2018 7 2 「柏原延行」の Market Vie ·...

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商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号 加入協会/ 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 ※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。 情報提供資料 コラム 投資のヒントをお届けします。 2018年7月2日 皆さま こんにちは。 アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。 極めて暑い日が続き、私は半袖のシャツを着始めました。まだ、体が慣れてないせいか、特にネクタイ をして外出すると、本当に暑さを感じる1週間でした。 本コラムは、前回(その1)の続きですが、本来予定していた2つの米国株価指数の話に加え、 市場の注目材料である貿易、知財問題についても、お話できればと考えます。 「柏原延行」の Market View #113 値動きが異なる2つの米国株式指数(その2) 1 ※本資料中の図表などは、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。 前回のコラムでは、どちらも、米国株式の指数であるにもかかわらず、ダウ・ジョーンズ工業株価 平均(以下、ダウ指数)は横這いの動きのようにみえる一方で、Russell2000インデックス (以下、ラッセル2000)の値動きは、このところ高値更新を続けていることを説明した。 加えて、(ラッセル2000と比較して)時価総額が大きい企業から構成されるダウ指数は、貿 易戦争などのマクロ的な問題の影響を受けやすいという考え方があるように感じるが、2017年と 2018年合計の騰落率は、両指数とも約+25%であり、2018年のラッセル2000は、単に 2017年の出遅れを取り戻しているだけにもみえることも説明した。 貿易問題などが懸念されている状況ではあるが、現状の米国企業の利益は極めて好調であり、 2018年のダウ指数の(1株当りの)利益の伸びは2割近くに達している。そして、ラッセル 2000の同利益の伸びは4割近くに達しており、この数字からは、ラッセル2000の好調推移は、 当然のことのように思える(なお、利益の伸びには減税効果を含む、図表1ご参照)。 貿易問題などに油断は禁物であるが、最終的には、株価の決定要素としては、利益の推移が 一番重要であると私は考えている。 今週に入ってから、ダウ指数もラッセル2000も調整色を強めています(それでも、昨年末との比較 では、(ダウ指数と比較して)ラッセル2000が好調なことには変化はありません)。そして、この動き は、貿易や知財問題を巡る米中の対立が激化することを反映した動きであるとの解説を、しばしば目 にされることだと考えます。 たしかに、大きな経済規模を持つ米国と中国が対立し、互いに関税を掛けうことや、企業買収など を妨げる資本規制などを行うことは、経済成長、及び企業収益の鈍化に繋がる可能性があります。そ して、この問題が、「①いつ、どのような着地点を見出すのか」、或いは「②対立はこれからも先鋭化を 続けるのか」については、トランプ大統領の判断しだいという側面があり、今後の方向性を予測すること は容易ではありません。

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Page 1: 2018 7 2 「柏原延行」の Market Vie · 企業の自社株買いが不活性化していることなど他の要因も受けたものだ」と理解できるかもしれません。

商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号

加入協会/ 一般社団法人投資信託協会

一般社団法人日本投資顧問業協会

※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。

情報提供資料

コラム

投資のヒントをお届けします。 2018年7月2日

皆さま こんにちは。

アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。

極めて暑い日が続き、私は半袖のシャツを着始めました。まだ、体が慣れてないせいか、特にネクタイ

をして外出すると、本当に暑さを感じる1週間でした。

本コラムは、前回(その1)の続きですが、本来予定していた2つの米国株価指数の話に加え、

市場の注目材料である貿易、知財問題についても、お話できればと考えます。

「柏原延行」の Market View

#113 値動きが異なる2つの米国株式指数(その2)

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※本資料中の図表などは、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。

• 前回のコラムでは、どちらも、米国株式の指数であるにもかかわらず、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(以下、ダウ指数)は横這いの動きのようにみえる一方で、Russell2000インデックス(以下、ラッセル2000)の値動きは、このところ高値更新を続けていることを説明した。

• 加えて、(ラッセル2000と比較して)時価総額が大きい企業から構成されるダウ指数は、貿易戦争などのマクロ的な問題の影響を受けやすいという考え方があるように感じるが、2017年と2018年合計の騰落率は、両指数とも約+25%であり、2018年のラッセル2000は、単に2017年の出遅れを取り戻しているだけにもみえることも説明した。

• 貿易問題などが懸念されている状況ではあるが、現状の米国企業の利益は極めて好調であり、2018年のダウ指数の(1株当りの)利益の伸びは2割近くに達している。そして、ラッセル2000の同利益の伸びは4割近くに達しており、この数字からは、ラッセル2000の好調推移は、当然のことのように思える(なお、利益の伸びには減税効果を含む、図表1ご参照)。

• 貿易問題などに油断は禁物であるが、最終的には、株価の決定要素としては、利益の推移が一番重要であると私は考えている。

今週に入ってから、ダウ指数もラッセル2000も調整色を強めています(それでも、昨年末との比較

では、(ダウ指数と比較して)ラッセル2000が好調なことには変化はありません)。そして、この動き

は、貿易や知財問題を巡る米中の対立が激化することを反映した動きであるとの解説を、しばしば目

にされることだと考えます。

たしかに、大きな経済規模を持つ米国と中国が対立し、互いに関税を掛けうことや、企業買収など

を妨げる資本規制などを行うことは、経済成長、及び企業収益の鈍化に繋がる可能性があります。そ

して、この問題が、「①いつ、どのような着地点を見出すのか」、或いは「②対立はこれからも先鋭化を

続けるのか」については、トランプ大統領の判断しだいという側面があり、今後の方向性を予測すること

は容易ではありません。

Page 2: 2018 7 2 「柏原延行」の Market Vie · 企業の自社株買いが不活性化していることなど他の要因も受けたものだ」と理解できるかもしれません。

