201506 大洋州廃棄物パンフ JPN - JICA · マーシャル諸島 共和国 パラオ共和国...

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2015 年 6 月 小さな島の循環型社会に向けて 独立行政法人 国際協力機構 地球環境部 東京都千代田区二番町 5-25 二番町センタービル 電話番号:(03)5226-6660(代表) http://www.jica.go.jp 大洋州における日本の廃棄物管理分野の協力

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2015 年 6月

小さな島の循環型社会に向けて

独立行政法人 国際協力機構地球環境部

東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル

電話番号:(03)5226-6660(代表)

http://www.jica.go.jp

大洋州における日本の廃棄物管理分野の協力

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ごあいさつ

David Sheppard太平洋地域環境計画(SPREP)事務局長

革新的な J-PRISM を通じた、JICA との長期間のパートナーシップを喜ばしく思います。

プロジェクトの目的である廃棄物管理の改善は、SPREP のメンバーである大洋州島嶼国共

通の主要な課題でもあります。特にすばらしいのは、J-PRISM は実践的で具体的な成果を

目指していること、そして、長期的な視点に立ち大洋州島嶼国の技術的な能力の向上を図っ

ている点です。

今現場では、まさにこのパートナーシップの具体的な成果を目の当たりにすることができ

ます。廃棄物最終処分場における、日本発祥の準好気埋立技術「福岡方式」 (10 頁参照)は

その最たる例です。訓練を受けた各国の廃棄物の指導者が他国のカウンターパートをすでに

指導しており、将来、こうした国レベルの指導者が地域の専門家として活躍することにより

大洋州地域での廃棄物管理がさらに発展する可能性が高いでしょう。SPREP は一般廃棄物

と同様に有害廃棄物の管理に関する新たなプロジェクトを始めるなど、廃棄物管理に力を入

れています。

私たちは 2012 ~ 2013 年クリーン・パシフィック・プログラムを実施しました。これ

は大洋州地域の持続的廃棄物管理のために、廃棄物の減量化を強化するというプログラムで、

JICA との強固で効果的なパートナーシップを基に成り立っています。

大洋州地域の国々やドナーは実績や結果をますます求めています。革新的な J-PRISM の

取り組みは、SPREP や JICA などの援助機関が効果的な協働を行うことで、各国がプロジェ

クトの実施と効果を高めることができるということを示した好事例です。

SPREP は、緊密なパートナーシップと協力体制を重視しながら、主要セクターを含んだ

包括的な視点で廃棄物管理に取り組むべきだと考えています。この点で SPREP は JICA と

一体であり、将来にわたり協力関係を継続していきたいと望んでいます。

SPREP は、J-PRISM の一員として、JICA や大洋州島嶼諸国の政府と密接に活動できる

ことを誇りに思うと同時に、廃棄物管理という地域全体の優先課題を支援するため、この緊

密な協力関係が継続されることを期待しています。

山内 邦裕国際協力機構(JICA)地球環境部長

太平洋地域の廃棄物管理改善への支援について、JICA は、2000 年に太平洋地域環境計

画(SPREP)事務局への専門家を派遣したのをはじめとして、大洋州各国の廃棄物管理行

政官の研修、サモアにおける最終処分場の改善、同地域の廃棄物管理戦略策定の支援、パラオ・

バヌアツ・フィジーにおける技術協力プロジェクトの実施など、支援を継続してきました。

2011 年から始まった 5 年間の広域技術協力プロジェクト大洋州地域廃棄物管理改善支援

プロジェクト(J-PRISM)は、11 の大洋州諸国を対象として、島嶼国特有の廃棄物管理の

課題を解決することを目指して実施しております。具体的には、大洋州の地理的な問題、国

外からの物資の流入、狭い国土における廃棄物の適正な処理といった課題ですが、これらの

課題に地域全体で協力して取り組むことを支援しています。SPREP による大洋州地域廃棄

物管理戦略の実施支援もその一環です。

このような支援により、廃棄物管理の高度な専門知識と経験を有する人材が育成され、当

該国および大洋州地域内の支援と協力に積極的に取り組むことを通じて、自然環境への影響

を最小化し、住民の健康的な生活が守られるように、今後も支援を継続していくことにして

おります。

今こそ求められるRETURNの仕組みづくり

桜井 国俊沖縄大学名誉教授

国連持続可能な開発会議(リオ+ 20)で合意されたように、2015 年以降の地球社会は ,

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成に総力を挙げて

取り組もうとしております。その取り組みの大きな柱となるのが地球全体での循環型社会へ

の転換です。小規模島嶼国の場合、その小規模性と先進国リサイクル市場からの遠隔性ゆえ

に、循環型社会への転換は極めてチャレンジングな課題です。太平洋・島サミット(PALM2)

