2018 Fjord Trends - Accenture...Fjord Trends...

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2018 Fjord Trends

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2018 FjordTrends

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トレンド1

フィジカルが反撃に 4

トレンド2

コンピューターにも目が 13

トレンド3

アルゴリズムのとりこ 22

トレンド4

機械による意味の探求 32

トレンド5

透明性への信頼 42

トレンド6

倫理経済 52

トレンド7

枠を超えたデザイン 62

2018 Fjord Trends

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はじめに

Fjordの年次レポート(Fjord Trends)は、毎年、チーム一丸となって作成していますが、今年のチームは、これまで以上に大きく多様性に富んだものとなりました。1000人以上のFjord社員、さらに今年は初めての取組みとして、5大陸にわたる85社のクライアントも、独自の視座と経験をもとに、本レポートに示唆を与えてくれました。

私たちはまず、インサイトを掻き集めました。ポスト・イットに急いで書き留められたアイディア、上手に(あるいはそうでもなく)描かれたイラスト、殴り書きの短いメモから長文の原稿、さらにはコーヒーを飲んでいる時の閃めきまで。次に、ワークショップを通じて、インサイトに磨きをかけ、パターンを突き止めました。そして、デジタルツールを活用して、最も優れたアイディアの裏付けとなるエビデンスを集めました(こうしたフィジカルとデジタルの融合は、Fjordの得意な領域です)。その結果、2018年にビジネスやテクノロジー、そしてデザインに影響を及ぼす、7つのトレンドを浮き彫りにしました。

現在、世界は様々な問題により、深く引き裂かれ、社会的・政治的な不安を引き起こしています。また、テクノロジーの大きな進化により、私たちが生きる世界は抜本的な転換期を迎えており、これによりテンション(対立構造が生み出す緊張関係)が生じています。これらの力から逃れることはできません。Fjord Trendsシリーズとして初めてのことですが、今回のFjord Trends 2018に、共通テーマの存在を感じています。それは、「テンション」です。

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テンション(対立構造が生み出す緊張関係)

過去1年において、私たちはあらゆる側面における二極化の現象を目の当たりにしてきました。「意見の不一致」はもはや新しい現象ではありませんし、「パラダイムシフト」は社会全体のあらゆる場面で起きている現象です。今や相反する意見の間には、時に圧倒されるほどの非常に大きな溝が存在します。一方で、これは素晴らしいチャンスでもあります。

今回のFjord Trends 2018で取り上げるトレンドはいずれも、根本的な対立関係から生まれています。意見のすれ違い、不一致、衝突、または決定的な亀裂といった対立関係です。デジタルvsフィジカル、人vs機械、集中vs分散、スピードvsクラフト(手作り)、オートメーションvsコントロール、トレーサビリティ(追跡可能性)vs匿名性、これらはすべて、今回の Fjord Trends 2018で言及されています。

これらのテンションを乗り越え、前向きで持続的な変化をデザインすることは、これまで以上に重要になっています。もはや傍観者ではいられません。私たち皆に、これから先何十年も生きていく世界を設計する機会が与えられているのです。

Fjord Trends 2018を読んで、今年のトレンドを考察してみてください。一個人として、社員として、組織として、または消費者として、2018年に何が待ち受けているのか、本レポートが、皆さまの会話のきっかけとなることを願っています。

それでは、Fjord Trends 2018をお楽しみください!

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トレンド1

フィジカルが反撃に

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デジタルは、もはやブランドエクスペリエンス(生活者にとっての企業サービスの体験)において、中心的存在ではありません。身体的・感覚的な体験を実現するために、デジタルをいかにさりげなく(目に見えない形で)使うかに、重点が置かれ始めています。ユーザーとのインタラクションは、断続的なスクリーン越しのものから、継続的な繋がったものへと進化しています。サービス提供者は、フィジカルな(物理的な)世界と一体化された、新しいサービスを構築する必要があります。

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これまでの5年間、私たちがデザインしてきたサービスは、パソコンやモバイルデバイス、アナログな接点など、利用可能なタッチポイントの制限をうけて、形作られてきました。デジタルスクリーン上での体験に重きが置かれた結果、人々は、対面よりもデバイスを通じた交流に時間を使うようになりました。

この状況は変わりつつあります。

技術的な側面における低コスト化やコアテクノロジーの遍在化、そして利用者自身の「スクリーン依存症」への不安増が原動力となり、大きな転換期を迎えています。

最近まで、スピーカー/マイク、カメラ、スクリーンやセンサーは、パソコンや携帯電話などの一つの機器に集約されていましたが、今ではまるでスイスアーミーナイフを解体するかのようにそれらの構成要素は分解され、様々な場所で搭載され始めています。

コアテクノロジーがますます遍在化していく中で、それぞれのコンポーネントの存在は気づきにくくなりつつあります。これにより、サービス提供者は、デジタルスクリーン越しにユーザーとのインタラクションをデザインしなければならない制約から解放され、再びヒューマン・エクスペリエンスに注力することができるようになります。この変化は、エクスペリエンスをどのようにデザインするかに大きな影響を及ぼします。

あらゆるタッチポイントやチャネルを活用した体験を設計するサービスデザインは、この中心的役割を担います。テクノロジー・コンポーネントが遍在することにより、サービスデザイナーは、様々な新しい方法を模索することができるようになります。それらは、デジタルによって実現される次世代サービスです。限られたタッチポイントの制約から解放され、感覚的経験やヒューマン・エクスペリエンスがサービスの顔や中心となり、デジタルは縁の下の力持ち的な存在になります。

私たちは今、クラウドに支えられたテクノロジーに囲まれながら暮らし、デジタルとフィジカルの境界が曖昧な霧の中にいます。IoT(Internet of Things)市場は、2015年の導入済みコネクテッドデバイス154億台から、2020年には307億台に、そして2025年には754億台にも成長すると言われています。

現在の動向

IoT市場の伸び(グローバル)

2015

154億台

307億台

754億台

2020 2025

出典:IHS

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技術力、モバイル決済、そして利便性の追求により、中国はオンライン・ツー・オフライン (O2O)とよばれる革命のリーダー的存在となりました。O2Oとは、顧客をオンラインで特定し、クリック&コレクト(オンラインで購入した商品を、宅配ではなく顧客の都合の良い店舗などで受け取ること)などの多様なツールで引き込み、オフラインの環境で取引することを意味します。

ある調査によると、アジア太平洋地域では88%の小売業者がクリック&コレクトシステムを導入する予定としています。最近の例では、AlibabaがO2O市場でのポジション強化のために、上海を拠点とする中国のオンライン食料品配達サービスEle.Meに12.5億USドルの戦略的投資を行いました。

一方で、Alibabaは、オフラインリテールに革命をもたらすべく、Tao CaféやスマートスピーカーTmall Genieを、最近発表しています。Tao Caféでは、店舗の入り口でTaobaoアプリに表示されるQRコードをスキャンすると、顔認証機能を搭載したカメラが顧客を追跡します。商品を手にそのまま店を出るだけで、商品を一つ一つレジでスキャンすることなく、スマートフォン経由で自動的に商品を購入することができます。

人々は、既にわずらわしいデジタル技術から遠ざかり、デジタルに依存した状況に抵抗をし始めています。Airbnbのように、技術は周辺環境に溶け込み、サービスに包含されるようになり、身体的、人間的、感覚的な経験を提供し、心に残る思い出作りができるようなサービスを提供できるようになりました。人々は、サービスや製品に関して、このような、よりパーソナライズされたアプローチを好むようになりました。

AlibabaのTao Cafe

フィジカルが反

撃に

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今、デジタルを専門とするブランド(企業)の多くが、デジタルの知見とデータを最大限に活用してユーザー満足度を改善することで、フィジカルの体験をより向上させることに注力し始めています。

例えばAmazonは、近年のAmazon Go を使った買い物体験、食料品スーパーWhole Foodsの買収、百貨店Kohl’sとのパートナーシップなどにみられるように、オフラインリテールとしての存在感を高めようとする意欲が感じられます。

2015年以降、Amazonは、書店を11店舗、自社の商品の宣伝を目的とした期間限定のAmazonストアを40店舗、全米に展開し、数千にものぼる小売店にピックアップロッカーを設置しています。さらに、「トレジャートラック」と呼ばれる、特定の商品を割引価格で販売するトラックを米国6都市でローンチしました。また、かつてない速さでAmazon Echoの新サービスを市場に投入しています。

Amazon Go プロトタイプストア

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テクノロジーがますます安価になると、現実世界のあらゆる所に搭載されるようになるでしょう。人々は、より多くのパーソナライズされた体験を、いつでもどこでも経験するようになります。今日受けられている恩恵が継続することを期待し、また、1つの物理的な場所からその次へと移動するたびに、それが進化することも期待するでしょう。

私たちは既に、音声入力によってスクリーンから解放され、デジタルデバイスとのやりとりに終始していた体験が物理的な体験にシフトしていく様子を目の当たりにしてきました。また、インターフェースは様々に進化しています。例えば活用が進んでいる触覚フィードバックは、振動でユーザーに反応し操作を誘導するもので、視覚障害者にはとくに有用です。

例えばAudiは、運転中の集中力を阻害する要素を整理し最小限に抑えるために、自動車に触覚フィードバックの仕組みとジェスチャー認識を搭載しました。超音波ベースの非接触・触感フィードバックシステム「Ultrahaptic」は、さらに可能性を広げるでしょう。

今後の展望

Carnivalクルーズでの船上体験Audi Q7に搭載されている触覚フィードバック・コントロール

フィジカルが反

撃に

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近い将来、私たちは、都市レベルで、フィジカルとデジタルを同時に活用した例を見ることになるでしょう。Alibabaは、中国の杭州におけるCity Brain プロジェクトで、ビデオ、ソーシャルメディア、交通データやその他データを人工知能で処理することにより、渋滞を緩和しました。Alibabaはこのシステムをパッケージ化し、他都市で導入する予定と伝えられています。

こうしたアイディアを十分に活用するには、組織を再構築し、新しいスキルを身につけなければなりません。サービスにフィジカルな側面を再び取り入れることで、アプリの時代には困難だった、規模による差別化を図ることができるようになります。

