奈良県学校教育の指導方針 - pref.nara.jp · Ⅱ 確かな学力、豊かな人間性、たくましい心身を備えた人 ~「知」「徳」「体」の調和がとれた人づくり~
静岡大学学生フォーミュラチーム Shizuoka …1 Ⅰ.はじめに...
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静岡大学学生フォーミュラチーム
Shizuoka University Motors
第 13 回大会
全日本学生フォーミュラ大会報告書
2015年度チームリーダー 磯川 紗希
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目次
Ⅰ.はじめに……………………p1
Ⅱ.大会結果……………………p1
Ⅲ.第 13回大会詳細…………p2
Ⅳ.大会報告のおわりに………p10
Ⅴ.成果報告……………p11
1.エンジン班…………………p11
2.サスペンション班…………p17
3.フレーム班…………………p21
4.駆動班………………………p25
5.電装班………………………p28
6.カウル班……………………p31
Ⅵ.静的審査報告書……………p35
1.コスト班…………………‥p35
2.デザイン班………………‥p46
3.プレゼンテーション班‥…p48
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1
Ⅰ.はじめに
まず,弊チームが今年度大会に無事出場できましたのは,応援していただいたスポンサ
ー様の皆様,先生方,OB の皆様のおかげでございます.ご支援・ご鞭撻ありがとうござい
ました.
今年度は,全種目「完走」,また「報連相」をチーム目標とし,一年間活動して参りまし
た.しかし,トラブルによりアクセラレーション不出走,エンデュランス途中リタイアとい
う結果となってしまいました.結果としては,悔しさの残るものとなりました.しかし弊チ
ームとしましては,精一杯一年間活動して参りました.こんな素晴らしい機会を与えて下さ
り本当にありがとうございました.
来年度も精一杯活動して参ります.これからも変わらぬ応援よろしくお願いいたします.
15 年度チームリーダー:磯川 紗希
Ⅱ.大会結果
総合順位 42 位/86 校(272.40pt)
静的審査 Presentation
Design
Cost
63 位(19.74pt/100pt)
33 位(70.00pt150pt)
10 位(52.7pt/100pt)
動的審査 Acceleration
Skid pad
Autocross
Endurance
Efficiency
不出走
25 位(25.01pt)
中止
38 位(14.00pt)
不出走
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Ⅲ.第 13 回大会詳細
Day1 9 月 1 日(火)
-当日の動き-
9:30 開会式
10:00 チーム受付
10:30 ピット設営
13:00 車検受付
15:30 デザイン審査
16:00 チームミーティング
車検受付後,2 日目の 8:00 より車検を受けることとなった.そのため一日目は車検の準
備と車両のチェックを行った.また,初日は静的競技のデザイン審査があった.デザイン
審査は事前提出したデザインレポートと当日の口頭議論により,審査員がマシン設計を評
価する競技である.
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Day2 9 月 2 日(水)
-当日の動き-
6:00 車両準備
7:00 ドライバーミーティング
8:15 技術車検開始
13:30 再車検(簡易車検)
14:00 ドライバー脱出
14:15 チルト・重量試験,騒音,ブレーキ試験
13:45 プレゼンテーション審査
16:00 ドライバー脱出
16:30 コスト審査
17:00 チームミーティング
18:00 ピットクローズ
技術車検の予約が 8:00 であることからピットオープンからの 2 時間は車両の確認を行
なった.ここで Coolant System のオーバーフローボトルの交換の作業が間に合わず技術
車検に 20 分遅刻した.しかしスムーズに車検は進み,一つの指摘項目を残して技術車検
は終了した.ここでの指摘項目は燃料タンクのサイトチューブに使用しているホースクラ
ンプの規格があっていないというものであった.そのため簡易形式による再車検となっ
た.午後には指摘項目を修正後に再車検を通過した.
同時にプレゼンテーション審査を行った.プレゼンテーション審査はアマチュアレーサ
ー層を市場ターゲットとし,製作したマシンを自動車メーカーに売り込むという仮想シチ
ュエーションのもと,マシンに関するプレゼンテーションを行う審査である.
その後 14:00 よりドライバー2 名の脱出試験を通過し,チルト・重量試験ではドライバ
ーが乗車した状態で車体を 45 度傾け,ガソリン・オイルなどが漏れないかチェックし,
合計重量と車重バランスをチェックし,通過した.騒音・ブレーキ試験では排気音が
110dBC を超えていないかどうか, 4 輪がロックするかどうかをチェックし,通過した.
その後再び残り 2 名のドライバー脱出試験を通過した.ここで全車検を通過したので走行
可能となった.
2 日目の最後にコスト審査を行った.コスト審査とは車両製造コストの詳細を記したコ
ストレポート(事前提出)の精度および,実際の車両とレポートとの合致性を審査する.
同時に自動車関連部品の製造プロセスについて口頭発表および質疑応答を行う.これで静
的審査はすべて終了した.
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騒音試験&ブレーキ試験通過後
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Day3 9 月 3 日(木)
-当日の動き-
6:00 ピットオープン
7:00 ローダーに積み込み後,動的エリアに移動
8:00 A のアクセラ・スキッドパッド競技の開始(~9:45)
9:00 1st ドライバーのスキッドパッドの走行
12:45 オートクロスの準備
13:30 A のオートクロス競技の開始(~15:00)
14:10 1st ドライバーのオートクロスの走行
14:50 2nd ドライバーのオートクロスの走行
15:30 雨により競技の中断
本大会よりアリーナから動的エリアへのローダーによる車両の移動があり,移動に時間
がかかることが予想されていたため早めの準備と行動を行った.アクセラ・スキッドパッ
ド競技の開始以降に暖気を行っていたがエンジン始動に時間がかかってしまった.その後
スキッドパッドの走行を行った.その後アクセラレーションの走行に向かうもエンジン始
動のトラブルにより走行できず,1st ドライバーのスキッドパッドのみの走行となってし
まった.
雨が近づいてきていたため,プラクティスエリアでの走行を行わず,ドライコンディシ
ョンでの 1st ドライバーのオートクロスの走行を行った.その後 2nd ドライバーもドライ
コンディションで走行できると判断し,引き続きオートクロスの走行に向かうもエンジン
始動のトラブルにより走行できなかった.レインタイヤへの変更とトラブルの修正後再び
オートクロスの走行を行った.また雨の影響により競技が終了したため,ピットの引き上
げを行った.
またエンジン始動におけるトラブルの原因がバッテリーの容量不足だと考えたためバッ
テリーの容量を変更することを決定し,車両の修正の申請を行い,バッテリーのマウント
を作り直した
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スキットパッドを走行する浜風
オートクロス走行の浜風
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Day4 9 月4日(金)
-当日の動き-
6:00 ピットオープン
8:00 再々車検
10:00 給油,暖気,プラクティス
13:00 エンデュランスの走行
15:00 ピットへの移動
19;30 ピットクローズ
ピットオープン後再々車検に向けて準備を行い,車検を通過した.9:00 よりローダーに
より動的エリアに移動し,10:00 より給油と暖気を行い,プラクティスの走行を行った.
ここでエンジン始動のトラブルは改善されていたが,オイル漏れの指摘があり,マシンの
確認を行った所,左前のダンパーより液漏れが確認された.オイル漏れを修正後 13:00 よ
りエンデュランス走行を行った.結果は 14 周目で走行が出来ずにリタイアとなった.原
因としては,LSD 内のシムプレートが摩耗したためである.
