特集 自己免疫疾患研究...20.7N.7o 特 集 自免疫 2020.7 No.165 コスモバイオニュース 特集 自己免疫疾患研究 Cellero ヒト血液細胞 UltiMapper I/O
特集 ダイレクト21...
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2 SOKEIZAI Vol.54(2013)No.8
ダイカスト鋳造の基本は溶湯の短時間充填とそれに伴う金型内ガスの置換である。現在、ダイカスト製品の品質管理項目に、この基本の管理項目が欠落していると思われる。本稿ではこの2つの項目に対する管理方法を提案し、これを主体に、従来項目と共に管理する事で良品率の飛躍的向上が期待されることを示す。また、良品率の飛躍的向上につながる金属ガスフィルタの発展性についても述べる。
ダイカストの品質に直結した新管理方法の提案
1.はじめに
岩 本 典 裕 長 澤 理 ㈱ダイレクト 21
ダイカスト法には溶湯の供給方法の違いによりホットチャンバー法、コールドチャンバー法、スクリュー法などがある。これは鋳造する非鉄金属の溶湯状態の特性によって選択される。図 1に示すように日本のダイカスト生産量は自動車産業の発展とともに飛躍的に拡大し、現在 95%以上がアルミニウム合金であり、コールドチャンバー方式で生産されている。コールドチャンバーダイカスト法はマシンと溶解保持炉とが分離されているため保守性に優れ、さまざまな金属やプラスチックなども成形できる高い生産性を有する半面、溶湯を冷えたスリーブに注ぎ込むため湯先が冷やされ、凝固膜や酸化被膜の製品内への混入のリスクも大きく、これで生産されるアルミダイカスト製品は現在 JIS の強度基準である機械的性質の引張試験(引張強さ・伸び)衝撃値・硬さの数値表示がない。ホットチャンバーで鋳造される亜鉛合金ダイカストやマグネシウム合金ダイカストの数値は明示されている。コールドチャンバーダイカスト法の不良品率は機械加工やプラスチック射出成型品に比べると約 10 倍(一桁上)以上高い。 自動車部品などの大量生産プロセスの中でも不良率の高さは突出しており、これを改善するため「最新式ダイカストマシンとその周辺技術に付いて」を
図 1 日本のダイカスト生産量(経済産業省/機械統計及び鉄鋼・非鉄金属・
金属製品統計による)
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昭25 30 35 40 45 50 55 60 平2 平7 平12 平17→年号1950 55 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 05
90
80
70
60
50
40
30
20
10
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ダイカスト年間生産量(万トン)
●-●総生産量△-△アルミニウム合金ダイカスト○-○亜鉛合金ダイカスト
3Vol.54(2013)No.8 SOKEIZAI
特集 次世代ダイカストへの取り組み
著者らは本誌(1986 年 7 月号)に発表した。これはダイカストマシンを最初にコンピュータ制御したもので、27 年後の現在、マイコンを利用したマシン制御は当たり前になり、どれも金型名を呼び出せば鋳造条件を自動設定・自動補正する事でダイカトマシンの安定性が保てるようになった。またダイカストマシンの性能向上で不良率は改善してきたが、国内生産されるダイカスト部品は多機能化や鉄系材料か
らの変更等で難易度が更に引き上げられ、不良率は捨打や工程内不良も含めると 10%以上と依然とした高い結果となっている。 そこで、ダイカスト鋳造の基本に立ち返り、短時間充填とそれに伴う金型内ガスの置換を現有深耕と新規発想の両面から改善することにより、大幅な不良率低減ができることを明らかにした。
