3密解説 01 - mhlwTitle 3密解説_01 Created Date 4/15/2020 10:56:07 AM
Crystal growth and Evaluation of ABOx(A=Ca,Sr,La...
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パルスレーザ堆積法を用いた ABOx(A=Ca,Sr,La B=Fe,Mn)の作製と評価
Crystal growth and Evaluation of ABOx(A=Ca,Sr,La B=Fe,Mn)
日本大学理工学部 電子情報工学科
0023 大島 佳祐
Department of Electronics & Computer Science,
College of Science & Technology, Nihon University,
B0023, Keisuke Oshima
Abstract:本研究の最終目的は室温で強磁性,強誘電性を示し,かつ巨大電気磁気効果を示す、人工超格子構造を持つ積層膜 REFeO3(RE=Bi,La)/AFeO3(A=Ca,Sr)をパルスレーザ堆積(Pulsed Laser Deposition : PLD)法によって作製することである。ペチーニ法を用いて LFO ターゲットを作製した。しかし密度は 84.46%と以前作製したターゲットの密度 95.48%よりも低い値となった。ABOX(RE=Ca, La B=Fe,Mn)// SrTiO3を PLD 法を用いて STO(100)および STO(110)基板上に作製した。STO(100)および STO(110)は基板処理後、SPM によりステップテラス構造を確認した。CFO をSTO(100)基板上に成膜した場合、酸素欠損が XRD2θ-θ パターンより確認できた。RSM において(103)、(113)において薄膜ピークを確認することができた。ピークから面内面直の格子間隔を算出すると CFO の格子間隔は基板の影響を受け、面内方向は STO 基板に合わせて成長し変化していると考えられる。
STO(100)基板上に CMO を成膜した場合、表面にステップテラス構造が確認できた。STO(103)に対する RSM から面内および面直方向の格子間隔を算出した。計算結果より CMO は基板の影響を受けずに成長していると考えられる。
STO(110)基板上に CMO を成膜した場合、成膜後に表面にステップテラス構造を確認することができた。CMO/STO(110)に対する RSM は STO(110)でのみ基板と薄膜のピークを確認できた。STO(110)基板上に CFO を成膜中に RHEED 強度振動を一切確認することができなかった。このことから表面は非常に荒れている、または一層ごとに成長していないことが考えられる。CFO// STO および CMO//STO の 2 層膜において広範囲で RHEED 振動を確認できた。加えて XRD2θ-θ パターンから算出した面直方向の格子間隔および XRR から算出した膜厚を用いて STO を基準とした堆積速度比を算出することができた。これは人口超格子を作製する際に有効な値であると考えている。
1.背景 現代の IT 社会では、携帯情報機器や非接触カードなど
急速に普及している。これらの多くは強誘電性の特性を応用され不揮発メモリが使用されている。近年、情報ネットワーク社会が進むにつれ、より小型化かつ高セキュリティの IC カード、メモリの大容量化が進み、プログラムを高速で処理などのメモリへの需要が高まっている。しかし、現行のメモリである DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)は、高速で動作するが、記録保持のため常に電力を供給しなければ記録は消えてしまう。そのため、消費電力が大きくなり、モバイル機器には向いていない。電力を供給せずに記録が消えない現行メモリとしてフラッシュメモリが挙げられる。これは、携帯電話、デジタルオーディオプレイヤーなどに使用されている。しかし、動作が遅く、書き換え回数に制限があるという欠点を持つ。この欠点を解消するために高密度な不揮発性メモリが開発されている。その中でも、強誘電体を使う FeRAM(Ferro-electric Random Access Memory)に期待されている。強誘電体の分極反転とヒステリシス特性を利用した高速動作、低消費電力、書き換え回数が膨大という特徴を持つ。しかし、FeRAM の現行材料である Pb(Zr,Ti)O3は、記憶保持能力の制約から、さらなる微細化に限界と予想されている。また鉛 Pb は環境及び人体に有害という欠点がある。 そこで、近年マルチフェロイック物質が注目を集めて
いる。マルチフェロイック物質とは強磁性、強誘電性、強弾性などの性質を複数有する物質系である。例えば、磁場による電気分極の応答や電場による磁化の応答などである。強磁性と強誘電性が共存する物質としてTbMnO3、BiMnO3などがある。これらは新たな物質開拓や新たなセンサー・デバイスへの応用など今後の展開が期待される[1]。本研究では室温で強磁性,強誘電性を示し,かつ巨大電気磁気効果を示す物質群の作製を目指し、人工超格
