日立化成グループ...X-TRAIL ®は日産自動車株式会社の登録...

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日立化成グループ ANNUAL REPORT 2016 2015.4.1 2016.3.31

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日立化成グループ ANNUAL REPORT

20162015.4.1 2016.3.31

日立

化成

グル

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Annual Report 2016

日立化成の特長03 コアコンピタンスを駆使した 製品の革新

07 革新を支える基盤

Our Strategy ─戦略─13 トップメッセージ

19 価値創造プロセス

21 戦略の全体像

23 10年戦略

25 2018中期経営計画

At a Glance

09 財務・非財務ハイライト

11 2015ハイライト

報告対象組織日立化成(株)と連結子会社66社(2016年6月末現在)日立化成グループ全体をさす場合は「日立化成」「日立化成グループ」「当社グループ」「連結」、日立化成(株)のみをさす場合は

「当社」「単独」と分けて記載しています。

報告対象期間2015年度(2015年4月1日〜2016年3月31日)ただし、重要事項については、2015年度以前・以後の報告を一部含んでいます。なお、「年度」は3月31日に終了する会計年度をさします。

参考にしたガイドライン国際統合報告委員会(IIRC)「国際統合報告フレームワーク」GRI (Global Reporting Initiative)「サステナビリティレポーティングガイドライン第4版」環境省「環境報告ガイドライン2012年版」

将来に関する予測・予想・計画についてこの報告書は、日立化成の過去と現在の事実だけでなく、発行時点における計画や見通しに基づいた将来予測が含まれています。将来予測は、記述した時点で入手できた情報に基づいた仮定ないし判断であり、諸条件の変化によって将来の事業活動の結果や事象が予測とは異なったものとなる可能性があります。

ステークホルダーダイアログ2016年11月に実施を予定しています。ウェブサイトに掲載します。

SRIインデックスの組み入れ状況日立化成のこれまでのサステナビリティ活動、積極的な情報開示が評価され、下記国内外の社会的責任投資インデックスに組み入れられています。

日立化成グループ・ アイデンティティ

1962年10月、日立製作所から分離独立した日立化成は、日立創業の精神の下、優れた技術と製品の開発を通して社会に貢献するために尽力してきました。創立50周年を機に、これからの日立化成グループのあるべき姿を「日立化成グループ・ビジョン」として規定し、「企業理念」と「創業の精神」と合わせ、「日立化成グループ・アイデンティティ」としました。このアイデンティティを当社グループの理念、価値の体系としてグローバルに共有し、地域や事業分野を越えて優れたチーム力を発揮し、ビジョンの実現をめざしていきます。

Working On Wondersは、お客さまや株主、お取引先、地域社会の皆さまのために、革新的な技術や製品の開発を通して、驚きを創り続けるという私たち日立化成の宣言です。

CONTENTS

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

Our Initiatives ─挑戦─29 事業別方針

29 機能材料

31 自動車部材

33 蓄電システム

35 ライフサイエンス

37 ESGマネジメント37 環境

38 社会

43 ガバナンス

02

Annual Report 2016

財務情報 非財務情報

ウェブサイト http://www.hitachi-chem.co.jp/

日立化成グループアニュアルレポート※

有価証券報告書

決算短信 ファクトシート

コーポレート・ガバナンスに関する報告書

テクニカルレポート

報告書/株主通信決算説明会資料

会社案内

ESG情報への第三者保証当社が開示する非財務情報に信頼性を付与するため、一部の環境・社会データ(エネルギー使用量、温室効果ガス排出量、水資源投入量、VOC排出量、労働災害度数率と労働災害強度率、女性管理職数と比率)は、当社CSRウェブサイト上で、KPMG あずさサステナビリティ株式会社による第三者保証を受けています。「独立した第三者保証報告書」はCSRウェブサイトをご参照ください。http://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/csr/independent_verification.html

Mission

Values

Hitachi ChemicalVision

企業理念時代を拓く優れた技術と製品の開発を通して社会に貢献すること。

創業の精神

“開拓者精神” “誠” “和”

日立化成グループ・ビジョン

私たちは、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、化学を超えた「新たな価値」を創造し、社会やお客さまの期待を超える

「驚き」を実現します。

編集方針株主・投資家をはじめとするさまざまなステークホルダーに、日立化成グループ・ビジョンの実現をめざした活動を理解していただくために、毎年7月末に「日立化成グループアニュアルレポート」を発行しています。経営戦略や財務情報、ESG活動情報を掲載した統合レポートです。本アニュアルレポートでは、当社グループの中期的な方針・戦略や価値創造プロセスのほか、各重点事業やESG活動の取り組みについて紹介しています。また、ウェブサイトでは、日立化成についての広範囲で詳細な情報をタイムリーに開示しています。その他のツールも併せてご確認ください。

日立化成の情報開示ツール

※詳細な財務情報は有価証券報告書をご参照ください。

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Annual Report 2016

日立化成の特長

コアコンピタンスを駆使した製品の革新4つの源流製品である「絶縁ワニス」「積層板」「絶縁ガイシ」「カーボンブラシ」を通して蓄積された有機・無機化学にまたがる深いノウハウが、日立化成のコアコンピタンス(基盤技術)を築き、それらを複合・融合させることで、数々の製品を生み出してきました。

日立化成は化学を超えた広範な領域において研究を深化させ、日立化成の高度で幅広い基盤技術を強化し、さまざまな製品を生み出していきます。

機能を生み出す材料技術

材料開発の基本となる合成、精製、配合からなる技術

製品に仕上げるプロセス技術製品を無駄なく効率的に

製造する技術

ニーズを翻訳する評価技術

的確なデータ分析により次の一手を導き出す技術

日立化成のコアコンピタンス(基盤技術)

機能材料

自動車部材

蓄電システム

ライフサイエンス

04

Annual Report 2016

高精細な液晶画面。日立化成のこのフィルムの進化がなければ、スマホはきっとつくれなかった。

異方導電フィルムANISOLM

これって何?液晶ディスプレイのドライバー IC接続などに使用する、微細回路の接続材料です。

どこがすごいの?導電粒子を分散させたテープ状の接着フィルムであり、加熱加圧により、横方向の絶縁性を保持したまま厚み方向には導電性を持たせる機能があります。このため、液晶ディスプレイの生産に不可欠な多数の微細回路を一括して接続することができます。

機能材料

ANISOLMの 詳しい 紹 介 は日立化成ウェブサイト▶製品紹介▶電子材料▶ディスプレイ・タッチパネル関連材料からご覧いただけます。

写真は当社機能材料事業本部の社員です。日立化成ウェブサイト▶採用情報▶新卒採用情報▶仕事と人に社員からのメッセージを掲載しています。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│ 世界に先駆けて開発!

液晶パネルの高精細化、カラー化、薄型化に貢献。

スマホ・タブレットフレキシブル配線板

ICチップ液晶パネル

ANISOLM 導電・絶縁材料技術

塗工・極細スリット技術

評価技術

活かしたコアコンピタンス

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Annual Report 2016

日立化成の特長

外装樹脂成形品バックドアモジュール

これって何?高強度・高剛性のガラス繊維強化熱可塑樹脂製インナーパネルと、外観に優れたエンジニアリングプラスチック製アウターパネルを接着剤で接合した、自動車のリヤ部分のドアです。

どこがすごいの? スチール製と比べ、軽量化が可能です。また、樹脂の優れた造形性を活かし、剛性、強度を確保しながらエクステリア部品を一体成形することで、スチールでは得られない柔軟なデザインをつくり出すことができます。

自動車部材

バックドアモジュールの詳しい紹介は日立化成ウェブサイト▶製品紹介▶自動車部品▶成形品・シート品からご覧いただけます。

写真のX-TRAIL®に当社製バックドアモジュールが採用されています。X-TRAIL®については、日産自動車株式会社ウェブサイトをご覧ください。http://www2.nissan.co.jp/X-TRAIL/X-TRAIL®は日産自動車株式会社の登録商標です。

国内で初めてバックドアモジュールの樹脂化を実現。自動車の軽量化、低燃費化、デザイン性の向上に貢献。

「デザイン」「安全性」「環境性能」時代が求める自動車のニーズを日立化成の技術が支えています。

材料技術

成形技術

接着技術

活かしたコアコンピタンス

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Annual Report 2016

産業用鉛蓄電池 蓄電システム産業用鉛蓄電池の詳しい紹介は日立化成ウェブサイト▶製品紹介▶蓄電デバイス・システムからご覧いただけます。

マストイムノシステムズⅣの詳しい紹介は日立化成ウェブサイト▶製品紹介▶ライフサイエンス▶診断薬・装置からご覧いただけます。

製品概要:風速の変動によってもたらされる電力網の不安定化を解決します。不規則で頻繁な充放電でも高寿命を達成した鉛蓄電池です。

製品概要:血清を用いてアレルゲン(アレルギーの原因物質)のマーカーを測定します。新規項目として従来のマストイムノシステムズⅢに、花粉・食物アレルギー症候群の原因とされるトマトやモモ、カビの一種であるアスペルギルスを追加し、0.2mLの血清で、医師やアレルギーに悩む患者に対してより多くの検査結果を提供できます。

日立化成の技術が再生可能エネルギーの安定供給と普及に貢献しています。

より多くのアレルゲンの特定をより少ない血清で、より素早く。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

同時多項目アレルゲン特異的IgE 測定試薬マストイムノシステムズⅣ

どこがすごいの?日本初の出力変動緩和型風力発電所の実現に貢献しています。再生可能エネルギーを安定的に提供することができ、信頼性が高まることから、利用拡大に役立っています。

どこがすごいの?合計36項目のアレルゲンを同時に検査できます。アレルギー疾患の診断を助け、患者のクオリティオブライフ(QOL)向上に貢献します。

ライフサイエンス

精製技術

蓄電デバイス技術

評価技術

プロセス技術

活かしたコアコンピタンス

活かしたコアコンピタンス

07

Annual Report 2016

日立化成の特長

革新を支える基盤時代のさまざまな課題に対し、革新的な開発と提案で応え、社会の発展に貢献する数々の材料を世に送り出してきた日立化成。その革新を支える一人ひとりの活動や共通の価値観は、創業の精神により受け継がれています。

不断のイノベーションの精神新事業、新製品創造のためのイノベーションを高スピードで展開して

いる日立化成。グループ・ビジョンの実現をめざして競う全従業員参加

型プログラム「WOWグローバルアワード」などを通じ、挑戦する企業

風土を醸成しています。また、他社の材料を含めて、お客さまが半導

体組み立てや評価を試行できる「オープン・ラボ」の開設など、斬新な

アイデアから生まれた施策を次 と々展開。同時に、世界で戦えるモノ

づくり力を創出するため、全職場で生産効率、業務効率の飛躍的な

向上を図っています。

WOWグローバルアワード2015参加者数

12,343人

開拓者精神

P37 〜 46もご覧ください。

08

Annual Report 2016

徹底した論理思考と「基本と正道」

誠実に論理的に説明のできる判断を行うこと。日立化成が社会から

信頼を得るためには、合理的、論理的思考に裏付けられた果断な行

動が必要であるとともに、基本と正道に徹底した、法令遵守と企業倫

理・道徳の深耕も不可欠です。そのため、従業員へのコンプライアン

ス研修を強化しています。また、「指名委員会等設置会社」の経営シ

ステムを採用し、機動力、客観性および透明性の高い経営を実践す

るとともに、女性や外国籍の社外取締役を登用するなど、取締役の多

様性も確保しています。

2015年度コンプライアンス研修参加者数

3,350人

多様なベクトルを束ねる対話の風土国内外のさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションに取り

組み、公正で透明な経営を実践すること。海外売上収益、外国籍

社員がともに50%を超えた今、ダイバーシティを進め、競争力を強化

しています。多様なベクトルを束ねていくためには、違いを言葉に表

し顕在化させ、徹底したコミュニケーション、対話をすることが必要。

対話のスキルを磨くために2012年度から開始した「グローバル・コー

チングプログラム」もその施策の一つです。

2015年度グローバル・コーチングプログラム参加者数

1,506人

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

09

Annual Report 2016

At a Glance

財務・非財務ハイライト

2010年度(日本基準)

2011年度(日本基準)

2012年度(日本基準)

2013年度(IFRS)※1

2014年度(IFRS)※2

2015年度(IFRS)

財務

売上収益(百万円) 497,452 473,069 464,655 488,725 526,687 546,468

機能材料セグメント(百万円)※3 – 244,855 245,157 261,179 277,127 269,769

先端部品・システムセグメント(百万円)※3 – 228,214 219,498 227,546 249,560 276,699

海外売上収益比率(%) 43.4 42.4 46.7 51.1 53.6 58.3

営業利益(百万円) 43,471 24,495 23,559 36,569 29,226 53,036

売上収益営業利益率(%) 8.7 5.2 5.1 7.5 5.5 9.7

機能材料セグメント(%)※3 – 8.2 8.7 9.8 8.5 14.3

先端部品・システムセグメント(%)※3 – 1.9 1.0 4.8 2.3 5.2

当期利益(親会社株主持分)(百万円) 18,943 16,427 18,818 29,464 22,587 38,512

売上収益当期利益率(%) 3.8 3.5 4.0 6.0 4.3 7.0

自己資本当期利益率(ROE)(%) 7.0 5.9 6.4 9.9 6.8 10.9

総資産当期利益率(ROA)(%) 4.4 3.8 4.1 6.2 4.4 7.1

自己資本有利子負債比率(DER)(倍) 0.1 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2

研究開発費(百万円) 26,382 25,680 25,534 26,234 26,920 27,816

売上収益研究開発費比率(%) 5.3 5.4 5.5 5.4 5.1 5.1

資本的支出(百万円) 30,432 37,347 46,698 31,935 26,620 32,022

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) 44,015 42,072 47,931 50,357 34,009 95,069

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) △ 35,748 △ 67,202 △ 53,182 △ 37,099 △ 22,258 △ 35,663

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) △ 6,823 4,611 △ 2,867 △ 2,374 △ 16,874 △ 22,123

現金及び現金同等物の期末残高(百万円) 96,775 76,318 73,978 87,652 88,997 119,988

※1:2013年度よりIFRSのデータを使用しています。※2:ロイヤリティなど区分変更※3:機能材料セグメント:電子材料、無機材料、樹脂材料、配線板材料など  先端部品・システムセグメント:自動車部品、蓄電デバイス・システム、電子部品など

