提案を具体的に考えたい - Cabinet Office1 提案の検討のポイント 3...

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提案の検討のポイント 提案を具体的に考えたい 3 提案を考える上で最も重要なのが、提案の原動力となる「地域の課題・支障事例」を把握することです。 「論点は現場にあり」との言葉どおり、住民サービスの向上のために解決すべき地域の課題・支障事例は、住民 とのさまざまな接点を通じて、住民から寄せられる制度・施策への疑問や要望の中にあると言えます。同様に、 住民から直接要望を受ける立場である首長・地方公共団体幹部も、地域の課題・支障事例を感じる機会が多い のではないでしょうか。 また、制度・施策に関わる住民、NPO、事業者等との意見交換を通じて、地域の課題・支障事例を把握する ことも有効です。その際、地方分権改革・提案募集方式の活用がイメージできるよう、あらかじめ、地方分権改革 とはどういうものか、また地域でどういう取組が行われているかなどを分かりやすく伝えることが重要です。 地域の課題・支障事例を把握する手法(例) 地域住民・事業者等の相談窓口となる担当者に集まる情報 首長へのメールや手紙、地方公共団体の目安箱への投書の窓口となる担当者に集まる情報 首長・地方公共団体幹部の外部での講演や会見における発言内容 地方から関係機関に行う政策要望(規制緩和、特区を含む)の内容 首長・地方公共団体が行うタウンミーティング、ワークショップで寄せられる要望・意見 地域住民から地方公共団体に寄せられる政策提案 「住民サービス」に関わるNPO、事業者が日頃から抱える疑問・要望 (公共施設の管理事業者、地域の開発事業者、福祉関係のNPOなど) 例えば、子ども・子育て分野における幼稚園教諭や保育士など、その分野の現場関係者が日頃から抱える 疑問・要望 地方公共団体の内部から把握 地域住民等から把握 ① 地域の課題・支障事例を住民との接点の中から把握する 26

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Page 1: 提案を具体的に考えたい - Cabinet Office1 提案の検討のポイント 3 提案を具体的に考えたい 提案を考える上で最も重要なのが、提案の原動力となる「地域の課題・支障事例」を把握することです。

1 提案の検討のポイント

提案を具体的に考えたい3

 提案を考える上で最も重要なのが、提案の原動力となる「地域の課題・支障事例」を把握することです。 「論点は現場にあり」との言葉どおり、住民サービスの向上のために解決すべき地域の課題・支障事例は、住民とのさまざまな接点を通じて、住民から寄せられる制度・施策への疑問や要望の中にあると言えます。同様に、住民から直接要望を受ける立場である首長・地方公共団体幹部も、地域の課題・支障事例を感じる機会が多いのではないでしょうか。 また、制度・施策に関わる住民、NPO、事業者等との意見交換を通じて、地域の課題・支障事例を把握することも有効です。その際、地方分権改革・提案募集方式の活用がイメージできるよう、あらかじめ、地方分権改革とはどういうものか、また地域でどういう取組が行われているかなどを分かりやすく伝えることが重要です。

地域の課題・支障事例を把握する手法(例)

●地域住民・事業者等の相談窓口となる担当者に集まる情報●首長へのメールや手紙、地方公共団体の目安箱への投書の窓口となる担当者に集まる情報●首長・地方公共団体幹部の外部での講演や会見における発言内容●地方から関係機関に行う政策要望(規制緩和、特区を含む)の内容

●首長・地方公共団体が行うタウンミーティング、ワークショップで寄せられる要望・意見●地域住民から地方公共団体に寄せられる政策提案●「住民サービス」に関わるNPO、事業者が日頃から抱える疑問・要望 (公共施設の管理事業者、地域の開発事業者、福祉関係のNPOなど)● 例えば、子ども・子育て分野における幼稚園教諭や保育士など、その分野の現場関係者が日頃から抱える疑問・要望

地方公共団体の内部から把握

地域住民等から把握

① 地域の課題・支障事例を住民との接点の中から把握する

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(2) 提案の対象であるかどうか

 提案募集方式を活用するためには、まず提案の対象であること、具体的には、①地方公共団体への事務・権限の移譲、②地方に対する規制緩和(義務付け・枠付けの見直し及び必置規制の見直し)、いずれかに該当する必要があります。 その際、法令等の規定によって、地方公共団体に対し、一定の行為が裁量の余地なく求められているかが判断のポイントになります。

(3) 制度改正の必要性、効果の整理

 事前相談の中には、地域における課題(支障)が十分に整理されないまま、制度の見直しについての技術的な検討が先行するケースが見られます。この場合、支障事例や論点が具体的なものになりにくいことから、地域で解決したい課題(支障)と、関係する法令等が具体的に対応することが望ましいと言えます。(支障事例については、③(P.29~33)参照) また、制度改正による効果を記載する際には、「〇〇の事務が煩雑であることから、業務の効率化に繋がる」という行政側の視点に加え、「〇〇など、住民サービスの向上にもつながる」という住民目線の視点を伴う内容の方が、提案の説得力が高まります。

④ 提案の対象を参照ください。

P.16

 事前相談の段階では、提案内容や支障事例が必ずしも明確である必要はありませんが、相談を円滑に進めるためにも、提案団体において確認しておくことが望ましいポイントがいくつかあります。具体的には、以下のとおりです。

(1) 根拠法令の確認

法令等には、法律、政令、府省令、告示、要綱、通知等の体系があり、実務に必要なルールがそれぞれの段階で定められています。(法律の具体的な内容が政令で、さらに詳細な内容が府省令や通知等で定められています。)地域の課題を解決するために、①提案に関係している業務がどの法令等に基づき行われているものなのか、②どの法令等が業務の支障となっているのか、確認しておくことが望ましいと言えます。

② あらかじめ確認しておくことが望ましい事項

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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Page 3: 提案を具体的に考えたい - Cabinet Office1 提案の検討のポイント 3 提案を具体的に考えたい 提案を考える上で最も重要なのが、提案の原動力となる「地域の課題・支障事例」を把握することです。

日ごろの業務の中で、法律や制度などが地域の実情にそぐわず、疑問を感じることはありませんか。そのような時は、提案募集方式の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。提案募集方式を活用していただくにあたり、まず初めに「事前相談」というプロセスがありますが、本誌70~71ページで紹介されておりますとおり、各地方公共団体から派遣された調査員が事前相談の窓口対応をさせていただいております。内閣府に電話をかけるのは少し敷居が高いと思われるかもしれませんが、皆様と同じ立場の調査員がご提案の実現に向けて親切、丁寧に対応させていただきますので、安心してご相談ください。提案することによって「どれくらい提案団体(地方)に事務負担があるのか」

気になるところかと思いますが、事前相談を経て各府省と調整を行うこととなったご提案は、内閣府が責任を持って各省庁と調整させていただきますので、基本的には提案団体のご負担は大きいものにはならないかと思います。聞き取り等問い合わせをさせていただく部分は「事前相談」。提案内容の対象性を判断し、今後の方向性を決める重要な作業となりますので、ご提案内容について詳しくお聞かせいただくことになります。そのあたりも含めて、これまで提案募集方式を活用されたことがない自治体のご担当者様におかれましては、色々ご不安やご不明な点などがあるかと思います。そのような時は、「分権提案支援ダイヤル(03-3581-2484)」にお電話ください。ここでは提案募集方式に関する様々なご相談や、研修・講師派遣の御案内などを受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。実際に各府省においても現場の声は把握しにくく、この制度により「実務ではこのような問題があったのか」と気づいてもらえることも多くあります。ぜひ提案募集方式をご活用いただき、現場の最前線にいる皆様の声を国に届けていただきたいと思います。国の制度に関して、地域の実情と合わなくなった部分を、地域自らのアイデアで変えていくことでよりよい現場づくりにつながると思いますので、皆様からの積極的なご提案をお待ちしております。

安心して「提案募集方式」をご活用いただけます!

まずは担当事務に係る法令等の体系を確認しよう!

提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

(どの法令等が業務の支障となっているのか)

体 系 内 容

法律 国会が制定し、権利を制限したり、義務を課す等の最も重要な事項が定められている。

政令 内閣が制定し、法律の内容を具体化する基準、手続、実施方法等が定められている。

府省令 各府省大臣が制定し、法律や政令の内容をさらに具体化する基準、手続、実施方法等が定められている。

告示 各府省大臣が制定し、法令の内容の詳細や基準、分析方法等技術的なルールが定められている。

要綱・要領 事務処理を進めていくための行政内部の指針が定められている。

通知(通達) 国から地方公共団体や事業者団体に対して行う「技術的な助言」が定められている。

どの法令等が業務の支障となっているのかを、まず確認しよう!