子構造を持つ積層膜 REFeO3(RE=Bi,La)/AFeO3(A=Ca,Sr)をパルスレーザ堆積(Pulsed Laser Deposition : PLD)法によって作製することを目的としている。4 価鉄と 3 価鉄のペロブスカイト型酸化物を交互に積層させた多積層膜を作製することで、Fe3+と Fe4+のイオン間で電子の移動を起こさせ、REFeO3(RE=Bi,La)の磁気構造を制御、またそれぞれの界面の電子移動の観測することを考えた。 人工超格子構造作製のためにパルスレーザ堆積法
(Pulsed Laser Deposition : PLD)を用いる。PLD 法はレーザを 1 秒間に数回ターゲットに照射することで物質を蒸発させて基板まで飛ばし、堆積させる事で薄膜とする方法である。この PLD 法では薄膜の質はターゲットの良さに直に依存している[2]。そのため、質の良いターゲットを作製する必要がある。この質の良いターゲットというのは密度が高く、粒径が小さいものである。 今まで PLD法に用いるターゲットを固相反応法にて作製を行っていたが粒径が大きくなりやすくまた同一の元素が隣り合う割合が高くなるのでターゲットの密度が低くいターゲットになっていた。よって、ペチーニ法によるターゲットの作製を目指した。 2.目的 本研究の最終目的は室温で強磁性,強誘電性を示し,
かつ巨大電気磁気効果を示す、人工超格子構造を持つ積層膜 REFeO3(RE=Bi,La)/AFeO3(A=Ca,Sr)をパルスレーザ堆積(Pulsed Laser Deposition : PLD)法によって作製することである。そのために必要な要素は、原子レベルでの膜の平坦性、同じ条件下での成膜および製膜速度の明確化である。本報告では原子レベルでの組成ができ粒径が小さく、均一性に長けたペチーニ法を用いた超高密度ターゲットの作製およびそれを用いた人工超格子作製の材料の一つであるABOx(A=Ca,Sr,La B=Fe,Mn)の単相膜の作製と評価である。
3.実験方法・条件
-
3.1 Pechini 法 ペチーニ法とは原材料を溶解したもの、クエン酸、エチレングリコール混合、加熱し粉末としまする方法である。クエン酸と液中の金属イオンを結合させ、イオン錯体とし、エチレングリコールでポリマー化させる。液相化することで、液中において均一な元素の分布にすることができる。 ペチーニ法の特徴は原材料をイオン化、その後ポリマー化させることで液中にて異種のイオンをイオンレベルで反応させることができること、また固相反応法よりも数百度低い仮焼き温度での粉末作成が可能なため、熱による粒成長を抑えることができることである。 これらの特徴から超高密度ターゲットの作製が可能となる。
3.2 PLD 法 PLD 法とは、レーザブレーションを応用した薄膜作製
プロセスである。ターゲットにレーザを照射すると、レーザ光は個体に吸収され、固体内での様々な素過程を経て自由電子やイオンや原子などが放出される。続いて放出された粒子がレーザ光を吸収して高温のプラズマが生成され、個体から大量の粒子が放出される。この時ターゲット上に発生する球体型のプラズマをプルームという。これらの高密度プルームは、雰囲気が真空であれば自由膨張により飛散するし、ガス雰囲気中であれば、衝突・反応を繰り返し細長くなる。いずれにしても最後は凝縮により再び個体へと戻っていく。この過程で基板上に堆積させるため、基板‐ターゲット間距離というのは、成膜においての非常に重要である。
PLD 法は、スパッタ法と比較し、Ar 等の雰囲気分子をプラズマ化しての成膜を行わないため、基板を荒らす原因となる逆スパッタが発生せず、基板を荒らすことなく組成ずれの起こりづらい堆積法である。しかし、デブリと呼ばれる微粒子が多く発生する方法でもあるため、基板面に多数デブリが付着することも多い。デブリの発生はターゲットの充填密度や個体のレーザ吸収度が大きければ発生しづらい。PLD 法はその特性から大面積化がしづらく、液晶パネル等の大型の基板等には適用されない。 本実験では成膜時にはおよそ 5.0×10-5Pa 程度まで真空
にした。その後、O2(純度 99.999%)を用いて酸素雰囲気下において、20Pa の範囲で成膜を行った。成膜終了後は大気圧まで O2を充填し、その後、室温まで基板温度の降温を行った。
3.3 STO 基板表面処理
本実験では STO(001)の 5mm×5mm の基板を用いた。STO 基板を 5mm×5mm にカットし、その後、アセトン5min、アセトン 15min、エタノール 5min超音波洗浄を行った。次に緩衝フッ酸溶液(BHF)を用いた表面のエッチング処理を行った。BHF 処理の前に、純水中において 30分超音波洗浄を行った後、BHF(pH=5.0)にて 45sec 超音波洗浄を行った。BHF での洗浄処理後、アルミナ坩堝(新和科学株式会社:RESCO04 純度 99.98% 20ml)に入れ高温電気炉を用いて STO(100)基板は 920ºC,6h、STO(110)基板は 1100ºC,2hアニールした。
3.4 成膜条件
成膜には PLD 法を用いた。使用レーザは KrFエキシマレーザを用いた。基板は基板ホルダーに Agペーストを用いて、基板ホルダー中央に固定した。ターゲット‐基板間距離は 55mmとした。レーザブレーションによって発生したプルームの中央が基板と当たるようにレーザ位置、ターゲット位置を調整した。 本実験では、ペチーニ法にて作製した CFO ターゲットと、固相反応法にて作製した CMO ターゲットそれぞれを用いた。ペチーニ法にて作製したターゲットは、ホッ