Endurance 走行中の浜風
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Day5 9 月 5 日(土)
-当日の動き-
8:00 会場到着
9:00 観戦・他校との交流
15:00 集合写真撮影
17:00 プレゼンテーション映像の見学
18:00 表彰式
すべての競技は終了していたため,来年度に少しでもつながるよう他チームの見学,ま
たエンデュランス競技の観戦等を行なった.
総合優勝の Graz University of Technology の車両見学
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Super Formula 車両見学
スポンサー様の展示を楽しむチームリーダー
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Ⅳ.大会報告のおわりに
学生フォーミュラに参加できる学生は,幸せです.確かにつらいこともたくさんありま
す.しかしこんなにも素晴らしい体験をできるのは,なによりスポンサー様,福田先生な
ど FA,OB の皆様が応援してくださるからです.出来る限りのことを一生懸命頑張ります
ので,どうか我々学生の応援をこれからもお願い致します.後輩に思いを託して,静岡大
学 SUM は更に成長して参ります.ご期待ください!
文責:磯川 紗希
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Ⅴ.成果報告
1. エンジン班
1-1 概要
今年度は 1 月末にエンジンがサージタンク破損の際に破片を吸い込み,バルブと燃焼室
の間に挟まったことでバルブがピストンに衝突し,インテークバルブが折れたことでエン
ジンを破損させた.また,シリンダーヘッドは所有していたものが GSR600 のものだけで
あったため,それを使用した.エンジンを修復するために多くの時間を費やしたこと,エン
ジン組み立て後に MoTeC を使用するためのエンジン部品の加工に関して引継ぎが不十分
であったため,組み付けに誤りがありその問題解決のために再び多くの時間を要した.その
ため貴重な走行機会を失うという結果となった.
また,大会 1 週間前に行ったシャーシダイナモでのエンジンセッティングの際に使用す
るオイルの粘度の選定ミスと水温・油温・油圧等の値の確認不足でエンジンを焼き付かせて
しまった.その際,岐阜大学から同型のエンジンを借用し,大会へ出場した.
Fig.1-1 折れたインテークバルブ
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Fig.1-2 破損したシリンダーヘッド
1-2 スロットル(担当:繁田 健吾)
今年度スロットルはアクセル開度の変化における流量の変化をリニアにすることを目標
とし,昨年度までのバレル式からバタフライ式とした.
設計時の確認不足が原因でスロットルバルブ取り付け軸の長さが足りず,レギュレーシ
ョンで定められたスロットル戻し用のバネを取り付けることが出来なかった.そのため大
会でのバタフライ式スロットルの搭載を断念し,昨年度のバレル式スロットルを大会では
使用した.
今後は前述の問題に対策をした部品を製作し,バタフライ式スロットルを完成させ,走行
会等で装着しデータ取り等を行う.
1-3 リストリクター(担当:林 卓矢)
今年度製作したリストリクターの径は今年度製作予定であったスロットルと合わせて設
計を行ったため,今年度スロットル出口径と今年度リストリクター入口径は等しい.スロッ
トル出口とリストリクター入口の径が異なる状態は不適切であり,大会では,今年度の設計
とは,出口径の異なる昨年度製作したスロットルを使用した.そのため,大会では,昨年度
スロットルと適応する昨年度製作したリストリクターを使用した.
今後は,今年度製作予定であったバタフライスロットルを完成させ,今年度リストリクタ
ーと共に搭載し,データ取り等を行う.
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1-4 サージタンク(担当:繁田 健吾)
昨年度までのネオマフォームを積層用の型の材料とする方法から木材を型とする方法へ
の変更を行った.従来の方法では離型時に型を破壊しなければならないことや型の部品同
士を接着する際のずれにより型の製作だけでも 10 日前後と多くの時間を要した.今年度の
方法では型の製作と積層を合わせても 3~4 日で完成したため,大幅な時間の短縮に繋がっ
た.また,今年度は計 3 個のサージタンクを製作し,それには全て同じ型を用いたが,型に
破損等は見られなかった.
2.0L,2.5L,3.0L の異なる容量のサージタンクを製作する予定であったが,バックファ
イアーへの対策に多くの時間を要したため 3.0L のサージタンクのみ製作した.
また,CFRP は繊維であるため,製作時の水を用いた漏れの検査の際に接合部ではない繊
維の隙間から染み出す様な漏れが発生した.その対策としてサージタンク全体にゲルコー
トを塗布した.その結果同様の試験において漏れは確認されず,アイドリング時のハンチン
グが発生しなかったため良好な結果を得ることが出来たと考えられる.
Fig.1-3 使用した型
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Fig.1-4 ゲルコートで処理を行ったサージタンク
1-5 インテークマニホールド(担当:林 卓矢)
今年度は雄型による製作を行ったが,型の離型処理が不十分であったため,雄型の脱型が
困難であった.また,型の製作と離型処理に多くの時間がかかり,破損した際の予備等も含
めた製作が難しいと考えた.その為,雄型による製作を断念し,雌型による製作を行った.
また,複数の管長の製作に取り組む予定であったが,最初に製作したもののインジェクシ
ョンマウント位置と角度が不適切であったこと,サージタンクとの接続部分でのエア漏れ
により,バックファイアー発生が発生し,エンジン始動が困難となっていた.そのため,複
数管長の製作を断念し,インジェクションマウント位置と角度を純正スロットルと等しい
ものとすることで先に挙げた問題点を改善したインテークマニホールドを,複数製作した.
1-6 エキゾーストマニホールド(担当:鈴木 寛史)
今年度のエキゾーストマニホールドは昨年度と同様に中回転域にトルクのピークが来る
ように,集合方式を 4-2-1 集合とした.
エンジンヘッドが GSX-R600 から GSR600 のものに換装されたことから,バルブ径が小
さいため,ピークパワー,トルクともに昨年度比で低下した.しかし,いずれもピークがよ
り低い回転域にシフトしている .特に,トルクではエンデュランス使用回転域
(7000~9000rpm)において最大トルクを発生している.
騒音対策として,シェル長が 470mm から 530mm のサイレンサーに換装した。騒音試験
では,エンドバッフルのみでは 109.5dB と車検の上限値である 110dB に近く,余裕が無か
ったため,サイレンサーの差し込み部にもバッフルを追加した.その結果,大会の車検の騒
音試験を 104dB で一発通過した .騒音試験が通過できなかった場合のために,GSX-
R600/750の純正サイレンサーを組み付けられるように加工したサイレンサーを用意してい
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たが,使用することはなかった.
Fig.1-5 今年度のパワーカーブ(左)とトルクカーブ(右)
1-7 ラジエターシュラウド(担当:中西 勇人)
今年度はラジエターファンの位置を見直し、ラジエター後方中心に変更したうえでラジエ
ターシュラウドを搭載した.結果としてエンデュランス競技において今年度は水温が 90℃
前後で安定していたため,十分な効果があったと考えられる.製作したラジエターシュラウ
ドを Fig.1-6 に今年度のエンデュランス競技中の Motec のログデータを Fig.1-7 にそれぞ
れ示す.