以降、わが国は、太平洋地域環境計画(SPREP)を拠点に大洋州島嶼諸国と共にこの課題

に取り組んできました。2011 年~ 2016 年には、大洋州島嶼国 11 カ国とともに大洋州

地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISM)を展開し、3R(リデュース、リユース、

リサイクル)の優れた取り組み(Good Practices)の域内での発掘・構築に努め、それら

を踏まえて域内諸国での経験交流を進めてきました。

多くの成功に自信を得て、今や大洋州島嶼諸国には、域内諸国と連携しつつ循環型社会へ

の転換に向けさらに歩を進めようとの機運が熟しています。わが国は、SPREP との連携の

下に、これら島嶼諸国の努力に一層の支援を行っていく必要があります。また、大洋州域内

での循環が不可能な廃棄物については、拡大生産者責任の考えに基づき、生産国である先進

諸国にリターン(Return)する仕組みを構築する必要がありますが、わが国にはそうした取

り組みの先頭に立っていくことが求められるでしょう。

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2009年 サモア(津波)

2012年 サモア、フィジー(洪水)

2013年 フィジー(サイクロン)

2014年 ソロモン諸島(洪水)

2015年 バヌアツ(サイクロン)

自然災害による災害廃棄物への対応大洋州地域は、頻発するサイクロンや津波、洪水などの自然災害や、気候変動が原因と考えられている海面上昇や異常気

象の影響を受けやすい環境にあります。

また、いずれの国も多くの島から構成され、島内の都市・村落間だけでなく、本島と離島群を結ぶ運輸・情報通信体制が

十分とはいえません。災害情報が住民に迅速かつ的確に伝達されず、緊急援助も行き届きにくいため、各コミュニティレベ

ルでの災害対策が重要となっています。

こうした災害からの復興にあたっては、災害にともなって発生した廃棄物の迅速な処理が課題となります。災害時の多様

な廃棄物に対処するためにも、 3R(リデュース、リユース、リサイクル)を基本として進めることが重要です。迅速で適切

な廃棄物の処理方法を根付かせることは、伝染病などの防止にも効果的です。

大洋州の廃棄物問題 JICA が大洋州の廃棄物管理で目指すもの

大洋州の廃棄物管理への支援

大洋州地域廃棄物管理戦略(RSWMS) (2005~ 2015)

大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISM)(2011~ 2016)

大洋州地域廃棄物管理戦略(RSWMS)改訂 (2010~ 2015)

広域研修の開始(2001)2007年まで沖縄とサモアで相互開催

太平洋・島サミット(PALM2)で廃棄物対策が議題に(2000)太平洋地域環境計画(SPREP)への長期専門家派遣(2000)SPREP教育・訓練センターの建設(2002)

2000 2010 2014

2005

サモア タファイガタ処分場改善 (2002~ 2005)サモア タファイガタ処分場改善 (2002~ 2005)

パラオ 廃棄物管理改善プロジェクト(2005~ 2008)パラオ 廃棄物管理改善プロジェクト(2005~ 2008)

バヌアツ ブファ廃棄物処分場改善プロジェクト(2006~ 2008)バヌアツ ブファ廃棄物処分場改善プロジェクト(2006~ 2008)

フィジー 廃棄物減量化・資源化促進プロジェクト(2008~ 2012)フィジー 廃棄物減量化・資源化促進プロジェクト(2008~ 2012)

人づくり1.海外からの支援に依存することなく、自国の廃棄物管理を牽引できる人材の育成、さらに大洋州地域内での助け合いによって廃棄物管理の課題に地域として取り組めるよう指導者の育成にも力を入れています。

廃棄物管理の現場改善2.

収集運搬と最終処分場は、廃棄物管理の要です。JICA の支援で、新たに収集運搬サービスが始まった国、日本で考案された準好気性埋立方式、通称「福岡方式」

(10 頁参照)を導入した国が大洋州地域で広がっています。

循環型社会の形成3.急増する廃棄物に対応するため、JICA は 3R に島嶼国ならではの事情を勘案し、3R +リターン(11 頁参照)を合言葉に循環型社会へ向けた取り組みを支援しています。

草の根レベルでの協力4.

都市廃棄物は、普段の生活から排出されます。市民の意識向上は、廃棄物管理には欠かせません。日本の市民や自治体の経験・技術が海を渡り、大洋州地域内でも展開されています。

南南協力&域内協力5.日本の長年にわたる協力で、大洋州地域内での国境を越えて活躍する人材が輩出されつつあります。JICA は、日本の経験を共有するだけでなく、大洋州地域内での相互の学び合いを、引き続き支援していきます。

太平洋地域環境計画(SPREP)への長期専門家派遣(2000)

大洋州地域廃棄物管理戦略(RSWMS) (2005~ 2015)

大洋州地域廃棄物管理戦略

二国間

広域

災害廃棄物管理を支援した大洋州の国々

生活様式の変化や都市部への人口集中による廃棄物の増加・多様化

狭隘な土地による最終処分場用地の確保の難しさ

地理的な隔絶性、経済構造の特殊性、リサイクルの不経済性による廃棄物の島内滞留

有害廃棄物の不十分な処理、最終処分場の不適切な管理によるサンゴ礁、マングローブ林など自然環境への影響

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マーシャル諸島共和国

パラオ共和国 ミクロネシア連邦

パプアニューギニア独立国

ソロモン諸島 ツバル

ナウル共和国 キリバス共和国

サモア独立国

トンガ王国

ニウエ

クック諸島

フィジー共和国

バヌアツ共和国

クック諸島■地域特設研修参加■第三国研修参加

協力実績マップ

狐塚 聡志JOCV(H23 年度 3 次隊)環境教育/ソロモン諸島

私は環境教育隊員として、ソロモン諸島の首都ホニアラで活動しておりました。この国は南国らしく、日本と比べて時間の流れはのんびりしており、その感覚のずれに戸惑う日々でした。環境教育の視点でみると、輸入品で溢れる現代ではごみのポイ捨てが深刻な課題となっています。そのため、私の活動はごみを拾い続けた 2 年間でした。