法令等の体系は複雑な場合がありますが、どこに問題があるのかを確認してください。

(京都府から派遣) 内閣府地方分権改革推進室 調査員

中なか

村むら

 朱あか

里り

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支障事例は、現行の法令等によって、地域の現場が困っている点を具体的な事例として示すものであり、提案の中で最も重要な要素と言えます。地域で抱える制度面からの課題について、事実関係やデータを交え、説得力のある支障事例としていくことで、制度を所管する府省の理解を得て提案が実現される可能性を高めることができます。このため、支障事例は、現場に詳しい関係者とコミュニケーションをとりながら作成していく必要があります。これまでの提案をみると、説得力のある支障事例には、いくつかの類型がみられます。

説得力のある支障事例にみられる主な類型

支障事例の具体化・整理は、提案の実現に向けて、提案団体に最も時間をかけていただきたい重要なプロセスです。

今日の実情に合わない過度の規制や不合理な規制の廃止・合理化を求める場合

1.国の基準が厳格すぎて、現場でやりたいことができない2.国の定めによって、不合理な状況となったり、無駄な仕事を行っている

全国一律基準の緩和を求める場合

3.施設や設備等の基準が地域の実情に合っていない4.職員・従事者の配置基準、資格要件が全国一律で地域の実情に合っていない5.地理・人口・産業構造等の地域特性に応じたまちづくりができない

事務の簡素化を求める場合

8. 書類・記入様式が多かったり煩雑、その他事務的負担があまりにも大きい9. 国(都道府県)が判断するため、時間がかかり、迅速な対応ができない10.そもそも国との協議が形骸化している

住民サービスの向上を求める場合

11.類似の事務・権限が、県と市町村で別々になっていて困る   (市町村に一部権限がおりていないため、一体的な権限行使ができない)12.類似の事務やサービスに比べて、手間がかかる、不便である13.国(都道府県)が地域の実情に精通しておらず、困った事態が生じている

ルールの明確化を求める場合

6.法令の解釈が曖昧7.通知・要綱レベルの事業実施方法が曖昧

権限移譲に係る提案において特に留意

(1) 支障事例の考え方

③ 支障事例

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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(2) 実現した提案における支障事例の主な類型

以下に、各府省に効果的に検討を要請し、実現に至った提案について、支障事例のポイントを紹介します。

1.国の基準が厳格すぎて、現場でやりたいことができない

2.国の定めによって、不合理な状況となったり、無駄な仕事を行っている

3.施設や設備等の基準が地域の実情に合っていない

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H30 112

大阪府、京都市、堺市、兵庫県、 和歌山県、鳥取県、徳島県、関西広域連合(厚生労働省)

保育所から幼保連携型認定こども園へ移行する際(運営法人や建物構造に変更がない場合)の財産処分手続に係る添付書類の簡素化

財産処分手続の際、多くの添付書類(施設の写真や図面等)が必要となり、古い施設では書類の捜索自体に多大な時間を要する。認定こども園への移行準備の大事な時期に建設当時の資料を捜索することが負担となっており、円滑な移行の阻害要因となっている。

R元 145 千葉県(厚生労働省)

医師法、歯科医師法、薬剤師法に基づく届出のオンライン化

保健所では、医師法等の規定により、医師等が行う2年毎の届出を回収し、取りまとめ後国に提出しているが、誤記等が多く発生している。その都度、申請者に補正を求めており、申請者への負担や申請者の内容確認を行う職員の事務負担が生じている。

4.職員・従事者の配置基準、資格要件が全国一律で地域の実情に合っていない

提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

今日の実情に合わない過度の規制や不合理な規制の廃止・合理化を求める場合の支障事例です。

国が定めている事務手続きの見直し・効率化を求める支障が示されています。

施設や設備等の基準の緩和を求める支障が示されています。

職員・従事者の配置や資格の全国一律基準の緩和を求める支障が示されています。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H30 7 萩市(厚生労働省)

へき地における管理薬剤師の兼務許可要件の見直し

管理薬剤師(薬局の管理者)は原則、他の薬局との兼務ができないことから、薬剤師の確保が困難なへき地において、地域の暮らしに必要な薬局を維持することができなくなっている。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H29 38258

須坂市、大阪府、京都府、兵庫県、和歌山県、大阪市(内閣府、厚生労働省)

保育室等の居室面積基準の緩和

保育室等の面積基準については、すでに第1次地方分権一括法等により一部地域で「従うべき基準」から「標準」に緩和されているが、要件が厳しく(前々年の待機児童数100人以上かつ前々年の住宅地の公示価格の平均額が3大都市圏の平均を超える)、対象団体が限定されている。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H28 181

兵庫県、滋賀県、和歌山県、鳥取県、徳島県、堺市(内閣府、厚生労働省)

病児保育事業に係る職員配置要件の緩和

人口の少ない地域等で、病児保育のニーズが都市部より少なく、常に病児を預かることは想定できないため、常時在中する保育士の確保が診療上の経営を圧迫するとの理由から、病児保育に踏み切れない。

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5.地理・人口・産業構造等の地域特性に応じたまちづくりができない

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H301396200

茨城県、日立市、土浦市、古河市、結城市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、常陸太田市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、鹿嶋市、那珂市、筑西市、坂東市、 かすみがうら市、行方市、つくばみらい市、小美玉市、茨城町、大洗町、栃木県、群馬県、新潟県、埼玉県、 川越市、所沢市、狭山市、坂戸市、伊奈町、小鹿野町、 美里町、東京都、広島市、広島県(総務省)

電子マネーを利用した公金収納の取扱いの明確化

公金納付における電子マネーの利用については、法令での明文規定がなく、 また、通知等によりその活用事例等を示した記載がないため、多くの地方公共団体で導入の妨げになっている。

6.法令の解釈が曖昧

法令の解釈が明確でないため、実施の可否を判断できないことが支障事例として示されています。

法令や国の要綱等により、地域の実情に応じた運用ができないことが、具体的な支障事例によって示されています。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H29 206 栃木市(厚生労働省)

介護施設等で子育て短期支援事業を実施できることの明確化

実施要綱上、市町村は児童養護施設や保育所などの住民に身近で適切に保護することが出来る施設で、子育て短期支援事業を実施するものとされているが、市内に児童養護施設等がなく、市内に所在する介護施設で実施できるかが分からないため、近隣の市町村の児童養護施設に委託して事業を実施せざるを得ず、市内の利用者が不便な状況である。

7.通知・要綱レベルの事業実施方法が曖昧

提案団体が事業を実施する上で、通知・要綱等では実施の可否を判断ができないことによる支障が示されています。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H29 183224

鳥取県、山口県、徳島県、大分県(文部科学省)

文化財保護を地方公共団体の選択により、教育委員会から首長部局へ移管することを可能とする規制緩和

文化財を活用した地域振興を図る機会が増えているが、現行法では、文化財関係の重要な意思決定は教育委員会が行うことから、機動性に欠けるとともに、観光・地域振興部門との連携が図られないおそれがある。

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H29 243 群馬県、福島県、新潟県(厚生労働省)

医療従事者免許に係る各種申請書様式記載事項の見直し

申請書様式の宛名は厚生労働省令で「厚生労働大臣 ○○○○ 殿」と規定されており、申請者は大臣名を記入しなければならず、未記載・誤記が多く発生している。その都度、申請者に補正を求めており、申請者への負担や申請書の内容確認を行う職員の事務負担が生じている。

H30 112

大阪府、京都市、堺市、兵庫県、和歌山県、 鳥取県、徳島県、 関西広域連合(厚生労働省)

保育所から幼保連携型認定こども園へ移行する際(運営法人や建物構造に変更がない場合)の財産処分手続に係る添付書類の簡素化

財産処分手続の際、多くの添付書類(施設の写真や図面等)が必要となり、古い施設では書類の捜索自体に多大な時間を要する。認定こども園への移行準備の大事な時期に建設当時の資料を捜索することが負担となっており、円滑な移行の阻害要因となっている。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H29 252 千葉県(環境省)

国定公園の公園計画の変更について、施設の業態変更等の取扱いの見直し

経営危機等に陥った国定公園内の既存施設を再建するため、他の施設に業態変更するに当たっては、県における手続きのみならず、半年以上の時間を要する国の公園計画の変更が必要となる場合がある。このため、国定公園の管理者である県が、公園内の水族館の再建に興味を持った2社の民間事業者と交渉を行ったが、事業開始の可否が見込めず、企画の段階で投資を断念されてしまった。このように、既存施設の業態変更に当たり、県と国の判断がそれぞれ必要とされ、機動的な対応が難しいため、民間からの投資を呼び込むことが難しい状況にあり、最終的には当該建物が廃墟となって、国定公園の景観を阻害する恐れもある。

8.書類・記入様式が多かったり煩雑、その他事務的負担があまりにも大きい

9.国(都道府県)が判断するため、時間がかかり、迅速な対応ができない

提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

地方公共団体側の審査事務の効率化だけでなく、利用者(申請者)側の負担についても言及することで相乗的な効果が示されています。

県と国の判断がそれぞれ必要とされ、機動的な対応が難しいことにより生じる支障について、地方の現場の実態に即した具体例が示されています。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H28 169兵庫県、滋賀県、京都府、鳥取県、徳島県(環境省)

国定公園における一定の工作物の建築にかかる環境大臣との協議の廃止

許可に当たって環境大臣との協議を要することについて、処理期間(申請受理から回答まで)が2~3か月程度かかる場合があるなど、事務処理に時間を要しており、国定公園の適正な環境保全や迅速な対応に支障を来している。さらに、環境大臣との協議は現地確認を伴わない書類審査であることから、県の意見に疑義を示されることがほとんど無い状況であり、形骸化した手続となっている。

10.そもそも国との協議が形骸化している

現地確認を伴わない書類審査であるなど、協議不要でも実務上問題ないことが示されています。

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住民視点での支障が示されています。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H281750292

埼玉県、愛知県、九州地方知事会(国土交通省)

不動産鑑定士試験の受験申込の都道府県経由事務の廃止

司法試験やマンション管理士の資格試験の受験申込の際には、都道府県を経由していない。一方、不動産鑑定士試験の場合は、都道府県を経由し、受験願書の配布、受付、国への提出事務を行っているが、現住所地以外の在学地や就業地の都道府県では願書を受け付けられない、願書の受付は都道府県だが、願書提出後に連絡先等を変更する場合の届出は国となっていて分かりづらい等の支障がある。

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H27 127255

山梨県、兵庫県、京都府、徳島県(厚生労働省)

がん診療連携拠点病院等の指定権限の都道府県への移譲

指定基準の合致の有無は都道府県でも判断は可能であり、かつ、実質的な審査は現に都道府県が行っている。むしろ地域医療の実情を把握している都道府県が指定することにより、適切ながん医療の提供が可能になる。(また、国の作業スケジュールの進行に遅れがあり、新規指定された病院の準備に支障を来たしている。)

年 管理番号 提案団体 (関係府省) 提 案 支障事例のポイント

H2796134306

九州地方知事会、指定都市市長会、神戸市(厚生労働省)

診療所に係る病床設置許可権限等の都道府県から指定都市への移譲

(有床診療所開設者にとって)病床設置許可は都道府県、診療所の開設許可は指定都市に申請しなければならず、利便性を欠く。(指定都市にとって)有床診療所の病床等に係る情報が把握できていないので、立入検査時に適切な指導が難しい。

H29 36253

松山市、大阪府、京都府、兵庫県、和歌山県、関西広域連合(内閣府、文部科学省、厚生労働省)