トプレス法にて粉末を本焼したものを用意した。その他の成膜条件を以下表 3.1に示す。
表 3-1 成膜条件
4.評価方法・条件
4.1 X 線回折(XRD)装置
原子が規則正しく並んだ結晶に X線が入射すると、特定の方向で強い X線が観察される。これを回折現象と呼ぶ。結晶に入射した二つの X 線が、異なる点で散乱されて結晶の外に出る場合、その二つの X線の光路差が波長の整数倍になっていると、波の位相が一致するため波の振幅が大きくなることで説明される。この回折現象は、以下に示すブラッグの回折条件でまとめられる。
2dsinθ = nλ (4.1)
(d:格子面間隔 θ:入射角 n:整数 λ:X 線波長)
物質はそれぞれに特有な規則性を持つ結晶を作ることから、XRD では化合物の種類や、結晶の大きさ、材料中に存在する結晶方位の分布状態(結晶配向)、結晶に掛かる残留応力の評価を行うことができる。 本研究ではX線源にCu-Kα線(波長 λ=1.542Å)を用いた。
このとき、モノクロメーターにより Cu-Kβ線を除去した。 4.2 レーザ回折式粒度分布測定 図 4.2 にレーザ回折式粒度分布測定の原理図を示す。
測定対象となる粒子群にレーザ光を照射すると、空間的に回折・散乱光の光強度分布パターンが生じる。このうち前方散乱光の光強度分布パターンは、レンズによって集光され、焦点距離の位置にある検出面にリング状の回折・散乱像を結ぶ。これを同心円状に検出素子を配置したリングセンサで検出をする。また、側方散乱光および後方散乱光は、側方散乱光センサおよび後方散乱光センサでそれぞれ検出する。各種検出素子を用いて光強度分布パターンを検出することで、光強度分布データが得られる。 この光強度分布データは、粒子の大きさによって変化
する。実際のサンプルには、大きさの異なる粒子が混在しているため、粒子群から生ずる光強度分布データは、それぞれの粒子からの回折・散乱光の重ね合わせとなる。
4.3 走査型プローブ顕微鏡 (Scanning Probe Microscope: SPM)
4.3.1走査型原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)
走査型原子間力顕微鏡(AFM)は、SPM の走査形態にひとつである。原子分解能を持ち、様々な SPM走査モードが開発され応用されている。AFM では探針,試料間に働く物理的相互作用、探針、試料間の原子間力を検出している。探針と原子に間に働く力によって探針が装填されているカンチレバーが上下方向にたわむのを検出している。探針、原子間に働く微小の力の検出を直接に行うのは困難なため実際にはレーザをカンチレバーの背面に照射し反射光を光検出器で検出し(光てこ方式)たわみ量を一定
ターゲット CFO,CMO
基板温度[°C ] 670
使用レーザ KrF
レーザ波長[nm] 248
レーザ周波数[Hz] 4
レーザエネルギー密度[J/cm2] 2.7
雰囲気 O2
圧力[Pa] 20
-
に保つ。すなわち、探針・試料間に作用する力を一定に保つように Z軸の圧電素子(スキャナー)を制御する。この状態で平面方向に圧電素子のXY軸を制御することで、表面の微小な凹凸を走査する。
4.3.2DFM(ダイナミックフォースモード)
DFM は SPM の測定モードのひとつであり、サイクリックコンタクトモードと呼ばれる試料周期的に触れて測定するモードと、ノンコンタクトモードと呼ばれる表面にふれないで測定するモード、そしてコンタクトモードと呼ばれる表面に触れて測定するモードがある。サイクリックコンタクトは表面形状、位相像などの検出に利用され、ノンコンタクトモードは、磁気力顕微鏡、表面電位顕微鏡に利用される。コンタクトモードは AFM と比較してやわらかい試料にも適用が可能である。
DFM もコンタクト AFM と同じで原子間力を検出している。DFM では探針背面に装着されている圧電素子にてカンチレバーに共振操作を起こす。探針と試料間に力が働くとカンチレバーの振幅が変化、カンチレバーの微小な変化量を検出するためにレーザ光をカンチエレバー先端に照射して反射光を検出器で検出して振幅を一定に保つように Z 軸の電圧をフィードバック、制御を行う。この状態で平面方向に XY 軸の圧電素子を制御、振幅量一定つまり探針、試料間に作用する力を一定に保ったまま表面の微小な凹凸を走査する。振動振幅は針先が触り始める接触点まで空気のダンピングによってわずかながら減少する。探針がさわるか触らないかの接触点では、様々な引力を受ける。この接触点での引力の値の増加を接触点と捕らえ探針が試料の表面との境界で振幅を制御できるため DFM では軟らかい試料の表面を触れずに測定することが可能となる。
4.4反射型高速電子回折(Reflection High Energy Electron
Diffraction : RHEED)