活動を通じて多くの仲間に出会い、忍耐力や適応力、積極性を身につけたことは、私の宝物となっています。

日本■太平洋・島サミット(PALM)開催■地域特設研修開催■第三国研修講師派遣

●●ミクロネシア連邦■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施■ JOCV/SV■ コスラエ州ごみ処分場改善計画(草の根無償)

近藤 礼佳JOCV(H24 年度 4 次隊)環境教育/マーシャル諸島

日々高さを増してゆくごみ山を見ながら、土に還らないごみの発生抑制をすべく 3R +リターン(11 頁参照)の促進、学校での環境教育に取り組んでいます。

マーシャル諸島の人々の理解と意欲を引き出すのはとても難しいですが、関係機関・JICA・J-PRISM の協力を得て、引き続き根気強く取り組んでいきたいと思います。

●●マーシャル諸島■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施■ JOCV/SV

ナウル■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施

キリバス■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施

ツバル■地域特設研修参加■第三国研修参加

●●フィジー■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施■ JOCV/SV■スバ市ごみ収集車供与計画(草の根無償)■ダブア町衛生環境改善計画(草の根無償)■ナウソレ町ごみ収集車供与計画(草の根無償)■ラミ町ごみ収集車整備計画(草の根無償)■ランビ町ごみ収集車整備計画(草の根無償)■シンガトカ町町役場掘削機整備計画(草の根無償)■廃棄物減量化・資源化促進プロジェクト(技プロ)■ フィジーを中心とした大洋州における志布志市ごみ分別モデルの推進プロジェクト(草の根技協)

●●トンガ■地域特設研修参加■第三国研修参加■ 美ら島ババウもったいない運動プロジェクト(草の根技協)

ニウエ■地域特設研修参加■第三国研修参加

●●サモア■地域特設研修参加■第三国研修参加■ JOCV/SV■ SPREP教育訓練センター建設(無償資金協力)■タファイガタ処分場改善■ 医療廃棄物処理改善計画(草の根無償)■ サモアを中心とした大洋州における志布志モデルの推進プロジェクト(草の根技協)

広域的取り組み■大洋州廃棄物広域企画調査■SPREP個別長期専門家派遣■大洋州廃棄物管理プロジェクト(技プロ)■大洋州廃棄物地域戦略策定支援■大洋州大型廃棄物調査■大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(技プロ)

●●パラオ■地域特設研修参加■第三国研修参加■ JOCV/SV■コロール州リサイクル機材整備計画(草の根無償)■廃棄物管理改善プロジェクト(技プロ)■ パラオ共和国における簡易型コンポストシステム推進事業(草の根技協)

●●パプアニューギニア■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施

●JICA事務所 /支所●日本大使館JOCV(Japan Overseas Cooperation Volunteers):青年海外協力隊SV(Senior Volunteers): シニア海外ボランティア

●バヌアツ■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施■ JOCV/SV■ ブファ廃棄物処理場改善プロジェクト(技プロ)■ ポートビラ市役所廃棄物処理用掘削機整備計画(草の根無償)■ サモアを中心とした大洋州における志布志モデルの推進プロジェクト(草の根技協)

●●ソロモン諸島■地域特設研修参加■第三国研修参加■現地国内研修実施■ New3R(リデュース、リユース、リサイクル +リターン)の理念を踏まえた官民協働による家庭ごみの分別収集システム構築プロジェクト(草の根技協)

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Wendy Betiソロモン諸島・環境気候変動防災気象省環境保全局環境担当官

2014 年 3 月にスラバヤで開催された第 5 回アジア太平洋 3R 推進フォーラムにソロモン諸島代表として参加しました。多くの聴衆の前で J-PRISM における廃棄物管理への挑戦と教訓を発表するという貴重な経験を得ることができました。

プロジェクトを通じた JICA や SPREP による支援によって、廃棄物管理関係者が一致団結して、チームとして共通のゴールを目指して協働することを可能にします。過去 2 年半の間に得られたチームワークやリーダーシップは、最終処分システムの改善や廃棄物管理課題への取り組みを推進し、私たちの国が次のレベルに進むための原動力となるでしょう。

国際会議での発信日本が 3 年に 1 回開催している太平洋・島サミット(PALM)