これからのサービスデザインは、フィジカルとデジタルの融合がすべてとなります。それぞれに特有のスキルが必要なため、フィジカルデザインの専門家とデジタルデザインの専門家が、共通の目標を掲げ、密接に働くことになることでしょう。これはブランドや組織に多大な影響を与えます。例えば、Local Motorsはこのような働き方に適した組織を構築することに成功しており、複数の小型製造システムとコ・クリエーション(共創)のSaaSプラットフォームを活用した、オープンソースの自動車デザインの少量生産に注力しています。

デザインスペシャリストたちは、既にこの変化に対応し始めています。例えば、クルーズ客船を運営するCarnival Corporationは、クルーズ船と顧客をつなぐ、ウェアラブルのスマートコインMedallionを開発し、デジタルサービスCompassを提供しています。顧客一人一人の好みを常に捉えながらサービスが最適化され、ゲストは固有、かつシームレスな体験を得られます。

このような動向を捉え、アクセンチュアは、2017年にデザイン・イノベーション会社Matterを買収しました。コネクテッドワールド(インターネットに繋がった時代)の製品や体験をデザインすることに特化しているMatterの参画により、Fjordのサービスデザイン、デジタル製品開発にフィジカル(物理的)な製品デザインが加わりました。

組織は今、「デジタルがよりユビキタスで、ますます目に見えないものになっていく中、デジタル部門やデジタル責任者の、体制や理念、役割はどうあるべきなのか?」という重要な問いに直面しています。

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Fjord からの提案

01デジタルとフィジカルを別々に扱うのをやめる

デジタルとフィジカルを別々なものとして扱うのではなく、むしろ「現実世界における人とつながることができる体験や空間を、デジタルを活用してどうデザインするのか?」という視点で考えましょう。フィジカルとデジタルを融合させる体験をつくりましょう。デバイス間の関係や接続性は極めて重要ですが、それらは人々の見えないところで機能しなければなりません。

02技術からインスピレーションを得る

今まで、デザイナーはまずエンドユーザーのことを第一に考えてきました。これからは、デザイナーは最初からテクノロジーの可能性について理解し、考える必要があります。次世代の感動や興奮を与えるサービスは、デジタル技術により支えられて提供されます。フィジカルデザインとデジタルデザインの融合は、多くの可能性や機会を生み出すため、横断的に考えることが肝要です。テクノロジーが安価になっているこの機に、これまで不可能とされてきたことにも自由に挑戦してみてはどうでしょうか。

03デザインスキルを磨く

素晴らしいフィジカルエクスペリエンスの設計は、デジタル戦略と結びついていなければなりません。これからはフィジカルな製品やサービスにデジタルが統合されていることが前提となるため、フィジカルとデジタル双方の新たなデザイン能力が、組織内に必要となります。そして、フィジカルデザインとデジタルデザインの専門家が、より密接にコラボレーションすることは必要不可欠なこととなります。

フィジカルが反

撃に

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トレンド2

コンピューターにも目が

コンピューターが言葉を読み、理解し、反応できるようなってから既にしばらく経ちますが、今では画像についても同じようなことができるようになりました。ここまで急激な発展を遂げることができたのは、人工知能、機械学習、そしてあらゆるデバイスに搭載されているカメラのおかげです。組織は、このパワフルで新しいデータソースを活用することにより、付加価値が高い、真に魅力的な新たなデジタルサービスを生み出すことができます。

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現在の動向

カメラは、ルイス・ダゲールが後にダゲレオタイプと呼ばれるようになった写真処理技術を1839年に初めて披露して以来、最大の変革期を迎えています。

約200年の間、カメラは形やフォーマットの面で多くの進化を遂げる過程において、画像を捉えることが焦点でした。進化の結果、スマートデジタルカメラは、機械学習アルゴリズムで処理可能なデータを捉えることができるようになり、かつてないほど高度な洞察を得られるようになりました。

これは二つの大きな変化に起因しています。

まず一つ目の変化は、カメラが、撮影できる映像 (目)、そして撮影した映像で何ができるか(脳)といった観点からも、より賢くなったことです。よりシャープな目とスマートな脳を持ったカメラは、ますます人間らしくなってきています。今までコンピューターは、対象範囲が人間が見えるものや処理できるものに制限され、また、コンピューターが理解できる言葉に翻訳する必要がありました。しかし、今では、スマートデジタルカメラはテキスト入力がなくとも、「コンピューターの目」を利用して、視覚的にデータを捉え、分析し、それに基づいて対応できるようになりました。

Appleのi Phone X

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カメラの「目」の、技術的発展が分かる事例をいくつかご紹介します。Googleは最近、Clipsをローンチしました。これは、ディスプレイがなく、機械学習で人の顔を認識して覚えることで、自動的に決定的瞬間を撮影するデジタルカメラです。

Appleの最新のiPhone Xは、顔認証によるロック解除ができます。

中国では、Alibabaが上海市内の約10,000の荷受センターで、顔認証技術を利用し宅配ロッカーの鍵を解除できるシステムを試験的に導入しています。また、中国の顔認証技術に特化したスタートアップ企業Face++が開発した顔認証システムは、Alipay(1億2000万人以上のユーザーが使用しているモバイルペイメントアプリで、顔認証だけで送金が可能)をはじめ、複数のアプリで活用されています。

ウェアラブルなスマートカメラGoogle Clips

コンピューター

にも目

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エンターテインメント業界では、Disneyのリサーチ部門が、映画を見ているときの観客の反応を顔認証で測定する試みを始めています。コンピュータービジョンは飛躍的に進歩しています。今後、コンピューターが、見えているものをより理解できるようになれば、人間には見えない特性を見つけられるようになるでしょう。

自動車においては、スマートカメラによって、まるで運転手のようにまわりの環境を分析し、データを処理して、適切に反応することができ始めています。Boschは自動車に自動運転を学習させるための、Automated Mobility Academyを設立しました。センサーやハードウェア、ソフトウェアを利用するBoschのMobility Solutionsは、運転手がいない自動運転を現実のものとする取組みです。

これらのコンピューターの「目」に必要なコンピューターの「脳」も、人工知能および機械学習によってさらに力を付けています。ますます多くのデバイスが、私たちの感情を読み取ってリアルタイムに反応できるようになることから、コンピューターに画像を解釈させるための手入力による情報インプットは、もはや必要なくなります。

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2017年のはじめに、Amazonは最新のAmazon Echoにカメラを搭載し、周りのものすべてを見聞きできるようになりました。例えば、ハンズフリーで写真や動画を自撮りして、外出前にスマートフォンで自分の姿を確認するといったことも可能です。

シンガポールでは、Hewlett Packard Enterprisesの協力のもと、Sushi Expressが回転寿司の人気商品を把握するためのカメラを設置しました。よく食べられているネタを把握し、調理人にいつ新しいものを用意すべきか伝えています。人気のないネタの廃棄を減らすことにも成功しています。

Amazon Echo Look

Boschが描く 自動運転の世界

コンピューター

にも目

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二つ目の変化は、カメラ技術が比較的安価になってきたおかげで、今ではあらゆるものに「目」が搭載されるようになったことです。紛失時に写真をとることで泥棒の特定ができるスマートウォレットからスマートコンタクトレンズまで、あらゆるところで活用されています。

多くの人にとってカメラと携帯電話は同じデバイスです。携帯電話のカメラが「見える」ようになれば、写真を撮る以上に遥かに多くのことができるようになります。例えば、Googleの多言語翻訳サービスを活用すれば、旅行者は携帯電話を文字にかざすだけで翻訳結果を目にすることができます。

これら二つの変化が融合すると、私たちの製品やサービスの高度化や自動化がさらに進みます。ソフトウェア開発者であるエリック・レイモンド氏はかつて、「コンピューターは自動検出、コピー、または推測できる情報をユーザーに求めなくなる」と、言いました。既に幾つか事例が存在するように、コンピュータービジョンによりデジタルサービスは新たなレベルに達し、コンピューターがユーザーに直接何かを求めることは、少なくなっています。

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人工知能、機械学習と組み合わされたコンピューターの「目」により、かつてないほど強力な洞察を含むデータが生成されるようになります。デザイナーは、そのデータの可能性を解き放ち、新しい魅力的な製品やサービスを作るための活用方法を見出さなければなりません。これは大きなチャンスであり、大きなチャレンジでもあります。

すでにコンピューターの「目」の新しい用途が、いくつも登場しています。例えば、Nanitは、ベビーモニターに搭載された寝ている子どもを見守るカメラを使って収集した情報を処理し、睡眠の質に影響を与えるパターンを見出しています。

また、Microsoftは、視覚障害者が周囲の世界を認識できるようになるためのSeeing AIアプリをローンチしました。このアプリは、周囲にある物や一緒にいる人の顔を認識し、ナレーションによって説明してくれます。

コンピューターの「目」がもたらす新たな潮流により、我々はコンピューターに、より人間らしい行動を求めるようになるでしょう。

コンピューターにとって情報を処理することは容易なことですが、2018年、コンピューターは、認知力や言語スキルを活用し、人のように周辺環境に反応しながら情報を処理するようになるでしょう。

今後の展望

ベビーモニターNanit

コンピューター

にも目

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上質なインプットは上質なアウトプットをもたらし、上質なアウトプットはより良い洞察や成果を生み出します。組織にとっては、次世代のサービスを創造する大きなチャンスとなります。

ミクロとマクロの両方の視点から意味合いを考察していく必要があります。例えば、浴室の鏡がカメラを搭載した場合、毎朝鏡を使うユーザーのどのような健康情報を検出しどのようなサービスを生み出せるのか?また、仮に10,000の鏡に搭載されたカメラから情報が集められたとしたら、どのようなサービスをつくれるのか?