幼保連携型以外の認定こども園の認定事務・権限の都道府県から中核市への移譲

中核市については、幼保連携型以外の認定こども園の認定権限が都道府県にあり、施設への給付を行う中核市と事務権限が分かれていることから、施設の設立に際し、一体的な事務を進めにくい。また、事業者にとっても、窓口が分かれることから負担となっている。

12.類似の事務やサービスに比べて、手間がかかる、不便である

13.国(都道府県)が地域の実情に精通しておらず、困った事態が生じている

11.類似の事務・権限が県と市町村で別々になっていて困る

事務権限が別々になっていることにより、事業者や行政の負担が大きいことが示されています。

より住民に近い都道府県や基礎自治体が実施した方が地域の実情に応じた施策を展開できることが示されています。

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

愛媛県 西予市消防本部 防災課 平田 博史 氏

● 救急隊員不足による救急空白地域の存在、地域住民から不安の声● 過疎地域等における新たな救急体制のカタチを提案● 救急隊編成基準の緩和を求める提案を実現(平成27年提案)

 愛媛県西予市の一部の地域(明浜地区・城川地区)⦆では、厳しい財政状況等により、消防職員の増員が見込めないため救急隊運用時間を制限(平日昼間のみ運用)している出張所が存在していた。過疎・高齢化が進む地域では、健康に不安を持つ方も多く、地域医療体制が縮小される中、救急車に頼らざるを得ない状況にあった。平日夜間、休日等には救急隊が不在になり、隣町から救急隊が出場していたため、救急隊が現場到着するまで時間を要し救命率の低下が懸念されて、市政懇談会等で「24時間救急隊配置」を望む声が市民から上がっていた。

・ 救急車に乗車する救急隊員数は、「救急隊編成基準」により3人以上と定められており、24時間体制で救急隊員を確保するためには多くの消防職員が必要となる。そこで、過疎地域など一定の地域における「救急隊編成基準」の緩和を提案。その結果、過疎地域など一定の地域において「救急隊員3人の内1人」を「准救急隊員」とすることができるよう改正された。・ 西予市では、一般行政職員等を「准救急隊員」として任命することにより、消防職員の増員を最小限に抑え、出張所の24時間救急車運用を実現した。

取組の背景

取組の概要

 2つの救急出張所の24時間運用により、急病、事故等発生時の救急隊到着時間が、前年度(平成29年度)と比較して大幅に短縮(明浜地区:11分40秒、城川地区:7分39秒)され、地域住民の方々への安心、安全を提供することが可能となった。 また、一般行政職員の中に准救急隊員経験者が増加することにより、バイスタンダー(救急協力者)が増加して、市内全体の救命率向上が期待される。

取組の成果

過疎地域での新たな救急体制のカタチ西予市(愛媛県)

明浜地区 城川地区

この取り組みに関わることで、住み慣れた地域の安心・安全や命の尊さなど多くの事が分かりました。自分に出来ることを少しでも増やして、救命率向上に貢献したいです!

担当者の声

過疎地域など人口減少が顕著な地域では、救急出張所等が未整備または撤廃する地域が多くみられています。今回の准救急隊員制度を活用した取組みは、条件不利地域

においても、地域救急医療体制の維持を図られる可能性があります。多くの住民の方々へ安心、安全を提供するため、参考にしていただきたいと思います。

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提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

萩市 保健部 地域医療推進課 池内 剛 氏

● へき地においては医療従事者の確保が困難な事情● 薬局は地域住民にとって生活に必要なインフラ● 厚生労働省の過去の通知が現在には馴染まなくなっていた● へき地における薬局の管理薬剤師の兼務許可要件の緩和を求める提案を実現(平成30年提案)

萩市の市街地から離れた地域に、長く住民に利用されてきた民間薬局がある。最寄診療所の週2日の診療日数では管理薬剤師を配置・雇用することが困難な経営事情があり、県の窓口に他店舗での管理薬剤師の兼務許可について相談したが、前例がないため認めてもらえなかった。薬局経営が厳しい現状の中、地域住民から薬局存続に向けた署名

活動が行われ、萩市からもへき地における管理薬剤師の兼務許可の緩和について県知事に要望書を提出した。さらに、県市長会においても問題提起し他市の賛同を得て要望を行ったが、県からは「厚生労働省にも照会したが認められない」との回答があり、薬局の撤退による地域住民の不安が深刻化していた。

へき地においては、薬剤師を含めた医療従事者の人材確保が困難であること、高齢化率の高い地域においては、薬局は生活する上で重要なインフラであること、管理薬剤師の兼務許可要件の緩和は民間活力を利用できる有効な手段であることを理由に、内閣府へ「へき地における薬局の管理薬剤師の兼務許可要件の緩和について」を提案した。

取組の背景

取組の概要

萩市の提案後、内閣府や提案募集検討専門部会における全面的なバックアップをはじめ、同様の問題に直面する自治体からの賛同を追い風に、県の許可の弊害となっていた厚生労働省の昭和36年の通知に「へき地要件」が加えられ、1年以内での早期提案の実現を達成することができた。当該薬局は、県から管理薬剤師も他店舗で勤務できることを認められ、へき地の民間薬局を撤退させずに存続が可能となった。効率最優先の民間活力を利用して、へき地における住民の生活に必要不可欠なインフラを官民一体の取組で維持することができ、生活不安を解消されたことが大きな成果となった。

取組の成果

へき地における薬局の管理薬剤師の兼務許可要件の明確化について萩市(山口県)

担当者の声

提案実現までに、地域のご努力と様々な活動が行われていたことが背景にあり、諦めない姿勢が成果に結びついたのだと思います。今回の萩市のように過去の国の通知が根付いて

現在に馴染まなくなっているケースは氷山の一角かもしれませんが、行動をすれば解決できる事例として参考になれば幸いです。

薬の定期処方で月に2回は薬局に行かなければならないが、最寄り薬局が遠くなるのは、一人暮らしで自家用車がない高齢者には大変深刻な問題……。

薬✚局

郊外

薬✚局 薬✚局 薬✚局

薬✚局 薬✚局 薬✚局

街中管理薬剤師も他店舗に勤務できれば、診療日数が少なくても、地域とのつながりを維持できる♪

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

35

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●病児・病後児保育のすそ野の拡大に効果●安心して仕事ができる環境づくりに寄与● 病児保育事業における看護師等の配置要件の明確化を求める提案を実現(平成27年提案)

鳥取県の共働き世帯の割合は31%と全国平均(25%)より高く、子ども・子育て支援と両輪、またはそのセーフティネットとして必要不可欠な病児保育事業の充実が課題となっていました。しかし、国の補助を受けて病児保育を実施する場合、看護師等を常時配置すべきかどうか不明確であったため、

「看護師の確保」が難しい事業者にとっては開設に踏み切ることができませんでした。このため、鳥取県では平成27年に「病児保育における看護師等の常駐化要件の明確化」を提案することに至りました。

①鳥取県・鳥取市・事業者による開設に向けた協議、課題の抽出 ⇒「看護師の確保」が課題。併設する医療機関の看護師の配置は可能。

②「病児保育における看護師等の常駐化要件の明確化」を提案。

③内閣府通知により、職員を常時配置しなくてもよい場合が明確化。

④ 平成27年12月、鳥取市に医療機関併設型の病児保育施設(病児保育室とくよし)が開設。

取組の背景

取組の概要

今回の提案により看護師等の常駐化要件が明確化されたことで、確保が難しい看護師等を効率的に配置した病児保育施設の開設が可能となり、鳥取市に医療機関併設型の病児保育施設(病児保育室とくよし)が開設しました。(平成27年12月)鳥取市と近隣の岩美町と八頭町が広域連携協定を締結することで広域利用が可能となり、「病児保育室とくよし」

は県東部地域の病児保育の拠点の一つして位置づけられています。県東部地域で病児保育を利用した児童数のうち、「病児保育室とくよし」の利用者の割合は年々上昇(H28:

31.0%⇒H29:31.4%⇒H30:37.6%)しており、同地域の受け入れ人数の拡大に寄与しています。利用者からは「安心して仕事に専念できる」といった声も寄せられ、働きながら子育てできる環境の充実、女性

活躍の推進を後押しするものとなりました。

取組の成果

病児保育の要件明確化による仕事と子育ての両立支援鳥取県

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

0

0

H26年度

1,857

267

H27年度

1,929

1,185

H28年度

2,633

984

H29年度

2,146

1,257

H30年度

2,088

■病児保育室とくよし以外の施設利用児童数  ■病児保育室とくよし利用児童数

鳥取県東部地域における病児保育施設の利用状況(延べ人数)

約38%※ 「病児保育室とくよし」が 占める割合

鳥取県子育て・人財局子育て王国課 保育・幼児教育担当

河田 未来子 氏

栄町 クリ ニック

病児保 育室と くよし看護師が緊急時に駆けつけられれば常駐しなくてもよい

3F

2F

36

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●相談内容は提案募集の対象であるか●支障事例や根拠法令が具体的に記載されているか●行政事務の効率化や住民サービスの改善に資する具体的な内容が記載されているか(制度改正の必要性や効果)

●抽象的な理念論(「べき論」)だけの提案になっていないか●過去の提案募集における検討結果や、地方分権改革に関する過去の議論において、提案内容がどのように取り扱われているか

●各府省の審議会や検討会等において、提案内容がどのように取り扱われているか●過去に国に相談したことはあるか(過去の国への相談内容や経緯)●提案団体のみならず、多くの地方公共団体においても効果のある提案内容であるか

(1) 事前相談の受付け

相談したい内容が固まった段階で、内閣府への事前相談を行います。内閣府では、それぞれの団体から寄せられた事前相談について、提案募集の対象であるかや、支障事例や根拠法令の具体性、制度改正の必要性や効果等、様々な観点から精査します。なお、事前相談受付時には、全国の団体から多くの相談が寄せられることから、早めにご相談いただければ、内閣府からより多くの助言を行い、支障事例・制度改正による効果が具体的に明記された、説得力をもった提案にすることが可能となります。

(2) 事前相談を通じた支障事例・論点の明確化

現場の支障事例を、有意なデータや住民生活に影響を与えている事例などで補強することは、各府省に検討や制度改正の契機を与えるものとなります。提案団体と内閣府とが協力して提案の裏付けとなる資料を整理し、制度改正を求める論点を探っていきます。