やアジア太平洋 3R 推進フォーラム、小島嶼開発途上国(Small

Island Developing States:SIDS)の持続可能な開発に関す

る国際会議、といった国際

会議にも JICA は継続して

参加しており、日本の廃棄

物管理支援について発信し

ています。

1.人づくり 2.廃棄物管理の現場改善-収集運搬

Christina Fillmedミクロネシア連邦・ヤップ州環境保護庁長官

廃棄物管理の改善や 3R の推進のために、キャパシティ・ディ

ベロップメントを目的とした J-PRISM の研修や JICA の本邦

研修が数多く実施され、ミクロネシア連邦の各州からも代表者

が参加しています。2013 年 2 月にはヤップ州で、「福岡方式」

(10 頁参照)による衛生埋立処分場の維持管理の研修がはじま

り、続いて他の州でも行われるようになりました。

また、廃棄物管理担当者に対するシニア海外ボランティアや

私たちが「コーチ」と呼んでいる JICA 専門家による助言や指

導は、キャパシティ・ディベロップメントに特に重要な役割を

果たしています。

ミクロネシア連邦・チューク州では家庭から排出する廃棄物の収集サービスがありませんでした。2012年に日本政府草の根無償資金協力で収集車が供与されたのをきっかけに、公共事業局では収集を開始しました。実現に当たっては、州公共事業局だけでなく、環境保護局や同州で活動していた青年海外協力隊員(JOCV)も大きな役割を果たしています。

Jack Shamミクロネシア連邦・チューク州環境保護庁廃棄物管理担当マネージャー

チューク州の環境保護局が立ち上げたウェノの廃棄物管理プロ

ジェクトは州の公共事業局により実施されました。J-PRISM の技

術支援やチューク州の運輸・公共事業部との協働により、処分場

の修復やアクセス道路の整備、そしてウェノのごみ収集システム

の構築が行われました。

プロジェクトの実施以前には、一般・家庭ごみの収集率はわず

か 10%で、不法投棄がはびこっていましたが、プロジェクト実

施により、不法投棄場の数は 50%まで減少し、ごみの収集率は

60%にまで上昇しました。

収集サービスがなかったトンガのババウでは、2013年 4つのコミュニティの住民が自ら収集サービスを開始しました。各コミュニティには、廃棄物管理委員会が組織され、アクションプランが作成されました。料金の徴収もコミュニティ自身で実施しています。

Feauini Veikoso Laumanuトンガ・環境・エネルギー・気候変動・防災・気象・情報通信省ババウ担当官

2013 年の 9 月から J-PRISM のトンガチームはコミュニティによる廃棄物処理システムの構築に向け、モニタリングや技術的アドバイスなどの活動に一生懸命に取り組んできました。システムの実用性、持続可能性、拡大可能性を検証したのち、ババウ島全域への導入の前段階として、4 つのパイロットコミュニティを選んで、実践しています。毎年新規に参加するコミュニティを加え、将来的にババウ島全体に広げる予定です。今までのところ順調ですが、各世帯、収集チーム、VEVE(トンガ語で廃棄物の意)委員会がより一致団結する必要があります。

ババウのような離島で、このやり方がうまくいくのか?ご注目ください!

Vivianne Morofaパプアニューギニア・首都圏庁廃棄物管理担当官

横浜で行われた総合的な廃棄物管理と 3R の研修を通じて知

識を深めることができ、廃棄物管理のプロとしての自信がわい

てきました。

私を含むプロジェクトのカウンターパートは、2011 年から

タイム・アンド・モーション・スタディや組成分析など、廃棄

物管理についての調査スキルを身に着けました。こうした経験

によって、廃棄物管理改善のための目標を設定する能力の基盤

を固めることができました。

Faafetai Sagapolutele大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISM)アシスタント・チーフアドバイザー

J-PRISM が大洋州の廃棄物管理担当者の課題を解決する能力を高めることを第一に考えていることに、強く賛同します。私は、元行政官として、J-PRISM による大きなインパクトを目の当たりにしてきました。

それは、施設の改善だけにとどまらず、カウンターパートを直接巻き込んださまざまな活動によって、彼らの技術の向上にもつながっています。私はこうしたプロジェクトこそ、廃棄物管理担当者を廃棄物の課題を解決するという目標に向かわせていくものと確信しています。かつて、大洋州の島国では、廃棄物についての情報がほとんどありませんでしたし、入手できるわずかな情報も外部のコンサルタントの調査によるものでした。

しかし今では、J-PRISM によりカバーされたほぼすべての国々で、最新の情報を入手することができます。さらに、各国の職員が追加の情報を収集するための調査を自分たちだけで実施することができます。こうした学びの経験が継続され、かつ、島嶼国の将来のプロジェクトや支援の中心となるべきです。担当者の課題を解決する能力と潜在能力をさらに高めることによって、島の廃棄物管理の状況を一新することができるでしょう。

大洋州地域廃棄物管理の具体的な取り組み

前川 健一JOCV(H23 年度 1 次隊)環境教育/ミクロネシア連邦・チューク州

関係していただいた方々の多大なるご理解ご協力のもと、市民と協働でごみ収集システムを大きく改善することができました。

私の職場である八王子市役所からごみ収集車が到着し、それまでごみが散乱していた島で実際にごみ収集ができた時は言葉になりませんでした。日本では得られない貴重な経験をさせていただいたことに深く感謝しています。

天野 史郎JICA 国際協力専門員大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISM)チーフアドバイザー

廃棄物対策の技術協力の目的は廃棄物問題を外部からの力で直接的に一時的に改善することではなく、「国づくりは人づくり」という観点から、人々の能力を向上することによって段階的に、持続的に改善を行うことにあります。

