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軽自動車用2色インパネの無塗装・薄肉成形技術によるエネルギー削減 本田技研工業株式会社 鈴鹿製作所 ホンダエンジニアリング株式会社 Honda鈴鹿製作所ホンダエンジニアリングは、2017年9月発売の新型N-BOXの自動車用インストルメントパネル(通称イン パネ)製造において、2軸成形機と独自金型を使った2色インパネの無塗装一体製造法を開発。塗装エネルギー及び成形エネル ギーを大幅に削減し、従来のインパネ製造方案比65%の省エネを実現し、88.5t-CO 2 /年のCO 2 排出量を削減した。 従来の、軽自動車“Nシリーズ”のインパネ製造工程 鈴鹿製作所のエネルギー削減施策の課題 開発内容② - 金型内テーパー形状見切りコア構造 開発内容① - 2軸成形機 2色インパネの無塗装一体成形製法を開発 “Nシリーズ”インパネ製造における課題 省エネ効果と今後の展開 Honda鈴鹿製作所が生産する人気軽自動車 “Nシリーズ” では多くの派生車種やバリエーションが生まれ、3種類の異なる製法で6種類の(製法/色/形状の異なる)インパネを製造していた。 6種類のインパネを作り分けることで生産効率の向上には課題があった。特に2色インパネの 「塗装仕様」および「別部品組付仕様」は、工程が付加されることで環境負荷が増加していた。 一方、インパネ製造に限らず鈴鹿製作所では、既存製造方案・設備で継続的に実施してきたエ ネルギー削減施策による省エネが頭打ちとなり、大きな効果が出にくい状況となっていた。 上記2つの状況を踏まえ、鈴鹿製作所およびホンダエンジニアリングでは、塗装しない&組み付 けしないという2つのメリットを実現する“無塗装2色一体成形製法の開発”に着手した。 無塗装2色一体成形を実現するため、まず既存の1軸成形機に第2射出ユニットを追加した2軸成 形機を開発し、商品のデザインニーズを基に、金型構造や成形方法を検討した。 高い外観品質基準とハイサイクルを両立する2色の樹脂の接合という課題があったが、金型内に テーパー形状の見切りコアを設置する構造を発案し、これをクリアした。 本技術は2017年発売の「新型N-BOX」に採用され、製造エネルギー使用量を65%削減した。 電力エネルギー:222.06 MWh/年、熱量換算:2,214 GJ/年、CO2換算:88.5 t-CO2/年 インパネ 無塗装仕様 塗装仕様 材料投入 溶融・混練 金型に注入 製品取り出し 成形機 金型 材料 材料を固形 →溶融化する 材料を金型内に注入し冷 却固化させる 成形した製品を 取り出す 射出成形 射出成形した直後のインパネ ロボット インパネ 治具 テアライン溝 ミリング加工機 エアバッグ用溝加工 エアバック用溝加工 振動溶着 振動溶着機 溶着 エアバッグ用 ブラケット取り付け インパネ塗装 塗装 ロボット マスキング塗装 塗装によるインパネ2色化 組付け 組付けによるインパネ2色化 別部品を 組付け 小組 部品組付け 旧型N-BOX N-ONE 旧型N-WGN 旧型N-BOX カスタム 別部品組付仕様 2色インパネ 塗装仕様 塗装工程によるエネルギー使用・環境負荷の増加が問題 成形品 治具 セット マスキング治具セット 塗装 乾燥炉 ヒーター 塗装 ロボット 上部 下部 別部品を 組付け 部品の物流・組付けによるエネルギー使用・環境負荷の増加が問題 内作部品 マスキング治具 2色インパネ 別体組付け 仕様 部品製造 物流 別部品組付 2色インパネ 2色インパネ 外部協力会社にて 別部品を製造 鈴鹿製作所へ 輸送 0 200 400 600 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 ■鈴鹿製作所 省エネルギー 削減量推移 削減量:GJ/年 施策件数 施策件数 年度 ・エネルギー施策件数は横ばい ・削減量は年々減少傾向 (やりつくし感) 削減量の大きな施策が減少 削減量 塗装によるインパネ2色化 金型 色違いの樹脂を 射出するために、 射出ユニットを追加 1つの金型で 2色インパネを成形 第2射出ユニット 2軸成形機 第1射出ユニット 追加射出ユニット 2色成形用金型 開発機構 1色目の樹脂を せき止める機構 上部:マスキング塗装 下部:無塗装(成形色) 上部:無塗装(成形色) 下部:無塗装(成形色) 別部品を組付け 別部品組付けによるインパネの2色化 (要求事項) ●エネルギー使用量低減・環境負荷低減 ●低コスト・薄肉化 ●お客様が満足する高い質感の維持・向上 商品性をキープしつつ、 環境負荷低減し、コストダウンと燃費向 上を実現する。 ■ 従来の塗装2色インパネの断面(イメージ) 機能、生技ニーズ ・2材を正面突き当てではなく、 2材をラップさせて強度を確保したい。 デザインニーズ ・見切り部(境目)に溝状のキャラクターラインを入れて、“手込み感”を表現したい。 インパネ 上部 インパネ 下部 塗装部 素地のまま 旧型 N-BOX 新型 N-BOX 第2射出ユニット 2軸成形機 第1射出ユニット 2色成形用金型 1軸成形機 第1射出ユニット 単色成形用金型(従来) ■ 無塗装2色インパネの断面(イメージ) 無塗装2色一体成形法 2色目の充てん 樹脂の熱で溶着され、 十分な強度が 得られる 固定型 可動型 1色目の充てん 見切りコア作動 固化後、 堰を開ける 【効果】 1色目の樹脂を 堰き止める 【効果】 早く固化させ、 見切りコアの作動 タイミングを早め、 ハイサイクル化。 テーパー形状 特許申請済み 見切りコア 金型内の2色の樹脂の接合部分 見切りコア 固定型 可動型 第2射出ユニット 第1射出ユニット 従来の製法 目標 今回の製法 削減目標65% (塗装エネルギー使用量の100%削減) 従来の製法 今回の製法 塗料 削減量 約100g/台削減 約100g/台削減 従来の製法 今回の製法 インパネ コスト 約1,000円/台削減 約1,000円/台削減 塗装廃止効果 薄肉化効果 材料 削減量 塗装廃止効果 今回の製法 約300g/台削減 約300g/台削減 従来の製法 薄肉化効果 インパネ製造 エネルギー 使用量 (GJ/年) 新型N-BOX ※原単位0.04712GJ/本で計算 ※上記削減量は、鈴鹿製作所の総エネルギー使用量の0.077%に相当 https://www.honda.co.jp https://www.honda.co.jp https://www.honda.co.jp