 寄せられた事前相談を内閣府が精査する際の着眼点

●過去の提案募集の議論等を踏まえ、支障を解消するために考えられる制度改正の方向性●各府省や団体との調整経験を踏まえ、提案の説得力を高めるため、必要と考えられる事実関係やデータの提供依頼

 支障事例・論点の明確化のため、内閣府が行う助言の主な内容

④ 内閣府への事前相談

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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事前相談を受けた時点では、支障事例が不足していたり、対象要件に適合していない提案内容であっても、内閣府との事前相談の過程で、支障事例を補強したり、対象要件に適合する方向で提案を修正することにより、提案が実現した例があります。以下に、これらの代表例を紹介します。

【その他事例】 事前相談によって支障事例や論点が明確化されるなどして、提案に至った事例

ポイント● 事前相談を受けた時点では、都道府県において研修の受講要件を緩和し、資格を取得しやすくするなど現行制度の範囲内で支障解消の可能性があったことから、改めて支障事例等が具体的に示された場合に調整対象とするものであった。

● しかしながら、事前相談の過程で、地域によっては要件を現状より緩和することは質の確保の観点から困難であることや、同様の支障事例が様々な地域で多数発生していることが具体的に示されたため、調整対象とした。

居宅介護支援事業所の管理者の資格要件に係る経過措置延長省令改正 提案主体: 宮城県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、大阪市、堺市、兵庫県、神戸市、

和歌山県、鳥取県、広島県、広島市、徳島県、愛媛県、関西広域連合、 中国地方知事会、沖縄県介護保険広域連合

居宅介護支援事業所の廃止・休止を防ぐ

従 来

提案実現後

見直し

令和元年の事例

提案年権限移譲or

規制緩和提案 提案団体 備考

H28 規制緩和 生産緑地地区指定の面積要件及び解除要件等の緩和

兵庫県、京都府、和歌山県、京都市、堺市

【支障事例補強】過去に類似提案があったが、都市農業振興基本法に基づき、都市農業振興基本計画が策定されたという情勢変化、新年度も継続して支障が生じている事実関係を追記することで提案に至った。

H28 規制緩和 動物取扱責任者研修の見直し(研修回数等の義務付けの廃止等)

関西広域連合、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、大阪市

【対象要件への適合】事業者に対する研修受講の義務付けの廃止では提案募集の対象外となってしまうため、地方公共団体が実施する研修の実施回数の義務付けの廃止に方向性を修正。扱う動物種や業態について、具体的な数値などを記載することで、実態を分かりやすくした。

支障

効果

事前相談を経て提案が実現した例

経過措置期間内の資格取得が難しい。・ 経過措置期間内に主任介護支援専門員になるための研修の受講要件(専任の介護支援専門員として5年以上従事する等)を満たせない。・ 事業所の人手不足により、研修を受講することができない。

事例事例

● 制度の改正により、居宅介護支援事業所の管理者の資格要件が、介護支援専門員(ケアマネジャー)から主任介護支援専門員となった。 ※平成30年4月施行、3年間の経過措置有り● そのため、管理者は、令和3年3月31日までに主任介護支援専門員の資格を取得する必要が生じた。

事業所を廃止又は休止せざるを 得ない状況が発生

経過措置期限を令和9年3月31日まで延長することを検討

※令和元年度中に結論を得る。 利用者への介護サービスの 提供を確保

提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

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複数の地方公共団体等が、共同で提案を行うことも効果的です。それぞれの団体が支障事例を持ち寄ることにより、提案内容の更なる充実を図り、実現可能性を高めることができるほか、提案募集方式に参画しやすくなるため、より多様なニーズを反映した提案を行うことができます。共同提案については、都道府県と都道府県内市町村によるものをはじめ、近接する地方公共団体によるもの、圏域を越えて共通の行政課題に連携して取り組む団体によるものなど、様々な形態が考えられます。以下の2つの提案事例も参考にしつつ、共同提案についてぜひご検討ください。

<取組の内容> 県では、提案募集方式に関する理解を深めてもらうとともに、制度をより身近に捉えてもらうこと等を目的に、提案募集が本格化する前の11月に、内閣府から講師を招き県内市町村向けの研修を開催しています。 また、2月から始まる本提案に向け、複数の市町村で支障事例に関する検討を行うとともに、共同提案により提案に説得力が増すこと等について意識付けしています。 その上で、5月に市町村が集まる説明会の場を活用し、県及び市町村の提案予定について情報共有することで、幅広く共同提案を募っています。

<取組の内容> 郡山市と近隣市町村で構成する「こおりやま広域圏」は平成31年3月に形成されましたが、地方分権に関するセミナーやワークショップなどの取組みは、以前から共同で実施してきました。 令和元年の提案募集に当たっては、住民参加型のワークショップ等で出された提案について情報を共有するとともに、郡山市が中心となり意向の取りまとめや支障事例の強化を行い、9市町村による共同提案を実現することができました。

⑤ 共同提案

都道府県と都道府県内市町村が実施した共同提案の例

連携中枢都市圏の市町村が実施した共同提案の例

提案団体: 青森県、青森市、八戸市、黒石市、つがる市、平川市、平内町、鰺ヶ沢町、深浦町、西目屋村、藤崎町、大鰐町、田舎館村、板柳町、中泊町、野辺地町、七戸町、六戸町、横浜町、東北町、六ヶ所村、おいらせ町、東通村、五戸町、階上町

提案団体:郡山市、本宮市、大玉村、鏡石町、猪苗代町、平田村、浅川町、三春町、小野町

 研修等の取組を通じて提案募集方式に関する意識付けが図られるとともに、制度に関する知識が浸透したこともあり、今回の共同提案で県内40市町村中34団体が提案経験を持つに至りました。今後も市町村の主体的な提案が進むことを期待しています。

担当者の声

 平成30年まで、県内で提案実績があったのは4市町のみで、広域圏内では郡山市のみでした。今回の共同提案の実現により、今後も圏域内の地方分権に関する取り組みが推進されると思います。

<共同提案形成の流れ>H30年6月~ 広域圏を対象としたワークショップ

開催H31年2月~ ワークショップの意見等を踏まえた

提案の検討R元年5月 広域圏内での支障事例の強化、 共同

提案の意向調査R元年6月 意見集約、共同提案提出

<共同提案形成の流れ>H30年11月 県内市町村向け研修開催(内閣府研

修制度を活用)H31年2月~ 研修であげられた意見等を踏まえた

提案の検討R元年 5月 県内市町村に共同提案の意向調査、

質疑応答R元年6月 意見集約、共同提案提出

担当者の声

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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これまで実現した提案について、その要因を分析すると、いくつかの大きな特徴がみられます。最も大きいものは、支障事例・制度改正による効果が説得力を持って具体的に明記されていることであり、制度を所管する各府省に現場の実情を効果的に伝え、提案に理解を得るための強力な材料となります。また、共同提案や追加共同提案により多くの団体が実現に賛同する提案や、全国的連合組織等が要望している提案は、制度改正を求める声の地域的な広がりが示されることを通じ、提案の実現を後押しする材料となります。さらに、地方創生や一億総活躍など、国・地方共通の時宜にかなったテーマは、国民的な関心が高く、各府省とも問題意識を共有しやすいことから、提案の実現に向けた議論を後押しすると言えるでしょう。

具体的な支障事例・効果

1.支障事例が具体的であり、説得力のある提案2.住民サービスの改善が具体的に期待される提案

地方の意見の一致、多くの地方公共団体の賛同

3.共同提案や追加共同提案で、多数の地方公共団体が要望している提案4.全国的連合組織等が要望している提案

時宜にかなったテーマ

5.地方創生や一億総活躍など、国民的な関心が高い分野の提案6.担当府省が既に問題意識を持ち、内部検討を行っている提案 (国の施策の方向性と合致)

7.人口減少、施設の老朽化、専門的人材の不足等、現在の問題状況を踏まえた提案  ・既存施設・遊休資産の有効活用に係る提案  ・施設・設備や人員の共用化に係る提案

⑥ 実現の可能性が高いと考えられる提案の特徴

提案を具体的に考えたい  1 提案の検討のポイント3

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みんなの力で地域を変える! 住民参加型ワークショップを活用して提案

郡山市(福島県)

2 提案募集方式に対する特徴的な取組事例 提案主体である地方公共団体においては、提案に当たり、首長を含め関係部局間で十分な議論を重ねるとともに、提案内容が一団体の事情によるものでなく複数団体で共通のものとして一定程度の広がりをもつよう地域間の連携を図るなど、それぞれの地域の実情に即した説得力ある提案を行うための工夫が重要です。 ここでは、平成26年に提案募集方式が導入されて以降、創意・工夫を凝らした独自の取組により提案に至るなどの成果をあげている団体の取組を紹介します。

事例事例

取組の背景

取組の概要

取組の成果

【平成30年の例】第1回 住民参加型ワークショップ : 提案募集制度についての基礎講座 ↓ 地域課題や支障事例についてのグループワーク(職員対象ワークショップ) : 第1回の課題等を踏まえ、職員のみによる法令・支障事例等の具体的検討を実施。 ↓ 提案に向けたブラッシュアップ第2回 住民参加型ワークショップ : 提案シートの作成・支障事例、解決策等の発表 ↓担当課職員による具体的検討・内閣府への事前相談 → 提案の実現へ!