RHEED は真空中で電子銃により電子を加速し、加速した電子を試料表面に極めて低角度で入射させる。電子線は試料表面で反射して、蛍光スクリーンに達し、回折図形として現れる。電子線の波長は非常に短いため、原子単位での表面状態が図形に影響する。また電子線は蒸着の過程に影響しないため、成長中の表面構造の観察にも用いられる。 エピタキシャル成長により試料表面の格子面方位が揃
っているときは、回折によりパターンが変わる。表面が平坦であれば回折は面内方向にしか発生しないため、スポットが半円状に並んだパターンが現れる。また、表面が平坦で、反位相境界を含む小さな分域から出来ている場合にはストリークパターンが得られる。このストリーク状パターンの長さを測定することにより、分域の大きさを決定することが出来る。表面に原子層単位でも凹凸があれば、面直方向にも回折が発生するためスポット状のパターンが現れる。RHEED パターン上の各スポットの強度が、成長している薄膜の相対的な表面被覆の状態によって周期的に振動するので、RHEED は薄膜の層状成長をモニターするのに非常に適した技術である。
5.1 粉末作成
5.1.1 LaFeO3
a.秤量
酸化ランタン La2O3 (PURITY:99.99[%], Lot: 00047928 ,
豊島製作所 )、硝酸鉄(Ⅲ)九水和物 Fe(NO3)3・9H2O (純度:99.9[%] , Lot:TLG0311 , 和光薬品)を使用した。Fe(NO3)3・ZH2O の Z の値を確かめるため、白金るつぼにて大気アニールし Fe2O3としてその重さから Zの値を算出した。その値から La2O3と Fe(NO3)3・9H2O のモル比が1:1 になるように秤量した。また La2O3は吸水性があるため 1000°C,10h時間で大気アニールし 150°C付近で取り出し秤量した。秤量後、それぞれ純水で十分に溶解させた後、それらをトールビーカに移して混合させた。その後、クエン酸 C6H8O7 (Assay:min99.0[%], Lot:510H1919 , 関東化学)を別純水に溶解させたものとエチレングリコール C2H4(OH)2 (99.5[%] , Lot:505H1899 , 関東化学)を La: Fe: C6H8O7 :C2H4(OH)2=1:1:2:4 の割合でトールビーカに投入し混合した。
b. 加熱処理 混合させた溶液が入ったトールビーカをマントルヒー
ター(TYPE:GBR-30 , NO.H22MA24 , 100V , 600W , 大科電器株式会社)で加熱処理を行った。急激に温度を上げることによる熱衝撃によって、ビーカが破損しないように20 分ごとに一メモリずつ(約 65°C)、最大 450°C まで上昇させていき、水分が蒸発して無くなるまで加熱した。その後、発火させて有機物を飛ばした。室温まで冷やした後、試料をメノウ乳鉢にて粉砕し粉末にした。
c. 仮焼 1 回目
作製した粉末をるつぼ(アルミナ丸こう鉢 SAM-999)に
移し、電気炉を用いて仮焼を行った。このときの温度勾配の条件を表 5.1 に記す。その後、仮焼した粉末をメノウ乳鉢にて 1 時間粉砕した。
表 5.1 仮焼条件
d. 仮焼 2 回目
5.2.c にて作製した LFO を同じ仮焼温度で、さらに 24時間増やして仮焼を行った。その後、メノウ乳鉢にて粉末の粉砕を 1 時間行った。
表 5.2 仮焼条件
e. 仮焼 3 回目
5.2.d にて作製した LFO を同じ仮焼温度で、さらに 24
時間仮焼を行った。その後、メノウ乳鉢にて粉末の粉砕を 1 時間行った。
表 5.3 仮焼条件
5.3.1 X 線回折(X‐ray diffraction:XRD)
XRD 測定条件を表 5.4 に示す。
表 5.4 XRD 測定条件 1 以前作成した LFO 粉末の XRD 測定結果から出発原料
物質名 仮焼温度
[°C]
時間
[h]
温度勾配
[°C/min] 雰囲気
LaFeO3 800 24 5 大気中
物質名 仮焼温度[°C]
時間[h]
温度勾配[°C/min]
雰囲気
LaFeO3 800 24 5 大気中
物質名 仮焼温度
[°C]
時間
[h]
温度勾配
[°C/min] 雰囲気
LaFeO3 800 24 5 大気中
開始角度[deg]
終了角度[deg]
サンプリング幅
電圧 [kV]
電流 [mA]
10 90 0.02 50 100
-
の成分が残留していることが確認できた[5-1]。La2O3 粉末を溶かす時にビーカ内に溶け残りが発生しているためLaのイオン数と Fe のイオン数が完全に 1:1 となっていないことが原因と考えた。そのためクリーンルーム内でマ グネティックスターラー(IKA C-MAG HS7 )を用いて
一日撹拌しその溶液を用いて粉末を作製した。測定結果を図 5-1 にしめす。しかし、この場合のほうがより出発原料の残留物によるピークが強く確認できたため、一日撹拌せず純水 200mlに対し硝酸 20mlを滴下し溶解させたものを使い粉末を作製した粉末を用い仮焼きの回数を変化させた。測定結果を図 5-2 に示す。仮焼き回数が多いほうが出発原料の強度比が下がっていることが確認できた。
5.3.2 粒度分布