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売上収益/売上収益営業利益率

売上収益 売上収益営業利益率IFRS

(年度) (年度)

日本基準

当期利益(親会社株主持分)/自己資本当期利益率(ROE)

201520142013201220112010 201520142013201220112010

当期利益(親会社株主持分) 自己資本当期利益率(ROE)IFRS日本基準

(百万円) (%) (百万円) (%)

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Annual Report 2016

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

※4:第三者保証の対象についてはESG 情報への第三者保証(P.02)をご参照ください。※5:主要製造サイトを対象としています。 ※6:事業継続計画※7:単独、すべて当該年度の6月末日現在、2016 年 6月末日は11(5/1/2)名

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温室効果ガス排出量※5/温室効果ガス排出量生産高原単位※5 

女性管理職数/女性プレ管理職数/女性管理職比率

2015201420132012201120102010 2011 2012 2013 2014 2015

女性管理職数女性管理職比率温室効果ガス排出量

女性プレ管理職数(係長相当職)温室効果ガス排出量生産高原単位

(人)(千トン-CO2e)

(年度) (年度)

(トン-CO2e/百万円) (%)

※当社単独

2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度

非財務※4

環境適合製品売上収益比率 (%) 87 85 85 84 99 98

環境投資額(億円) 17.8 12.3 4.6 6.2 6.1 5.0

エネルギー使用量(TJ)※5 8,678 9,481 9,043 8,630 9,369 8,497

温室効果ガス排出量(千トン-CO2e)※5 491 446 474 495 541 482

温室効果ガス排出量生産高原単位(トン-CO2e/百万円)※5 1.33 1.17 1.27 1.43 1.40 1.32

水資源投入量(千m3)※5 12,394 12,537 11,371 10,970 10,672 9,711

VOC(揮発性有機化合物)排出量(トン)※5 514 531 518 506 577 519

化学物質管理システム構築済み会社数(社) – 1 1 1 16 38

サプライヤー監査数(社) – – 96 89 73 137

従業員数(うち 日本以外)(人) 15,930(5,012) 16,713(5,868) 17,732(6,963) 18,149(7,530) 19,499(10,207) 19,117(9,920)

女性管理職比率(単独) (%) 1.1 1.1 1.8 1.9 2.0 2.7

グローバル・コーチングプログラム参加者数(人) – – 1,752 2,370 2,394 1,506

労働災害度数率(国内連結) 0.43 0.15 0.25 0.34 0.09 0.10

労働災害強度率(国内連結) 0.04 0.009 0.011 0.003 0.001 0.005

BCP※6幹部向け模擬訓練参加者数(人) 72 42 77 71 72 73

コンプライアンス研修参加者数(人) 981 1,288 1,774 2,072 3,137 3,350

特許出願件数(うち 日本以外)(件) 1,486(698) 1,657(816) 1,451(724) 1,392(727) 1,452(651) 1,493(576)

特許権の保有件数(うち 日本以外)(件) 3,691(1,734) 4,245(2,040) 4,545(2,174) 4,988(2,406) 5,501(2,518) 6,429(2,999)

社会貢献支出額(百万円) 67 90 111 103 107 156

取締役数(うち 社外/女性/外国人) (名)※7 8(4/0/0) 8(4/0/0) 7(4/0/0) 8(5/1/0) 9(6/1/1) 9(6/1/1)

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Annual Report 2016

At a Glance

2015ハイライト

ニュースリリース(抜粋)で見る日立化成の1年

2015年4月 5月 6月 7月 8月 9月

車載対応はんだクラック抑制基板材料TD-002で「第11回JPCA賞(アワード)」を受賞自動車電子装置の高密度化が進むなか、独自のポリマーブレンド技術を駆使して、厳しい温度環境下でもはんだ接合部の高い信頼性を維持し、クラックの発生を防止することができる基板材料を開発しました。2015年6月1日発表

ミラノ万博アメリカ館の屋根、 調光フィルムを採用したガラスで濃淡変化を演出電圧で透明度を調整できる広幅・長尺の「調光フィルム」の製品化に成功。イタリア・ミラノで開催された万博のアメリカ館の屋根に、このフィルムを組み込んだガラス板が採用されました。さまざまな分野への展開が期待されます。2015年8月6日発表

再生可能エネルギー先進国ドイツでエネルギー地産地消型の実証事業を開始スピーディーな充放電が得意なリチウムイオン電池と低コストの鉛蓄電池を組み合わせたハイブリッド蓄電システムを太陽光発電パネルと組み合わせ、太陽光で発電した電力を地域コミュニティで効率的に利用できるシステムの実証事業に参画しました。2015年7月24日発表

ガラパゴス諸島の環境保全につながるハイブリッド蓄電システムを受注鉛蓄電池とリチウムイオン電池を使ったハイブリッド蓄電システムを太陽光・風力・バイオ燃料発電装置と組み合わせることにより、化石燃料に頼らない、環境保全に貢献する電力供給システムを受注しました。2015年8月31日発表

先端部品・システムセグメント

売上収益

50.6%2,767億円(前年度比111%)

営業利益

27.2%144億円(前年度比246%)

自動車部品は、樹脂成形品、粉末冶金製品が海外子会社の売上増により増収しました。また、蓄電デバイス・システムは、車両用電池が国内外での補修用途向けの売上増により増収し、産業用電池も台湾神戸電池の連結子会社化により増収しました。

機能材料セグメント

売上収益

49.4%2,698億円(前年度比97%)

営業利益

72.8%386億円(前年度比164%)

半導体用ダイボンディング材料、CMPスラリーおよび銅張積層板は、スマートフォン向けなどが増収しました。樹脂材料も、台湾日邦樹脂の連結子会社化により増収しました。一方、リチウムイオン電池用カーボン負極材は、環境対応自動車向けが、また、ディスプレイ用回路接続フィルムは、タブレットPC向けなどが減収しました。

2015年度セグメント別

売上収益と営業利益

バックドアモジュール

プリント配線板用銅張積層板

CMPスラリー

ANISOLM

リチウムイオン電池用カーボン負極材

小形蓄電池

MAST Ⅳ 測定試薬

12

Annual Report 2016

2016年10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月

半導体パッケージ基板材料における主要技術の基本特許網を構築半導体の高機能化が進む反面、半導体のパッケージはできるだけ小型化、薄型化が求められています。独自に開発した特殊樹脂を使い、薄くても半導体パッケージの欠陥の原因になる「反り」を抑える材料を開発し、日本や海外で強力な特許網を構築しました。2016年1月21日発表

日立ラップ ブルータイプが「PVC DESIGN AWARD 2015」大賞を受賞食品中に誤って包装用フィルムが混入しても見つけやすいよう、青色に彩色した「日立ラップ ブルータイプ」が、「安心・安全・快適」の観点から評価され、栄誉ある賞を受けることができました。2015年11月20日発表

環境省のJCMプロジェクト設備補助事業に採択日本で開発した新しい鉛蓄電池の製造設備をベトナムのグループ会社の工場に導入し、蓄電池生産時の電力使用量の抑制と液化石油ガスの使用をゼロにすることで、CO2の発生量を年間2,880トン削減するとともに、水使用量の削減にもつなげます。2015年12月7日発表

がん免疫療法をはじめとする再生医療用細胞などの受託製造事業に参入再生医療市場の急速な拡大に対応するため、米国PCT社(本社:ニュージャージー州)への出資と技術提携によって、2018年度をめどに、国内向けに再生医療用細胞の受託製造事業に参入します。2016年3月15日発表

ニュースリリースは日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶ニュースリリースよりご覧いただけます。

■ アジア売上収益

47.2%2,579億円

(前年度比108%)

従業員数

48.8%9,327人(前年度比97%)

■ その他売上収益

11.1%609億円(前年度比143%)

従業員数

3.1%593人

(前年度比103%)

■ 日本売上収益

41.7%2,277億円

(前年度比93%)

従業員数

48.1%9,197人

(前年度比99%)

2015年度地域別

売上収益と従業員数

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

13

Annual Report 2016

Our Strategy ─戦略─ トップメッセージ

日立化成株式会社代表執行役 執行役社長

化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業へ

14

Annual Report 2016

 この度、執行役社長の大役を拝命しました。先人たちが築いてきた礎の上

に、新たな成長を積み上げるため、誠心誠意、社業の発展に努めていきます。

 2015年度、当社では議論を重ねて「10年後のありたい姿」を描き、その実

現のための「10年戦略」を策定しました。

 「10 年後のありたい姿」としては、コアコンピタンスである多彩な基盤技術、

すなわち材料技術、プロセス技術、評価技術をベースに、デバイス、システムか

らサービスに至るまでグローバルに事業を展開する、化学を超えたイノベー

ション・プロバイダー企業になることを掲げました。また、14%超の営業利益

率を安定して創出する企業に成長させることを目標としています。

 「10年戦略」の策定にあたっては、どの分野で事業を展開するかというプレー

イングフィールドの設定から改めて取り組みました。「農業」「社会インフラ」な

ど、我々の現在の事業領域から離れた産業を含めて、マクロな視点から中長期的

な環境変化や市場動向を分析し、将来においてより多くの製品・サービスが求め

られる分野を探りました。そこから見えてきた「QOL(クオリティオブライフ)向

上」「サステナブル環境実現」を、これから日立化成グループが事業活動を通じて

実現していく「価値」と定めました。そして、機能材料、自動車部材、蓄電システム、

ライフサイエンスを当社の重点注力事業とし、前中期経営計画の省察に基づき、

これまでとは違ったアプローチで事業を変革していくことを強く打ち出していま

す。事業環境のボーダレス化が進むなかで、差別化された材料をベストプロダク

トとして提供するだけでなく、新たな事業を構想する力(ビジネスデザイン)を強

化し、従来の延長線上にない成長を実現していきたいと考えています。

 こうした「10年戦略」を実行するに際して、3年後の到達点を示した「2018

中期経営計画」を策定しました。今回の中期経営計画の特徴は、上意下達では

なく、従業員の主体性を重視している点にあります。短期的な目標にとらわれ

ず、着実に「10年後のありたい姿」へと向かっていくために、ワークショップな

どを通じて、従業員一人ひとりに中期経営計画のコンセプトを徹底的に理解さ

せ、自分の業務への落とし込みを行っています。

丸山 寿 略歴1983年入社、法務部門、米国留学を経て社長室広報・IR担当部長、コーポレート戦略室長、日立製作所への出向、自動車部品事業部を経て2011年4月に執行役 CSR統括部副統括部長、2014年4月に執行役 CSR統括部長、2015年4月に執行役常務 経営戦略本部長。2016年4月に代表執行役 執行役社長(現任)、同年6月に取締役(現任)に就任。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

コアコンピタンスは、P.03をご参照ください。

「10年戦略」は、P.21-24をご参照ください。

マクロ環境予測、注力ビジネス、戦い方の変革は、P.23-24をご参照ください。

ビジネスデザインは、P.24をご参照ください。

Profile

「10年後のありたい姿」へ向けた「10年戦略」

15

Annual Report 2016

ステークホルダーとの協創を推進 世界的に経済の安定成長を見込むことが困難ななかで、企業が成長を続け

るためにはイノベーションの創出が必須になっています。技術が高度化し、ライ

フサイクルもどんどん短くなる昨今、真のイノベーションを成し遂げるには、自

分たちの頭の中だけでなく、外部のリソースを取り入れ、斬新な発想の下で他

社に先駆けた新事業を生み出していかなければなりません。

 日立化成は、「2018中期経営計画」の重点戦略の一つに「オープン・イノベー

ション」を掲げています。2016年4月にはイノベーション推進本部を設置し、将

来の非連続成長に必要な基盤技術開発をめざして、さまざまな取り組みを行っ

ています。次世代の半導体実装技術開発にお客さまや装置メーカーの皆さまと

一緒に取り組むために、2014年度に開設した「オープン・ラボ」もその一環です。

 この活動を通じて、これからの実装材料をリードするテーマ、あるいは実装技術

に関するソリューションを見出す場を構築しています。すでに「これまで1年かかっ

ていた材料の認定が2カ月で完了した」といった直接的な効果も出ていますし、装

置メーカーからも最新の設備を無償で提供したいという申し出を受けるなど、大

いに手ごたえを感じています。

 その他、「不断のイノベーション」を創出する手法として、米国のベンチャーキャ

ピタルとの連携も進めています。役員クラスの人財をリーダーとした技術探索

チームを米国に派遣し、収集した膨大な情報から、日立化成にとって将来パート

ナーとなり得る企業や価値のある技術を発掘し、ライセンスの取得や共同開発、

M&Aなどを推進しています。これまでのような過度な自前主義を脱し、最先端技

術をスピーディーに取り込み、新事業・新製品の創出につなげていきたいと考え

ています。

 さらに日立化成は、経営基盤の強化と新事業・新製品の立ち上げを促進させる

「不断のイノベーション」へ向けて多彩なリソースを活用します

オープン・イノベーションはP.26をご参照ください。

2012→15年度の実績 2015年度の実績2015→18年度の目標 2018年度の目標

Our Strategy ─戦略─

売上収益 年平均成長率 売上収益営業利益率

2018中期経営計画 目標値

5.6% 9.7%7〜8% 11%

オープン・ラボ開発統括本部内に、半導体に関する最新の実装・評価装置を用意。お客さまは、日立化成以外の他社の製品も含めて、実装・解析することができます。多彩な材料ラインアップでいろいろな組み合わせを試すことができる上、新しい材料やプロセスをタイムリーに提案することで、開発期間を大幅に短縮できます。

