アナログ電子回路講座4 How to design analog circuit with bipolar junction transistors 4
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バイポーラアナログ電子回路講座4
感性アナログ研究室山本健司
定電圧ダイオードトランジスタの構成
定電圧ダイオード
Zener Diode, 定電圧ダイオードPN接合において、ツェナー効果または雪崩現象が原因で逆方向電圧が高くなると電流が流れだす。
ツェナー効果(トンネル効果):接合部の電界からエネルギーを得て価電子帯にいた電子が伝導帯に上って動き出す現象.空乏層の電界が大きくなると,空乏層をはさんで存在する原子間において,互いの価電子帯電子と伝導帯電子の物理的距離が近くなり,価電子帯から他の現の伝導帯にわずかなエネルギーで遷移する電子が現れる.これによって生じた伝導電子が電気伝導に寄与する.これは量子力学的現象であり,トンネル効果と呼ばれている.
雪崩現象(アバランシェ現象):接合部の電界に加速されたキャリア(自由電子と正孔)が、原子に激突して新たなキャリアを作る
おおまかな分類として、低い電圧(6V程度まで)のツェナーダイオードは主にツェナー効果を利用し、それ以上は主に雪崩現象を利用している。しかし、呼称としては、どちらの定電圧ダイオードも(利用している現象が違うのだが)、ツェナーダイオードと呼ばれている。
印加電圧[V]
𝑉𝑉𝑍𝑍
0 𝑉𝑉𝐹𝐹
順方向電流 I[A]回路図記号
I[A]
𝑉𝑉𝑍𝑍
ツェナーダイオードのデータシートの例NEC社(現ルネサスエレクトロニクス株式会社 RD2.0E~RD200E
Absolute Maximum Ratings(絶対最大定格)に注意.
これ以上の電流を流したり、電力を消費すると素子が破壊する可能性がある.データシートはあくまでも商取引上の指標であるので,必ずしも理論的に計算,解明できる数値のみではないことも注意しておこう.
発光ダイオード(LED回路)設計例
図の回路でLEDの順方向電流を10mAとするための抵抗値を求めよ.ただし,LEDの順方向電圧を2.0Vとする.
R
E=5.0VVD=2.0V
VR
ID=10mA
求めるもの:Rの抵抗値条件:①電源電圧 E=5.0V②LED順方向電圧 VD=2.0V③LED電流 ID=10mA
電圧則方程式立式の閉路
始点/終点
解答例:図に示した閉路に沿ってキルヒホッフの第2法則(電圧則)を適用すれば,
0= +E -VR -VD -----------(1)
また,抵抗の電圧降下VRは,オームの法則より,
VR=ID R ------------------(2)
(2)式を(1)式に代入してRについて解けば,
R=(E-VD)/ID=(5-2)/0.010=300[ohm] (答)
PN接合の抵抗値(復習)
●印加電圧から電流が指数関数で求まる
●VT=kT/q
●VTは常温300Kで26mV
熱電圧ブイティーはキュー分のケイティー
ID≒IS exp(VD/VT)
rD=26m[V] / 電流[A] 例:電流1mAのとき,26Ω
VT=26mV at 300K
●交流抵抗はVTを電流で割ればよい
PN接合(PN接合ダイオード)の4つの合言葉
バイポーラトランジスタ
実際のトランジスタ製品
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/d1tech/d1elec/d1elek/IPA-tec100.htm
引用:
2SC2120npn形
2SA950pnp形
2SC1815npn形
トランジスタの種類と構造pnp形とnpn形の2種類pn接合が二つ接続された構造pnpと,npnでpn接合の方向が違う
E
C
B
C
B
E
npn形
E
C
B
C
B
E
pnp形
直流等価回路
E
C
B←
I E→IB
hFE*IB
IC
1.ベース・エミッタ間は順方向電圧が印加されたpn接合↓2.ベース・エミッタ間に電圧を印加すると,電流が流れるID≒IS*exp(VD/VT)↓3.ただし,ほとんどの電流はコレクタから流れ込む.↓4.ベースから1の電流が流れると,コレクタにはこれのhFE倍の電流が流れる
☆hFEは100程度である.
トランジスタの動作
C
B
E
npn形
次回はバンドギャップ理論からトランジスタの動作を定性的に解説する.基礎半導体工学の復習でもあるので,あらかじめ基礎半導体工学の教科書を復習しておくここと.