コンピューターの「目」の将来性は、カメラやコンピューターが賢くなり人々の暮らしに入り込んでくることを、人がどれだけ認識し信頼できるかにかかっています。このテクノロジーは画期的なものですが、物理的な空間や日々の暮らしの中に人々が受け入れなければ意味をなしません。

ユーザーから信頼され、受け入れてもらうためには、セキュリティやプライバシーは重要な問題です。スマートカメラを家や生活の中に取り入れるかどうかは、ユーザーの判断次第です。よって、デザイナーは、スマートカメラを安全で心地よいものにしなければなりませんし、また価値ある体験を提供しなければなりません。

知能をもつセキュリティカメラNest Cam IQ

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Fjord からの提案

01サービスを考え直す

繰り返しいろんな場面から視覚的な情報が得られるようになった際に、どのような次世代のサービスを生み出すことができるか、組織は考え始める必要があります。重要な第一歩は、多種多様な情報を得たデバイスやサービスが、何を

「見ている」かに応じ、ユーザーに応える度合いを考慮することです。

02データに対するアプローチを 考え直す

コンピューターの「目」により、現在障壁であるユーザーの手入力による情報インプットというステップが不要になり、データ量はより増えていくでしょう。大量の視覚映像を処理することでどのようなデータが抽出できるか、どのようなデータが有益か、考える必要があります。データが多過ぎて手に負えず、効果的に活用できないといった状況を避けるべく、あらゆるレベルからデータが入ってくることに、準備を進める必要があります。

03デザインコンテキストを 考え直す

コンピューターの「目」を通じ、コンピューターは人々の感情をより上手く読み取れるようになるでしょう。そのうえで、ユーザーの興味を引き、エンゲージメントを図るためには、人間らしい行動や特徴をサービスに組み入れなければなりません。

コンピューター

にも目

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トレンド3

アルゴリズムのとりこ

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私たちは今、オンラインショップでも実店舗でもない、新たなマーケティング環境を目の当たりにしています。この「第三の空間」では、アルゴリズムが顧客とブランドとの間のゲートキーパー役(門番の役割)を担っていますが、購買を後押しするような取り組みとは一線をおいています。人間的な感覚を持たないゲートキーパーが存在する新たな環境下において、マーケティング戦略はどう考えれば良いのでしょうか?

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現在の動向

2018年、マーケティング活動が変革する三つの発展が予想されています。 それは、データアルゴリズムの急速な進化、音声によるデジタルアシスタントの進化、そしてこれらのテクノロジーに対するユーザーの信頼感の高まりです。

当初、データドリブン型アルゴリズムは、無限の選択肢の中からユーザーが求めている物を探しやすくし、時間やお金、特に考える時間を節約するために導入されました。ユーザーはより多くのデータを共有することで、よりパーソナライズされた結果を得ることができました。Spotifyはユーザーが気に入るであろう新しいアーティストや新曲を、そしてNetflixは新しい映画やTVシリーズを継続的にお勧めしています。

最近では、これらのアルゴリズムはレコメンデーションだけではない、より幅広い用途に活用され始めています。

Netflix

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顧客との関係性をさらに深めるために、多くのブランドにおいて、新たなインタラクションとしてボットを開発することが一般的になりつつあります。例えば、Victoria's SecretのPINKは顧客の好みを学習し、特定のスタイルの下着をレコメンドします。エンターテインメント業界では、Lionsgate社が映画『Power Ranger』の公開に先駆け、映画内に登場するPower Rangerのロボットアシスタント Alpha 5とチャットできる、Power Ranger Alpha 5ボットを公開しました。

Spotify Discover Weekly

アルゴリズムのとりこ

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数は少ないですが、ユーザーを助けたり、暮らしをより楽にすることが主目的のボットも登場しています。例えば、弁護士ボットDoNotPayは、ユーザーの代わりに駐車違反の罰金に対する異議を申し立ててくれます。バンキングボットCleoは、個人の資産運用におけるSiriのような存在を目標としています。また、DoNotPayの開発者は、難民の方々が亡命申請をできるよう、ボットを拡張しています。

テキストベースで商品を購入できるレコメンデーションサービスもあります。例えば、Sephoraは2016年に、メッセージングアプリKik上でサービスを開始しており、テキストベースのチャットで、パーソナライズされた、美容アドバイス、商品のレコメンデーションやレビューだけではなく、紹介された商品を購入することもできます。

音声によるデジタルアシスタント(AmazonのAlexaや、WeChatの親会社Tencentが提供するXiaoweiなど)の到来、そして急速な進化は、商品のレコメンデーション体験も一変させました。テキストベースのチャットに比べて、より即時的で的確なものであり、想定よりも遥かに早く受け入れられ始めています。

自社とのやりとりを飛ばして、Alexaのような即時性に優れたより楽しいコミュニケーションを体験してしまったユーザーに、ブランドがどうリーチしていくべきかは今後の課題です。Alexaやそのライバルには、先入観や偏見がつきものであるため、そのあたりに解決の鍵があるのでしょう。

Amazon Echo Dot

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2017年春時点において、音声作動式スピーカーのユーザー数(推定70%のシェアをAmazonが保有)は、年末までに130%増加と予測されていました。スマートスピーカーの市場は今後も成長し続けることが予想されており、現在は所有者の25%が、スマートスピーカーを通じて11以上のタスクを利用しています。

アルゴリズムによるサービスが安心して受け入れられるまでは時間がかかりましたが、今では商品の購入時になければ不安になるほどに信頼されるようになっています。Alexaに話しかけるだけで商品購入ができるブランドは、すぐに登場しました。宅配ピザのDomino'sや、イギリスのオンラインスーパーOcadoは、いち早く参画したブランドの代表例です。

顧客がアルゴリズムを信頼するまでに多少時間を要しましたが、今や商品の探し方や、購入する商品の決め方は、明らかに変化しました。既に、積極的または受動的にアルゴリズムに頼るようになってきています。

2018年、急進化を遂げている音声ショッピングの市場は、小売業者やブランドオーナーの「第三の空間」となる見込みです。オンラインショップと物理的な実店舗の間に位置付けられるこの新しい市場は、従来のブラウジングではなくアルゴリズムを原動力とし、顧客は商品を目にすることなく購入するようになります。

アルゴリズムのとりこ

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今後の展望

アルゴリズムによるアシスタントが今後も発展を遂げ、重要な販売チャネルになる兆候が現れています。これらのアルゴリズムの原動力となる機械学習が今後も急速に進化し続ければ、よりパーソナライズされたユーザーの好みに基づいたサービスが現れるでしょう。

ゲートキーパーアルゴリズムは、顧客中心に考えられているよう見えますが、売上向上などブランドの目的を主に満たすためのサービスと、顧客の利益のためにデザインされたサービスがあり、その違いを理解する必要があります。顧客はこの二つのサービスの違いを認識し始めており、最終的には様々なニーズに対応可能な自分たちのためにデザインされたサービスを選ぶでしょう。

いくつかの組織は、ゲートキーパーアルゴリズムを開発できるようになるでしょう。これらの組織は、異なる属性の顧客が、何に最も価値を感じているか、該当するサービスから何を求めているかを理解する必要があります。一方、その他の組織では、自分たちの顧客に直接アクセスすることを制限するようなゲートキーパーの存在を目の当たりにするでしょう。

Amazon Echo

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近い将来、ブランドビジュアルや、有名人を活用したプロモーションや広告キャンペーンに無関心な、ある種鈍感なアルゴリズムが、顧客との間に介在することになるでしょう。人間は本質的に共感する生き物であるため、このようなマーケティング活動の影響を受けますが、アルゴリズムはそうではありません。消費財や小売業者にとっては、潜在的な問題をはらんでいます。顧客を魅了するためのブランディング活動に無頓着なゲートキーパーがブランドと顧客の間に介在する状況において、ブランドは顧客にどう接すれば良いのでしょうか?

加えて、偏見の問題も登場します。特定のプラットフォーム上のデジタルアシスタントを選ぶと、基本的にはそのプラットフォームのパートナー企業に経済圏が閉ざされてしまい、競合ブランドにとっては大きな障壁となります。いまや家がお店になりつつあり、そこには製品パッケージングやサイネージは存在し得ないため、小売業者がこれまで活用してきた宣伝方法は通用しなくなってしまいます。これはブランドにとっても、小売業者にも多くの影響を及ぼします。

調査会社L2の調査によると、AmazonのAlexaは、初回注文ではAmazon Primeの商品をお勧めする傾向にあり、他のブランド(特にあまり知られていないブランド)の商品がAlexaの検索結果に入り込むことは非常に困難です。

アルゴリズムのとりこ

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レコメンデーションのアルゴリズムは、ありきたりでもなく斬新すぎることもない状態が、最も効果であるといわれています。通常は、新たなオプションを押し付けるよりも、既にわかっているユーザーの好みに応じて提案するため、新規または小さくあまり知名度のないブランドにとっては、障害になることでしょう。

2018年、消費財及び小売ブランドは、衝動買いに代表されるようなこれまであてにしてきた顧客行動が、排除または大幅に減少した新しい環境を、どう切り抜けていくかを学ばなければなりません。市場シェアの獲得といった、一般的なマーケティング目標の達成はさらに困難になるでしょう。

ブランドは、商品に目を触れることなく購入できるアルゴリズムをいかにかいくぐるか、あるいは、顧客の購買意思決定や顧客が選んだアルゴリズムにどう影響を与えるかを、見出す必要があります。

検索エンジン上でウェブサイトの露出を高める検索エンジン最適化がもてはやされてきましたが、これからはアルゴリズム最適化の時代です。

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Fjord からの提案

01ゲートキーパーについてよく知る

ゲートキーパーを理解し、ゲートキーパーがどうランキングするのか、どうすればゲートキーパーを回避できるのかを、理解する必要があります。ゲートキーパーを回避できる商品やサービスを生み出すことはできるのか、そして回避できた場合は、顧客のロイヤリティをどう高めることができるのか、慎重に検討する必要があります。Domino'sがAlexaで実現したように、既存のプラットフォームと協力した、または補完するサービスをつくりましょう。

02新たなマーケティング環境に 順応する

当たり前だった消費者行動が機能しない世界において、自社のブランドを勧め、購入を促す、新しい方法を見出さなければなりません。ブランド名は、まるで「秘密のパスワード」のように作用します。例えば、「靴」など一般的なカテゴリー名称ではなく、ブランド名で検索してもらえるように、顧客の習慣づけが必要です。Kleenexなどのように、ブランド名がカテゴリーとほぼ同義であると、明らかに有利です。ブランドの想起を高め、差別化するための戦術も練りましょう。ワンクリック購入広告が、衝動買いされるブランド(そして広告)の救世主でいられるでしょうか?家や車といった、顧客の生活環境の中で、購入機会を作る余地を検討する必要があります。

