ALFALFA Discovery of the Nearby Gas-Rich Dwarf Galaxy Leo...
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ALFALFA Discovery of the Nearby Gas-Rich Dwarf Galaxy Leo P
I. HI Observations II. Optical Imaging Observations
III. An Extremely Metal Deficient Galaxy
Giovanelli R., Rhode K. L., Skillman E. D., et al. 2013
2013/5/21
D1 本間英智
Abstract
• ALFALFA survey で見つかった中性水素ガス雲を可視光観測したところ、矮小銀河であることが分かった。
• 可視光での測光・分光観測を行ったところ、ガスを多く含み、星生成活動が見られ、金属量が低いことが分かった。
距離; 1.5~2.0 Mpc
星質量; 約3.6×105 Ms
HIガス質量; 約1.0×106 Ms
力学質量; 約1.5×107 Ms
金属量; 12+log(O/H)=7.17±0.04
• この矮小銀河を Leo P と呼ぶ。
1. HI Observation
1. HI Observation
2. Optical Imaging
3. Spectroscopy of HII region
ALFALFA (Arecibo Legacy Fast Arecibo L-band Feed Array) survey
• Arecibo 305m 電波望遠鏡による、HI 21cm線サーベイ。
• 銀緯の高い、計7,000平方度の領域を、約4分角の分解能でサーベイした。
Leo P dwarf galaxy
• ALFALFA surveyでHIガスが検出されたが、該当する電波天体が無かった天体。
• SDSS-DR6や可視光での追観測などにより、該当する天体が矮小銀河であると同定された。
• 以後この天体を、Leo P (“P” means “Pristine”)と呼ぶ。
距離の推定
• 天体までの距離は、その天体の性質を知る上で最も基本的な物理量である。
• Leo Pでは回転成分が見つかったことから、
Tully-Fisher関係を用いて距離を推定する。
• Tully-Fisher関係から推定される質量と、測光観測から推定される質量を比較し、距離を推定する。
; 測光観測
; Tully-Fisher関係
⇒ 1.3+0.9-0.5 Mpc
Leo P の観測的性質
Mo, et al. (2010)
視線速度
半径
ガスと星の質量比
2. Optical Imaging
1. HI Observation
2. Optical Imaging
3. Spectroscopy of HII region
Leo Pの可視光での性質 • KPNO の WIYN 3.5m望遠鏡でBVRの測光観測を行い、色-等級図(CDM)を得た。
• また、KPNO 2.1m望遠鏡でHαフィルターによる測光観測を行い、HII regionを発見した。
Hα
R-band
50% completeness
TRGBによる距離の推定 • Tip of RGB(TRGB)はRGB系列での最大光度を
示し、光度がほぼ等しいため、距離の指標と
して使える。
• 得られたCMDからTRGBを推定すると、距離は
1.5 – 2.0 Mpcと見積もられる。
blue, bright starsの存在 • Leo Pでは青く、明るい星が観測されることから、
最近の a few ×10 Myr で星生成活動があった
と考えられる。
• また当時曲線の赤い側にある星は、局所的な
赤化の影響か、やや古い星種族であると考え
られる。
多分 foreground star 多分 TRGB
3. Spectroscopy of the HII region
1. HI Observation
2. Optical Imaging
3. Spectroscopy of the HII region
Leo P の HII region の分光観測 • KPNO 4m 望遠鏡とLBT/MODSを用いて
HII regionを分光観測した。
• 各種輝線から、H, He, O, Ne, S, Arの
存在量を見積もった。
光度 - 金属量関係 • HII region の金属量をLeo Pの金属量と
みなすと、星生成している矮小銀河での
光度 – 金属量関係にLeo Pが乗っている
ことが分かる。
⇒ Leo Pの化学的性質は、他の矮小銀河
と似通ったものである。
α元素の存在量 • O, Ne, S, Arなどのα元素の個数比の、
Oに対する振る舞いを調べた。
• 低金属量な銀河でのα元素の存在量は
II型超新星によって決まっていると考え
られる。
• log(O/H)の変化に対して、α元素の比は
矮小銀河に依らずほぼ一定であること
から、矮小銀河ごとでIMFに大きな差は
無いと期待される。
Nの存在量 • Nは大質量星の中での合成(一次元素)と、
重元素汚染された中間質量星の中での
合成(二次元素)の両方が寄与しており、
金属量が大きいほどNの比は大きくなる。
• Leo PのHII regionでの値は、他の矮小銀河
から大きく外れていた。
• この外れ値の原因は分かっていない。
Heの存在量 • 低金属量な銀河でのHeの量は、Big Bang
元素合成への制限にもつながる。
• Leo PでのHeの量は、WMAPの結果を
よく支持する。
Extremely Metal Deficient Galaxies
• 低金属量な銀河の観測は、銀河の化学進化や宇宙の元素合成の理解につながる、重要な情報である。
• 光度 - 金属量関係から、低金属量の銀河を見つけるにはより暗い銀河を見ていく必要がある。
• またLeo Pの発見によって、低金属量な銀河には
・ 通常の進化を経た銀河
・ 重力相互作用で星生成が起きた銀河
の2種類あることが分かった。
力学的な擾乱が見られる銀河
まとめ
HI Observation • ALFALFA サーベイと追観測によって、HIガスを多く含む矮小銀河 “Leo P”が見つかった。
• Leo PではHIガスの回転運動 (V=9.0±1.5 km/s) が検出され、そこからガス質量 (1.0×106Ms)、星質量 (3.6×105Ms)、力学質量 (1.5×107Ms)が見積もられた。
• Leo Pの近くには目立った銀河が無いことから、孤立系と考えられる。
Optical Imaging Observation • BVRの測光観測で得た色等級図から、bright blue stars と TRGB星を見つけた。
• TRGB星の明るさから、Leo Pまでの距離は 1.5 – 2.0 Mpc と見積もられる。
• bright blue stars の存在から、数10 Myr 前まで星生成していたと考えられる。
• Hα フィルターでの観測から、HII regionを見つけた。
まとめ
Spectroscopy of HII region • HII region を分光観測した結果 12+log(O/H)=7.17±0.04 と見積もられ、極めて低金属量な矮小銀河であることが分かった。
• 光度–金属量関係から、Leo Pは通常の星生成銀河と同じ系列に乗る。
• α元素の測定から、Leo Pのα元素の振る舞いは他の矮小銀河と似通っている。
• Nの測定から、Leo PでのNの存在量は他の矮小銀河に比べて大きい。この原因については分かっていない。
• Leo Pの分光観測によって、極めて低金属量な矮小銀河の性質には
通常の進化を経た銀河 (光度-金属量関係に従う)
重力相互作用で星生成を起こしている銀河 (光度-金属量関係から外れる)
の2種類あることが分かった。
低金属量な銀河は、銀河の進化を理解する上で重要なサンプルである。そういった銀河は一般に暗いため可視光での検出は難しいが、今回のような HI 21cm線のサーベイによって効率的に見つけ出せると考えられる。