INTERNATIONALIZATION OF KOREAN HIGHER ...INCHON GLOBAL CAMPUS (IGC)...

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INTERNATIONALIZATION OF KOREAN HIGHER EDUCATION AND BUILDING A GLOBAL CAMPUS

~IGC: INCHON GLOBAL CAMPUSの事例~

東洋大学スーパーグローバル大学創成事業セミナー

報告者:末永拓海

APU: 立命館アジア太平洋大学

アドミッションズ・オフィス(国際)

(2016年5月20日)

視察の趣旨

高等教育事情において日本と多くの共通点を有している隣国韓国の先

進的な取り組みを理解することで、日本の大学の国際化へのヒントを発

見する(実施期間:2015/11/1~2015/11/4)

少子化による高等教育供給過剰

政府主導の教育体制

首都圏集中型社会と地方私立大学の定員割れ問題

私立大学数が国立大学数をはるかに上回る構造

私学の学費収入依存体制

急速な大学の国際化と英語プログラムの充実化

特報フロンティア「アジアンエリートを獲得せよ~日韓・激化する大学間競争~」

(NHK福岡放送局2014年6月6日放送)

韓国の大学の先進事例および一大国家プロジェクトを紹介することで

日本の大学の国際化の遅れを指摘

危機感と事実確認の必要性

①韓国の大学国際化に関する先進事例としてYonsei Universityの取り組みを紹介ベトナム人留学生のコメント「もう日本の時代は終わった」

② APUの学生募集の取り組みを紹介、留学生獲得の難しさを披露③韓国が官民学で力を合わせてIncheon Free Economic Zone (IFEZ:仁川経済自由区域)内に教育ハブとしてIncheon

Global Campus (IGC) を設ける国家プロジェクトを紹介

仁川経済自由区域INCHEON FREE ECONOMIC ZONE (IFEZ)

(IFEZの建物)

韓国で初めて仁川経済自由区域が指定(2003年)

飛行距離3時間半以内に人口100万人以上の都市が61カ所、世界人口の30%を超える25億人が一日圏ビジネス対象

目標:ビジネス、物流、先端産業、医療、教育、レジャー、ショッピングなどのすべてが一か所で解決できる北東アジアのBUSINESS HUB

(2003年→2014年)

人口(25,778人→227,407人)、外国人数(415人→3,744人)、公園数(0カ所→107カ所)、学校数(17校→64校)、ホテル数(3軒→15軒)

外国投資企業数(3社→75社)、入居企業数(0社→1,239社)、外国人投資誘致事業費(23兆KRW→71兆KRW)

(発展エリア) (空き地エリア)

INCHON GLOBAL CAMPUS (IGC)

●教員は各大学のメインキャンパスから派遣、メインキャンパスと同水準の教育を提供、学位授与も本校と同等

●学生は在籍期間4年のうち1年をメインキャンパスで過ごす仕組み

●シンガポールにも類似の国際キャンパス都市が整備、シンガポールは大学院に焦点、IGCは学部に焦点

INCHON GLOBAL CAMPUS (IGC)

4大学のキャンパス【2012年】

●THE STATE UNIVERSITY OF

NEW YORK (SUNY)

【2014年】

●GEORGE MASON UNIVERSITY

(バージニア、州立)

●GHENT UNIVERSITY

(ベルギー、公立)

●THE UNIVERSITY OF UTAH

(ユタ、州立)

寮●2棟の高層寮で2,000名を収容

●男女は渡り廊下を挟んで区別

●寮費

・SINGLE ROOM:KRW1,500,000/セメ

・DOUBLE ROOM:KRW950,000/セメ

●学生は原則として入寮

●RAシステム(RESIDENT ASSISTANT)

●教育的機能ではなくあくまで居住空間

寮の部屋

寮の食堂

寮のジム

INCHON GLOBAL CAMPUS (IGC)

仁川経済自由区域(IFEZ)を設置!

官のイニシアティブのもと、多額の経費を投入してアジアをリードしていく理想的な教育ハブ

「INCHEON GLOBAL CAMPUS (IGC) 」を設置!!

韓国にいながら海外の大学の学位を英語で取得可能!!!