Fig.1-6 製作したラジエターシュラウド
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Fig.1-7 エンデュランス競技中のログデータ
1-8 アクセルペダル(担当:中西 勇人)
昨年度はドライバーからアクセルを踏み込んだ際の感覚が柔らかく,操作しにくいとい
う意見があったため,その部分の改善を行い,操作性を向上させることを目的として設計・
製作を行った.
組み付け時にアクセルワイヤーを通すスペースが不足していたため,アクセルペダルと
ペダルマウントの間に角パイプを取り付けることでスペースを確保したが,それによって
ペダルの位置調整の際工具が入りづらくなり作業性を著しく低下させることとなった.ま
た,ドライバーが踏む板の部分の板厚不足によって曲がるという事態になったが,材質をア
ルミからステンレスへ板厚を 2mm から 3mm に変更し対処した.
昨年度問題となっていた踏み込んだ際の感覚もアクセルペダルに使用するばねを
「く」の字型のねじりばね 1 本から引きばね 2 本へと変更したところ,十分な硬さとなっ
たとドライバーからのインプレッションを得た.
1-9 燃料タンク(担当:繁田 健吾)
今年度も昨年に引き続き株式会社エヌアールエス様に燃料タンクの製作を依頼した.昨
年度エンデュランス競技はガス欠によるリタイアであったため,今年度は昨年度よりも容
量を約 1.5L 増加させ 6.5L とした.そして,今年度のエンデュランス競技での燃料消費量
は L で 1 周あたり L であった.
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2.サスペンション班
2-1 概要
今年度はマシンコンセプトである「操作性の向上」へのアプローチとして、マシンの
低速度旋回性能の向上を目標とした.
2-2 サスペンションジオメトリ(担当:福田 一樹)
昨年度は低速旋回の向上を目標としてスラロームおよびS字においてロールステアをつ
け、小回りの良いコーナリングをするような設計にした.だが今年は前後車重バランスが製
作過程でのエンジン位置の前方向へのずれや,ペダル位置調整のためのフレームの前方部
の伸び,リアウイングの搭載の断念などから,接地荷重が設計値の 48:52 から 55:45 へと
偏ってしまった.そのため旋回前でのブレーキングでリアの荷重が抜けてしまいロールス
テア以前に安定したコーナリングができなかった.また,今年度は車体上方から見たときリ
アボックスのロア側のアームピボット点の位置が車軸に対して対称に近づけなかったため,
アームに力が伝わったとき一方のパイプにしか力が加わらず,アームが変形しやすくなっ
てしまった.
2-3 アップライト(担当:福田 一樹)
今年度も昨年度同様、アルミ A7075 の削り出しとした.今年度はリアのコンプライアン
ス変化を 0 へと近づけるため,ピボット点が二等辺三角形でトー剛性の高い A 型アップラ
イトにし,低重心化のためブレーキキャリパーをアップライト下方部に取り付けた.
また,今年度も腐食対策と美観向上のため株式会社ゴトー理研様にアルマイト加工をし
ていただいた.(Fig.2-1)
今年度はアルミ削り出しでの製作途中に,キャリパー取り付け部の削りすぎによる製作
ミスのせいでアップライトが完成するまで大きな遅延が生じた.
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Fig.2-1 アルマイト加工をしたアップライト(リア側)
2-4 アーム(担当:福田 一樹)
昨年度,走行会にて RR lower アームが曲がってしまった.これに対し,パイプからスフ
ェリカルハウジングにかける部分を溶接するためにパイプを潰す加工をしていたことから,
パイプの潰れている部分が均一でなくなり応力集中してしまったのではないかと考え,今
年は試作パーツとして楕円パイプのアームをリア側だけ製作した.(Fig.2-2)
楕円アームを搭載したマシンでの走行試験では,ブレーキングテスト時,ピッチングでリ
アのロワー側のパイプが曲がってしまった.原因として楕円パイプは曲げに弱いこと,サス
ペンションジオメトリからアームが応力集中しやすかったこと,アームの剛性不足などが
あげられる.また,別の走行会の際にフロントのロワー側の丸パイプのアームがスラローム
前のブレーキング時に座屈変形してしまった.(Fig.2-3)これは前後重量配分がフロントに
偏っていたこととアームの剛性不足から,荷重移動に耐えきれなかったためだと考えた.
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Fig.2-2 製作した楕円アーム
Fig.2-3 折れてしまったアーム
2-5 ベルクランク・ダンパー(担当:福田 一樹)
今年度は整備性の向上と設計の自由度を広げるためにプッシュロッド方式とした.それ
により設計の自由度が広がり,工具が使いやすい位置にロッドの長変機構がきて,サスセッ
ティングが非常にスムーズになった.来年度も整備性を考慮した設計にする.
今年度大会において,走行前にドライバーの要望に合わせるため,ダンパーの減衰の調整
をしようとしたところ,調整ノブの部分からオイルが漏れてしまった.そのため急遽,液体
ガスケットで対応した.
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2-6 3rdダンパー・スタビライザ(担当:福田 一樹)
今年度はピッチング抑制のために 3rd ダンパーを搭載し,それに合わせてスタビライザ
をT字型にしたが,予算の都合で希望するダンパーを手に入れることができなかったため,
3rdダンパー搭載を断念した.
今年度もロール剛性の目標値を達成するためスタビライザを搭載した.搭載したスタビ
ライザを Fig.2-2 に示す.今年度もスタビライザ本体に調整機構を付けた.ドライバーフィ
ーリングとしては,少しは性能を発揮していた.だが,実測での評価は行えていない.
Fig.2-3 搭載したスタビライザ
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3.フレーム班
3-1 概要
今年度マシンコンセプトである「操作性の向上」に対してフレーム班は,ねじれ剛性の
高いフレームを製作できるよう活動を行なった.
3-2 フレーム(担当:恒川 尚輝)
今年度フレームの目標値を,サスペンションのロール剛性との関係から,ねじれ剛性値
2800[Nm/deg]に定めた.結果として,ねじれ剛性値2375[Nm/deg],重量44.5[kg]となっ
た.ねじれ剛性は目標値に対して大変低い結果になったが,目標値を用いて算出した車両
全体のねじれ剛性は486[Nm/deg]であり,実際のフレーム剛性を用いて算出した車両全体
のねじれ剛性は471[Nm/deg]と,目標値に対して,97%の剛性を達成した.また,昨年度の
剛性値と比べると,27%剛性が向上した.重量については,昨年度と比べ10%増加してい
る.その原因として,ホイールベースが伸びたことによるパイプの増加が考えられる.
また,今年度は以下の 4 つを企画として提案した.
・角パイプによる製作精度の向上
・パイプの擦り合せ方法の変更
・パイプの変更
・ステーの軽量化
この 4 つの企画についての成果をそれぞれ以下に記す.
・角パイプによる製作精度の向上
今年度は,フロントバルクヘッドに角パイプを採用した.企画当初では,フロントバルク
ヘッドに加え,サイドインパクトにおいても角パイプを採用する予定ではあった.しかし,
しかし,丸パイプに対して,角パイプは剛性が低くなってしまうため,車両中心でもっとも
剛性が必要だと考えられるサイドインパクトでの採用は断念した.製作精度に関しては,丸
パイプに対して擦り合せが簡単となるため,溶接が短時間で行えた.また,フロントバルク
ヘッドを角パイプにすることで,インパクトアッテネータの取り付け部のネジ穴の製作が
簡単になる利点もあった.