16

Annual Report 2016

ためにグループ再編にも取り組んでいます。2015年度には蓄電デバイス・シス

テムと合成樹脂製品を生産していた新神戸電機を当社に統合しました。蓄電デ

バイスなどに特化した新神戸電機とさまざまな部材の評価技術を持つ日立化成

が一体となったことで、製品開発のスピードが上がり、これまでにない優れた耐久

性、充電受入性能を実現したISS (Idling Stop System)車用次世代バッテリー

の新モデルを2016年6月に発売することができました。ISS車は海外でも市場が

拡大しており、当社のポジションをさらに高める新製品として期待しています。

効率的な投資を積極的に展開 M&Aをはじめとする投資については、ROIC(投下資本利益率)などを指標に

用い、効率的に進めていきます。当社では現在、事業分野ごとに「競合他社平均

のROICをベンチマークとして投資計画を機動的に変更する」というルールを実

行しています。この結果、2015年度は、当初440億円を目標に掲げましたが、

実績としては300億円台にとどまりました。今後は、グループの成長を加速させ

るため、強みのさらなる強化や弱みの補完などの視点から「会社を買う」「技術を

買う」といった投資をこれまで以上に積極的に行っていきます。「2018中期経営

計画」では、新規事業分野も含めて、1,000億円規模の大型M&A案件も視野に

入れ、非連続成長をめざすとともに、既存事業においても成長分野への設備投

資を強化します。

「基本と正道」を徹底させるために 当社は、2015年度に「経営の基本方針」について、取締役会で改めて議論を

重ね、見直しました。ここでは、あらゆるステークホルダーに対して価値を創造

する経営を実践し、責任を果たすことを宣言しています。

大型M&Aを含めた積極投資による成長も

加速させます

ISS車用次世代バッテリーの新モデルはP.34をご参照ください。

投資戦略はP.27をご参照ください。

2015年度の実績 2018年度の目標

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

ROIC(投下資本利益率)

12.7% 15%

17

Annual Report 2016

 2016年3月、当社グループの日立エーアイシー株式会社が、過年度におけ

るアルミ電解コンデンサの取引に関して独占禁止法に反する行為を行ってい

た事実が公正取引委員会により確認されました。また、4月には米国の司法

省との間で、罰金の支払いなどを内容とする司法取引に合意いたしました。ス

テークホルダーの皆さまに、ご心配とご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申

し上げます。今後、このような重大な法令違反を発生させることがないよう、

グループを挙げて再発防止策の徹底とコンプライアンス体制の強化に努め

てまいります。

 私は透明さが公正な経営につながると考えています。常に変化しているグ

ローバル社会の中でビジネスを進めていく上で、法令のみならず企業倫理を

守ることは、企業活動の最低条件ととらえています。グループマネジメントと

して、「経営の基本方針」に基づいた日立化成のさまざまなルールを日立化成

グループ全体に浸透させ、さらにグループガバナンスを強化していきます。

親会社との相互に良好な関係 「経営の基本方針」には、株主・投資家の皆さまから質問を受けることの多い、

親会社、日立製作所との関係についても定めています。一方、少数株主や外国

人株主などの平等性を確保することも大きな課題となるので、この点について

も十分に配慮しています。親会社との関係について聞かれたとき、私はいつも

「非常にコンフォタブルな関係です」と答えています。なぜなら我々は日立グ

ループの優れた研究開発リソースなどの経営資源を利用することができ、しか

もそこから生まれた成果は、当社の寄与度に応じて自由に活用することができ

るからです。さらに「日立」ブランドは、特に海外でのビジネスを進める場面で

は、力強く後押ししてくれる非常に重要な武器になっています。

「基本と正道」の徹底のため 透明で公正な経営を 実現させます

親会社との関係についてはP.46をご参照ください。

Our Strategy ─戦略─

2015年度の実績 2018年度の目標

10.9% 12%ROE(自己資本当期利益率)

2018中期経営計画 目標値

再発防止策の徹底とコンプライアンス体制の強化についてはP.42をご参照ください。

18

Annual Report 2016

日立化成グループの新たな歴史へ 「10年戦略」を基にした日立化成グループの持続的な成長を実現するため

に、原理原則を重視した、論理的な思考に徹した経営が求められます。その経

営判断が「十分な情報量に基づいており、世間の常識に照らして、合理的であ

る」と誰もが理解できる論理性を備えているかを常に問い続けています。

 ESG(環境・社会・ガバナンス)の課題へ適切に取り組むことも重要です。当社

は従来、ESGについての目標達成状況を毎年4月に開催する「グループ環境・

CSR会議」において確認してきましたが、2016年度からは、新たなステップと

して、一部の目標については「2018中期経営計画」の中で事業活動の目標と

ともに管理していくことにしました。他社でもまだあまり例がないアプローチ

で難題も多くありますが、何とか軌道に乗せたいと思っています。

 また、グローバル企業としての成長のためには、「グローバル経営インフラ」

の確立も必要です。当社は、すでにグループ会社の70%以上が日本以外の

会社で、全従業員約19,000人のうち約10,000人が日本以外の国籍です。

こうしたなか、グローバルベースでの本社機能や体制の整備・確立が課題に

なっており、議論を進めています。

 グローバル化のなかで重要性が高まるのがコミュニケーションの活性化で

す。国籍や性別などにとらわれることがないダイバーシティ経営を推進するこ

とは、進化の根源であり企業の競争力強化に欠かすことのできない戦略です。

私は、その実現のためにはコミュニケーションの強化が不可欠だと考えていま

す。これからは、対話や情報発信の数を求める段階から質を大切にする段階へ

と進化させ、日立化成グループの新たな発展の歴史を創り上げていきます。

原理原則を重視する経営で持続的な

成長をめざします

ESGマネジメントはP.37-46をご参照ください。

ダイバーシティの推進やグローバルな人財育成・評価はP.39をご参照ください。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

※1: 生産高原単位ベース。国内主要製造拠点(グループ会社含む)を対象として算出 ※2: 2014年度実績にて算出 ※3: 単独、45歳未満を対象として算出

2015年度の実績 2015年度の実績2018年度の目標 2018年度の目標

106%※2 10.4%96% 12%(2012年度比) (2014年度比)

CO2排出量※1 女性管理職比率※3

Mission

Values

Hitachi ChemicalVision

ガバナンスの強化

コンプライアンスの徹底

環境経営の実践

リスクマネジメントの強化

研究開発戦略

WOW-BB活動

知的財産戦略

地域社会への貢献

労働安全衛生の推進

ダイバーシティの推進

品質マネジメントの強化サプライチェーンマネジメント

グローバルな人財育成・評価

オープン・イノベーションの推進

サステナブルエンジニアリング

の推進

多彩な「基盤技術」

革新を支える活動

注力ビジネスコアコンピタンス

・機能を生み出す「材料技術」・製品に仕上げる「プロセス技術」・ニーズを翻訳する「評価技術」

新技術を製品価値につなげる「ビジネスデザイン」

機能材料

自動車部材

蓄電システム

ライフサイエンス

日立化成グループ・ビジョン。私たちは、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、

化学を超えた「新たな価値」を創造し、社会やお客さまの期待を超える「驚き」を実現します

市場の競争環境を踏まえて、社会やお客さまへ提供できる価値を見出し、継続的に提供できる仕組みをつくって、事業として成り立たせる

事業の継続・成長を実現するために、日立化成グループ・アイデンティティに基づき、ステークホルダーのニーズに応えながらさまざまな活動に取り組んでいます。2015 年度における代表的な取り組みは、P.29~46「Our Initiatives‒挑戦‒」をご参照ください。また、詳細はウェブサイトよりご覧ください。

19

Annual Report 2016

Our Strategy ─戦略─

価値創造プロセスビジョン実現のための価値創造全体像日立化成は、日立化成グループ・ビジョンを実現するため、不断のイノベーションを進めています。保有する基盤技術とビジネスデザイン力をコアコンピタンスとし、革新を支えるさまざまな活動を着実に進めていくことで、4つの注力ビジネスで価値を創造し、驚きを実現していきます。

Mission

Values

Hitachi ChemicalVision

ガバナンスの強化

コンプライアンスの徹底

環境経営の実践

リスクマネジメントの強化

研究開発戦略

WOW-BB活動

知的財産戦略

地域社会への貢献

労働安全衛生の推進

ダイバーシティの推進

品質マネジメントの強化サプライチェーンマネジメント

グローバルな人財育成・評価

オープン・イノベーションの推進

サステナブルエンジニアリング

の推進

多彩な「基盤技術」

革新を支える活動

注力ビジネスコアコンピタンス

・機能を生み出す「材料技術」・製品に仕上げる「プロセス技術」・ニーズを翻訳する「評価技術」

新技術を製品価値につなげる「ビジネスデザイン」

機能材料

自動車部材

蓄電システム

ライフサイエンス

日立化成グループ・ビジョン。私たちは、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神をもって、

化学を超えた「新たな価値」を創造し、社会やお客さまの期待を超える「驚き」を実現します

市場の競争環境を踏まえて、社会やお客さまへ提供できる価値を見出し、継続的に提供できる仕組みをつくって、事業として成り立たせる

事業の継続・成長を実現するために、日立化成グループ・アイデンティティに基づき、ステークホルダーのニーズに応えながらさまざまな活動に取り組んでいます。2015 年度における代表的な取り組みは、P.29~46「Our Initiatives‒挑戦‒」をご参照ください。また、詳細はウェブサイトよりご覧ください。

20

Annual Report 2016

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

21

Annual Report 2016

10年戦略

3カ年中計バックキャステ

ィング

2015年

2025年10年後のありたい姿

(2016-2018)

2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024

2018年

Our Strategy ─戦略─

戦略の全体像「10年後のありたい姿」からのバックキャスティング

次の50年に向かう第一歩として、「10年後のありたい姿」を描き、それを実現させるための「10年戦略」を策定しました。そこから、バックキャストし、3年後の到達点として打ち出したのが「2018中期経営計画」です。今後はこの3カ年中期経営計画の進捗について、定期的にギャップマネジメントを行い、年次計画を見直していく予定です。また、マテリアリティの視点から優先課題を洗い出し、活動につなげていきます。

「10年戦略」策定プロセスの特徴 日立化成は、2012年の創立50周年に、「次の50年は何をめざすのか、そしてそれにどう向かい合っていくのか」を「未来に向けたマネジメント・メッセージ」としてまとめ、全従業員と共有しました。そして、翌年、「日立化成グループ・アイデンティティ」を規定し、日立化成グループ・ビジョンの実現に向けた活動として、WOW-BB活動を開始しました。「WOWグローバルアワード」で挑戦する企業風土を醸成するとともに、次の50年に向かう第一歩として「10年後のありたい姿」を描き、それを実現させるための「10年戦略」を策定しました。

日立化成のマテリアリティ 日立化成は、2014年度からマテリアリティ分析を行っています。「2018中期経営計画」の策定に合わせ、2015年度から2016年度にかけてマテリアリティ分析の見直しを行いました。

※1: 評価の対象期間は「2018中期経営計画」に合わせ、2018年度までとした※2: 売上収益の拡大、営業利益率の向上、グローバル事業の強化、経営基盤の強化

などを評価軸として設定※3: 株主・投資家、お客さま、お取引先、従業員、地域社会、地球環境、政府・行政など

のステークホルダーを評価軸として設定 

Step1

・国内外のESGトレンドを分析し、事業戦略との関連性の観点から、日立化成にとっての重要な課題を特定

・ 外部有識者によるレビュー

課題の特定

Step2

・ビジネス※2およびステークホルダー※3の観点から、Step1で整理した各課題の重要度を執行役が評価

・ マトリックス(右図参照)を活用した各課題の優先順位付け

優先度評価※1

Step3

・ 常務以上の執行役および経営戦略および財務管掌の執行役が出席する経営戦略会議での検討、承認

経営層による承認

「未来に向けたマネジメント・メッセージ」は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報→社会性報告▶ステークホルダー・エンゲージメント▶ステークホルダーダイアログ▶「50年のその先へ」よりご覧いただけます。

「WOWグローバルアワード」は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶従業員とともに▶従業員とのコミュニケーションよりご覧いただけます。

「10年戦略」はP.23-24をご参照ください。

22

Annual Report 2016

10年戦略

3カ年中計バックキャステ

ィング

2015年

2025年10年後のありたい姿

(2016-2018)

2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024

2018年

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶ガバナンス報告とCSRの考え方▶日立化成グループの価値創造とマテリアリティよりご覧いただけます。

1 新事業・新製品の創生 2 グローバルな事業展開の強化 3 マーケティング力の強化による、顧客課題・社会的課題の解決 4 社会課題の解決に資する技術と製品の開発 5 現地化の推進による迅速な意思決定と顧客課題の解決 6 戦略的アライアンスとM&Aの実行 7 ニッチ&クラスター型事業構造への変革 8 材料技術力の強化 9 生産性の向上 10 シナジー効果の向上

11 サプライチェーンマネジメントの強化 12 多様性を活かすグローバル人財マネジメント 13 オープン・イノベーションの推進 14 コンプライアンス意識の醸成 15 顧客満足の追求 16 品質マネジメントの強化 17 事業継続マネジメント(BCM) 18 中長期を見据えたチャレンジ「WOW-BB活動」の推進 19 安全で使いやすい製品の開発・提供 20 製品・サービスに関する正確な情報提供

21 知的財産戦略の推進 22 グローバル社会の期待に応えるマネジメント品質の向上 23 モノづくりにおける環境配慮 24 コーポレート・ガバナンスの強化 25 適切な情報開示による経営の透明性向上 26 ステークホルダーとの双方向コミュニケーション 27 調達における公正競争条件の確保/サプライヤーとの

公正なパートナーシップ 28 サステナブルエンジニアリングの推進と強化 29 顧客情報管理の徹底 30 戦略的な社会貢献活動による社会課題の解決 31 公正で公平な就労機会・労働条件の実現 32 労働安全衛生マネジメント 33 地球温暖化の防止 34 資源の循環的利用 35 コミュニティとの中長期的な関係構築 36 生態系の保全

高い

非常に高い

非常に高いビジネスにとっての重要度

ステークホルダーにとっての重要度

14

15

1617

18

19

20

21

22

242526

28

303134

35

36

12

3

4

5

67

8

91011

1213

23

27

2932

33

23

Annual Report 2016

Our Strategy ─戦略─

10年戦略日立化成は、日立化成グループ・ビジョン実現のため、長期的視点で「10年後のありたい姿」を描き、それを実現させるための10年戦略を策定しました。

業界トレンド

必要機能

実現価値

事業形態

注力ビジネス

日立化成

マクロ環境予測

エレクトロニクス 自動車・航空機 環境・エネルギー 社会インフラ(建築) 農業 ライフサイエンス

高効率

クオリティオブライフ(QOL)向上

サステナブル環境実現

スマート

材料 部品・デバイス

コアコンピタンス:多彩な基盤技術 + ビジネスデザイン

システム・サービス

実装材料

高機能樹脂

ライフサイエンス 異方導電フィルム 負極材CMPスラリー

■ トータルソリューションの提供によるデファクトスタンダード化

自動車部材■ 欧米メーカーへの参入

蓄電システム■ グローバル化■ システム提案

■ 事業地域の拡大(欧米) ■ 高機能樹脂ラインアップ拡大

■ 高速化 ■ 軽量化 ■ 無駄がない ■ 個別化 ■ 多様化■ つながる化

■ センサーの発展 メモリーの3D化、■ 新メモリー台頭■ 半導体・ディスプレイ バリューチェーン変革

■ 自動車の仕組みの 変化■ 自動車の作られ方の 変化■ 航空機の技術革新 進展

■ 非在来化石資源の 台頭■ 脱 /低炭素社会の 実現■ 資源・エネルギー 有効活用

■ 先進国における サステナブル・ コンストラクション■ 新興国における 建設拡大

■ 規模・効率性の さらなる追求■ 環境・安全への 取り組み

■ 医療フロンティアの 拡大■ 医療の質向上■ 医療の規模拡大

高機能材料を基軸にデバイス、システム/サービスまでグローバルに事業を展開する化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業