クルで現状の生産が各管理項目の数値内で生産されているかどうかの確認を行う。また、数値に不備があったり、管理値の変更、是正があった時には記録を残し管理値の変更を行ったりする。 これら数多くある管理項目で長年のダイカスト作業に従事してきた作業者や現場管理者が特に気を配る項目が鋳造条件の高速速度や鋳造圧力、充填時間といった項目であるのではないだろうか。これら数値はここ最近のダイカストマシンでは図 4のようにダイカストマシンが自動で計測を行いそれぞれの製品ごとに鋳造条件等の各項目の数値を設定して管理するといったことが一般的となってきている。さらに、図 5のように1ショットごとの鋳造条件の実波形もとれるようになってきていることから、こういった波形管理もされるようになってきている。
2.現状の管理項目
通常自動車部品などのダイカスト製品は、設計段階より細かな検討検証をしてから金型を製作し、数回の試作を実施して問題点を解決したのち量産へと展開するのが一般的である。 量産を開始するにあたっては、図面を基にQC工程表を作成し、さらにそれを基にして図 2のように鋳造条件表やそれを作業者がチェックするための図3のようなチェックシートがあり、ほとんどのダイカスト工程にはこのようなものが多々あるのが現状である。 現場作業者や現場管理者はこれら決められた管理項目をきっちり守るために、決められた時間やサイ
図 3 鋳造条件チェックシート
図 2 鋳造条件表
図 5 現在管理している射出波形
図 4 鋳造条件測定数値
4 SOKEIZAI Vol.54(2013)No.8
図 6 鋳造工程の概要
3.現状で良品を生産するには
これら管理項目は鋳造工程だけにとどまらず、ものづくりの全てで行われていると言ってよい。ダイカスト製品の製造工程を例にあげると図 6のような流れになる。 良品を生産するにおいてはこのように工程ごとに決められた作業を確実にこなすといったことが要求される。しかしながらこうした多々ある管理項目、決まり事を徹底してもダイカスト製品の不良率は他産業の不良率と比べてみても圧倒的に多いのが現状である。 普通ダイカスト品の不良が発生する多くの場合は、決められた管理項目が外れていたり、管理項目ではないが、いつも生産している条件と何等かが変わっていたりといった場合が多い。こういた例外を除いても良品率がよくない製品は存在するのが、ダイカ
スト産業である。こういった不良率の高い製品を、技能をもったスタッフや設計技術者は不良対策で色々と取り組むが、不良の原因はつかめてもそれに対する対策が思うようにできていないといったことが言えるのではないか。 普通不良対策での取組といえば、簡単なところでは鋳造条件の変更で、高速速度を上げたり、高速区間を変更してみたりなどとすることが多いと思われる。また、大きな改造を伴う対策としては湯口ランナーの変更など金型の改造が必要なことがあげられる。実はこれら対策がうまくいったとしてもほとんどが結果論で、残念ながら数値的な測定で理論づけることは非常に難しい現状がある。以下、よりこういったことの手法の 1つとして、新提案を紹介する。
区分 鋳造 鋳造 仕上げ 1 仕上げ 2 検査
工程 ① ② ③ ④ ⑤
工程名称 ダイカスト鋳造 オーバーフロー・湯口除去 バリ取り ショット 歪み検査
作業 自動 自動 手作業 自動 自動
概略図
●印をトリミングプレスにセットして除去する
設備仕様
鋳造機・・・ 350ct-1号機離型剤塗布・・・カセット式スプレー取り出し・・・専用 R/B
プレス機・・・油圧式プレス機 エアーヤスリ鋳付穴バリ取りドリル
ショット仕様・・・亜鉛 0.4 歪み確認・・・トリメトロン
主な管理項目
・鋳造条件・・・ 1/ 直・ 離型剤塗布・・・ポイント 1/ 段取時
・離型剤濃度・・・ 1/W
・外観チェック・・・全数 ・外周見切りバリ除去・鋳付穴 7箇所面取り
・ 押出ピン跡立ちバリ(18 個所)・外周見切り
・歪量確認(± 0.2) ・・・全数
2008 年
基準生産数 20,000 台 / 月
編成人員 1 名 / 直×4直
サイクルタイム 50 秒 / 台
ラインスペース 11.5m×7m
ライン指標カバー鋳造工程概要
製造部鋳造課
工場2008/2/4
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ラインレイアウト
5Vol.54(2013)No.8 SOKEIZAI
特集 次世代ダイカストへの取り組み