図 5-3 に LaFeO3(仮焼温度 800°C, 仮焼時間 24 時間,24時間×3 回)の粒度分布測定結果を示す。 グラフより仮焼き回数が 1回の場合粒径が 5µm付近の粒子が多いことがわかる。また仮焼き回数が 3 回のほうは3µm 付近の粒子が多く分布していることがわかる。また0.3µm 付近の分布度も上昇しているため全体的に仮焼き回数の多いほうが粒径の均一性が高いことがわかる。これは仮焼きと仮焼きの間に粉砕を行っているので仮焼き回数が多いほうが粉砕回数も多いことが原因と考えらえる。それを確かめるため仮焼き回数が同じもので粉砕時間を 1時間からさらに 2時間行った際の粒度分布を図 5-4に示す。グラフより粉砕時間を増やす前後では後者のほうが小さい粒径が多いことがわかる。粉砕時間を増やす前では 10µm 以上の粒径をもつ粒子も存在していたが増やした後では分布が確認できなかった。また 1µm 以下の粒径を持つ粒子の分布が大幅に増えていることも確認で
きた。
5.4 CFO/STO(100)薄膜の結果
5.4.1 CFO/STO(100)薄膜の RHEED
図 5-5 に STO(100)基板上に CFO を成膜中の RHEED強度振動を示す。左軸が RHEED の電子線回折強度を示す。右軸がピーク値から計算した 1 層当たりの成長時間である。成膜開始から 4 層目までの成長時間と 4層目からの成長時間が約 2 倍になっている
5.4.2 CFO/STO(100)薄膜の表面像 ペチーニ法にて作製したターゲットを使用して成膜を行った際の STO 基板の表面像、LFO 薄膜の表面像を図 5-6(a),(b)に示す。 STO基板の表面像である(a)においてステップテラス構造を確認できた。CFO 薄膜である(b)において粒状成長していることを確認し、STO 基板特有のステップテラス構造を確認することができなかった。
5.4.3 CFO/STO(100)薄膜の XRD 図 5-7にXRD 2θ-θパターンを示す。基板の高角側にCFO薄膜のピークを確認できたことから基板の影響を受けて成長していることが確認できる。また STO 基板ピークの低角側にも別のピークを確認した。これは CFO の結晶性が変化し格子の周期性が 2倍の CaFeO2.5(Ca2Fe2O5)変化があったことを示している。 図 5-8 に RSM(reciprocal space map)を示す。(002)および(103)、(113)において基板ピークおよび薄膜のピークを確認できた。STO(113)の RSMにおいて、薄膜ピークを二つ確認することができた。これは面内の a,b軸の長さが異なった Orthorombicに成長したことにより、結晶軸がずれて成長したためである。またそれぞれのピークに対して格子間隔を算出し体積を計算すると CFO が酸素欠損を起こした CFO2.5と同じ値となった。
20 40 60 801
10
100
1000
10000 Fe2O
3
inte
nsi
ty (
arb
.un
its)
2theta (degrees)
La2O
3
20 40 60 80
102
103
104
105
106
107
108
109
24h×1
24h×2
La2O
3
Inte
nsi
ty (
arb
. unit
s)
2 (degrees)
Fe2O
3
24h×3
図 5-1仮焼後の LaFeO3の XRD 測定結果(1日撹拌)
図 5-2 仮焼後の LaFeO3の XRD 測定結果
(仮焼き回数1~3回)
0
5
10
15
20
0.1 1 10 1000
5
10
15
20
分布
(%)
crash1h
分布
(%)
粒径 (μ m)
crash1+2h
図 5-4 粉砕時間別粒度分布
0
5
10
15
20
0.1 1 10 1000
4
8
12
16
20
分布
(%)
24h
分布
(%)
粒径 (μ m)
24h×3
図 5-3 仮焼き回数別粒度分布
-
5.4.4 3units および 5units成長させた CFO/STO(100)
薄膜
図 5-5 に示した RHEED 反射強度の時間変化のグラフより初めの 3~4units までの成長時間と 5units 以降の成長時間に 2 倍の差があった。また図 5-7 に示したXRD2θ-θパターンよりCFOが酸素欠損を起こし、格子周期性が二倍になったCFO2.5のピークが確認できた。成長時間が倍に増える原因は成膜中に酸素欠損を起こし格子周期性が 2倍の CFO2.5が成長しているためであると考えた。そこで 3units と 5units を成膜し表面を比較した。 成膜後の基板表面像を図 5-9 に示す。どちらも基板由来のステップテラス構造を確認でき、またどちらもテラス状に粒子が確認できた。 3units 成長させた場合のラインプロファイルを図5-10 に示す。テラス状の粒子はほとんどが CFO の格子定数に近い約 0.4[nm]だった。また 0.8[nm]に近い高さの粒子も確認できた。 5units 成長させた薄膜表面でのラインプロファイルを図 5-11 に示す。3units 成長させた時と比べ、高さ0.8[nm]以上の粒子が多数確認できた。それぞれ高さ0.8[nm]の粒子の割合を算出すると 3units 成長させたほうは 17%、5units成長させたほうは 40%であった。
図 5-6 (a)STO(100)基板表面像 2×2µm2 (b)CFO 成膜後の表面像 2×2µm2
1.67 0.0 [nm] 0.0 [nm] 14.7
(a) (b)
0 40 80 120 160 200 240
10
100