※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。

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※本資料中の図表などは、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。

(2018年6月29日 13:30頃執筆) 【当資料で使用している指数についての留意事項】 ダウ・ジョーンズ工業株価平均は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCまたはその関連会社の商品であり、これを利

用するライセンスが委託会社に付与されています。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC、ダウ・ジョーンズ・トレー

ドマーク・ホールディングズLLCまたはその関連会社は、いかなる指数の資産クラスまたは市場セクターを正確に代表する

能力に関して、明示または黙示を問わずいかなる表明または保証もしません。また、指数のいかなる過誤、遺漏、または中

断に対しても一切責任を負いません。Russell 2000インデックスはラッセル・インベストメント・グループが開発した指数

であり、著作権等の知的財産その他一切の権利はラッセル・インベストメント・グループに帰属します。ラッセル・インベ

ストメント・グループは、対象インデックスの正確性、完全性、信頼性、有用性を保証するものではなく、対象インデック

スを用いて行われる事業活動・サービスに関し一切責任を負いません。

このような状況の中、今回の問題を巡る市場の反応として私が違和感を感じる部分としては、株式

市場が株安と(ある意味素直に)反応しているにもかかわらず、為替市場ではドル安が進んでいな

いことです(例:執筆時点の米ドル/円は110円台後半を維持しています)。

もし、株式市場の動きを重要視すれば、「①為替市場が貿易や知財問題の影響を十分に織り込

んでいない(米貿易赤字縮小には米国の輸出が活性化されるドル安が有利、また資本規制は中

国企業による米国企業の買収を妨げるため、中国元売り、米国ドル買いのニーズを減少させ、ドル

安要因と捉えることもできます)」と考えることができるでしょう。

一方で、為替市場の動きを重要視すれば、「②株式市場の動きは、四半期決算を前にして、米国

企業の自社株買いが不活性化していることなど他の要因も受けたものだ」と理解できるかもしれません。

話を本題であるダウ指数とラッセル2000の動きに戻すと、「ダウ指数は大型株なので、貿易、知財

問題の影響を受けやすい」という解説と比較して、2018年のラッセル2000の好調は、「EPSの変化

(利益の伸び)が4割近くと極めて大きいこと」を反映していると理解するほうが、私には素直な解釈

のように感じます(EPS:1株当たり利益(Earnings Per Share)) 。

貿易や知財問題の行方には、油断はできませんが、もし、米中間選挙の前に、「タフな交渉であっ

たが、米国に有利な形で問題は終息した」とトランプ大統領が米国民にアピールしたいのであれば、利

益の伸びが株価を押し上げる可能性にも目配りしたいと考えます。

図表1:2つの株価指数の特徴(前回コラム(その1)の図表再掲)

出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。

2018年の騰落率は、6月21日現在。EPSの変化は、ブルームバーグのBEst予想EPS(1GY)データをもとに、2017年は、

2016年末と2017年末を比較、2018年は2017年末と2018年6月21日を比較したもの。PERはブルームバーグの予想

PER(2018年6月21日現在)。

ダウ指数 ラッセル2000

①1銘柄平均時価総額 2,277億ドル 14億ドル

②騰落率:2017年 25.1% 13.1%

③騰落率:2018年 -0.2% 11.2%

④EPSの変化:2017年 15% 4%

⑤EPSの変化:2018年 21% 39%

⑥割高・割安度:PER 16.2 27.6

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【投資信託に係るリスクと費用】

投資信託に係るリスクについて 投資信託は、株式、債券および不動産投資信託証券(REIT)などの値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リスクもあります。)に投資をしますので、市場環境、組入有価証券の発行者に係る信用状況等の変化により基準価額は変動します。このため、投資者の皆さまの投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。ファンドの運用による損益はすべて投資者の皆さまに帰属します。また、投資信託は預貯金とは異なります。

投資信託に係る費用について

[ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。] お客さまが直接的に負担する費用

購入時手数料:上限3.78% (税込) 換金時手数料:換金の価額の水準等により変動する場合があるため、あらかじめ上限の料率等を示すことができません。 信託財産留保額:上限0.5%

お客さまが信託財産で間接的に負担する費用

運用管理費用(信託報酬):上限 年率2.6824% (税込)

※上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報酬制を採用するファンドについては、成功報酬額の加算によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する場合があります。成功報酬額は基準価額の水準等により変動するため、あらかじめ上限の額等を示すことができません。

その他費用・手数料

上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認ください。その他費用・手数料については定期的に見直されるものや売買条件等により異なるため、あらかじめ当該費用(上限額等を含む)を表示することはできません。

※ 手数料等の合計額については、購入金額や保有期間等に応じて異なりますので、あらかじめ表示することはできません。

※ 上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 費用の料率につきましては、アセットマネジメントOne株式会社が運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

※ 投資信託は、個別の投資信託ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国が異なることから、リスクの内容や性質、費用が異なります。投資信託をお申し込みの際は、販売会社から投資信託説明書(交付目論見書)をあらかじめ、または同時にお渡ししますので、必ずお受け取りになり、内容をよくお読みいただきご確認のうえ、お客さまご自身が投資に関してご判断ください。

※ 税法が改正された場合等には、税込手数料等が変更となることがあります。

投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項

【ご注意事項】

当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が作成したものです。

当資料は、情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。

当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しておりますが、その内容の完

全性、正確性について、同社が保証するものではありません。また掲載データは過去の実績であり、将来の運用成果を保

証するものではありません。

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えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象ではありません。

2. 購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。

3. 投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなり

ます。