溶湯を基準に鋳造工程を考えてみると、スリーブに注湯された溶湯は温度降下しながらダイカストマシンの射出により高圧・高速でゲート先に鋳込まれる。これをインプットとし、ゲート先は即製品で急冷しながらエアーベントまで充填・加圧し凝固される。この工程をアウトプットとした場合、インプットの品質データは現在生産現場で管理されている様々なものがある。中でもマシン設定データである高速度の計測値は重要管理項目とされているが、充填時間(溶湯がゲート通過後充填完了するまでの時間)はほとんどの生産現場では管理されていない。 一方、アウトプットの品質データは金型内の標準的管理項目が存在していない。中でも金型内のガス圧は計測が不可能であった事もあり、想像の領域で、エアーベントやチルべント、真空などの断面積を結果評価として判断して採用しているのが現状である。 図 7はダイカストの品質管理を胃の健診にたとえると胃が調子悪い時に病院でバリューム検査を行うのが従来管理(ダイカストマシンの射出データ管理)でⅩ線による間接的な画像診断に対し、今回提案するのは内視鏡検査のように直接的な画像診断に相当するもので、金型内の情報を直接計測しようとするものである。
② 型内に残った水分や離型剤は型内で水蒸気爆発をする事があるが、この現象が捉えられているか。
これらは従来の計測では直接のデータとして管理できなかった。①はエアーベントが熱膨張で変形し狭窄され離型剤が堆積したりして、時々刻々変化する。また②は、品質に大きな影響を与える現象であるが、いわばコップの中の嵐であり、捉えることができなかった。 ダイカストは、溶湯を充填する事で金型内のガスが追出され(置換)成形される。この際、充填時間が短いとガスが封じ込められる。すると封じ込められたガスは断熱圧縮され、これが射出力を減衰させるだけでなく溶解素材に巻き込まれ、製品として成形され鋳巣となり様々な不良原因を作る。ガス抜きの目的は断熱圧縮の影響が出ない圧力以下になるよう抜くことである。 即ち、射出時の金型内ガス圧(背圧、真空度も含む)を管理する事が品質管理において重要である。 金型内のガスは通すがメタルは通さないフィルタは、チップ・スリーブ間や各ベントなどと同様、湯先凝固の原理で溶湯の差込を防止させるためギャップを非常に狭くし、安定に保てる構造とした。金型内に挿入したフィルタは、離型材や冷却水を吹きかけられ毛細管現象で目詰を起こすし、温度が高いと溶湯が差し込む。そこで毎ショットのスプレー中にエアーパージを行い、フィルタ溝の清掃と冷却を兼ねた。しかもエアーパージ後の圧力降下時間をマイコンで計測し、金属ガスフィルタの健康管理を毎ショット行うことにした。
図 7 金型側情報計測の必要性と胃の健診
図 8 金属ガスフィルタの構造と圧力降下時間の計測
4.新管理方法の提案
(1)金型内ガス圧の計測管理【新規創造】鋳造していて、下記のような経験はないだろうか?① 射出した際エアーベントから出るガス(通称ノロシと呼ばれている)に勢いがあると乾いた音で良品が出やすい、一方勢いがなくなると湿った音になり不良率が多くなる。
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6 SOKEIZAI Vol.54(2013)No.8
金属ガスフィルタの材料はSKD61 で熱処理及び防錆処理を施し使用している。 この金型内ガス圧(背圧)を連続計測できる技術が確立した。今までは、想像の領域で排気口断面を論議したり、真空方案を模索されていたが全てはこの背圧値(-0.1 ~ 0.5MPa)で評価できる この一連のシステムを図 9に示す。
これにより鋳造中の金型内ガス背圧値を計測できるようになる(図 10)。品質管理項目にガス背圧を追加しこれが、ある管理値以内になっているかを管理する事が品質管理にとって至って重要である。 (2)充填時間の計測管理【現有深耕】 ダイカストの品質管理項目で品質に影響を及ぼす最も重要な管理項目として「高速速度」を挙げる人が多い。これは高速速度が鋳肌やバリの出方に直接影響するからだと思われるが、これはマシン管理値であって溶湯を基準に考えた場合どの位の時間で鋳込められているか、即ち溶湯充填完了時点で液相状態だったか固液共存状態だったかの判断が大切となる。充填時間には製品充填時間と二次充填時間を合わせた時間で充填が完了しない限りハイプレッシャダイカストのメタルはプレッシャーがかからない(昇圧・加圧できない)。 また、二次充填時間は製品が充填完了する間際に発生する。その理由は流体の性質で知る事ができる。図 12は流体のテスト装置で 3 つの容器(キャビティーに相当)に同時に流体を流そうとすると、少しでも抵抗の小さい容器に入り、フローフォースの影響でほぼ充満された後、次に抵抗の少ない容器に入る。ダイカストも同様で、図 13で説明すると、B図 10 射出計測波形と金型内ガス圧力波形