03アルゴリズムへの反動に 気をつける

アルゴリズムの新鮮さが薄れ、市場の倦怠によって顧客の意欲が削がれてしまうことに備える必要があります。また、顧客が、アシスタントが自分の意思決定に大きな影響力を持っていることに、不安を抱き始める可能性も念頭に置く必要があるでしょう。アルゴリズムには限界があります。アルゴリズムがハッキングされる可能性や、それによりアルゴリズムへの信頼に影響が及ぶことも考慮にいれる必要があります。

アルゴリズムのとりこ

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かつては、生産ラインやタイプライター、自動車の導入が、人々の仕事を奪っていきましたが、現在は、人工知能そしてロボットの出現が注目を浴びています。組織はこれらに怯えるのをやめ、人と機械がお互いの長所を活かし、この変革に対するデザインをし始めなければなりません。

トレンド4

機械による 意味の探求

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現在の動向

かつて人工知能は、本質的にロボットと関連づけられていましたが、デジタルやそれを支えるソフトウェアやネットワークの到来により、人工知能はロボットだけに留まらない、より幅広い機械に応用されるようになりました。

既に機械は、多くの力仕事をこなしていますが、その度に賢くなっています。少し前まで、人工知能によって影響をうけるのは肉体労働だと言われていましたが、その能力は高まり、今では多くの知識労働者の作業もこなしています。例えば、中国では最近、歯科ロボットが初めて、インプラント手術をすべて自動で成功させました。

また、機械は、コラボレーターまたはコワーカーと言った、Fjordのデザイナー Paige Maguireが言うところの「新たな種類のユーザー」になりつつあるとの認識が高まっています。

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多くの方々が、人工知能や機械学習によって、どういった職業が陳腐化するかに固執していますが、これは誤った考え方です。

確かに、今まで機械は、変わらない環境の中で繰り返し行われる作業を、人間に代わって行ってきましたし、今後もそうでしょう。今日の人工知能を搭載した機械は、熟したリンゴのみを検出して収穫したり、車を運転したりといった意思決定能力も備えているため、より多様な仕事をこなせるようになるでしょう。

ここで極めて重要なのは、論点が「どの職業が無くなるのか」ということから「人と機械が協業できる革新的な方法は何か」に、変化していることです。

最近、ハーバードに拠点をもつチームが、92%の精度で癌細胞を検出できる人工知能メソッドを考案しました。実験では、病理学者は機械に勝る96%の精度で癌細胞を検出しました。しかし、病理学者が人工知能を活用すると、癌細胞の検出精度を99.5%に高めることができ、人工知能と人のコラボレーションが最高の結果を生み出すことを証明しました。

ディープラーニングを活用した癌細胞検出の精度向上

AIと人間の協働

癌検出の正確さ

AIのみ 92%96%99.5%

人間のみAI+人間の協働

機械

による意

味の探

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Googleは、人工知能と人との組合せによるレビューで、YouTubeにあげられた不適切なコンテンツを検出し、排除しています。このコラボレーションにより、人のレビュアーが生々しいコンテンツを見ることから守ることができます。

2018年の初めには、バヌアツ共和国政府とUNICEFのパートナーシップの一環として、ドローンを使ったワクチンの配達が始まり、離島にいる現場の医療従事者に役立つ、実用的な手助けができています。

また、ソフトバンク・ロボティクスが開発したヒューマノイドロボットのPepperやNaoは、最近シンガポールの幼稚園二校で試験導入されました。ロボットは、先生が音読した物語に関する質問を子どもたちに出すことで、先生の手助けをしています。ここでも基本となる考え方は、ロボットは人に代わるものではなく、助けるものであるということです。

機械の導入によって、必ずしも人の職が減るわけではなく、それらは別のものです。住宅ローン仲介業者は、時間の90%を申込書の処理に費やしています。このようなタスクには人工知能の方が適しており、人はより曖昧な仕事の対応に時間を割いたり、パソコンの画面より人と接することにより多くの時間を使うことができます。

Pepper

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アクセンチュアは、最近実施した世界的な調査において、人工知能を搭載した機械が生み出す新たな職種を特定しました。それは、AIを教育するトレーナーやAIの導入を推進するエクスプレイナー、そしてAIのパフォーマンスを評価するサステイナーといった、認識技術を補完する職業です。

ロボティクス企業Kivaを7億7500万USドルで買収したAmazonは、今では45,000 台のロボットを導入していますが、それでもなお、従業員を採用し続けています。

機械

による意

味の探

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これからは機械と人の共存を見直し、お互いの長所を活かす方法を見出す必要があります。

一部の人が言うような「ロボットの反乱」といった状況を避けるためには、組織は創造力や知性を結集し、常に楽観的に、私たち人間の能力を機械がさらに強化してくれる新しい手法を考える必要があります。人と機械が協働する未来を考えることが鍵を握ります。

人と機械との関係を、仕事の本質から見直すほど強力に捉えなおすことができれば、成功と呼べるでしょう。

BMWは既に強力な前例を生み出しています。最新のBMWのコンセプトカーは、乗客が機械による運転を安全と感じられるように車と乗客の間に疑似関係を築くことで、自動運転車との間のミスコミュニケーションを軽減するようデザインされています。

人によって始まり人によって終わる以上、職場への人工知能の導入は、人工知能によって人が快適に設計されるよう、デザインが中心的な役割を担うでしょう。

今後の展望

amazonの倉庫ロボット

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デザイナーは、これからの新しい世界のために体験や製品・サービスをデザインする上で、組織がどのように進化すべきか、その方向を指し示してくれます。また、デザイナーは働くことの本質的な意味を再定義し、人と機械の総合力を活かすことができる、自動化やコラボレーションが加味された、次世代の製品やサービスを生み出してくれます。

今後、組織は人工知能に対する理解を深め、より困難な課題に取り組み、状況に応じて戦略を見直す必要があります。どう機械と接するべきか?機械とどう協働すべきか?機械は私たちからどう学ぶのか?そして双方向コミュニケーションをどう実現するのか?といった問いに答えていく必要があります。

人と機械との関係を、人間中心かつ社交的なものにすると、複雑さや柔軟性が求められるようになり、これは簡単な問題ではありません。機械は、人の一貫性がない言葉の使い方や、言葉と身振り手振りの組み合わせを常に学習し、また新しいしきたりも解釈し、再現できるようにならなければなりません。

有意義な仕事や継続的な学習を続けることができるよう、組織はその文化を再設計する必要があります。McKinseyによると、現在人がこなしている作業の少なくとも45%が自動化の対象となると予想しています。これによって最大の影響を受けるのは、労働人口の中心であるミレニアル世代です。Fidelityの調査によると、ミレニアル世代は給料がたとえ7,600 USドル下がっても、より意義のある仕事やより企業文化の良い企業を選ぶことが分かっています。

Microsoftのホロレンズ

機械

による意

味の探

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人があまりやりたがらない仕事は、自動化した方がよいでしょう。とは言え、組織は慎重に行動しなければなりません。従業員の理解を得る前にトップダウンで自動化を進めてしまうと、反発や妨害を招きかねません。

今まで想像しなかった職業が生み出される中、社員の成長を支援するためには、継続的な学習を促がすための組織文化へと変革していく必要があります。従来若手社員がこなしてきた作業を人工知能が取って代わるようになると、組織は、新しい人材を巧みに育て、より経験豊富な人材には常に新しい情報を吸収するよう支援しなければなりません。

組織は、一定レベルの自動化を取り入れながら、デザインアプローチや戦略を高度化し、改善していく機会を得るでしょう。Argodesign創設者のマーク・ロルストン氏は、デザインを微調整したり、列幅を整えたり、カラースキームを試してみるなど、「純粋な美」や「純粋な技術」の間で、人工知能の介入によって恩恵が受けられる「有益な中間地点」が存在すると述べています。

人間中心のデザインと機械学習の組み合わせに対する高まる要求に応えるために、デザインの分野はさらなる進化を遂げなければなりません。デザインサービスを提供している企業は既にこの方向へ向かって動き始めています。最近、アクセンチュアはアクセンチュア アプライド・インテリジェンスを立ち上げ、またIDEOはデータサイエンス会社Datascopeを買収しました。

人と機械との効果的なコラボレーションを実現しその強みを活かした、次世代の自動化製品やサービスが求められています。そしてこれは人間中心設計と機械学習をいかに上手く組合せることができるかにかかっています。例えば、機械同士の会話を人が理解するためにマシン・ツー・マシン(M2M)コミュニケーションをどう可視化するかなど、私たちの想像の域を出ないような問題を解決する上で、新しい製品やサービスは必要不可欠な存在となってきます。

Weworkのコワーキングスペース

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Fjord からの提案

01競争するのではなく、協業する

人が得意とすることは引き続き人が引き受け、人が不得意とすることを機械に任せましょう。まず、私たちにとって最も意味のある作業を特定しましょう。そして、それぞれの強みを活かせる、協業の最良な方法を見出しましょう。また、組織のメンバーも、共にこのジャーニー

(旅)に巻き込むべきです。機械学習や人工知能が及ぼす影響に対し信頼を築き、不安を取り除き、自分も参加している、そして十分情報を提供してもらっていると感じられるよう、心がけなければなりません。

02インタラクションを念頭に デザインする

機械に素早く指示を伝え、また機械は実行したタスクを素早く報告することはできますが、人と比べそのコミュニケーションスキルは豊かではないことを理解しなければなりません。曖昧さを減らす、即ちエラー率を下げるために、機械が質問し指示を明確にできるように設計しましょう。

03透明性を確保し、インクルーシブなアプローチを用いる

アルゴリズムの透明性は、ブランドバリューの中核を成すものとなります。従業員も顧客もどのように意思決定が行われているかを理解できなければなりません。インクルーシブ(多様性を受け入れた環境)でなければ、技術は使われないものとなります。人工知能は大きく失敗する可能性を秘めています。偏見を抑制するために、人材、データ、人工知能に対応した、機械の多様性の確保が必要です。