①自己紹介やアイスブレイクにより、参加住民の皆さんが発言しやすい雰囲気作り ⇒議論の活発化、よりよい提案へ②ワークショップの様子はウェブサイトや市広報番組を通じてPR⇒市民全体の理解へ

平成29年の地方自治法施行70周年並びに本市の中核市移行20周年を契機に、更なる地方分権を推進するため、提案募集制度の活用を目指したワークショップを開催することとした。ワークショップの開催に当たっては、職員のほか、より身近な地域課題の把握や解決をするため、住民や学生、事業者等にも参加していただいた。また、当時は連携中枢都市圏(こおりやま広域圏)形成に向けた協議を進めていた

ため、対象を広域圏職員、住民等とすることで、広域的な課題の解決を目指した。

①住民参加により、具体的な地域課題の把握・解決②継続開催により、具体的提案の実現へ③ 工場等の緑地面積計算方法の明確化を求める共同提案を実施(令和元年提案)  郡山市政策開発課企画係

 高橋 雅彦 氏

平成29年度のワークショップで出された課題等については、過去に類似の提案があったことや、支障事例の具体的提示が困難であったこと等により、提案提出には至らなかった。平成30年度には前年度の反省点も踏まえ、ワークショップで出された支障事例や提案について、法令調査や

データベース等を活用し、より具体的な提案ができるように取り組み、ワークショップ発意の「工場立地法に基づく準則条例における既存工場等の緑地等面積の計算方法の明確化」に関する提案が実現した。

担当者の声ワークショップの開催に当たっては、分権室の皆様のご協力をいただきながら、提案により自分たちの地域や生活がどのように変わるのかを考えながら進めるよう心掛けました。1年目では提案に至りませんでしたが、継続・カイゼンしながら実施することで、提案の実現につなげることができました。

■ 提案に至った事例

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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提案を具体的に考えたい  2 提案募集方式に対する特徴的な取組事例3

出雲市行政改革課主任高木 麻紗 氏

内閣府のサテライトオフィスを活用して提案出雲市(島根県)

事例事例

取組の背景

取組の概要〈狂犬病予防法に関する提案〉(1) 島根県における内閣府サテライトオフィスへの参加   平成30年11月2日に島根県松江市で開催された内閣府サテライトオフィスへ参加し、日常業務の中の支障事例をテーマにグループワークを実施した。

(2) グループワークの課題から提案募集へ   グループワークにおいて、本市の課題として提案した「狂犬病予防法に基づく犬の登録原簿の管理の見直し」について、後日、内閣府地方分権改革推進室との意見交換も踏まえ、令和元年の地方分権改革に関する提案募集の活用を検討した。

(3) 提案に向けての内閣府のフォローアップ ①平成31年2月 内閣府地方分権改革推進室の職員が来庁  狂犬病予防法に係る事務の課題と改善策について意見交換を行った。 ②平成31年2月~令和元年5月  提案に向けた課題整理など、電話とメールにて相談した。 ③令和元年6月 本提案を提出  【提案内容】  ・生死不明犬の登録情報の取扱い  ・犬の登録情報の職権消除等ができる権限の付与  ・狂犬病予防法に国外転出の届出の創設 ④令和元年7月 内閣府でのヒアリング

1. 提案募集への取組(1) 庁内全部署への周知と募集  制度概要や過去の全国の自治体の提案内容をあわせて周知を図り、職員への制度の浸透と積極的な提案を促している。(2) 全国の提案状況等への対応 ・他自治体の提案内容について、関係部署に対し共同提案の検討を依頼している。 ・提案に対する各府省の措置結果を関係部署に周知している。 ・上記により、次の提案に向けての意識を高め、提案の準備を進めている。(3) 研修会等への参加 ・内閣府、島根県が主催する研修会等については、庁内全部署へ周知し、積極的な参加を促している。

2. 狂犬病予防法に関する日常業務の課題(1) 市が管理している犬の登録原簿が実態と乖離  理由:飼い主から死亡届が提出されていないため、登録原簿から消除できないままになっている。(2) 犬の登録原簿の管理に係る経費や事務負担の増加  理由:登録原簿から消除できないことにより、管理事務や通知経費にかかる負担が増加している。

①提案募集に関する研修会参加等の取組②内閣府のサテライトオフィスを通した日常業務の中での問題発掘③ 狂犬病予防法に基づく犬の登録原簿の管理の見直しを求める提案を実施(令和元年提案)

取組の成果本市提案について検討された結果、「事務の実態及び専門

家の意見等を踏まえつつ、生死が不明な犬等の登録の取扱い、一定の要件を満たす場合の市町村長の職権による登録消除及び犬の所在地が国外に変更される場合の手続について検討し、令和2年中に結論を得る」とされた。内閣府サテライトオフィスへの参加をきっかけとし、提案に向けての手厚いフォローアップにより本提案に繋がった。なお、上記に加え、本市からは「社会福祉法人が放課後児童

クラブを設置する場合の要件緩和」を提案しており、これについても、令和元年度中に通知を改正する旨の結論を得ている。今後も積極的に本制度を活用し、提案していきたい。

担当者の声内閣府のセミナーに参加するまでは、「国の制度は地方の声で変えることができない」と思っていましたが、実際にセミナーに参加してみると、制度は実情に合わせて変えることができると知り、市役所職員が内閣府に直接提案することのハードルは思っていたほど高くないと感じました。日々の業務で生じる課題から支障事例を発見し、提案につながるよう、職員に対する提案募集方式の周知を更に図り、積極的に活用していきたいと思います。

■ 提案に至った事例

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市長のリーダーシップによる「改善改革」の取組を深化させて提案大府市(愛知県)

事例事例

取組の背景

取組の概要平成30年12月に内閣府地方分権改革推進室参事官を講師に

招き、市主催で職員研修を実施した。その後、市長が先頭に立って各部局に積極的に事前相談を促し、令和元年の提案を目標に、行政改革を所管する企画政策課と担当課が連携し、提案案件の調整を行った。

大府市は、平成28年度から「改善改革」を職員の基本姿勢に、オンリーワン(独自性)・ファーストワン(先駆性)・プラスワン(付加価値性)の視点を持ち、前例にとらわれない発想で施策を立案するとともに、日々の業務の改善に取り組んでいる。また、権限移譲は、平成29年度に国土利用法第23条1項の届出の受理、平成30年度に一般旅券の発給交付等、

認可外保育施設に対する立入検査等の移譲を受けるなど、積極的な取組により、主体的なまちづくりと市民サービスの向上を図っている。

①大府市の「改善改革」の取組を深化

②内閣府講師による研修会を開催

③ 10件の事前相談を行い、指定障害福祉サービス事業の指定等に係る事務・権限の移譲を求める等、5件の提案を実施(令和元年提案)

大府市企画政策課長福島 智宏 氏

取組の成果

大府市初めての取組で、10件の事前相談を行い、「指定障害福祉サービス事業の指定等に係る事務・権限の移譲を求める」等、5件の提案を実施した。また、各課の職員が内閣府の担当者の方と直接連絡・調整し、提案内容をブラッシュアップする過程そのものが、職員の改善意識の向上に資するものになった。さらに、大府市の取組に刺激を受けた近隣自治体職員が有志の職員勉強会を企画するなど、近隣自治体へ波及効果をもたらしている。

担当者の声内閣府の担当者の方が地方自治体の立場に立ち、丁寧に分かりやすく相談に対応していただけたことが、広く提案を集めることにつながったと感じています。

各部局に掲示した岡村秀人市長の書

萩原参事官による講演

近年、市の新たな施策の推進に当たり、国の規制、制度等が支障となる事例があり、市民に身近な基礎自治体として、地方分権改革・提案募集方式を活用し、積極的に地方に対する規制緩和等に関する改善提案を行うこととした。

また、既存の規制、制度等を当たり前のものとせず、業務のなかで生まれるアイデアを直接、国に届ける経験を通して、幅広い視野を持った職員を育成することも目的とした。

1

2

■ 提案に至った事例 1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

43

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内閣府との意見交換を通じて提案①伊佐市(鹿児島県)

事例事例

取組の背景

取組の概要①平成29年4月 内閣府地方分権改革推進室が来市し、ヒアリング。4件の支障事例のうち1件を事前相談②平成29年6月 本提案を勧められるも、業務多忙を理由に断念③平成29年11月 市三役、全課長を対象に提案募集方式の説明会を開催。支障事例調査を依頼④平成30年2月 H29.6断念案件について、提案募集方式による本提案することを市決定⑤平成30年3月 取りまとめ担当課が、関係事務を行うことで担当課の了承を得て、再度の事前相談 現場の声を再度集約し、共通認識を図る。⑥令和元年6月 本案件を内閣府に提案 地方分権改革有権者会議にて重点事項として指定

伊佐市は、高齢化率が40%を超えている典型的な山間部のまち。「おぎゃー献金」発祥の地として、ハンデのある子どもの支援に特に重点を置いて子育て支援施策に取り組んでいる。

①市の重点政策の推進②内閣府の来市によるヒアリングの実施、意識改革③ 児童発達支援センターの員数基準緩和の提案を実施(令和元年提案)

伊佐市 総務課行政係長(前職) 亀澤 博美 氏

取組の成果●上記取組により令和元年提案募集において、「児童発達支援センターの員数基準緩和」を提案●今後の取組展開を再考するきっかけとなり、以下の3つの柱を重点に推進していくこととした。 ■職員の意識醸成  ・地方分権改革に関する制度周知 ⇒ 職員内部系システムへ情報登載、研修会等の開催 ■取り組み体制の構築  ・年間業務としてルーティン化 ⇒ 11月説明会及び支障事例収集開始、3月集約及び検討  ・各課毎に地方分権改革(法制)担当者設置   ⇒ 試験的に民生部門に設置  ・取りまとめ担当課が関係事務を行い、担当課の負担削減 ■支障事例の掘りおこし  ・個別聴取やワークショップの開催  ・「むらづくり方策」の活用   ⇒ 各コミュニティより毎年提出される「むらづくり方策」   (地域づくり計画)に記載される要望や意見を注視し、   支障事例を発見する。  ・議会における議員質問等を注視し、掘りおこしを行う。

○権限移譲…15法令15項目168事務(平成26年度以降の権限移譲なし。)○提案募集…提案実績なし○取組状況… (取りまとめ課では) 通知を受けて、そのまま各課(課長等)へ依頼。後は担当課の

自主性に任せている。      (担当課では) 課によっては依頼を放置、スルーしていたと思われる課も存在。      (職員は)   そもそも地方分権って何? 提案募集って? 権限移譲は業務が増えるぞ!             不都合があっても法令、基準は遵守すべきもの。変えようなんて。             提案は県や都市部の優秀な職員がするもの。任せておけば…