われわれ専門家の役割はコーチとして人々の意識改革を促し、成長のための機会を提供することです。したがって、成果を生み出すのはわれわれ専門家ではなく現地の人々でなければなりません。過去のJICAの技術協力を通じて成長した人々に南南協力や三角協力によるさらなる活躍の機会を提供することが求められています。

地域専門家養成研修

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ミクロネシア連邦のポンペイでは、カウンターパート自身の手により既存処分場の改善工事が実施されました。この経験は、処分場の物理的改善に加え、廃棄物管理を自分たちで実施するというカウンターパートの大きな自信へとつながっています。

トンガのババウ島にあるカラカ処分場は、オープンダンプでしたが、2013年埋立区画の整備、堰堤の再造成などの改善をカウンターパートのトンガ保健省が実施し、処分場の状態は大きく変わりました。

Manase Maluaトンガ・保健省ババウ検査官

カラカ処分場の改善工事により処分場は適切に運営されるようになりました。処分場内には 2 つの埋立区画

があり、一方を使用している間、もう一方を使わずに残しています。

また処分場の入口付近にリサイクル可能な資源の保管場所を確保し、処分場が短期間でいっぱいになってし

まうのを防ぐために、敷地内に剪定ごみなどの植物性の廃棄物を分解するための設備を配置しています。

改善前

改善後

日本発の技術 福岡方式(準好気性埋立方式)の活用

「福岡方式」とは?「福岡方式」は、福岡大学と福岡市によって開発された

衛生埋立方式です。埋立廃棄物層内の好気性領域を拡大す

る目的で途上国の現地で入手可能な材料や手法を用いて、

浸出水集排水管、ガス抜き管を設置できるなど、低コスト

で簡易な埋立改善技術が特長です。

埋立廃棄物の分解促進と埋立地の早期安定化を図り、浸

出水を速やかに排除できることで、最終処分場の周辺環境

に与える影響を低減できるほか、埋立地からのメタンガス

排出量の低減を通じて、地球温暖化防止にも寄与します。

福岡方式(準好気性埋立方式)の構造

フィジー・ランバサで導入された福岡方式の処分場

福岡方式を応用して最終処分場が改善された大洋州の国々

‐ サモア ‐ パラオ

‐ バヌアツ ‐ ミクロネシア連邦

‐ フィジー ‐ パプアニューギニア

‐ トンガ

大洋州の廃棄物問題は、他の地域と異なり、物・人・金のす

べてにおいて限られた条件の下で解決の糸口を見つけなければ

なりません。一方、自然環境にも恵まれており、美しい自然を

守るという厳しさもあります。

こうした下で、日本独自の埋立技術である「福岡方式」 は、

簡便でシンプルな技術ですし、中小規模の埋立地に応用可能で

す。立地条件に合った「福岡方式」を、JICA の協力で一日も

早く実現されることを期待しています。

最終処分場へ搬入される廃棄物の量を計る計量台(サモア・タファイガタ処分場)

貯蓄構造物埋立ガス

遮水工

ガス抜き設備

栗石浸出水集排水管

浸出水調整池

空気

廃棄物層

CO2

CO2

O2O2O2

CH4

2.廃棄物管理の現場改善-最終処分場

Faatamaliiamio Meredithサモア・天然資源環境省環境管理部廃棄物政策担当官

プロジェクトでの研修やワークショップに参加し、より良い

生活環境を実現するための廃棄物管理の改善について学びまし

た。

日本政府からの価値あるサポートに、サモア人として、また

サモアの行政官として感謝しています。

Charles Lohnミクロネシア連邦・ポンペイ州環境保全庁職員

デケティク処分場は、オープンダンプでほとんど管理されていませんでした。しかし、J-PRISM の支援の

もとで、2013 年 6 月にパイロットプロジェクトを実施し、「福岡方式」(右頁参照)による衛生埋立処分場

へと改善することができました。

改善部分はまだ 70 × 30m の広さに限られていますが、現在ポンペイ州は埋立スペースの拡張と処分場全

体の「福岡方式」への転換、浸出水調整池の増設などを検討しています。この改善を通し、ポンペイ州の廃棄

物担当者や関係者たちは最終処分場のより良い維持管理について日々学んでいます。

Teliphen Neamonマーシャル諸島・マジュロ環礁廃棄物会社

JICA 研修に参加できたこと、J-PRISM のメンバーであるこ

とに感謝しています。本当に多くのことを習得することができ

ました。学んだ知識を、同僚とともに共有し、マーシャル諸島

の廃棄物管理を改善していきます。

松藤 康司

福岡大学教授

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小川 雅由NPO 法人こども環境活動支援協会(LEAF)理事

循環型社会の構築に不可欠なリデュース(Reduce:廃棄物発生抑制)、リユース(Reuse:再使用)、リサイクル(Recycle:再資源化)という 3Rは、2004 年 6月に開催されたG8シーアイランドサミットで、日本の小泉総理(当時)が提唱し「3R行動計画」が採択された経緯があります。島嶼国でもこの概念が重要なのは言うまでもありませんが、リサイクルを実現するための産業が十分ではありません。そこで JICA は、リターンという言葉を追加して「3R+リターン」とし、①リサ