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軽自動車用2色インパネの無塗装・薄肉成形技術によるエネルギー削減本田技研工業株式会社 鈴鹿製作所 / ホンダエンジニアリング株式会社

Honda鈴鹿製作所とホンダエンジニアリングは、2017年9月発売の新型N-BOXの自動車用インストルメントパネル(通称インパネ)製造において、2軸成形機と独自金型を使った2色インパネの無塗装一体製造法を開発。塗装エネルギー及び成形エネルギーを大幅に削減し、従来のインパネ製造方案比65%の省エネを実現し、88.5t-CO2/年のCO2排出量を削減した。

従来の、軽自動車“Nシリーズ”のインパネ製造工程

鈴鹿製作所のエネルギー削減施策の課題

開発内容② - 金型内テーパー形状見切りコア構造

開発内容① - 2軸成形機2色インパネの無塗装一体成形製法を開発

“Nシリーズ”インパネ製造における課題

省エネ効果と今後の展開

Honda鈴鹿製作所が生産する人気軽自動車 “Nシリーズ” では多くの派生車種やバリエーションが生まれ、3種類の異なる製法で6種類の(製法/色/形状の異なる)インパネを製造していた。

②6種類のインパネを作り分けることで生産効率の向上には課題があった。特に2色インパネの「塗装仕様」および「別部品組付仕様」は、工程が付加されることで環境負荷が増加していた。

③一方、インパネ製造に限らず鈴鹿製作所では、既存製造方案・設備で継続的に実施してきたエネルギー削減施策による省エネが頭打ちとなり、大きな効果が出にくい状況となっていた。

④上記2つの状況を踏まえ、鈴鹿製作所およびホンダエンジニアリングでは、塗装しない&組み付けしないという2つのメリットを実現する“無塗装2色一体成形製法の開発”に着手した。

⑤無塗装2色一体成形を実現するため、まず既存の1軸成形機に第2射出ユニットを追加した2軸成形機を開発し、商品のデザインニーズを基に、金型構造や成形方法を検討した。