背圧を品質管理の重要項目として、管理する手順は、手順 1) 金型の固定型オーバフロー部に金属ガスフィ
ルタ用の穴を加工する(最終充填部分)手順 2) モニター装置にマシンからの信号を取り込
む(射出開始信号やスプレー信号)手順 3) 金属ガスフィルタを取り付け連続計測し金
型内背圧を計測する
図 9 金型内ガス背圧計測の方法
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図 11 射出動作とその波形
金型内ガス背圧(MPa)
MPa
mSec
0.435
30002700240021001800150012009006003000
0.391
0.348
0.304
0.261
0.217
0.174
0.131
0.087
0.0440.000
ガス圧力
(MPa)
(m/s)(MPa)
圧力
速度
(mSec)時間
金属ガスフィルタを各金型に1個取付
射出開始・スプレー信号と電源だけでOK
7Vol.54(2013)No.8 SOKEIZAI
特集 次世代ダイカストへの取り組み
のオーバフローの入口部が狭窄しているためAが充填完了間際まで溶湯が充填され後に Bに充填する訳で、著者らは以前Aと Bの押出ピンにロードセルを取り付けどのタイミングで溶湯が入り加圧されるかを確認した。ダイカストではAの出口が絞られているため、Bの充填は後からされる、即ち二次充填時間を作る訳で、同様の事はチルベントであったり、真空ランナーでも発生する。 この結果、高速速度は製品充填時間を決める時間であって、P-Q2 線図で正確に求めることはできるが、二次充填時間のオーバフローやチルベント・真空ランナーの充填時間は金型方案によって様々に変化を生ずる。図 14は二次充填時間の様々な種類で、溶湯の圧力とともに説明する。 パターン 1は図 13 の B部オーバフローなどが無い場合で、製品充填完了すると直ぐにメタル圧力が上昇する。パターン 2以降はオーバフローなどが同じ重量であった場合、その入口部の絞りが次第狭くなった場合の変化である。即ち、絞りが大きいほど充填中のメタル圧力(点線)で見ると↓部が二次充填の開始部で、充填完了間際の圧力が高くなり、堰を切って溶湯がオーバフローに入っていることが分かる。 充填が完了しないとメタル圧は上昇しない、そして二次充填時間はそのまま波形として表れこの時間は金型が作り出す加圧タイムラグとなる。 また、質量(体積)が少ないほど二次充填時間は短くなり加圧タイムラグも短くなる。 現有深耕の提案として、速度波形はアナログデータとして計測しているので、この処理の仕方で充填時間を管理項目にする事は容易であり、重要管理項目に加えることをお勧めする。
図 14 二次充填時間の種類
パターン 3の実例 パターン 4の実例
図 15 実際の鋳造事例
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A CJ1
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A CJ2
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A CB2�����
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A CB3J4
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B1
J3
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図 12 流体の性質抵抗の異なる 3つの流路
図 13 金型断面図 充填完了間際
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5.新ガス抜き方法の開発