「経済自由区域内に官民学が協力して潤沢な予算をかけて教育のハブを作る」

合理的かつ国際的なキャンパスができそう。

羨ましい取り組み?

NHK番組のとおり日本はかなりピンチ!?

官民学で力を合わせた一大国家プロジェクト

INCHON GLOBAL CAMPUS (IGC)

ICGの実態【実態】

IGC内に4大学、計875名の学生が在籍

(2015年11月現在)

【ゴール】

IGC内に10大学、計10,000名を誘致

大学誘致にも学生募集にも苦戦

今後のリスク

入居する海外の大学は開設から5年間、仁川市より多額の補助金を受給

他方、米国の大学の場合、米国政府は

海外ブランチに対して補助金の支給無し

↓ すなわち…

開設5年後には仁川市、母国双方からの補助金に期待ができないため、各大

学はそれまでに十分に学生定員を満た

す必要があり、それができない場合には

即時撤退につながる

THE UNIVERSITY OF UTAHASIA CAMPUS

ASIA CAMPUS在籍の学生もこのメインキャンパスと同水準の教育を受けることができる点が売り

The University of Utah (メインキャンパス)1850年設立 / ST比13:1

学部(専攻数100・学生数24,840人) / 大学院(専攻数90・学生数7,548人) Utah州の学生72% / 国内他州の学生21% / 留学生比率7%・2,906名

2014年9月1日The University of Utahとして初の海外キャンパスとなるAsia CampusをIGCに開設

(春・秋入学の学部および大学院)

THE UNIVERSITY OF UTAHASIA CAMPUS

学部・大学院≪学部≫

●COMMUNICATION (STRATEGIC COMMUNICATION, JOURNALISM)

●PSYCHOLOGY (EDUCATION, MARKETING, HUMAN RESOURCE)

●SOCIAL WORK (SOCIAL WELFARE, HEALTH CARE)

≪大学院≫

●PUBLIC HEALTH

学部学習内容≪学部1年目≫

GLOBAL MINDを有し、GLOBAL THINKINGができるGLOBAL CITIZENSHIPのための教育である ”BLOCK-U PROGRAM”を受講

≪学部2年目以降≫

GLOBAL INTERNSHIP PROGRAMとして6単位を上限にインターンシップに参加する機会を提供

学生生活の3年間を韓国で過ごし、1年間は必ず米国のメインキャンパスで学習

授業料・出願

≪ASIA CAMPUS授業料≫

年間US$20,000程度

≪UTAH CAMPUS授業料≫

年間US$24,000程度

≪奨学金≫

US$1,000~100%授業料減免

≪出願プロセス≫

出願期間を除きUTAH CAMPUSと同じ

THE UNIVERSITY OF UTAHASIA CAMPUS

2014年度(開設初年度)入学者数12名、2015年11月現在の在籍者数130名

目標値:10年以内に在籍者数2,000名 → 目標と実態とに大きなギャップ

※学生の9割が韓国人学生

※教員数15名程度、職員数10名程度

学生募集は苦戦が強いられている様子

(加えて…)

韓国一流企業は海外大学出身者よりも韓国文化に適応できる韓国国内学生を好む傾向があるため、今後の卒業生の就職についてはやや不安がある。卒業後の進路が好ましくない場合、その影響は小さくない。

今後は少子化が進む韓国国内のマーケットから海外に視線を移し、海外からの留学生獲得を目指す

マレーシアのインターナショナルスクールを訪問した際にGEORGE MASON UNIVERSITY KOREA CAMPUSやYONSEI UNIVERSITYの広報物を発見!