グローバルで存在感のあるイノベーション・プロバイダーとして他社がなしえない高付加価値ソリューション提供を通じ

グローバル競争を勝ち抜くパフォーマンスを発揮

これからの注力ビジネス 中長期的な環境変化や主要業界のトレンドなどを分析した結果、「高効率」「スマート」が今後の市場において重要視される機能と位置付けました。また、コアコンピタンスである多彩なコア技術力を活用し、材料、部品・デバイ

ス、さらにはシステム・サービスといった、よりお客さまのニーズに沿ったかたちでのソリューション提供を通じ、機能材料、自動車部材、蓄電システム、ライフサイエンスなどの注力ビジネスを推進していきます。

10年後のありたい姿

営業利益率14%超

2015 ➡ 2025 成長目標

24

Annual Report 2016

ESG経営の推進

長期の成長マイルストーン

事業環境変化をとらえた戦い方の変革

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

ビジネスデザインビジネスデザインは、新事業を創出するときに必要となる考え方です。社会潮流や注目する業界の動向、顧客情報とともに、当社グループ内外の技術シーズを加味して抽出した新製品、新事業のアイデアについて、①市場の競争環境を理解し、②当社が提供する「価値」を設計するとともに、③利益拡大のための仕組みを設計するプロセスです。

LiBLithium-ion Rechargeable Battery

(リチウムイオン電池)のことです。

ESGマネジメントはP.37-46をご参照ください。

マテリアリティ分析はP.22をご参照ください。

「10年戦略」の説明資料は日立化成ウェブサイト▶株主・投資家向け情報▶決算説明会資料▶2015年度決算及び中期経営計画説明会に掲載しています。

ESG経営の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報よりご覧いただけます。

今まで

・ステークホルダーにとっての重要度・事業運営における重要度

マテリアリティ分析を行い双方の視点からESGへ取り組む

これから

上記に加えて、国連「持続可能な開発目標(SDGs)」も考慮しさらに取り組みを充実させるとともに、適時・適切に情報開示を行う

環境(E) 社会(S) ガバナンス(G)

・カーボンマネジメント (CO2排出量削減)・廃棄物の削減・水使用量の削減・サステナブルエンジニアリン

グの推進

・ダイバーシティの推進・労働安全衛生の推進・人権の尊重・地域社会貢献活動の推進

・株主の権利・平等性の確保・ステークホルダーとの 適切な協働・適切な情報開示と透明性の 確保・取締役会などの責務・株主との対話

機能材料(実装材料・高機能樹脂など)

短期(1~3年後) 中期(4~6年後) 長期(7年後~)

製品サイクルが早いが短中期的にキャッシュを生み出せる分野

自動車部材今後10 年の安定成長を支え、部材の新ビジネス機会が多い分野

蓄電システムグローバル展開に伴う事業拡大により基幹事業に成長できる分野

ライフサイエンス10年後の成長に貢献する長期スパンで仕掛ける分野

● 実装材料強化●トップシェア製品強化

仕込み

仕込み

仕込み

● グローバル展開加速● 収益基盤強化

● グローバル展開加速● 収益基盤強化

● 事業基盤強化

遺伝子診断再生医療

鉛/LiB(ハイブリッド)蓄電システムエネルギー マネジメントシステム新エネルギー (水素・風力)用素材

軽量化部材接着剤

熱マネジメント部材IoT関連部材

新しいエレクトロニクス・デバイス用高機能品

(3次元など 次世代実装用材料)

今まで これから

事業環境日本企業の市場牽引 ビジネスのボーダレス化

提供価値 差別化された材料 ソリューション機能

ビジネススタイル

材料特性・プロセスの差別化 より高い参入障壁の構築

コアコンピタンス

機能を生み出す「材料技術」製品に仕上げる「プロセス技術」ニーズを翻訳する「評価技術」

真のニーズを見出す力ビジネスをデザインする力

勝ち組顧客との連携が重要

ベストプロダクトの提案

多彩な基盤技術

グローバル・多面的なアプローチが不可欠

ビジネスモデルの提案

ビジネスの構想力

多彩な基盤技術+

25

Annual Report 2016

Our Strategy ─戦略─

2018中期経営計画(2016〜2018年度)「10年後のありたい姿」の実現に向け、日立化成グループを新たな軌道に乗せるために最初の3年間に取り組む「2018中期経営計画」を策定しました。

2022-2024中期経営計画

2019-2021中期経営計画

グローバル事業の強化ニッチ&クラスター戦略 ニッチ&クラスター型事業構造への変革を通じて、戦略的に強化すべき事業へのリソースの徹底集中を図ることにより、グローバルトップシェア事業を育成していきます。強化戦略が描けない製品・事業はノンコアとして撤退を検討します。

2018中期経営計画

グローバル事業の強化●戦い方の変革によるトップシェア事業の育成●オープン・イノベーションを中心とした事業化の加速

経営基盤の強化●グローバル経営インフラの構築●グローバル先進クラスのコスト構造の確立

ニッチ利益率が高く、戦略的意義から規模が小さくても継続すべき事業と位置付けています。

クラスターグループ化により、グローバルで勝つための戦略を共有できる事業グループと位置付けています。

「2018中期経営計画」の説明資料は日立化成ウェブサイト▶株主・投資家向け情報▶決算説明会資料▶2015年度決算及び中期経営計画説明会に掲載しています。

各製品の詳細は日立化成ウェブサイト▶製品紹介よりご覧いただけます。

市場成長性

(高)

(低)

成長・拡大

仕込み

投資事業領域 成長事業領域

育成・成長

低収益事業・ノンコア事業の撤退検討

(低) (高)収益性

新規クラスター

高機能樹脂クラスター

実装材料クラスター

銀ペースト

新規樹脂硬化剤 接着剤

コーティングレジン

ワニス etc.

ダイアタッチフィルム

高機能パッケージ材料

感光材

封止材etc.

異方導電フィルム

CMPスラリー

D事業

ニッチ事業

C事業

A事業

B事業

etc.

負極材

事業再構築領域 成熟事業領域

10年後のありたい姿

26

Annual Report 2016

2018中期経営計画(2016〜2018年度)

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

グローバル事業の強化オープン・イノベーションを中心とした事業化の加速 日立化成は、2014年度に、次世代半導体パッケージ用材料の開発を強化するため、「オープン・ラボ」を開設し、お客さま、装置メーカー、同業他社を巻き込んだ新しい研究開発アプローチを行っています。これに加え、イノベーションの創出を加速させる新たなマーケティングの場として、研究開発部門、事業部門、営業部門の連携のもと、日立化成の技術リソースの展示や、お客さまをはじめとするステークホルダーと当社キーマンとの対話を行うための「イノベーションセンタ」を2016年度に開設します。従来の事業領域を超えた幅広い分野において、さまざまなステークホルダーと連携して、「協創マーケティング」を推進し、事業化を加速させていきます。

オープン・イノベーションオープン・イノベーションは、自社内のアイデアや技術だけに依存するのではなく、大学や他社などの外部と協業することで、革新的で新しい価値を創り出すことを目的としています。革新的な技術の取り込みだけでなく、販路や製造場所など、事業化のために最適なリソース(経営資源)を必要なところからタイムリーに確保するための戦略的な手法です。

協創マーケティングビジネスデザインのプロセス全体に関係しており、特にお客さまの隠れたニーズを見出すことや、当社が提供する「価値」を設計する際に、関係するステークホルダーを巻き込みながら創造することをイメージしています。

研究開発戦略はP.41をご参照ください。

「オープン・ラボ」の取り組みはP.15をご参照ください。

研究開発戦略は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶お客さま・お取引先とともに▶お客さま満足の追求よりご覧いただけます。

外部リソースを活用した「協創」により事業化を加速

研究開発の機能強化、外部リソースの活用強化

ベンチャーキャピタルの活用

今まで これから

研究と開発の役割明確化、機能の強化

マーケティング ビジネスデザイン ソリューション具現化 事業化

市場

日立化成

外部リソースの活用 (M&A、技術ライセンス、業務提携など)

協創による新たなマーケティング ソリューションの提供

ベンチャー企業 顧客 同業/競合メーカー

イノベーションセンタ(2016年度 開設) 開発

研究

事業部門

オープン・ラボパッケージングソリューションセンタタッチパネル評価センタ

実装材料分野タッチパネル分野

イノベーション創出を実践する場の強化

R&D機能 R機能R&D機能

D機能既存D機能

研究所コア技術革新センタ

開発統括本部

事業部開発

将来の非連続成長に必要な基盤技術開発

既存事業の拡大を支える新製品開発

■ 技術探索チームの米国派遣■ 外部リソースの探索と協業契約締結

27

Annual Report 2016

Our Strategy ─戦略─

事業分野別の戦略 全事業について、前述のニッチ&クラスター戦略をはじめとする重点戦略・施策を展開し、2018中期経営計画の達成をめざします。

投資戦略

各事業の重点施策はそれぞれ下記のページをご参照ください。機能材料:P.29自動車部材:P.31蓄電システム:P.33ライフサイエンス:P.35

M&Aの考え方はP.16をご参照ください。

UPS(無停電電源装置)とISS(アイドリング・ストップ・システム)はP.33-34をご参照ください。

ニッチ戦略異方導電フィルムやCMPスラリー、リチウムイオン電池用カーボン負極材などが対象です。

クラスター戦略半導体実装材料や高機能樹脂分野などが対象です。

差別化製品戦略小型・軽量・低燃費・電装化に対応した樹脂成形品、機構部品、部材などが対象です。

機能材料 自動車部材

基本方針ニッチ&クラスター戦略による重点事業強化

重点施策ニッチ戦略とクラスター戦略の推進により、グローバルトップ事業を育成する。半導体実装材料クラスターでは、「オープン・ラボ」を主体に次世代実装技術に関する顧客提案力を強化することで、サプライヤーから脱却し、信頼されるパートナーをめざして取り組む。

基本方針グローバルトップサプライヤーになるための基盤強化

重点施策海外開発拠点の拡充、生産合理化によるコスト競争力の強化を図るとともに、グローバルトップレベルの差別化製品戦略を確立する。

蓄電システム ライフサイエンス

基本方針規模拡大によるグローバル市場での地位確立

重点施策自動車用電池では欧州やASEAN での拠点の拡充などによりグローバル需要獲得をめざす。産業用電池では再生可能エネルギーなどの電力系統安定化装置向け電池や、フォークリフトをはじめとする移動体用電池など伸び筋分野でのグローバル需要獲得を強化する。

基本方針材料技術および診断薬事業を基に将来の基盤事業へ育成

重点施策M&Aにより診断薬事業の経営基盤を強化するとともに、遺伝子診断、再生医療事業へ新規に参入する。

基本方針:M&A、成長分野への積極投資

■ M&A :1,000億円規模の大型案件も視野に入れ非連続成長を実現■ 設備投資:「2015中期経営計画」の1.5倍を目安に成長分野へ投資

2013~2015年度

41%46%

54%29%

21%

4%

59% 42%

16%1%

2016~2018年度

先端部品・システム

ライフサイエンス・その他

蓄電デバイス・産業用:UPS用等の生産能力増強 (ASEAN、アジア、日本)・自動車用:ISS用生産能力増強

機能材料・オープン・ラボの拡充・コア事業の増産合理化・大型新製品の開発、量産

自動車部品・海外需要増加に伴う生産能力増強

28

Annual Report 2016

経営基盤の強化 人事施策や組織体制のグローバル対応をさらに進めるとともに、多様な人財活用などにより、グローバル経営インフラを構築します。また、事業構造改善策や業務構造改善策を実行し、コスト構造を強化します。これらを通じて、経営基盤を強化していきます。

■ 多様な「人財」の活用■ グローバル事業展開に沿った組織の設計■ グローバルでの人事施策の設計

事業構造改善策■ 新製品・新事業立ち上げ加速 ■ グローバル事業の拡大■ 低収益製品、ノンコア事業対策

業務構造改善策■ ロボット化などによる生産「少人化」 ■ 働き方の改革■ 間接業務のグローバル標準化■ ノンコア業務のアウトソーシング

化・IT化加速

グローバル先進クラスのコスト構造の確立

グローバル経営インフラの構築日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

「2018中期経営計画」 目標値

配当

多様な「人財」の活用はP.39ダイバーシティの推進をご参照ください。

グローバルでの人事施策の設計はP.39グローバルな人財育成・評価をご参照ください。

CAGR年平均成長率のことです。

投下資本利益率(ROIC)2015中期経営計画より事業別の投資収益管理指標として導入したものです。

2015年度 2018年度

売上収益 CAGR 5.6% (2012→15年度の実績)

CAGR 7〜 8% (2015→18年度の目標)

営業利益率 9.7% 11%

投下資本利益率(ROIC)

12.7% 機能材料 29.0% 自動車部品 6.7% 蓄電デバイス 8.4%

15%

自己資本当期利益率(ROE) 10.9% 12%

CO2排出量※1 106%※2

(2012年度比) 96% (2014年度比)

女性管理職比率※3 10.4% 12%

※1:生産高原単位ベース。国内主要製造拠点(グループ会社含む)を対象として算出※2:2014年度実績にて算出 ※3:単独、45歳未満を対象として算出

36

2013年度 2014年度 2015年度 2016年度(計画)

75 75

104 10436

50 50 1株当たり配当金(円)

配当総額(億円)

■ 配当性向30%程度を目安とした 安定的な配当継続

29

Annual Report 2016

Our Initiatives ─挑戦─ 事業別方針

機能材料ニッチ&クラスター型事業構造への変革により戦略的事業を強化します。

過年度の実績と課題 (2015中期経営計画の省察含む)