・パイプの擦り合せ方法の変更
昨年度までは,実際にパイプを治具で組んでいきながら,目測で擦り合わせを行なっ
ていたため,擦り合わせに必要な時間がかかっていた.そこで今年度は,Fig.3-1 に示す
ような擦り合せシートを使用することで,擦り合せ精度の向上と擦り合せ時間の短縮を図
った.その結果,擦り合せる量が明確になったこと.また,治具に組みながらすり合わ
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せを行なう必要がないため,同時にあらゆる場所の擦り合わせを行なうことが可能にな
った.
しかし,擦り合せシートを製作するのに,時間がかかってしまったことに加え,Fig.3-
2,Fig.3-3 に示すようにシートを用いた擦り合わせでは,肉厚の部分のすり合わせがで
きず,隙間が出来てしまい,調整は実際に治具で組みながら行うことになったことなど
問題も発生した.しかし,擦り合せの作業自体はとても簡易的なものになったので,来
年度は上記の問題点を改善しつつ,シートを採用していく予定である.
・パイプの変更
今年度は,一部のパイプをレギュレーション規定内で薄肉大径化した.
このパイプの変更に対する問題点としては,従来使用していた治具が一部再利用不可能に
なってしまうこと,外径の違うパイプ同士の擦り合わせが大変であることが挙げられるが,
治具に関しては,薄肉大経する箇所をなるべく治具の製作に関係ないところに限定し,また,
擦り合せに関しては,上記のすり合わせシートの採用することで改善を行なった.その結果,
高剛性化の影響で重量は増加したが,比重量剛性は昨年度に比べ 15%向上した.また,ブ
ラケット溶接部のパイプを大径化することにより,接合部が増えて溶接による剛性が向上
するといった利点もあった.
・ステーの軽量化
今年度はステー製作について各パーツ担当者と話し合い,過強度のステーを少なくしよ
うと考えていたが,フレーム製作時に各パーツ担当者と話し合う機会を設ける時が難しく,
断念した.しかし,同じ大きさのボルトを使用する一部のステーの形状を同一化することに
よって,過強度のステーの増加を抑え,また,製作効率の向上を行なった.
Fig.3-1 擦り合せシート
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Fig.3-2 擦り合せ誤差の概略
Fig.3-3 CAD の擦り合せと実際の擦り合せの比較
3-3 インパクトアッテネータ(以下 IA)(担当:山崎 智也)
今年度の IA は,アンチイントリュージョンプレート(以下 AIP)にカーボンとアルミハ
ニカムのサンドイッチ構造を採用し軽量化する予定であった.しかし,大会出場に必要な書
類である IAD,SES の提出期限までに試験を行なうことができなかったため,カーボンと
アルミハニカムのサンドイッチ構造の AIP を採用した IA を搭載することができなかった.
また,昨年度と同様のものに加えて,異なる外径,積層数のカーボンパイプも製作し,
衝撃吸収性能と減速比を試験して比較し,最適化を図る予定であったが,こちらもカー
ボンパイプ自体の製作は行なったが,IAD の提出期限までに試験を行なうことができな
かったため,最適化を見送る形となった.
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3-4 フロアパン(担当:恒川 尚輝)
今年度は,フロアパンの材料をアルミ合金から CFRP に変更するために,フロアパン
のフレームへの接着方法の選定や,試験片でのねじり試験によるアルミ合金製と CFRP
製での比較を行なう予定であったが,選定や試験用治具の設計を行なうための時間がな
く,昨年度と同様のアルミ合金製のフロアパンを製作した.
3-5 シート(担当:山崎 智也)
製作時期が遅すぎたため搭載を見送った,昨年度製作したシートを搭載した.
3-6 ステアリングホイール(担当:山崎 智也)
従来のステアリングホイールは,雌型、心材を用いた製作のため作業量が多く,完成まで
に一週間程かかった.そのため,今年度は,CFRP の板に木製の持ち手を接着する方法に変
更することで,型の製作を無くし,二日程での製作が可能となった.
また昨年度は,インジケータを固定できる形状に設計されておらず、テープにより強引に固
定していたが,今年度は,ネジにより固定して搭載した.
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4.駆動班
4-1 概要
駆動班はマシンコンセプトの「操作性の向上」に対してソレノイド式ギアシフタの使用,
駆動損失の低減,LSD のイニシャルトルクの適正化と軽量化によるアクセルレスポンスの
向上を掲げ,設計・製作を行なった.
4-2 ギアシフタ (担当者:笹井 裕司)
マシンコンセプトの「操作性の向上」に対して影響の大きいパーツであるため,昨年度と
同様ソレノイド式を用いた.ギアシフタの変更点は可動鉄心の大径化とコイル径の拡大で
ある.また SS614 車両を用いて動作確認を行ない,SS615 車両では入力軸と出力軸の水平
や摺動性の向上を意識したシフトリンケージの設計を行った.
しかしフレーム製作時のエンジンの干渉によりエンジンが上方へ移動した,そのためシ
フトリンケージの設計を変更した.によるシフトリンケージの設計の変更をした.しかしエ
ンジン側のロッドエンドとシフトリンケージに角度がついてしまったためシフトリンケー
ジの摺動性が低下した.また大会直前の走行会でのギアシフタのコイルのショートによる
動作不良により大会では使用することが出来なかった.また整備製が悪いため修正を行な
うことが困難であった.ギアシフタ自体の使用前後での性能の低下が著しく,整備性が悪い
ため修正を行なうことが困難であった.また鉄心の径,コイルの径,巻数などの変更に対す
る性能評価をすることが出来なかった.またエンジン本体のギアの UP 時と DOWN 時の必
要な入力の違いや 1 速と 2 速,2 速と 3 速でのストローク量の違いを設計時に考慮出来なか
った.ギアシフタの応答性の悪さによる点火カットのタイミングとギアシフトの出力のタ
イミングとのズレに対しても対策を取ることが出来なかった.
来年度は信頼性と確実性を考慮して機械式に変更する.
4-3 プロペラシャフト(担当者:黒澤 北斗)
今年度は軽量化と完成モーメントの低減の両立のためにシャフト部を炭素鋼から CFRP
の変更に取り組んだ.シャフト部や炭素鋼のヨーク部と CFRP のシャフト部の接合部の強
度の確認のためねじり試験を行なった.実験結果に対して接着剤選定と接合面の形状,
CFRP シャフトの積層枚数と使用する CFRP のシートの変更を行なった.プリプレグを 3
層とその間に UD を 6 層積層することによりエンジンの出力トルクの 400N/m に耐え得る
強度を確保できた.しかし大会での連続走行を仮定した耐久性に対する試験が行えなかっ
た.そのため大会での使用が出来なかった.そのため大会では昨年度と同様,炭素鋼のプロ
ペラシャフトを使用した.
また使用した炭素鋼のプロペラシャフトは薄肉化での軽量化を行なったがねじれが見ら
れたため昨年度と同様のパイプの径と肉厚を使用した.また走行会でカルダンジョイント
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の破損と衝撃緩和のために用いているゴムカップリングの破損があった.これはゴムカッ
プリング部分でのがたつきによる偏心が原因であり,再製作により改善した.
次年度もプロペラシャフトの使用する.プロペラシャフトの破損はフレーム等の他パー
ツの破損やドライバーも危険にさらすため,今年度のような事がないように製作方法と整
備方法の受け継ぎを確実に行ない,走行中の破損がないように製作していく.
