

Vn

VN

.*,tAxAˆ

Aˆ 11050

ただし, lrN

となる.また, t分布 050.*,t における Satterthwaiteの等価自由度 * は,

E

E

e

R

RE

e

R Vn

VN

*

Vn

VN

22

2

1111

より

E

E

e

R

R

E

e

R

Vn

VN

Vn

VN

*

2

2

2

11

11

で求められる.一般に式(7.29)(7.32)で求められる等価自由度 * は整数値になることは少な

く t分布表を用いて線型補間法による場合が多い.具体的な計算については数値表 1)を参考

にすればよい.

(b)ブロック因子が無視できる場合

ブロック因子が無視できる場合には,第 3章に述べた一元配置法に一致し,表 7.6プーリ

ング後の分散分析表から最適水準 pA の推定は容易にできる.よって,

推定のためのデータの構造式 ppp ax

( 7.25 )

( 7.26 )

( 7.27 )

( 7.28 )

( 7.29 )

( 7.30 )

( 7.31 )

( 7.32 )

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-79-

点推定値 ppp AxaAˆ

信頼率 95%信頼限界は次式となる.

rn

Vr

.,tAˆ

AˆVar.,tAˆAˆ

e

'E'Ep

p'Ep

Lp

Up

11

1050

050

(3)因子 Aの水準間の母平均の差の推定

因子 Aの iA 水準と 'iA 水準の母平均の差の推定は,式(7.2)より,

点推定値は 'ii AA とおいて,

'ii'ii'ii AxAxAˆAˆaaˆ

信頼率 95%信頼限界は

EE

E

L

U

Vr

.,tˆ

ˆVar.,tˆˆ

ˆ

2050

050

22

rVarVarVarˆVar 'ii'ii

EVr

ˆarV2

となる.

(4)ブロック間変動 Rの推定

ブロック間変動2

R の推定値を表 7.5の分散分析表 s.m.E から式(7.25)となる.

l

VVˆ ER

R

2

22221RR

ER lll

VVE

ブロック間変動2

R の信頼率 %1100 信頼限界 2)は,Anderson-Bancroft の方法,森口

の方法,Satterthwaiteの方法等があるが,いずれも近似法であり計算はかなりやっかいと

される.以下に Anderson-Bancroftの方法を紹介しておく.

2

R の信頼上限:

R

E

ER

R

V

V

;,Fl

V

21

1

2

R の信頼下限:

R

E

ER

R

V

V

;,Fl

V

2

1

7.6 例題

ある樹脂加工(株)では,入荷する樹脂紛と精錬因子 Aとの影響を把握するために,要因 A

を 4水準取り上げ特性 Qとの影響度を調査する実験を行った.

そこで,実験では入荷する樹脂紛をランダムに 4 袋抽出し,各袋の樹脂紛を利用して因

子 Aの 4 水準でランダムに処理を行い特性 Q のデータを測定した.表 7.7 にデータ表を示

す.データは数値変換してあり特性 Qは小さいほど望ましい.

次の設問に答えよ.

( 7.33 )

( 7.34 )

( 7.36 )

( 7.37 )

( 7.35 )

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-80-

(1)分散分析を行い有意水準 5%で樹脂紛の袋間と因子 Aについて効果を検定せよ.

(2)特性 Qを最小とする最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と

信頼率 95%信頼限界を求めよ.

本実験は,樹脂紛の袋は再現性がなくブロック因子となり,各袋で因子 Aの水準すべて

で実験が行われているので乱塊法による実験となる.

表 7.7 乱塊法による一元配置実験データ表(単位省略)

因子

ブロック 1A 2A 3A

4A 合計 平均値

1R 5.2 4.9 5.4 4.9 20.4 5.10

2R 5.4 5.0 5.7 5.1 21.2 5.30

3R 5.8 5.2 5.5 5.5 22.0 5.50

4R 5.4 5.1 5.4 5.3 21.2 5.30

合計 21.8 20.2 22.0 20.8 84.8

平均値 5.45 5.05 5.50 5.20 5.30

(1)分散分析による要因の検定

手順 1.データの構造

ikikik ax ただし, 04

1

i

ia 20 Rk ,N ~ 2,0 Nij~

4,3,2,1i 4321 ,,,k 1644 lrN

手順2.平方和と自由度の計算

データの総合計 88435944594254

1

4

1

......xTi k

ik

総平均 30588416

11..T

Nx

修正項 4444988416

11 22 ..TN

CT

総平方和(総変動) CTxSi k

ikT

4

1

4

1

2

0414444948450

444493594459425 22222

...

......

151161 NT

ブロック間平方和( R間変動) CTl

TS

k

kR

4

1

2

444492210222214204

1 2222 .....

320444490417994

1 ...

3141 rR

A間平方和( A間変動) CTr

TS

i

iA

4

1

2

444498200222208214

1 2222 .....

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540444499217994

1 ...

3141 lA

誤差平方和(誤差変動) 180540320041 ....SSSS ARTE

93311 rlE

または, 93315 ARTE

手順3.分散分析表の作成と要因効果の判定

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から分散分析表を作成し,平均平方および

検定のための統計量 0F を求める.

表 7.8 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

R 0.32 3 0.107 5.35* 22 4 R

A 0.54 3 0.180 9.00** 22 4 A

E 0.18 9 0.020 2

T 1.04 15

F 分布表から 86.305.0;9,3 F , 99601093 ..;,F である.

ブロック(袋)間変動 Rは 86.305.0;9,3 F より大きく有意水準5%で有意であり,

要因 Aについては 99601093 ..;,F より大きいことから高度に有意であることがわ

かった.

したがって「入荷する樹脂紛の袋間にバラツキがあり,精錬要因 Aの水準間については,特性 Qが水準間で違いがあり母平均は異なると言える」と判断する.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

手順 4.最適条件の決定

乱塊法では再現性のないブロック(または反復)因子については,最適条件を指定する

ことはしないので要因 Aの水準のみで考えればよいので特性 Q を小さくする条件は

2A となる.またブロック因子 Rは有意であり表 7.8 を利用して母平均を推定する.よ

って最適条件での母平均を推定するためのデータの構造式を,

ikikik ax ただし, 04

1

i

ia 20 Rk ,N ~ 20 ,Nik~

222 ax

として考えればよい.

手順 5.最適条件における母平均の点推定

最適条件2A における母平均の点推定値 2A は表 7.7より,

0552222 .xAxaAˆ

となる.

手順 6.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件2A における母平均の信頼限界は,ブロック因子が無視できない場合であり

Satterthwaiteの等価自由度 * を利用した式(7.28)または式(7.31)を用いて求める.等

価自由度 * は式(7.29)より,

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6260042160

0278890

9

02003

3

1070

020031070 22

2

22

2

..

.

..

..

VV

VV*

E

EA

R

R

EAR

または,式(7.32)より有効反復数は 1631 en となり,

616000016470

000108940

9

020016

3

3

107016

1

020016

31070

16

1

11

11

22

2

22

2

..

.

..

..

Vn

VN

Vn

VN

*

E

E

e

R

R

E

e

R

等価自由度 626.* をもつ t分布の 050626 .,.t は,線型補間により 44720506 ..,t ,

36520507 ..,t より,

396236526204472380

050762005066201050626050

.....

.,t..,t..,.t.*,t

と求められる.したがって信頼限界は,

814

295240055

02003107016

13962055

10502

2

2

.

...

....

VVN

.*,tAxAˆ

AˆEAR

L

U

となる.

(3)因子 Aの水準の差の推定

表 7.7 の分散分析表において,最適水準2A と 2 番目に特性 Q が小さい

4A 水準との

差の母平均を推定すると式(7.35)より,

点推定値は 42 AA とおいて,

15020505542 ...AxAxˆ

信頼率 95%信頼限界は式(7.36)より

380

0802301501002622150

02004

20509150

2050

.

......

..,t.Vr

.,tˆˆ

ˆEE

L

U

となる.差の区間推定においてゼロを含み有意水準 5%で因子 Aの水準 2 と 4 におい

て有意差は認められないことがわかる.上記,区間推定の幅 42050 EE V.,t を最

小有意差( least significance difference: l,s,d, )といい d.s.l が成り立つとき因子 A

の水準 2と 4の母平均は有意であると判断しても良い.

(4)ブロック間変動2

R の推定

式(7.25)より,

( 7.38 )

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-83-

22 147500217504

02001070..

..

l

VVˆ ER

R

信頼率 95%信頼限界は Anderson-Bancroftの方法を利用すると式(7.37)より,

2

R の信頼上限:

1070

0200

975093

1

4

1070

21

1

.

.

.;,F

.

V

V

;,Fl

V

R

E

ER

R

261880382901070

0200514026750 ..

.

...

2

R の信頼下限:

1070

0200

025093

1

4

1070

2

1

.

.

.;,F

.

V

V

;,Fl

V

R

E

ER

R

2016300000265701070

0200

085

1026750 ..

.

.

..

となる.

【参考1】データの構造式による平均値の期待値と分散について

iii ax

r,N R

2

0

r,Ni

2

0

ii

k

k

iki

k

k

k

k

k

ik

k

k

i

k

k

k

k

k

r

k

iki

ararEr

aEr

xr

ExE

11

11111

1

11

rrr

rr

r

Varr

Varr

rarVarr

aVarr

xr

VarxVar

RR

k

k

ik

k

k

k

k

k

iki

k

k

k

k

k

ik

k

k

i

k

k

k

k

k

r

k

iki

222

2

2

2

12

12

112

11112

1

11

111

11

kkx

r,N R

2

0

l,Nk

2

0

ik

l

i

ik

l

i

ik

l

i

ik

l

i

i

l

i

k

l

i

l

i

ikk

allEl

aEl

xl

ExE

11

11111

1

11

l

i

ikk

l

i

ik

l

i

ik

l

i

ik

l

i

i

l

i

k

l

i

l

i

ikk

Varl

Varll

allVarl

aVarl

xl

VarxVar

12

2

211

2

11112

1

111

11

l

ll

ll

RR

222

2

22

2

11

( 7.39 )

( 7.40 )

( 7.42 )

( 7.41 )

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x

r,N R

2

0

lr,N

2

0

l

i

k

k

ik

l

i

i

k

k

k

l

i

k

k

ik

l

i

k

k

i

l

i

k

k

k

l

i

k

k

l

i

r

k

ik

arllrElr

aElr

xlr

ExE

1 111

1 11 11 11 11 1

1

11

lrrlr

rlrl

rlVar

rlVarl

rl

arllrVarrl

aVarrl

xlr

VarxVar

RR

l

i

k

k

ik

k

k

k

l

i

k

k

ik

l

i

i

k

k

k

l

i

k

k

ik

l

i

k

k

i

l

i

k

k

k

l

i

k

k

l

i

r

k

ik

222

22

22

221 1

221

2

22

1 11122

1 11 11 11 122

1 1

1111

1

11

【参考2】Satterthwaiteの方法とは

一般に自由度が m,,, 21 ,期待値が22

221 m,,, であるようなm 個の独立な不偏分散を

mV,,V,V 21 とすると,その線型結合

m

i

iimm VaVaVaVa1

2211 ( ia は定数)の自由度 *

は,近似的に

m

i i

ii

m

mm

m

i

iiaaaa

*

a

1

2222

2

2222

1

2211

2

1

2

すなわち,

m

i i

ii

m

i

ii

a

a

*

1

22

2

1

2

で与えられる.(いいかえると 2iiii aVa は近似的に自由度の 2 分布に従う).

2i が未知の場合には,式(7.45)の

2i の代わりに iV を用いて * を推定することが行われ,こ

れを Satterthwaiteの方法と呼んでいる.Satterthwaiteの方法で求められる自由度(これ

を iiVa の等価自由度という)を * とすると,

m

i i

ii

m

i

ii

Va

Va

*

1

2

2

1

となる.式(7.29)では 11 a , Aa 2 , R 1 , E 2 と置き換えている.また式(7.32)では

Na 11 , ena 12 , R 1 , E 2 と置き換えていることになる.

( 7.45 )

( 7.46 )

( 7.43 )

( 7.44 )

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-85-

【参考3】Satterthwaiteの等価自由度 * の t分布値 *,t を求める(直線補間法)

下図において ABC において, AXY と YZB は相似であり, ZB:YZXY:AX が成り立

つ.

よって,

*

,t*,t

*

*,t,t

2

2

1

1

から,

121

221

*,t**,t

**,t*,t

1221

12

*,t*,t

*,t

となり,

,t

*,t

**,t 2

12

11

12

2

と求められる.例題の場合,等価自由度 626.* をもつ t分布の 050.*,t は,直線補間法に

より式(7.47)を用いて 61 , 44720501 ..,t , 72 , 36520502 ..,t より,

396236526204472380

365267

66264472

67

6267

050050050 2

12

11

12

2

.....

..

..

.,t*

.,t*

.*,t

となる.

( 7.47 )

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-86-

第7章 Excel演習問題

【問題 7-1】

あるソーラー電気(株)の技術部では,太陽電池の充電変換効率を比較するための実験を行

った.気象条件の影響を考慮し,ランダムに 5日間(1R ,

2R , 3R ,4R , 5R )を選び各日毎

に 4種類(1A ,

2A , 3A ,4A )の変換機の効率を測定し表 7-1.1のデータを得た.データは数

値変換し単位は省略してある.