 これまで機能材料事業の拡大・発展に大きく貢献してきたのは、エレクトロニクス関連製品です。しかし、世界的にこの分野の成長が鈍化していることにより、売上収益がここ数年伸び悩んでいます。そのような状況のなか、2015年度は、スマートフォン向けなどの需要を取り込み、ダイボンディング材料、CMPスラリーおよび銅張積層板などの製品が拡大した結果、全体では16%の高い営業利益率を実現させることができました。一方、これまでは自前主義に偏重するあまり、社内のリソースが不足して新製品開発が計画どおりに進まなかったり、エレクトロニクス分野にこだわるあまり、当社の強みである多彩な材料を幅広いお客さまに拡販できないという点で、不十分さが見られました。今後は社外リソースとの連携も積極的に進めるとともに、ソリューションを提供する機能材料をさまざまな事業分野向けに投入し、業績拡大を図ります。

CMPスラリーC M P( C h e m i c a l M e c h a n i c a l Polishing)は高速・高集積の半導体デバイスの平坦化に不可欠なプロセスです。そこに使用される日立化成の研磨用スラリーは、研磨特性に優れ、より微細な配線の加工に対応できます。

台湾日邦樹脂 (Taiwan First Li-Bond Co., Ltd.)の株式取得建築・自動車向けなどの接着剤分野において、中華圏は世界最大の市場であり、今後も高い成長が見込まれています。日立化成は、接着剤を機能性樹脂関連の重点製品の一つと位置付け、その強化・拡大に取り組んでおり、2015年度は、台湾日邦樹脂を連結子会社化しました。

強み ・多彩な材料技術 ・製品機能や形態のデザイン力 ・実装材料に関する パッケージング技術力と 評価設備 ・お客さまニーズに合わせた 提案力

弱み ・自前主義への偏重による 多様なニーズへの対応遅れ ・日本市場への集中による 海外展開の遅れ

機会 ・半導体パッケージ市場の伸長 ・環境規制の強化や環境意識 の向上 ・高付加価値製品への期待

脅威 ・主力製品分野での競争の 激化(製品、サービス、値段) ・中国経済の成長速度の減速

WS

O T

■ オープン・ラボ開設■ 接着剤事業の基盤強化 ▶台湾日邦樹脂 連結子会社化■ 事業を譲り受けた拠点の 戦力化 ▶封止材 ▶銅張積層板

■ 新製品開発遅れ■ タッチパネル周辺材料の 量産立ち上げ遅れ

■ 市場ニーズの掘り起こし■ 研究開発テーマの取捨 選択■ 市場ニーズの事業化加速

成果 反省2015 中期経営計画

今後の課題

執行役機能材料事業本部 副本部長

森嶋 浩之

30

Annual Report 2016

2018中期経営計画の重点施策

製品事例

ニッチ&クラスター戦略による重点事業強化 これまでは、各製品を個別に拡大させるということに注力して事業拡大をめざしてきましたが、今後は変化の激しい市場やお客さまの動向をより的確にとらえ、当社が持っている可能性を最大限に発揮できるよう、ニッチ&クラスター戦略を推進していきます。また、M&Aやベンチャーキャピタルを活用した技術提携を進めてシナジーを高めることで、今までにないスピードでグローバルな事業拡大を実現していきます。

オープン・ラボを活用した顧客提案力の強化  実装材料分野において、当社は業界屈指の高い技術力と評価設備を持っており、組み合わせや使い方まで提案できることが強みです。これらを活かした取り組みとして、「オープン・ラボ」を活用した、半導体実装に関する新しい材料・プロセス技術の開発を進めています。お客さまや装置メーカーなどとの連携を通じて早期の成果創出と信頼獲得に努め、市場成長率以上の事業拡大をめざします。また、お客さまのインターフェースとなるのは人であることから、ニーズを先取りしたビジネスデザインができる人財を育成していきます。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

ニッチ&クラスターはP.25をご参照ください。

投資戦略はP.27をご参照ください。

異方導電フィルムはP.04をご参照ください。

オープン・イノベーションとオープン・ラボはP.15、P.26をご参照ください。

ビジネスデザインはP.24をご参照ください。

製品 異方導電フィルム CMPスラリー リチウムイオン電池用負極材

戦略・ 新規ディスプレイ向け 材料開発・ アライアンスなど活用

勝ち組顧客、装置メーカーとの先行・共同開発

人造・天然黒鉛の最適ソリューション提供

製品 半導体実装材料 高機能樹脂

戦略

・ 「オープン・ラボ」主導によるコンセプト 具現化・ トータルソリューション提案と デファクトスタンダード化

・ グループ化により開発から生産までの シナジー発揮・ 欧米顧客への展開によりグローバル に事業拡大

■ニッチ ニッチ分野での圧倒的優位なポジションの確立

■クラスター サプライチェーンを俯瞰したトータルソリューション提供

めざす関係

日立化成 オープン・ラボ

Tier 2 Tier 1 Tier 0

提案

ファウンドリ ファブレス  コンセプトデザイン後工程専業

提案 提案

プラットフォーム/コンソーシアム装置メーカー 材料メーカー 外部研究機関

オープン・ラボ主体でコンセプト具現化

● 異方導電フィルム

● リチウムイオン電池用 負極材

● 塗料用樹脂 電気・電子機器の頭脳である半導体の重要部材として働いています。

● プリント配線板用 銅張積層板

● ダイボンディングフィルム

● プリント配線板用 感光性フィルム

● CMPスラリー

● エポキシ樹脂封止材

31

Annual Report 2016

Our Initiatives ─挑戦─ 事業別方針

製造・販売拠点の新設や増強米国 2拠点、メキシコ 1拠点、インド 2拠点、アジア 7拠点

粉末冶金粉末冶金は、原料となる金属粉末同士を焼結という現象で結合させて素材や部品を作る材料加工法です。日立化成は、高密度化技術と材料技術を組み合わせて鋼材に匹敵する強度を持つ粉末冶金製造技術を実用化しました。

過年度の実績と課題 (2015中期経営計画の省察含む)

 自動車メーカー各社がグローバルに事業を展開するなかで、当社グループも特に伸び筋市場である北米や中国において製造・販売拠点の新設や増強を進めてきました。2015年度は、これらの本格稼働や稼働率の向上に注力してきました。その結果、中国では自動車用成形品が、また、タイでは粉末冶金製品の売上収益が順調に拡大しました。中でも、日立化成の強みである樹脂成形技術を応用したバックドアモジュールが業績の拡大に大きく寄与しています。こうした成果により、自動車部材の主力である自動車用成形品、摩擦材、粉末冶金製品の3分野がともに増収・増益となりました。また、海外生産比率は56%程度まで上昇しています。一方で、次世代に向けた新製品開発や欧州市場への展開が課題として残りました。今後は、グローバルトップサプライヤーをめざして基盤強化を進めていきます。

バックドアモジュールはP.05をご参照ください。

自動車部材環境対応製品の拡充に注力し、グローバル市場での地位確立を図ります。

強み ・材料の配合技術を駆使した 提案力 ・材料特性に関する豊富な 研究データ ・お客さまのグローバル化に 対応した生産体制

弱み ・新製品の市場投入不足 ・欧州市場への参入遅れ ・欧米市場進出に向けた 人財不足

機会 ・自動車の電動化 ・環境適合性と低燃費化への 消費者ニーズ ・環境・安全規制の強化 (米国の銅使用規制など)

脅威 ・メガサプライヤーの台頭に よる市場の寡占化

WS

O T執行役副社長エネルギー・自動車部品事業本部長

野村 好弘

■ グローバル生産体制の構築 と海外需要の刈り取り ⇒拠点新設、能力増強 (北米、中国など)■ 粉末冶金事業の生産性改善■ 差別化新製品の投入

■ 次世代製品の市場投入 遅れ

■ 新顧客、新製品の さらなる創出■ グローバル展開の さらなる強化

成果 反省2015 中期経営計画

今後の課題

32

Annual Report 2016

2018中期経営計画の重点施策

製品事例 ディスクブレーキパッド(DP)

営業・開発・製造拠点をグローバルで拡充 今後は、特長ある多彩な材料技術を組み合わせて提案するビジネスデザインにより、営業力の強化を図ります。M&Aも含めてグローバルに各地域のニーズに合った製品を投入し、業績の拡大を加速させます。特に欧州市場については、生産だけでなく、開発や設計も含めて強化することで市場へ参入していきます。特に、日立化成グループの強みである自動車用バッテリーや樹脂などと組み合わせ、収益の柱を増やして、長期

的な成長につなげていきます。

グローバル・トップレベルの環境対応製品戦略  自動車の燃費や環境対応へのニーズは高く、世界各国での環境規制の動き(例えば、米国の銅使用規制)も活発です。このようななかで、日立化成グループの高い技術力や幅広い製品群を的確に組み合わせ、お客さまにさまざまなソリューションを提案することが差別化のポイントになります。すでにトレンドになっている軽量小型・低燃費・エレクトロニクス化などにきめ細かく対応できる技術や製品を持っていることは日立化成の強みです。これらを組み合わせた戦略的な製品構成で、お客さまのニーズに応えていきます。

 ディスクブレーキパッド(DP)は、自動車や二輪車のブレーキに組み込まれ、車両を停止させる重要な部品です。あらゆる使用環境において車両を確実に「止める」性能が必要とされるほか、低騒音や低振動、耐久性などさまざまな性能を要求されます。当社は、解析・評価・材料配合技術で優れた特性を出すだけでなく、環境に配慮した設計も行っています。具体的には、水質汚染の要因となる銅を用いないDPを開発しました。非常に微量ですが、使用時にDPは摩擦で磨り減ります。発生した摩耗粉中の銅は大気中に飛散、湖などの汚染の一因とされ、2021年から北米で規制されることが決まっています。当社はこれに先んじて銅を使わない「銅フリー DP」を開発し市場に投入予定です。

軽量小型・低燃費・エレクトロニクス化

軽量化 ➡ 外板部品、構造部材の樹脂化燃費改善機能 ➡ ターボ・アイドリングストップ・ 可変バルブ機構向け部品環境規制 ➡ 銅フリー材、電動化エレクトロニクス化 ➡ 熱マネジメント部材

• グローバル市場で デファクトスタンダード化• 次世代、次々世代の ビジネスチャンス獲得

製品名 2013年度 2018年度

外装樹脂成形品新規採用

開発完了

試作品投入

開発軽量

低燃費ターボ用ブッシュ

グローバル展開新規採用

環境対応

銅レスDP銅フリー DP 既存製品

量産

海外における営業/開発/製造拠点の拡充今まで

これから• 製造拠点に加え、海外開発拠点の拡充 (欧州市場に参入強化)• 地産地消型ビジネスにおける 最適製品の投入加速• 生産の合理化によるコスト競争力強化

• 顧客のグローバル化に対応し、海外生産 体制拡充(重点地域は北米、中国)

銅フリー材日立化成は、ディスクブレーキパッド(DP)に含まれる銅が性能に与える影響を分析し、それを他の金属、無機系材料で補完させる技術を開発しました。

米国の銅使用規制米国では、自動車用摩擦材に含まれる銅の規制が強化されています。2021年から銅含有量5%以上、2025年から0.5%以上の製品は、販売および新車への組み付けが禁止される予定です。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

ビジネスデザインはP.24をご参照ください。

33

Annual Report 2016

Our Initiatives ─挑戦─ 事業別方針

ISS(アイドリング・ストップ・システム)車両の停止・発進に合わせて、エンジンの停止・スタートを自動的に行うシステムのことで、燃費削減、CO2削減による環境負荷低減などの目的で多くの自動車に採用されています。ISS車は、エンジン停止後の再始動時にバッテリーから大容量の電力が放出されるため、走行中に短時間で電力を蓄える必要があり、バッテリーの劣化が生じやすいとされています。

過年度の実績と課題 (2015中期経営計画の省察含む)

 2016年1月に連結子会社であった新神戸電機を日立化成に統合しました。旧新神戸電機が持っている鉛蓄電池、リチウムイオン電池(LiB)、コンデンサなどの幅広い蓄電技術と、日立化成の材料技術をクロスオーバーさせることで、蓄電システム事業を日立化成の第三の基幹事業に成長させるための基盤を構築することができました。また、日立化成がめざすグローバル展開については、関連会社であった台湾神戸電池

(CSB Battery Co., Ltd.)を連結子会社にすることで、日立化成グループとして産業用電池を海外に展開する基盤を構築しました。さらに、自動車用バッテリー分野ではISS車用バッテリー

「Tuflong」シリー ズが好評を博しました。将来への布石として、再生可能エネルギー需 要 の 拡 大 を 見 込み、太陽光発電と蓄電システムを組み合わせた実証事業にも取り組みました。

新神戸電機(株)の完全子会社化について新神戸電機が持っている蓄電デバイス・システムおよび電池技術と日立化成の材料技術とのシナジーを向上させ、研究開発から営業までの機能を一元的に管理することで、経営のスピードと効率性の向上を図りました。

CSB Batteryとのシナジーの最大化

ニュースリリース:再生可能エネルギー先進国ドイツにてエネルギー地産地消型の実証事業を開始日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶ニュースリリース2015年7月24日

アジア・欧米

日本

大形電池 小形電池

大形電池をグローバル拡販

CSB Batteryの強み領域小形電池

小形電池を国内拡販

日立化成の強み領域大形電池

CSB Battery はグローバル150拠点以上の販売代理店を含む営業ネットワークを有しています

・バックアップ用電池 (UPS) ・グローバルな販売ネットワーク

日立化成の営業ネットワーク

・社会インフラ新エネルギー用途 ・国内先端システムへの採用実績 (スマートシティ、風力発電)

蓄電システム規模拡大によるグローバル市場での地位確立を図ります。

強み ・複数の蓄電デバイスを 最適に組み合わせる ハイブリッドな提案力 ・新規メーカーの参入しにくい 鉛蓄電池市場で確立した 事業基盤 ・多彩な材料技術

弱み ・海外での実績不足

機会 ・通信や自動車などの基幹 産業での継続的ニーズ ・蓄電に関する新用途成長の 可能性(次世代電力システム の普及など)