Fig4-1 ゴムカップリングの破損
Fig4-2 ゴムカップリング部の破損
4-4 ディファレンシャル(担当者:笹井 裕司)
今年度は昨年度の問題であったギアユニットの刃当たりに対して,バックラッシの調
整により改善することが出来た.コーナー立ち上がりの向上のための LSD イニシャル
トルクの適正化に対しては走行評価が出来ず,SS615 車両に対して適切なものとする
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ことが出来なかった.そのため大会でのエンデュランス走行時,コーナー立ち上がりが
安定しなかった.これはイニシャルトルクが低く,内輪が空転していたと考えられる.
またそれにより差動頻度が多かったため,LSD 内のシムプレートが摩耗した.結果エ
ンデュランス走行の 14 週目で LSD は完全にイニシャルトルクがかかっていない状態
となってしまい,車両のスピンの原因となった.
4-5 ディファレンシャルマウント(担当者:中村 匠)
今年度のディファレンシャルマウントはディファレンシャルケースを 4 点で固定してい
るが,どこも無理なく工具を使うことができた.また,昨年度の部品点数は 14 点であった
が.今年度は 12 点になった.その上,今年度は全ての部品が溶接されているため,ケース
とマウントをボルトで固定するだけで作業が完了する.昨年度は 2 点の部品が溶接されて
いなかったため、それらを取り付ける必要があった.以上より,今年度のディファレンシャ
ルマウントは昨年度に比べて、整備性が向上した.
しかし,全ての部品を溶接する設計としたため,全ての部品を炭素鋼で製作した.そのた
め,一部の部品をアルミで製作することはできなかった.また,昨年度は剛性不足であると
考えたため重量増よりも高剛性化を選択した.そのため,重量は昨年度 781.79g から今年度
1573.74g となり,大幅に増加してしまった.
4-6 シャフトシールド(担当者:中村 匠)
今年度のシールドは昨年度と同様 CFRP を使用した.しかし,ステーの製作に失敗
したため,設計通りのシールドを組みつけられなかった.そのため,一部をアルミ板
で製作した.
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5.電装班
5-1 概要
今年度の電装班としては,チームの目標である全種目完走に対して信頼性の保持を目標
とし活動した.その上で,信頼性を損なわない程度に軽量化,整備性の向上を行った.
5-2 ワイヤーハーネス(担当:能城 冬馬)
配線長の短縮化とそれによるパーツの軽量化を図り,フレームのCAD上で理想的なECU
類の配置を考え,そのレイアウトを達成するためのワイヤーハーネスの取り回しを考え設
計を行った.具体的には,サイドエンジンレイアウトの特性を活かし,ECU 類が可能な限
りエンジン側に配置されるようにすることで,各種センサや ECU 等のパーツ間の距離を短
くするようにした.これにより,必要な配線長が短くなり,昨年度のワイヤーハーネスに比
べ,747g の軽量化を達成した(昨年度:2447g→今年度:1710g).
また,ECU 類がエンジン側に寄っていることで,ワイヤーハーネス組み付けの際,大半
のパーツの接続をマシン片側から行なうことができ,組み付け時間の短縮にもつながった.
更に,配線の保護としてエンジン付近を通る配線には耐熱性の高いコルゲートチューブ
を巻き,フロントフープ部の取り回し上曲線が多くなる部分はエンジンから遠いため,取り
回しが容易なスパイラルチューブでまとめた.保護したワイヤーハーネスの全体図を Fig.5-
1 に示す.
Fig.5-1 ワイヤーハーネス全体図
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5-3 リレーユニット(担当:高久 貴文)
リレーユニットについては昨年度製作したものに修正を行った.昨年度の設計では,搭載
されているすべてのリレーを許容電流の小さいものに変更することで小型化するといった
設計のもとに製作されていた.
今年度については大電流が流れることが想定されるシフター駆動用のリレーと空燃比を
計測するための O2センサの発熱機能の駆動用リレーについては当初の許容電流量のリレー
を用いることで信頼性の確保を行った.
しかし,担当者がエンジン制御とデザイン担当であったため,十分な時間が確保できず,
完成まで至らなかった.7 月の時点でも今年度マシンへの搭載の見通しが立たなかったため
信頼性の観点から昨年度大会で搭載していたリレーユニットを引き続き搭載することとな
った.
5-4 制御ユニット(担当:高久 貴文)
昨年度の制御ユニットは回路完成後にプログラムのデバッグができず,搭載を見送った
ため,修正を中心に行っていった.修正については,次の 2 つの問題が発生しているのでは
ないかと考え作業を進めていった.
1 つ目は,コンピュータとの接続部の回路に不備が発生しているのではないかという問題
である.具体的には,短絡や配線ミスなどを疑い,他の班員にも確認してもらったが回路に
不備は見られなかった.
2 つ目はソフトウェア上に問題が発生しているのではないかという点である.昨年度の報
告書で述べた通り,現在使用しているプログラムは以前使用されていた制御ユニットに組
み込まれていたものを改良したものである.プログラム上ではコンパイルに成功しており,
動作するはずであるが,動作環境などの影響により今年度使用している H8 マイコンに適切
に運用することはできなかった.
そのため,今年度も昨年度大会で搭載していた制御ユニットを引き続き搭載することと
なった.
5-5 インジケータ(担当:磯川 紗希)
昨年度は製作の遅れからギアポジションの表示部のみの製作となってしまっていた.そ
のため,今年度は昨年度作製した回路に回転数表示する回路を追加することとした.また,
表示部の回路と制御部の回路を分離し,表示部の回路のみをステアリングホイールに搭載
した.そのため,ステアリングホイールに搭載されていた部分のインジケータは 230g の軽
量化を達成した.今年度作成したインジケータを Fig.5-2 に示す.
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30
Fig.5-2 今年度製作したインジケータ
5-6 バッテリー(担当:能城 冬馬)
8 月中の走行会においてエンデュランスを模した走行を行った.このとき,本番を想定し
てドライバー交代も含めて行ったが,一度エンジンを切った後に,再始動することが困難で
あることがわかった.今までは,予備バッテリーをつなぐことで再始動を行っていたが,大
会本番の動的エリアでの予備バッテリーの使用が認められていないため,対策を講じる必
要があった.
大会までは,バッテリーに十分な充電がなされていれば始動することが確認されていた
ため,十分に充電を行うことで対策していた.しかし,暖機や出走前の練習走行のたびにピ
ットに戻ることになってしまい,その結果アクセラレーションの競技に出走することがで
きなかった.さらに,このままの状態でのエンデュランスの完走が達成できないと考えた.
そこで,急遽大会中にバッテリーをより容量の大きいものへの変更した.具体的には,以前
のバッテリーは小型バイク用の容量 6.3Ah であったため,GSXR600 に搭載されている容
量 8.4Ah のものへと変更を行った.
これにより,4 日目のエンデュランスにおいて問題なく再始動することが可能となり,暖
機,練習走行についても十分な時間を確保できた.
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31
6.カウル班
6-1 概要
車両においてカウルやファイアウォールは外観を担うものであることから,運動性能へ
の寄与とともに「見た目」に対する影響を考え,設計・製作した.また,脱着が多いことか
ら,可能な範囲で整備性についても検討を行なった.