表 7-1.1 効率のデータ表(単位省略)

因子 1A 2A 3A

4A

1R 24.1 24.7 23.7 23.9

2R 25.2 25.6 24.9 25.1

3R 25.9 26.1 26.0 26.0

4R 25.7 26.5 25.3 25.5

5R 24.5 24.1 24.1 24.3

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因の効果について検討せよ.

(2)4種類の変換機における母平均の点推定値と信頼率 95%信頼限界を求めよ.

(3)効率が最大となる変換機と最小となる変換器の母平均の差の点推定値と信頼率 95%

信頼限界を求めよ.

(4)日間変動を点推定せよ.

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第8章 乱塊法(二元配置法による実験)

乱塊法とは,第 7章で述べた再現性のないブロック(または反復)因子を取り上げ,実験

の場の均一性を保持した因子 Aの水準間の影響度を把握する実験であった.同様に,本章では 2因子を取り上げた二元配置法による実験の計画および解析法について述べる.

8.1 乱塊法による二元配置実験とは

因子 Aを l水準,因子 Bをm水準取り上げ,ブロック因子Rを r水準導入することになる.

実験では因子 A,Bの lm数の組合せを各ブロック内でランダム化し特性値のデータを得て

解析する方法である.すなわち,三元配置法による実験など多元配置実験を反復することに

より同様な実験が考えられる.

例えば,乱塊法による二元配置実験のランダム化のタイプを表 8.1 および表 8.2 に示す.

表 8.1 実験のランダム化のタイプ 1 表 8.2 実験のランダム化のタイプ 2

因子 1A 2A 3A 因子 1A 2A 3A 4A

1R 1B ○5 ○3 ○1

1R

1B ○6 ○3 ○12 ○8

2B ○2 ○4 ○6 2B ○5 ○11 ○1 ○10

2R 1B ○2 ○1 ○4

3B ○2 ○9 ○7 ○4

2B ○5 ○3 ○6

2R

1B ○10 ○1 ○5 ○12

3R 1B ○2 ○5 ○1 2B ○4 ○6 ○8 ○2

2B ○4 ○3 ○6 3B ○7 ○11 ○3 ○9

乱塊法の実験では,日間変動や反復変動が無視できれば,通常の二元配置実験の型となるが

効率よく実験の場の均一性に着目しておくことが重要である.

8.2 実験データとデータの構造式

乱塊法による二元配置実験で,ブロック(または反復)因子R を r水準,因子 Aを l水準,

因子 B をm水準指定し,各ブロック因子 R の水準毎にランダムに lm回行い,総実験回数

lmr回の実験が実施され,特性値の測定データ ijkx が得られたときデータ表は表8.3となる.

表 8.3 乱塊法を利用した二元配置法による実験データ表

1A 2A lA 合計 平均値

1B 111x 211x 11lx

1R 2B 121x 221x 21lx 1T 1x

ijkx

mB 11mx 12mx 1lmx

1B rx11 rx21 rlx 1

rR 2B rx12 rx22 rlx 2 rT rx

ijkx

mB mrx1 mrx2 lmrx

合計 1T 2T lT T

平均値 1x 2x lx x

また,因子 と因子 Bのデータの二元表を作成しておくと,それぞれの平方和を計算する

ときには便利である.データの二元表を表 8.4に示す.

A

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表 8.4 因子 と因子 Bの実験データの二元表

1A 2A lA 合計 平均値

1B 11T 21T 1lT 1T 1x

2B 12T 22T 2lT 2T 2x

ijT

mB mT1 mT2 lmT mT mx

合計 1T 2T lT

平均値 1x 2x lx

乱塊法による一元配置実験のデータの構造式は,

ikijjikik abbax li ,,2,1 mj ,,2,1 r,,,k 21

ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 011

m

j

ij

l

i

ij abab

20 Rk ,N ~ 20 ,Nik~

で表され,

ijijjiij abbax

rN R

2

,0

rNij

2

,0

iii ax

rN R

2

,0

mrNi

2

,0

jjj bx

rN R

2

,0

lrNj

2

,0

kkkx 20 Rk ,N ~

lmNk

2

,0

x

r,N R

2

0

l m rN

2

,0

が導ける.

8.3 平方和と自由度

乱塊法の二元配置法による実験データの平方和と自由度は,分散分析の平方和計算の基

本式を利用して,実験データの総平均値を,

総平均値

TN

xN

xl

i

m

j

r

k

ijk

11

1 1 1

ただし, lmrN

とおいて,

総平方和(総変動)

l

i

m

j

r

k

ijkT xxS1 1 1

2 1 NT

ブロック間平方和( R間変動)

l

i

m

j

r

k

kR xxS1 1 1

2 1 rR

A間平方和( A間変動)

l

i

m

j

r

k

iA xxS1 1 1

2 1 lA

A

T

x

( 8.2 )

( 8.1 )

( 8.3 )

( 8.6 )

( 8.5 )

( 8.8 )

( 8.7 )

( 8.9 )

( 8.10 )

( 8.4 )

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B間平方和( B間変動)

l

i

m

j

r

k

jB xxS1 1 1

2 1mB

AB間平方和( AB間変動)

l

i

m

j

r

k

ijAB xxS1 1 1

2 1 lmAB

交互作用 BA の平方和 BATBA SSSS

11 mlBABA

誤差平方和(誤差変動)

l

i

m

j

r

k

ijijkE xxxS1 1 1

2

11 rlmE

関係式: EBABART SSSSSS

で求められる.また,具体的な平方和の計算には,表 8.3および表 8.4を利用して,

修正項 21 T

NCT

総平方和(総変動) CTxSl

i

m

j

r

k

ijkT 1 1 1

2

ブロック間平方和( R間変動) CTlm

TS

r

k

kR

1

2

A間平方和( A間変動) CTmr

TS

l

i

iA

1

2

B間平方和( B間変動) CTlr

TS

m

j

j

B

1

2

AB間平方和( AB間変動) CTr

TS

l

i

m

j

ij

AB

1 1

2

交互作用 BA の平方和 BAABBA SSSS

誤差平方和(誤差変動) BABARTE SSSSSS

BABARTE

と求めることができる.

8.4 分散分析表と検定

乱塊法による二元配置法実験の分散分析表を表 8.5に示す.

表 8.5 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

R RS R RV ER VV 22

Rlm

A AS A AV EA VV 22

Amr

B BS B BV EB VV 22

Blr

BA BAS BA BAV EBA VV 22

BAr

E ES E EV 2

T TS T

乱塊法による一元配置法と同様に,ブロック間変動の有無については,要因 R の平均平

方 RV と誤差要因の平均平方 EV より,

( 8.14 )

( 8.15 )

( 8.17 )

( 8.23 )

( 8.16 )

( 8.18 )

( 8.19 )

( 8.11 )

( 8.12 )

( 8.13 )

( 8.20 )

( 8.21 )

( 8.22 )

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仮説: 0 0 2

1

2

0 RR :H:H (有意水準を %5 )

検定統計量: ER VVF 0 棄却域: 0500 .;,FF ER

の検定を実施し有意性を判断する.要因 A,Bおよび交互作用 BA の効果についても,同

様に検定を実施し判断すればよい.

例えば,検定の結果ブロック間変動および交互作用が有意と認められず無視できると判

断されれば,ブロック間変動を誤差とみなしプーリングを行い,プーリング後の分散分析表

を作成する.

表 8.6 プーリング後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS A AV 'EA VV 22

Amr

B BS B BV 'EB VV 22

Blr

'E 'ES 'E 'EV 2

T TS T

プーリング後の分散分析表よりそれぞれ要因について検定を行う.ブロック間変動が無

視できる場合は第 5章で述べた二元配置法に一致する.

8.5 最適条件の決定と母平均の推定

乱塊法ではブロック因子(または反復)は,再現性がなく変動する因子で水準の指定は行

わない.また,推定法については(a)ブロック因子を無視できない場合(b)ブロック因子を無

視できる場合において異なる.

(1)最適条件の決定と母平均の推定

因子 Aの最適水準を oA ,因子 B最適水準を pB としたときの母平均を推定する.

(a)ブロック因子が無視できない場合

(a-1)交互作用が無視できない場合

データの構造式 ijijjiij abbax から,

pooppopo BAxabbaBA

rr

VarVarVarBAVar Ropoppo

22

ˆ

(a-2)交互作用が無視できる場合

データの構造式 iii ax , jjj bx から,

xBxAxbabaBA pooopopo ˆˆ

lmr

ml

r

VarVar

VarxxxVarBAˆVar

R

po

popopo

22 1

となる.

(b)ブロック因子が無視できる場合

(b-1)交互作用が無視できない場合

データの構造式 ijijjiij abbax から,

pooppopo BAxabbaBA

( 8.24 )

( 8.25 )

( 8.28 )

( 8.26 )

( 8.27 )

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r

VarVarBAVar opoppo

2

ˆ

(b-2)交互作用が無視できる場合

データの構造式 ijjiij bax から,

xBxAxbabaBA pooopopo ˆˆ

lmr

ml

lmrlrmr

Var

xxxVarBAVar

po

popo

2222 1

ˆ

となる.

(2)最適条件における母平均の区間推定

最適水準 poBA での信頼率 95%信頼限界は,上記(1)で求められ,ブロック因子につい

ては無視できない場合,無視できる場合の分散分析表を用いて信頼限界を求めることがで

きる.

(a)ブロック因子が無視できない場合

(a-1)交互作用が無視できない場合

信頼限界は,Satterthwaiteの等価自由度 * の t分布 050.*,t を用いて,

popo

Lpo

Upo

BAVartBABA

BA

ˆ05.0*,ˆ

ˆ

ˆ

と計算される.

ここで poBAVar の推定値は,ブロック間変動2

R の推定値を分散分析表 s.m.E

から求めると次式となる.

lm

VV ERR

2

22221RR

ER lmlmlm

VVE

よって, poBAVar の推定値は式(8.25)より,

EREER

EERRpo

Vlmr

lmV

lmrV

rV

lmrV

lmr

r

V

lm

VV

rrrBAarV

11111

1ˆˆˆˆ

22

となり,右辺第 2項の係数は lmrN から,

EBABAR

ER

ERpo

VVN

VmlmlVlmr

VlmVlmr

BAarV

1

11111

11

ˆˆ

EBABARpo

Lpo

Upo

VVN

tBAxBA

BA

105.0*,

ˆ

ˆ

となる.よって t分布 050.*,t における Satterthwaiteの等価自由度 * は,

( 8.29 )

( 8.32 )

( 8.33 )

( 8.34 )

( 8.35 )

( 8.36 )

( 8.30 )

( 8.31 )

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E

EBABA

R

REBABAR VVVV

222

*

より

E

EBABA

R

R

EBABAR

VV

VV

22

2

*

となる.または,式(8.24)で点推定に用いた有効反復数を考えると,式(8.34)の右辺第 2

項の係数は田口の有効反復数となる.したがって,式(7.30)の有効反復数は,

総データ数

の自由度の和は除く点推定に用いた要因 R

ne

1

より求め Nn BABAe 1 となり式(8.35)に一致する.したがって式(8.36)は,

E

e

Rpo

Lpo

Upo

Vn

VN

tBAxBA

BA 1105.0*,

ˆ

ˆ

ただし, lmrN

となる.また, t分布 050.*,t における Satterthwaiteの等価自由度 * は,

E

E

e

R

RE

e

R Vn

VN

*

Vn

VN

22

2

1111

より

E

E

e

R

R

E

e

R

Vn

VN

Vn

VN

*

2

2

2

11

11

で求められる.等価自由度 * については数値表 1)を参考にすればよい.

(a-2)交互作用が無視できる場合

点推定値は式(8.26),分散は式(8.27)で求められ,信頼限界は式(8.32)で計算される.

また分散の推定値 poBAarV は式(8.33)を利用して,

'EBAR

'ER

'E'ERR

po

VVNlmr

Vml

lmr

V

Vlmr

ml

lm

VV

rlmr

ˆml

r

ˆBAˆarV

12

111 22

となる.よって,

'EBARpo

Lpo

Upo

VVN

.*,tBAxBAˆ

BAˆ

1

050

と求めればよい. t分布 050.*,t における Satterthwaiteの等価自由度 * は,

'E

'EBA

R

R'EBAR VV

*

VV

222

より

'E

'EBA

R

R

'EBAR

VV

VV*

22

2

となる.また式(8.38)より有効反復数

( 8.37 )

( 8.39 )

( 8.40 )

( 8.41 )

( 8.42 )

( 8.43 )

( 8.38 )

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Nn

BA

e

1

を求め,式(8.39)と同様に,

'E

e

Rpo

Lpo

Upo

Vn

VN

.*,tBAxBAˆ

BAˆ 11050

ただし, lmrN

としてもよい.さらに, t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は,

式(8.40)を利用すればよい.

(b)ブロック因子が無視できる場合

(b-1)交互作用が無視できない場合

信頼限界は,式(8.28)および式(8.29)を用いて,

'E'Epo

po'Epo

Lpo

Upo

Vr

.,tBAˆ

BAˆarV.,tBAˆBAˆ

BAˆ

1050

050

と計算される.

(b-2)交互作用が無視できる場合

同様に,信頼限界は式(8.30)および式(8.31)を用いて,

poEpo

Lpo

Upo

BAarVtBABA

BA

ˆˆ05.0,ˆ

ˆ

ˆ

'

''

105.0,ˆ E

BAEpo V

NtBA

ただし, lmrN

と計算される.