脅威 ・グローバルなM&A進行の 可能性 ・ポスト鉛蓄電池(リチウムイオ ン電池)のコモディティ化 ・他の材料を用いた電池の登場

WS

O T執行役常務エネルギー・自動車部品事業本部副本部長

中川 操

34

Annual Report 2016

2018中期経営計画の重点施策

製品事例 Tuflong G3

自動車用バッテリーの拠点拡充などによるグローバル需要の獲得 各地域のニーズや実情に合った施策を展開し、グローバル需要の獲得をめざします。日本においてはISS車用バッテリーを軽自動車用を軸に新車向けの認定を加速させるほか、顧客サポート体制を強化し、補修用への拡販にも注力します。また、欧州において、開発・製造の拠点構築を進めていきます。ASEANにおいては、製造拠点の拡充と二輪車用バッテリーの販売ルート確立に注力します。

産業用システム 伸び筋分野の需要の獲得 産業用電池の規模拡大として、UPS・通信分野の海外展開を進めます。特に、CSB Battery Co., Ltd. の海外生産拠点(台湾、ベトナム、中国)を拡充するとともに、グローバルな営業力を使って売上拡大を図ります。 また、日立化成は、サイクル用電池とその材料に関する高い技術力と、幅広い製品群を有しています。再生可能エネルギーや移動体分野での展開を図るとともに、日立グループとの共同研究や外部リソースとの連携を通じて、システム技術を確立します。

 ISS車は、日本や欧州の自動車を中心に急速に拡大しています。ISS車に搭載するバッテリーは、充放電を頻繁に繰り返すために、従来のバッテリーでは劣化しやすくISS機能が働かなくなる可能性があり、これまで以上に耐久性および充電受入性能を向上させたバッテリーが求められています。日立化成グループの強みである材料技術、解析技術などを活かし、当社の従来ISS車用バッテリーと比較して、耐久性を1.5倍に高めることに成功した「Tuflong G3」を軽自動車向けに2016年6月に発売しました。乗用車向けには、2016年秋に発売する予定です。

世界新車生産のISS比率 シェア拡大施策

日 本

欧 州

ASEAN0

20

40

60

80

100

2015 2018 2025

(%) ・顧客サポート体制を強化、 補修用ISS電池を拡販・軽自動車を軸に新車認定取得を拡大

・拠点拡充・二輪車向け販売ルートの確立

・拠点構築

(当社調べ)

産業用電池の市場予測再生エネルギー/系統移動体・フォークリフト・港湾クレーン・鉄道

UPS/通信0

5,000

10,000

15,000

20,000

2015

(当社調べ) (億円 / 年) 再生エネルギー / 系統

2018 2025

・欧州実証を含む蓄電システムの 実証加速/事業展開 (蓄電ソリューションを提案)

鉛LiBハイブリッド

鉛LiB

用途 蓄電池の種類 注力施策

・CSB Batteryとの シナジー拡大

・ASEAN /欧州展開

移動体UPS/ 通信

NEDO助成事業として伊豆大島で構築したハイブリッド蓄電システム電力貯蔵に適した鉛蓄電池と、電圧や周波数の短周期変動を抑制するのに有利なリチウムイオンキャパシタを組み合わせて、短時間で大電力の充放電が可能な1.5MWのハイブリッド大規模蓄電システムを構築しました。

サイクル用電池充放電を高い頻度で繰り返す電池で、寿命の確保が重要となります。ISS車用電池のほか、電動フォークリフト用電池や据置型の長寿命鉛蓄電池(LL電池)などの製品があります。

UPSUPS(Uninterruptible Power Supply)は、電源装置の一種です。二次電池など電力を蓄積する装置を内蔵し、外部からの電力供給が途絶えても一定時間決められた出力で外部に電力を供給することができます。

「Tuflong G3」の特長1. 新 型セパレーター (G3セパレー

ター )を採用し、耐久性を当社従来製品の1.5倍に向上させたことで、製品保証を業界初(ISS車用鉛バッテリーとして)*1の38カ月(距離無制限*2)保証としました。

2. 車両搭載時の経年劣化が少なく、エンジン始動を数万回分繰り返した状態でも当社従来ISS対応品と比較して車両の燃費効果が高いことを実証しました。

注*1 国内自動車用バッテリーメーカー、ISS車において。2016年3月当社調べ。

注*2 38カ月以内ならば、走行距離と関係なく保証します。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

Tuflong G3

35

Annual Report 2016

Our Initiatives ─挑戦─ 事業別方針

過年度の実績と課題 (2015中期経営計画の省察含む)

 ライフサイエンス部門は、組織上、これまで独立した事業部門になっていましたが、新分野への事業展開を加速させるために、2015年度から研究開発組織の中に取り込み、コーポレート部門として育成・強化していくことにしました。自社による研究活動の活性化に加えて、外部研究機関や海外ベンチャー企業など外部リソースとの連携による技術導入を進め、効率良く新規事業の開拓を進めます。 一方、既存事業であるアレルギー診断分野では、微量の血液で同時に多項目のアレルゲン抗体を検査できるという特長を活かし、増加傾向にある子どもの食物アレルギー検査項目の拡充を図りました。また、ライフサイエンス事業拡大の一環として、米国ベンチャーと提携し、再生医療用細胞などの日本国内向けの受託製造事業に参入することにしました。加えて、日立化成の多彩な材料技術や日立製作所の基礎研究所との連携により、他社と差別化した製品・技術でイノベーションを実現していきます。

ライフサイエンス材料技術および診断薬事業を基に将来の基盤事業を育成していきます。

強み ・ライフサイエンス分野に 応用可能な技術の蓄積 (配線板技術など) ・材料技術を核とした製品展開 力(診断薬から消耗品まで) ・再生医療分野での米国企業と の技術提携

弱み ・他事業との連携 ・シナジー不足 ・ライフサイエンス分野での 事業化経験がある人財の不足

機会 ・再生医療の拡大 ・個別化医療の拡大 ・ヘルステック関連市場の拡大

脅威 ・大企業からベンチャー企業 まで、多様なプレイヤーに よる競争の激化

WS

O T

材料技術および診断薬事業を基に将来の基盤事業へ育成

診断薬事業の基盤強化遺伝子診断、再生医療事業への新規参入

課題 対応策

執行役新事業本部長

吉田 誠人

再生医療けがや病気で損傷した臓器および免疫の機能を回復させるため、細胞を体外で培養するなどして体に移植する治療法であり、がん免疫療法や体性幹細胞、iPS 細胞などを用いた治療法があります。近年、特にがん免疫療法、体性幹細胞を用いた治療法の臨床応用例が急増しています。

同時多項目アレルゲン特異的IgE 測定試薬「マストイムノシステムズⅣ」はP.06をご参照ください。

36

Annual Report 2016

2018中期経営計画の重点施策

製品事例 血液・尿中mRNA分析キット

診断薬事業の基盤強化 日本の診断薬市場は、感染症検査が最も大きく、年間680億円、次いで免疫検査と生化学検査がそれぞれ660億円となっています((一社)日本臨床検査薬協会統計2014より)。 また、遺伝子検査が広まっており、ウイルス、ヒト遺伝子検査分野などへの意識が世界的に高まっています。当社は、血清を用いてアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を測定する試薬や、肺炎、急性上気道感染症などの呼吸器疾患の診断に有用な検査試薬などの製品ラインナップを有しています。今後はさらに、M&Aによる新製品群の獲得や販売ルートの拡大を通じて、ライフサイエンス事業を将来の基盤事業の一つに育てていきます。

遺伝子診断、再生医療事業への新規参入 患者のクオリティオブライフ (QOL) の向上に資するライフサイエンス事業の創出をめざし、当社が得意な材料技術を駆使するとともに、オープン・イノベーションを通じて新事業の展開を進めていきます。また、マーケティング部門と研究開発部門を一体化させることにより、有望な事業分野や製品を的確に見極め、効率的な研究開発を進めていきます。 遺伝子診断では、患者個々のニーズに対応できるよう、リキッドバイオプシー分野における事業展開をめざし、がん治療効果の事前予測が可能なmRNA診断や、がん再発可能性の診断が可能なCTC診断事業を推進していきます。また、再生医療事業では産業用大量培養に向けた再生医療用細胞などの受託事業を開始します。

 

 個人医療市場の拡大により、遺伝子診断の市場規模は、約7,300億円(2015年時点)で、2018年まで年平均成長率が7%以上と高い潜在力を持っています(当社調べ)。日立化成は、血漿や尿中に浮遊する細胞由来の小胞(エキソソーム)内の遺伝子(mRNA)を分析する「ExoComplete」キットを開発しました。本キットの特長は、超遠心分離不要で、エキソソームの捕捉からmRNAの単離、cDNA合成まで1キットで実施できることです。製薬会社や大学での創薬支援などの研究用に使われています。

がん免疫療法免疫力ががん増殖の力を上回るように、免疫細胞を体外で増殖・強化し体内に戻し、免疫の作用によりがんを攻撃する治療法です。

米国PCT社再生医療など製品の開発を行っているCaladrius Biosciences, Inc.の 子 会社であり、再生医療用細胞の受託製造の分野で米国最大手の一社です。

ExoComplete 96-Well Plate Kitこのキットの写真には、下記の3つが含まれています。・Exosome Isolation Plates・mRNA Capture Plates・Reagents

がん免疫療法をはじめとする再生医療用細胞などの受託製造事業に参入規制緩和およびiPS細胞の実用化などにより、再生医療の急速な立ち上がりが期待され、周辺産業市場は、2050年には15兆円の世界市場が見込まれています。そのなかで、日立化成は米国PCT社へ出資し、技術提携をすることで、PCT社の米国における再生医療用細胞の受託製造事業の経営に参画するほか、技術およびノウハウの供与を受け、再生医療用細胞などの日本国内向けの受託製造事業に2018年度をめどに参入します。自動生産管理システムなどで高い技術力を有する日立グループの技術支援を受け、高品質・低コストな再生医療用細胞などの受託製造をめざします。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

mRNA診断mRNAとは人体を構成しているたんぱく質の設計図となる遺伝子のこと。がん治療の効果を事前に予測する技術です。

リキッドバイオプシー患者の組織を採取する代わりに、血液などの体液から病気の診断をする技術です。

ExoComplete 96-Well Plate Kit

診断薬人体に直接試薬を投与する体内診断薬と血液や尿などに含まれている成分を調べる体外診断薬の2種類に分類されます。日立化成は、体外診断薬のみをラインナップしており、研究開発を強化しています。

37

Annual Report 2016

2015年度の取り組み環境マネジメントの推進 日立化成は、環境マネジメントに関して、「グループ環境・CSR会議」で環境問題に伴う事業リスクや機会を含めて議論し、グローバルな方針を決定しています。また、主要な生産拠点においてISO14001を取得しています。2013年度から2015年度にかけて、環境行動計画の目標達成をめざして、グループ全体が一丸となって活動してきました。最終年度となる2015年度はVOC大気排出量原単位改善と電子マニフェスト登録率が目標未達となりましたが、そのほかの主要な項目で目標を大きく上回る成果を出すことができました。事業活動に伴い発生するさまざまな環境負荷についても、環境行動計画のもと、低減のために取り組みを継続しています。 また、日立化成では、環境活動全体の自己評価を行い、継続的なレベルアップに役立てるため、事業所またはグループ全体の年度ごとの活動目標に対する達成度をグリーンポイント(GP)で客観的に分析しています。2015年度の結果は647GPとなり、目標の640GPを達 成しました。一方、サプライチェーンや地球温暖化防止など、目標に満たなかった項目もあるため、今後も重点的に活動レベルの向上を図ります。

サステナブルエンジニアリングの推進 日立化成は、サステナブルエンジニアリングを推進しており、基盤技術の複合・融合を通じて、「高効率」「スマート」な製品を積極的に市場に投入し、お客さまのニーズに対応しながら、サプライチェーンの環境負荷低減に貢献しています。2015年度は、自動車用「バックドアモジュール」の売上拡大により、6,720トンのCO2排出を抑制することができました。

2016年度の計画 2016年度から2018年度の新しい環境行動計画として、「環境に高いレベルで配慮した工場とオフィス」「次世代製品とサービスの提供」「環境経営の推進」の3つのカテゴリーで12項目の行動計画を策定しています。2015年度までの結果も踏まえ、さらなる改善を進めていきます。

環境経営の実践

Our Initiatives ─挑戦─ ESGマネジメント

環境

環境経営の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶環境報告よりご参照ください。環境行動計画は環境報告▶環境マネジメントに掲載しています。

■ 環境投資額(億円)

2011 2012 2013 2015

12.3

4.66.2

2014

6.1 5.0

(年度)

(年度)

■ 水資源投入量(千㎡)

2011 2012 2013 2015

11,37112,53710,970

2014

10,672 9,711

(年度)

■ VOC排出量(トン)

2011 2012 2013 2015

531 518 506

2014

577519

2014年度実績:599GP2015年度目標:640GP2015年度実績:647GP

80

204060

100

0

90

86

87

73

81

76

85

70

環境経営

製品事業戦略

サプライチェーン

資源循環

エコマインド

エコプロダクツ

地球温暖化防止

ステークホルダーとの環境協働

■ 「GREEN21-2015」の評価レーダーチャート

■ 温室効果ガス排出量/ 温室効果ガス排出量生産高原単位

(千トン-CO2e) 生産高原単位(トン-CO2e/百万円)

2011 2012 2013 2015

446 474 495

2014

541 4821.17

1.271.43 1.40 1.32

(年度)

■ エネルギー使用量(熱量換算TJ)

(年度)2011 2012 2013 2015

9,481 9,043 8,630

2014

9,369 8,497

38

Annual Report 2016

2015年度の取り組み 日立化成は「安全と健康を守ることは全てに優先する」を基本理念とし、グローバルで安全衛生マネジメントシステム(OSH-MS)を導入・運用し、安全で快適な職場づくりに取り組んでいます。製造事業所におけるOHSAS18001認証取得については、国内ではすべて、海外では約40%で取得済みです。 2015年度は、従業員が自ら実践する安全行動を「私の安全宣言」として宣言し、身近なリスクを全員が共有できる取り組みを開始しました。休業災害は国内連結で2件、海外製造会社で23件発生しました。

2016年度の計画 引き続き安全衛生マネジメントシステムを運用し、安全な職場づくりに取り組みます。類似災害再発防止のために3カ国語で全拠点に情報配信する「事故・災害報告書管理システム」や、海外の製造事業所への「安全マイスター」派遣などにより、労働災害の発生を防止していきます。 2018年度終了時点での目標として、重篤災害ゼロ、労働災害度数率0.05以下、労働災害強度率0.0005以下、作業環境第Ⅲ管理区分職場ゼロをめざしています。