イクル可能な資源や処理困難物を海外へ輸出、②有機廃棄物の自然への還元、の 2つの「リターン」を推進しています。

志布志モデルをフィジー、サモア、バヌアツへ鹿児島県志布志市は焼却炉を持たず、住民と行政の協働によ

る徹底した分別で、2005年度以降、毎年80%以上埋立ごみが減量されてきました(1998年度比)。2011年度からこの「志布志モデル」が大洋州で展開されています。

フィジーを中心とした大洋州における志布志市ごみ分別モデルの推進プロジェクト期間:2011~ 2013  実施団体:志布志市

サモアを中心とした大洋州における志布志モデルの推進プロジェクト期間:2013~ 2016  実施団体:志布志市

西川 順一志布志市役所市民環境課長兼環境政策室長

土のうを用いた道路改善ミクロネシア連邦・チューク州で、日本のNPO法人道普請

人の協力を得て、現地で調達できる材料を用い、土のうで道路の補修が行われました。結果、水たまりが消え、収集車の通行も可能になりました。

福林 良典NPO 法人道普請人 理事・事務局長

古我知 浩沖縄リサイクル運動市民の会代表

チューク州のダンプサイトへの道路の一部が、公共事業省職員を中心に周辺住民の協力も得て、人力で土のう工法により整備されました。

この道路整備活動が、現地にある資源を見直し、少しの工夫で生活環境を自分達で改善できる、という意識を関係者間で強くし、廃棄物管理事業の進展に生かされればと願います。

紙おむつから車まで、大量消費の波が押し寄せているトンガ。 一方で適正に処理、再生のためのインフラが追いつかない状況にあり、静脈産業の必要性を痛感しました。

幸い、理念を持ったリサイクル事業者と、コミュニティの絆を大事にしている若者たちに出会うことができました。

彼らは、循環型社会構築への貴重なパートナーです。

廃棄物管理は、住民の協力が不可欠です。住民がごみを分別して出したら、廃棄物管理は劇的に変わります。住民の心に火をつけてください。そのためには、足で稼ぐことです。フィジーではすでに分別排出が始まっています。「分ければ資源、混ぜればごみ」です。ともにがんばりましょう。

LEAF が JICA より受託する大洋州地域を対象とした廃棄物に関する研修も今年で 6 年目になります。当時から、3R コンセプトだけではなく、「リターン」の重要性を研修員とともに考えてきました。

生ごみは大地の栄養分として土に返し、ペットボトルやアルミ缶などは資源化商品として輸出国に返すことができる国際的な社会・経済システムの構築に向けて協力し合いましょう。

市民・事業者・行政の協働をソロモン諸島でソロモン諸島の首都ホニアラ市では、市民・事業者・行政が

協働で廃棄物の適正管理を行っていく体制を整備することで、適正な廃棄物管理を目指す取り組みが進行中です。

New3R(リデュース、リユース、リサイクル+リターン)の理念を踏まえた官民協働による家庭ごみの分別収集システム構築プロジェクト期間:2014~ 2016実施団体:NPO法人こども環境活動支援協会(LEAF)

利用可能な資源を商品に草の根技術協力「美ら島ババウもったいない運動プロジェク

ト」では、トンガの離島の1つババウ島で、リサイクル可能な資源の商品化に力を入れています。沖縄での研修では、より有利な条件でリサイクル可能資源を

海外へ売却するための技術や住民・行政・企業が協力する重要性が再確認されました。

美ら島ババウもったいない運動プロジェクト期間:2011~ 2014実施団体:沖縄リサイクル運動市民の会

REDUCE

REDUCE

REUSE

RETURN

入ってくるものを極力減らす

リサイクルのための国境を越えた移動

島内での循環を促進する

島内での廃棄物を最小限にする

RETURN島内で自然に還す

3.循環型社会の形成3R + リターン(Return)

4.草の根レベルでの協力

フィジーフィジー西部にあるラウトカ市。ここでは、3Rを合言葉に家庭でのコンポストづくり、学校啓発、市場の野菜くずのコンポストづくりが進行中です。分別収集を開始し、処分場に埋め立てる廃棄物量の減量化を実践しています。

廃棄物減量化・資源化促進プロジェクト

期間:2008~ 2012カウンターパート機関:ナンディ市役所、ラウトカ市役所

Shalend Singhラウトカ市役所保健課上級検査官

ラウトカ市役所は JICA 専門家の指導のもと、ホームコンポスト助成プログラム、市場ごみのコンポスト化、植物性の廃棄物の裁断処理、クリーン・スクール・プログラム、処分場の改修、およびリサイクル回収サービスを開始することができたことを誇りに思います。

3R 活動はまさに、持続可能な未来に向けた環境の保護ならびに保全のための投資であり、われわれ自治体の社会的責任です。

Paul Wisiパプアニューギニア首都圏庁環境衛生担当官

3R/HEART Initiative* は、 健 康(Health)、 環 境(Environment)、 行 動(Attitude)、資源の効率性(Resource effi ciency)、考え方(Thoughts)の改善・向上を目指して、3R の理念を拡大したポートモレスビー発のコンセプトです。