平成29年度までの伊佐市の地方分権改革に対する取組状況

担当者の声今回の提案に取り組んだことにより、提案募集

方式が市民ニーズの実現や市民サービス向上、市政施策の推進などに有効な制度であることを、身をもって感じました。市民の声や日頃の業務における問題・課題を看過することなく、支障事例としてピックアップする体制の中で、提案募集方式をまちづくりに活用していきたいと思います。

■ 提案に至った事例

提案を具体的に考えたい  2 提案募集方式に対する特徴的な取組事例3

44

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①各課において課題や支障事例となっている事案の掘り起こし② 内閣府が来町し個別意見交換や現地視察をきっかけとして初めての提案③ 国定公園の指定日から存在する建物についての許可基準の緩和について、 許可権限のある三重県と共同提案を実施(平成30年提案)

内閣府との意見交換を通じて提案②菰こも

野の

町(三重県)

 今回の提案に関係する環境省からの提言により、公園事業として行うことで許可基準にとらわれず新たな旅館・ホテルなどの宿舎の建築が可能と分かり、廃屋の旅館・ホテルなどの取り壊しを先行して取り組むことが可能となりました。

 職員数が限られている小さな自治体で、職員ひとりの業務量や労働負担が多く、提案募集することで業務量が増えることを危惧し、提案募集制度を活用することを考えていませんでした。 実際は、内閣府や三重県の担当者の方に親身に相談に乗ってもらい、負担を感じることなく提案することができました。 今後は支障事例の提案提出については、積極的に活用していきたいと考えています。

取組の背景

取組の概要

菰野町にある湯の山温泉街では、廃屋となっている旅館・ホテルなどの建物が多くあります。自然豊かな温泉街の景観保全以外にも、地域の衛生・防犯・防災上の様々な支障をきたしており、当町において、その撤去が課題となっています。撤去を進めていこうとするなかで、既存建築物の取り壊し直後に建替える場合は、県において許可できる場合がある一方、建築物の改築、建替え等の計画がない状態で既存建築物の取り壊しを行い、数年後に建築物を設置しようとする場合は、更地に建築物を新築するものとみなし、自然公園法に基づく第二種特別地域の許可基準(容積・建ぺい率等)を適用せざるを得ず、同規模の建築物の建設許可を出すことができない。この既存建築物を撤去して長期間経過後の建築物の設置に厳しい許可基準が適用されることから、撤去することで土地の資産価値が下落することになり、所有者が敢えて撤去をしない状況もあるのではないかと今回の提案に至りました。

①課題や支障事例の掘り起こし 地方分権担当者から各課へ、課題や支障となっている事案の募集

②自然公園法における建築物についての許可基準の緩和を提案担当課から地方分権担当者へ自然公園法における支障事案を報告

地方分権担当者から内閣府へ報告

内閣府の方が来町されての個別意見交換、温泉街の状況を現地視察(三重県も同席)

内閣府と三重県、担当課で連絡を取り合い調整して提案に至る現地視察の模様

取組の成果

事例事例■ 提案に至った事例 1 地

方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

45

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提案を具体的に考えたい  2 提案募集方式に対する特徴的な取組事例3

道が大規模災害被災自治体の実情やニーズを把握して提案北海道

事例事例

取組の背景

取組の概要・成果● 地震発生から約半年が経過した平成31年3月に、道や被災3町(厚真町、安平町、むかわ町)が参画する「現地連絡調整会議」において、提案募集方式について説明するとともに、提案の働きかけを実施。

● 被災3町の負担を軽減するため、国に対して提出された要望書から支障事例を収集。● 事前相談から本提案までの内閣府との連絡・調整は道が担うことにより、被災3町の負担を軽減。

● 北海道胆振東部地震が発生し、被災した市町村が復旧・復興に取り組む中、道として市町村への支援について検討。● 平成29年に提案募集方式によって実現した「罹災証明に係る一連の手続・制度の見直し」を活用し、厚真町が罹災証明書の発行に航空写真を利用。

● 道では、復旧・復興に取り組む被災地域のニーズを把握し、特に大きな被害を受けた被災3町へ提案の働きかけを検討。

① 道は被災地域の実情や復興に関するニーズを把握し、1日も早い復旧・復興に向けた取組を推進。

② 北海道胆振東部地震災害復旧・復興対策に係る連絡調整会議において、被災地域に対し、「提案募集方式」の内容を説明するとともに、地域の課題について提案するよう働きかけ。

③ 最終提案までの内閣府との連絡・調整は道が担い、災害公営住宅に係る規制緩和を求める提案を実施(令和元年提案)

北海道総合政策部 原 友輝 氏

町の担当者の声被災3町における課題の例被災3町の連絡会議での発言がきっかけとなり、北海道庁が事務作業を代行する形で提案提出となった。今後も連携を図っていきたい。

● 現行の災害公営住宅に関する制度は、被災規模の大小で被災者を区別するものであり、地域のニーズに対応した制度になっていない。

● 被災地では住宅の自主再建を断念し、賃貸住宅による再建を選択する者が多い中、恒久的な住まいの確保に向けた取組は喫緊の課題。

● 特に収入要件等から被災者が公営住宅に入居できないケースが散見され、更なる人口流出の懸念。

■ 提案に至った事例

厚真町役場総務課税務グループ

岡橋 篤志 氏

災害対応で忙しい被災3町の負担をなるべくかけないように、 被災市町村の支障事例を道が手助けしながら提案

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愛媛県×愛媛大学コラボ企画「提案募集を活用した地域課題解決プロジェクト」を通じた市町村提案の掘り起こし

愛媛県

事例事例

取組の背景

取組の概要<H30年>① 地方分権改革セミナー(6月)/大学生 約60名が受講 全学部の大学生を対象とした提案募集方式の講義。

② 地域づくりワークショップ(11月)/大学生・自治体職員約60名が参加 「地域公共交通」と「空き家対策」をテーマに有識者からの話題提供後、大学生・自治体職員によるグループワークで、課題解決に向けたプロジェクトを考案、それを推進する上での支障を解決するために提案募集方式の活用を検討。学生の新鮮な発想と自治体職員の現場感覚を混ぜ合わせた活発な議論が展開された。

<R1年>「提案募集を活用した地域課題解決プロジェクト」 H30年の連携を発展させ、社会共創学部の授業「プロジェクト応用演習」を履修する同学部環境デザイン学科3回生の5名が、提案募集について学ぶとともに空き店舗が増加している八幡浜市の商店街をフィールドに実態調査等を実施。

① 地方分権改革セミナー(7月)/社会共創学部の大学生 約20名が受講 提案募集方式の講義及び空き家対策と商店街活性化に係る県の現状等の説明。

② フィールドワーク(7月下旬~10月中旬)/環境デザイン学科3回生5名が実施。 八幡浜市役所、商店街店主、地域活動のキーパーソンなどにヒアリング調査を実施。

③ 活動報告会(10月)/県・市町職員、高等学校教員等 約80名が参加。 学生による報告 「八幡浜市の商店街の実態調査及び制度的課題の抽出」 内閣府から提案募集方式と大学・高校との連携についても講義。

★ 報告会後、大学生は実態調査を踏まえた実践活動として、地元関係者と協働し、商店街への集客イベントと交流の場づくりに取り組んだ。(大学のプロジェクト応用演習)

★ プロジェクトに参加した学生から   日頃関わる事のない立場の方たちから色々なお話を伺ったり、大勢の方の前で発表したりと、貴重な経験でした。

提案のタネを考えるためには、地域住民の方が困っている事を詳しく聞いて、その困り事に関する制度について調べる必要があり、正直、難しさも感じました。今後、提案募集をうまく活用して、地域がより暮らしやすい場所になるように主体的に行動していきたいと思います。

● 提案募集方式の更なる裾野拡大のためには、多様な主体と連携して、地域の声から課題を把握し、提案募集方式の活用を視野に入れた課題解決の仕組みが必要。

● そこで、地域協働を通じて課題解決策を企画立案できる人材を育成している、愛媛大学社会共創学部に連携を打診。内閣府と市町の協力を得て、県・大学のコラボ企画が実現。

①県と大学が連携した企画に市町が協力。

②大学生がフィールドワークで地域の声をヒアリング。

③提案のタネを育て上げるため県・市町が検討。 愛媛県総務部行財政改革局行革分権課

 梅木 邦加 氏

取組の成果学生が、地域の商店街や市が抱える課題を、直接、聴き取る

ことにより、自治体職員も改めて課題を把握でき、提案を考える機会となった。また、地元メディアで紹介された事がきっかけで、高校で

地域活性化を目的とした商業教育に取り組んでいる教員も、活動報告会に参加いただくなど、提案募集の裾野は着実に拡大している。この活動を通じて得た課題意識から、県、市町で提案化に

向けて検討を進めているところ。

担当者の声地域のためになりたい! 大学生、自治体職員、

立場は違えど、思いは1つ。立場を超えて、共に現場に立ち地域課題につい

て考え行動する、この地道な取組みがいつか地方分権を支える力になると信じています。楽しかったです!

