教育改善に向けた学習履歴データ活用の可能性と課題
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教育改善に向けた学習履歴データ活用の可能性と課題
重田 勝介北海道大学 情報基盤センター 准教授
高等教育推進機構教育支援部オープンエデュケーションセンター 副センター
長
2014/9/4 AXIES-CSD 研究会
あらまし
• MOOC を用いた大学教育の改善– 北海道大学の取り組み– 学習履歴データ活用の可能性と課題
• MOOC 受講者の特徴把握– JMOOC 講座「オープンエデュケーションと
未来の学び」から– 学習履歴データ活用に向けた課題
MOOC を用いた大学教育の改善
北海道大学の取り組み学習履歴データ活用の可能性と課題
北海道大学の取り組み:オープンエデュケーションセンター
• 高等教育推進機構 教育支援部に附属• 設置目的– 全学的な統制の下 OER を活用した
教育・学習支援を実施– OER に関する研究開発を推進
• 道内国立大学の教養教育連携実施事業とも連携
• 学内イニシアチブの統合– 北海道大学 OCW– 部局における e ラーニングの継続的な取組み
オープンエデュケーションセンターのミッション
• デジタル教材の開発・運用– OCW や e ラーニングの資産を引き継ぐ– OER を体系的に整備 学生の主体的な学習の
促進と授業改善に結びつける– 教育コンテンツの発信
• 教育情報システムの充実・利用促進 (H28~)– 教育改革に対応したコンテンツと機能の充実– 現在,新システムの更新に向けた仕様策定が
進行中
取り組み事例
• 道内国立大学教養教育連携– オープン教材 (OER) とモデル授業– ポータルサイトの開発
• MOOC 開講– MOOC コンソーシアム「 edX 」への加入
道内国立大学教養教育連携
オープン教材 (OER) とモデル授業ポータルサイトの開発
道内 6 大学の特色を活かした教育の可能性
• 多様で豊かな教養教育を実現– 各大学の幅広い専門性をもとに科目を開発– 大学を越えて教育内容やカリキュラムを共有
• 大学連携によるメリット享受– 幅広い学びの選択肢を学生に与える– 分野横断的・俯瞰的な教養教育科目を実施
• 教材制作による教育の質向上– 大学間で教育内容・方法・ノウハウを共有する– 教材・授業改善による FD の効果
双方向遠隔授業システムの効果向上
• 一斉講義の「延長」ではない教育方法の導入– 各大学で OER を使った予習(反転学習)– アクティブラーニングの導入による学習効果向上– 遠隔授業システムを補完
18世紀 20世紀 21世紀
アクティブラーニングの導入
取り組み( 1 )OER の開発・共有による教育改善• OER の開発– 授業利用を前提としたオープン教材– 応用倫理学 / 環境放射能基礎 /– 地球惑星科学 / 情報社会
• 教育方法の開発– オープン教材を
用いたモデル授業– 反転授業と
アクティブラーニングを実施
取り組み( 2 )MOOC 実施による「北大の教育」の発信
• 優れたオープン教材の公開– 開かれた教育環境の実現 大学の「知」の公開– 英語教材の公開による国際化の推進
(留学生獲得へ)• オープンエデュケーション
による教育改革– 教育の多様化・質向上– 大学教育の魅力発信
オープン教材の企画設計
• 「 MOOC型」のオープン教材– テーマごとのビデオ教材( 10 分以内)+確認テスト– インストラクショナルデザインに基づいた構造化
• 授業利用を前提– 反転授業の予習
教材として用いる前提で設計
– 学生のレベルに応じた補助教材にも
オープン教材の制作
• スタジオ収録(講義収録ではない)• TA の補助– 教育内容に詳しい大学院生
• 映像制作・教材制作に長けた専門職員を雇用
コンテンツの再利用を促す著作権処理
オープン教材リポジトリの構築
• Academic Commons For Education (ACE)• オープンソースソフトウェア Open edX をベース
にしたプラットフォーム
http://ace.iic.hokudai.ac.jp/ (教材視聴にはログインが必要)
MOOC 開講
MOOC コンソーシアム「 edX 」への加入
取り組み( 3 ) edX参加「北大の教育」を国際発信
• edX の「 OECx 」チャンネルで開講– オープンエデュケーション・コンソーシアム
(旧 OCW コンソーシアム)による– 世界 5 カ国の大学が参加 北大は 2015年春から
+ ⇒