Intensity
Time for one unit growth
Inte
nsi
ty (
arb
.un
its)
Time (sec)
0
5
10
15
Tim
e f
or
on
e u
nit
gro
wth
(se
c)
図 5-5 STO(100)基板上に CFO 成膜中の RHEED 反射強度振動
20 40 60 80 100
101
102
103
104
105
106
CF
O(3
00
) Pc
CF
O(2
00
) Pc
CF
O(1
00
) Pc
ST
O(3
00
)
ST
O(2
00
)
Inte
nsi
ty (
arb. unit
s)
2 (degrees)
ST
O(1
00
)
図 5-7 CFO/STO(100)3の XRD 測定結果
図 5-8 CFO/STO(100)の RSM
STO(002) STO(103 STO(113
3.6 3.87.6
7.8
8.0
8.2
q[0
01
][n
m-1
]
q[110]
[nm-1
]
5Unit 成膜後 3Unit 成膜後
1.0 0.0 [nm] [nm] 0.0
図 5-9 3unitsおよび 5units成長させた CFO/STO(100)表面像
0.32nm 0.42nm
0.8
0.2
[nm] 0.37nm
1.
0.
[nm] 0.72nm
0.74nm
図 5-10 3units成長させた CFO/STO(100) ラインプロファイル
-0.1 0.15.00
5.15
5.30
5.45
5.60
q[0
01
][n
m-1]
q[100]
[nm-1
]2.5 2.7
7.6
7.8
8.0
8.2
q[0
01
][nm
-1]
q[100]
[nm-1
]
2.0
-
5.5 CFO/STO(110)薄膜の結果 使用したターゲットはペチーニ法を用いて作製した粉末を豊島製作所にてホットプレス法で本焼成したものを用いた。
5.5.1CFO/STO(110)薄膜の RHEED 図 5-12に STO(110)基板上にCFOを成膜中のRHEED強度振動を示す。左軸が RHEED の電子線回折強度を示す。右軸がピーク値から計算した 1 層当たりの成長時間である。初めの 5 層までは振動を確認できたがそれ以降はビーム強度を上げても振動を確認することはできなかった。
5.5.2CFO/STO(110)薄膜の表面像 図5-13に成膜前の基板表面像と成膜後の表面像を示す。成膜前後ともに表面にステップテラス構造を確認することができた。
5.5.3CFO/STO(110)薄膜の XRD 図 5-14 に CFO/STO(110)の XRD 2θ-θ パターンを示す。STO(110)ピークの高角側にピークを確認できた。CFO/STO(110)の STO(220)に対するRSMを図 5-15に示す。STO(110),STO(220)ではピークを確認できたがその他の面では薄膜ピークを確認することができなかった。STO(220)の RSM より面直方向の格子間隔を算出すると、0.379[nm]であった
5.6CMO/STO(100)薄膜の結果 使用したターゲットは豊島製作所製、固相反応法のもの
を用いた。 5.6.1CMO/STO(100)薄膜の RHEED 図 5-16 に STO(110)基板上に CFO を成膜中の RHEED
強度振動を示す。左軸が RHEED の電子線回折強度を示す。右軸がピーク値から計算した 1 層当たりの成長時間である。一層当たりの成長時間は 5秒から 6秒であった。
5.6.2CMO/STO(100)薄膜の表面像 図 5-14に成膜前の基板表面像と成膜後の表面像を示す。成膜前後ともに表面にステップテラス構造を確認することができた。
5.6.3CMO/STO(100)薄膜の XRD CFO/STO(110)の STO(002)および STO(103)に対する
RSM を図 5-15 に示す。STO(002),STO(103)ではピークを
1.0
0
[nm] 0.83nm 0.68nm
1.5
0
[nm] 0.4nm
0.81nm
0.41nm
図 5-11 3units成長させた CFO/STO(100) ラインプロファイル
0 10 20 30 40 50 60
20
40
60
80
100
0
2
4
6
8 Intensity
Time for one unit growth
図5-12 成膜中のRHEED反射強度振動
(a) (b)
0.0 12.85 [nm] 0.0 [nm] 9.5
図 5-13 (a)STO(110)基板表面像 5×5µm2
(b)CFO 成膜後の表面像 5×5µm2
10 20 30 40 50 60 70 80
101
102
103
104
105
106
107
ST
O(2
20)
CF
O(1
10) P
c
Inte
nsi
ty (
arb
. u
nit
s)
2 (degrees)
ST
O(1
10)
図 5-14 CFO/STO(110) 2θ-θ パターン
図 5-15 CFO/STO(110)の RSM
STO(220STO(110
0.03.5
3.6
3.7
3.8
q[1
10
][n
m]
q[1-10]
[nm]
-0.1 0.0 0.17.1
7.2
7.3
7.4
7.5
q[1
10][
nm