■ 提案に向けて検討を進めている事例 1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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1 研修プログラム等の紹介

 内閣府では、地方公共団体の職員をはじめ、地方分権改革・提案募集方式に関わる皆様を対象とした研修の講師派遣を積極的に行っています。 (年間104件(平成31年1月~令和元年12月実績)) 演習形式では、日々の業務の中での課題(「地域の実情に合った基準を設定したい」「曖昧な法令、通知、要綱等の解釈を明確化したい」など)について、地方分権改革・提案募集方式によってどのように解決し、住民サービスの向上につなげていけるかを議論してもらっており、研修受講者からは大変好評いただいています。

講義・演習等を通じて、地域の課題発見・解決能力を養います

3 研修・講師派遣の紹介

① 座学 ② 座学+演習(グループワーク)

⑥ 有志の政策勉強会等への参加

● 地方分権改革の必要性や提案募集方式の活用方法などについて、座学を行います。

● 都道府県、市区町村、市長会、町村会、議会事務局等で開催実績あり。

● 30分コース、1時間コース、2時間コースなど。

● 提案募集方式によって、研修参加者が感じている地域の課題を解決できないか、班別に検討し、発表を行います。

● 都道府県、市区町村で開催実績あり。

● 半日コース、1日コース、2日コースなど。

● 地方公共団体の職員有志による勉強会等において、提案募集方式の活用可能性等の講義、相談対応等を行います。

● 半日コース、1日コース、1日コースを期間をあけて複数回実施など。

⑤ 各種イベントへの参加

● 行政機関等が開催する各種イベントにおいて、提案募集方式の活用可能性等の講演、相談対応等を行います。● 文部科学省(廃校マッチングイベント)において、ブースを設けて説明を行った事例あり。● イベントの内容・形式にあわせて対応可。

★近年の開催事例 H30.8  廃校マッチングイベント H31.3  「小さな拠点」づくり連携推進フォーラム

③ 大学講師派遣(ワークショップ等)

● 地域の課題解決手法の一つとしての、提案募集方式について学べます。● 全国の大学の地方創生学部や法学部等を対象に実施実績あり。● 90分1コマから、プロジェクト型の複数日にわたる講座まで対応可。

★近年の開催事例R1.6・7 宇都宮大学 R1.9 室蘭工業大学・小樽商科大学R1.7 奈良女子大学 R1.11・R2.1 中京大学R1.7・10 愛媛大学

★近年の開催事例H30.7 最上夜得勉強会H30.8 最上地域政策研究所

④ 住民参加ワークショップ● 地方公共団体の職員だけでなく、住民も参加して、地域課題の解決を目指すワークショップを行います。

● 地方公共団体の職員、住民、民間企業職員、学生等、幅広い層の参加実績あり。

● 半日コース、1日コース、1日コースを期間をあけて複数回実施など。

★近年の開催事例H30.6 郡山市H30.12 郡山市

研修の時間・内容はオーダーメイドで対応できます。ぜひお気軽にお問合せください。TEL:03-3581-2484

提案を具体的に考えたい  3

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研修により、提案の“タネ”を作成

2 研修でのアンケート結果(平成31年・令和元年に実施したアンケートによる結果)

3 提案検討のための支援ツール

4 研修の実施例(長崎県庁での開催例(令和元年8月26日))

参加者からの主な声

研修プログラムに満足したか 職場の同僚に勧めたいか 提案募集方式を知っていたか

 内閣府では、提案検討等を後押しするため、6つの支援ツールを開発し、地方公共団体等に配布しています。 研修の場でも、これらのツールを教材として使用しています。

<事前課題> 日々の業務の中で感じている課題(支障事例)について、研修受講者にて、あらかじめ取りまとめておく<研修当日>(講義) 14:00~15:10 地方分権改革・提案募集方式に関する講義(提案募集方式の主旨、制度概要、実現した提案の

事例、検討のポイント等)(グループワーク) 15:10~15:25 班別に分かれ、研修参加者が持ち寄った支障事例を共有 15:25~15:45 班内で共有した支障事例の中から、提案募集方式による提案に繋がりそうな事例(普遍性が

高く、支障が分かりやすい等)を選択 15:45~16:20 各班が選択した支障事例を明確化し、支障を解決するための方策(法令等の改正、条例の制

定、制度の運用改善等)及び期待される効果(住民サービスの向上、地域活性化、業務効率化等)を整理

16:30~17:00 各班で検討した内容を発表

① 地方分権改革・提案募集方式入門ガイド

④ 政府インターネットテレビ「徳光・木佐の知りたいニッポン!」

② 地方分権改革・提案募集方式ハンドブック

⑤ 地方分権改革e-ラーニング講座

③ 地方分権改革・提案募集方式取組・成果事例集

⑥ 提案募集方式データベース

提案募集方式を知らない方向けに、同方式の概要を誰でも分かりやすく説明したリーフレット。

提案募集方式による住民サービス向上の事例の取材映像を交えながら、有識者が分かりやすく同方式を解説。

提案の検討方法や支障事例の考え方等、地方が求める実践的なノウハウを幅広く掲載。

地方分権改革の経緯や提案募集方式を、いつでも、誰でも気軽に動画で学ぶことができるe-ラーニング講座。有識者が分かりやすく解説。

提案募集方式を活用し、国の制度改正等が実現した地方公共団体の取組と住民サービス向上等の成果を多数取りまとめ。

これまでに地方公共団体等から提出された個々の提案を網羅的に収集・整理し、提案検討時等に過去の提案状況を簡易検索できる。内閣府ホームページに公開。

● 「地方分権改革は仕事が増える」というネガティブな印象が変わった● 現場の実務ではもっと制度がこうなったら、ということが多々あるので、研修で学んだことを是非活用したいと思った

● 担当課が壁にぶつかっている事例が最も提案内容として良いと思うが、担当課が業務多忙で提案に興味を持ってもらえない● 地方分権は聞いたことがあったが、提案募集方式も提案がかなり実現されていることは知らなかった。制度の周知徹底と意識改革により提案は増えると思う

● 「国の制度で決まっているから」と市民へ説明していたが、提案募集方式により変えられないかと考えながら業務をしようと思った● 市町村長向けの研修等、トップダウンで進めることも重要

よくあてはまるよくあてはまる35%35%

あてはまるあてはまる60%60%

あてはまらない5%

全くあてはまらない0%

知らなかった知らなかった45%45%

聞いたことがあるが内容は聞いたことがあるが内容は知らなかった知らなかった

30%30%

知っていた知っていた21%21%

知っており、活用を検討したことがある

2%

知っており、提案をしたことがある

2%

よくあてはまるよくあてはまる35%35%

あてはまるあてはまる

あてはまらない4%

全くあてはまらない0%

61%61%

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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「地方分権改革の旗手」の取組みを推進しています!

2 年2回程度「旗手会議」を開催し、ノウハウや問題意識を共有しています。

3 旗手会議での取組み

1 「地方分権改革の旗手」になりませんか? 地方分権の最前線で活躍する地方公共団体関係者のネットワーク化を進めており、約180名の方に「旗手」として登録いただいています。内閣府と旗手及び旗手同士での改革の推進に向けた各種情報交換・交流などを行っています。

 旗手会議を定期的に開催しており(年2回程度。令和元年度は第1回を7月29日~30日に開催)、旗手同士の情報交換や交流を図るために多彩なプログラムを実施しています(詳しくは 3 をご参照ください)。

4 地方分権改革の旗手の紹介

(令和元年10月1日現在)

都道府県 政令指定都市 市区町村 その他 合計登録者数 81名 25名 73名 1名 180名

登録団体数 47団体 20団体 61団体 1団体 129団体

旗手向けに最近の分権室の動きや実施した研修の概要などを定期的に「旗手通 信 」と し て配信しています。

令和元年度第1回旗手会議の模様

① 内閣府との密接な情報共有 ・ 提案募集方式の最新情報や取組みの背景等、実際に

役立つ情報を積極的に提供しています。

② 取組事例の紹介 ・ 提案に積極的な団体等の取組みについて、当該団体より

紹介いただいています。 ・ 平成30年度第2回会議では青森県、愛媛県より、令和元年度第1回会議では北海道、島牧村(北海道)、茅ヶ崎市(神奈川県)より、それぞれの地方公共団体での特徴的な取組み等について紹介いただきました。

(参加者の声)・ 北海道、島牧村の事例が参考となった。制度が正しく周知・活用されれば、住民サービスにつながるということがあらためて感じられた。・ 茅ヶ崎市の例として、庁内での「事前相談アンケート」による支障事例の掘り起こしの取組みが挙げられていたが、参考になる取組みであった。・ 他市の取組みを実際に伺うことで、提案の掘り起こし等参考になる部分があり、勉強になった。

(北海道) (島牧村) (茅ヶ崎市)

提案を具体的に考えたい  3

地方分権改革推進室からの現況等の説明(令和元年度第1回旗手会議)

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会議全体の評価(令和年度第1回旗手会議参加者アンケート結果)

回答内容 回答数・構成比

よかった 17 (63.0%)

どちらかといえばよかった 8 (29.6%)

無回答 2 (7.4%)

計 27 (100.0%)

③ ワークショップの開催・新たな提案に向けたアイデアの議論など、参加型のワークショップを開催しています。・ 平成30年度第2回会議では地方公共団体等における地方分権の成果の把握とPR、令和元年度第1回会議では他の地方公共団体にPRしたい取組み、提案募集方式のさらなる活用及び成果の活用に向けた取組み等をテーマとした意見交換を行いました。

② 旗手との連携旗手の主体的なアイデアや活動に対して、地方分権改革推進室は積極的に協力しています。

4 旗手の主体的な取組みの後押し

●研修会、意見交換会 旗手と連携して、都道府県、市区町村の方々への研修や意見交換会、個別相談会等に参画。

●他の地方公共団体の取組みの見学に対する協力

意見交換・発表(令和元年度第1回旗手会議)

① 旗手のアイデアの実現旗手会議で出されたアイデアがその後の新たな取組みにもつながっています。

主なアイデア主主なアイデアなアイデア 実現した取組実実現した取組現した取組

●ファシリテーション研修 平成29年度第1回会議における班別討議において、アイデアとして多くの賛同意見があったもの

●わかりやすい説明資料 平成30年度第1回会議における班別討議において、「住民は『分権』と聞いてもイメージが沸かない。ビジュアル的にも分かりやすい資料づくりが必要」との意見

●制度概要を説明したリーフレットの作成 分権室において検討していたリーフレットについて、わかりやすさを重視したデザインにより作成。地方公共団体の職員、住民、学生に対する制度説明等に広く活用。

●平成29年度第2回会議で実施 地方公共団体や企業等への支援実績がある外部講師を招き、体験型の講座を実施

●内閣府職員を招いた勉強会等を開催 分野別のワークショップ(土木・建築・福祉などの分野)を開催し、その中で出てきたアイデアを実際の提案に結びつける

●支障事例報告用アーカイブをつくる 全国のこれまでの支障事例が見られるようなシステムの構築

●提案募集方式データベースの構築 過去に行われた全提案とその調整結果が簡易に検索可能なデータベースを内閣府HPに構築(H29.2~)

● 地方公共団体の職員との意見交換・ワークショップの実施

・ 分権担当課・事業担当課との現地意見交換や分野別のワークショップを実施・ H28年度第2回旗手会議で内閣府職員と施策分野別意見交換を実施(子ども・子育て、地方創生関係)

実現

実現

●実現

実現

旗手への登録は、電話・メールでご連絡下さい。TEL:03-3581-2484

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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① 政府インターネットテレビ

●政府インターネットテレビ

「徳光・木佐の知りたいニッポン! 私たちの声で仕組みが変わる!地方分権改革・提案募集方式」

救急隊編成基準の緩和

病児保育における基準の明確化

有識者による分かりやすい解説

■番組の見どころ

https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg18149.html

●過疎地域等では、救急隊の編成に必要な3人以上の救急隊員を常に確保するのが難しい。愛媛県西予市では、人手不足の中で救急隊の24時間体制を確保するため、救急隊編成基準の緩和を内閣府に提案した。

●提案実現の結果、救急隊は「救急車1台+救急隊2人以上+准救急隊員1人以上」で編成することが可能になった。

●さらに思いがけない展開が…!

