転移性骨腫瘍のシーケンス -...
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転移性骨腫瘍のシーケンス
箕面市立病院
久島 貴之
•転移性骨腫瘍プロトコールの
作成方法と運用について
今回の内容
• Ingenia 1.5T Release 5.3
使用装置
プロトコール作成時に注目する点
1.検査依頼目的
2.患者さんの状態
1.検査依頼目的
① CT/XP で転移性骨腫瘍を
疑った場合の精査や、
他病変の除外・鑑別診断
② 身体症状に対する原因検索
(がんの既往歴あり)
転移性骨腫瘍の分類
①溶骨型 → 胃・肝・甲状腺がん
②造骨型 → 前立腺・乳がん
③骨梁間型
④混合型
〇原発巣から転移した腫瘍細胞は、骨組織に直接作用し、溶骨と造骨を繰り返す。
各強調画像における信号パターン
T1WI T2WI 脂肪抑制T2WI DWI
溶骨型 低信号 高信号 高信号 異常信号
造骨型 低信号 低信号 高信号 不明瞭
骨梁間型 等~低信号 等信号 まだらな高信号 等信号
混合型 低信号 部分的高信号 部分的高信号 部分的異常信号
直腸がん骨転移症例
• 直腸がん術後、CEA異常高値
• 現症状は無し
• CTでは再発を認めないがリンパ節腫大
• PET-CTにて、脊椎に集積を認める
• MRIにて精査
CT
PET-CT
PET-CTで異常集積のあったスライス
MRI
T2強調画像T1強調画像
造骨優位溶骨優位
転移性骨腫瘍診断のポイント
• 椎体後方に好発し、その後椎弓根などの
後方成分へ浸潤 椎弓根徴候(Pedicle Sign)
T2強調画像T1強調画像 STIR
椎体炎との鑑別
隣接する二椎体に限局することが多い。(Tbは除く)
椎間腔の狭小化とintranuclear cleftの消失。
T2強調画像T1強調画像 STIR
圧迫骨折との鑑別
Fluid Sign→圧迫骨折部の内部で壊死が生じ,そこに液体が貯留。
T2強調画像T1強調画像 STIR
1.検査依頼目的
① CT/XP で転移性骨腫瘍を疑った
場合の精査や他病変の除外診断
② 身体症状に対する原因検索
(がんの既往歴有り)
身体症状に対する原因検索
• Ingeniaの特徴
(広範囲撮影)を
活かして、
Whole Spineの
撮影を行います。
撮影条件
SAG 腰椎のみ 全脊椎
強調画像 T2WI T2WI
FOV 280(140×200%) 400(200×200%)
マトリックスサイズ
0.55×0.55 0.78×0.78
スライス厚 3.0 4.0
P-reduction 1.7 2.0
撮影時間 3:18 1:31×2=3:02
画像の比較
腰椎のみ 全脊椎
DWIBSはどうか?
Location Axi Cor
撮像時間 2min×3 1min×3
FOV 380mm 300mm
マトリックスサイズ
1.88mm iso 3mm iso
スライス厚 7mm/gap1 7mm/gap0
P-reduction 2.0 5.0
歪み 少 大
DWIBS Axi vs Cor
Direct CorAxi Reformat Cor
当院ではAxi推しです
DWI CT
プロトコール作成時に注目する点
1.検査依頼目的
2.患者さんの状態
撮影時間と分解能のバランス
●疼痛の有無&強弱を確認
●仰臥位の可否
●意思疎通の可否
2.患者の状態
腰椎単純MRIの撮影時間
0:00 4:48 9:36 14:24 19:12 0:00
1
1
Sag T1WI 3:30
Sag T2WI 3:30
Sag STIR 3:30
Axi T2WI 2:00
Axi T1WI 3:00
Axi DWI 3:00
膀胱がん骨転移症例
• 膀胱がん術後(全摘術)
• 1年8か月後に定期フォローでCT。
• 疼痛が増強するため3ヵ月後に再診。
→ CTで転移性骨腫瘍疑い。
→ MRIで精査へ
CT画像
3ヵ月後
こんな時どうしますか??
座薬で痛み止め投与。
仰臥位も困難。
検査中動きっぱなし…。
開始5分でギブアップ。
Ingeniaで再チャレンジ
短時間で撮影するには??
①T1強調画像 → mDIXON mFFE
②T2強調画像 → SSFSE
③STIR → SSFSE IR併用
全部で約5分
短時間撮影画像
mDixon
outphaseSSFSE STIR
mDixoninphase
忘れた時に役立つロカライザー
Cor Sag
胸椎単純MRI検査で精査• 主訴:1年ほど前からの手足のしびれ
占拠性病変??脊髄空洞症??
T2WIT1WI 脂肪抑制T2WI
ロカライザー• 主訴:1年ほど前からの手足のしびれ
所見では腎腫瘍の疑い
胸椎単純MRI検査で精査• 主訴:1年ほど前からの手足のしびれ
転移性脊髄腫瘍に伴う脊髄空洞症
T2WIT1WI 脂肪抑制T2WI
まとめ
• 撮影依頼目的に応じたプロトコール作成
• 患者さんの状態を見極め、最短かつ最大
の情報が得られる撮影法の選択。
• ロカライザーも貴重な情報源。