-1]
q[1-10]
[nm-1
]
-
確認できたがその他の面では薄膜ピークを確認することができなかった。STO(103)に対する RSM から面内および面直方向の格子間隔を算出した。その結果面内、面直ともに 0.372[nm]という値になった
5.7 CMO/STO(110)薄膜の結果 使用したターゲットは豊島製作所製、固相反応法のものを用いた。
5.7.1 CMO/STO(110)薄膜の表面像 図 5-16 に成膜前の基板表面像と成膜後の表面像を示す。成膜前後ともに表面にステップテラス構造を確認することができた。
5.7.2 CMO/STO(110)薄膜の XRD CMO/STO(110)に対する RSM を図 5-17 に示す。でのみ基板と薄膜ピークを確認できた。
5.7.3 CMO/STO(110)薄膜の RHEED 図 5-19 に STO(110)基板上に CFO を成膜中の RHEED 強度振動を示す。左軸がRHEEDの電子線反射強度を示す。
右軸がピーク値から計算した 1 層当たりの成長時間である。電子線の反射強度振動を一切確認することができなかった。 6.考察
CFO/STO 単層薄膜について CFO を STO(100)基板上に成膜した場合、2θ-θ パターンにて基板の高角側にCFO薄膜のピークを確認できたことから基板の影響を受けて成長していることが確認できる。 RHEED反射強度の時間変化のグラフより初めの 3~4unitsまでの成長時間と 5units 以降の成長時間に 2 倍の差があった。また XRD2θ-θ パターンより CFO が酸素欠損を起こし、格子周期性が二倍になった CFO2.5のピークが確認できた。3units と 5units をそれぞれ成膜し表面を比較すると 5units 成長させた薄膜表面では 3units 成長させた時と比べ、高さ 0.8[nm]程度の粒子の割合が 16%から 40%に増えていた。Unit 数が増えるにしたがって CFO2.5の割合も増えていると考えている。 以上のことから CFO を成膜中に格子周期性が 2 倍の
(a)
図 5-16 CMO 成膜中の RHEED 反射強度振動
0 100 2000
20
40
60
80
Intensity Time for one unit growth
Time (sec)
Inte
nsi
ty (
arb
.un
its)
3
4
5
6
7
8
Tim
e f
or
on
e u
nit
gro
wth
(se
c)
1.3 0.0 [nm] 0.0 5.0 [nm]
図 5-17 (a)STO(100)基板表面像 5×5µm2
(b)CMO 成膜後の表面像 5×5µm2
(b)
-0.1 0.0 0.15.00
5.05
5.10
5.15
5.20
5.25
5.30
5.35
5.40
5.45
q[0
01] (
nm
-1)
q[100]
(nm-1)
STO(200)
2.5 2.6 2.7 2.87.55
7.60
7.65
7.70
7.75
7.80
7.85
7.90
7.95
8.00
8.05
8.10
8.15
q[0
01] (
nm
-1)
q[100]
(nm-1)
STO(103
図 5-18 CFO/STO(110)の RSM
0 30 60 900
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
Inte
nsi
ty (
%)
Time (sec)
図 5-19 CMO 成膜中の RHEED 反射強度振動
(a)
0.0 11.19 [nm] 0.0 9.7 [nm]
(b)
図 5-17 (a)STO(110)基板表面像 5×5µm2 (b)CMO 成膜後の表面像 5×5µm2
図 5-19 CMO/STO(110)の RSM
-0.1 0.0 0.13.5
3.6
3.7
3.8
3.9
q(1
10
)[n
m]
q(1-10)
[nm]
STO(110)
-
CFO2.5 が成長するため一層当たりの成長時間が増加していると考えられる。 STO(103)の RSM(reciprocal space map)において薄膜ピークを 2 つ確認できた。これは CFO の結晶構造が a,b,c3辺すべて長さの異なる斜方晶(orthorhombic)であることが原因と考えらえる。STO(100)基板上に成膜した際のCFO 薄膜の結晶成長の概略図を図 6-1 に示す。図のように面内の格子 a と b がそれぞれ入れ替わって成長したため基板の STO(113)面に対しずれた CFO 薄膜の 2 種類の(113)面の薄膜ピークが確認できからである。それぞれのピークに対して格子間隔を算出し体積を計算すると CFOが酸素欠損を起こした CFO2.5と同じ値となった。
STO(110)基板上に CFO を成膜した場合、XRD 2θ-θ パターンにおいて、STO(110)ピークの高角側にピークを確認できた。STO(220)の RSM より面直方向の格子間隔を算出すると、0.379[nm]であった。擬立方晶での CFO の面直方向の格子間隔は 0.378[nm]であることから、基板の影響を受けずに成長していると考えられる。
STO(100)基板上に CMO を成膜した場合 STO(100)基板上に CMO を成膜した STO(103)に対する