(3)因子の水準間の母平均の差の推定

(a)因子 Aの水準間の母平均の差の推定

因子 Aの iA 水準と 'iA 水準の母平均の差の推定は,式(8.3)より,

点推定値は 'ii AA とおいて,

'ii'ii'ii AxAxAˆAˆaaˆ

信頼率 95%信頼限界は

EE

E

L

U

Vmr

.,tˆ

ˆarV.,tˆˆ

ˆ

2050

050

22

mrVarVarVarˆVar 'ii'ii

EVmr

ˆarV2

となる.

( 8.49 )

( 8.48 )

( 8.44 )

( 8.46 )

( 8.47 )

( 8.45 )

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(b)因子 Bの水準間の母平均の差の推定

因子 Bの jB 水準と 'jB 水準の母平均の差の推定は,式(8.4)より,

点推定値は 'jj BB とおいて,

'jj'jj'jj BxBxBˆBˆbbˆ

信頼率 95%信頼限界は

EE

E

L

U

Vlr

.,tˆ

ˆarV.,tˆˆ

ˆ

2050

050

22

lrVarVarVarˆVar 'jj'jj

EVlr

ˆarV2

となる.

(c)因子 ABの水準間の組合せによる母平均の差の推定

(c-1)交互作用 BA が無視できない場合

因子 Aと Bの jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の推定は,式(8.2)より,

点推定値は 'j'iji BABA とおいて,

'j'iji'j'iji

'j'i'j'iijji

BAxBAxBAˆBAˆ

abbaabbaˆ

信頼率 95%信頼限界は

EE

E

L

U

Vr

.,tˆ

ˆarV.,tˆˆ

ˆ

2050

050

22

rVarVarVarˆVar 'j'iij'j'iij

EVr

ˆarV2

となる.

(c-2)交互作用 BA が無視できる場合

因子 Aと Bの jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の推定は,式(8.4) (8.5) (8.6)より,

点推定値は 'j'iji BABA とおいて,

xBxAx

ˆBˆAˆˆbabaBAˆ

ji

jijijiji

xBxAx

ˆBˆAˆˆbabaBAˆ

'j'i

'j'i'j'i'j'i'j'i

より,

( 8.51 )

( 8.50 )

( 8.53 )

( 8.52 )

( 8.54 )

( 8.55 )

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xBxAxxBxAxBAˆBAˆˆ'j'iji'j'iji

信頼率 95%信頼限界は,点推定値 の分散 Var の有効反復数参考 3)を dn1 とす

ると,式(8.53)および式(8.54)の共通項を除いた有効反復数を

lrmrn

111

1

, lrmrn

111

2

を求め 21

111

nnnd

として,

E

d

E

E

L

U

Vn

.,tˆ

ˆarV.,tˆˆ

ˆ

1050

050

となる.

(4)ブロック間変動 Rの推定

ブロック間変動2

R の推定値はそれぞれ分散分析表 s.m.E から式(8.33)となる.

lm

VVˆ ER

R

2

22221RR

ER lmlmlm

VVE

ブロック間変動2

R の信頼率 %1100 信頼限界 2)は,Anderson-Bancroft の方法,森口

の方法,Satterthwaiteの方法等があるが,いずれも近似法であり計算はかなりやっかいと

される.以下に Anderson-Bancroftの方法を紹介しておく.

2

R の信頼上限:

R

E

ER

R

V

V

;,Flm

V

21

1

2

R の信頼下限:

R

E

ER

R

V

V

;,Flm

V

2

1

8.6 例題

ある堆肥改良(株)では,微生物による発酵生成物の収率による培養条件を決めるために,

収率に影響が大きいと思われる培養液の pH と培養時間を因子に選び,pH( A:4 水準),

時間( B:2水準)として実験を行うことにした.

実験は,1区画から土壌をランダムに収集し 3ブロックに分け,1ブロック 1日かけて因

子 A,Bの組合せ 8回,計 24回の実験をランダムに行い特性値である収率を測定した.表

8.7にデータ表を示す.データは数値変換してあり収率は高いほど望ましい.

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%でブロック間と因子 A, Bについて効果を検定せよ.

(2)特性値が最大となる最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と信頼率

95%信頼限界を求めよ.

(3)ブロック間(または日間)変動を推定せよ.

本実験は,土壌改良に伴う実験であり収集した土壌をブロックに分け,1ブロック 1日で

実験を行っており,ブロック間変動は日間変動と交絡している.ブロック間変動を日間変動

と捉え再現性はない.よって各ブロックで因子 A, Bの水準すべてで実験が行われている

ので乱塊法による二元配置実験となる.

(1)分散分析による要因の検定

( 8.60 )

( 8.58 )

( 8.56 )

( 8.57 )

( 8.59 )

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表 8.7 乱塊法による二元配置実験データ表(単位省略)

ブロック 因子 1A 2A 3A 4A 合計 平均値

1R 1B 71.7 80.6 87.5 74.3

670.7 83.84 2B 83.8 90.8 92.2 89.8

2R 1B 64.4 72.6 79.6 63.9

604.8 75.60 2B 75.5 84.5 87.5 76.8

3R 1B 75.8 82.7 91.4 81.2

640.0 80.00 2B 68.8 78.2 88.5 73.4

合計 440.0 489.4 526.7 459.4 1915.5

平均値 73.33 81.57 87.78 76.57 79.81

表 8.8 AB二元表(上段: ijT ,下段: ijx )

因子 1A 2A 3A 4A 合計 平均値

1B 211.9

70.63

235.9

78.63

258.5

86.17

219.4

73.13 925.7 77.14

2B 228.1

76.03

253.5

84.50

268.2

89.40

240.0

80.00 989.8 82.48

合計 440.0 489.4 526.7 459.4 1915.5

平均値 73.33 81.57 87.78 76.57 79.81

手順 1.データの構造

ikijjikijk abbax

ただし, 04

1

i

ia 02

1

j

jb 02

1

4

1

j

ij

i

ij abab

20 Rk ,N ~ 2,0 Nij~

4,3,2,1i 21,j 321 ,,k 24324 lmrN

手順2.平方和と自由度の計算

データの総合計

4

1

2

1

3

1i j k

ijkxT

51915473374587680771 ......

総平均 81795191524

11..T

Nx

修正項 84381528805191524

11 22 ..TN

CT

総平方和(総変動) CTxSi j k

ijkT

4

1

2

1

3

1

2

4061598843815288025154479

8438152880473374587680771 22222

...

......

231241 NT

ブロック間平方和( R間変動) CTlm

TS

k

kR

3

1

2

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-97-

84381528800640860476708

1 222 ....

84727184381528805312252218

1 ...

2131 rR

A間平方和( A間変動) CTmr

TS

i

iA

4

1

2

758.7148438.15288061.9215736

1

8438.1528804.4597.5264.4890.4406

1 2222

3141 lA

B間平方和( B間変動) CTlr

TS

j

j

B

2

1

2

200171843815288053183662412

1

84381528808989792512

1 22

...

...

1121 mB

AB間平方和( AB間変動) CTr

TS

i j

ij

AB

4

1

2

1

2

5338968438152880134613323

1

843815288002405258923592113

1 2222

...

.....

7181 lmAB

交互作用 BA の平方和 BAABBA SSSS

575.10200.171758.714533.896

313 BABAABBA

誤差平方和(誤差変動) BABARTE SSSSSS

026.430

575.10200.171758.714847.271406.1598

14313223 BABARTE

手順3.分散分析表の作成と要因効果の判定

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から表 8.9の分散分析表を作成する.

F 分布表から 743050142 ..;,F , 343050143 ..;,F , 604050141 ..;,F で

ある.検定の結果,ブロック間変動R,要因 AおよびBについては有意水準 5%で

有意であり,交互作用 BA については有意水準 5%で有意でないことがわかった.

そこで,交互作用 BA については誤差とみなしてプーリングすることにした.プ

ーリング後の分散分析表を表 8.10に示す.

プーリングの検定の結果F 分布表から 593050172 ..;,F , 593050173 ..;,F ,

454050171 ..;,F であり,同様に,ブロック間変動R,要因 AおよびB について

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-98-

表 8.9 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F s.m.E

R 271.547 2 135.774 4.42* 22 8 R

A 714.758 3 238.253 7.76* 22 6 A

B 171.200 1 171.200 5.57* 22 12 B

BA 10.575 3 3.525 0.11 22 3 BA

E 430.026 14 30.716 2

T 1598.406 23

表 8.10 プーリング後の分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F s.m.E

R 271.547 2 135.774 5.24* 22 8 R

A 714.758 3 238.253 9.19* 22 6 A

B 171.200 1 171.200 6.61* 22 12 B

E 440.601 17 25.918 2

T 1598.406 23

有意水準5%で有意差が認められた.推定については表8.10を利用することにした.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

手順 4.最適条件の決定

乱塊法では再現性のないブロック因子については,最適条件を指定しないので要因

Aおよび B の水準のみで考えればよい.交互作用 BA は無視できたので収率を高く

する条件は,要因 AおよびBで単独に決定できるので表 8.8より 23BA 水準となる.ま

たブロック因子 Rは有意であり表 8.10を利用して母平均を推定する.よって最適条件

での母平均を推定するためのデータの構造式を,

i j kjiki j k bax

ただし, 04

1

i

ia 02

1

j

jb 20 Rk ,N ~ 20 ,Nijk~

322332 bax

として考えればよい.

手順 5.最適条件における母平均の点推定

最適条件 23BA における母平均の点推定値 2A は表 8.8より,

459024

51915

12

8989

6

7526 23

23232323

....

xxx

xBxAxˆbabaBAˆ

となる.

手順 6.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件 23BA における母平均の信頼限界は,ブロック因子が無視できない場合であ

り Satterthwaiteの等価自由度 * を利用した式(8.42)または(8.45)を用いて求める.等

価自由度 * は式(8.43)より,

82551809849

386957334

17

918254

2

774135

918254774135 22

2

22

2

..

.

..

..

VV

VV*

E

'EBA

R

R

'EBAR

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-99-

または,式(8.38)より有効反復数は 612441 en となり,

825099857617

538866299

17

918256

1

2

77413524

1

918256

1774135

24

1

11

11

22

2

22

2

..

.

..

..

Vn

VN

Vn

VN

*

'E

'E

e

R

R

'E

e

R

等価自由度 825.* をもつ t分布の 050825 .,.t は,線型補間により 57120505 ..,t ,

44720506 ..,t より,

469244728205712180

050682005058201050825050

.....

.,t..,t..,.t.*,t

と求められる.したがって信頼限界は式(8.42)より,

6582

25988074590

918251377413524

146924590

105023

23

23

.

...

....

VVN

.*,tBAxBAˆ

BAˆ'EBAR

L

U

または式(8.45)より,

6582

25988074590

918256

1774135

24

146924590

1105023

23

23

.

...

....

Vn

VN

.*,tBAxBAˆ

BAˆ'E

e

R

L

U

となる.

(3)ブロック間(日間)変動2

R の推定

式(8.59)より,

22 70573732138

91825774135..

..

lm

VVˆ 'ER

R

信頼率 95%信頼限界は Anderson-Bancroftの方法を利用すると式(8.60)より,

2

R の信頼上限:

774135

91825

9750172

1

8

774135

21

1

.

.

.;,F

.

V

V

;,Flm

V

R

'E

'ER

R

27963254472665774135

918254399717516 ..

.

...

2

R の信頼下限:

774135

91825

0250172

1

8

774135

2

1

.

.

.;,F

.

V

V

;,Flm

V

R

'E

'ER

R

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-100-

2658904340774135

91825

624

19717516 ..

.

.

..

となる.

注)第 7章【参考 3】に述べた方法によりF 分布においても線型補間法によって求める.

F 分布値 0250217 .;,F は, 4390250215 ..;,F , 4390250220 ..;,F であり補間

法で求めるまでもなく 4390250217 ..;,F となる.

(4)水準組合せの差の推定

表 8.8より最適条件は 23BA であった.収率を 2番目に高める条件は 13BA である.こ

の組合せ条件下での母平均の差を推定すると式(8.56)より,

459023232323 .xBxAxˆbabaBAˆ

118513131313 .xBxAxˆbabaBAˆ

点推定値: 3451323 .BAˆBAˆˆ

信頼率 95%信頼限界は式(8.57)(8.58)より

12

111

1

lrn

, 12

111

2

lrn

より 6

1

12

2111

21

nnnd

950

739394345

918256

11102345

1050

.

...

...Vn

.,tˆˆ

ˆ'E

d

'E

L

U

となる.