6-2 カウル(担当者:谷口 翔一郎)
今年度カウルを設計するにあたり,空気抵抗の低減と製作精度の向上を目標に掲げた.
設計途中に冷却担当からの要請を受け,空気抵抗の低減という目標をラジエータへの導
風へと変更した.ラジエータの搭載位置から,導風に関わるのはノーズ部のみと考え,
SolidWorks を用いた解析による形状の検討を行なった.しかし,ノーズ形状だけではラジ
エータへの流量増は望めなかった.そのため,ラジエータにシュラウドを搭載することとし
た.最終的なカウルの形状は,空気抵抗が少なく,かつ「速い」というイメージを抱かせる
ものを選択した.
カウルの製作は,以下のように行なった.雄型の製作として,スタイロフォームを切断,
接着し,それをヤスリで研削したものを Fig.6-1 に示す.雌型の脱型時に必要なフランジ部
をアルミ板で製作した後,表面のコーティングとして樹脂を塗布し,硬化後にヤスリで番手
を上げながら研削した.雌型は,雄型に離型ワックスと PVA を塗布し,ゲルコートとガラ
ス繊維を塗布・積層した.脱型した雌型の表面処理として,パテの塗布とヤスリがけを行な
った.
CFRP の積層では,昨年度,塗布した樹脂が少ないことからカウル自体が弱くなり,また
炭素繊維が型から剥離して美観を大きく損なう事となった.したがって,今年度は真空引き
をあえて行なわず,樹脂を多めに塗布して CFRP の 2 層構造で製作した.カウル本体を脱
型し,表面を滑らかにするために再びパテとヤスリを用いた後,浜松第一塗装有限会社様に
ご協力をいただき,塗装を行なった.完成後のカウルを Fig.6-2 に示す.昨年度よりも製作
精度は向上したが,雄型に起因する歪みを取りきれなかったために,未だ課題の残る仕上が
りとなった.また,重量については,樹脂を多めに塗布したものの,形状が異なることから,
昨年度とほぼ同様の 3540g となった.
カウルの締結においては,株式会社ニフコ様よりご支援いただいたプッシュプルリベッ
トを用いた.ボルト・ナット締結に比べ,ペダル回りなどの整備の際にノーズの脱着が短時
間で行えるようになり,車両の整備性向上に貢献した.Fig.6-3 に製品と脱着時の簡略図を
示す.
エンジンカウルの製作においては,CFRP で製作する予定であったが,排気周辺の熱影響
が不明であることから,アルミ板を折り曲げて製作する方法へと変更した.車両に搭載した
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32
ものを Fig.6-4 に示す.
Fig.6-1 切削したスタイロフォーム
Fig.6-2 完成したカウル
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Fig.6-3 プッシュプルリベット(株式会社ニフコ様 HP より引用)
Fig.6-4 エンジンカウル
6-3 ファイアウォール(担当者:谷口 翔一郎)
今年度のファイアウォールは、車両の設計段階から各パーツ担当者と連絡を取り、製作時
の問題点を洗い出してから製作に入った。それにより、ワイヤーハーネスやブレーキホース
といったワイヤ・ホース類を通すための穴を開けたりすることがなく、安全性と美観を両立
したファイアウォールを製作することができた。全体像を Fig.6-5 に示す。加工性・耐火性
に優れた材料として、株式会社深井製作所様よりご支援を頂いた embrella®を使用した。
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Fig.6-5 ファイアウォール全体像
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35
Ⅵ.静的審査報告書
1. コスト (責任者:笹井 裕司)
1.概要
静的審査の一つであるコストではマシンコストの安さを競う Cost Point と算出したコス
トの正確性を競う Accuracy Point と大会当日に行われるリアルケースシナリオの Point の
合計値で競います.Cost Point では設計の変更や使用する材料の変更,製作方法の変更に
より,マシンコストを安くすること,Accuracy Point ではミスの少ないレポート作成,裏
付け資料の充実による正確性の向上を目標にコストレポートの作成を行なった.またリア
ルケースシナリオでは第 12回大会での審査員からのフィードバックをもとにアプローチ方
法の変更を行なった.
2.昨年度との変更点
2-1 コストテーブルについて
第 13 回大会のマシンコストは各分野にどのくらいコストがかかっているか,また材料
や製作方法にはどのくらいコストがかかっているかを Table1-1 に示した.またコストレポ
ートのページ数や各分野の割合などを Table1-2 に示す.同様に第 12 回大会での結果を
Table1-3 と Table1-4 に示した.以上より第 13 回大会では$1577.56 の削減に成功した.
これは CFRP パーツを減らしたことや昨年度の形状ミスの削減によるものである.
・第 13 回大会コストレポート
Table1-1 13th Machine Cost
for:
Area Totals Materials Processes Fasteners Tooling Total
Brake System 1,079.57$ 128.68$ 3.18$ -$ 1,211.43$
Engine & Drivetrain 1,673.01$ 659.74$ 75.89$ 10.58$ 3,923.79$
Frame & Body 401.46$ $2,312.15 54.52$ 76.16$ 2,844.29$
Instruments & Wiring 2,595.90$ 185.00$ 0.05$ -$ 2,780.94$
Miscellaneous, Fit & Finish 305.85$ 279.66$ 0.71$ 0.95$ 587.17$
Steering System 167.69$ 274.96$ 0.96$ 3.09$ 446.71$
Suspension & Shocks 1,672.67$ 850.93$ 3.12$ 8.00$ 2,534.72$
Wheels & Tires 1,284.90$ 283.44$ 1.82$ -$ 1,570.16$
Total Vehicle 9,181.05$ 4,975$ 140.25$ 98.79$ 15,899.21$
Shizuoka University
Car # 040
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36
Table1-2 13th Cost Report Spec
・第 12 回大会コストレポート
Table1-3 12th Machine Cost
Table1-4 12th Cost Report Spec
13th Cost ReportTotal Vehicle $15,899.21Total Number of Pages 1040 page
Composition for total vehicle
for:
Area Totals Materials Processes Fasteners Tooling Total
13 Brake System 1,127.99$ 65.17$ 3.18$ -$ 1,196.35$
120 Engine and Drivetrain 2,125.74$ 1,659.65$ 78.34$ 25.03$ 3,888.77$
100 Frame & Body 1,359.71$ 2,923.12$ 73.86$ 53.53$ 4,410.22$
14 Electrical 2,823.96$ 487.61$ 0.05$ -$ 3,221.88$
16 Miscellaneous, Finish and Assembly 227.90$ 199.03$ 0.71$ 1.70$ 429.34$
33 Steering System 162.15$ 257.70$ 0.90$ 2.56$ 423.31$
61 Suspension & Shocks 1,845.21$ 1,002.77$ 3.07$ 3.92$ 2,754.09$
13 Wheels, Wheel Bearings and Tires 925.95$ 219.57$ 7.30$ -$ 1,152.81$
Total Vehicle 10,598.60$ 6,814.63$ 167.42$ 86.74$ 17,476.77$
Shizuoka University
Car # 56
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37
また各分野での第 12 回大会と第 13 大会の比較を Table1-5 で行い,具体的にどのよう
な変化があったのか以下に示す.