●地方分権改革・提案募集方式の仕組みや特徴、さらにはVTRにない事例について、地方分権改革有識者会議提案募集検討専門部会の髙橋部会長が、スタジオで分かりやすく解説します。

●働く親の中では、体調を崩した子供を一時的に預けることができる病児保育室のニーズが高い。

●一方、国の補助を受けて病児保育事業を行う場合、児童おおむね10人につき、看護師等1人以上の配置が必要であるが、この看護師等が常駐しなければならないのかが不明確であった。鳥取県では、施設の開設を進めるべく、この条件を明確化するよう内閣府に提案した。

●提案の結果、緊急時に看護師等が駆けつけられれば、常駐の必要がないことが明確化された。

●これを受けて、鳥取県の薬局の社長がとった行動とは… !

5 提案検討のための支援ツール

提案を具体的に考えたい  3

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●政府インターネットテレビ

「霞が関からお知らせします ~私たちの声で仕組みが変わる!~地方分権改革~」

https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg18088.html

●地方分権改革とは、現在国が行っている事務を地方公共団体が行えるようにすることや、国が全国で一律に決めている基準などを見直すことによって、住民に身近な地方公共団体が、地域の実情に応じて自ら創意工夫をし、地域が抱える課題を解決できるようにしていくこと。

■番組の見どころ

●まず、地方公共団体が住民の声から地域の課題を把握する。

● 次に地方公共団体は、課題の解決に必要な権限を地方に移したり、規制を緩めるよう、内閣府に対して提案する。

●内閣府では提案実現に向けて、関係府省と調整を行う。

●提案の実現は、住民サービスの向上につながる。

●罹災証明書の交付に必要な住家の被害認定に多くの時間と人員が必要であった。

●地方からの提案により、現地調査が困難である場合には、航空写真を活用して「全壊」の判定が可能であることが明確化された。

●住家の被害認定調査の効率化及び迅速化が図られ、罹災証明書の早期交付が実現したことにより、迅速な被災者生活再建支援が可能となった。

●この迅速化された被害認定の手続きは、2018年9月の北海道胆振東部地震の際にも活用された。

「提案募集方式」

地方分権改革とは?

地方分権改革の進め方

罹災証明書の交付の迅速化

※出典:国土地理院(イメージ写真)

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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② 提案募集方式データベース 提案募集方式データベースでは、これまでに地方公共団体等から提出された個々の提案を網羅的に収集・整理することにより、それぞれの提案状況を速やかに簡易検索できるシステムを構築しました。 ぜひ、提案募集方式データベースをご活用ください。

検索の 特長

3つの活用 指針

検索の 手順 簡単に検索 できる!内閣府地方分権改革推進室の提案募集方式データベース(下記アドレス)に

アクセスし、提案募集方式データベース(Excel形式)をダウンロードしてください。  https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/database.html

1

2 ダウンロードしたエクセルファイルを開くと、下図のような表が表示されます。

提案募集方式データベースは3つの活用指針をもとに構築しています。

アーカイブ(積み重ね)

提案募集方式のこれまでの「歴史」を知る

ユーティリティ(公益性)

誰でも、気軽に、便利に使える

ポテンシャル(発展性)

ユーザー自らが発展させる

1. 年度や分野別にこれまでの提案を検索することができます。2. 1と合わせて、提案団体や所管・関係府省庁、法令別にも検索することができます。3. 提案毎の調整結果(閣議決定における記載内容)を検索することができます。4. 各提案の個票を見ることができます。

検索する項目のフィルター機能をクリックすると下部に検索ボックスとリストが表示されます。3

検索する要素を検索ボックスに入力するか、またはリストから検索要素を選択してクリックしてください。(複数選択が可能です)4

OKをクリックしてください。検索結果が表示されます。5

各提案の個票も閲覧可能!!

提案を具体的に考えたい  5 提案検討のための支援ツール3

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6 提案募集方式に関するFAQ(よくあるご質問) 事前相談の段階において、地方公共団体から良く聞かれる項目についてQ&A方式により解説したものです。

A1:

追加共同提案団体とは、受け付けられた提案(提案募集の対象外のものは除く。)について、提案団体と同様の支障事例が生じている又は同様に制度改正の必要性を認める地方公共団体等が、提案の趣旨に賛同の上、参画するものです。

したがって追加共同提案団体は「提案団体」そのものとは異なりますが、各種資料において追加共同提案団体となった団体名や寄せていただいた支障事例は公表します。多くの団体から幅広い支障事例が寄せられることは、各府省の真摯な検討を促す原動力となります。

Q1:

追加共同提案団体は、提案団体と扱いが異なるのでしょうか。

A2:

過去に調整の対象とならなかった案件(→p.25)や、各府省と調整を行ったものの実現できなかった案件(→p.24)であっても、前回提案時と比べて

・ 支障事例や制度改正による効果を具体的に示すこと・ 提案を検討する前提となる情勢に変化があったことを示すこと

等により、検討・調整の対象となる可能性があります。

ただし、事前相談の時点でこれらが全て整っている必要はありません。内閣府とのやりとりを通して提案の内容をブラッシュアップする中で、検討・調整の対象とすることができる可能性がありますので、早めの事前相談をお願いします。

Q2:

過去に「対応不可」になった案件でも再度提案ができますか。

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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A3:

支障事例は、提案に説得力を持たせ、実現可能性を高めるために必要です。すなわち、地域で起こっている具体的な問題の事例・データや、制度見直しによる効果などを具体的に記載いただくことで、各府省において実効的な検討が可能となり、提案実現の後押しとなります。

ただし、現在はまだ支障となっていないものの、「今後起こりうる問題の防止や、新事業の実施に必要な規制緩和等」については、想定される支障や効果を記載いただくことで検討・調整の対象となる可能性があります。(→Q4も参照)。

また、支障事例は、事前相談を始める時点から完全なものとなっている必要はありません。提案団体がお持ちの問題意識に沿った形で各府省の検討を促せるよう、事前相談を通じてブラッシュアップしますので、内閣府への早めのご相談をお願いします。

A4:

現在起きている問題の解決だけでなく、「今後起こりうる問題の防止や、新事業の実施に必要な規制緩和等」が必要である場合も、想定される支障や効果を記載いただくことで検討・調整の対象となり得ます(→Q3も参照)。

A5:

税財源配分や税制改正等の財源措置は、国・地方を通じた税財政制度全体を視野に入れ、専門的に検討すべき事項であり、税制調査会や、国と地方の協議の場等において議論されているところです。したがって、地方の多様性を活かして個別の制度改正の提案を検討する提案募集方式にはなじまないものと考えられ、基本的に対象外ですが、地方公共団体の税に関する事務手続に関するもの等、権限移譲又は地方に対する規制緩和に該当すると考えられる提案については対象となります。

Q3:

支障事例の記載がなくても、検討の対象としてもらえないでしょうか。

Q4:

現在起きている問題の解決ではなく、生産性向上や効率化等のメリットが大きいために見直しを行うような提案についても対象となりますか。

Q5:

税財源に関する提案については、提案募集の対象とならないのでしょうか。

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Page 32: 提案を具体的に考えたい - Cabinet Office1 提案の検討のポイント 3 提案を具体的に考えたい 提案を考える上で最も重要なのが、提案の原動力となる「地域の課題・支障事例」を把握することです。

A6:

提案の募集要項においては、これまでの地方分権における国庫補助負担金を巡る議論等を踏まえ、補助金等の要綱等による義務付け・枠付けの見直しを求めるもの、具体的には各種補助条件の見直しを求めるものや手続書類の簡素化を求めるもの等を提案募集方式による検討の対象としています。

一方で、補助率の引上げ、採択基準の引下げ、補助金の廃止による一般財源化等を求める提案は「権限移譲」・「規制緩和」に当たらないものと考えられ、検討の対象となりません。

また、規制緩和に当たる要素があるものの、予算の増額につながる提案については、地方分権の視点のみから議論を行うことができないため、内閣府と関係府省との間で調整を行うのではなく、主に予算編成過程で議論することとされます。

A7:

内閣府では、地方公共団体をはじめ、地域の課題解決に向けて取り組む皆様に対して、提案募集方式をより深く知っていただくために研修講師派遣を行っています。研修では、座学形式だけでなく、参加者自身が検討していただくワークショップ形式など、ご要望に応じてオーダーメイドで行っています(→p.48~49)。ぜひお気軽にご相談ください。また、提案検討を後押しするための支援ツールもご用意しておりますのでご活用ください(→p.48~49、52~54)。

A8:

おおむね3か月ごとに、対応方針の措置状況を調査し、その結果を内閣府のホームページにおいて公表するとともに、特に、当該年度中に結論を得ることとされている事項については、その検討状況を地方分権改革有識者会議に報告するなど、提案の実現が確実に図られるようフォローアップを行っています。

Q6:

補助金等に関する提案はどのように扱われますか。

Q7:

当団体では、庁内で提案募集方式が浸透していません。内閣府はどのようなサポートを行っているのですか。

Q8:

「引き続き検討を行う」とされた提案については、提案の趣旨に沿って確実に検討が行われるのでしょうか。

1 地方分権改革について知りたい

2 提案募集方式について知りたい

4 地方分権改革・

提案募集方式の

参考情報がほしい

3 提案を具体的に考えたい

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