04従業員の成長を支える将来の計画

人工知能が若手社員の作業を担当するようになると、誰が次世代の社員を教育するのでしょうか?組織は従業員の成長を支えるための計画を立てなければなりません。繰り返しになりますが、人と機械とのシナジーを最大限引き出すには、従業員と一緒にこのジャーニー(旅)に乗り出さなければなりません。採用活動において、従業員の体験は重要な差別化要因となっています。

機械

による意

味の探

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トレンド5

透明性への信頼

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デジタル化された世界においては、情報の出所や情報を誰が更新したかを特定することはほぼ不可能であり、本物かどうかの見極めは難しくなっています。さらに悪いことに、主要機関に対する信頼の低下が、この問題をより一層複雑なものにしています。2018年、デザイナーは、この信頼の危機の解決策として、

「ブロックチェーン」を多くの場面で活用するでしょう。しかしながら、人々がこれを理解し信頼できるようにしなければなりません。組織は、市場での差別化において、従来の「タッチポイント

(接点)」から「トラストポイント(信頼点)」への注力にシフトしなければなりません。

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企業、政府、メディアやNGOなど、主要な機関に対する人々の信頼は低下し、また「システム」というものが自分たちのために機能してくれているという信念も崩壊し始めています。グローバル化や革新的なディスラプション、そして社会的価値の崩壊により、この危機は今転換点を迎えています。

テクノロジーは私たちにこれまで前例のない統制と自主性をもたらし、私たちが欲しいと思った時に即座にニーズを満たし、よりカスタマイズされた体験を提供してくれるようになりました。しかしそれは同時に、私たちの恐れや不安を煽ぐことになりました。多くの人々が、自分のデータがどう収集、利用、共有、そして保護されているか把握することができず、仮に把握できていたとしても、データセキュリティやプライバシーそして透明性の欠如は大きな関心事になっています。

この問題に組織が積極的に取り組むことで、信頼を再び獲得することができるでしょう。一つのオプションは、ブロックチェーン技術の活用です。この技術を活用してサービスを開発することで、顧客がブロックチェーンを信頼している限りは、顧客が組織を信頼するか否かは重要ではなくなります。この変化は私たちの信頼に関する概念モデルを一変させるでしょう。

ブロックチェーンは、セキュアな分散型共有データベースであり、ファイルサーバー、コンピューターやプリンターなど、ネットワークにつながっているあらゆるシステムやデバイスをつなげることができます。データベースに保存される各データエントリーはブロックを形成します。いかなるデータエ

現在の動向

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ントリーも遡及的に変更することはできない点において、従来のデータベースと異なっています。さらにこれらのブロックがチェーン状につながり形成されるブロックチェーンは、中央集権的に管理する組織を必要としません。

一つの例として、患者の医療記録のブロックチェーンは複数の記録により構成されますが、それぞれの記録には作成された日付、時間が登録されます。秘密鍵を保有している医師、そしてまた別の秘密鍵を持った患者のみが、記録されている情報にアクセスできます。そして、その情報は、医師もしくは患者が秘密鍵を第三者の病院や専門医などに提供した場合のみ、共有されます。

透明

性へ

の信

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出典:Coindesk

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ブロックチェーンは、当事者間の取引を効率的かつ検証可能な形で永久的に記録する、オープンかつ安全な共有データベースとして機能し、数多くの組織がこの強みを活用し始めています。実際にブロックチェーン関連のスタートアップへの投資額は、2017年末に30億USドルを超えたとされています。

ブロックチェーン技術の最も有名な活用事例は、ビットコインです。ビットコインは実名不要で、そして仲介人(銀行)や取引手数料なく取引可能なデジタル「暗号通貨」です。今や数多く存在するデジタル通貨の一つであるビットコインの価格は、2017年1月から11月の間に900%急上昇しました。

UNHCRの難民キャンプ

ビットコインの価格上昇

価格(

USド

ル)

JAN 2017 NOV 2017

$968

$10,707

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2020年までに「ブロックチェーン都市」を目指すドバイ

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その他の業界、そして政府も、ブロックチェーン技術に着目し始めています。例えば、家庭間でのピアー・ツー・ピアー(P2P)のエネルギー取引が挙げられます。電力を消費し、また自家発電を行っている家庭が、自主性とセキュリティを保持しながらの、電力の直接売買を可能としています。

ブロックチェーンは、当事者間でのデータ共有を行うオープンプラットフォームの導入を可能にします。例えば、自動運転の実現に必要な、自動車メーカー、自動車所有者、乗客、様々なインフラ企業、保険会社の間でデータを共有することが可能になります。イギリスの自動車メーカー Jaguar Land Roverは、ブロックチェーンを利用した交通データのグローバルマーケットプレイスを構築しているイギリスのスタートアップ、DOVUに投資することを発表しました。

行政の領域では、最近Microsoft、Fjord、アクセンチュア、Avanadeが国際的なデジタル認証プログラム「ID2020」の取組みを始めています。この取組みでは、難民のような、身分証明書を保有できない状態にある人々11億人を対象に、公的かつ永久的に身分を証明することができる、ブロックチェーンを活用したグローバルIDシステムを開発しています。

ドバイは、2020年までにブロックチェーン先進国になることを宣言し、Emirates航空のビジネスの大半において、ブロックチェーンの導入を目指しています。またスウェーデンは、不動産の登記情報管理のために、ブロックチェーンの「スマートコントラクト」を採用することになりました。スマートコントラクト上では、契約はプログラムによって管理されており、一定の条件が揃った際に自動的に処理されるため、時代遅れで負荷の高い業務を効率化することができます。

自動執行される契約は、リビングサービスを体現する実例の一つです。リビングサービスとは、私たちのことを気づかい、暮らしの改善に必要不可欠なサービスです。様々なテクノロジーを組み合わせて、新しい次元のコネクテッド・インテリジェンスによって実現されます。

透明

性へ

の信

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今後の展望

組織は今すぐに、透明性をもたらすブロックチェーンの可能性と将来的な役割を理解し、結びつけるために、その活用にむけた行動に移る必要があります。何もしなければ、組織と顧客、組織と従業員の間の距離はさらに遠のき、最悪の場合、関係を築くことができず信頼性は失われてしまいます。

ブロックチェーンは、ものの起源から現在までの付加内容をすべて可視化することができるため、選挙の正当性やハッキングなどに対する懸念に取り組む方法としても注目を浴びています。

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米国のFollowMyVoteのように、安全な匿名投票、そしてリアルタイムのモニタリングを可能にするプラットフォームが、現在開発されています。南アジアのように、2008年の金融恐慌以前から金融機関に対する信頼が低い地域では、ブロックチェーンに対する期待が高まっています。

Thales社の協力のもとアクセンチュアは、国防総省がサプライチェーンにおける標準ルールを施行できるよう、ブロックチェーンを活用した実証を実施しました。

イギリスのマーケティング会社The Marketing Groupは、グローバルメディアエージェンシーTruthをローンチしました。ブロックチェーンに基づくトレーディングデスクによって100%の透明性を担保した、クリーンなメディア・サプライチェーンを実現する世界で初めての取組みです。

信頼を顕著な特徴とするサービスや製品をデザインすることで、新たな可能性が生まれますが、そこには課題も伴います。新しい言語や手法が必要となりますが、それらは人がブロックチェーンを理解していること、そしてその導入を受け入れ信頼していることを前提とします。さもなければ、前述の信用の危機を構造転換させるようなブロックチェーンの可能性を発揮できません。

画像出典:Spotifiy透

明性

への信

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組織は、逃れることのできない「タッチポイント(接点)」から「トラストポイント(信頼点)」へのシフトに備えなければなりません。なぜなら、インタラクションそのものの質よりも信頼の質の方が、競争上の優位性につながるからです。また、極端なまでの透明性を通じて信頼を築く方法も模索するべきです。そして、透明性を実現するテクノロジーそのものではなく、透明性に対する人々の反応に、常に注目しなければなりません。

Alice.siのような、革新的で新たなブロックチェーン技術の活用方法も出てくるでしょう。イギリスのサービスであるAlice.siは、寄贈者による寄付金を追跡し、寄贈先のチャリティが目標を実現するまで安全に保管することができます。

Spotifyによるスタートアップ企業Mediachainの買収の後を追うように、より多くの有名な組織が、ブロックチェーンに投資し始めます。Spotifyはそのサービスを通じて流された曲に対して、適切な権利者に確実に支払いを行う必要があります。ユーザー数が増加するにつれ、このプロセスはより複雑になっています。Spotifyで毎日再生される数十億にものぼる曲の多くは、正しい作曲家やアーティスト、または権利保有者についての正確なメタデータが存在しないのです。従って、ロイヤリティ(権利料収益)が登録されなかったり、失われてしまったりする可能性があります。Spotifyはこの問題の解決のためにMediachainを買収したのです。

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Fjord からの提案

01今すぐ行動を起こす

ブロックチェーンを「難しすぎる物」リストから外し、自らそして技術系のみならず全従業員でブロックチェーンについて理解しましょう。ブロックチェーンは単なる「ディープテック」現象ではありません。大きな変革をもたらすゲームチェンジャーなのです。

02信頼のためにデザインする

信頼を得るためには、組織には透明性が必要不可欠です。複雑なビジネスプロセスを簡素化し、透明性を実現するための、新しい推進の仕組みの導入も重要です。信頼の危機へ対処することができれば、より深い信頼関係を活用した新しいサービスが実現できるでしょう。

03コラボレーションを受け入れる

多額の投資がもたらされている一方で、多くの産業が、プライバシーやガバナンス、保護、データの共有や格納のための高度な協力体制の構築に対して慎重なため、大規模なブロックチェーン技術の導入は緩やかなものになっています。ブロックチェーンの可能性を最大限引き出すためには、信頼できるパートナーとのコラボレーションが必要不可欠です。