Table1-5 Difference between 12th Total Cost and 13thTotal Cost
Brake System について
→昨年度は Brake Discs の計上不足があったため今年度は計上し$+67.73
→今年度は Proportioning Valve の搭載をやめたため$-52.65
Engine and Drivetrain について
→EWP の搭載をやめたことため$-20
→スロットルの設計変更による$-8.06
→Exhaust Manifold と Silencer の設計変更による$+80.9
12th Cost ReportTotal Vehicle $17,476.77Total Number of Pages 1285 page
Composition for total vehicle
13th 12th 差Brake System 1,211.43$ 1,196.35$ 15.08$ Engine and Drivetrain 3,923.79$ 3,888.77$ 35.02$ Frame&Bod 2,844.29$ 4,410.22$ -1,565.93 $ Electical 2,780.94$ 3,221.88$ -440.94 $ Miscellaneous,Finish and Assembly 587.17$ 429.34$ 157.83$ Steering System 446.71$ 423.31$ 23.40$ Suspension System 2,534.72$ 2,754.09$ -219.37 $ Wheels,Wheel Bearings and Tires 1,570.16$ 1,152.81$ 417.35$
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38
Frame & Body について
→Under Panel の搭載をやめたため$-1244.65
→Floor Pan は CFRP 素材からアルミに変更したため$-169.58
→Body Work の面積の縮小,製作方法の変更により$-59.87
→その他パーツの設計変更とアセンブリ$-91.83
Electrical について
→製作方法の見直しにより$-440.94
Miscellaneous,Finish and Assembly について
→Seat の面積の拡大により$+70.75
→Fire wall の設計の変更により$+87.08
Steering System について
→Steering Wheel の形状変更により$+23.40
Suspension System について
→Upright の形状変更と Hub Bearing の System の変更により$+25.31
→Anti Roll Bar の搭載をやめたため$-227.02
→ロッド類の長さの変更により$-17.66
Wheels,Wheels Bearing and Tire について
→Hub Bearing の System の変更と使用しているホイールの Unit Cost の変更により
$+417.35
以上より Under Panel の搭載の見直しや Under Panel の材料変更がマシンコストの削減
に貢献していることがわかる.
Material や Process のコストが高いため,来年度は CFRP を使用するパーツがある時,
CFRP を使用することによりメリットがあるのか,他の材料で同等の性能を出すことが出
来ないのか.このことを Cost 担当より積極的に意見していく事が必要である.また計上ミ
スでは Cost Point と Accuracy Point に影響があるため時間をかけて,正確な資料作りをす
るための環境やスケジュール管理を行うことが必要である.
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2-2.裏付け資料
コストレポートの審査では1000ページを超える資料を審査員が確認する.そのため
作成する裏付け資料の見やすさが大きく影響すると考えた.具体的には作図方法がJIS
の規格に沿って正確に記載されているか,パーツ同士のアセンブリがどのように行わ
れているかを正確に記載することが重要である.また図面だけでは表せない部分を追
加資料として記載することにより見やすさの向上を図った.
部品の組立図ではパーツを示すバルーンが多く,組立の関係がわかりにくくなって
いたため,組立図面での見やすさのためにセミアセンブリ図面の使用した.(Fig.1-
1)(Fig.1-2) (Fig.1-3)
また「SolidWorks 学生版(教育にのみ使用可)」が Scale 欄と重なっていたため,図
面のシートフォーマットの変更を行なった.(Fig.1-4)(Fig.1-5)
Fig.1-1 昨年度Exhaust Manifoldのアセンブリ図面
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Fig.1-2 今年度Exhaust Manifoldのアセンブリ図面
Fig.1-3 今年度Exhaust Manifoldのセミアセンブリ図面
Fig.1-4 修正前のシートフォーマット
Fig.1-5 修正後のシートフォーマット
図面だけではコストテーブルの Process 欄を証明できないパーツのみ製作手順をまとめ
た.また昨年度の大会での指摘項目の Brake Line と Fuel Line と Wire Harness の配線図
の資料を作成した.
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3.リアルケース
Fig1-1 第 12 回大会で使用したリアルケースパネル
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42
Fig1-2 第 13 回大会で使用したリアルケースパネル
リアルケースシナリオの課題の定義では「提出されたコストレポートの製造工程を製造
部署が確認した結果、その車両の パーツ名 の製造工程では、年間 1000 台の車両の部品
を生産するには適さないと判断された。イベントにおけるあなたの課題は、その車両のパ
ーツ名の製造工程が、コストレポート記載の状態で年間 1000 台の生産が可能であるこ
と、又は見直した製造工程について報告すること。製造工程は、コスト計算に反映されな
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43
い工程も含め、全ての工程について報告すること。」である.
第 12 回大会ではコストレポート記載の状態で年間 1000 台の生産が可能であることを
報告する方法で行った.各パーツでの製作時間の設定後,人員 1 人で年間 1000 台生産で
きるかどうかを判断する.その結果年間 1000 台製作出来ないため作業人員の増加と作業
工程の変更や作業環境の改善で時間の削減を行う方法を使用した.しかし初期設定で使用
した時間の整合性や改善策での必要コストの変化,車両全体を考慮したバックヤードにつ
いてなどが明確ではないと指摘された.
第 13 回大会では初期設定で使用する時間の整合性を証明することが難しいと考えた.
そのため見直した製造工程について報告する方法で行った.ここでは一つ目に設計の変更
による時間の削減,二つ目に使用する工程の順番を変更することによる時間の削減,三つ
目に使用する工作機械の変更による時間の削減を行った.
大会で使用したステアリングシステムのリアルケース以下の改善策を使用した.
改善策 1 では別々で製作していたパーツの大径加工を一つにまとめることによって時間
が削減できることを証明した.ここではアルミを使用しているため大径加工の加工量が増
えても精度が悪くなったりすることが無い事や同じ中心軸を使用していることによりアセ
ンブリ時に大径穴のズレがなく,欠品が出ないことをコメントした.フィードバックでは
提案と代替案は評価できるが製作工程変化と削減時間,コストの変化の説明不足であると
指摘された.
改善案 2 では旋盤とホブ盤で製作したスプライン加工で複合加工機を使用して製作する
ことによって時間が削減できることを証明した.ここでは同一の中心軸を使用することに
より製品の精度を向上させることが出来ることをコメントした.フィードバックでは製品
の精度について考慮できている代替案は評価できるが削減時間に説明不足であると指摘さ
れた.
改善策 3 では 2 台分のパーツを放電加工で加工後,切断する工程を使用することによっ
て時間が削減できる事を証明した.ここでは使用している放電加工機の切断時間を使用し
た削減時間についてコメントした.フィードバックでは放電加工機では切断厚さが変わる
と切断速度も変わるため,代替案としては不適であると指摘された.
以上より全体的に削減時間の説明不足と提案の信憑性と実現性に対する裏付け資料が不
足していた.
そのため来年度はリアルケース用の裏付け資料の作成と代替案作成を行うためのスケジ
ュール管理を行なう.
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4.スケジュール
・準備期間(1)
・スケジュールの作成
・パーツリストの作成
・テーブル・図面の作成方法の指導
・レギュレーションの確認
・準備期間(2)
・各パーツのテーブル・図面の一次作成
・Q&A の確認
・テンプレート資料の作成
・コストレポート製作
・5 月に図面とテーブル,6 月に裏付け資料と修正
今年度は以上のような形でスケジュールを組んだ.