学習履歴データ活用の可能性と課題
• ブレンド型学習の効果向上が期待できる– OER を反転授業の予習教材に利用– 予習の状況に応じて授業を即時的に変える
• 確認テストの正答率が低い項目の補講など– まずは個々の授業レベルで教育改善を目指す
• 課題– 簡易な学習状況の把握手法
• 教員用ダッシュボード( edX-platform は力不足)– 大学の教育情報システム (LMS) との連携
• ID認証は連携
カーネギーメロン大学Open Learning Initiative のダッシュボード
MOOC 受講者の特徴把握
JMOOC 講座「オープンエデュケーションと未来の学び」から
学習履歴データ活用に向けた課題
JMOOC 講座「オープンエデュケーションと未来の学び」• インターネット上で広く教育機会を提供する活動「オープンエデュケーション」の拡がり– オープンな教材 (OER)– 学習コミュニティ– オンライン講座「ムーク( MOOC) 」
• 目的– 「オープンエデュケーション」を深く考える– 活動の実態、背景、可能性、課題
• 2014年 7月に開講
講座の構成と課題
• Week1 「オープンエデュケーションとは何か」– 知識確認クイズ
• Week2 「 MOOC とは何か」– 知識確認クイズ + サービスカードの提出(調査)
• Week3 「オープンエデュケーションが進む背景と課題」– 知識確認クイズ
• Week4 「オープンエデュケーションが変える学びと社会」– 知識確認クイズ + 最終レポート(ピアレビュー)
講座の「構造化」
2 つのコース1 )「 MOOC コース」
• オンライン講座のみ+最終レポート
2 つのコース2 )反転学習コース
• MOOC コース+最終レポート(同じ課題)• 補習として反転授業を受講する
講師
• 重田勝介( MOOC担当)• 武田俊之・森秀樹(反転授業担当)
gacco での学習
ディスカッションボード
7/24 ハングアウト(講師とのビデオチャット)
ハングアウトのスクリーンショット※公開時に削除
反転授業 大阪 (8/3) 札幌 (8/8)
• 講座全体についての質疑応答• 最終レポートの課題にグループで取り組み発表
反転授業の風景※公開時に削除
ディスカッションボードで発言の多かったトピック
• 教材について– 内容についての質問– 理解度クイズについての質問・異議
• 課題について– レポート課題についての質問– 提出したレポート課題の感想
• オープンエデュケーションについて– ご自身のオープンエデュケーションに関わる経験– JMOOC の今後
受講者( 7000人 + )の年齢構成平均 46歳
67歳 23歳
36歳 24歳
学歴8割が大学卒以上 博士取得者が 1割
高卒 大卒 修士 博士
講師が取得できる受講者データ
• 受講者 ID (ユーザ名)• 全体傾向(年齢・学歴等)• アンケート(プレ・ポスト)– 受講状況と日々の学習時間(自己申告)– 掲示板やピアレビューの利用有無– 受講の感想(選択肢)– サービス (gacco )への満足度
• 提出物のデータ• edX-platform が収集する学習履歴データ
学習履歴データ利用にあたっての制限
• Gacco のユーザーサイト利用規約とプライバシーポリシー– データを直接利用できるのは講師と NTTドコモ– 第 3 者への提供はできない
• 許容される利用目的– 本人確認、アンケート調査実施– 講座運営、受講者サポート、実授業との連携– オンライン教育の発展、学術研究、広報活動
システムの改善、アンケートの実施等
(今のところ)分かっていること
• 多様な受講者– 講座コンテンツのみで自学自習するグループ– ディスカッションボードを頻繁に閲覧し投稿する
グループ(意外と少ない)– 反転授業に参加するグループ(とても少ない)
• 分析観点の絞り込みが難しそう– どれが意味のあるデータなのか?
• 成績データはまだ非受領のため、分析はこれから– 講師の共同研究による成果を発信したい
学習履歴データの活用可能性と課題
• 修了率を高めるための方法を探る– 受講状況によるクラスタリング– 修了率の高い学習者の傾向把握
• 教材改善のための手がかり把握– 正答率の低いクイズ 見直しの多いビデオ– 教育コンテンツの「構造化」が不可欠
• 課題を受講者の理解を得ること– データを活用して学びを改善する実績作り– 分析による成果を学習者へ還元する方法の提案
例えば‥学習履歴データで裏打ちしたデジタルバッジの付与?
• 課題の得点だけでない MOOC認定証?