透明

性へ

の信

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組織は、一般市民が関心を持つあらゆる問題に対し、政治的な姿勢を表明するようになりました。そして2018年には、顧客や従業員がより強くそれを期待するようになり、ごく当たり前のことになるでしょう。組織には、もはや中立な立場を取り、傍観する余裕はありません。この新しいテリトリーで舵を取るには、まず組織がとる一つ一つの行動(あるいは行動を起こさないこと)が顧客に注意深く観察されること、そして、顧客がブランドを選ぶ際の差別化要因になることに備えなければなりません。

トレンド6

倫理経済

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現在の動向

従来、米国企業のリーダーたちは、その政治的 見解について公に話すことを控えてきましたが、 AppleのCEO Tim Cook氏は2017年9月、なぜ彼が同性婚を支持する運動を行ってきたか、なぜ「宗教の自由回復法」に反対してきたかについて説明しました。

彼は、「人には価値観があるべきです。企業は人の集まりでしかありません。従って、すべての企業にも価値観があるべきです。CEOとしての私たちの責任の一つは、その会社の価値を定め、それに応じて指揮を取ることです。」と述べています。

彼の想いは、今組織がおかれている新しい環境、そしてこれから一年間で移ろい変わりゆく従業員や顧客の期待にどう応えていくべきかを巧妙に強調しています。

これまでは、組織は何か事件やイベントがあった際に反応するだけで十分でした。しかし今の消費者は、ブランドを選ぶことで自分たちが正しい選択をしたと思いたいのです。その象徴的な例として、Patagonia、The Body Shop、シューズブランドTOMSなどのブランドは、私たちに社会的責任を果たしたと感じさせてくれます。

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サンフランシスコのプライドウィーク

倫理

経済

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また、例えば何かミスを犯した時には速やかに認めるなど、最近の顧客はブランドに正しい行動を求めています。乗客を機内から引きずり下ろした事件があったのちにUnited Airlinesが速やかに謝罪しなかったことに対する反発のように、何も行動を起こさず沈黙することは危険です。

組織は、これまでは顧客を失う事態を恐れて反応してきましたが、消費行動やオンライン上の行動によって顧客が簡単にブランド価値を向上、あるいは崩壊できることを認識し始めました。ハッシュタグの持つ力を考えてみてください。過去12カ月間、生活者個人も組織も、彼らが下した倫理的判断がソーシャルメディア上でキャンペーン化されて凄まじい勢いで広められ、その対応に追われました。

世間の詮索は新しい常識となり、ソーシャルメディアは、ブランドが時事問題に反応できる、不安定で危険かつ脅威的な場になりました。国民の雰囲気はあっという間に変わります。そして、株価にも影響を与えます。株価に影響を与え得るマイクロニュースイベントを投資家に通知するフィナンシャルアプリTriggersは、些細な日常の出来事に企業がどれほど深く影響されるかの一例にすぎません。

ハリケーン被災地のプエルトリコに対し、 Teslaが蓄電池と太陽光システムで支援

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今までは反応するだけで十分でしたが、顧客や従業員は今、ブランドが積極的にイデオロギーを体現し、あらゆる問題や懸念事項に関する倫理的信念を発信することを求めています。人々の政府に対する信用が落ち込んでいることにも起因して、論争の的になっている政策・法案に組織が声をあげて反対する風潮が生まれました。

また全体的に、顧客も従業員も、より大きな決断においてさらに発言力を得ることを期待しています。そしてさらに重要なことは、彼らはたとえ意見を求められていなくとも、組織に耳を傾けてもらうことも期待しています。

本拠点から離れた遠い地でその立場・姿勢を公言するなど、より多くの組織がこの要求に対しあらゆる方法で応えています。例えば、プエルトリコを直撃したハリケーンマリアの被害を受けて、Teslaは太陽光パネルと大きな蓄電池を寄贈しました。蓄電池に蓄えられた電気は昼も夜も使うことができたため、現地作業員はインフラを再建し始めることができました。これは私たちが今まで目にしてきた災害救助活動の範囲を超える活動でした。

倫理

経済

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より数多くの組織が、あらゆる問題に関する組織の倫理を記載したマニフェストを従業員に配布しています。例えば、Facebookの共同創立者兼CEO Mark Zuckerberg氏は、市民的社会参画からテロや気候変動などの世界的危機に到るまで、Facebookの役割を説明する6,000ワードにものぼる宣言書を最近作成し、配布しました。

2017年のFjord Trendsの「顧客中心の落とし穴」では、組織は自らの製品、サービス、ビジネス戦略や行動が生む、予期せぬ結果に対応しなければならないと述べました。それからわずか 一年で新しいパラダイムが明らかになりました。組織はもはや中立であっても、無意識であってもいけません。組織は、スタンスを表明する場面に遭遇する前から積極的に、様々な問題に対する自身の姿勢・哲学を理解し、見極めておかなければなりません。

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2018年においては、チャリティやCSR、あるいは被害防止対策に関してのみスタンスを表明するのでは不十分です。また、懸念が顕在化してから行動を起こすのも遅すぎます。

顧客や従業員が関心を持っているあらゆる問題に対して、組織は先手を打って積極的に、譲れない一線を示さなければなりません。

先見の明のある組織は、自身のビジネス習慣を見直し、良し悪しに関わらず自分たちの行動を理解し、また現在直接関係のない出来事にも目を向け、いつどのような姿勢を明確にするかを判断できるように、既に自問自答し始めています。

進むべき道の素晴らしい例を二つ、小売業界からご紹介します。イギリスのデパートのJohn Lewisは子ども服のラベルから「男の子用」「女の子用」のラベルを撤廃しました。公的な圧力に応えるためではなく、男女平等そして多様性を支持するために必要なことと信じて行ったことでした。

また、IKEAは、世界中の不利な状況にある人々のために、最終的に200,000人分の雇用を生み出す長期的な計画の一環として、ヨルダンの生産センターで難民を雇用することを明言しました。

これから一年間、組織やデザインコンサルタントは、従業員や顧客の倫理的な期待に応えるために、難しい質問を自問しなければなりません。今までタブーとして避けられてきた、あるいは大きなスケールで協議されてこなかった話題に関して、どうすればすべての人を満足させることができるのか?世界各地で毎日起きている日々の不公平な行為や社会的問題についてどこまで応えるべきか?それも、株主に一挙一動を凝視されている中で、どう応えていくのか?どのような世界を築きたいのか?そして誰とその世界を築きたいのか?といった質問の答えを探っていくことでしょう。

子供服から「女の子用」「男の子用」ラベルをなくしたJohn Lewis

今後の展望

倫理

経済

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すべての組織が、自分たちの振る舞いや行動による人への影響だけではなく、過激主義、平等、そして国家主義などのより大きな問題に対する影響について検討し始めるでしょう。そして、デザイナーは倫理基準を設ける上で一役を買い、技術者は良い決断を促す上で一役買うでしょう。また、ハウスホールド・ブランド(一般家庭で受け入れられているブランド)とデザイン会社は、より深い構造上の問題を解決するために協力し、さらに大きな協力関係を構築するでしょう。

これからは変化をもたらすことが重要な差別化要因になり、既にいくつかの産業では、ビジネスメトリクス(ビジネスの測定基準)として倫理が含まれることを検討し始めています。通常のKPIに加え、新たなヒューマンメトリクスが出現し、チーフ・エシックス・オフィサー(最高倫理責任者)の役割も設けられるでしょう。

組織が直面する問題は、複数の利害関係者に関連するものであり、より深くそして時に複雑です。ほぼすべての組織は、営業実績や最終利益を超えた目的意識を研ぎ澄ませることに集中しなければなりません。ビジネスの中心に価値や倫理を置くためには、組織を再構築しなければならず、これは重要な次なる一手となるでしょう。

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Fjord からの提案

01倫理的な自己評価

従業員と共に、自身の組織の人的資本にもたらす貢献価値を定義しましょう。従業員と顧客を良く理解し、共通する価値や要求を見出し、定期的にそれを見直さなければなりません。自身が下すすべての決断は、それが人にどのような影響を及ぼしているかの観点から評価しましょう。人間中心の公平なソリューションを見出す上で「共感」は欠かせないものです。その共感を得るために、組織は、直接的あるいは間接的に利益を得る人々によって形成されるエコシステムを理解しなければなりません。

02スタンスを明確に定義する

従業員が関心を持っている問題に対する倫理的立場を明確にしましょう。世界の模範となるような行動・活動を起こしましょう。自社の使命や価値を具現化すればするほど、組織や従業員にとって進むべき正しい道が明確になるでしょう。

03オーナーシップゴールを 共有する

あらゆるレベルで影響を及ぼす問題に関するアイディアを従業員と共に考えましょう。人間を中心とした使命や価値を、外部イニシアティブやパートナーシップに変換させて実行し、また、進歩をきちんと確認できるよう、新しい成功指標を定義しましょう。

倫理

経済

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トレンド7

枠を超えたデザイン

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デザインの分野は今、「デザイン・シンキングの拡散」「迅速に商品をスケールさせたいという要望」「先端技術の可能性」という三つの力に直面しています。デザイナーは新しいことを学び続けなければ、求められている早さで、良質かつ手頃なデジタル製品を市場に提供できません。

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現在の動向

デザイン・シンキングが広く受け入れられていることは励みになりますが、その拡散により、初心者と専門家の境界線が不鮮明になってしまう恐れがあります。多くの方々が、デザイン・シンキングの思想を取り入れていると主張する中、デザイン・シンキングやその変革させる力を心から理解している者を見分けることは非常に重要です。

病院は患者に対する理解を深め、より良いサービスを提供するためのプロセスに、デザイン・シンキングを取り入れています。銀行業界においては、Capital One銀行はデジタルラボの枠を超え、デザインをITやその他不可欠なサポートサービスに広げています。米国の液体ディスペンサーメーカーFishmanのように、従来の製造業において

も、製品やサービスにデザイン・シンキングアプローチを活用していることを謳っています。Forbes Insightによると、取材対象のシニアレベルエグゼクティブのうちの39%が、デザイン・シンキングの主要な考え方を取り入れたと答えています。

これらの例は良い意志の表れですが、デザイン・シンキングの定義が狭すぎる、あるいは他の重要な要因を犠牲にしてまでも、デザイン・シンキングの重要性が過剰に評価されてしまうと、逆効果にもなりかねません。