準備期間(1)に関しては昨年度の反省や静的交流会での意見を参考にスケジュールを作成
し、レギュレーションの確認とパーツの不足を防ぐためのパーツリストの作成を行なっ
た.また下級生に対して,テーブルと図面の書き方についての指導を行った.しかし指導
時間が少なく,プレゼンテーションのみで行ったため,身についていなかった.そのため
もっと時間をかけて実際に図面を書いてもらうべきだった.
準備期間(2)に関してはマシンの設計が終わった時点で図面とテーブルの一次提出を行な
った.その後マシン製作終了後に 1 次提出の修正を行う予定だったが,新パーツの設計の
修正が多く,マシン製作も遅れていたため,期間内で修正を行うことが出来なかった.ま
9月 10月 11月 12月 1月 2月
3月
9月 8月 7月 6月 5月 4月
準備期間(1)
準備期間(2)
コストレポート製作 リアルケース・追加コスト
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45
たテーブルや裏付け資料で参考とするテンプレートを作成したが,Process の使い方や書
式の設定などでミスがあったため,役に立たなかった.
コストレポート製作に関しては準備期間(2)での修正を元に 2 次提出を 5 月に行い, 6
月には裏付け資料の作成とすべての資料の確認・修正を行なう予定であった.実際には 5
月に設計の変更となったパーツのテーブルと図面の製作を行なった.6 月に 5 月に作成し
た資料の修正を行い,裏付け資料の作成を行なった.そのため確認・修正期間が非常に短
くなってしまった.
追加コストの準備に関しては,パーツの変更が大会直前まで続いたため,追加コストの作
成は 8 月入ってからとなった.そのため Front A-Arms と Rear A-Arms の寸法ミスや変更
点をわかりやすくまとめた資料を作成することが出来なかった.また使用した提出用のシ
ートでの数式ミスにより,減額となるパーツも増額として計上されていた.
Fig1-4 SFJ 2015 COST EVENT ADDENDUM
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2.デザイン班 (責任者:高久 貴文)
1.方針 昨年度のデザイン審査の講評では,「それぞれのパーツでの取り組みは評価できるが,全
体としての取り組みに統一性がない」との指摘を受けていた.そのため,今年度のデザイン
レポートでは,取り組みの統一性,すなわち各パーツがマシンコンセプトに従う形で設計さ
れていることに重点をおいて審査に望んだ.
2.スケジュール
・準備期間
この期間では主に,過去のデザインレポートの分析,静的交流会への参加により,昨年度
の問題点の洗い出しとともに,上位校がどのようにしてデザイン審査に取り組んでいるの
かを調査する期間とした.
ここで,最も重要だと感じた点は,デザイン審査のためだけではなく V プロセスや PDCA
サイクルといった製品を作り上げるときに根本となる考え方を忠実に実行するということ
である.もし,それらが適切に実行されていれば審査資料も作りやすい上に評価も高い.
・草案提出期間
企画書を参考として,各パーツコンセプトに向けた取り組みや昨年度の改善点を担当者
に執筆してもらった.この際,完成後にコンセプトに向けた取り組みの効果をどのように評
価するのかについても考えてもらった.
・デザインレポート作成期間
各班長を集めた会議を行い,提出された草案を文章化し,デザインレポートの作成を本格
化させていった.コンセプトのつながりや文章の整合性などに注意して,班長全員で校正を
加えていった.
9月 10月 11月 12月 1月 2月
3月
9月 8月 7月 6月 5月 4月
準備期間 草案提出期間
デザインレポート作成期間 デザインパネル作成期間
走行データの取得
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・デザインパネル作成期間
パネルの本格的な作成は 8 月下旬から始まったが,それまでの期間においてはパネルに
必要な走行データの取得を行った.パネルの作成に際しては,方針であったマシンの統一性
の観点からデザイン担当者がそれぞれの発表者と議論し,単独で作成するという形をとっ
た.大会の 2 日前にはパネルのデータが完成し,発表者を集めた話し合いを行い,最終的な
修正を行った.
3.デザインレポートへの取り組み
例年通り担当者から草案を提出してもらい,それらを班長全員で校正していくといった
形をとった.今年度は,取り組みとしては評価できるがコンセプトとはずれてしまうパーツ
についてはレポートへの掲載を見送った.これは,昨年度のデザインレポートに掲載されて
いるパーツの数は多いのだが,全体としての整合性がとれていなかったため,文量の減少の
懸念もあったが,あくまで全体としての整合性に重きを置いたためである.
しかし,審査後の講評では,文量が減ってしまうと,評価する項目が減るためデメリット
が非常に大きいとの指摘を受けた.さらに,コンセプトとの整合性をレポートの作成期間に
確かめている時点で好ましくないと指摘された.コンセプトの企画段階からデザインレポ
ートのことを意識していれば,作成段階で整合性を確かめるといった無駄な時間を費やす
必要がないとのことであった.
4.デザイン当日審査への取り組み
当日の審査に向けて昨年度から変更した点は,パネル作成に向けて必要なデータを取り
まとめ走行会でどのように取得するかを取り決める作業をデザインレポート作成期間に並
行して行なっていくことである.
しかし,結果としてそれらを全て取得することはできなかった.これは,取得方法を決定
するまではよかったのだが,それらを取得するために壮行会を何回行なえばよいのか,それ
までに必要となる機器の用意などのマネジメントが欠けていたからではないかと考えられ
る.
来年度は,マシンに修正の必要が生じる可能性があることを考慮し,データ取得期限を決
めて,余裕のあるスケジュールの計画や予め必要となるデータの優先順位の決定を行なう
べきであると考えられる.
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3.プレゼンテーション班(責任者:磯川 紗希)
1.方針
静岡大学の特徴を含め,上位を狙える正確な裏付けのあるプレゼンテーションの方針の
上で,ビジネスロジックプランを提出し,プレゼンテーションの内容がより伝わりやすいよ
う,会場が明るいことを考慮した審査員にとって見やすい表や配置,色などを勉強し,不備
のない,質の高いスライド作成を行なう.
2.スケジュール
3.レポート
今年度は,ビジネスロジックプランの提出を行ない,実際にプレゼンテーションを製作
する上で BLP の内容に沿うよう心がけた.上位校の方針やスライドを分析し,何が静岡
大学に足りないのか研究した結果,正確性と倫理的であること,また無駄が多いことであ
る.他にない特徴的なプランであった新入社員向けに浜風を製作するという案は,煮詰め
ることができず,足を引っ張る形となった.
9月 10月 11月 12月 1月 2月
3月
9月 8月 7月 6月 5月 4月
準備期間
BLP作成期間
スライド作成&練習期間
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Fig3-1 ビジネスロジックプラン
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50
4.パワーポイント
Fig3-2 実際に使用したスライド①
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51
Fig3-3 実際に使用したスライド②
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Fig3-4 実際に使用したスライド③
5.当日審査
質疑応答については,裏付け資料を全く用意できておらず,またきちんと論理的に答え
ることが出来ず,これは去年の反省と同じである.利益計画の点に関して全く考えきれて
おらず,プレゼンテーションはビジネスの依頼行為であり,目的を明確に伝え,スライド
作成やプレゼンテーションの仕方についても基本に帰って勉強するよう指摘された.
また,今年度は取り組み始める時期は早かったが,練習や修正する時期が遅かった.来
年度はより早期から取り組み,内容を掘り下げ,裏付け資料を作成し,練習を重ねること
で質疑応答にも対応し,審査員を納得させることで上位を目指す.