【参考1】データの構造式による平均値の期待値と分散について

ijijjiij abbax

r,N R

2

0

r,Nij

2

0

iji

k

k

ijki

k

k

k

k

k

ijk

k

k

i

k

k

k

k

k

r

k

ijkij

ararEr

aEr

xr

ExE

11

1111

1

1

1

1

rr

rr

rr

Varr

Varr

aVarr

xr

VarxVar

R

R

k

k

ijk

k

k

k

k

k

ijk

k

k

i

k

k

k

k

k

r

k

ijkij

22

2

2

2

21

21

2

11112

1

1111

1

1

( 8.61 )

( 8.62 )

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-101-

iii ax

r,N R

2

0

mr,Ni

2

0

ii

m

j

r

k

ijk

m

j

ij

m

j

ji

r

k

k

m

j

r

k

ijk

m

j

r

k

ij

m

j

r

k

j

m

j

r

k

i

m

j

r

k

k

m

j

r

k

m

j

r

k

ijki

a

abrbrmrammrEmr

abbaEmr

xmr

ExE

1

1

1

1 1111

1 11 11 11 11 11 1

1 1

mrrVar

rmVarm

rm

abrbrmrammrVarrm

abbaVarrm

xmr

ExVar

Rm

j

r

k

ijk

r

k

k

m

j

r

k

ijk

m

j

ij

m

j

ji

r

k

k

m

j

r

k

ijk

m

j

r

k

ij

m

j

r

k

j

m

j

r

k

i

m

j

r

k

k

m

j

r

k

m

j

r

k

ijki

22

1 122

1

2

22

1 111122

1 11 11 11 11 11 122

1 1

11

1

1

1

jjj bx

r,N R

2

0

lr,Nj

2

0

jj

l

i

r

k

ijk

l

i

ijj

l

i

i

r

k

k

l

i

r

k

ijk

l

i

r

k

ij

l

i

r

k

j

l

i

r

k

i

l

i

r

k

k

l

i

r

k

l

i

r

k

ijkj

b

abrlrbarllrElr

abbaElr

xlr

ExE

1

1

1

1 1111

1 11 11 11 11 11 1

1 1

lrrVar

rlVarl

rl

abbaVarrl

xlr

VarxVar

Rl

i

r

k

ijk

r

k

k

l

i

r

k

ijk

l

i

r

k

ij

l

i

r

k

j

l

i

r

k

i

l

i

r

k

k

l

i

r

k

l

i

r

k

ijkj

22

1 122

1

2

22

1 11 11 11 11 11 122

1 1

11

1

1

kkkx 20 Rk ,N ~

lm,Nk

2

0

l

i

m

j

ijkk xlm

ExE1 1

1

( 8.63 )

( 8.64 )

( 8.65 )

( 8.66 )

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-102-

kk

l

i

m

j

ijk

l

i

m

j

ij

m

j

j

l

i

ik

l

i

m

j

ijk

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

k

l

i

m

j

abblamlmlmElm

abbaElm

1

1

1 11 111

1 11 11 11 11 11 1

lm

Varml

Varmlml

abbaVarml

xlm

VarxVar

R

l

i

m

j

ijkk

l

i

m

j

ijk

l

i

m

j

ij

l

i

m

j

j

l

i

m

j

i

l

i

m

j

k

l

i

m

j

l

i

m

j

ijkk

22

1 122

22

22

1 11 11 11 11 11 122

1 1

11

1

1

x

r,N R

2

0

l m r,N

2

0

k

l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

m

j

ij

m

j

j

l

i

i

r

k

k

l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

m

j

r

k

ij

l

i

m

j

r

k

j

l

i

m

j

r

k

i

l

i

m

j

r

k

k

l

i

m

j

r

k

l

i

m

j

r

k

ijk

abrblramrlmlmrElmr

abb

a

Elmr

xlmr

ExE

1

1

1

1 1 11 1111

1 1 11 1 11 1 1

1 1 11 1 11 1 1

1 1 1

lmrrlmr

rmlrml

rml

Varrml

lmVarrml

abb

a

Varrml

xlmr

VarxVar

RR

l

i

m

j

r

k

ijk

r

k

k

l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

m

j

r

k

ij

l

i

m

j

r

k

j

l

i

m

j

r

k

i

l

i

m

j

r

k

k

l

i

m

j

r

k

l

i

m

j

r

k

ijk

222

222

222

222

1 1 1222

1222

1 1 11 1 11 1 1

1 1 11 1 11 1 1

222

1 1 1

11

11

1

1

【参考2】式(8.27)および式(8.42)の展開

ブロック因子が有意で交互作用が無視できる場合の分散の式

データの構造式

iii ax jjj bx x

から,

( 8.67 )

( 8.68 )

( 8.69 )

( 8.70 )

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-103-

l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

r

k

ipk

m

j

r

k

ojk

r

k

k

po

popopo

lmrlrmrVar

rVar

VarVar

VarxxxVarBAˆVar

1 1 11 11 11

1111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojkr

k

k

lmrlrmrlmr

lmrlrlmrmrVar

rVar

11 1 1

1 11 1

1 1111

1111

1

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

k

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

k

Varrml

mlVar

rml

Varrml

mVar

rml

lVar

r

lmr

mlVar

lmrVar

lmr

mVar

lmr

lVar

rVar

1222

2

1 1 1222

1 1222

2

1 1222

2

12

11 1 1

1 11 11

11

111

11

111

22

2

22

2

2

22

22

22

2

2

22

22

22

2

2

222

22

222

2

222

22

222

22

2

1

1

11

1

11

11

111

1

11

111

lmr

ml

r

rml

mllm

r

rml

mlml

rml

mllm

r

rml

mlml

rml

ml

r

rrml

mlmlr

rml

lrrml

mmr

rml

lr

rBAˆVar

R

R

R

R

Rpo

よって, 22 1

ˆlmr

ml

r

ˆBAˆarV R

po

となる. 2

R は式(8.33)より

EBA

REBAR

EREER

po

VN

VN

VVlmn

Vlmr

mlV

lmnV

lmr

ml

lm

VV

rBAˆarV

11

2111

となる.

【参考3】式(8.31)および式(8.47)の展開

ブロック因子,交互作用が無視できる場合の分散の式

データの構造式

iii ax jjj bx x

から,式(8.71)を参考に,

( 8.72 )

( 8.71 )

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l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

r

k

ipk

m

j

r

k

ojk

popopo

lmrlrmrVar

VarxxxVarBAˆVar

1 1 11 11 1

111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

lmrlrmr

lmrlmrlrlmrmrVar

1

1 1 11 11 1

111

11111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

Varrml

mlVar

rml

Varrml

mVar

rml

l

lmr

mlVar

lmrVar

lmr

mVar

lmr

lVar

1222

2

1 1 1222

1 1222

2

1 1222

2

1

1 1 11 11 1

11

11

1

111

2

2

22

2

22

22

22

2

22

22

22

2

222

22

222

2

222

22

222

2

1

1

11

1

11

11

111

1

11

11

lmr

ml

rml

mllm

rml

mlml

rml

mllm

rml

mlml

rml

ml

rrml

mlmlr

rml

lrrml

mmr

rml

lBAˆVar po

よって, 21 ˆ

lmr

mlBAˆarV po

となる.

'E

BA'E

BA

'E'Epo

VN

Vlmn

Vlmr

mlV

lmr

mlBAˆarV

11

1111

となる.

( 8.73 )

( 8.74 )

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第8章 Excel演習問題

【問題 8-1】

ある樹脂工業気(株)では,プラスチック製品の成形を行っているが,このほどプラスチッ

クの添加剤が開発され,これを用いると成形品の強度が著しく向上することがわかった.成

形品の強度は,成形時の加熱温度とこの添加剤の添加量に影響を受けることがわかってい

るので,工場での操業条件を設定するために多数の原料ロット( R )をランダムに 4ロット抽

出し,加熱温度( A )を 4水準,添加剤の添加量( B )を 2水準取り上げ,組合せ 8回のランダ

ム実験をロットごとに総数 32回の実験を実施した.

実験後,成形品の破壊強度を測定した結果,表 8.1.1のデータを得た.ただし,データは

数値変換し単位は省略してある.特性値は大きいほど望ましい.

表 8-1.1 強度のデータ表(単位省略)

ブロック因子 因子 1A 2A 3A 4A

1R 1B 3 11 18 7

2B 9 17 30 13

2R 1B 5 14 21 11

2B 15 21 28 17

3R 1B 9 20 25 16

2B 16 28 29 19

4R 1B 7 19 24 21

2B 10 27 28 22

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因の効果について検討せよ.

(2)最適と思われる条件の母平均の点推定値と信頼率 95%信頼限界を求めよ.

(3)最適条件と 11BA 条件との母平均の差の点推定値と信頼率 95%信頼限界を求めよ.

(4)ロット間変動を点推定せよ.

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第9章 分割法(A1次,B2次による実験)

実験の方法には,取り上げた因子(繰返しも含めて)の全組合せを完全にランダマイズす

る方法や,乱塊法のようにブロック因子(または反復,変量:再現性がない)を考え効率よ

く取り上げた因子の効果を把握するランダマイズの方法を述べた.

分割法とは,ある因子の水準の設定に大幅な時間が費やされ水準変更に困難性が伴う場

合がある.このような場合にランダマイズを分割して計画される方法である.本章では 2 因

子を取り上げた二元配置法による実験の計画および解析法について述べる.

9.1 分割法による実験の計画とは

因子 A (3 水準),B (4 水準)を取り上げ特性への影響を向上させる操業条件を求めたいと

き,通常は,二元配置法による実験の計画が企画され全実験回数 12 回のランダム化を行い

実験が行われる.ここで次のような実験法を考える.

1)因子 A, B の全組合せの実験のランダム化が可能で計画ができる場合

一般には,繰返しのない二元配置法による実験として計画され,データの構造式は,

ijjiij bax

となり第 4 章による解析が適用される.全実験回数 12 回の実験となる.

2)因子 A, B の交互作用 BA の影響も検出できるランダム化が可能な実験の場合

a)交互作用の検出には,式(9.1)では交互作用が誤差と交絡しているため,通常は繰返し 2

回以上を持つ二元配置法による実験として計画される.データの構造式は,

ijkijjiijk abbax

となり第 5 章による解析が適用される.最小実験回数 24 回の実験となる.

b)または,ブロック因子 R を導入し1)の実験を 2 回以上反復する場合および入荷する

原料等のロット間変動の把握や,日間変動等も無視できない場合には再現性のない変

量因子 R を利用した実験として計画される.データの構造式は,

ijkijjikijk abbax

となり第 8 章による解析が適用される.最小実験回数 24 回の実験となる.

3)因子 A,B の全組合せの実験のランダム化とは,実験の設定自体も初期化し,やり直

すことを意味しているので,例えば,因子 Aの水準変更が困難であるとする.まず因子

Aの水準をランダムに決め,次にその水準で因子B の全水準をランダムに行う実験を1)

に基づき全 12回の実験を行い交互作用 BA の影響も検出したいときどのように考える

べきであろうか?上記1)2)の因子 A,B の全組合せの実験のランダム化の方法とは

大きく異なる.この実験の方法が分割法と呼ばれている.

分割法による二元配置実験とは,表 9.1 に示すようにまず因子 Aについてランダムに

設定(例えば 2A ),その水準で因子 B についてランダム化(例えば 2413 BBBB )

を実施し実験する方法である.分割法では取り上げた因子 A,B についてランダム化が

この場合 2 段階行われているのが特徴であり,また,実験による誤差は,1 段階目の因子

Aのランダム化により発生する誤差を 1 次誤差( 1 ),因子 Aを 1 次要因,2 段階目の

表 9.1 分割法実験のランダム化(1) 表 9.2 分割法実験のランダム化(2)

因子 1A 2A 3A 因

1R 2R

1B ○4 ○2 ○1 1A 2A 3A

1A 2A 3A

2B ○2 ○4 ○3 1B ○2 ○3 ○3 ○1 ○4 ○1

3B ○1 ○1 ○2 2B ○1 ○4 ○2 ○3 ○2 ○2

4B ○3 ○3 ○4

3B ○4 ○1 ○4 ○2 ○3 ○4

4B ○3 ○2 ○1 ○4 ○1 ○3

( 9.1 )

( 9.2 )

( 9.3 )

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因子 B のランダム化により発生する誤差を 2 次誤差( 2 ),因子B を 2 次要因と呼び,

この場合,二つの誤差を考慮した解析が行われるのが特徴である.

データの構造式は表 9.1 の場合,

ijjiiij bax 21

および表 9.2 の場合,

ijkijjikikijk abbax 21

と考える.

9.2 実験データとデータの構造式

因子 A( l水準)を 1 次因子,因子B (m水準)を 2 次因子とする実験の計画で,これ

を反復因子(ブロック因子)R( r 回)総実験回数 lmr 回の実験が実施され,特性値の測定

データ ijkx が得られたときデータ表は表 9.3 となる.

表 9.3 分割法( A 1 次,B 2 次,反復 r 回)を利用した

二元配置法による実験データ表

1R rR

1A 2A lA 1A 2A lA 合計 平均値

1B 111x 211x 11lx rx11 rx21 rlx 1 1T 1x

2B 121x 221x 21lx rx12 rx22 rlx 2 2T 2x

ijkx ijkx

mB 11mx 12mx 1lmx mrx1 mrx2 lmrx mT mx

合計 1T rT T

平均値 1x rx x

また,因子 R と因子 Aおよび因子 と因子 B のデータの二元表を作成しておくと,それぞ

れの平方和を計算するときには便利である.データの二元表を表 9.4 および表 9.5 に示す.

表 9.4 因子R と因子 Aの実験データの二元表

1R 2R rR 合計 平均値

1A 11T 21T rT 1 1T 1x

2A 12T 22T rT 2 2T 2x

kiT

lA 1lT 2lT rlT lT lx

合計 1T 2T rT T

平均値 1x 1x rx x

表 9.5 因子 と因子B の実験データの二元表

1A 2A lA 合計 平均値

1B 11T 21T 1lT 1T 1x

2B 12T 22T 2lT 2T 2x

ijT

mB mT1 mT2 lmT mT mx

合計 1T 2T lT T

平均値 1x 2x lx x

表 9.3 の実験において反復を行わない実験では,データの構造式が式(9.4)となり因子 Aの

効果は添字からわかるように 1 次誤差と交絡しており検出することができない.交互作用

A

A

( 9.4 )

( 9.5 )

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-108-

を検出するためには反復実験および繰返し実験が必要となる.