RSM から面内および面直方向の格子間隔を算出した。その結果面内、面直ともに 0.372[nm]という値になった。CMO の擬正方晶における格子間隔は 0.373 であるのでCMO は基板の影響を受けずに成長していると考えられる。
STO(110)基板上に CMO を成膜した場合、CMO/STO(110)に対するRSMは STO(110)でのみ基板と薄膜のピークを確認できた。 STO(110)基板上に CFOを成膜中に RHEED 強度振動を一切確認することができなかった。このことから表面は非常に荒れている、または一層ごとに成長していないこと
が考えられる。
7 まとめ ペチーニ法を用いて LFO ターゲットを作製することができた。しかし密度は 84.46%と以前作成したターゲットの密度 95.48%よりも低い値となった。
ABOX(RE=Ca, La B=Fe,Mn)// SrTiO3をパルスレーザ堆積法を用いて STO(100)および STO(110)基板上に作製した。STO(100)および STO(110)を 5mm×5mm にカットし、その後、アセトン 5min、アセトン 15min、エタノール 5min超音波洗浄を行った。次に緩衝フッ酸溶液(BHF)を用いた表面のエッチング処理を行った。BHF 処理の前に、純水中において 30 分超音波洗浄を行った後、BHF(pH=5.0)にて 45sec 超音波洗浄を行った。BHF での洗浄処理後、アルミナ坩堝(新和科学株式会社:RESCO04 純度 99.98%
20ml)に入れ高温電気炉を用いて STO(100)基板は920ºC,6h、STO(110)基板は 1100ºC,2h アニールした。アニール後 SPM によって表面を確認した結果ステップテラス構造を確認できた。 CFO を STO(100)基板上に成膜した場合、酸素欠損がXRD2θ-θ パターンより確認できた。RSM において(103)、(113)において薄膜ピークを確認することができた。CFO薄膜の 2 種類の(113)面の薄膜ピークが確認できた。それぞれのピークに対して格子間隔を算出し体積を計算すると CFO が酸素欠損を起こした CFO2.5と同じ値となった。 それぞれ高さ 0.8[nm]の粒子の割合を算出すると 3units成長させたほうは 17%、5units成長させたほうは 40%であった。
STO(110)基板上に CFO を成膜した場合、成膜中のRHEED 強度振動は 4units までしか確認できなかった。XRD 2θ-θ パターンにおいて、STO(110)ピークの高角側にピークを確認できた。STO(220)の RSM より面直方向の格子間隔を算出すると、0.379[nm]であった。擬立方晶でのCFO の面直方向の格子間隔は 0.378[nm]であることから、基板の影響を受けずに成長していると考えられる。
STO(100)基板上に CMO を成膜した場合、成膜中のRHEED強度振動より一層当たりの成長時間は 5秒から 6秒であった。このことから非常に安定して成膜できていると考えられる。成膜後に表面にステップテラス構造を確認することができた。STO(103)に対する RSM から面内および面直方向の格子間隔を算出した。その結果面内、面直ともに 0.372[nm]という値になった。CMO の擬正方晶における格子間隔は 0.373[nm]であるので CMO は基板の影響を受けずに成長していると考えられる。
STO(110)基板上に CMO を成膜した場合、成膜中にRHEED 強度振動を一切確認することができなかった。このことから表面は非常に荒れている、または一層ごとに成長していないことが考えられる。成膜後に表面にステップテラス構造を確認することができた。STO(110)基板上に CMO を。CMO/STO(110)に対する RSM は STO(110)でのみ基板と薄膜のピークを確認できた。
8 参考文献 [1]マルチフェロイック酸化物の電子状態と秩序発現:小口 多美夫,広島大学大学院先端物質科学研究科広島大学先進機能物質研究センター [2]レーザブレーションとその応用,コロナ社,1999 年 [3] Maggio P.Pechini ”METHOD OF PREPARING LEAD
AND ALKALINE EARTH TITANATES AND NIOBATES
AND COAATING METHOD USING THE SAME TO FORM
A CAPACITAOR”,Unite States Patent Office,1963
[4] ニューケラスシリーズ編集委員会 ”セラミック微粉末技術” 学献社 [5] 河本邦人”セラミックス-基礎と応用-”,大日本図書株式会社,1996 [6]社団法人電気学会 レーザブレーションとその応用, コロナ社 (1999) [7]表面の物理 川路紳治訳 丸善株式会社 [8]Y. Tsuchiya, K. Norota, Y. Watabe, T. Kuroda, N. Iwata,
T. Hashimoto, H. Yamamoto: Trans. Mater. Res. Soc.
Jpn. 37(2012) 369.
:STO
:CFOⅠ
:CFOⅡ
φ
00
図 6-1 STO(100)基板上に成膜した CFO