(1)金属ガスフィルタへの期待 金型にまさに風穴を開けるといってもいい金属ガスフィルタは、密閉された金型の暗闇に一筋の光を射しこませるものとして、その発展性に期待がもたれる。今までガス抜きは殆どが金型のパーティングラインから抜いていたが、金属ガスフィルタを使えば、ガスが行き止まりになる金型の袋小路部や最終充填部などの任意の位置に取り付ける事が可能となる。 この金属ガスフィルタからの真空吸引も有効で動作不良も生じない。図 17は従来方案との比較でオーバフローやチルベント・真空ランナーなどの二次充填が殆ど発生しないので昇圧加圧がスムーズに立ち上がり内部品質も向上する。また、投影面積も最小
限に抑えられ、製品歩留まりが向上しバリも出にくくなる。 究極的には写真1のようにダイカストの理想とするネットシェイプ化、即ちゲートを切断すれば、仕上げ加工なしに即製品になるという期待がもたれる。 更に、PF法(酸素置換法)での酸素供給にこの金属ガスフィルタを使う事によって、金型の袋小路部からの酸素供給が可能になり、製品のガス含有量の低下やサイクルアップにも期待がもたれる。
(2)金属ガスフィルタの課題 金属ガスフィルタは湯先(指向性)凝固の原理を利用したもので、金型内ガス圧計測では圧力伝達だけのため安定して使えるが、新ガス抜き方法では型内のガスを安定的に抜こうとするには金型と鋳造条件(溶湯・金型・フィルタ温度 /鋳造圧力 /射出速度・
充填時間の定義としては、図 16で説明すると射出波形で判断できる。充填開始のA点は射出開始位置からサーチし溶湯がゲートに達したポイントを探す、充填完了の B点は逆に計測終了点から戻ってサーチさせ、B-Aの時間を充填時間とした。また現場でも分かりやすいようにカーソルを立て画面背景を色分けさている(特許出願中)。
図 17 金型方案の違い
( 上段:従来方案 下段:固定ダイオーバフロー部取付に金属ガスフィルタを取付)
写真 1 ネットシェイプ化への期待
図 16 充填時間の定義
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9Vol.54(2013)No.8 SOKEIZAI
特集 次世代ダイカストへの取り組み
株式会社ダイレクト21〒672-8677 神奈川県相模原市南区相模大野 8-8-1TEL. 042-705-2431 FAX. 042-705-2432http://direct21.co.jp/
1. アルミコールドチャンバーのダイカスト法は良品域が非常に狭い。この品質を管理する重要項目 2つを新たに追加し管理する事で良品率の向上が期待される。
2. 鋳造時の金型内ガス圧(背圧)論議ができれば、エアーベント、チルベント、真空などの定量評価ができ、ダイカスト鋳造の飛躍的発展につながると確信する。
6.まとめ
3. 管理視点を今までのマシン中心から溶湯の充填時間に移す必要がある。充填時間を管理するためには、高速速度は見かけ上の管理項目であり、オーバフローや真空ランナーの作り出す二次充填時間を最小にしていかないと品質向上は望めない(金型の見直し)。
4. 金属ガスフィルタは背圧が計測できるだけでなく、ここからガス抜きが可能で、二次充填を殆ど作らないので、近い将来日本独自のダイカスト技術として期待が持てる。
7.おわりに
ダイカストには、ISO9001(品質管理)で指摘する下記悪化要因が当てはまるのではないだろうか。 ① 不良を出しても誰もびっくりしない(不良率が
下がらないし突発不良も発生する) ② 何故不良が出てしまったのか原因追究がきっち
りされていない、またはできていない。 ③正確なデータが取れていない。
ダイカストの品質管理項目で、計測したくてもできなかった毎ショットの金型内ガス圧力測定とその論議、また溶湯が液相かどうか判断基準になる充填時間の論議が高まれば、ダイカスト不良の歯止め策と暗闇に手探りの状態からの脱却ができると期待したい。
参考文献1 ) 岩本典裕 他:ダイカスト会議論文 JD12-25-1(2012)
充填時間等)に合わせた隙間の選択が必要であり、隙間は狭いほど湯先が短くなり安定するが、ガス抜き性は悪化する。隙間を安定的に保つには金属ガスフィルタの冷却の検討が必要である。また離型剤の
種類によっては固化恐れがあり、この場合逆洗浄も考慮する。エアーパージ後の圧力降下時間でこの隙間管理は毎ショット可能であるが、この安定した隙間管理が今後の課題である。