反復を利用した分割法( A 1 次,B 2 次)による二元配置実験のデータの構造式は,

ijkijjikikijk abbax 21

li ,,2,1 mj ,,2,1 r,,,k 21

ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 011

m

j

ij

l

i

ij abab

20 Rk ,N ~ 2

11 0 ,Nik~ 2

22 0 ,Nijk~

で表され,

ijijjiiij abbax 21

rN R

2

,0

r,Ni

2

1

1 0

r,Nij

2

2

2 0

iiii ax 21

rN R

2

,0

r,Ni

2

1

1 0

mr,Ni

2

2

2 0

jjj bx 21

rN R

2

,0

lr,N

2

1

1 0

lr,Nj

2

2

2 0

kkkkx 21

20 Rk ,N ~

l,Nk

2

1

1 0

lm,Nk

2

2

2 0

21 x

r,N R

2

0

lr,N

2

1

1 0

lmr,N

2

2

2 0

が導ける.

9.3 平方和と自由度

分割法( A 1 次,B 2 次)による二元配置法による実験データの平方和と自由度は,分散分

析の平方和計算の基本式を利用して,実験データの総平均値を,

総平均値

TN

xN

xl

i

m

j

r

k

ijk

11

1 1 1

ただし, lmrN

とおいて,総平方和(総変動)

l

i

m

j

r

k

ijkT xxS1 1 1

2 1 NT

反復間平方和( R 間変動)

l

i

m

j

r

k

kR xxS1 1 1

2 1 rR

A間平方和( A間変動)

l

i

m

j

r

k

iA xxS1 1 1

2 1 lA

RA 間平方和(RA 間変動)

l

i

m

j

r

k

kiRA xxS1 1 1

2 1 lrRA

( 9.7 )

( 9.6 )

( 9.8 )

( 9.10 )

( 9.9 )

( 9.11 )

( 9.12 )

( 9.13 )

( 9.14 )

( 9.15 )

( 9.16 )

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1次誤差 1E の平方和 ARRAE SSSS 1

111 lrARE

B 間平方和( B 間変動)

l

i

m

j

r

k

jB xxS1 1 1

2 1mB

AB 間平方和( AB 間変動)

l

i

m

j

r

k

ijAB xxS1 1 1

2 1 lmAB

交互作用 BA の平方和 BAABBA SSSS

11 mlBABA

2 次誤差 2E の平方和 BABEARTE SSSSSSS

12

BABEARTE 12

で求められる.また,具体的な平方和の計算には,表 9.3,表 9.4 よび表 9.5 を利用して,

修正項 21 T

NCT

総平方和(総変動) CTxSl

i

m

j

r

k

ijkT 1 1 1

2

反復間平方和( R 間変動) CTlm

TS

r

k

kR

1

2

A間平方和( A間変動) CTmr

TS

l

i

iA

1

2

RA 間平方和(RA 間変動) CTm

TS

l

i

r

k

kiRA

1 1

2

1次誤差 1E の平方和 ARRAE SSSS 1

B 間平方和( B 間変動) CTlr

TS

m

j

j

B

1

2

AB 間平方和( AB 間変動) CTr

TS

l

i

m

j

ij

AB

1 1

2

交互作用 BA の平方和 BAABBA SSSS

2 次誤差 2E の平方和 BABEARTE SSSSSSS 12

と求めることができる.

9.4 分散分析表と検定

分割法( A 1 次, B 2 次)による二元配置法実験の分散分析表を表 9.6 に示す.

要因 R , A, B , BA および 1 次誤差 1E を検定するために分散分析表では,

(1)反復因子を 0 次として

(2)同一次数の交互作用は,その次数の要因となる.

(3)異なった次数の因子間の交互作用は,次数が高い方の因子と同じ次数の要因となる.

の方法を遵守して次数ごとにまとめて作成すればよい.

各要因の検定は,有意水準を %5 とすると,

0 次要因:反復 R の検定 仮説: 0 0 2

1

2

0 RR :H:H

検定統計量: 10 ER VVF 棄却域: 05010 .;,FF ER

( 9.23 )

( 9.22 )

( 9.24 )

( 9.25 )

( 9.18 )

( 9.19 )

( 9.20 )

( 9.28 )

( 9.29 )

( 9.30 )

( 9.17 )

( 9.21 )

( 9.27 )

( 9.31 )

( 9.26 )

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表 9.6 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

R RS R RV 1ER VV 22

1

2

2 Rlmm

A AS A AV 1EA VV 22

1

2

2 Amrm

1E 1ES 1E 1EV 21 EE VV 2

1

2

2 m

B BS B BV 2EB VV 22

2 Blr

BA BAS BA BAV 2EBA VV 22

2 BAr

2E 2ES 2E 2EV 2

2

T TS T

1 次要因:要因 Aの検定 仮説: 0 0 2

1

2

0 AA :H:H

検定統計量: 10 EA VVF 棄却域: 05010 .;,FF EA

1 次誤差 1E の検定 仮説: 0 0 2

11

2

10 :H:H

検定統計量: 210 EE VVF 棄却域: 050210 .;,FF EE

2 次要因:要因 B の検定 仮説: 0 0 2

1

2

0 BB :H:H

検定統計量: 20 EB VVF 棄却域: 05020 .;,FF EB

交互作用 BA の検定 仮説: 0 0 2

1

2

0 BABA :H:H

検定統計量: 20 EBA VVF 棄却域: 05020 .;,FF EBA

として実施し有意性を判断する.検定の結果,要因が無視できる場合プーリングを実施し分

散分析表を再作成する.プーリングの方法として

(3)まず,1 次誤差 1E が無視できる場合,推定における解析法は第 8 章乱塊法に一致す

る.

(4)要因 R および 1 次誤差 1E が無視できる場合,推定における解析法は第 5 章繰返し

のある二元配置法に一致する.

(5)要因 R および 1 次誤差 1E が無視できない場合について,分割法の特徴でもあり以下

推定法について述べる.

9.5 最適条件の決定と母平均の推定

反復因子は,乱塊法と同様に再現性がなく変動する因子で水準の指定は行わない.表 9.6

に基づき要因 R または 1 次誤差 1E が無視できない場合について推定を行うこととする.

(1)最適条件の決定と母平均の推定

因子 Aの最適水準を oA ,因子 B 最適水準を pB としたときの母平均を推定する.

(a)反復因子 R と 1 次誤差 1E が共に無視できない場合の点推定

(a-1)交互作用が無視できない場合

データの構造式 ijkijjikikijk abbax 21 から,

pooppopo BAxabbaBAˆ ( 9.32 )

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ijijjiiij abbax 21

opopo VarBAˆVar 21

rrrVarVarVar R

opo

2

2

2

12

21

(a-2)交互作用が無視できる場合

データの構造式 ijkjikikijk bax 21 から,

xBxAxˆbabaBAˆpopopopo

ijjiiij bax 21

21

2121

poo

po VarBAˆVar

lmr

ml

rr

VarVarVar

R

poo

2

2

2

12

1

1

(b)反復因子 R は無視できるが,1 次誤差 1E が無視できない場合の点推定

(b-1)交互作用が無視できない場合

データの構造式 ijkijjikiijk abbax 21 から,

pooppopo BAxabbaBAˆ

ijijjiiij abbax 21

opopo VarBAˆVar 21

rrVarVar opo

2

2

2

1

21

(b-2)交互作用が無視できる場合

データの構造式 ijkjikiijk bax 21 から,

xBxAxˆbabaBAˆpopopopo

ijjiiij bax 21

21

2121

poo

po VarBAˆVar

lmr

ml

r

VarVar poo

2

2

2

1

1

1

(2)最適条件における母平均の区間推定

最適水準 poBA での信頼率 95%信頼限界は,上記(1)項で求められた母平均の点推定

値に対して求める.

(a)反復因子 R と 1 次誤差 1E が共に無視できない場合の区間推定

(a-1)交互作用が無視できない場合

信頼限界は,Satterthwaite の等価自由度 * の t分布 050.*,t を用いて,

( 9.33 )

( 9.34 )

( 9.35 )

( 9.36 )

( 9.37 )

( 9.38 )

( 9.39 )

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popo

Lpo

Upo

BAVartBABA

BA

ˆ05.0*,ˆ

ˆ

ˆ

と計算される.

ここで poBAVar の推定値は,反復間変動

2

R ,および 1 次誤差 1E の推定値を分

散分析表 s.m.E から求めると次式となる.

lm

VV ER

R

12ˆ

22

1

22

1

1 1RR

ERlm

lmlm

VVE

m

VVˆ EE 212

1

2

1

2

2

2

1

2

2

21 1 m

mm

VVE

EE

よって, poBAˆVar の推定値は式(9.33)より,

21

2

211

2211

2

2

2

12

111

1

11

EER

E

EEER

EEEER

Rpo

Vlmr

mlV

lmr

lV

lmr

Vm

V

m

V

lm

V

lm

V

r

r

V

m

VV

rlm

VV

r

r

ˆ

r

ˆ

r

ˆBAˆarV

21

1 E

BABE

AR V

NV

NV

N

となる.

または,式(9.32)で点推定に用いる有効反復数を考えると,式(9.43)の右辺第 2 項お

よび第 3 項の係数は田口の有効反復数となる.式(9.43)の有効反復数は,

Nn

A

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1

1

Nn

BAA

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

と求めればよく式(9.43)に一致する.

したがって信頼限界は,

2

2

1

1

111050 E

e

E

e

Rpo

Lpo

Upo

Vn

Vn

VN

.*,tBAxBAˆ

BAˆ

ただし, lmrN

となる.

また, t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は,

2

2

2

2

1

2

1

1

22

2

2

1

1

111111

E

E

e

E

E

e

R

RE

e

E

e

R Vn

Vn

VN

*

Vn

Vn

VN

より

( 9.40 )

( 9.41 )

( 9.43 )

( 9.42 )

( 9.44 )

( 9.45 )

( 9.46 )

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2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

2

1

1

111

111

E

E

e

E

E

e

R

R

E

e

E

e

R

Vn

Vn

VN

Vn

Vn

VN

*

で求められる.等価自由度 * については数値表 1)を参考にすればよい.

(a-2)交互作用が無視できる場合

交互作用 BA を 2 次誤差とプーリングして,信頼限界は,Satterthwaite の等価自由

度 * の t分布 050.*,t を用いて,

popo

Lpo

Upo

BAVartBABA

BA

ˆ05.0*,ˆ

ˆ

ˆ

と計算される.

ここで poBAVar の推定値は,反復間変動

2

R および 1 次誤差 1E の推定値を分

散分析表 s.m.E から式(9.41)および式(9.42)で求めると,

よって, poBAˆVar の推定値は式(9.35)より,

21

222211

2211

2

2

2

12

111

1

111

1

EER

'E'E'E'EEER

'E'EEER

Rpo

Vlmr

mV

lmr

lV

lmr

VmVlVlVlVVVlmr

lmr

Vml

m

VV

rlm

VV

r

lmr

ˆml

r

ˆ

r

ˆBAˆarV

21

1 'E

BE

AR V

NV

NV

N

ただし,

2

2

2

EBA

EBA

'E

SSV

となる.

または,式(9.34)で点推定に用いる有効反復数を考えると,式(9.49)の右辺第 2 項お

よび第 3 項の係数は田口の有効反復数となる.式(9.49)の有効反復数は,

Nn

A

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1

1

Nn

B

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

と求めればよく式(9.49)に一致する.

したがって信頼限界は,

2

2

1

1

111050 'E

e

E

e

Rpo

Lpo

Upo

Vn

Vn

VN

.*,tBAxBAˆ

BAˆ

ただし, lmrN

となる.

( 9.47 )

( 9.48 )

( 9.49 )

( 9.52 )

( 9.50 )

( 9.51 )

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-114-

また, t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

2

2

2

2

1

2

1

1

22

2

2

1

1

111111

E

'E

e

E

E

e

R

R'E

e

E

e

R Vn

Vn

VN

*

Vn

Vn

VN

より式(9.47)に基づいて求めればよい.

(b)反復因子 R は無視できるが,1 次誤差 1E が無視できない場合の区間推定

反復因子 R が無視できる場合には,1 次誤差 1E にプーリングする.

(b-1)交互作用が無視できない場合

信頼限界は,Satterthwaite の等価自由度 * の t分布 050.*,t を利用し式(9.36)お

よび式(9.37)を用いて,

popo

Lpo

Upo

BAVartBABA

BA

ˆ05.0*,ˆ

ˆ

ˆ

と計算される.

ここで poBAVar の推定値は,1 次誤差 1E の推定値を分散分析表 s.m.E から求

めると次式となる.

m

VVˆ E'E 212

1

2

1

2

2

2

1

2

2

21 1 m

mm

VVE

E'E

よって, poBAˆVar の推定値は式(9.33)より,

21

21221

2

21221

2

2

2

1

1

111

1

1

E'E

E'EEE'E

E

E'EEE'E

po

Vlmr

mlV

lmr

l

Vmr

mV

mrmVVV

mr

Vm

V

m

V

rr

V

m

VV

r

r

ˆ

r

ˆBAˆarV

21

1 E

BAB'E

A VN

VN

ただし,

1

1

1

ER

ER

'E

SSV

となる.