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製品をアジャイル、即ちより素早く提供してスケールさせることに対する需要は高まっています。アジャイルに伴うスピードへのニーズは、デザインする過程におけるクリエイティビティを損なわせています。その結果、製品は素早く市場に提供されてはいますが、デザインにとって重要な、シンプルさ、気品、パーソナリティ、そしてクラフト(手作り)という要素が時に欠けてしまいます。

クラフトに関して、モバイルやソーシャルプラットフォーム上のデザインが与える影響について、考えてみましょう。中には指示が細かすぎるものがあります。アプリ開発者にあまりにも細かい要件を指示してしまうと、新鮮さのないどこかで見たことがあるようなデザインが生まれてしまいます。

流行りの「フラットデザイン」も、独自性や感情、思い入れ、情熱に欠ける製品を生み出してしまいます。このような失敗は、職人のように一から作り始めることなく、テンプレートを活用したアプローチを選択したことに起因します。今ではたくさんの似通ったアプリやロゴが存在します。

金融企業のCapital Oneが運営するラボ

枠を超えたデザイン

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最後に、データの量や重要性は高まるばかりで、適切な人の手に渡ることにより、非常に大きな機会がもたらされます。市場調査会社IDCは、2025までに、全世界で年間に生成されるデジタルデータ量は、2016年比で約10倍の163ゼタバイト

(163に0が21個つく)に達すると予測しています。膨大なデータがあっても、それをどう活用すべきかを理解できていなければ、そのデータは役に立ちません。

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今後の展望

デザインドリブンアプローチを意義ある存在にし確実なものにするために、デザインの分野は進化しなければなりません。組織は、「デザインのこだわり」、「デザインのプロセス、ツール、チーム」、そして「デザインスキルの幅」、これら三つの柱を見直し、これらに再び注力しなければなりません。ユーザーのニーズに対応した、より洗練されたリビングサービスを開発するためには、新たなスキルがますます必要になります。

デザイン・シンキングの最大の価値を引き出すには、デザインドゥーイングと組み合わせ、力強いデザインカルチャーで支える必要があることを、組織は理解しなければなりません(Fjordはこれを「The Design Rule of 3(デザインの三法則)」と呼んでいます)。デザインは、問題解決するための重要なツールであり、また有力な差別化要因です。デザインクラフトは、魅力的なサービスや製品のためにに必要不可欠である、愛される商品を生むための要素です。

Appleの製品は、ロゴがなくても、瞬時に見分けがつきます。Appleがデザインクラフトに誇りを持っていることは、その美しい製品やパッケージングから明らかです。もう一つの例は、イギリスの「未来の銀行」Monzoです。劇的なシンプルさ、声のトーン、大胆な色使い、そしてヒューマンストーリーに重きが置かれた、その申し込みプロセスは、美しさそのものです。

枠を超えたデザイン

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Monzo Bank

Citymapperは、交通アプリとして世界初のものではありません。移動中に交通情報を提供する数千にものぼるアプリの一つにすぎませんでした。しかしながら、声のトーンや絵文字の活用、大胆なカラーパレット、そして疑似化された各都市のアイコンなどに表れているような個性を、商品のありとあらゆる所に取り入れることで成功を収めました。

デザインプロセスやツール、チーム構成を常に見直し、新しい方法やプロセスを取り入れることは、極めて重要です。しかしながら、最も重要なのは、開発におけるデザイナーの役割をより明確にすることです。これにより、アジャイルの速度を妨げることなく、デザインのキメ細やかさや厳密性を考える余地を与えることが可能になります。

デザイナーは、より素早くデジタルプロダクトを提供し、スケールしていくために、仕事の進め方を常に進化させており、デザインシステムはその中心的な役割を担っています。多数の商品にスピーディーな対応を可能とするために、かなりの時間をデザインシステムのクラフトや個性の磨き上げに費やしています。

Google Material Designはデザイン言語の良い例で、Googleの幅広い製品ラインアップを、豊富なデザインスタイルやデザイン原則のもとに統一させることができます。また、Airbnbのデザインシステムも参照に値する価値があります。

クラウドベースのアジャイルツールのおかげで、デザイナーは素早く協業できるようになりました。デザインシステムを活用し、より素早く製品を開発し、ユーザーにテストできるようにもなりました。SketchやFigmaはこの良い例です。

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また、デザイナーは多様性のあるチームと協業することに慣れてきました。開発者と肩を並べて作業することにより、デザインを迅速に実現しています。Spotifyの初期サービスは紛れもない変革でしたが、そのデザインやユーザビリティは期待外れでした。しかしながら、デザインチームを開発チームの一部としてからは、デザイン性の高い製品を素早く市場に提供することができるようになりました。

テクノロジーが進化するにつれ、継続的な学習は必要不可欠となります。今日のデザインと、明日のデザインは異なるものです。デザイナーはこの状況を受け入れ、専門分野に加え関連分野においても、新たな進展に対して絶え間ない好奇心や探求心を持つ必要があります。今後、幅広いテクノロジーや新たな分野に精通した「フルスタックデザイナー」が出現し始めるでしょう。

Citymapper

枠を超えたデザイン

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Web構築プラットフォームWordPressなどを提供するAutomattic社でコンピューターによるデザインと多様性の責任者を務める、ジョン前田氏のようなインフルエンサーは、デザイナーもコーディングを覚えるべきだと、かねてから主張してきましたが、これはパズルの1ピースにすぎません。ボイスUIが発達すれば(Gartnerによると2020年までにはウェブブラウジングの30%がオフスクリーンで行われるようになります)、デザイナーはピクセル

(画像を表現する最小単位)に向き合うことをやめるでしょう。デザイナーは、エクスペリエンスやブランドを表現する方法を新たに考案しなければなりません。

私たちは今、遍在するセンサーや最新技術を搭載したスマートデバイスが生成する、想像できないほど膨大な新たなデータにアクセスすることが可能です。データを理解し、その可能性を最大限引き出すためには、データサイエンティストとデザイナーに「タッグを組ませる」ことが極めて重要になるでしょう。どのデータが必要か、それがどこにあるのかを理解している、新種のデザイナーが要となります。

デザイン・シンキングとサービスデザインによって、企業はデータを、従業員や顧客、パートナーが使えるものにし、新しい顧客を獲得する新しい革新的な手段を得ることができます。ユーザーエクスペリエンスが非常に重要ですので、組織は、顧客や従業員に説得力ある対応をするために、人とデータの両方に注力しなければなりません。また、従来からのデータセキュリティやプライバシーに加えて、データへのアクセスのしやすさにもフォーカスするよう、考え方を変えなければなりません。

そして最後に、デザイナーは、機械学習についても理解する必要があります。そして、その可能性を最大限引き出すには、人のニーズにしつこくフォーカスし続けなければなりません。

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Fjord からの提案

01デザイナーがクラフトに 集中できるようにする

デザイン・シンキングがデザインプラクティスの一部であることを明確にしつつ、それがもたらす利益について人々の理解を促しましょう。「シンカー(考える人)」と「プラクティショナー(実践する人)」を明確に区別する必要もあります。そして製品やサービスを差別化するために、デザインクラフトをより重視しましょう。

02多分野・多職種からなるチームを設ける

市場に素早く新しいアイディアを提供できるよう、デザイナー、開発者、データサイエンティスト、そしてビジネス側の人間によりプロダクトチームを構成し、プロセス全体にわたって肩を並べて一緒に作業するべきです。これらのチームには自主性を与え、発展や創造性を妨げる官僚的な障壁を回避できるようにしなければなりません。

03デザイナーは自分たちの クラフトに責任を持つ

デザインは変わりつつあります。好奇心やハングリー精神を絶やすことなく、新しいテクノロジーやプロセスを発掘しましょう。そうしなければ、スキルは陳腐化してしまうでしょう。後々まで影響を与えるようなものを生み出すには、継続学習が鍵となります。

枠を超えたデザイン

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フィジカルが反撃に

Louis Columbus, Forbes, “Roundup of Internet of Things forecasts and market estimates,” November 27, 2016.

Martin Pasquier, Innovation is Everywhere, “Why China leads the online-to-offline revolution,” May 2015

Amit Roy Choudhury, Business Times, “Almost 90% of Asia-Pac retailers betting on click-and-collect: study,” August 24, 2017

Trefis Team, Forbes, “Why is Alibaba strengthening its o2o presence?” December 31, 2015

Yvette Tan, Mashable, “China’s version of Amazon’s cashier-less store is here” July 12, 2017

Kate Taylor, Business Insider, “I visited Whole Foods on the day it was acquired by Amazon – and it’s clear it’ll never be the same,” August 29, 2017

Eugene Kim, CNBC, “Amazon is firing on all cylinders to grow its retail presence,” September 19, 2017

Haje Jan Kamps, TechCrunch, “Look out for Ultrahaptics haptic feedback in new cars this year,” January 3, 2017

Timothy Revell, New Scientist, “A smart city in China tracks every citizen and yours could too,” October 24, 2017

Local Motors

Brookes Barnes, New York Times, “Coming to Carnival Cruises: a wearable medallion that records your every whim,” January 4, 2017

BusinessWire, “Accenture acquires leading design and innovation firm MATTER,” September 6, 2017

コンピューターにも目が

Dieter Bohn, The Verge, “The Google Clips camera puts AI behind the lens,” October 4, 2017

Avi Tugeman, Forbes, “iPhone X Facial Recognition: security, convenience and the user experience,” October 20, 2017

He Wei, China Daily/Asia News Network, “Alibaba testing face recognition technology,” September 15, 2017

Will Knight, MIT Technology Review, “Paying with your face: Face-detecting systems in China now authorize payments, provide access to facilities, and track down criminals. Will other countries follow?”, Feb2017

Mark Wilson, FastCoDesign, “Disney’s next movie could be watching you, too,” July 24, 2017

Bosch, “Welcome to the Bosch Automated Mobility Academy”

Brian Heater, TechCrunch, “Amazon’s new Echo Look has a built-in camera for style selfies,” April 26, 2017

JumpAdvice.com, “Hewlett Packard Enterprises has the IoT tools for your business” August 6, 2017