私たちは 3R/HEART Initiative の活動を通じて、廃棄物の収集・処分システム、さらには人々の考え方や行動を変えることができると確信しています。

パプアニューギニアパプアニューギニアの首都ポートモレスビーでは、3Rのコンセプトを広める目的で 3R/HEART* Initiative in Port Moresby を展開しています。

* Health, Environment, Attitude, Resource efficiency and Thoughts

Roger Taryポートビラ市役所環境保健責任者

市場ごみのコンポスト化プロジェクトの目的は最終的に埋立て処分する廃棄物の量を可能な限り減らし、コンポスト肥料として菜園などで利用することです。制約のあるなかで、私たちが持っているキャパシティ(資金、人材、資機材・施設)によって、何ができるかを考えていく必要があります。

大洋州のいくつかの国では、リサイクル事業を立ち上げたところもありますが、他の国ではわずかな種類の有価物を回収しているだけで他の廃棄物はすべて処分場に捨てられているのが現状です。まずは小規模な活動から始めていき、徐々に改善して、未来に向けた展開を検討することも大事だと思います。私たちは、清潔で衛生的な環境を維持し続けていきます。

バヌアツバヌアツの首都ポートビラ市では、中央市場から発生する野菜などの有機物を回収し、コンポストにして農業に役立てる試みが始まっています。

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Page 8: 201506 大洋州廃棄物パンフ JPN - JICA · マーシャル諸島 共和国 パラオ共和国 ミクロネシア連邦 パプアニューギニア独立国 ソロモン諸島

マーシャル諸島共和国

パラオ共和国 ミクロネシア連邦

パプアニューギニア独立国

ソロモン諸島

ツバル

ナウル共和国

キリバス共和国

サモア独立国

トンガ王国フィジー共和国

バヌアツ共和国

JICA は、大洋州の地域特性を生かし、一つひとつの国だけでなく、大洋州広域として地域全体での廃棄物管理の改善を推進しています。島嶼国であるという地理的な共通性、類似した生産構造や生活基盤は、廃棄物管理に関する知識の強化や技術の向上を通じて人材の育成に共同で取り組むことを容易にしています。将来的には、地域全体で廃棄物管理を強化していけるように、JICAは J-PRISMをはじめとしたさまざまな支援を通じて、地域基盤整備を推進しています。

5.南南協力&域内協力

研修講師として海外へ(第三国で活躍するカウンターパートたち)

2013 年 10 月には、ナンディ町の担当者 Nafi za 氏とPremila 氏が、ソロモン諸島で学校の先生に向けたワークショップを開催。クリーン・スクール・プログラムを紹介しました。ソロモン諸島では、現在エコ・スクール・プログラムと名前を変えて、学校での啓発活動を実践しています。

大洋州島嶼国キャパシティ・ディベロップメント活動データベース(Pacifi c Islands Database of Capacity Development Activities: PIDOC)これまでに JICAによる廃棄物管理関係の研修などに参加した

経験や指導経験のある人材を登録するSPREP内に構築されたデータベースです。それぞれの学習経験や指導経験を記録して、将来の大洋州地域の廃棄物管理を担う指導的人材を育成し、学び合うための人的ネットワークを構築することを目指しています。

災害廃棄物管理のコツを伝授(バヌアツからソロモン諸島への支援)

2014年 4月、ソロモン諸島は熱帯低気圧の影響で、首都ホニアラのラナディ処分場も冠水し、洪水による災害廃棄物の処理に手間取っていました。バヌアツから駆け付けた最終処分場管理のエキスパートの支援にホニアラ市役所の担当者は多くのことを学んでいます。

優良事例を地域の仲間へ(第三国研修の実施)

パラオでは、海外から輸入される製品に容器デポジット制度を導入し、廃棄物管理の財源として活用しています。パラオのほか、フィジー、キリバスから講師を迎え、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、サモアのカウンターパートを対象にした研修をパラオで実施しました。

Nafi za Aliフィジー・ナンディ町役場保健課検査官

Kosi LatuSPREP事務局次長

Amos Mathiasバヌアツ・ポートビラ市役所最終処分場運営管理者

Calvin Ikesiilパラオ・公共事業商工省公共事業局マネージャー

われわれナンディ町役場では、教育省の協力のもとクリーン・スクール・プログラムを続けています。すでに参加経験のある学校が継続参加していることに加え、今年さらに多くの学校がプログラムに参加しました。

今ではナンディの学校での成功体験がフィジー各地(ラウトカ、バ、タヴア、ラキラキ、シンガトカ)、そしてキリバス、ソロモン諸島、トンガなどの大洋州島嶼各国に広がっています。

適切な廃棄物管理の基盤を築くためには、施設だけでなく、十分な能力を持った人材が必要です。その意味で、日本は大洋州地域の廃棄物管理の改善のために力強い貢献をしたといえます。

JICA による協力のユニークな点は SPREP の職員と共に、SPREP メンバー国の政策決定者から現場レベルの職員までを巻き込んで取り組んでいることです。JICA と SPREP は現在、廃棄物管理を促進できる人材の登録システム(PIDOC)を開発しており、この協働関係が継続していくことを確信しています。

一般的に、大洋州島嶼国における処分場の運営・管理・改善の基本原則は同じだと思います。現状のさまざまな制約条件のもとで、われわれはいかに効果的・効率的に処分場を管理運営できるかを考えなくてはなりません。処分場の姿は、その国の廃棄物管理の状況を映しだす「鏡」です。処分場が私たちの地域の美しい未来を映しだす鏡となるように改善のための行動を起こしましょう!