または,式(9.36)で点推定に用いる有効反復数を考えると,式(9.55)の右辺第 1 項お

よび第 2 項の係数は田口の有効反復数となる.式(9.55)の有効反復数は,

Nn

A

e

11 1 1

1

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた

Nn

BAB

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

と求めればよく式(9.55)に一致する.したがって信頼限界は,

2

2

1

1

11050 E

e

'E

e

po

Lpo

Upo

Vn

Vn

.*,tBAxBAˆ

BAˆ

( 9.53 )

( 9.55 )

( 9.54 )

( 9.56 )

( 9.57 )

( 9.58 )

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-115-

となる.

また, t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は,

2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

1

1

1111

E

E

e

'E

'E

e

E

e

'E

e

Vn

Vn

*

Vn

Vn

より

2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

1

1

11

11

E

E

e

'E

'E

e

E

e

'E

e

Vn

Vn

Vn

Vn

*

で求められる.等価自由度 * については数値表 1)を参考にすればよい.

(b-2)交互作用が無視できる場合

交互作用 BA を 2 次誤差 2E とプーリングして,信頼限界は,Satterthwaite の等価

自由度 * の t分布 050.*,t を用いて,

popo

Lpo

Upo

BAVartBABA

BA

ˆ05.0*,ˆ

ˆ

ˆ

と計算される.

ここで poBAVar の推定値は,1 次誤差 1E の推定値を分散分析表 s.m.E から求

めると式(9.54)となる.よって, poBAˆVar の推定値は式(9.39)より,

21

22221

221

2

2

2

1

1

1

11

1

'E'E

'E'E'E'E'E

'E'E'E

po

Vlmr

mV

lmr

l

VmVlVlVlVlmr

lmr

Vml

m

VV

r

lmr

ˆml

r

ˆBAˆarV

21

1 'E

B'E

A VN

VN

ただし,

1

1

1

ER

ER

'E

SSV

2

2

2

EBA

EBA

'E

SSV

となる.

または,式(9.38)で点推定に用いる有効反復数を考えると,田口の有効反復数式(9.56)

および式(9.57)を利用する.式(9.61)の有効反復数は,

Nn

A

e

11 1 1

1

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた

Nn

B

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

( 9.59 )

( 9.61 )

( 9.62 )

( 9.63 )

( 9.60 )

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-116-

となり一致する.

したがって信頼限界は,

2

2

1

1

11050 'E

e

'E

e

po

Lpo

Upo

Vn

Vn

.*,tBAxBAˆ

BAˆ

となる.

また, t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

1

1

1111

E

'E

e

'E

'E

e

'E

e

'E

e

Vn

Vn

*

Vn

Vn

より式(9.59)に基づいて求めればよい.

(c)反復因子 R は無視できないが,1 次誤差 1E が無視できる場合

1 次誤差 1E のみが無視できる場合には,分散分析表は表 9.7 となり特性の母平均に

関する方法は第 8 章乱塊法による二元配置実験の 8.5 節に準じて解析すればよい.

表 9.7 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

R RS R RV 2ER VV 22

2 Rlm

A AS A AV 2EA VV 22

2 Amr

B BS B BV 2EB VV 22

2 Blr

BA BAS BA BAV 2EBA VV 22

2 BAr

2E 2ES 2E 2EV 2

2

T TS T

(d)反復因子 R と 1 次誤差 1E が共に無視できる場合

反復因子 R および 1次誤差 1E が無視できる場合には表 9.6の分散分析表は表 9.8と

なり特性の母平均に関する方法は第 5 章繰返しのある二元配置実験の 5.5 節に準じて

解析すればよい.

表 9.8 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F smE ..

A AS A AV 2EA VV 22

2 Amr

B BS B BV 2EB VV 22

2 Blr

BA BAS BA BAV 2EBA VV 22

2 BAr

2E 2ES 2E 2EV 2

2

T TS T

9.6 因子 ABの水準間の組合せによる母平均の差の推定

因子の水準間の母平均の差の推定は,第 8 章 8.5 節(3)項で述べた方法を利用して,1

次誤差が無視できないとき点推定値 のそれぞれの推定量から共通項を除いた有効反

( 9.64 )

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-117-

復数を

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1 1

1

ein

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

ein

とおいて,分散 Var の推定は,

1 次誤差に対して 12111

111

eed nnn

2 次誤差に対して 22212

111

eed nnn から

2

2

1

1

11E

d

E

d

Vn

Vn

ˆarV

と考えて求めることができる.

(a)反復因子 R と 1 次誤差 1E が共に無視できない場合の区間推定

(a-1)交互作用 BA が無視できない場合

因子 Aと B の jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の推定は,データの構造式式(9.32)よ

り,

ijkijjikikijk abbax 21 から

点推定値を 'j'iji BABA とおいて,共通項はないので式(9.65),式(6.66)より,

jiijjiji BAxabbaBAˆ より

Nn

A

e

11

11

, Nn

BAB

e

21

1

'j'i'j'i'j'i'j'i BAxabbaBAˆ より

Nn

A

e

11

12

, Nn

BAB

e

22

1

よって, Nnnn

A

eed

12

111

12111

Nnnn

BAB

eed

2

111

22212

212

2

1

1

12

11E

BABE

AE

d

E

d

VN

VN

Vn

Vn

ˆarV

となる.よって信頼限界は,

21

12050 E

BABE

A

L

UV

NV

N.*,tˆ

ˆ

ˆ

t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

2

2

2

1

2

1

2

21

11

E

EBAB

E

EA

EBAB

EA V

NV

N

*

VN

VN

( 9.65 )

( 9.66 )

( 9.68 )

)

( 9.69 )

( 9.67 )

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-118-

より式(9.59)に基づいて求めればよい.

(a-2)交互作用 BA が無視できる場合

因子 Aと B の jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の推定は,データの構造式(9.34)より,

ijkjikikijk bax 21 から

点推定値を 'j'iji BABA とおいて,共通項 x を除いた有効反復数を式(9.65),

式(6.66)より求めると,

xBxAxˆbabaBAˆjijijiji より

Nn

A

e

11

11

, Nn

B

e

21

1

xBxAxˆbabaBAˆ'j'i'j'i'j'i'j'i より

Nn

A

e

11

12

, Nn

B

e

22

1

よって, Nnnn

A

eed

12

111

12111

Nnnn

B

eed

2

111

22212

212

2

1

1

12

11'E

BE

A'E

d

E

d

VN

VN

Vn

Vn

ˆarV

となる.よって信頼限界は,

21

12050 'E

BE

A

L

UV

NV

N.*,tˆ

ˆ

ˆ

t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

2

2

2

1

2

1

2

21

11

'E

'EB

E

EA

'EB

EA V

NV

N

*

VN

VN

より式(9.59)に基づいて求めればよい.

(b)反復因子 R は無視できるが,1 次誤差 1E が無視できない場合の区間推定

(b-1)交互作用 BA が無視できない場合

最適条件 ''ˆˆ

jiji BABA の母平均の差の推定はデータの構造式式(9.36)より

ijkijjikiijk abbax 21 から

点推定値を ''ˆˆ

jiji BABA とおいて,共通項はないので式(9.65),式(6.66)より,

jiijjiji BAxabbaBA より

Nn

A

e

11

11

, Nn

BAB

e

21

1

''''''''

ˆjijijiji BAxabbaBA より

Nn

A

e

11

12

, Nn

BAB

e

22

1

( 9.70 )

)

( 9.71 )

Page 119: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-119-

よって, Nnnn

A

eed

12

111

12111

Nnnn

BAB

eed

2

111

22212

212

2

1

1

12

11E

BABE

AE

d

E

d

VN

VN

Vn

Vn

ˆarV

となる.よって信頼限界は式(9.69)に基づいて求めればよい.

(b-2)交互作用 BA が無視できる場合

最適条件 ''ˆˆ

jiji BABA の母平均の差の推定はデータの構造式式(9.38)より,

ijkjikiijk bax 21 から

点推定値を 'j'iji BABA とおいて,共通項 x を除いた有効反復数を式(9.65),

式(6.66)より求めると,

xBxAxˆbabaBAˆjijijiji

Nn

A

e

11

11

, Nn

B

e

21

1

xBxAxˆbabaBAˆ'j'i'j'i'j'i'j'i

Nn

A

e

11

12

, Nn

B

e

22

1

Nnnn

A

eed

12

111

12111

, Nnnn

B

eed

2

111

22212

212

2

1

1

12

11'E

B'E

A'E

d

'E

d

VN

VN

Vn

Vn

ˆarV

となる.よって信頼限界は式(9.71)に基づいて求めればよい.

(c)反復因子 R は無視できないが,1 次誤差 1E が無視できる場合の区間推定

第 9.5 節(2)(c)項に準じて解析すればよい.

(d)反復因子と 1 次誤差 1E が共に無視できる場合の区間推定

第 9.5 節(2)(d)項に準じて解析すればよい.

9.7 例題

ある製鋼(株)では,磁石鋼の磁性を高めるため溶解温度と配合成分量について検討するこ

とになった.因子と水準については,溶解温度 Aを 3 水準,配合成分量B を 3 水準とした

実験は,溶解温度については温度の均一性を保つため因子 Aをランダムに順序で設定し,

配合成分量の異なる 3 種類の試料をランダムにつくり一定の熱処理後磁性を測定した.こ

の一連の実験を 2 回反復(因子R )した.表 9.9 にデータ表を示す.データは数値変換してあ

り磁性は高いほど望ましい.

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で反復間と因子 A, B について効果を検定せよ.

(2)特性値が最大となる最適条件を定め,その条件における母平均の点推定値と信頼率

95%信頼限界を求めよ.

( 9.73 )

)

( 9.72 )

)

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-120-

(3)反復間変動を推定せよ.

本実験は,まず,温度の均一性を保持するためにランダムに因子 Aの水準を定め,その中

で配合成分量因子 B の水準をランダムにしており,2 段階のランダム化による分割実験で

ある.この場合データの構造式は式(9.4)となり因子 Aの効果は 1 次誤差と交絡し,交互作

用 BA の効果は 2 次誤差と交絡し検出できない.一連の実験を再度実施(反復計 2 回)す

ることにより全ての要因の効果が把握できるようにした因子 Aを 1 次要因,因子B を 2 次

要因とした二元配置法による分割実験(分割法)である.

また,解析に当たっては,因子 R と因子 Aおよび因子 と因子B のデータの二元表を作

成しておくと,それぞれの平方和を計算するときには便利である.データの二元表を表 9.10

および表 9.11 に示す.

(1)分散分析による要因の検定

手順 1.データの構造

ijkijjikikijk abbax 21 ( 321 ,,i 321 ,,j 21,k )

ただし, 03

1

i

ia 03

1

j

jb 03

1

3

1

j

ij

i

ij abab

20 Rk ,N ~ 2

11 0 ,Nik~ 2

22 0 ,Nik~

表 9.9 分割法( A 1 次, B 2 次,反復 2 回)を利用した

二元配置法による実験データ表

1R 2R

1A 2A 3A 1A 2A 3A 合計 平均値

1B 7.6 8.6 9.2 7.5 8.2 8.4 49.5 8.25

2B 7.4 8.3 8.3 7.8 7.9 7.7 47.4 7.90

3B 7.2 8.1 8.8 7.6 7.6 8.5 47.8 7.97

合計 73.5 71.2 144.7

平均値 8.17 7.91 8.04

表 9.10 因子R ,Aの実験データの二元表 表 9.11 因子 ,B の実験データの二元表

1R 2R 合計 平均値 1A 2A 3A 合計 平均値

1A 22.2 22.9 45.1 7.52 1B 15.1 16.8 17.6 49.5 8.25

2A 25.0 23.7 48.7 8.12 2B 15.2 16.2 16.0 47.4 7.90

3A 26.3 24.6 50.9 8.48 3B 14.8 15.7 17.3 47.8 7.97

合計 73.5 71.2 144.7 合計 45.1 48.7 50.9 144.7

平均値 8.17 7.91 8.04 平均値 7.52 8.12 8.48 8.04

手順2.平方和と自由度の計算

データの総合計

3

1

3

1

2

1i j k

ijkxT

71445887296867 ......

総平均 048714418

11..T

Nx

修正項 22721163714418

11 22 ..TN

CT

総平方和(総変動) CTxSi j k

ijkT

3

1

3

1

2

1

2

A

A

Page 121: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-121-

9 2 2 842 2 7 2 2 21 1 6 3151168

227211635867296867 22222

...

......

171181 NT

反復間平方和( R 間変動) CTlm

TS

k

kR

2

1

2

227211632715739

1 22 ...

293902272116369104719

1 ...

1121 rR

A間平方和( A間変動) CTmr

TS

i

iA

3

1

2

85782227211635169966

1

227211639507481456

1 222

...

....

2131 lA

RA 間平方和(RA 間変動) CTm

TS

i k

kiRA

3

1

2

1

2

70283227211637935003

1

227211636243260252223

1 2222

...

.....

5161 lrRA

1 次誤差 1E の平方和 ARRAE SSSS 1

5 5 1 108 5 7 822 9 3 907 0 2 83 ....

2211 ARARRAE

B 間平方和( B 間変動) CTlr

TS

j

j

B

3

1

2

41450227211638569816

1

227211638474475496

1 222

...

....

2131 mB

AB 間平方和( AB 間変動) CTr

TS

i j

ij

AB

3

1

3

1

2

227211633178142151152

1 2222 .....

92783227211633123342

1 ...

8191 lmAB

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-122-

交互作用 BA の平方和 BAABBA SSSS

65550414508578292783 ....

422 BABAABBA

2 次誤差 2E の平方和 BABEARTE SSSSSSS 12

15000

655504145055110857822939092284

.

......