⑥ ⑦高い外観品質基準とハイサイクルを両立する2色の樹脂の接合という課題があったが、金型内にテーパー形状の見切りコアを設置する構造を発案し、これをクリアした。

本技術は2017年発売の「新型N-BOX」に採用され、製造エネルギー使用量を65%削減した。電力エネルギー:222.06 MWh/年、熱量換算:2,214 GJ/年、CO2換算:88.5 t-CO2/年

インパネ

無塗装仕様

塗装仕様

材料投入 溶融・混練 金型に注入 製品取り出し

成形機金型材料 材料を固形→溶融化する→

材料を金型内に注入し冷却固化させる

成形した製品を取り出す

射出成形

射出成形した直後のインパネ

ロボットインパネ

治具

テアライン溝

ミリング加工機

エアバッグ用溝加工

エアバック用溝加工 振動溶着

振動溶着機

溶着

エアバッグ用ブラケット取り付け

インパネ塗装

塗装ロボット

マスキング塗装

塗装によるインパネ2色化

組付け

組付けによるインパネ2色化

別部品を組付け

小組

部品組付け

旧型N-BOX

N-ONE旧型N-WGN

旧型N-BOXカスタム

別部品組付仕様

2色インパネ塗装仕様

塗装工程によるエネルギー使用・環境負荷の増加が問題

成形品

治具セット

マスキング治具セット 塗装 乾燥炉

ヒーター

塗装ロボット

上部

下部

別部品を組付け

部品の物流・組付けによるエネルギー使用・環境負荷の増加が問題

内作部品

マスキング治具

2色インパネ別体組付け仕様

部品製造 物流 別部品組付

2色インパネ

2色インパネ

外部協力会社にて別部品を製造

鈴鹿製作所へ輸送

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2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

■鈴鹿製作所 省エネルギー 削減量推移削減量:GJ/年

施策件数

施策件数

年度

・エネルギー施策件数は横ばい・削減量は年々減少傾向(やりつくし感)

⇒削減量の大きな施策が減少

削減量

塗装によるインパネ2色化

金型色違いの樹脂を射出するために、射出ユニットを追加

1つの金型で2色インパネを成形第2射出ユニット

2軸成形機第1射出ユニット

追加射出ユニット

2色成形用金型

開発機構

1色目の樹脂をせき止める機構

上部:マスキング塗装

下部:無塗装(成形色)

上部:無塗装(成形色)

下部:無塗装(成形色)

別部品を組付け

別部品組付けによるインパネの2色化

(要求事項) ●エネルギー使用量低減・環境負荷低減●低コスト・薄肉化●お客様が満足する高い質感の維持・向上

商品性をキープしつつ、環境負荷低減し、コストダウンと燃費向上を実現する。

■ 従来の塗装2色インパネの断面(イメージ)

機能、生技ニーズ・2材を正面突き当てではなく、2材をラップさせて強度を確保したい。

デザインニーズ・見切り部(境目)に溝状のキャラクターラインを入れて、“手込み感”を表現したい。

インパネ上部

インパネ下部

塗装部

素地のまま

旧型 N-BOX

新型 N-BOX

第2射出ユニット

2軸成形機

第1射出ユニット2色成形用金型

1軸成形機

第1射出ユニット

単色成形用金型(従来)

■ 無塗装2色インパネの断面(イメージ)

無塗装2色一体成形法

2色目の充てん

樹脂の熱で溶着され、十分な強度が得られる

固定型可動型

1色目の充てん 見切りコア作動

固化後、堰を開ける

【効果】1色目の樹脂を堰き止める

【効果】早く固化させ、見切りコアの作動タイミングを早め、ハイサイクル化。

テーパー形状

特許申請済み

見切りコア

金型内の2色の樹脂の接合部分

見切りコア

固定型可動型

第2射出ユニット

第1射出ユニット

従来の製法 目標 今回の製法

削減目標65%(塗装エネルギー使用量の100%削減)

従来の製法 今回の製法

塗料削減量

約100g/台削減約100g/台削減

従来の製法 今回の製法

インパネコスト

約1,000円/台削減約1,000円/台削減

塗装廃止効果

薄肉化効果

材料削減量

塗装廃止効果

今回の製法

約300g/台削減約300g/台削減

従来の製法

薄肉化効果

インパネ製造エネルギー使用量(GJ/年)

新型N-BOX

※原単位0.04712GJ/本で計算 ※上記削減量は、鈴鹿製作所の総エネルギー使用量の0.077%に相当

https://www.honda.co.jp

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