YONSEI UNIVERSITYINTERNATIONAL CAMPUS

YONSEI UNIV.は2010年にIGCに隣接する形でINTERNATIONAL CAMPUSを設置

新入生全員が初年次にこの全寮制のキャンパスで学び、多くの学生が二年目以降に

メインキャンパスであるSINCHON CAMPUSへ住居および学び舎を移す

1885年設立

留学生4,120名(正規生1,836名)

(韓国語学習生1,591名)(交換留学生652名)

22学部(26,146名)

私立大学

21 研究科(12,067名)

学部英語開講率32.3%

YONSEI UNIVERSITYINTERNATIONAL CAMPUS

●キャンパス内に12の寮(英語寮:2棟/韓国語寮:10棟)

収容定員5,300名、入寮者数4,700名

●各寮には各テーマ設定

(”BUILDING INNER VALUES”,や“PIONEERING SPIRIT”など)

●一部屋2-3名のシェア

●寮費KRW800,000/セメ程度

●ACADEMIC ADVISER(教員18名), RESIDENTIAL ADVISER, RESIDENTIAL MASTER(教員役職者1名)が常駐

≪Residential College Program≫一般教養に重点を置いた、高校時代からの学びの転換を促すための全寮制カリキュラム、5Cの獲得を目指す(5C=Convergence / Communication / Cultural Diversity / Creativity / Christian Leadership)YONSEI UNIV.が韓国で最初にRESIDENTIAL COLLEGE PROGRAMを導入

YONSEI UNIVERSITYINTERNATIONAL CAMPUS

学習

新入生はRC Education courses(HEⅠ, Ⅱ, Ⅲ, RC101)に参加 (HE=Holistic Education)

≪HE≫学生は以下の3つのカテゴリーのうち、最低でも2つのカテゴリーから1つのコースを選択①HEⅠ: Community Volunteer Service②HEⅡ: Arts and Culture③HEⅢ : Physical Education

≪Yonsei RC101≫大学生活へのスムーズな移行および在学中のしっかりとしたキャリアプランの確立を目的としたアカデミック・アドバイザーによるガイダンス

YONSEI UNIVERSITYINTERNATIONAL CAMPUS

≪RC Self-directed ActivityⅠⅡ≫Ⅰは1セメスター、Ⅱは2セメスターに参加、成績はPassまたはNon-Passで評価

1セメスターに12ポイント以上の獲得が必要、各セメスターで0.5単位ずつ取得(ただし、要卒条件ではない)Residential College Program ~取得すべきは単位+“ポイント”~

RC Program・RC Academic, RC Art/Culture, RC Physical Education, RC Liaisonといった幅広い分野においてSpecial Lecture, Performances, Contest, RC Olympicsなどといった様々な企画に参加・提供されるプログラムによってセメスター中の参加回数(1回~12回)やプログラム1回あたりの時間(2時間~4時間)が異なり、提供されるポイント数(2 points~24 points)も異なるHouse Programs各寮がそれぞれのテーマに沿ってプログラムを準備、“Creative (創造力)” “Leadership (リーダーシップ力)” “Empathy (共感力)”を高める機会を提供

(たとえばUnderwood House寮の場合は…)Underwood Academics, Underwood Gathering, Underwood Harmony, Underwood Initiativesといっ

たプログラムが存在、RA(Residential Assistant)を中心にWeekly企画やセメスターに2~3回の企画を準備

YONSEI UNIVERSITYINTERNATIONAL CAMPUS

PENALTY POINTS CHART

・HOUSE ID CARD未着用(1点)

・指定エリア以外への飲食物持込(3点)

・騒音問題(5点)

・禁煙エリアでの喫煙(10点)

10点→反省文、COMMUNITY SERVICE参加

16点→奨学金申請等への不利益

20点→退寮処分

2、3年生を中心としたRAが各寮に滞在

RAの多くがメインキャンパスで講義を受講するため仁川からSINCHONキャンパスへ通学

→交通費負担が発生

RAは寮費が無料+SCHOLARSHIP!!

寮教育導入当時(2012年)の入寮対象期間・人数:「1セメ・500名」 / 2013年「1セメ・全員」

2014年に現形態「1年間・全員」体制を確立

将来的には2-3年生にもRESIDENTIAL COLLEGEを導入したい意向

行動規範 RA

IGCプロジェクトの実態と今後

非常に美しい“絵”

構想をそのまま実現できたら間違いなくアジアの国際化をリードしていくエリアとなる

現状、箱(施設)は構想を実現しているが中身は追いついていない様子(大学誘致、学生募集)

この数年が正念場!?

「補助金」の観点からも「信頼」の観点からも数年以内に実績を出さなければ負のスパイラルに入る

IGC経営側と大学側それぞれがこのギャップをどこまで埋めることができるかに注目