6422211712 BABEARTE

手順3.分散分析表の作成と要因効果の判定

それぞれ計算した要因の平方和と自由度から表 9.12 の分散分析表を作成する.

表 9.12 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F s.m.E

R 0.2939 1 0.2939 1.07 22

122 93 R

A 2.8578 2 1.4289 5.18 22

122 63 A

1E 0.5511 2 0.2756 11.02 21

22 3

B 0.4145 2 0.2073 8.29 22

2 6 B

BA 0.6555 4 0.1639 6.56 22

2 2 BA

2E 0.1500 6 0.0250 22

T 4.9228 17

51805021 ..;,F , 01905022 ..;,F , 14505062 ..;,F , 53405064 ..;,F

検定の結果は,

0 次要因:反復R の検定 仮説: 0 0 2

1

2

0 RR :H:H

07127560293900 ...F 050210 .;,FF 有意でない

1 次要因:1 次誤差 1E の検定 仮説: 0 0 2

11

2

10 :H:H

021102500275600 ...F 050620 .;,FF 有意である

2 次要因:交互作用 BA の検定 仮説: 0 0 2

1

2

0 BABA :H:H

56602500163900 ...F 050640 .;,FF 有意である

よって,反復 R を 1 次誤差にプーリングして表 9.13 の分散分析表を作成する.

表 9.13 分散分析表

要因 平方和 自由度 平均平方 0F s.m.E

A 2.8578 2 1.4289 5.07 22

122 63 A

1E 0.8450 3 0.2817 11.27* 21

22 3

B 0.4145 2 0.2073 8.29* 22

2 6 B

BA 0.6555 4 0.1639 6.59* 22

2 2 BA

2E 0.1500 6 0.0250 22

T 4.9228 17

55905032 ..;,F , 26405063 ..;,F , 14505062 ..;,F , 53405064 ..;,F

プーリングの検定の結果から要因 Aは有意とならず,他要因については有意水準

5%で有意と判定された.要因 Aは無視せず,推定については表 9.13 を利用するこ

とにした.

(2)最適条件の決定と母平均の推定

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-123-

手順 4.最適条件の決定

プーリング後の表 9.13 に基づく特性値を高める最適条件については,交互作用

BA は無視できないので表 9.11 より平均値の高い水準を設定することになる.最適

水準は 13BA となる.よって最適条件での母平均を推定するためのデータの構造式を,

ijkijjikiijk abbax 21 ( 321 ,,i 321 ,,j 21,k )

ただし, 01

l

i

ia 01

m

j

jb 011

m

j

ij

l

i

ij abab

2

11 0 ,Nik~ 2

22 0 ,Nik~

として考えればよい.

手順 5.最適条件における母平均の点推定

最適条件 13BA における母平均の点推定値 13BA は表 9.11 より,

8082

6173113311313 .

.xBAxabbaBAˆ

となる.

手順 6.最適条件における母平均の信頼率 95%区間推定

最適条件 13BA における母平均の信頼限界は,第 9.5 節(2)(b)(b-1)項を利用すると信

頼限界は式(9.53)より

2113

13

13 1050 E'E

L

UV

N

mlV

N

l.*,tBAˆ

BAˆ

BAˆ

となる.また,田口の有効反復数を式(9.56)および式(9.57)より求めて,

6

1

18

311 1 1

1

Nn

A

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた

3

1

18

6 2 1

2

Nn

BAB

e

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた

2

2

1

1

13

13

13 11050 E

e

'E

eL

UV

nV

n.*,tBAx

BAˆ

BAˆ

としてもよい.式(9.74)および式(9.75)における Satterthwaite の等価自由度 * は,

0942418150

9902240

6

0250023

3

281703

0250023281703

1

12

2

2

2

2

1

2

1

2

21

..

.

..

..

VmllV

VmllV*

E

E

'E

'E

E'E

6

025003

1

3

281706

1

025003

128170

6

1

11

11

22

2

2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

1

1

..

..

Vn

Vn

Vn

Vn

*

E

E

e

'E

'E

e

E

e

'E

e

094000746340

003056250 .

.

.

( 9.75 )

( 9.74 )

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-124-

と一致して,等価自由度 094.* をもつ t分布の 050094 .,.t は,線型補間により

77620504 ..,t , 57120505 ..,t より,

758257120907762910

050509005040901050094050

.....

.,t..,t..,.t.*,t

と求められる.

したがって信頼限界は式(9.74)より,

158

459650808

025002328170318

17582808

1050 2113

13

13

.

...

....

VN

mlV

N

l.*,tBAx

BAˆ

BAˆE'E

L

U

または式(9.75)より,

158

459650808

025003

128170

6

17582808

11050 2

2

1

1

13

13

13

.

...

....

Vn

Vn

.*,tBAxBAˆ

BAˆE

e

'E

eL

U

となる.

(3)反復間変動2

R の推定

結果的に表 9.13 の分散分析表により無視しているが,表 9.12 の分散分析表を利用する

と式(9.41)より,

212 04509000203309

2756029390..

..

lm

VVˆ 'ER

R

信頼率 95%信頼限界は Anderson-Bancroft の方法は第 8 章式(8.60)より,

2

R の信頼上限:

29390

27560

975021

1

9

29390

21

1 1

1 .

.

.;,F

.

V

V

;,Flm

V

R

'E

'ER

R

21086509742629390

275600800032660 ..

.

...

2

R の信頼下限:

29390

27560

025021

1

9

29390

2

1 1

1 .

.

.;,F

.

V

V

;,Flm

V

R

'E

'ER

R

29390

27560

538

1032660

.

.

.. (考えない)

となる.

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-125-

(4)母平均の差の推定【蛇足】

例えば,最適条件 13BA と2番目に特性値を高くする条件 33BA との母平均の差の推定は,

点推定値は 3313 BABA とおいて,

13311313 BAxabbaBAˆ より

6

1

18

311

1

Nn

A

e

3

1

18

61

2

Nn

BAB

e

0 5 5 2 800 2 5 003

12 8 1 70

6

1112

2

1

1

13 ...Vn

Vn

BAˆarV E

e

'E

e

33333333 BAxabbaBAˆ より

6

1

18

311

1

Nn

A

e

3

1

18

61

2

Nn

BAB

e

0 5 5 2 800 2 5 003

12 8 1 70

6

1112

2

1

1

33 ...Vn

Vn

BAˆarV E

e

'E

e

1 1 0 5 600 2 5 003

12 8 1 70

6

12

112 2

2

1

1

...

Vn

Vn

ˆa rV E

e

'E

e

となる. t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

094

6

025003

1

3

281706

1

025003

128170

6

1

11

11

22

2

2

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

1

1.

..

..

Vn

Vn

Vn

Vn

*

E

E

e

'E

'E

e

E

e

'E

e

より 7582050 ..*,t を用いて信頼限界は,

1502

317

2

61733133313 .

..BAxBAxBAˆBAˆˆ

2

2

1'

1

11205.0*,ˆ

ˆ

ˆE

e

E

eL

UV

nV

nt

50.0

80.0 65.015.00250.0

3

12817.0

6

12758.215.0

となり 13BA , 33BA 間の母平均に違いは認められない.

9.8 分割法の要点の整理

実験の計画

取り上げた因子の水準変更が困難である場合に,まずその因子の水準をランダムに

決め,次に別の因子の全水準でランダムに行う実験など,因子の組み合わせでランダ

ム化が段階的に行われる実験の計画である.

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-126-

分散分析と検定

分散分析表の作成では,ランダム化の段階ごとに 0 次要因,1 次要因,2 次要因,

…と実験で付随する 1 次誤差,2 次誤差,…も含めて分散分析表を作成する.

(1)反復は「0 次要因」と考える.

(2)1 次因子の主効果は「1 次要因」,2 次因子の主効果は「2 次要因」,…と考える.

(3)2 因子交互作用の現れ方

0 次因子×1 次因子=「1 次要因」

1 次因子×1 次因子=「1 次要因」

1 次因子×2 次因子=「2 次要因」

2 次因子×2 次因子=「2 次要因」

1 次因子×3 次因子=「3 次要因」,…

一般的に

低次因子×高次因子=「高次要因」

と考える.

検定では,1 次要因,2 次要因,…をそれぞれ 1 次誤差,2 次誤差,…で検定する.

各次の誤差の検定は,1 次誤差を 2 次誤差,2 次誤差を 3 次誤差,…で検定し無視で

きる場合高次の誤差にプーリングする.

母平均に関する推定

(1)反復 R が無視できない場合

ijkijjikikijk abbax 21

jijiL,Uji BAˆarV.*,tBAˆBA 050

22

11

111E

eE

eRji V

nV

nV

NBAˆarV

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1

1

en

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

en

等価自由度 * は Satterthwaite の方法で求め, t分布の 050.*,t 値は必要に応じ

て線型補間法を利用する.

(2)反復 R が無視できる場合

ijkijjikiijk abbax 21

jijiL,Uji BAˆarV.*,tBAˆBA 050

22

11

11E

e'E

eji V

nV

nBAˆarV

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1 1

1

en

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

en

等価自由度 * は Satterthwaite の方法で求め, t分布の 050.*,t 値は必要に応じ

て線型補間法を利用する.

(3)反復 R は無視できないが,1 次誤差が無視できる場合

ijkijjikijk abbax 2

母平均に関する方法は第 8 章乱塊法による二元配置実験に準じて解析する.

(4)反復 R と 1 次誤差が無視できる場合

ijkijjiijk abbax 2

母平均に関する方法は第 5 章繰返しのある二元配置実験に準じて解析する.

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-127-

母平均の差に関する推定

(1)取り上げた因子が二つの場合

因子の水準間の母平均の差の推定は,1 次誤差が無視できないとき点推定値

のそれぞれの推定量から共通項を除いた有効反復数を

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1 1

1

ein

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

ein

とおいて,分散 Var の推定は,

1 次誤差に対して 12111

111

eed nnn

2 次誤差に対して 22212

111

eed nnn から

22

11

11ˆˆ

Ed

Ed

Vn

Vn

arV

jiLU BAarVt ˆˆ05.0*,ˆˆ,

等価自由度 * は Satterthwaite の方法で求め, t分布の 050.*,t 値は必要に応じ

て線型補間法を利用する.

(2)反復 R は無視できないが,1 次誤差が無視できる場合

ijkijjikijk abbax 2

母平均に関する方法は第 8 章乱塊法による二元配置実験に準じて解析する.

(3)反復 R と 1 次誤差が無視できる場合

ijkijjiijk abbax 2

母平均に関する方法は第 5 章繰返しのある二元配置実験に準じて解析する.

【参考1】式(9.33)および式(9.43)の展開

反復因子,1 次誤差が無視できない場合

交互作用が無視できない場合の分散の式

データの構造式

ijkijjikikijk abbax 21

ijijjiiij abbax 21

から,

opo

opooppo

VarVarVar

VarxVarBAˆVar

21

21

r

k

opk

r

k

ok

r

k

kr

Varr

Varr

Var1

2

1

1

1

111

222

212

2

2

111 r

rr

rr

rR

22

21

21 R

r

よって,

lm

VVˆ ER

R

12

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

2

2111E

EEERpo V

m

VV

lm

VV

rBAˆarV

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-128-

21

21

2211

1

111

1

EB

EA

R

EER

EEEER

Vmr

VN

VN

Vlmr

mlV

lmr

lV

lmr

lm

lmVlVlVVV

r

または,

21

21

21

21

1

11111

11111

111

EBAA

EA

R

EER

EER

EERpo

VN

VN

VN

Vlmr

mlmV

lmr

lV

lmr

Vlmr

lmV

lmr

lV

lmr

Vlmr

mlV

lmr

lV

lmrBAˆarV

となる.田口の有効反復数より

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1

1

en

Nn

A

e

1

1

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

en

Nn

BAB

e

2

1

である.また,データの構造式から ijpo xBA となることから,式(9.7)を用いて,

rrr,abbaNBAˆ R

oppopo

22

21

2 ~

となり,

lm

VVˆ ER

R

12

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

21

21

2211

2

211

1

111

1

1

EBAB

EA

R

EER

EEEER

E

EEER

po

VN

VN

VN

Vlmr

mlV

lmr

lV

lmr

lm

lmVlVlVVV

r

Vm

VV

lm

VV

rBAˆarV

と考えてもよい.