2013 年 11 月、パラオで 3R 推進のための地域研修が行われました。研修の目的は地域における既存のリサイクルシステムから学べる教訓や進捗状況を共有することです。パラオだけでなく、ミクロネシア連邦、サモア、マーシャル諸島からも参加がありました。彼らは非常に協力的で、成果や各国のさまざまな経験についても意欲的に共有し、学びました。われわれがいかなるときもお互いの経験から学び、理解し合う機会を与えてくれる、このような地域的な研修は、重要で不可欠なものであると確信しています。

われわれ大洋州の小さな島国では、廃棄物処理のシステムが最も効果的に機能していくように、これからも情報を共有し協力していかなければなりません。

南南・三角協力実績

さまざまな機関との連携大洋州地域の廃棄物管理分野の能力向上に JICA とともに力を入れているの

が、太平洋地域環境計画(SPREP)事務局です。SPREP は日本の支援で2005 年に「大洋州地域廃棄物管理戦略」を策定しました(2009 年に改訂)。JICA は引き続き地域戦略の実施を SPREP と ともに支援していきます。

その他、JICA は、国際労働機関(ILO)と連携して、労働安全衛生に関するワークショップを 2009 年より継続して開催しています。

大洋州における廃棄物管理の改善

日本の支援スキーム

多様な機関

廃棄物管理改善のための相互関係

●フィジー共和国●クック諸島●キリバス共和国●マーシャル諸島共和国●ミクロネシア連邦●ナウル共和国●ニウエ●パラオ共和国●パプアニューギニア独立国●サモア独立国●ソロモン諸島●トンガ王国●ツバル●バヌアツ共和国

●無償資金協力●技術協力プロジェクト(二国間、広域)●草の根無償資金協力●草の根技術協力●長期専門家派遣●本邦研修 /第三国研修●青年海外協力隊(JOCV/SV)●国際機関への拠出金

支援対象となるPIF 加盟国・地域

●政府系機関(外務省・JICA など)●地方自治体●SPREP●世界保健機関(WHO)●バーゼル条約事務局●各国の援助機関●廃棄物管理に携わるNGO●国際労働機関(ILO)

現地 OJT● 処分場運営管理トレーニング

(2011)

現地 OJT● 収集車両計量データ管理

(2014)

現地 OJT● ごみ収集、3R(2012)

ローカル講師派遣● 環境教育プログラム(2012)

ツバルツバル

サモア独立国

ごみ収集、3R(2012)ごみ収集、3R(2012)ごみ収集、3R(2012)

バヌアツ共和国

現地 OJT処分場運営管理トレーニング処分場運営管理トレーニング処分場運営管理トレーニング処分場運営管理トレーニング処分場運営管理トレーニング

独立国独立国

ツバルツバル

処分場運営管理トレーニング

パプアニューギニア独立国

ソロモン諸島

ミクロネシア連邦第三国研修● 処分場運営管理トレーニング(2013)パラオほか国内3州から

● 処分場運営管理実践トレーニング(2013)マーシャル諸島ほか国内4州から

パラオ第三国研修● 3Rトレーニング(2013)パラオほか4カ国から

パプアニューギニア現地国内研修● 廃棄物処理のための労働安全衛生トレーニング(2011)国内地方行政府や企業から

バヌアツ第三国研修● 処分場運営管理トレーニング(2013)バヌアツほか4カ国から

スタディツアー● 処分場運営管理(3/3)(2012)パプアニューギニアから

サモア第三国研修● 廃棄物処理のための労働安全衛生広域トレーニング(2013)サモアほか5カ国、企業・組合から

スタディツアー● 処分場運営管理(1/3)(2012)パプアニューギニアから

トンガスタディツアー● コミュニティごみ収集ほか(2015)ソロモン諸島から

ローカル講師派遣● 処分場運営管理トレーニング

(2013)

ローカル講師派遣● 災害廃棄物管理 & 処分場運営

(2014)

ローカル講師派遣● 処分場運営管理トレーニング

(2013)

フィジー第三国・現地国内研修● 3R トレーニング(2011)国内地方地自体から● 3Rトレーニング(2012)国内地方自治体ほか4カ国から

● 学校における環境教育プログラム(2012)トンガ、ソロモン諸島ほか国内地方自治体から

● 「クリーン・パシフィック・キャンペーン」トレーニング(2012)フィジーほか8カ国から

● 専門家養成研修(2014)フィジーほか7カ国から

スタディツアー● 処分場収集車両計量運営管理、3R (2011、2014)サモアから

● 処分場運営管理(2/3)(2012)パプアニューギニアから

● 3R、環境教育プログラム(2012)ソロモン諸島、トンガから(2014)パラオから

● マーケットごみ有効利用(2014)パプアニューギニアから

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