Paul Miller, The Verge, “This wallet has a built-in camera for catching thieves,” July 5, 2017

Science Alert, “Samsung just patented smart contact lenses with a built-in camera,” April 8, 2016

Daniel Cooper, Engadget, “Nanit the AI nanny tries to unravel the mysteries of a restless baby,” October 8, 2017

James Vincent, The Verge, “Microsoft’s new iPhone app narrates the world for blind people,” July 12, 2017

出典

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アルゴリズムのとりこ

Adelyn Zhou, Forbes, “The most innovative brands use bots in 3 key ways,” March 16, 2017

Samuel Gibbs, The Guardian, “Chatbot lawyer overturns 160,000 parking tickets in London and New York,” June 28, 2016

Finextra.com, “Personal finance bot Cleo arrives on Messenger,” January 26, 2017

Eleni Cresci, The Guardian, “Chatbot that overturned 160,000 parking fines now helping refugees claim asylum,” March 6, 2017

Rachel Arthur, Forbes, “Sephora launches chatbot on messaging app Kik,” March 30, 2016

Eva Xiao, Tech in Asia, “Chinese tech giant Tencent launches AI assistant” June 29, 2017

eMarketer, “Alexa, say what? Voice-enabled speaker usage to grow nearly 130% this year,” May 8, 2017

Bret Kinsella, Voicebot.ai, “25% of smart speaker owners used them for 11 or more tasks,” October 2, 2017

Rebecca Stewart, The Drum, “Domino’s turn to Amazon Echo to let customers order pizza using only their voice,” July 31, 2017

Natasha Lomas, TechCrunch, “Ocado launches Alexa app for grocery shopping by voice,” August 29, 2017

Lee Peterson, RetailWire, “How disruptive is Alexa to CPG brands?” August 1, 2017

Marty Swant, AdWeek, “Alexa is more likely to recommend Amazon Prime products, according to new research,” July 7, 2017

The Economist, “How to devise the perfect recommendation algorithm,” February 9, 2017

機械による意味の探求

Lydia Smith, The Independent, “Robot dentist completes first ever operation without any input from humans,” September 23, 2017

Christopher Wanjek, Live Science, “AI boosts cancer screens to nearly 100 percent accuracy,” June 21, 2016

Samuel Gibbs, The Guardian, “Google says AI better than humans at scrubbing extremist YouTube content,” August 1, 2017

BBC, “Drone vaccine delivery for island nation Vanuatu,’ June 14, 2017

Lizzie Palmer, New Statesman, “Eton for all: will robot teachers mean everyone gets an elite education?” October 2, 2017

Michael Chui, James Manyika, and Mehdi Miremadi, McKinsey Quarterly, “Where machines could replace humans—and where they can’t (yet),” July 2016

H. James Wilson, Paul R. Daugherty and Nicola Morini-Bianzino, MIT Sloan Management Review, “The job that AI will create,” Summer 2017

Eugene Kim, Business Insider, “Amazon’s $775m deal for robotics company Kiva is starting to look really smart,” June 15, 2016

Sam Shead, Business Insider, “Amazon now has 45,000 robots in its warehouses,” January 3, 2017

Madeline Gannon, Dezeen, “How do you avoid a robot apocalypse?” May 18, 2017

Marcus Fairs, Dezeen, “BMW working with psychologists to help robot cars befriend passengers,” February 22, 2017

Jonathan Chew, Fortune, “Why millennials would take a $7,600 pay cut for a new job,” April 8, 2016

Mark Rolston, FastCoDesign, “Designers; robots are coming for your jobs,” January 3, 2016

Diana Budds, FastCoDesign, “IDEO’s plan to stage an AI revolution,” October 17, 2017

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透明性への信頼

Edelman, “Edelman Trust Barometer 2017,” January 17, 2017

Autonomous.com, “Blockchain: Back-office Blockbuster,”

Bernard Marr, Forbes, “A complete beginner’s guide to blockchain,” January 24, 2017

Crypto Consulting, “Volume of investment in blockchain start-ups will reach $3bn this year,” September 27, 2017,

Isabella McKinley Corbo, Vice News, “The tech that powers bitcoin could tackle corruption,” November 9, 2017

PwC, “Blockchain – an opportunity for energy producers and consumers?,” 2016

Mike Butcher, TechCrunch, “Jaguar Land Rover is backing DOVU to bring the blockchain to the mobile future,” August 29, 2017

Jeff John Roberts, Fortune, “Microsoft and Accenture unveil global ID system for refugees,” June 19, 2017

Nikhil Lodade, The Wall Street Journal, “Dubai aims to be a city built on blockchain,” April 24, 2017

Gertude Chavez-Dreyfuss, Reuters, “Sweden tests blockchain technology for land registry,” June 16, 2016

Hanna Chalmers, IPSOS, “When Trust Falls Down,” June 29, 2017

Shiva Bhaskar, Medium, “How blockchain can improve politics,” July 31, 2017

Stew Langille, e27.com, “Bitcoin, blockchain and why it makes sense for Southeast Asia,” September 29, 2017

Accenture, “Accenture Debuts Hardware-Based Security Solution to Simplify and Enable Blockchain Security for Large-Scale Enterprise IT Use,” February 8, 2017

Emily Tan, Campaign, “TMG launches global blockchain-based media agency,” November 15, 2017

Alice.si

Hugh McIntyre, Forbes, “Spotify has acquired blockchain start-up Mediachain,” April 27, 2017

倫理経済

Sarah Kessler, Quartz, “Apple CEO Tim Cook explains why companies should get involved in politics,” September 20, 2017

Lindsay Stein, Advertising Age, “United Airlines’ passenger ejection may cause permanent brand damage, experts say,” April 10, 2017

Nathan McAlone, Business Insider, “This former JP Morgan trader built a free app that sends custom financial signals to your smartphone,” June 25, 2016

Micah Solomon, Forbes, “They’re not making customers like they used to: changing customer service trends and expectations,” December 21, 2016

Dana Hull, Bloomberg, “Tesla is sending battery packs to storm-ravaged Puerto Rico,” September 28, 2017

Fast Company, “Read Mark Zuckerberg’s 6,000-word manifesto on Facebook’s growing role in social infrastructure,” February 16, 2017

Rachel Hosie, The Independent, “John Lewis gets rid of ‘boys’ and ‘girls’ labels in children’s clothing,” September 2, 2017

John Reed, Financial Times, “Ikea to provide jobs for Syrian refugees in new Jordanian project,” January 31, 2017

Alan C Sauber, ethisphere.com, “The role of metrics in ethics, compliance and culture”, April 20, 2017

出典

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枠を超えたデザイン

Sharon H Kim, Christopher G Myers and Lisa Allen, Harvard Business Review, “Healthcare providers can use design thinking to improve patient experiences,” August 31, 2017

Future of Work, Nobi, “From innovation leader to laggard,”

Cheryl Beebe, Fishman Corp., “Key components of design thinking in manufacturing,”

Hugo Moreno, Forbes, “Design thinking: one key to digital success is focusing on humans,” August 16, 2017

Gil Press, Forbes, “’6 Predictions For The $203 Billion Big Data Analytics Market” January 20, 2017

Olof Schybergson and Shelley Evenson, Huffington Post, October 17, 2016

Chris Mears, The UX Review, “Monzo Bank – disrupting the banking industry,” August 14, 2017

John McGarvey, McGarvey.co.uk, “According to Ciymapper design begins with words,” July 20, 2014

Nathan Sinsabaugh, WIRED, “What Google’s material design is really about,”

Karri Saarinen, Airbnb, “Building a visual language,”

Jamie Sebold, Devbridge Group “Sketch and Agile: how we improved the design workflow,” August 17, 2015

Khoi Vinh, Subtraction, “An interview with Rochelle King, Global VP Design, Spotify,” April 23, 2015

Elizabeth Stinson, WIRED, “John Maeda: If you want to survive in design you’d better learn to code,” March 15, 2017

Heather Pemberton Levy, Gartner, “Gartner predicts a virtual world of exponential change,” October 18, 2016

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アクセンチュアは「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最大の規模を誇るデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界とあらゆる業務に対応可能な豊富な経験と専門スキルなどの強みを生かし、ビジネスとテクノロジーを融合させて、お客様のハイパフォーマンス実現と、持続可能な価値創出を支援しています。世界120カ国以上のお客様にサービスを提供する43万5,000人以上の社員が、イノベーションの創出と世界中の人々のより豊かな生活の実現に取り組んでいます。アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、

アクセンチュア株式会社の詳細は www.accenture.com/jp をご覧ください。

アクセンチュア インタラクティブはアクセンチュア・デジタルの構成チームであり、顧客体験を起点とした変革支援サービスを世界有数のブランド企業に提供しています。デザイン、マーケティング、コンテンツ、コーマスにおける専門性を組み合わせることで、体験価値を高める新たな手法を生み出し、企業を成功に導きます。アクセンチュア インタラクティブは、Ad Age誌が発行する最新のAgency Reportで世界最大のデジタル・エージェンシーであると評価されました。

詳細についてはhttps://www.accenture.com/jp-ja/ interactive-indexをご参照ください。

フィヨルドは、2013年にアクセンチュア・インタラクティブの傘下に入り、デザインとイノベーションのコンサルティング業務を行っています。フィヨルドが目指すものは、人々が魅力を感じる、有益で効率的な、価値のあるデジタルサービスの構築です。デザインの力を駆使し、世界の一流企業とともに、複雑なシステムをシンプルで洗練されたものへと変える取り組みを行っています。2001年に設立、現在は、世界27カ所にクリエイティブ拠点を構え(アトランタ、オークランド、オースティン、ベルリン、シカゴ、コペンハーゲン、ドバイ、ダブリン、ヘルシンキ、香港、イスタンブール、ロンドン、ロサンゼルス、マドリッド、メルボルン、ミラノ、ニューヨーク、パリ、サンフランシスコ、サンパウロ、シアトル、シンガポール、ストックホルム、シドニー、トロント、ワシントンDC、チューリッヒ)、1,000人以上の多様なデザインの専門家を擁しています。

フィヨルドの詳細は、www.fjordnet.comをご覧ください。

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