【参考2】式(9.35)および式(9.49)の展開

反復因子,1 次誤差が無視できない場合

交互作用が無視できる場合の分散の式

データの構造式

iiii ax 21 jjj bx 21

21 x

から,

212121

poo

popo

Var

xxxVarBAˆVar

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-129-

l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

r

k

ipk

m

j

r

k

ojk

r

k

ok

r

k

k

poo

lmrlrmrVar

rVar

rVar

VarVarVar

1 1 1

2

1 1

2

1 1

2

1

1

1

2221

111

11

r

k

ok

r

k

kr

Varr

Var1

1

1

11

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

lmrlrmrlmr

lmrlrlmrmrVar

1

2

1 1 1

2

1 1

2

1 1

2

1111

1111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

ok

r

k

k

lmr

mlVar

lmrVar

lmr

mVar

lmr

lVar

rVar

rVar

1

2

1 1 1

2

1 1

2

1 1

2

1

1

1

1

11

111

m

pjj

r

k

ojk

r

k

ok

r

k

k Varrml

lVar

rVar

r 1 1

2222

2

1

121

2

111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

Varrml

ml

Varrml

Varrml

m

1

2222

2

1 1 1

22221 1

2222

2

1

11

2222

22222

21

2

22222

22222

22222

222222

2212

2

2

11

11

111

1

11

1111

rml

mlml

rml

ml

rr

rrml

mlmlr

rml

lrrml

mmr

rml

lr

rr

rBAˆVar

R

Rpo

2222

22222

21

2 11

1

rml

mlml

rml

mllm

rr

R

22

21

2

2222

21

2

1

1

lmr

ml

rr

rml

mllm

rr

R

R

よって,

lm

VVˆ ER

R

12

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

2

211 111E

EEERpo V

lmr

ml

m

VV

rlm

VV

rBAˆarV

Page 130: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-130-

21

21

2211

222211

1

111

1

1

EB

EA

R

EER

EEEER

EEEEEER

VN

VN

VN

VmVlVlmr

VmVlVVVlmr

VmVlVlVlVVVlmr

となる.田口の有効反復数より

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1

1

en

Nn

A

e

1

1

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

en

Nn

B

e

2

1

である.また,データの構造式から xxxBAˆpopo となることから,式(9.8) (9.9)

(9.11)を用いて,

mrrr,aNx R

oo

22

21

2 ~

lrlrr,bNx R

pp

22

21

2 ~

lmrlrr,Nx R

22

21

2 ~

22

21

2 111

lmr

ml

rr,baNxxx Rpopo ~

となり,

lm

VVˆ ER

R

12

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

2

211 111E

EEER

po Vlmr

ml

m

VV

rlm

VV

rBAˆarV

21

21

222211

1

111

1

EB

EA

R

EER

EEEEEER

VN

VN

VN

VmVlVlmn

VmVlVlVlVVVlmn

と考えてもよい.

【参考3】式(9.37)および式(9.55)の展開

反復因子が無視できるが,1 次誤差は無視できない場合

交互作用が無視できない場合の分散の式

データの構造式

ijkijjikiijk abbax 21

ijijjiiij abbax 21

から,

r

k

opk

r

k

oj

opo

opooppo

rVar

rVar

VarVar

VarxVarBAˆVar

1

2

1

1

21

21

11

Page 131: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-131-

22

21

222

212

111

rr

rr

r

よって,

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

21

221

2

21

11

11

EE

EEE

E

EE

po

Vmr

mV

mr

m

mVlVV

rV

m

VV

rBAˆarV

21 EBAB

EA V

NV

N

または,

21

11EEpo V

mr

mV

mrBAˆarV

21

111 EE V

lmr

mlV

lmr

l

21

11111 EE V

lmr

lmV

lmr

l

21

21

1

11111

EBAB

EA

EE

VN

VN

Vlmr

mlmV

lmr

l

となる.田口の有効反復数より

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1 1

1

en

Nn

A

e

11

1

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

en

Nn

B

e

2

1

である. また,データの構造式から ijpo xBA となることから, 02 R および式(9.7)を

用いて,

rr,abbaNBAˆ

oppopo

22

21

となり,

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

21

21

21

221

2

21

1

11111

1

1

1

EBAB

EA

EE

EE

EEE

E

EE

po

Vmr

VN

Vlmr

mlmV

lmr

l

Vlmr

mlV

lmr

l

lm

lmVlVlV

r

Vm

VV

rBAˆarV

と考えてもよい.

Page 132: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-132-

【参考4】式(9.39)および式(9.61)の展開

反復因子が無視できるが,1 次誤差は無視できない場合

交互作用が無視できる場合の分散の式

データの構造式

iiii ax 21 jjj bx 21

21 x

から,

212121

poo

popo

Var

xxxVarBAˆVar

l

i

m

j

r

k

ijk

l

i

r

k

ipk

m

j

r

k

ojk

r

k

ok

poo

lmrlrmrVar

rVar

VarVar

1 1 1

2

1 1

2

1 1

2

1

1

2221

1111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

ok

lmrlrmrlmr

lmrlrlmrmrVar

rVar

1

2

1 1 1

2

1 1

2

1 1

2

1

1

1111

1111

1

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

ok

lmr

mlVar

lmrVar

lmr

mVar

lmr

lVar

rVar

1

2

1 1 1

2

1 1

2

1 1

2

1

1

11

111

l

oii

r

k

ipk

m

pjj

r

k

ojk

r

k

ok Varrml

mVar

rml

lVar

r 1 1

2222

2

1 1

2222

2

1

12

111

r

k

opk

l

oii

m

pjj

r

k

ijk Varrml

mlVar

rml 1

2222

2

1 1 1

2222

11

22222

22222

22222

222222

2212

111

1

11

111

rrml

mlmlr

rml

lrrml

mmr

rml

lr

rBAˆVar po

2222

22222

21 1

111

rml

mlml

rml

ml

r

22

21

2222

21

2222

22222

21

1

1

11

1

lmr

ml

r

rml

mllm

r

rml

mlml

rml

mllm

r

よって,

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

Page 133: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-133-

221

22221

2

21

1

1

11

EEE

EEEEE

E

EE

po

VmVlVlmr

VmVlVlVlVlmr

Vlmr

ml

m

VV

rBAˆarV

2121

11

1 E

BE

AEBEA V

NV

NVV

lmr

となる.田口の有効反復数より

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 1 1 1

1

en

Nn

A

e

11

1

総データ数

次要因の自由度の和点推定に用いた 2 1

2

en

Nn

B

e

2

1

である.また,データの構造式から xxxBAˆpopo となることから, 02 R および

式(9.8) (9.9) (9.11)を用いて,

mrr,aNx oo

22

21

lrlr,bNx pp

22

21

lmrlr,Nx

22

21

22

21

11

lmr

ml

r,baNxxx popo ~

となり,

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

2

21 11E

EE

po Vlmr

ml

m

VV

rBAˆarV

21

21

21

22221

1

1111

11

1

EB

EA

EE

EE

EEEEE

VN

VN

VmVllmr

VmlVlmr

VmVlVlVlVlmr

と考えてもよい.

【参考5】式(9.68)の展開

反復因子,1 次誤差が無視できない場合

交互作用 BA が無視できない場合

因子 Aと B の jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の推定は,式(9.32)および式(9.36)より,

点推定値は 'j'iji BABA とおいて,

'j'iji'j'iji

'j'i'j'iijji

BAxBAxBAˆBAˆ

abbaabbaˆ

信頼率 95%信頼限界は

Page 134: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-134-

ˆarV.*,tˆ

ˆ

ˆ

L

U050

式(9.33)より 'j'i'iijiVarˆVar 2121

'j'iij'ii VarVar 2211

'j'iij'ii VarVarVarVar 2211

22

21

22

rr

式(9.37)より 'j'i'iijiVarˆVar 2121

22

21

2211

2211

22

rr

VarVarVarVar

VarVar

'j'iij'ii

'j'iij'ii

よって, Var の推定値は式(9.42)より,

2212

21

22

21

222

22

EEEE

EEmVVV

mrV

rm

VV

r

ˆr

ˆr

ˆarV

21

112 EE V

mr

mV

mr

または,

21

21

21

111112

12

112

EE

EE

EE

Vlmr

lmV

lmr

l

Vlmr

mlV

lmr

l

Vmr

mV

mrˆarV

21

12 E

BABE

A VN

VN

となる.よって信頼限界は,

21

12050 E

BABE

A

L

UV

NV

N.*,tˆ

ˆ

ˆ

t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

2

2

2

1

2

1

2

21

11

E

EBAB

E

EA

EBAB

EA V

NV

N

*

VN

VN

となる.また jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の点推定値を 'j'iji BAˆBAˆ とおい

て,

rrr,abbaNBAˆ R

ijjiji

22

21

2 ~

'j'i'iijiVarˆVar 2121

'j'i'iijiVar 2121

'j'i'iiji VarVar 2121

Page 135: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-135-

2

221

22

21

1111 ˆ

rˆarV

よって,

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

21

21

2121

221221

11111

11111

1111

EE

EE

EEEE

EEEEEE

Vlmr

mlmV

lmr

l

Vlmr

mlmV

lmr

l

Vmr

mV

mrV

mr

mV

mr

r

V

mr

VV

r

V

mr

VVˆarV

となる.田口の有効反復数式(9.65)(9.66)より

jiBA 水準について Nn

A

e

11

11

Nn

BAB

e

21

1

'j'i BA 水準について Nn

A

e

11

12

Nn

BAB

e

22

1

1 次誤差について

Nnnn

A

eed

12111

12111

2 次誤差について

Nnnn

BAB

eed

2111

22212

を求めて,

2

2

1

1

11050 E

d

E

dL

UV

nV

n.*,tˆ

ˆ

ˆ

と考えてもよい.

【参考6】式(9.70)の展開

反復因子,1 次誤差が無視できない場合

交互作用 BA が無視できる場合

因子 Aと B の jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の推定は,式(9.34)および式(9.38)より,

点推定値は 'j'iji BABA とおいて,

xBxAxˆbabaBAˆjijijiji

xBxAxˆbabaBAˆ'j'i'j'i'j'i'j'i

より

xBxAxxBxAx

BAˆBAˆbabaˆ

'j'iji

'j'iji'j'iji

信頼率 95%信頼限界は

ˆarV.*,tˆ

ˆ

ˆ

L

U050

式(9.35)より 'j'i'iijiVarˆVar 2121

'j'iij'ii VarVar 2211

'j'iij'ii VarVarVarVar 2211

Page 136: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-136-

22

21

122

lmr

ml

r

式(9.39)より 'j'i'iijiVarˆVar 2121

22

21

2211

2211

122

lmr

ml

r

VarVarVarVar

VarVar

'j'iij'ii

'j'iij'ii

よって, Var の推定値は,

22

21

122 ˆ

lmr

mlˆ

rˆarV

22221

221

12

112

'E'E'E'EE

'E'EE

VmVlVlVlVlmr

lmr

Vml

m

VV

r

21

12 'EE V

lmr

mV

lmr

l

または,

21

21

1112

12

EE

EE

Vlmr

mV

lmr

l

Vlmr

mV

lmr

lˆarV

21

12 'E

BE

A VN

VN

となる.よって信頼限界は,

21

12050 E

BE

A

L

UV

NV

N.*,tˆ

ˆ

ˆ

t分布 050.*,t における Satterthwaite の等価自由度 * は

2

2

2

1

2

1

2

21

11

E

EB

E

EA

EB

EA V

NV

N

*

VN

VN

となる.また jiBA 水準と 'j'i BA 水準の母平均の差の点推定値を 'j'iji BAˆBAˆ とおい

て,

xBxAxBAˆjiji

xBxAxBAˆ'j'i'j'i

lmr

ml

rr,baNBAˆ R

jiji

22

21

2 1 ~

'j'i'iijiVarˆVar 2121

'j'i'iijiVar 2121

'j'i'iiji VarVar 2121

2

221

22

21

1111 ˆ

lmr

mlˆ

lmr

mlˆ

rˆarV

Page 137: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-137-

よって,

m

VVˆ EE 212

1

, 2

22 EVˆ より

2121

2121

221221

111111

1111

11

EEEE

EEEE

EEEEEE

Vlmr

mV

lmr

lV

lmr

mV

lmr

l

Vlmr

mV

mrV

lmr

mV

mr

lmr

Vml

mr

VV

lmr

Vml

mr

VVˆarV

となる.田口の有効反復数式(9.65)(9.66)より

jiBA 水準について Nn

A

e

11

11

Nn

B

e

21

1

'j'i BA 水準について Nn

A

e

11

12

Nn

B

e

22

1

1 次誤差について

Nnnn

A

eed

12111

12111

2 次誤差について

Nnnn

BAB

eed

2111

22212

を求めて,

2

2

1

1

11050 E

d

E

dL

UV

nV

n.*,tˆ

ˆ

ˆ

と考えてもよい.

Page 138: 実験計画法とは - page.sannet.ne.jpなどがある.他に表示因子や集団因子と呼ばれるものもある. 1.2 実験の配置の種類 実験計画法では,実験の方法による層化の有無や,実験のランダム(無作為)化のやり方

-138-

第9章 Excel演習問題

【問題 9-1】

ある精工(株)では,新型の加工機の操業条件を確立するために,製造条件 A (4水準)と仕

上げ加工条件 B (4水準)を取り上げ,実験を行うことになった.技術課によるとそれぞれの

因子の水準は従来機の操業条件である 11BA より高めに設定すれば良いこともわかった.

実験は,まず製造条件 4321 A,A,A,A をランダムに設定し半製品ロットを作成し,これをそ

れぞれ 4 等分して仕上げ加工条件 4321 B,B,B,B をランダムに仕上げ加工を実施した.製造条

件と仕上げ加工条件の交互作用 BA も未知であるため一連の 16 回の実験を反復した.総

実験数 32 回の特性を測定し表 9-1.1 のデータを得た.ただし,データは数値変換し単位は

省略してある.特性値は大きいほど望ましい.

表 9-1.1 特性のデータ表(単位省略)

1R 2R

因子 1A 2A 3A 4A 1A 2A 3A

4A

1B 36 40 36 35 34 40 35 32

2B 39 43 37 36 36 43 38 35

3B 42 45 39 39 38 44 38 36

4B 36 42 38 37 36 42 36 33

次の設問に答えよ.

(1)分散分析を行い有意水準 5%で要因の効果について検討せよ.

(2)最適と思われる操業条件の母平均の点推定値と信頼率 95%信頼限界を求めよ.

(3)最適な操業条件と従来機での操業条件 11BA との母平均の差の点推定値と信頼率 95%

信頼限界を求めよ.