2015年度の取り組み 日立化成は「品質保証活動理念」に基づき、品質マネジメントシステム(QMS)による各種プロセスの監視と改善活動を継続的に実施し、品質確保に努めています。また、お客さまに納入した製品の評価や、今後の用途展開などへの意向を調査把握し、これを製品の品質向上対策に反映させています。2015年度は、細分化するニーズや多様化する用途展開で明らかになった課題を、より正確に伝達できるよう、様式の見直しや事業分野ごとの課題区分の規定を追加し、標準化しました。また、生産に携わる従業員への製造物責任啓発教育を行い、約2,300人が受講しました。さらに、化学物質管理に必要な専門知識と最新の法規制動向を習得するための各種社内研修を、合計11回開催し、延べ約400人が参加しました。

2016年度の計画 重大な品質事故を発生させないために、品質事故の振り返り活動を確実に実行していきます。2011年度に構築した化学物質管理システムを利用し、日本、韓国、台湾などの法令に対応していますが、このシステムが使用できる拠点を拡大していきます。

労働安全衛生の推進

社会

品質マネジメントの強化

(社)

2011 2012

1 1

16

1

38

2013 2014 2015

■ 労働災害度数率/労働災害強度率

■ 化学物質管理システム構築済み 会社数 (翌年4月より利用開始)

※度数率は100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、休業災害発生の頻度を表します。

※強度率は1,000延実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表します。

※国内連結

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

2011 2012 2013 2014 2015

0.15

0.009 0.011 0.003 0.001 0.005

0.25

度数率0.34

0.090.10

強度率

安全マイスター海外の製造事業所における安全レベルを国内水準に引き上げるため、同分野の製造に携わっている者を安全マイスターとして海外製造事業所に派遣し、安全指導を行っています。

化学物質管理システム化学物質の安全性情報と取り扱い情報を一元的に管理するために当社が2011年度に構築したシステムです。

労働安全衛生への取り組みの詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶従業員とともに▶労働安全衛生の推進よりご覧いただけます。

品質マネジメントの強化の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶お客さま・お取引先とともに▶安全で使いやすい製品の提供よりご覧いただけます。

(年度)

(年度)

39

Annual Report 2016

2015年度の取り組み 日立化成は人財育成のビジョンとして、「World Class Professional (WCP)」を掲げています。その一環として、グローバル・コーチングプログラムを展開しています。2015年度は、12の国・地域の社内コーチを250人新たに育成し、延べ1,250人のステークホルダーがコーチングを経験しました。また、日立化成全体で公正な人財評価を行うために、人事基盤の共通化を進めました。

2016年度の計画 2016年度も継続して社内コーチを育成するとともに、日立化成全体で「対話と挑戦する組織」への変革に一層取り組んでいきます。また、人事基盤の共通化についても、海外グループ会社にも順次展開を行い、グローバルベースでの人財配置や人財の登用を行っていきます。

Our Initiatives ─挑戦─ ESGマネジメント

ダイバーシティの推進

グローバルな人財育成・評価

対話のスキル活性化

人事基盤共通化

World Class Professional の

育成による創造性と生産性の向上

■ Global Talent Standard■ 日立化成グループ・ビジョンに基づく「人の評価」■ Hitachi Global Grading ■ MBO(Management By Objectives)

■ グローバル・コーチングプログラム ■ KT法 ■ 英語

■ 人財育成のシナリオ

2012

1,752

2013

2,370

2014

2,394

2015

1,506

(人)

■ グローバル・コーチング プログラム参加者数

2015年度の取り組み 日立化成は、ダイバーシティ推進を、競争優位を築くための経営戦略の一つと位置付け、執行役全員がオーナーとして参画するダイバーシティ推進プロジェクトで、さまざまな施策に取り組んでいます。また、ダイバーシティマインドに関するウェブアンケートの結果をもとに、働き方改革や、女性向けキャリア開発研修の導入などを進めています。 性別・国籍を問わない優秀な人財の採用・登用を進めており、女性管理職比率も年々向上し、2015年度は2.7%(単独)となりました。また、2015年度入社の新入社員のうち、外国籍従業員の比率は約6%(単独)を占めました。障がいを持つ従業員の職域拡大も実施しています。

2016年度の計画 2016 年度も、働き方改革に重点を置き、多様なバックグラウンドを持つ人財がその能力・発想・価値観を発揮し、イノベーションを起こし、ソリューションを生み出し続ける環境をつくっていきます。また、「2018 中期経営計画」の中で、45歳未満の女性管理職比率などの数値目標を設定し、目標達成のためのさまざまな施策に取り組んでいきます。

2011 2012 2013 2015201469

1.1

10

11

1.8

13

15

1.9

14

21

2.0

22

18

2.7

女性管理職数(人) 女性管理職比率(%)女性プレ管理職数(人)

■ 女性管理職数/女性プレ管理職数/ 女性管理職比率

※当社単独

グローバル・コーチングプログラム  対話を目的に2012年度から開始したプログラム。コーチングスキルを学びながら、社内コーチが、他部署を中心とした5人のステークホルダーにコーチングを実践。約8カ月継続し、新たな気付きや挑戦意識拡大をめざしています。

ダイバーシティマインドに関するウェブアンケート  2015年3月に国内グループ社員約7,000人を対象として実施しました。

ダイバーシティの推進の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶従業員とともによりご覧いただけます。

グローバルな人財育成・評価の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶従業員とともによりご覧いただけます。

(年度)

(年度)

40

Annual Report 2016

2015年度の取り組み 日立化成は、「日立化成グループ社会貢献ポリシー」に則って、グループ各社とその従業員が連携し、日立化成が事業を展開する地域社会の課題解決に取り組んでいます。2015年度は1,031人の従業員がボランティアとして参加し、環境や教育にかかわるさまざまなプログラムへ7,290人の方にご参加いただきました。また、地域社会の活性化をめざして、(一社)さくらカフェまちづくりプロジェクトを2015年度に立ち上げました。 グループ全体の社会貢献活動の実態と費用についても毎年取りまとめており、効果的な活動へつなげています。2015年度の社会貢献費用は約1.6億円となりました。

2016年度の計画 地域の保育園や幼稚園、小学校で実施している出前授業「子どもふれあい科学教室」や生態系保全にかかわる体験型プログラムなどを中心に、社員参加型のプログラムなどを継続していきます。また、社会貢献活動の評価基準についても見直しを行い、効果的なプログラムを実施していきます。

サプライチェーンマネジメント

地域社会への貢献

2015年度の取り組み 品質・納期・価格および先進技術への対応が可能な資材を調達することが不可欠であるため、技術・経営面ともに優れ、安定供給が可能なお取引先をグローバルな視点で探索し、強固なサプライチェーンの構築に努めています。特に近年力を入れているのは、一社生産品のリスク対策と、新興国を中心とした新規お取引先の開拓です。 高品質の資材を安定的に提供していただける体制を確認するため、2015年度は137社を監査しました。 また、お取引先のコンプライアンス体制、環境保全への取り組みなども取引を行う上で重要な評価事項になります。そのため、監査やアンケートなどでお取引先のCSR経営度を把握し、社会的責任意識を共有しています。紛争鉱物については、お客さまの要請する鉱物に関する調査を、サプライチェーンを遡って実施しています。

2016年度の計画 引き続き、一社生産品のリスク対策と、新興国を中心とした新規お取引先の開拓を進めていきます。 また、サプライチェーンCSR推進ガイドブックの配布や監査により当社の調達方針をお伝えし、お取引先との相互理解をいっそう深めていきます。

(社)

2012 2013 2015

96 8973

2014

137

(百万円)

2011 2012 2013 2015

90111 103

2014

107

156

■ サプライヤー監査数

■ 社会貢献活動費用

※当社単独

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

(一社)さくらカフェまちづくりプロジェクトの詳細は、http://www.cafe-sakura.comよりご覧いただけます。

2015年度1億5,557万円

金銭寄付54.2%

災害被災地支援3.5%

現物寄付 0.5%施設開放 6.1%

社員の参加・派遣1.5%

自主プログラム経費 34.2%

サプライチェーンマネジメントの詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶お客さま・お取引先とともに▶お取引先との公平な関係の構築よりご覧いただけます。

地域社会への貢献の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶社会とともに▶社会貢献活動の推進よりご覧いただけます。

(年度)

(年度)

41

Annual Report 2016

Our Initiatives ─挑戦─ ESGマネジメント

2015年度の取り組み 日立化成は、知的財産を事業戦略推進に不可欠な重要な資産と位置付け、3つのパテントポリシーを掲げ、社内規程を整備するとともに、 専任部署(知的財産戦略センタ)を設けて活動しています。2015年度は、組織改革を行い、知的財産戦略センタが日立化成グループ全体の知的財産を一元的に管理することにしました。また、知的財産に関する意識向上を目的に、グループ会社を含めた従業員への教育活動を積極的に行いました。2015年度の特許の保有件数は6,429件、出願件数は1,493件となりました。

2016年度の計画 知的財産部門と事業部門、研究開発部門が三位一体となって、事業戦略に対応した研究開発戦略に基づくグローバルな有効特許網の構築と活用を進めます。また、自社の保有する知的財産と他社の保有する知的財産を緻密に分析し、ビジネスデザインに合わせた適切なオープン・クローズ戦略を設計するとともに、事業の早期立ち上げ、拡大に向けたオープン・イノベーション活動を推進していきます。

研究開発戦略

知的財産戦略

(件)

2011

816 724

727

651 576

841 727

665

801 917

2,040 2,1742,406 2,518

2,9992,205 2,371

2,5822,983

3,430

2012 2013 2014 2015

保有件数(日本) 保有件数(日本以外)出願件数(日本) 出願件数(日本以外)

■ 特許出願件数/特許保有件数

2015年度の取り組み 日立化成は、技術革新をリードする新事業・新製品の創生、新規市場の開拓をめざして研究開発に取り組んでいます。これまでの、日立グループや他企業、国内外の大学、研究機関との連携だけではなく、ベンチャーキャピタルや外部のビジネスマッチングなどを活用することでオープン・イノベーションを推進し、事業化のスピードを加速しています。2015年度は、役員クラスの人財をリーダーとする技術探索チームを米国に派遣し、将来パートナーとなり得る企業や価値ある技術を発掘し、ライセンスの取得や共同開発に取り組みました。

2016年度の計画 2016年度も、技術ライセンスの取得、M&Aや共同開発、相互販売などの業務提携を積極的に行い、事業化のスピードを加速していきます。また、2016年4月に、新事業本部マーケティングセンタと事業部マーケティングセンタを統合、再編して「イノベーション推進センタ」を発足させました。ビジネスデザイン思考でのマーケティング活動を標準化し、新事業創出を加速させるとともに、成功確率の向上をめざします。

売上収益研究開発費比率(%)

研究開発費(億円)

2011 2012 20152014

5.4

257

5.5

255

2013

5.1

269

5.1

278

IFRS

5.4

262

日本基準

■ 研究開発費/ 売上収益研究開発費比率

3つのパテントポリシー  「技術・製品の優位性の確保」「権利侵害への毅然とした対応」「他社特許権の尊重」を掲げています。

ベンチャーキャピタルやビジネスマッチングなどの外部機関PCT LLC.、 Research Frontiers Inc.、 Nanosys Inc.などと連携しています。

研究開発戦略の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶社会性報告▶お客さま・お取引先とともに▶お客さま満足の追求よりご覧いただけます。

知的財産戦略の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶ガバナンス報告とCSRの考え方▶知的財産戦略よりご覧いただけます。

(年度)

(年度)

42

Annual Report 2016

リスクマネジメントの強化

コンプライアンスの徹底

 日立化成は、リスクを特定するとともに、役員・従業員のリスク発生の未然防止義務を定めています。特に経営に重要な影響を与える可能性があるリスクについては、リスクアセスメントによって特定し執行役会および取締役会に報告するとともに、有価証券報告書で公表しています。リスクマネジメントセンタには内部監査部門も含まれており、他部門から独立した社長直属の組織として監査委員会と密接に連携し、ガバナンス体制のいっそうの向上に取り組んでいます。 また、お客さまと社会の信頼にお応えするため、事業継続マネジメントを強化しており、BCP模擬訓練などを通じて定期的にレベルアップを図っています。

 日立化成は、法令遵守だけではなく、業界自主基準の遵守や従業員各自が企業倫理・社会規範を守り高める行動を日常的に心掛けることも含めて「コンプライアンス」と定義し、CSR活動の中核に位置付けています。行動の目安である日立化成グループ行動規範を理解しやすいように解説したハンドブックをグループすべての従業員に配布し、定期的に読み返し、記載事項を遵守するよう求めています。 コンプライアンスの強化に向けて、研修・監査も実施しています。2015年度は、コンプライアンス担当部門が主催する研修に3,350人が参加したほか、日本国内5社、海外7社で監査を行いました。監査は、2016年度も当社4事業所、グループ会社日本国内2社、海外11社で実施する計画です。

■ コンプライアンス研修実績(人)

■ 通報・相談案件数

リスクマネジメントの強化の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶ガバナンス報告とCSRの考え方▶リスクマネジメントよりご覧いただけます。

コンプライアンスの徹底の詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶CSR情報▶ガバナンス報告とCSRの考え方▶コンプライアンスよりご覧いただけます。

対象内容

新規採用者 その他 合計

コンプライアンス全般※ 244 2,678 2,922

ハラスメント – 33 33

独占禁止法 – 395 395

合計 244 3,106 3,350

※独占禁止法、贈賄・反社会的・インサイダー取引防止、輸出管理などを含む総合的な研修

■ BCP幹部模擬訓練参加者数

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

アルミ電解コンデンサに関する独占禁止法違反について 2016年3月、当社グループの日立エーアイシー株式会社が、過年度におけるアルミ電解コンデンサの取引に関して独占禁止法に違反する行為を行っていた事実が公正取引委員会により確認されました (公正取引委員会の調査に全面的に協力してきたことから、課徴金の支払いなどの処分は免除)。また、当社は、当社グループが過去に行っていたアルミ電解コンデンサおよびタンタル電解コンデンサに係る米国独占禁止法に違反する行為について、米国司法省の調査を受けていましたところ、罰金の支払いなどを内容とする司法取引契約を2016年4月、同省と締結しました。ステークホルダーの皆さまには、多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。本件を厳粛に受け止め、右記をはじめとするコンプライアンス体制の整備をさらに徹底し、今後の信頼回復に努めてまいります。

■ 各事業所およびグループ会社においてコンプライアンス責任者を任命するとともに、コンプライアンス委員会を組織し、教育・啓発活動推進を強化

■ グループ各社が競争法遵守に関する規則を制定し、従業員に対して徹底した遵法を求めるとともに、違反者に対して解雇を含む厳罰を適用する旨を明確化

■ 同業他社との接触の機会を最小限に留めるべく、業界団体や顧客主催の会合・行事などを確認し、リスクが高い会合・行事への参加を自粛。参加する場合は、コンプライアンス情報記録ノートによる事前承認と参加時の記録を徹底

(人)

2011 2012 2013 20152014

73727177

42

(件)

2011 2012 2013 20152014

20

34

161624

BCP  Business Continuity Planning

(事業継続計画)のことです。

日立化成グループ行動規範ハンドブック

(日本語・英語・中国語(繁体字版・簡体字版))

(年度)

(年度)

43

Annual Report 2016

取締役一覧1 取締役会長田中 一行1977当社入社2005当社執行役(2006年3月退

任)2006(株)日立メディアエレクトロ

ニクス専務取締役 同社代表取締役取締役社長

(2008年3月退任)2008当社執行役常務2009当社代表執行役執行役社長 当社取締役2016当社取締役会長(現任) 合成樹脂工業協会会長

(現任)

2 社外取締役大澤 佳雄1964(株)日本興業銀行入行1995同行常務取締役1997興銀証券(株)取締役副社長2002みずほ証券(株)取締役社長

(2005年3月退任)2005同社取締役(2005年6月

退任) 同社顧問(2007年3月 退任) 日本水産(株)社外監査役2007 YKK(株)社外監査役 (株)許斐取締役会長(現任)2009日本水産(株)社外取締役2010 当社社外取締役(現任)2016 YKK(株)社外取締役(現任)

3 社外取締役大戸 武元1968日本冷蔵(株)(現(株)ニチレ

イ)入社1997同社取締役2001同社代表取締役会長

(2007年6月退任)2007同社相談役2008日産自動車(株)社外監査役2010当社社外取締役(現任)2011(株)帝国ホテル社外監査役

(現任)2013(株)ニチレイ顧問2016(株)エー・ディー・ワークス

社外取締役(現任)

4 社外取締役

ジョージ・オルコット1986 S.G.Warburg&Co.,

Ltd.入社1991同社取締役1998長銀UBSブリンソン・アセッ

ト・マネジメント副社長1999UBSアセットマネジメント

(日本)社長2008ケンブリッジ大学ジャッジ経

営大学院シニア・フェロー 日本板硝子(株)社外取締役2010NKSJホールディングス(株)

社外取締役2014慶應義塾大学商学部特別招

聘教授(現任) 当社社外取締役(現任) (株)デンソ一社外取締役

(現任)2015第一生命保険(株)社外取締

役(現任)

Our Initiatives ─挑戦─ ESGマネジメント

ガバナンス役員一覧

後列左より 2 大澤佳雄 5 リチャード・ダイク 7 小豆畑茂 8 田中幸二 9 角田和好10野村好弘 4 ジョージ・オルコット前列左より 6 松田千恵子 1 田中一行11丸山寿 3 大戸武元

44

Annual Report 2016

各委員会のメンバー構成

執行役一覧

6 社外取締役松田 千恵子1987(株)日本長期信用銀行入行1998ムーディーズジャパン(株)入社2011首都大学東京社会科学研

究科(大学院)教授(現任) 首都大学東京都市教養学

部教授(現任)2012エステー(株)社外取締役2013当社社外取締役(現任)2014イオンフィナンシャルサー

ビス(株)社外取締役2015フォスター電機(株)社外取

締役(現任)2016キリンホールディングス

(株)社外監査役(現任) サトーホールディングス

(株)社外取締役(現任)

5 社外取締役リチャード・ダイク1975米国ハーバード大学助教授1976米国オハイオ州立大学助教授 米国オハイオ州政府東京駐

在事務所長1982テラダイン(株)代表取締役1988 Teradyne,Inc.副社長2009テスト技術研究所(株)代表

取締役(現任) (株)セミコンダクタポータ

ル社外取締役(現任) AvanStrate(株)社外取締役2010MattsonTechnology,

Inc.社外取締役2013日本産業パートナーズ(株)

社外取締役(現任)2016当社社外取締役(現任)

氏名 職位 指名委員会

報酬委員会

監査委員会

独立役員

田中 一行 取締役会長 ◎大澤 佳雄 社外取締役 ○ ○ ○ ○大戸 武元 社外取締役 ○ ○ ○ ○ジョージ・オルコット 社外取締役 ○ ○リチャード・ダイク 社外取締役 ○ ○松田 千恵子 社外取締役 ○ ○ ○ ○

氏名 職位 指名委員会

報酬委員会

監査委員会

独立役員

小豆畑 茂 取締役 ○田中 幸二 取締役 ○角田 和好 取締役 ◎野村 好弘※ 取締役

丸山 寿※ 取締役 ◎

氏名 職位 職務分掌の内容丸山 寿 代表執行役 執行役社長 全ての執行業務の総括野村 好弘 代表執行役 執行役副社長 エネルギー事業、自動車部品事業及びリスクマネジメント(輸出管理及び内部統制を含む。)の総括菅 政之 執行役常務 モノづくり及び構造改革の総括中川 操 執行役常務 エネルギー事業担当片寄 光雄 執行役 自動車部品事業担当並びに東南アジア地域の統括高橋 聡 執行役 自動車部品事業担当並びにインド・アフリカ地域の統括武井 裕之 執行役 営業の総括中山 肇 執行役 電子部品事業の総括宮内 敏彦 執行役 経営企画、財務、品質保証、環境安全、コーポレートコミュニケーション、人事及びリスクマネジメント(但し、輸出管理を除く。)の総括並びに内部統制担当森嶋 浩之 執行役 新製品開発の総括及び機能材料事業担当並びに米州地域の統括山下 祐行 執行役 中国事業の総括吉田 寛 執行役 財務、品質保証、環境安全、コーポレートコミュニケーション及びリスクマネジメント(輸出管理を含む。)担当吉田 誠人 執行役 新事業創出(基盤技術の開発及び知的財産を含む。)及びメディカル事業の総括並びに欧州地域の統括

7 取締役小豆畑 茂1975(株)日立製作所入社2009同社執行役常務2010当社社外取締役2011(株)日立製作所執行役専務2012同社代表執行役執行役副社長 (株)日立メディコ社外取締

役取締役会長2013(株)日立製作所代表執行役

執行役副社長(2014年3月退任)

2014同社フェロー(現任) (株)日立メディコ社外取締役 当社社外取締役 日立建機(株)社外取締役2016当社取締役(現任)

8 取締役田中 幸二1974(株)日立製作所入社2007同社執行役常務2011同社代表執行役執行役副

社長2016同社代表執行役執行役副社

長社長補佐(原子力、電力、エネルギーソリューション、産業・流通、水担当)(現任)

当社取締役(現任)

9 取締役

角田 和好1981当社入社2005当社執行役2006当社執行役常務2010日立粉末冶金(株)代表取締

役取締役社長(2013年3月退任)

HitachiPowderedMetals(Thailand)Co.,Ltd.取締役会長(2013年6月退任)

2011当社代表執行役執行役専務 HitachiChemicalIndia

PrivateLimited取締役会長(2013年3月退任)

2014当社取締役(現任)

11 取締役丸山 寿1983当社入社2000当社社長室広報・IR担当

部長2008当社自動車部品事業部副

事業部長2011当社執行役2015当社執行役常務2016当社代表執行役執行役社長

(現任) 当社取締役(現任)

10 取締役野村 好弘1980当社入社2008当社執行役2010当社執行役常務2011日立化成(中国)投資有限公

司董事長(2013年3月退任)

2013当社代表執行役執行役専務 HitachiChemical India

PrivateLimited取締役会長(2014年3月退任)

当社取締役(現任)2015当社代表執行役執行役副社

長(現任)

※執行役も兼務しています。◎各委員会の委員長を務めています。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

45

Annual Report 2016

Our Initiatives ─挑戦─ ESGマネジメント

ガバナンスの体制強化に向けて 日立化成は、機動力、客観性および透明性の高い経営を実践するため、業務執行機能と監督機能とを分離した「指名委員会等設置会社」の機関形態を採用しています。その特長を最大限に活かし、迅速・果断な意思決定が可能な業務執行体制を構築するとともに、取締役会の下に過半数の社外取締役により構成される指名・報酬・監査の3委員会を設置し、経営に対する適切な監督機能を発揮しています。 また、取締役の多様性を確保し、各々の豊富な経験・知識を活かした意見を経営に反映しています。加えて、取締役会の実効性評価の仕組みを導入するなど、運用面も強化しています。株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの利益に資する経営を実践するために、「日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン」を定めているほか、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を作成し、東京証券取引所へ提出しています。 さらに、グループ会社の監督機能を強化するため、必要に応じて、グループ会社へ取締役や監査役を派遣しているほか、事業所、グループ会社で内部監査を定期的に実施しています。2015年度、監査室は、社内9拠点と国内グループ会社12社、海外グループ会社14社を対象に監査を行いました。

執行役会(執行役社長の諮問機関)

株主総会

取締役会﹇監督﹈

執行役社長執行役副社長

執行役常務、執行役

﹇執行﹈

(新日本有限責任監査法人)

会計監査人

指名委員会 報酬委員会 監査委員会

経営戦略本部

リスクマネジメントセンタ

監査室

■ ガバナンス体制図 (2016年6月末現在)

コーポレートガバナンス・ガイドライン、コーポレート・ガバナンスに関する報告書は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶企業情報▶コーポレート・ガバナンスよりPDFをダウンロードしてご覧いただけます。

ガバナンスの強化

取締役会全11名、うち社外取締役5名。2名が執行役を兼務。指名委員会全5名、うち社外取締役3名。取締役の選任・解任議案の決定。報酬委員会全5名、うち社外取締役3名。取締役および執行役の報酬などの決定。監査委員会全6名、うち社外取締役5名。取締役および執行役の職務執行の監査および監査報告の作成。会計監査人の選任・解任議案の決定。執行役会(執行役社長の諮問機関)当社または当社グループに影響をおよぼす重要事項の検討。

指名委員会等設置会社への移行

女性取締役の登用

外国人取締役の登用

取締役会の評価

2003年度から

2000

2002委員会等設置会社制度創設

2005会社法制定

2014 日本版スチュワードシップ・コード公表2015改正会社法施行コーポレートガバナンス・コード導入

2010

2013年度から

2014年度から

2015年度から

日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン

「コーポレートガバナンス・コード」の各原則に基づき、2015年度に「日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しました。

コーポレート・ガバナンスの詳細は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶企業情報▶コーポレート・ガバナンスよりご覧いただけます。

■ コーポレート・ガバナンスの体制推移

ガバナンス

46

Annual Report 2016

親会社との関係と株主の平等性の確保 日立化成は、日立グループの一員として、経営情報の交換、研究開発、製品の供給などの事業活動において、日立製作所や日立グループ各社との協力関係を維持・発展させ、日立グループのブランド力などの経営資源を有効活用して、企業価値を高めています。一方、事業運営や取引の独立性を保つために、取締役会の構成人数などに配慮しています。親会社のみならず、すべての株主にとっての企業価値の最大化を常に念頭に置き、経営計画の策定やガバナンス体制の確立に取り組んでいます。

役員の選任・解任 取締役の選任・解任については、指名委員会が基準に基づき候補者ならびに対象者を指名し、株主総会で決議します。執行役の選任・解任については、基準に基づき取締役会で決定します。取締役候補者の選任理由は、株主総会招集通知において開示しています。

取締役会と執行役会 日立化成は、取締役会を毎月1回定期的に開催し、予算や決算に承認を与えるほか、予算・業績の管理を行っています。また、当社または当社グループに影響を及ぼす重要事項につき、執行役社長が正確かつ迅速な判断を下すために、執行役会を月2回定期的に開催しています。両会ともに、必要ある場合には臨時に開催しています。

社外取締役の独立性 独立社外取締役は、自らの豊富な経験と見識に基づき、日立化成から独立した立場で、経営の適法性、妥当性および効率性の確保による企業価値向上の観点から、取締役会などにおいて適宜質問、意見、助言などを行います。指名委員会は基準に基づき、社外取締役の独立性について判断しています。

役員の報酬 役員の報酬については、短期のみならず中長期的な企業価値向上をめざした経営を動機付けるとともに、多様で優秀な人財を確保するとの方針に基づき報酬委員会で決定しています。報酬委員会では毎年、取締役および執行役の報酬の方針について議論し、決定しています。

■ 役員報酬(2015年度)

株主総会招集通知は日立化成ウェブサイト▶株主・投資家向け情報▶株式情報▶株主総会よりPDFをダウンロードしてご覧いただけます。

日立化成の特長

At a Glance

Our Strategy

│戦略│

Our Initiatives

│挑戦│

社外取締役の独立性判断基準、役員の報酬に関する具体的な方針は日立化成ウェブサイト▶日立化成について▶企業情報▶コーポレート・ガバナンス▶コーポレート・ガバナンスに関する報告書よりご覧いただけます。

取締役の経歴は、P.43-44をご参照ください。

役員区分 報酬等の総額(百万円)

報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる役員の員数

(人)月額基本報酬 業績連動報酬・期末手当

取締役(社外取締役を除く。) 41 36 5 3

執行役 703 380 323 14

社外取締役 90 79 11 6

日立

化成

グル

ープ

AN

NU

AL REPO

RT 2016

この印刷物は適切に管理された森林からの原料を含むFSC®認証紙を使用しています。

用紙での配慮

VOC(揮発性有機化合物)成分ゼロの環境に配慮した100%植物油インクを使用しています。

ユニバーサルデザイン(UD)の考え方に基づき、より多くの人へ適切に情報を伝えられるよう配慮した見やすいユニバーサルデザインフォントを採用しています。

有機物質を含んだ廃液が少ない、水なし印刷方式を採用しています。

2016年7月発行Printed in Japan

〒100-6606 東京都千代田区丸の内一丁目9番2号(グラントウキョウサウスタワー)

TEL:03-5533-7000 FAX:03-5533-7077http://www.hitachi-chem.co.jp

印刷での配慮

ユニバーサルデザインフォントの採用